2008年度統計学Ⅱ期末試験 問題と解答+講評 問題は番号順に解いて解答用紙に記しなさい。
*のついた問題は、結果だけでなく、計算の過程についても書きなさい。
1 下表は所得階層別データを用いてビールの需要関数 lnQ=α+βlnM(Q:需要量、M:所
得)をExcelの分析ツールを用いて最小2乗法による推定を行った結果である。30点
(5) この結果からビールは必需財といえるか?有意水準5%で検定を行え。
2 カイ2乗分布に関する以下の問いに答えなさい。30点
(1)平均10、分散5の正規母集団から自由度nのカイ2乗分布χ2(n)に従う確率変数を作る にはどうすればよいか。(5)
(2*)平均10、分散5の正規母集団から抽出した大きさ4の無作為標本の標本分散が10より 大きくなる確率は5%より大きいか?(5)
(3)確率変数W1~χ2(m)と確率変数W2~χ2(n)の和が自由度m+nのカイ2乗分布に従うこ とを積率母関数MGFを用いて証明せよ。(5)
(4*)標本分散s2の分散Var(s2)を求めなさい。(5)
(5*)スーパーで買った16個のLLサイズの卵の重さを図ったところ標準偏差が2gであった。
この卵の母分散の95%信頼区間を求めよ。
(Hint) 自由度mのカイ2乗分布W:E(W)=m, Var(W)=2m, MGF= 1 2t /
3 ある病院では1日平均1人の急患が担ぎ込まれるという。20点
(1)この病院での1日あたりの急患の数がポアソン分布 f(x)=e λλ x! に従うと考えられ
るのはなぜか。
(2*)この病院には急患用のベットが2床用意されているが、ベッド数が足りなくなる確率は どの程度と考えられるか。e=3として計算せよ。
4 ある町で 20 代の若者 50 人を無作為に選んで、麻生首相の支持率を調査したら 2008 年9月は60%だったのに同年11月は40%に下落していた。この結果からこの町の20代の 若者の麻生政権への支持率は下落したといえるか。有意水準5%で検定を行え。10点 5 ある業種の1980年における売上規模の上位100社を4グループに分け、28年後の2008
概要 分散分析表
回帰統計 自由度 変動
重決定 R2 ② 回帰 1 1.4171
標準誤差 ③ 残差 16 0.0671
観測数 18 合計 17 1.4841
係数 標準誤差 t P-値
切片 -2.3604 0.6577 -3.5886 0.00246 lnM 0.8029 0.0437 18.3849 3.5E-12
(1) 最小2乗法とは何を最小化する方法か。
(2) その最小化された値はどれほどか。左の 表から読み取りなさい。
(3*)決定係数②を計算しなさい。
(4*)標準誤差③を計算しなさい。
年に何社存続しているかをグループごとに調査したところ、下のような結果を得た。
80年の順位 1~25 26~50 51~75 76~100 計
残存企業数 25 20 10 5 60
この結果から「企業の存続は企業規模とは無関係である」ことを有意水準5%で検定しな さい。
数表
自由度mのt分布の右側a%点ta(m)(Pr(t>ta)=a):t2.5(16)=2.12,t2.5(17)=2.11, t2.5(∞)=1.95, t5(16)=1.75,t5(17)=1.74, t5(∞)=1.645
自由度mのカイ2乗分布の右側a%点Wa(m)(Pr(W>Wa)=a):W5(3)=7.8、W5(4)=9.5 W97.5(15)=6.27, W2.5(15)=27.5, W97.5(16)=6.91, W2.5(16)=28.8
講評
採点が終了しました。過去問と傾向を変えたからか、レポートの得点を大盤振る舞いして 安心してしまったのか、点数が想定していたよりずっと低かったです。
気になったのは、過去問の解き方自体を丸暗記している答案。過去問をベースに理解しな がら勉強するのはお薦めしますが、理解をしないで丸暗記では意味がありません。
受験者数327人 平均50 中央値49 標準偏差21.1 最高100 最低0
予定していた基準だとDの割合が25%になってしまったのでCとDのボーダーを変え A:総点≧80、B:60≦総点<80、C:45≦総点<60、D:総点<45
とします。その結果、A:98人 B:97人 C:73人 D:59人となりました。それでもDの
割合は18%と例年より高くなりました。
以下に解答と採点の指針を書いたので、各自で自己採点してください。もし3月10日以降、
成績票が届いたときに、「そんなはずはない!」と思われた方は、合理的な理由がある場合 は、学事センターを通して質問票を担当者あてに出すことができます。
0 10 20 30 40 50 60 70
頻度
得点分布
解答
1 回帰分析(30点満点)
(コメント)今年は出題の傾向を変えました。エクセルの結果の読み取りはレポートでや ったはずですが、とても出来が悪かったです。レポートの復習をやれって言ったのに。
(1)残差2乗和(または残差平方和)5点 (2)0.0671 5点
(3)R2=ESS/TSS=1.4171/1.4841≒0.955
またはR2=1-RSS/TSS=1-0.0671/1.4841≒0.955 5点
(4)SE= var e = RSS= . =0.064759 5点 平方根の取り忘れは3点
(5)Ho:β=1, H1:β<1とする。帰無仮説が真だとするとt=(b-1)/sbは自由度16 のt分布 に従うが、観測値においてはt=(0.8029-1)/0.0437=-4.5103<-1.75なので帰無仮説は有 意水準5%で有意に棄却されるので、ビールは必需財といえる。(10点)
帰無仮説を…=1としていないor t値の計算で1を引いていない場合、5点減点 t分布の読み取りミスなど、ミスがある度に3点減点
2 カイ2乗分布(30点満点)
(コメント)レポートがらみの問題を含め授業でとりあげた問題を出題しました (1) この正規分布に従う確率変数を x とすると∑
√ を定義すれば、これは自由度n のカイ2乗分布に従う 5点
カイ2乗分布の定義に関する問題。出来が悪かったです。
定義は正しいが、標準化していない場合は2点のみ加点。
(2)P(S2>10)=P( S > · =6)>P(W>7.8)=0.05なので5%より大きい 5点 レポートに出した問題。計算が正しいが、小さいと答えた場合は2点減点
(3)W1+W2のMGFは 1 2t / × 1 2t / = 1 2t / なので自由度m+nのカイ 2乗分布に従う 5点
なぜかポアソン分布のMGFを展開している人、簡単なべき乗の計算ができない人が散見 されました。
(4)(n-1)s2/σ2~χ2(n-1)なのでVar((n-1)s2/σ2)=2(n-1)
左辺を展開すると Var(s2)=2(n-1)なのでVar(s2)= 5点 授業中にやった問題です。
(5) W=(n-1)s2/σ2~χ2(15)なのでPr(6.27<W<27.5)=0.95
これをσ2について解くとPr( . <σ2< . )= Pr( . <σ2< . )
=Pr(2.182<σ2<9.569)=0.95 (10点)
これも授業中にやりました。
3 ポアソン分布(20点満点)
(コメント)過去問でも出題したし、BBSでも書いたよね
(1) 1日をある分や秒といった単位期間i=1,…,nに分けたとき、ある単位期間i中に急患が 訪れる場合、di=1(確率P),訪れない場合di=0(確率1-P)とすると、この確率変数 diはベルヌイ分布に従う。一方、1日あたりの急患の数 X=∑diなのでXは2項分布 となるが、単位期間をどんどん短くするとn→∞、P→0となるので2項分布はポアソ ン分布で近似することができるから。 10点
Xが2項分布に従う説明がない場合は5点減点
(2) ベッドが足りなくなる確率Pr(X>3)は余事象を利用するとPr(X>3)=1-(f(0)+f(1)+f(2)) より得られる。λ=1なのでf(0)=(1/3)(1/1)=1/3、f(1)=(1/3)(1/1)=1/3、f(2)=(1/3)(1/2)=1/6
よってPr(X>3)=1-(2/6+2/6+1/6)=1/6 10点
λ=2:5点減点。単純な計算ミス:3点減点。f(2)を引き忘れ:2点減点 4 差の有意性検定(10点満点)
(コメント)今年は比率の差の有意性検定を出題しました。基本は同じで簡単ですが、出 来が悪かったです。過去問だけしか勉強しないのはダメですよ。
母集団における9月と11月の支持率をP9、P11とし、標本における9月と11月の支持率 をp9、p11とする。
① Ho:P9=P11 H1:P9>P11
② もし帰無仮説が正しい(P9=P11=P)とするとp9-p11~N(0,P P P P)に従う。
Pを両月の平均値0.5でPを置き換えるとp9-p11~N(0, . )=N(0 , )
③ 観測値p9-p11をこの帰無分布で標準化したZ=(0.6-0.4)/0.1=2>1.645なので有意水
準5%で帰無仮説は棄却される
④ 麻生政権への支持率は有意に下落したといえる
仮説設定の誤り、P=0.6,0.4として計算したもの(Hoが正しいと仮定しなきゃ)、分散計算 の誤り(( )とすべき所を にする人が多かった)、P(1-P)の平方根の取り忘れ、臨界値 1.645の誤り:3点減点
その他:適宜2点減点
5 カイ2乗検定(10点満点)
(コメント)授業中にもやったし、よく出題している問題です。帰無仮説を P=0.5 で計算 している答案が多かったのは、何も理解せず過去問を覚えた人ですね。
100社中60社が存続したのだから存続確率はP=0.6である。
① Ho:P1=P2=P3=P4=0.6 H1:Hoが成立しない
② もし帰無仮説(階級の企業の存続確率がどの階級も 0.6)が正しいとすると、各階級の 残存企業数の理論値はそれぞれ15,15,15,15となるはずである。
③ この理論値と現実値のかい離に関してピアソンの適合度Wを求めるとWは自由度3の カイ2乗分布にしたがう。
④ 観察値に関してWを計算するとW= + + + = =16.7
>7.8なので帰無仮説は棄却される。
⑤ これより有意水準5%で「企業の存続は企業規模とは無関係である」とは言えない。
帰無仮説をP=0.5としたもの、Wの計算で2乗していないもの:5点減点 計算ミス、計算は正しいのに結論がないor間違っている:2点減点