子どもを支える社会的空間
―学童保育、きんしゃいきゃんぱすの比較から―
要旨
この論文は、福岡市の留守家庭子ども会、北九州市の放課後児童クラブ、きんしゃいき ゃんぱすでフィールドワークを行い、空間と支援に注目し比較することで、子どもを支え る理想的な社会的空間とはどのようなものであるかを探り、今後の展望について考察した。
第1章では、子どもの放課後の状況を、子どもをケアする人に注目しつつ整理し8つの ケアの形について挙げている。また、統計資料を用いつつ、それぞれのケアの形が現在は どのような状況であるかについて述べ、現状ではケアが学童保育に偏っているということ が明らかになった。
第2章では、社会的空間とはどのようなものであるのか、空間との違いについて先行研 究をもとに論じている。それを踏まえ、「居場所」を定義し、さらに「居場所」となるため には何が条件になるのか、「居場所」の4つの分類について述べている。
第3章では「支える」ということ、「支援」について説明している。特に「子育ち」に着 目し、先行研究を踏まえ「子育ち」の必要性、コドモの場合の「子育ち」とはどのような ものであるのかを述べる。さらに子育ちを支援するためには地域の教育力が欠かせないこ とも明らかになった。
第4章は大多数のコドモの受け皿となっている学童保育についてまとめた。そもそも学 童保育とはどのようなものであるのかを児童福祉法をふまえて説明する。さらに統計資料 をつかって現在の学童保育の利用状況、どのような問題を抱えているのかをあげている。
第5章では、それぞれの聞き取り調査と参与観察についての記録を概要と空間、支援に 分けて書き上げた。
第6章では、フィールドワークをもとに、子どもを支える社会的空間としてのプラス面 とマイナス面をあげている。
第7章では、第6章や先行研究を踏まえて、子どもを支える理想的な社会的空間とはど のようなものであるのか、それに近づくためには何が必要であるのかを結論としてまとめ た。
目次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第1章 子どもとコドモ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 第1節 放課後の子どもをケアするのは誰か・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1.1.1 地域でケア
1.1.2 祖父母を中心に親族でケア
1.1.3 父親あるいは母親がケア
1.1.4 ケアではなくカギっ子
1.1.5 親の友人または知人がケア
1.1.6 ファミリー・サポート・センター事業によるケア
1.1.7 学童保育でケア
第2節 コドモの現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 第2章 社会的空間から居場所へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第1節 空間と「三間」の消失・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第2節 社会的空間とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第3節 居場所とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
2.3.1 居場所の定義
2.3.2 居場所の構成条件
第3章 「支える」ということ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 第1節 子育てと子育ち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 第2節 子育ち支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 第4章 コドモの受け皿、学童保育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 第1節 学童保育の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
4.1.1 学童保育とは
4.1.2 統計にみる学童保育
第2節 学童保育が抱える問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
4.2.1 スタンダードな基準がない
4.2.2 指導員の身分保障
4.2.3 「放課後子どもプラン」との融合
4.2.3待機児童
第5章 フィールドワーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 第1節 フィールドワーク概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
5.1.1 調査の目的
5.1.2 調査対象
5.1.3 調査手法
第2節 福岡市留守家庭子ども会・・・・・・・・・・・・・・・・・22
5.2.1 概要 5.2.2 空間 5.2.3 支援
第3節 北九州市放課後児童クラブ―Aの場合・・・・・・・・・23 5.3.1 概要
5.3.2 空間 5.3.3 支援
第4節 北九州市放課後児童クラブ―Bの場合・・・・・・・・・・・・・・25 5.4.1 概要
5.4.2 空間 5.4.3 支援
第5節 北九州市放課後児童クラブ―Cの場合・・・・・・・・・・27 5.5.1 概要
5.5.2 空間 5.5.3 支援
第6節 きんしゃいきゃんぱす・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 5.6.1 概要
5.6.2 空間 5.6.3 支援
第6章 分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 第1節 それぞれのプラスの面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
6.1.1 様々な人との交流が生まれる
6.1.2 放課後の過ごし方に選択肢がある
6.1.3 様々な角度からの支援
第2節 それぞれのマイナスの面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
6.2.1 指導員のフォロー
6.2.3 逃げ場、選択肢がない
第7章 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 参考URL・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44