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オリゴケミストリーサイクル構築のための超臨界水中反応による糖からの化学原料合成

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Academic year: 2021

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(1)

オリゴケミストリーサイクル構築のための超臨界水

中反応による糖からの化学原料合成

著者

阿尻 雅文

(2)

オリゴケミストリーサイクル構築のための

適臨界水中反応による糖からの化学原料合成

(課題番号: 13555211)

平成1 3年度∼平成1 5年度科学研究費補助金

基盤研究(BX2)研究成果報告書

平成1 6年3月

阿尻雅文

(東北大学多元物茸科学研究所 教授)

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研究内容 研究の背景1・2) 「持続可能な社会」の本質は、社会システムにホメオスタシス機能が付与されてい ることだと考えている。鉄鋼、窯業、電力、製紙、化学、農業-と、高温から低温へ 熱のカスケード(廃熱)利用を行うシステムを構築することで、総エネルギー需要に 対応しつつ、一次エネルギー消費を削減することが可能である。また、物質変換・生 産についても、可能な限りエントロピー変化の少ない方法(リサイクル)をとること で必要なェネルギ-は抑えることができる。さらに、システム全体に恒常性維持機能 を付与させるためには、システム全体に自己構造形成・秩序化を行わせる仕組みと、 一次エネルギー供給および物質生産に、再生可能な資源であるバイオマスを可能な限 り利用していくことが必要となる。 バイオマスのエネルギーとしての利用に関しては、様々な研究が進められているが、 石油に頼っていた物質生産をバイオマスに求める研究開発は、極めて限られているの が現状である。ガス化による水素製造や、熱分解による油化が検討されているが、高 温を要することが多く、また熱的に独立なプロセスであり大きなェネルギ-を要する。 バイオマスは湿潤している場合が多く、乾燥に多大なェネルギ-を要する。また、熱 分解による油化については、生成物品質の制御は困難である。 バイオマスからの合成原料の製造や廃棄物の物質変換で重要なポイントは、そのた めにバイオマスの有する燃焼エネルギー以上に物質変換のために一次エネルギーを 利用しないこと、低エントロピー変化変換の観点から考えると、バイオマスの骨格を 可能な限り利用するような物質変換ということである。すなわち、廃熱温度レベルで の物質変換を行いつつ、反応を制御し高選択的に生成物を得るプロセスの開発が必要 となる。 研究の視点と報告書の記載内容 上記の要請を満足させうるプロセスとして、高温高圧水の利用を提案している。各 産業からの廃熱温度は、 2 0 0-4 0 0℃程度あること、バイオマスは湿潤している ことが多いこと、そしてバイオマスのような複雑な化学構造から特定の化学原料のみ を選択的に生成物を合成することを考えると、超臨界域を含めた高温高圧水の利用が 期待される。 以下では、まず、本研究の焦点である、 1)セルロースの可溶化・加水分解反応に ついて、次にセルロースのモデル物質としてセロビオースをとりあげ、 2)セロビオ ースの加水分解反応の速度論について説明する。速度論評価では、溶液論に基づく超 臨界場での反応速度の評価法を論じる。さらに生成物である糖の分解反応機構の解明、 そして反応の制御を利用した生成物制御について説明する。本反応機構解明の研究を 通して見出した、糖とアンモニアの反応の可能性についても触れる。 上記の反応を現実的なものとするには、バイオマスからセルロースをリグニンから 分離する必要がある.Antalらは、熱水によりリグニンを洗浄除去しうることを報告

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している。リグニンについても、同様の反応制御が可能であることがみいだされれば より現実的なプロセスとなる。そこで、リグニンの可溶化、化学原料回収についても 検討をおこなった。最後にその研究成果について説明を行う。 研究内容 1.セルロースからの化学原料回収 セルロースは、多くの水酸基を有し、水との親和性の高い高分子であるが、分子内・ 分子間の水素結合により結晶化しており、水に不溶である。これがセルロース系材料 の特性であると同時にもあり、またセルロース修飾を困難としまた、セルロースの利 用技術を制限する要因ともなっていた。 ダイヤモンド窓付のセルによる高温高圧水反応場のin- situ観察を行ったところ、 図1に示すように、 300-320℃で、セルロース結晶が高温水に溶解する現象を見出し た。セルロースは水溶化すると室温に 冷却しても、数分∼数時間の間は析出 せず水溶液の状態である。このセルロ ースの水溶化現象は、セルロースの化 学修飾や新材料合成等の新たな展開の 基礎となるものである3)-5)a

∴∴∴.. ∴

熱水中-のセルロース溶解 セルロースを水溶化させつつ均一相で加水分解す る手法を提案し、セルロースを連続フィードでき、 10 ミリ秒の反応時間も制御可能な高温高圧流通式 マイクロリアクターを開発した。セルロースの水溶 化により、反応速度は2けた近く飛躍的に増大し、 また、副反応が抑制され、図2のように、高い加水 分解生成物収率が得られた6)7)。また、水溶化セルロ ースを、室温下で酵素を用いて加水分解したところ、 固体セルロースの酵素分解と比較して、 7 1 9倍の 反応速度が得られている。 また、水溶性のモデル物質(セロ ビオース)を用いた反応機構の解明 と詳細な速度論研究を行なった。そ の結果、超臨界条件下では、図3に 示すように、グルコシド結合部での 加水分解と還元末端グルコース基の レトロアルドールが支配的な反応で あることがあきらかとなった8)0 超臨界水中では、水の溶媒効果に 01Ipmer8 PP> CeuobeX■OSe CeuopentAOSe Cehtetrto8e / 1舟▲d)ydro8)vcoBe 図2 400℃、 30MPa、 50msec、 80%以上が加水分解生成物

塑竺匿]

望1.4i

Oh…● EJ+hro-レトロアルドール

竿空母・桝

■分鱒 6ItJOO●● QlycobJddIyd● 図3 セロビオースの分解反応経路: (高圧ほ ど加水分解が主で、還元末端の分解が抑制)

(5)

より、特異な温度圧力依存性を示す.反応工学的解析(Delplot)を導入することで、( 上記の明らかになった各反応経路について、反応速度の温度・圧力依存性を評価した。 その結果、図4に示すように、圧力の増大とと もに、レトロアルドール反応と比較して、加水 分解反応の寄与が支配的となることが明らか となった。この結果より、セルロースの加水分 解生成物を遼元末端基の分解を抑制しつつ、多 糖を選択的に回収するには、高圧(高密度)秦 件下が好ましいことがわかる8)9)10)0 糖の水中での分解反応は、多官能基を有する ため、琴数の分解反応、異性化反応が並列して 生じ、極めて多くの生成物が得られる。そのた 3

量…

≦-1 -2 _3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1 000/T【 1瓜】 図4 加水分解速度kHの圧力依存性 め、糖化学の分野では、長年、反応の制 直垂司 御はもちろん、反応経路の精密な解明は 極めて困難とされてきた。本研究では、 短時間での反応を精密に制御できる流 通式マイクロリアクターの開発し、反応 制御性のある臨界点近傍での研究を通 して、グルコースの主反応経路が図5で あることを明らかにした。すなわち、グ ルコースは、 -ミアセタール開幕後、互 変異性を経てフルクト-スに異性化す グリコール アルデヒド … 叶0- ◆ 「○

葺章・

エリスロース 図5 解明したグルコース分解反応経路と選 択的反応(選択的化学原料合成)の可能性 るとともに、レトロアルドールによりエ リスロースさらにグリコールアルデヒドを生成する。フルクト-スからは同様の反応 を経てグリセルアルデヒド、互変異性を経てジヒドロキシアセトン、さらに脱水しピ ルブアルデヒドを生成する11)0 既述のように、超臨界水中では、特異な溶媒効果により、脱水、レトロアルドール、 互変異性の各速度の温度圧力依存性が大きく異なる。本系についても反応工学的解析 に基づき、その反応特異性を積極的に利用し、選択的化学原料合成プロセスが可能で あることを示している。高温下では、低温水中で支配的な脱水よりもレトロアルドー ル縮合が支配的であり、また、圧力を下げると互変異性よりもさらに支配的となるこ とがわかった。その結果、 (図5中、太矢印)グルコースからの甘味料原料エリスロ ースを選択率80wt% (残りフルクト-ス)にも達した。さらにレトロアルドール反応 を進めることで、生分解性高分子原料であるのグリコールアルデヒドを70wt%以上の 収率で合成できることを示した11㌔ さらに、このような糖起源の生成物とアンモニアとの反応により、より高付加価値 の化学原料を合成する可能性も見出した。高温水中では、カルボン酸とアンモニアは 脱水反応によりアミドを生成し、さらはアミドが水酸基を攻撃し、 n-アミドを生成 する。さらにこのn-アミドを加水分解によればアミンとカルボン酸が生成する。すな

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わち、カルボン酸触媒でアンモニアが水酸基と置換したことになる。糖は多くの水酸 基を有しているから、アミン置換化合物を生成する可能性を有している12)0 2.リグニンからの化学原料回収13ト18) リグニンは極めて複雑な構造を有しているが、基本骨格はグアイアコールにグリ コール基が結合した構造の繰り返し構造となっている。加水分解により、グアイア コールとグリセルアルデヒドに加水分解しうるが、グリセルアルアルデヒドは、す でにグルコースの分解反応の研究で明らかにしたように、グリコールアルデヒドあ るいはホルムアルデヒドを生成するため、より多くの架橋基を生成する。そのため、 加水分解とともに縮重合が生じ、固形残渡が残ってしまう。そこで、架橋基をトラ ップするために、フェノール骨格の導入を試みた。 プェノールをリグニンに対し大量に添加すると、固形残渡生成率を低く抑えるこ とができた。フェノールではなく、パラクレゾールを用いたところ、完全可溶化に 成功した。また反応条件を最適に設定することで、ビスヒドロキシメチルヒドロキ シフェノールを収率8 0%近くで回収することができた。すなわち、複雑な構造を 有するリグニンからBMPを選択的に回収する反応条件を見出した。 その他の関連した研究 このような反応の理解には、水の酸・塩基としての機能の理解が重要となる。反 応場での酸・塩基触媒機能の評価法についても検討を行っている19)20)0

(7)

研究内容 研究組織 研究代表者 研究分担者 研究分担者 研究分担者 研究分担者 研究分担者 研究分担者 阿尻雅文 高見誠一 梅津光央 佐々木浦 福里隆一 田島聖彦 新井邦夫 交付決定額(配分額) (東北大学多元物質科学研究所) (東北大学多元物質科学研究所) (東北大学多元物質科学研究所) (コンポン研究所) (scFテクノリンク) (コンポン研究所) (東北大学大学院工学研究科) (金額単位:千円) 直接経費 亊I ィニ N 合計 平成13年度 釘テ 0 釘テ 平成14年度 テC 0 テC 平成15年度 テ 0 テ 総計 免ツテ3 0 免ツテ3 研究発表 (1)原著論文 3. SasakiMAdschiriT,Ar由K.

Production of cellulose II丘om native cellulose by near-and supercritiCalwater solubility

Journalof Agriculturaland Food Chemistry,5 1 (1 8),5376-538 1 (2003)

6. MitsuruSasaki,TadanmiAdschiri,Kmio Arai

Fractionation of sugarcane bagasse by hydrothermaltreatment Bioresource Teclmology,86,30 1 -304(2003)

8. Sasaki M,Furukawa M,MinamiKAdschiriT,AJaiK

Kineticsand mechanism of cellobiose hydrolysisand retro-aldol condensation in

subcritiCaland supemiticalwater

Industrialand Engineering Chemistry Research,4 1 (26),6642-6649(2003)

I 1. MitsuruSasaki,Kohtaro Goto,Kiyohiko Tajima,TadafumiAdschiriand Kmio AJai

Rapidand selective retro-aldol condensation of glucose toglycolaldehydein supercriticalwater

(8)

Green Chemistry,4(3),285-287(2002)

1 2. MitsuruSasakiJunko Nishiyama,Munehiro Uchida,Kohtaro Goto,Kiyohiko Taj ima,T血mi Adschiri,Kumio Ar°

Conversion of the hydroxyl groupin1-hexylalCohol toanamide group ln SupemitiCal W如erwithout catalyst

Green Chemistry,5 ( 1 ),95-97(2003)

13. Saisu M,Sato T,Watanabe MAdschiriT,Ar° K

Conversion of ligmnwithsupercritiCalwater-phenol mixttms

Energy 皮 Fuels, 1 7(4),922-928(2003)

1 9.KiWamu Sue,Kenji Murata,Yuuki MatsuurちMasayuki Tsukagoshi,TadafumiAdschiri

-and Kmio Ar°

Flow-throughelectrochemical cell for pH measurement of organic acid aqueous solutions at subcritiCaland supemitiCalconditions

Fluid Phase Equilibria, 1 941 1 97, 1 097-1 096(2002)

20. Sue K,Uchida M,UsamiT,AdschiriT,AraiK

Apparatus for direct pH measurement of supercritiCalaqueous solutions

Joumalof SupemiticalFluids28(2-3)2871296(2004)

学会発表

5. MitsuruSasaki,Gaku Sekiguchi,T血mi Adschiri,長umio Ami.

Rapidand Selective conversion of cellulose to valuable chemiCalintermediateswith

supercritiCalvder

6thIntemational Symposiumon SupemitiCalFluids,Versailles,France,(2003.4.29)

14. K Okuda,M. Umetsu,S. Takami,T. Adschiri Disassembly of ligminand chemiCalrecovery

8thJapan-China Symposium on Coaland C 1 Chemistry,KokuraJapan,(2003. 12.9)

1 5. K. Oku血,Ⅹh Man,S. Okuda,M. Umetsu,S. Takami,T. Adschiri,

Effective recovery of chemiCalSpecies丘om ligninin water-phenolic solventsunder

supemiticalconditions

8thJapan{hina Symposiumon Coaland C 1 Chemistry,KokuraJapan,(2003. 1 2. 1 0)

(2)国内学会 超盈 1.阿尻雅文 ホメオスタシス社会創成に向けて バイオマスからの選択的化学原料合成 多元研 センター・融合システム合同研究懇談会,sendaiJapan"17-24(2003.10.2) 2. 阿尻雅文

(9)

(2)国内学会 招待 1.阿尻雅文 ホメオスタシス社会創成に向けて′バイオマスからの選択的化学原料合成 多元研 センター・融合システム合同研究懇談会,sendai,Japan"17-24(2003.10.2) 2.阿尻雅文 ホメオスタシス社会システムの創成 北海道石炭研究会,札幌,(2002.8.23) 5.阿尻雅文 超臨界水反応場による糖化学の新展開 科学技術振興事業団 CRESTシンポジウム,京都,(2002.5.28) 一般講演 4.関口学,佐々木満,阿尻雅文,新井邦夫 超臨界水中でのセルロースの反応特性の評価 第43回高圧討論会 日本高圧力学会,松山,(2002.ll.28) 17.針生栄次,佐藤剛史,阿尻雅文,新井邦夫 超臨界水中でのアルキルフェノール分解反応によるフェノール回収 化学工学会第35回秋季大会,神戸,(2002.9. 19) 18.奥田和秀,満欣,大原智,梅津光央,高見誠一,阿尻雅文 バイオマスDisassembly ・高選択的化学原料合成 第3回多元物質科学研究所研究発表会,仙台,(2003.12.12) (3)総説・解説 16.佐藤剛史,阿尻雅文,新井邦夫 超臨界水中での石炭・リグニン・フェノール樹脂からの化学原料回収∼フェノー ル類の反応∼ 化学工学,48(3),183-189(2003) 著書

9. Tadafumi Adschiri,Kunio Arai

Reactionsand Reaction TheoryinSupercritical Fluids

Supercritical Fluids,Y.Arai, T. Sako, Y.Takebayashi,Springer,347-3 57(2002) 10.阿尻雅文

超臨界流体中の反応 加水分解反応

(10)

TOUR : Tohoku University Repository コメント・シート 本報告書収録の学術雑誌等発表論文は本ファイルに登録しておりません。なお、このうち東北大学 在籍の研究者の論文で、かつ、出版社等から著作権の許諾が得られた論文は、個別にTOUR に登録 しております。 TOUR http://ir.library.tohoku.ac.jp/

参照

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