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ドイツの環境・エネルギー政策の主な目標

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Academic year: 2023

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(1)

日本の再エネの2ndステージはどうなるのか

~ ドイツの経験を踏まえて

ラウパッハ スミヤ ヨーク

立命館大学経営学部教授

2021年3月17日(水)

太陽光発電協会と京都大学による共催シンポジウム

(2)

ドイツの環境・エネルギー政策の主な目標

脱原発( 2022 年)

脱石炭( 2038 年)

65%

ネットゼロ

2019

実績

-35.1%

42.0%

17.4%

-11.1%

1.4%

(3)

再生可能エネルギー政策の経緯 ー 日独比較

2000 2005 2010 2015 2020

2003

EEG2000 EEG2004 EEG2009 EEG2012

PV

改正

EEG2014 EEG2017 EEG2021

FIT

制度導入

全力売電

20

年間

PV

- 建物

<30kW 30~100kW

>100kW - 野立て

FIP

選択制度導入

(プリミアム変動型)

PV

FIT

価格の 大幅引き下げと 毎月タリフ調整

建物<10kW100~40kW 100kw~1MW1MW~10MW

野立て: <10MW

FIP

制度 本格的導入

>500kW (2014/8~)

>100kW (2016/1~)

入札制度の実験

入札制度 本格的導入

新エネルギー 利用特別措置法

• RPS制度の導入

余剰電力買取制度

PV

のFIT制度導入

余剰電力売電

― 10

年間

建物:

10kW

2009/11

FIT

制度導入

全力売電

20

年間

PV

- 10kW 余剰、10 - 10kW 全力、20

2012/8

入札制度の 本格的導入

2017: >2,000MW

2019: >500MW

2020: >250MW

認定制度を見直し

2017 2020

FIP

制度導入

(プリミアム固定型)

の閣僚決定

2022/4~

脱石炭(2038年まで)

再エネ比率65%

(2030年まで)

(4)

再生可能エネルギー政策の経緯 ー 日独比較

FIT

FIP

FIT

入札

FIT

スタート

14

10

17

5

38.7GW の未稼働案件問題?

電力市場の

環境整備?

(5)

2014年の固定買取法改正の主なポイント

(2014年4月8日閣僚決定、実行)

Source:山家公雄 「FIT継続で2030年再エネ50%を実現するドイツ-2014再エネ法改正の再検証」、日経ビジネス、2015年5月12日 5

(6)

ドイツの固定価格買取法改正 (2017年/2021年)

Sourcehttp://www.bmwi.de/DE/Themen/Energie/Erneuerbare-Energien/eeg-2016-wettbewerbliche-verguetung.html、https://energy-shift.com/news/3f4b7eba-ad0e-43a3-ac8e-52c322a06ccb 6 https://photovoltaiksolarstrom.com/einspeiseverguetung/

2017年の固定買取法改正の主なポイント

固定価格決定プロセスを全面的に入札方式に移行

太陽光(750kW以上のプロジェクト)

風力(陸上、洋上)、バイオマス

対象外:小水力、地熱

入札容量

太陽光:600MW/年

風力(陸上): 2,800MW/年(2017~2019)/ 2,900MW/年(2019以降)

風力 (洋上): 750MW/年 6.5GW (2020まで)/ 15GW (2030年まで)

バイオマス: 150MW/年(2017~2019)/ 200MW/年(2020~2022)

2021年の固定買取法改正の主なポイント

2030年までに再エネ比率65% (対電力消費)

陸上風力発電からの利益の一部を住民に還元

テナント向け再エネ電力の助成金額の引き上げ

卒FIT発電事業者の経過支援措置

住宅用太陽光発電(10kW)の固定買取価格:¢/kWh

ab 1. Aug '20: ab 1. Sep '20: ab 1. Okt '20: ab 1. Nov '20: ab 1. Dez '20: ab 1. Jan '21:

8,90 8,77 8,64 8,52 8,40 8,28

(7)

ドイツ政府の主な政策目標

7

Source: BMWi, http://www.bmwi.de/DE/Themen/Energie/Energiewende/infografik-wichtigste-projekte.html

省エネ・

効率向上

行動計画 (NAPE)

熱利用促進 (MAP)

再エネの 市場統合

電力市場2.0 (Strommarkt2.0)

再エネの コスト抑制

EEG改正

(2012/2014/2017/2021)

(8)

ドイツのエネルギー転換政策の主な結果

➀ 再生可能エネルギーの飛躍的拡大

➁ 再生可能エネルギーの社会的受容性

➂ 再生可能エネルギー発電事業者の多様性

➃ 太陽光発電業界の再編と構造変化

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化

➅ 再生可能エネルギーの市場統合

(9)

➀ 再生可能エネルギーの飛躍的拡大

発電設置容量

GW)

と発電量

(TWh / 2020

)

洋上風力 陸上風力 太陽光 バイオマス

石炭 褐炭 原子力

水力

その他 天然ガス

再生可能エネルギーの発電量

10

億k

Wh

風力 太陽光

バイオマス 水力

46%

CO 2

排出量削減: >

2

億トン (

2019

年)

(10)

➀ 再生可能エネルギーの飛躍的拡大

https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Dossier/erneuerbare-energien.html

太陽光の入札結果

日本

(第

6

2020

年度上期)

8.8

¥130/€

ø

95.3

%の成立 (日本:

6

回でø

47.1%

パイロット 特別入札

(11)

➁ 再生可能エネルギーの社会的受容性

86%

のドイツ人は再生可能エネルギーの拡大 に賛成である

とても重要 重要

あまり 重要 ではない またく重要 ではない

分からない

近所に再生可能エネルギーの設置に賛成

再エネ設備全体 太陽光設備

風力設備

バイオガス設備 送電用の鉄塔 ガス発電所 石炭発電所

原子力発電所 近所に発電設備がある

(12)

➂ 再生可能エネルギー発電所有者の多様性

一般市民

農家

地域電力会社

大手電力会社

投資ファンド・銀行

EPC

事業者

企業

再生可能エネルギー発電設備の所有者

2019

年)

太陽光発電設備の所有者

2019

年)

陸上風力電設備の所有者

2019

年)

その他

(13)

➂ 再生可能エネルギー発電事業者の多様性 ー エネルギー協同組合

13

As of 2019

843 energy co-operatives

~200,000

組合員

設備投資額

: €29

¥3,500

億)

発電量

: 8.3 TWh p.a.

2.4 Mil. Tons CO 2 reduction p.a.

エネルギー協同組合の数

(2001 ~ 2013)

Source: Klaus Novy Institut (2014) / Deutscher Genossenschafts- und Raifeisen Verband (DGRV) (2020) https://www.dgrv.de/news/geschaeftsklima-truebt-sich-ein/(access on November 11, 2020)

(14)

➃ 太陽光発電業界の再編と構造変化

843

1,271

1,950

4,446

7,440 7,910 8,161

2,633

1,190 1,324 1,455 1,614

2,888

3,835

- 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

4 5.3

8

13.6 19.6

15.9 12

3.4 1.5 1.5 1.6 1.7 2.6 3.5

太陽光発電設備の設置容量と設備投資額

MW

10

設備投資額

(15)

➃ 太陽光発電業界の再編と構造変化

https://www.bmwi.de/Redaktion/DE/Publikationen/Energie/erneuerbare-energien-in-zahlen-2019.pdf?__blob=publicationFile&v=6

156,700

45,700 -111,000 (-70%)

再生可能エネルギー業界の従業員数

洋上風力 陸上風力

太陽光

バイオマス 水力

地熱

(16)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化 ➝太陽光の規模別FIT導入状況

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000

2012/13年度 2014 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度

<10kW 10-30/50kW 50-100kW 100-750kW

>750kW

>750kW

<50kW 100~750

kW

1,940 8,982 9,350

9,003

6,163

独:中規模ゾーンの増加 日本:二極化傾向

5,420 5,642 5,651

資源エネルギー庁資料、第63調達価格等算定委員会、20201127 https://www.pv.de/photovoltaik/marktentwicklung/photovoltaik/

<10kW 10-50kW 50-100kW 100-750kW >750kW 合 計 累 計 7,264 15,829 100 6,360 22,598 52,151

14% 30% 0% 12% 43% 100%

>2000kW 9,759 19%

(17)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化

自家消費モデル ➝ +蓄電池: 30kw以下

➝ 工・商業施設: 100~750kW

直接販売契約 (PPA) ➝ >2MW (野立て)

アグリゲータ・モデル(VPP) ➝ >100kW

熱電併用 / セクター・カプリング

(テナント向け再エネ電力供給)

(18)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化 ー 自家消費モデル

https://de.statista.com/statistik/daten/studie/587469/umfrage/anteil-neuer-pv-anlagen-mit-batteriespeichern-nach-bundesland/

30kW以下新設太陽光発 電+蓄電池のシェア

Ø58.7

工・商業施設 公共施設:

100~750kW中心

GuK Falzmachinen, Rottweil, 514 kW

SolarComplex

設置コスト:

€500

700

kw

自家消費:

6¢/

Wh

(再エネ賦課金の部分的免除)

東西の設置

ーシステム (再エネ賦課金

100%

限界が来ている

(19)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化 ー 自家消費モデル

東西の設置 間口

(20)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化 ー PPA への挑戦

ポスト

FIT

の時代へ ➝ 卸市場価格との競争力

工業・商業ユーサーとの直接販売契約(PPA)

数MWクラス野立てプロジェクト増加の見込み

➝ <¢4@kWhの発電コスト

FIT法の厳しい環境基準からの解放

➝ 魅力のない農業地

➝ ポストFITバイオガス用の農地

(2025年以降)

生物多様性を促進する農立て太陽光発電

(21)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化 ー アグリゲータ・モデル

FIP適用:80GW(2020年)

NextKraftwerke: https://www.next-kraftwerke.de/wissen/direktvermarktung

(22)

FIP適用:80GW(2020年): 卸電力市場、調整電力市場、PPA / VPP構築

アグリゲータ社数:~70社(トップ36社)/トップ10社のシェア: ~65%

多様なプレーヤー:

外資系

大手電力会社

EPC/再エネ発電事業者

エナジー・トレーダー

公益事業者

エコ電力

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化 ー アグリゲータ・モデル

Zeitung für kommunale Wirtschaft, 05.02.2020 https://www.zfk.de/unternehmen/marktuebersicht/marktuebersicht-der-deutschen-strom-direktvermarkter

(23)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化 ー アグリゲータ・モデル

Zeitung für kommunale Wirtschaft, 05.02.2020 https://www.zfk.de/unternehmen/marktuebersicht/marktuebersicht-der-deutschen-strom-direktvermarkter

(24)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化

熱電併用 / セクター・カプリング ➝ 容量電力の使い道

PV + ヒートポンプ

PV + 加熱棒 ➝ お湯

PV + 電気自動車

太陽熱 + バイオマスの 地域暖房

(テナント向け再エネ電力供給)

薄い存在感 (2019年度末:1,169件、24.5MW

2021FIT法による新たな支援

加熱棒

(25)

➄ ビジネス・モデルの進化や多様化 ー セクター・カプリング

太陽熱 + バイオマスの地域暖房

(26)

➅ 再生可能エネルギーの市場統合: 再エネ供給の季節変動

太陽や風力による発電量

@

月(

2019

年)

10

kwh

風力発電 太陽光風電

(27)

➅ 再生可能エネルギーの市場統合:電力調達コストの安定化

再エネ賦課金

電力卸市場価格

¢/kWh

電力卸価格+賦課金額

(28)

再エネの役割

安定的供給の 確保方法

再エネの電力 市場・ システム

統合の発想

中核的な役割

>80%

2050

年)

再エネのコスト競争力

「主力電源」としての位置づけ

50~60%

2050

年まで)

再エネの割高な

LCOE

「ベースロード電源」 や

「エネルギー・ミックス」重視

Clean Coal

(+

CCS

)の推進

「原子力」と「燃料サイクル」の維持

グリーン水素(輸入含む)

「市場原理」と「変動対応力」重視

セクター・カップリング (電力、熱、交通、工業)

脱原発・脱石炭

グリーン水素

政策思考の 基本的な違い

現状のシステムとの織り込みと組み合わせ

ベースロードの上にある

Add-On

市場の細分化(容量市場、ベースロード市場)

(既得権の保護)

システム・トランスフォーメーション

(欧州全体)の市場統合

日本の再エネの2ndステージはどうなるのか? ➝ 政策動向次第

(29)

Source: GJTEC www.gjetc.org/wp-content/uploads/2017/12/GJETC_ST1_Energy-transition-as-a-central-building-block-of-a-future-industrial-policy.pdf

Different perspectives regarding LCOE and Investment Cost estimates

for Renewable Energy

(30)

日本の再エネの2ndステージはどうなるのか? ➝ 信頼問題

環境エネルギー政策の信頼性

「主力電源としての再エネ」の長期的な役割? ベースロード電源とへの拘り

分散型エネルギー・システムの構築? 巨大集中型技術、既得権の保護

再エネの市場統合? 接続条件 (空き容量問題、優先供給)、市場の細分化

(容量市場、ベースロード市場)

電力市場の信頼性

電力卸市場の機能性? 市場メカニズムの働き(Merit Order、強制玉出し)

市場の監視・監督機能の中立性と機能性? 電取委の権限問題

発送電分離の行方?

再生可能エネルギーの社会的受容性

「高い」、「不安定」、「環境破壊」

「儲け」

(31)

日本の再エネの2ndステージはどうなるのか? ➝ 連携で政治力

Dr. Marie-Luise Wolff BDEW President CEO, ENTEGA AG Dr. Simone Peter

BEE President

緑の党党長(

2013-2018

多様なアクター 政治的影響力

社会的受容性

再生可能エネルギー業界 の政治的影響力

https://www.youtube.com/watch?v=MHzC42J0ZZE

参照

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