《秘書課程学生の期待と評価》一アンケート調査より一
《秘書課程学生の期待と評価》
一アンケート調査より一
宮 本 幸 治 樋 口 紀 子
1.はじめに
1994年4月、秘書課程を受講した学生を対象に、秘書課程を選択した動機i や、課程に対する期待を調査するために、第一回目のアンケート調査を行な い、「秘書課程学生の意識と課題」と題して、1995年3月発行の弊誌「論集」
に結果を発表したが、その同じ学生たちが、実際に1年間秘書課程を受講し て、どのような感想を持ったかということを知るために、第二回目のアンケー ト調査を行なった。従って、今回は前回の第一回目のアンケート結果と二回 目の結果を照らしあわせながら、学生が秘書課程に対して、受講前と受講後 では、意識がどのように変化したか、そして秘書課程の授業をどのように評 価したかを明らかにし、それをもとに今後秘書課程の方向性を考察してみた のである。今回ゐ二回に亘るアンケート結果をもとに、今後のよりよい授業 のカリキュラムを作成する上での参考にしていきたいと思っている。因みに 1995年3月31日現在で、60%強の学生が秘書課程を受講している。
尚、第一回目の調査結果に関しては、1995年3月に弊学「論集」に発表し たものの一部を抜粋して掲載している。
︐.対
nD
アンケート調査について2)実 施
象:1994年度(平成6年度)秘書課程履修の1年生。
(日本文学科80名/英米文学科157名/計237名)
(㊧本短大は特別課程として秘書課程を設置している。)
日:第二回目:1994年(平成6年)4月(第一回目の授業時間内)
第二回目:1995年(平成7年)2月(最後の授業時間内)
3)形 式:記名式。
4)対象科目:秘書概論・秘書実務。
5)授業の時間数:秘書概論一週1回45分授業、通年(平成7年度より90分、
前期のみに変更)
秘書実務一週1回90分授業、通年。
6)使用教科書:「秘書学概論」「秘書実務」共に全国大学・短期大学実務教 育協会編、紀伊國屋書店。
7牒の担当者: 謨M戦=獣罫慧喜欝繕霧〕
(㊧年間の進度・授業内容は共に同じ)
皿.アンケートの調査結果
(㊧一④は第一回目に実施したアンケート調査の結果より、⑤は第二回目の 結果より)
③《質問1》あなたはどうして秘書課程を受講しようと思っ たのですか(複数回答可)
①秘書の勉強が将来役に立つと思ったから。
②秘書士の資格がほしいと思ったから。
③就職に有利だと思ったから。
④秘書になりたいとは思わないが、秘書の授業に興味を 持っていた。
⑤オリエンテーションで秘書課程の説明を聞いて興味を 持ったから。
⑥秘書になりたいと思っているから。
⑦他の課程より資格取得が簡単ではないかと思ったから。
⑧家族に薦められて。
⑨高校の先生に薦められて。
⑩その他。
計 割合
(人) (%)
183 77.2
154 65.0
146 61.6
67 28.3
29 12.2
25 10.5
22 9.3 15 6.3 1 0.4
4 1.7
《秘書課程学生の期待と評価》一アンケート調査より一
⑤《質問2》あなたは秘書課程を受講してよかったと思い ますか?
①はい ②いいえ
③どちらとも言えない。
︶計人 ︵
80Qり
22 割合(%)
96.2 0.0 3.8
⑤《質問3》秘書課程を受講して良かった点、悪かった点は 何ですか?(複数回答可)
①良かった点
・一般常識を身につけることができた。
・社会人としての基本的なマナーを身につけることができた。
・社会人になっても役に立ちそう。
・いろいろな知識を身につけることができた。
・秘書という仕事がどんなものかわかった。
・日常生活でも役に立つことを学ぶことができた。
・秘書検定の勉強に役立った。
・正しい言葉遣いを学ぶことができた。
・社会人としての心がまえを学ぶことができた。
・実践的な授業がためになった。
・一般社会というものを知ることができた。
・接遇を実際に授業で練習することができた。
・日常生活で実際に役に立った。
・興味深い話、おもしろい話を聞くことができた。
・資格(秘書士)を得ることができる。
・来年の就職活動に役に立ちそう。
・女性として知っておく必要のある大切なことを学ぶこと ができた。
計
割合
(人) (%)
102 43.3 73 30.8
69 29.1
50 21.1
34 14.3
27 11.4 26 11.0
24 10.1
16 6.8 16 6.8
15 6.3 11 4.6
11 4.6
10 4.2
7 3.0
6 2.5
6 2.5
授業を行なう前は、「秘書の勉強が将来役に立つと思ったから」という漠 然とした答えに続き、「秘書士の資格が得られる」、「就職に有利」という答 えが上位を占めており、「資格の時代」といわれる現代の特色を反映してい たが、実際、授業を受講した後では、資格や就職のように、目に見えるもの
ではなく、目には見えないが社会人としての必要な基本的なマナーや一般常 識が身についたことの方を評価している点が特色である。
②悪かった点
・特別課程を受講したため、休みの日やあき時間が 少なかった。
・時間割の時間配分が不満だった。
・特別課程を受講したため、勉強する教科が増えた。
・宿題が多かっ仁。
・一つの課題にかける時間が短かった。
・面倒なことが多かった。
・社会を知ったため、社会に対して不安を感じるようになった。
・課程を選択したため他の難しい教科を受講しなければな らなかった。
・積極的に学ぼうとしなかった点。
・もう少し実践的な授業を多く取り入れてほしかった。
計
割合
(人) (%)
30 12.7
18 7.6 10 4.2
8 3.4
5 2.1
5 2.1
3 1.3
3 1.3
3 1.3
2 0.8
これは、授業内容やその教え方に対して学生の側からの感想や意見、批判 等を期待する質問事項であったが、結果としては、授業の内容に関するもの
というよりも、時間割に対する不満や授業時間数が増えたことに対する不平 というものをあげた学生が圧倒的であった。これは本学が「秘書科」や「秘 書コース」という独立したものを設置しているわけではなく、本学短大に所 属する学生であれば誰でも受講することができる「特別課程」として「秘書 課程」を設置しているため、この特別課程を受講している学生は、何も特別 課程を受講していない学生に比べて、当然、選択す『 骼 業科目が多くなる。
実際に1年次においては、「秘書概論」「秘書実務」の2教科余分に授業を選択 しなければならない。従って、それにともない勉強する内容や提出課題が多 くなったことをあげているのである。しかしながら、時間割や時間数に関す ることに意見が集中するということは、ある意味においては授業内容に対す るマイナスの評価が少ないと言えるかもしれない。
《秘書課程学生の;期待と評価》一アンケート調査より一
④《質問4》あなたは「秘書概論」のシラバスを見て、どの内 容に興味を持ちましたか? (3つまで○をつけて下さい。)
⑫秘書に必要な知識・技能 ⑪秘書に求められる能力 ③秘書の役割
④秘書の業務 ⑮職場の人間関係
⑥企業(組織)における秘書の位置づけ ⑦秘書比較論(日米の秘書の比較)
⑯秘書とコミュニケーション
'⑭パーソナリティ・能力・技能の開発 ⑤秘書業務の処理の基本
⑩秘書のパーソナリティ
①秘書理論学習の目的とその必要性 ⑬秘書と経験、秘書と健康
⑨秘書の類型 ⑧日本型秘書の特質
②秘書教育の歩みとこれからの展望 ⑰秘書の課題と展望
(理由)
秘書について何も知らないので、役割を知る必要があるから。
職場の人間関係は重要であるから。
社会に出る前の準備として勉強しておきたいから。
基本的なことや社会の一般常識を知りたいから。
具体的に何をするのか、何が求められているかを知りたいから。
日米の違いがどのようなものか知りたかったから。
なんとなく興味があったから。
秘書になりたいと思っているから。
将来、必要だろうと思ったから。
計
割合
(人) (%)
131 55.3
106 44.7
86 36.3 83 35.0 74 31.2
37 15.6 32 13.5
23 9.7
18 7.6
13 5.5
.12 5.1
11 4.6 11 4.6
8 3.4
6 2.5
3 1.3
3 1.3
107 45.1 22 9.3
19 8.0
13 5.5
12 5.1 12' 5.1
11 4.6 11 4.6
10 4.2
⑤《質問5》
どれですか
⑫秘書に必要な知識・技能 ⑮職場の人問関係
③秘書の役割
⑪秘書に求められる能力
⑦秘書比較論(日米の秘書の比較)
④秘書の業務
⑩秘書のパーソナリティ
⑭パーソナリティ・能力・技能の開発 ⑥企業(組織)における秘書の位置づけ ⑯秘書とコミュニケーション
⑤秘書業務の処理の基本 ⑬秘書と経験、秘書と健康 ⑧日本型秘書の特質
①秘書理論学習の目的とその必要性 ⑰秘書の課題と展望
⑨秘書の類型
②秘書教育の歩みとこれからの展望 ★興味が持てなかった。
*興味深かった理由
・秘書の実像がよくわかったから。
・日米の秘書の違いがわかったから。
「秘書概論」の授業の中で興味深かったものは
(複数回答可)
・秘書として求められる技能や資質について知りたかったから。
・どのような仕事でも仕事をしていく上で役立っ。
・人間関係の基本についてよくわかったから。
・社会人として必要なことがわかったから。
・秘書の必要性がよくわかったから。
・人問関係の重要性がよくわかったから。
・人間として必要な基本的なことを知ることができた。
・知識が広がったから。
計
割合
︵人︶一
(%)
128 54.0 85 35.9 81 34.2 73 30.8 71 30.0 61 25.7
30 12.7
30 12.7 23 9.7
20 8.4 15 6.3
13 5.5
12 5.1
6 2.5
5 2.1
4 1.7
1 0.4 1 0.4
97 40.9
49 20.7 24 10.1
20 8.4 19 8.0
18 7.6 15 6.3
14 5.9
7 3.0
7一
3.0
《秘書課程学生の期待と評価》一アンケート調査より一
以上は、年間を通じて行う「秘書概論」の30回分の授業のシラバス中から、
「はじめに」や「まとめ」等に当たる授業の全体像に関するものをはぶいた、
具体的に授業内容を示しているもののみを取りあげ、項目にしているので、.
計17種類となっている。各項目の左側のO付きの番号は、授業を行う順番で、
項目は回答数の多い順に並べている。尚、「秘書概論」は、昨年度は通年45 分野授業である。
《質問4》の回答より、学生達が最も興味があるのが、「秘書の役割や秘書 に必要な能力、技能」で、これらを選んだ理由としては、秘書についての知 識不足があげられる。 《質問2》の回答より、学生達は「将来役に立つ」と 思い、秘書課程を受講したわけであるが、「秘書」という言葉は何となく知っ ていても、実際の秘書の仕事内容、組織内における秘書の役割等を具体的に 知らないために、秘書の役割や秘書に必要な能力、技能等を知りたいと思っ ているようである。この興味が受講後どのようになっているかという解答が
《質問5》の結果であるが、これにより、秘書に授業を受講する前と同様に、
秘書の役割や秘書に必要な能力、技能に関して興味が深かったことがわかる。
理由としては、秘書の実像が理解できたことがあげられる。これは学生が受 講前にもった興味に対して満足を与えることができた授業であったことと言 えるのではないであろうか。受講後の変化としては、受講前は5位にあった
「人間関係」・に関する項目が、受講後には2位に上がっていることが特色であ るといえる。これは、社会に出て大切な人間関係に対することを学ぶことに よって、その人間関係に対して興味を深めたからであると思う。
⑤《質問6》
かったものはどれですか?
②秘書教育の歩みとこれからの展望 ⑦秘書比較論(日米の秘書の比較)
⑧日本型秘書の特質
①秘書理論学習の目的とその必要性
「⑨秘書の類型
⑥企業(組織)における秘書の位置づけ ⑰秘書の課題と展望
「秘書概論」の授業の中であまり興味が持てな
(複数回答可)
︶賢人 ︵
り自4⊥り自00047
740000り乙り乙1⊥割合
(%)
30.4 17.3 13.5 12.7 11.8 10.1 7.2
⑭パーソナリティ・能力・技能の開発
⑮職場の人間関係
⑤秘書業務の処理の基本
④秘書の業務
⑬秘書と経験、秘書と健康
⑩秘書のパーソナリティ
⑯秘書とコミュニケーション
③秘書の役割
⑪秘書の求められる能力
⑫秘書に必要な知識・技能
★興味が持てなかったものなし。
2984433221
1
75
18477338845331111000
31.6
この項目で、上位に上がっているものは、組織に対する理論的なものであ る。つまり、学生は全般的に理論的なものには興味がなく、苦手と感じるよ うであるので、このような種類の授業に対して、いかに理解させるか、興味 を持たせるかが今後の問題であると思う。
④《質問7》あなたは「秘書実務」のシラバスを見て、どの 内容に興味を持ちましたか?(3つまで○をつけて下さい。)
⑥電話応対の心得と実際 ⑦来客応対の心得と実際 ⑤秘書の話し方
⑧接遇英語 ④接遇
②秘書の役割と働き方 ⑨文書(手紙の書き方を含む)
①職業人としての心構え ⑫オフィス管理
⑬スケジューリング ⑯慶弔と贈答 ③秘書業務の進め方
計 割合
(人) (%)
122 51.5
117 49.4 101 42.6
77 32.5 65 27.4 54 22.8
45 19.0
37 15.6 31 13.1 28 11.8 25 10.5
14 5.9
《秘書課程学生の期待と評価》一アンケート調査より一
⑮出張業務
⑪通信(郵便業務含む)
⑭会議と会合
⑩図表(グラフ作成)
(理由)
将来社会人になった時に必要であると思ったから。
来客応対のことをよく知っておきたかったから。
敬語や話し方をよく知っておきたかったから。
日常生活でも役立ちそうだったから。
日常での礼儀作法や常識を知っておきたかったから。
電話応対のことをよく知っておきたかったから。
英語の知識を得たいと思ったから。
.秘書の役割や仕事内容を知りたかったから。
人との接し方を学びたいと思ったから。
職業人としての心構えを知っておきたかったから'。
⑤《質問8》「秘書実務」の授業の中で興味深かったものは どれですか (複数回答可)
⑥電話応対の心得と実際 ⑦来客応対の心得と実際 ④接遇
⑯慶弔と贈答 ⑤秘書の話し方
⑨文書(手紙の書き方含む)
⑪通信(郵便業務含む)
⑧接遇英語
⑬スケジューリング ①職業人としての心構え ⑮出張業務
⑩図表(グラフ作成)
②秘書の役割と働き方
11 4.6
8 3.4
4 1.7
3 1.3
62 26.2
40 16.9
33 13.9
23 9.7
21 8.9
15 6.3
15 6.3
15 6.3
11 4.6
10 4.2
計 割合
(人) (%)
129 54.4 103 43.5
96 40.5
88 37.1
69 29.1
49 20.7
34 !4.3
23 9.7
23 9.7
20 8.4
13 5.5
12 5.1
7 3.0
③秘書業務の進め方
⑫オフィス管理
⑭会議と会合
★興味のあるものはなかった。
(理由)
・一般常識として必要と思ったから。
・日常生活において大切であると思ったから。
・いろいろな知識が増えたから。
・将来職場で必要であるから。
・実践的なことが身についた。
・正しい言葉遣いが身についた。
・将来役に立つ。
・授業の中で実践することがためになった。
・社会人として基本的なことを知ることができた。
・ビデオによる学習がよかった。
・接遇におけるマナーが身についた。
・とてもおもしろかったQ ・実践的な授業がよかった。
・秘書に実際の仕事がよくわかったから。 , 、 ・日常生活で実際に役に立った。
・慶弔におけるマナーが身についた。
・普段疑問に思っていたことについて知ることができた。
・わかりやすかった。
・接遇英語は英語急なので、重要であると思った。
・礼儀作法やマナーが身についた。
6 2.5
6 2.5 1 0.4 1 0.4
41 17.3
41 17.3
36 15.2
34 14.3
21 8.9 19 8.0
16 6.8
14 5.9 14 5.9 13 5.5
13 5.5 12 5.1
11 4.6
9 3.8
9 3.8
9 3.8
6 2.5
6 2.5
6 2.5
5 2.1
これも《質問5》と同様に、年間を通じて行う「秘書実務」の30回分の授 業のシラバス中から、「はじめに」や「まとめ」等に当たる授業の全体像に 関するものをはぶいた、具体的に授業内容を示しているもののみを取りあげ ている。また、この「秘書実務」のシラバスでは計16種類となっているが、
これは内容によっては2週にわたり同じ項目の授業を行うこともあるので、
種類が「秘書概論」に比べて少なくな6ている。質問事項の左の番号は、
《秘書課程学生の期待と評価》一アンケート調査より一
「秘書概論」と同様に授業を行う順番で、項目は回答数の多い順となってい る。尚、「秘書実務」は通年90分の授業である。
《質問7》の回答では、上位5番目までが接遇関係で、これは敬語を始めと して、礼儀作法や社会常識をあまり知らないので、社会に出る前に、正式な 場での応対の仕方、人との接し方を学びたいという希望が現われていると思 われる。では、受講後はというと、授業を受講する前と同様、接遇や対人関 係に関するものへの回答が圧倒的に高かった。これは、社会人として必要な 知識やマナーを授業を通して実際に習得することができたことに対する評価 であると思われる。
受講する前と後で変化した回答としては、「慶弔と贈答」に関するものが 上げられる。特に慶弔業務に関しては、日常生活において今まであまり体験
したことがない分野であるため、授業を受ける前には何が慶弔なのかという 知識さえも乏しいため関心がないが、授業で慶弔業務とは何か、さらには慶 弔に関する一般的な決まり事というものを知ったためか、慶弔に対して興味 がわくようである。現在では慶弔というのは、以前のように家庭の中で催さ ず、業者に依頼することが多くなったので、それに伴い、慶弔に関して家族 の中ではっきりとした知識を持つ人が少なくなっていると思う。従って、こ の慶弔というのは、ある意味において、いざという時のためにしっかりと教 えるべき大切なことであると思う。
⑤《質問9》「秘書実務」の授業の中で興味が持てなかった ものはどれですか。 (複数回答可)
⑬スケジュ・r一リング ⑩図表(グラフ作成)
⑧接遇英語 ⑮出張業務 ⑫オフィス管理
①職業人としての心構え ⑪通信(郵便業務含む)
⑭会議と会合
②秘書の役割と働き方
計 割合
(人) (%)
49 20.7
48 20.3
36 15.2
36 15.2
21 8.9 19 8.0
16 6.8 11 4.6
10 4.2
③秘書業務の進め方
⑨文書(手紙の書き方含む).
⑯慶弔と贈答
④接遇
⑤秘書の話し方
⑥電話応対の心得と実際
⑦来客応対の心得と実際
★興味がなかったものなし。
8 3.4
8 3.4
1 4.2
0 0
0 0
0 0
0 0
76 32.1
この回答の中で上位にある「スケジューリング」、「図表」、「出張業務」と いうのは、授業ではスケジュール表、図表、出張の旅程表を作成を中心に行 なうものである。従って、学生はそれらの作成に慣れていないために作業に 時間がかかり、しかも細かい作業が多いので、苦手という意見が多いようで ある。これは面倒な仕事をさけようとする現代の学生の気質を表わしている かもしれない。そのためにどのようにして興味を持たせていくかということ が、これらの項目に対して授業内容を考えていく上での今後の課題であると 言える。
次に、「接遇英語」に関しては、日本文学科の学生の理由としては、「英語 が苦手であるから」が圧倒的で、英米文学科の学生に関しては「英語の授業' にうんざりしているから」というのが多い。 その他として、「秘書になるう もりはない」「日常生活ではあまり必要がない」からという理由がある。学 生は、秘書になりたいと思ってこの課程を受講しているのではなく、この課 程が将来役に立つと思って受講しているため、特に「秘書職」がするような 仕事に関して興味が持てないようである。
さらに、秘書実務の授業の中で、興味が持てなかった授業項目はなしとの 感想を述べている学生が3割強に達している。これは秘書課程を教えている 者として意を強くするものであるが、今後この数字がさらに伸びていくよう に努力したいと思っている。
《秘書課程学生の期待と評価》一アンケート調査より一
⑤《質問10》「秘書概論」「秘書実務」の授業以外で、秘書 課程で教えてほしかったことは何ですか?
①コンピュータ、又はワープロ。
②就職状況や就職試験について。
③会社訪問,企業の実態について。
③洋服の着こなし方・お化粧の仕方 ④食事のマナーについて。
④秘書検定の勉強会。
⑤秘書実習がしたがった。
1
⑤書道、ペン習字 ⑥話し方。
'⑦華道。
⑦世界各国の秘書に関しての話やビデオ。
⑧英文手紙の書き方。
計
割合
(人) (%)
24 10.1
12 5.1
9 3.8
9 3.8
7 3.0
7 3.0
5 2.1
5 2.1
4 1.7
3 1.3
3 1.3
2 0.8
学生がもっと教えてほしかったと希望しているものは、1位「コンピュー タ・ワープロ関係」、2位「就職関係」、3位「企業について」というどころで あると思う。コンピュータ・ワープロに関しては、弊学では、秘書課程の授 業の中で「情報科学1・II」という授業があり、半期ずつではあるが、1年、
2年次にコンピュータやワープロを使っての授業を受講することができる。
しかし、学生達はもっとそのような授業をしてほしいと思っているようであ る。これはまず、「秘書概論」「秘書実務⊥という既存の授業の中で、情報処 理の授業をどのような形で取り入れることができるかということから考える 必要があると患われる。これは「実務」の授業では、電子メールの実際のや りとりを行なうなどのコンピュータを使用しての授業を加えていくことを早 急に考えて行く必要があるということを意味するのではないであろうか。こ
のためには、情報処理の担当の教師と綿密な打ち合わせをしながら授業内容 を検討するという横のつながりが大切である。
また、「概論」の授業の中では、現在のオフィスや、近い将来のオフィス の形態、それに伴う組織の変化などを示していくことが必要であることも意 味していると思われるし、このような内容を折り込むことが、また「就職」
や「企業」に関してもっと教えてほしいという学生の希望に応えることにも
つながると思われる。
IV.おわりに
以上のように、二回に亘るアンケート調査の結果より、学生の秘書課程の 授業に対する評価と今後の期待というものが理解できたが、今後はこれをも
とにどのように秘書課程の授業のカリキュラムを作成していくかということ を考える必要がある。「秘書概論」では、組織に対する理論的なものに興味 を持たせる工夫や「秘書実務」では電話応対や来客応対を中心とする接遇業 務やコンピュータ・ワープロをオフィスの中で体験できる実習室の整備が必 要であると考えられる。また、特に最後の質問事項より、学生の今後もっと 教えてほしいものが明らかになり、 《質問10》の考察事項でも述べたように、
情報処理関係や現在のオフィスや、近い将来のオフィスの形態、それに伴う 組織の変化などを早急に授業に取り入れる必要性があることがわかったが、
弊学のように特別課程で秘書教育を実施している学校にとっては、秘書関係 の授業ばかりに時間をさくことが難しい現状があるので、現在の時間数の中 で、つまり「概論」90分前期のみ(1995年度より授業時間を変更)、「実務」
90分通年という限られた時間の中で、従来の授業と新しい授業をどのように 組み替えるかという、授業の全面的な見直しが必要なのである。これは大変 な作業であると思われるが、これによって、学校での授業内容が、現在の、
または近い将来の実際の組織でのオフィスワークに近づくのではなかろうか。
しかし、新しい授業内容を考える際に、情報処理を伴ったオフィスワーク のみに力を入れるのではなく、従来の社会人としての基本的なマナーや一般 常識的なものを併せて行なっていくことも忘れてはならない。というのは、
学生が秘書の授業の中で、それらを多く期待しているからである。これは、
以前は家庭で行なっていたものが、現在は家庭で行なわれていないため、ま たは家庭で行なうことが困難になったため、学校の授業に期待する部分が多 いと思われる。つまり、これは家族や家庭の形態が変化してきた社会に対応 して、「学校」という教育の現場でも認識を新たにし、「変革」を迫られてい る一つの現れでもあると思われるのである。
但し、「実務教育」ということを考えた場合、これはあくまでも学校での 教育であるので、どの程度まで基本的マナーとして教えるか、どこで線を引
くかというのは、今後の実務教育のカリキュラムを考える上での大切な視点
《秘書課程学生の期待と評価》一アンケート調査より一
であると思われる。
以上に関しては、一人の教師が、又は一つの学校内のみで考えるにはテー マとしてはあまりに大きなものであるので、実務教育を行なっている教育機 関や実務教育に携わっている教師が集まり、実務教育や今後の秘書教育に対 する新しい定義やそれらの授業内容を再編成する必要がある。つまり、現在 は、今後高等教育の中で重要な位置を占めるようになると思われる実務教育、
及び秘書教育に対する新しいカリキュラム作りが、早急に迫られている時期 であるということができると思う。 (1995.10,1。)