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日系タイ子会社の環境マネジメントの実施要因分析:

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Academic year: 2023

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日 系 タ イ 子 会 社 の 環 境 マ ネ ジ メ ン ト の 実 施 要 因 分 析 :

親 会 社 ガ バ ナ ン ス の 観 点 か ら

The Factors that Japanese Subsidiaries in Thailand Conduct Environmental Management:

From Perspective of Parent Company Governance

○ 平 田 礼 王*・ Dimiter Ialnazov* *

○ R. Hirata, D. Ialnazov

1 . は じ め に

近 年 、 持 続 可 能 な 社 会 の 実 現 に 向 け て 、 企 業 に よ る 自 主 的 な 環 境 マ ネ ジ メ ン ト の 実 施 に 注 目 が 集 ま っ て い る 。 こ れ ら の 環 境 行 動 を 、 株 主 利 益 の み な ら ず 全 て の 利 害 関 係 者 の た め に 企 業 は 行 動 す る と い う ス テ ー ク ホ ル ダ ー 理 論 か ら 捉 え る 潮 流 に あ る 。 本 研 究 で は 、 タ イ の 日 系 子 会 社 を 対 象 と し 、 な ぜ 現 地 で 環 境 マ ネ ジ メ ン ト を 実 施 す る の か に つ い て 、 ス テ ー ク ホ ル ダ ー 理 論 に 基 づ い て 親 会 社 の ガ バ ナ ン ス の 観 点 か ら 分 析 す る 。

2 . 概 要

企 業 へ の 環 境 政 策 手 法 と し て 規 制 的 手 法 と 経 済 的 手 法 が あ る が 、 両 者 を 補 完 す る 役 割 と し て 1990 年 代 以 降 、 環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム (ISO14001)に 代 表 さ れ る 自 主 的 取 組 手 法 に 注 目 が 集 ま っ て い る 。グ ロ ー バ ル 化 が 進 展 し 、多 く の 企 業 が 途 上 国 へ 進 出 し て い る 現 在 、 環 境 マ ネ ジ メ ン ト を 地 球 規 模 で 促 進 し て い く た め に は 、 海 外 子 会 社 も 同 様 の 取 り 組 み を し て い く 必 要 が あ る 。 そ し て 企 業 レ ピ ュ テ ー シ ョ ン や ガ バ ナ ン ス の 観 点 か ら 、 親 会 社 は 海 外 子 会 社 を リ ス ク と チ ャ ン ス の 両 面 を 持 ち 合 わ す 存 在 と し て コ ン ト ロ ー ル す る 必 要 が あ る 。 自 主 的 な 環 境 マ ネ ジ メ ン ト の 実 施 に は 導 入 コ ス ト や 人 的 コ ス ト な ど の 外 部 費 用 が 発 生 す る 。 一 方 で 、 経 済 合 理 性 を 求 め て 途 上 国 に 進 出 し た に も 関 わ ら ず 、 海 外 子 会 社 に お い て も 日 本 の 親 会 社 と 同 様 の 環 境 行 動 を な ぜ 自 主 的 に 行 う の か に つ い て は 疑 問 が 残 る 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 日 本 の 親 会 社 ガ バ ナ ン ス に 焦 点 を 当 て 、 な ぜ タ イ 子 会 社 が 環 境 マ ネ ジ メ ン ト に 関 す る 国 際 規 格 で あ る ISO14001認 証 を 取 得 す る の か を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と す る 。

3 . 分 析 方 法

タ イ 現 地 法 人 の 環 境 行 動 を 調 べ る た め 、 東 洋 経 済 新 報 社 『 海 外 進 出 企 業 総 覧 2020』 か ら 日 本 の 上 場 企 業 か つ 機 械 産 業 ・ ゴ ム 産 業 ・ 精 密 機 械 産 業 の 日 本 の 親 会 社 を 79社 抽 出 し 、 そ の 中 か ら 製 造拠点 を 持 つ タ イ 子 会 社 117社 を 対 象 と し た 。

* 京 都 大 学 大 学 院 総 合 生 存学 館 Graduate School of Advanced Integrated Studies in Human Survivability, Kyoto University 〒606-8306 京 都 府 京 都 市 左 京 区 吉 田 中 阿 達 町 1

TEL 075-762-2001 E-mail:hirata.reo.66z@st.kyoto-u.ac.jp

** 京 都 大 学 大 学 院 総 合 生 存 学 館

(2)

ま ず 2021年3月か ら 2021年 7月に か け て 、タ イ 子 会 社 で 環 境 経営を 実 施 す る 要因に つ い て 、 日 本 の 親 会 社 へアンケー ト 調査を 実 施 し た 。 こ れ は 実 証モ デル の構 築に 向 け て適 切な説明 変 数を選 択す る た め に 実 施 し た予 備調査で あ る 。

分 析モ デル の被 説明変 数は 環 境 マ ネ ジ メ ン ト の 国 際 規 格 で あ る ISO14001の 取 得有 無 デ ー タ (2016年-2020年 )で あ る 。 こ れ は各企 業 の HP と 親 会 社 へ のアンケー ト 調査の結 果を も と に し た 。説明変 数は EDINETに掲 載さ れ て い る 親 会 社 の有 価証券報告 書、東 洋 経 済 新 報 社

『 会 社財 務 カル テ 2020』『 会 社財 務 カル テ 2021』、 タ イ商 務 省 デー タベー ス (DBD

DataWarehouse)か ら 入 手 し た 。 こ れ ら のデー タ を も と に ロ ジ ス ティ ック回 帰分 析 を 実 施 し た 。

4 . 分 析 結 果

対 象 の う ち約74%が ISO14001認 証 を 取 得 し て お り 、 途 上 国 で あ る タ イ 子 会 社 に お い て も 環 境 経営に 対 す る 取 り 組 み状 況が高い こ と が 明 ら か と な っ た 。 ま た予 備調査の結 果、 タ イ の 環 境 経営の 実 施 要因と し て 親 会 社 の 上層部 か ら の 要請、 現 地 ス テ ー ク ホ ル ダ ー か ら の 要 請の二点 が挙 げら れ た 。 そ れ 以 外 の 要因と し て 、サ プ ライヤー等と の 取引 条 件や 認 証 取 得 に よ る 取引費 用 の削 減、 SDGsな ど の 潮 流 と い っ た意 見も見ら れ た 。

親 会 社 の ガ バ ナ ン ス と ISO14001認 証 の 取 得有 無と の 関連を 分 析 し た結 果、タ イ 子 会 社 に 対 す る 親 会 社 の直 接的 な議 決 権割 合 が高いほど 、タ イ 子 会 社 の ISO14001認 証 取 得 と正の 関 係 に あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 そ の 一 方 、 取締役 会 の 社 外監 査役 や女性 取締役 の比 率な ど の 取締役 会 の透明 性 ・ 多 様 性 と ISO14001認 証 取 得 に は 関 係 は な か っ た 。

5 . 結 論

現 在 、 親 会 社 に お け る 取締役 会 の 機 能 発揮や 多 様 性 の確 保な ど を コ ーポレ ー ト ガ バ ナ ン ス コ ードの 要件と し て課す 流 れ が見ら れ る 。 こ れ に よ り 、 ス テ ー ク ホ ル ダ ー の 利 益 を守る と 同時に 中長 期的 な 企 業価 値向 上 に つ な が る と考え ら れ て い る 。 し か し な が ら 、 本 研 究 の 結 果か ら 、 取締役 会 の透明 性 ・ 多 様 性 は 途 上 国 の 環 境 経営の 実 施 に影 響を与え て お ら ず 、 海 外 子 会 社 に よ る 環 境 行 動 の 促 進 、 そ し て グ ル ープ全体を通し た ESG的価 値の 向 上 に つ な が っ て い る か に つ い て は 疑 問 が 残 る 。

他方 で 親 会 社 に よ る 子 会 社 ガ バ ナ ン ス に つ い て は直 接 議 決 権の所 有が有 効で あ り 、 親 会 社 の 環 境意 識を 子 会 社 に反 映させる 方 法 と し て効 果的 で あ る と考え ら れ る 。

今 後は 、 対 象 産 業 を増や す こ と でサンプル数を確 保し 、 よ り 一般化 し た議論 に 持 っ て い きた い 。 ま た 、定性 的 調査を並行 し て 実 施 し 、 分 析結 果の妥当 性 を高め て い く 。

謝 辞 :2020年度環 境 経 済 ・ 政 策学会大 学 院生 研 究助 成を い ただい て 研 究 を 実 施 できた 。 ま た コ ロ ナ禍の影 響で特 例 措 置と し て 1年延 長を 認 め て い ただい た こ と も記し て感 謝し ま す 。

参照

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