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発達障害と向き合う体系的な学校教育・教員養成・教員研修の在り方

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Academic year: 2025

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【重点・融合領域研究部門】

発達障害と向き合う体系的な学校教育・教員養成・教員研修の在り方

研究代表者 大坪 靖直(教育心理学講座)

研究分担者 宮田 正和(健康科学センター)

研究分担者 藤金 倫徳(特別支援教育講座)

研究分担者 納富 恵子(教職実践講座)

研究分担者 生田 淳一(教育心理学講座)

研究協力者 金子 泰久(事務局)

The Possible forms of systematic school education, teacher training course, and the teacher training for special needs education.

Yasunao OHTSUBO

1)

Masakazu MIYATA

2)

Michinori FUJIKANE

3)

Keiko NOUTOMI

4)

Junichi IKUTA

1)

Yasuhisa KANEKO

5)

1) Department of Educational Psychology, Fukuoka University of Education 2) Center for Health and Sports Science, Fukuoka University of Education 3) Department of Special Education, Fukuoka University of Education

4) Department of Professional Practice in Education, Fukuoka University of Education 5) Academic Support Department, Fukuoka University of Education

Recently, how to do the special needs education, it is becoming a high social needs, a more important agenda. The method of the present study is a interview and case study. The results suggested that assessment force for understanding the developmental disorder is necessary for the teacher. In the future, in the training of teachers and teacher training course, it is necessary to increase the assessment force. It must be achieved to improve the knowledge and skills basic therefor. On the other hand, it is necessary to develop techniques for assessment available to the teacher in everyday educational situations as to complement the assessments that require special technical experts, such as WISC.

キーワード:特別支援教育,学校種間連携,アセスメント,教員研修

Key words:Special needs education, Cooperation in the school of different types, Assessment, teacher training

問 題

特別支援学校や特別支援学級に在籍する子ども たちの数も(2003年85,933名に対して2012年

164,428名),小学校・中学校において通級による

指導,つまり通常の学級で指導を受けている子ど もたちの数も(2003 年12,259 名に対して 2012

年 71,519 名)一貫して増え続けている。また,

通常の学級においても発達障害の可能性のある児

童・生徒が 6.5%程度在籍している(文部科学省 が行った調査において,学級担任を含む複数の教 員により判断された回答に基づくものであり,医 師の診断によるものではない)。このことから,近 年,特別支援教育をどのように行うかは,社会的 なニーズの高い,より重要な検討課題となってき ている。

発達障害を有する人たちへの支援策は、義務教 育段階における支援策を中心に,現在は、高等教

(2)

育段階における取組にも着手され始めている。し かし、これまでの支援策は年齢段階ごとに検討さ れてきたため、体系的に行われているわけではな い。

また、発達障害を有する人は、職場における人 間関係上のトラブルを引き起こす高いリスクを持 っているにも関わらず、障害者雇用促進法の対象 外となっていることや必要な技能を身につけた支 援者が少ないことなど、就労を続けるうえで十分 な支援がない現状がある。

本プロジェクトでは、「学校種間をつなぐ支援 策」、「就労支援における支援策」、「適切な対応方 法を含む啓発活動」の検討を通して、発達障害と 向き合う体系的な教育における学校教育・教員養 成・教員研修の在り方について模索することを目 的とする。

具体的には、実態調査等を通して得られた情報 をもとに、それぞれの支援において重要な要因を 探索的に抽出し、それらの関係性を想定した支援 モデルを構築する。さらに、そのモデルを利用し て、これまでの学校種間をつなぐ支援や、就労支 援、啓発活動について評価を行うとともに、教員 養成課程のカリキュラムや教員研修プログラム等 の評価を実施する。そして、それらの結果をもと に改善策などを提案することである。

本報告は,そのプロジェクトの一環として,①

「学校種間をつなぐ支援」、「進学・就職における 支援」、「就労支援」、「適切な対応方法を含む啓発 活動」について質問紙調査や各段階(小学校、中 学校、高等学校、大学、企業・機関等)の支援者 へのインタビューなどを通して実態調査を行うこ と、②先進的な取り組み事例の実地調査を行うこ とを計画していた。しかしながら、年度内に実態 調査を実施することはできなかった。

本報告では,研究の一部について,その概要を 報告する。特に,文献研究やインタビュー調査な どから示唆される,学校教育における現状を中心 に報告する。

方 法

本研究で用いた方法は,主に,インタビュー調 査,事例研究,文献研究である。この報告では,

インタビュー調査から得られたデータの一部につ いて報告する。

インタビュー調査は,2014 年 2 月までに,学 校教育関係者5名(小学校:3名,中学校:1名,

教育委員会:1名)に実施し,「発達障害と向き合

う体系的な教育を実現するには」とその中で,「学 校教育のあり方とは」「教員養成のあり方とは」,

「教員研修のあり方とは」について尋ねた。また,

それらの質問に関連させて,「学校種間をつなぐ支 援とは」「進学・就職,就労支援とは」「啓発活動 とは」についても尋ねた。このインタビュー調査 は,2014 年 3 月以降も継続して実施する予定で ある。

結 果

インタビューの内容について,KJ 法などを利 用して整理した。その結果,発達障害と向き合う 体系的な学校教育・教員養成・教員研修の在り方 について,いくつかの課題を見いだした。

一つは,「早期から,かつ成人に至るまでの一貫 した支援の仕組みの必要性」である。特に,各機 関の連携の促進が挙げられる。なかでも,保幼小 連携,小中連携は,取り組みが始まり,一定の評 価ができるが,中高連携については,不十分との 認識が見いだされた。この点については,「共生社 会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構 築のための特別支援教育の推進(報告)」文部科学 省(2012)においても指摘されており,子どもひ とり一人の教育的ニーズに応じた支援を保障する ためには,乳幼児期を含め早期からの教育相談や 就学相談を行うことにより,本人・保護者に十分 な情報を提供するとともに,幼稚園において,保 護者を含め関係者が教育的ニーズと必要な支援に ついて共通理解を深めることにより,保護者の障 害受容につなげ,その後の円滑な支援にもつなげ ていくことが重要である。

74.8

44.9 85.6

72.1

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

校内委員会 研修

2007 2012

図1 2007年・2012年の校内委員会・研修の 実施率

(3)

一つは,「研修・関係者の啓発の推進の必要性」

についてである。「2006年の学校教育法などの一 部改正以降,校内委員会の設置や研修の実施など 取り組みが進んでいるが,特別支援教育,インク ルージョン教育,ユニバーサル・デザインなどの 概念の理解は進んだかもしれないが,実際にその 理念を,教職員全員で実現しているとは言い難い」,

「校内委員会も機能しているとは言い難い」とい った指摘もなされた。

55.0

60.9 99.4

86.0 95.6

71.2 83.7

54.7

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0

校内委員会 研修

幼稚園 小学校 中学校 高等学校

図2 2012年の校内委員会・研修の 学校種別の実施率

0回 3.0%

1回 16.7%

2回 22.9%

3回 15.4%

4回以上 42.1%

※201241日から91日の間に校内委員会を開催 した回数を示す。

図3 「校内委員会」開催回数状況

こ の 指 摘 と 一 致 す る デー タ が , 文 部 科 学 省

(2012)の資料に示されている。図1のように,

校内委員会を設置している学校は平成 19 年の

74.8%に比べ,平成 24 年には,85.6%と増加し

ている。一方で,校内委員会は,およそ60%の学 校が6ヶ月間で0回から3回の実施に留まってい る。恒常的な委員会を開催することの難しさが見 受けられる。

未受講者は,学校間の差が大きく,小学校では,

14.0%と少ないのに対して,高等学校では45.3%,

幼稚園では,39.1%と就学前および義務教育以降 の期間での未受講者の割合が多くなっている。結 果的に,特別支援教育に関する教員研修の受講状 況を見てみると,全体でも2003年4月から2012 年9月までの期間での未受講者が,27.9%存在し ている。「早期から,かつ成人に至るまでの一貫し た支援」を実現するためにも,就学前および義務 教育以降の機関との連携が求められる現状から,

相互に研修を行い,情報を共有するような仕組み が求められる。

60.9 86.0 71.2 54.7

72.1

39.1 14.0 28.8 45.3

27.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

幼稚園 小学校 中学校 高等学校 全体

受講済み 未受講

※2003年4月から20012年9月の間に研修を受講した教 員の割合を示す。

図4 特別支援教育に関する教員研修の 受講状況

この中で,共通して課題として指摘されたのが,

「アセスメントをいかに実施していくか」という 点である。

子どもの気になる行動に対し,二次障害が発言 する前に,保育所・幼稚園・学校などで適切な早 期支援を途切れなく行うことによって,問題行動 を予防し,成長が期待できる(厚生労働省・文部 科学省,2013)。しかしながら,そのためには,

保育・教育に携わるものの子どもの理解のスキル

(4)

アップが必要である。

この点について,たとえば,三重県立小児診療 センターあすなろ学園では,日常の保育・教育場 面を活用した気になる姿を観察するツールとして

「CLM:チェック・リスト・三重」を開発してい る。このCLMは,保育所・幼稚園に通う気にな る子の行動などを観察し,個別の指導計画を作成 するために,開発されたアセスメントツールであ る。このアセスメントツールは,保育士や幼稚園 教諭によって実施できることから,専門機関との 連携によるアセスメントよりも,短いサイクルで 実施できるだけでなく,保育士や幼稚園教諭の子 ども理解が促進されることで,指導計画や,日ご ろの保育・教育における効果的な支援を実現でき ると考えられる。

河村・高畠(2007)は,特別支援教育が学校の 取り組みレベルでうまくいくためには,共通理解 のためのチェック・リストを用いることが重要で あると指摘している。「個々の子どもが必要として いる支援のレベルや内容」について,教師間で共 通理解が必要であり,それぞれの,先生の見方が バラバラだと,話題に上っている子どもについて の共通理解が広がらず,支援方法の共有化も進ま ないと指摘している。

文部科学省(2012)も指摘するように,教職員 の専門性の確保が必要であり,すべての教員は,

特別支援教育に関する一定の知識・技能を有して いることが求められる。特に発達障害に関する一 定の知識・技能は,発達障害の可能性のある児童 生徒の多くが通常の学級に在籍していることから も必須である。これについては,教員養成段階で 身に付けることが適当であるが,現職教員につい ては,研修の受講などにより基礎的な知識・技能 の向上を図る必要がある。

発達障害に向き合い適切な支援を行っていくた めには,教師に子どもを理解できる「アセスメン ト力」が必要と考えられる。このことは,子ども 理解を促進し,適切な支援計画の作成や効果的な 支援が可能になり,子どもたちの成長に寄与する と予測される。

今後は,教員養成課程および教員研修の場にお いて,基礎的な知識・技能の向上を図り,「アセス メント力」を高める必要がある。一方で,WISC などの専門家の特別な技術を必要とする「アセス メント」と相互に補完するような,日常的な教育 場面の中で教師が利用可能なアセスメントの技法 を開発共有していくことも必要と考えられる。

まとめ・今後の課題

本プロジェクトは,現在,データ分析の途中で,

その作業を継続している。結果に報告したとおり,

支援において重要な要因のいくつかを抽出したが,

それらを関係づけるなどしたモデルの構築までに は至っていない。今後は,研究を通して,インタ ビュー調査,事例研究を中心に得られた多くのデ ータの検討をすすめる予定である。

一方で,各自治体や教育機関の先進的な取り組 みについて,注目していく必要がある。たとえば,

福岡県芦屋町では,特に特別支援教育の充実に取 り組まれており,教育関係者だけでなく関係機関 を交えた特別支援教育連絡協議会も設置されてい る。具体的には,学識経験者,専門家,医療関係 者,福祉関係者,保健関係者,臨床心理士,特別 支援相談機関,ハローワーク,保育所・幼稚園関 係者,学校関係者,保護者,教育委員会と幅広い 関連領域から参加することで,一貫した支援の仕 組みを検討する体制が作られている。また,町の 組織・体制づくりや,教職員の専門性の向上,ネ ットワークの構築などを進めている。その中の特 徴的な取り組みの一つは,「あしやすくすくファイ ル」の活用で,全ての子どもが乳幼児期から就学・

就労するまでの間,医療,福祉,教育などで一貫 して適切な支援を受けられるようにと作成されて いる(日本教育新聞,2013)。

今後,このような先進的な取り組みについても 調査・事例研究を行い,そのデータ分析の結果を 精査しながら,発達障害と向き合う体系的な学校 教育・教員養成・教員研修の在り方について,さ らに検討する予定である。

引用文献

河村茂雄・高畠昌之(2007)特別支援教育を進め る学校システム. 図書文化:東京.

厚生労働省・文部科学省(2014)発達障害者支援 関係報告会資料

文部科学省(2012)共生社会の形成に向けたイン クルーシブ教育システム構築のための特別 支援教育の推進(報告)

日本教育新聞(2013)平成25年11月18日(月 曜日)

参照

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[r]

*Department of Special Education, Aichi University of Education, Kariya 448-8542,

障がい者の触法と市民後見の役割 制度とのはざま(第2報) ○有路 美紀夫(市民後見促進研究会 BON・ART 事務局長) 東 弘子・角