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かずさの森から世界へ

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Academic year: 2024

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かずさ

DNA

研究所ニュースレター

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かずさの森から世界へ

2008年6月4日 第6号

<トピックス>

このニュースレターには、5月17日から千葉中央博物館と共同で開催中の公開講座のお知らせ(下記)と、

かずさDNA研究所が行ったミヤコグサというマメ科植物のゲノム解読についてのお知らせ(2ページ)、さ らに、夏期に行う「かずさの森のDNA教室」の参加募集の記事(3ページ)を掲載しております。

5月から千葉県立中央博物館と共同で開催してお ります本年度のかずさDNA研究所公開講座「DNA が暮らしを変える」は、おかげさまで毎回大勢の 熱心な聴衆の方々の参加に支えられ、順調に開催 することができております。第1回  (5月17日)  は 96人、第2回 (5月24日) は、94名の方が、また、

第3回 (5月31日)  には悪天候にもかかわらず86名 の方が参加されました。6月は、14日 (土) に第4回 を、21日 (土)  に最終回を開催します。全5回のう ち3回以上出席された方には修了証をお渡しするこ とになっています。

この公開講座は、できるだけ多くの県民の皆様に DNAについての理解を深めていただき、同時に、

われわれがかずさDNA研究所で行っております DNAに関する研究について少しでも知っていただ くようにすることを目指しているものです。そのた めに、われわれの暮らしの中のDNAに関連する問 題のうち、多くの方が関心をもっておられるよう なテーマをとりあげて解説し、さらに、そのテー マに関連して聴衆の皆様が日ごろ疑問に思ってお られることについての質疑応答を通じて、より理 解を深めていただくようにすることを心がけてお ります。

本年度の公開講座では、新しい試みとして、でき

るだけ講師と聴衆の皆様との距離を小さくした状 況で質問を受けるようにするために、二つの講演 の終了後に、講演会場を利用して「講師との懇談 会」を行うようにしました。これまで開きました 懇談会にも多くの方々が参加され、暮らしの中に あるDNAについてのいろいろな疑問について熱心 に尋ねておられました。

休 憩 時 間 中 に お け る 担 当 職 員 と の質疑応答

講 演 終 了 後 の 講 師 と の 懇 談 会 の 風景

なお、この公開講座に関する詳細は、当研究所の ホームページ (

http://www.kazusa.or.jp/

)  をご覧く ださい。 

かずさDNA研究所公開講座

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かずさ

DNA

研究所ニュースレター

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世界初のマメ科植物のゲノム解読

植物遺伝子研究室 田畑 哲之

かずさDNA研究所植物ゲノム 研究部を中心とする研究グルー プ (かずさDNA研究所、大阪大 学、神戸大学、奈良先端科学技 術大学院大学、慶応大学)  は、

世界初のマメ科植物「ミヤコグサ」のゲノム解読を 終了して学術雑誌に報告しました。

ダイズ、エンドウ、落花生などのマメ科植物は、

食料、飼料、加工品 (油脂、醤油等) の原材料など 幅広い用途をもち、イネ科植物 (イネ、ムギ、トウ モロコシなど) とならぶ重要な穀類として世界各地 で栽培されています。また、根粒菌との共生窒素固 定の能力をもち、窒素分が少ない環境でも生育で きることが知られています。ミヤコグサ  (学名:

Lotus japonicus

) は日本国内にも自生する小型のマ メ科植物であり、生育が速くゲノムが小さいなどの 特徴をもつ典型的な実験用植物です。今回の研究 は、15,000種を超えるさまざまなマメ科植物の代 表としてのミヤコグサのゲノムを解読することに よって、ミヤコグサがもつ遺伝子の大部分を世界で 初めて明らかにし、マメ科植物を詳細に解明する

ための基礎を築いたものです。

ミヤコグサのゲノムを解読した結果、マメ科植物 に特有の遺伝子や根粒菌との共生窒素固定に関わ る遺伝子、さらにイソフラボノイドなどマメ科植物 に特有で有用な二次代謝産物の合成に関わる遺伝 子等が多数見つかりました。また、ミヤコグサの ゲノムや遺伝子の構造が、ダイズやエンドウなどの 作物マメ類とも非常によく似ていることもわかり ました。

今回得られたミヤコグサのゲノムデータを活用す ることによって、近い将来、広く栽培されているさ まざまなマメ科作物のもつ有用遺伝子の研究や品 種改良が大きく加速することが期待されます。さら に、今後の研究の結果、マメ科植物のもつ「共生 窒素固定」の仕組みが詳細に解明され、それに よってマメ科以外の植物にも同じような窒素固定能 を付与することができるようになれば、イネ・コ ムギ・ジャガイモなどの幅広い作物で生産性の向上 や窒素肥料使用の低減化が可能になり、環境にや さしい持続的な農業生産への道を拓くことになり

研究成果の紹介

ミヤコグサの染色体

今月のキーワード (「研究成果の紹介」にでてきた言葉の解説) 

マメ科植物:マメ科植物は、熱帯の巨大な樹木から高冷地の草本に至るまで、さまざまな大きさ・形・性質をも つ約15,000種からなる大きな植物集団です。マメ科植物にはダイズやインゲンマメ、エンドウ、アズキ、アルファ ルファ、クローバーなど、食料や飼料、あるいは油脂や醤油などの原材料などとして私たちにとって有用なものが たくさんあります。マメ科植物は土壌中の根粒菌と共生し、空中の窒素をアンモニアなどの養分として利用(共生 窒素固定)することができることから、窒素分の少ないやせた土地でも栽培することができます。そのため、肥 料を大量に使用することが難しい開発途上国でも、重要な作物として利用されています。

共生窒素固定:マメ科植物は、窒素分の少ない土壌中で根粒菌との共生窒素固定を行うことができます。マメ科 植物の根に作られる「根粒」と呼ばれるこぶ状の組織の中では根粒菌が増殖し、土壌空気中の窒素ガスからアン モニアなどを合成し、それを宿主である植物に提供します。そのかわりに根粒菌は植物から光合成の産物であるで んぷんを受け取ることで、互いに利益を得ています(これを「共生」といいます)。この共生により窒素を利用 する能力をもつことで、マメ科植物は窒素が欠乏したやせた土壌でも生育することができるのです。共生窒素固定 の能力は、ほぼマメ科の植物だけがもっている能力ですが、共生窒素固定のしくみやそれに関わる遺伝子が解明 され、将来イネやコムギなどの作物にこの能力を付与することができれば、窒素肥料の投入量を抑えて環境負荷 やエネルギー負荷が少ない農業生産を可能にすると期待されています。

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かずさ

DNA

研究所ニュースレター

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<木更津高校で出前授業を行いました>

かずさDNA研究所では、ご希望により、地元の 中学・高校でのDNAに関する実験の出張指導を行 なっております。

過日、千葉県立木更津高等学校に出張し、遺伝子 技術講座を受講している21名の生徒にDNAの制限 酵素処理と電気泳動の実習を行いました。この実 験では、取り出したDNAを制限酵素というDNA上 の特定のGATCの配列を認識して切断する酵素を用 いて切断した後、切断されたDNAを大きさの順に 従ってふるい分ける電気泳動という方法で分け、

泳動後のDNAを染めてみるという実験です。生徒 達は初めて見るピペット・制限酵素・電気泳動装 置などに興味を持ち、熱心に実験を行ないまし た。7月には研究所で簡単な「遺伝子検査」の実験 を行う予定です。

かずさDNA研究所では、今後とも要望があれ ば、次世代を担う中学や高校の少しでも多くの皆 さんに、生命の設計図としてのDNAのもつ各種の 特徴や、DNAの示すいろいろな性質について、で きるだけ魅力ある実験を計画し、出張授業として 継続していく予定です。

<かずさの森のDNA教室についてお知らせ>

毎年の夏休み期間中に、母都市 (木更津、君津、

富津、袖ヶ浦市) と一層の交流を図り、また将来を 担う世代に科学への興味を持っていただくことを 目的とした「かずさの森のDNA教室  (中高生対 象) 」を開催しております。 

本年度は以下の要領で実施いたします。

 

 日程 :7月30日 (水) と8月4日 (月) の2日間 タイトル:「光る遺伝子を見てみよう!」

募集人数:24名

 内容 :生物発光するクラゲ (オワンクラゲ) の遺 伝子を大腸菌に入れて、光る大腸菌を作ります。

参加を希望される中学・高校生の皆さんは、参加 申込書をホームページ (

http://www.kazusa.or.jp/j/

course/class.htm l)、または、通学している学校の理

科担当の先生から入手し、必要事項を記入の上、

郵送/FAX/電子メール([email protected])で当研 究所企画課宛にお送り下さい。

実験講座

木更津高校での実習の様子

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TM0596 TM0344 TM0389 TM0138

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TM0317 TM0420

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TM0778 TM0880 TM0957 TM0698, *

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TM0909 TM0913 TM0773 TM0951 TM0849 TM0714

TM0341 TM0494

TM0696 TM0692

TM0844 TM1208

TM0984

TM0707

TM0711, *

TM0701, * TM0655

TM0541, ***

TM0886 TM0695 TM0737 TM0982

TM0800, *

TM0472

TM0817 TM1261

TM1374

BM1337 TM0756

TM0508 TM0327

TM1323

TM0813 TM1496 TM1077 TM0963 TM0455 TM0096 TM0838 

TM1171 TM0383

TM1263

BM1206

TM0745,*

TM0590,****

TM0996

TM1334, * TM1170

TM0832

TM0500

TM0597 BM1174

ミヤコグサのゲノム地図

ます。

右の図は解読されたミヤコグサ のゲノム中に見いだされる遺伝子 を、全部で6本ある染色体上に順 序よく並べたものであり、「ゲノ ム地図」とか「遺伝子連鎖地図」

と呼ばれるものです。

今回の研究成果は、かずさDNA研 究所が発行する国際学術雑誌DNA  Researchのオンライン版(電子 版)上に、5月29日に発表されま した。

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DNA

研究所ニュースレター

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*ミヤコグサゲノムがもたらす未来

かつて、水田一面に咲くピンク色のレンゲは春の 風物詩でした。レンゲをはじめとするマメ科植物で は、根に共生する根粒菌が空気中の窒素を取り入 れ利用することができます。したがって農家では、

稲刈り後にレンゲの種を蒔き、田植え前にレンゲを 鋤きこむことで窒素肥料を軽減していたのです。

現在では、生産量を増すために窒素肥料を始めと する多量の化学肥料を用いた農業が一般的です。し かしながら、窒素肥料を作るには莫大なエネル ギー (試算によると世界の石油消費量の約3%)  を 必要とします。その上、過剰使用により湖沼・河川 が富栄養化し、分解によって生じる亜酸化窒素が温 室効果をもたらすなど、窒素肥料が地球に与える負 荷は極めて大きいものです。

今回、解読されたミヤコグサのゲノム情報は、す でに解読されているミヤコグサ根粒菌のゲノム情報 と合わせて解析することによって、マメ科植物がど のようにして根に窒素固定をする微生物を共生させ ているのか、さらに、根粒菌がどのようにして空気 中の窒素を利用しているのかという、複雑な反応 の解明に大きく貢献すると考えられます。

このような研究を進めることで、将来、イネ・コ ムギ・ジャガイモなどの主要作物に、マメ科植物と 同じように空気中の窒素を固定する能力を持たせ ることができるようになるかも知れません。その ことは、農業の生産性の向上のみならず、地球環境 問題の解決にも大きく寄与することになります。

*原始的哺乳類カモノハシのゲノム

カモノハシは哺乳類の進化を考える上で重要な特 徴をいくつも備えています.すなわち、子供を卵で 産むなどの爬虫類的な特徴を持ちながら、母乳に より子育てをするという哺乳類的な特徴もともに 持っていることなどです。

今回、日本を含む9カ国の研究者がカモノハシの ゲノム22億塩基を解読し、18500個の遺伝子を見い だしました。その中には、カゼインと呼ばれる母 乳タンパク質をつくる遺伝子など哺乳類に特徴的 ないくつかの遺伝子の他に、ニワトリと共通する 遺伝子や真獣類 (有胎盤類)  では失われてしまった 遺伝子がありました。また、遺伝子発現を調節す る因子の解析からも、カモノハシのゲノムの中には 爬虫類的なものと哺乳類的なものの両方の遺伝的 特徴が共存していることが明らかになりました。

もちろん、カモノハシが独自に獲得した遺伝的特 徴もあります。カモノハシの雄は後脚に強い毒を出 す爪を持っていますが、この毒物は現生爬虫類の ものとは異なった遺伝子から由来したものです。そ して驚くべきことに、彼らの性決定様式も独特で、

性染色体が10本あり、哺乳類とは全くかけ離れた ものでした.このことから、哺乳類の性決定シス テムはカモノハシと通常の哺乳類が分岐してから起 こったものだと考えられます。

今後、いろいろな生物と詳細なゲノム比較を行う ことで、哺乳類の進化の謎の解明がさらに進むで あろうと期待されます。

財団法人 かずさ

DNA

研究所

292-0818

 千葉県木更津市かずさ鎌足

2-6-7

TEL : 0438-52-3900

FAX : 0438-52-3901 http://www.kazusa.or.jp/

時事トピックス

<今月の花>

イワタバコ (

Conandron ramondioides

;  イワタバコ科、2007年6月12日撮影) 

花言葉:愛らしい心、涼しげ

参照

関連したドキュメント

栗原 聡(正会員) [email protected]

 盲ろう者として日本で初めて大学に進学,東京都立大学大学院人

価数の揺らぎが引き起こす電子の「量子」超臨界状態の発見 1 . 発表者: 久我

1 宮崎大学とかずさ DNA 研究所が連携協定を締結 ◇ 公益財団法人かずさ DNA 研究所(理事長:大石道夫)と国立大学法人宮崎 大学(学長:池ノ上克)は、植物や土壌微生物のゲノム情報を活用した食 糧問題や環境問題の解決や、臨床ゲノム情報を基にした医療分野への貢献 を目指して、平成29年3月8日に連携協定を締結しました。 ◇

国内の

研究内容 研究組織 研究代表者 研究分担者 研究分担者 研究分担者 研究分担者 研究分担者 研究分担者 阿尻雅文 高見誠一

一般に、一旦皮膚や心臓に分化した細胞はそれ以

植物ゲノム研究の変遷 光合成や共生窒素固定をする生物の ゲノムを調べる  ラン藻のゲノム解読(1996年、ゲノム解読世界3番目)  ミヤコグサやミヤコグサ根粒菌のゲノム解読  根粒菌によるマメ科植物の共生に関する研究 シロイヌナズナのゲノム解読 (1996-2000年)  モデル植物:シロイヌナズナ(国際共同/全体の25%解析) 