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地方自治体における景観マスタープラン策定手法に関する研究

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Academic year: 2025

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論 文 要 旨

論文題名 地方自治体における景観マスタープラン策定手法に関する研究

清 水 正 幸

近年の都市計画をめぐる状況は、大きく変化してきており、「はこもの」をつくる公共事 業中心からソフト事業を中心としたまちづくりへの転換が叫ばれている。このような中で 景観整備が、地方自治体におけるまちづくりの主要な計画課題となっている。

  すでに少なくない自治体では、景観形成基本計画(景観マスタープラン)の策定や景観 条例を制定し、景観整備に取り組みはじめている。この景観マスタープランは、景観形成 の長期的目標であるために、総合計画等の上位計画や計画中の都市計画事業との整合性、

さらには他の部門計画との整合性が求められる。その結果、策定される景観マスタープラ ンは、都市計画事業や他部門の計画と過度に結びつけられる一方で、景観形成に独自の予 算や実現方策が乏しいことから景観に関する計画項目が少ないなどの指摘もなされている のである。

  本論文は、以上のような景観マスタープランを策定するさいに必要な操作性のある項目 を提示するとともに、提案に到るまでの作業過程で必要な事項を検討したもので、第 1 に は、「絵になる景観」が描かれた視点場を実測調査し、景観マスタープランで採用すべき操 作指標を提示し、第 2 には、地方自治体で策定すべき景観マスタープランの図面構成を明 らかにするとともに、そこに表示すべき景観要素を整理し、第 3 には、以上の分析結果を 生かしてケーススタデイとして地方自治体を取り上げ景観マスタープランの提案を試みて いる。

  第 1 章では、本研究の背景と意義について述べ、既往の研究を整理した上で本研究の目 的を示した。

  第 2 章では、ヨーロッパ印象派の都市的風景画が描かれた場所(視点場)を特定し、そ の視点場の実測調査を行ない、6つの典型的な構図に分類した上でそれぞれの視点場と視対 象の関係を明らかにした。

  まず、視点場はいずれの景観タイプにおいても庭園や広場、道路の交差点、河川沿いの 歩道などの視野が広い場所やそれに面した建物の上階が多いこと、主な視対象は街並みの 中にスカイラインを強める教会などで、近景(〜300m)から中景(300m〜1,000m)に配 置される傾向が強いことを明らかにした。ついで、それを見る仰角は、シンボリックな建 造物の場合は20度以上、通りの軸景では10〜20度であること、まちの全貌を見渡す景観 で遠景に配置される建物は、仰角 5 度程度であることを明らかにした。さらに、視点場や 視対象の定量的特徴を示す道路幅や河川幅と両側の建物高さの比率(D/H)を実測し、D/H

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の値は一定の範囲の数値をとることを明らかにした。

  第 3 章では、モーリス・ユトリロが描いたパリ・モンマルトル地区を対象とし、その絵 が描かれた視点場を実測調査し、小地区の景観で考慮すべき項目を明らかにするとともに、

シークエンス的景観をうるルートを提案した。

  まず、小地区での視点場は変形交差点や広場などであり、街路景観の主な視対象は300m 以内の近景にあるまちなみであり、ランドマークとなる建造物は 100m 以内の超近景から 見られその仰角は20〜30度の範囲であることを明らかにした。ついで、視点場から描かれ た方向を相互に結びつける散策ルートを提案した。そして、このルートが実は視点場間の 距離、視点場の標高、視点場から見る景観タイプと起伏の状況、通りのD/Hなどに一定の リズムをもち、シークエンス的な景観をうることができる散策路となっていることを実証 し、さらにその散歩の所要時間などを計測し、その散策ルートの妥当性を確かめた。

  第 4 章では、全国の地方自治体が策定した景観マスタープランを収集し、景観マスター プランに必要な図面構成とそこに表示すべき項目を明らかにした。

  まず、景観マスタープランを構成している図面は、「現況図」「課題図」「計画・方針図」

「重点地区計画図」の4 つであり、それらは「全体図面」と「個別図面」の 2つの観点か ら表示されることが多いことを明らかにした。ついで、図面に表示されている景観要素を 整理し、全体的には視覚的要素が少なく総合計画や他の都市計画の補強的傾向が強いこと などの問題点を明らかにするとともに、視点場などの景観整備にかかわる計画項目がきわ めて少ないこと、キーワードや土地利用区分による計画手法を採用している事例が多いこ となどを明らかした。

  第 5 章では、地方自治体の中から福岡県の粕屋町を事例として取り上げ、視点場に関す る研究成果を適用した景観マスタープランの策定を試みた。

  まず、対象地域をメッシュに分割し、標高、土地利用、景観資源、景観阻害要素などの データを入力し、「現況図」を作成した。ついで、「課題図」作成にあたっては可視・不可 視プログラムを用いてメッシュ別に、「絵になる景観」タイプ別に距離景別の景観要素が適 合しているかどうか判定して、「絵になる景観」を得ることのできるメッシュを特定し、そ れらの総合得点を分析することによって「課題図」を提示した。さらに、これをもとに景 観形成の「計画・方針図」を示し、その中に重点地区を設定した上で河川景観に関する「重 点地区計画図」を提案した。

  第6章では、各章で得られた結論を整理して総括とした。

参照

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