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C b に位相を導入

ドキュメント内 続複素関数 (ページ 50-53)

2.6 Mittag-Leffler の定理

3.1.5 C b に位相を導入

点列の極限や、部分集合上で定義された関数の極限や連続性などを定義するには、位相と呼 ばれる構造を定義する必要がある。

C については、任意の二点 z1, z2 の距離 |z1−z2| を用いて位相を定義した。これは R や Rn のときと同様のやり方で、慣れているので分かりやすいと思われるが、関数論の多くのテ キストでは、無限遠点の “基本近傍系” を新たに定めることでCb の位相を定義している。以 下それを説明しよう (そういう標準的な説明が理解できるようになってほしい)。

Cb の各点 a に対して(後で a の基本近傍系と呼ばれることになる) 集合族 Ua を次式で定 める:

(26) Ua:={U(a;r)|r >0}.

ここでU(a;r) は、ar 近傍と呼ばれる集合で、次のように定義される。

(a) a∈C(a が複素数) の場合

U(a;r) =D(a;r) ={z C| |z−a|< r} (これはおなじみかも…).

(b) a= の場合

U(a;r) :=Ur :={z C| |z|> r} ∪ {∞}

(|∞|= +とみなして、Ur のことを Ur = n

z Cb r <|z| ≤+o

とも表す。)

天下りになるが、この Ua を用いて、次のようにCb の開集合、点列の収束 (極限)、関数の 連続性を定義する。

定義 3.6 (Cb の開集合、点列の収束、関数の連続性) (a) ΩCb が Cb の開集合def. (∀a Ω) (∃U ∈ Ua) U Ω.

(b) Cb 内の点列 {zn}nN が、a Cb に収束def. (∀U ∈ Ua) (∃N N) (∀n N: n N) zn∈U.

(c) Ω Cb, f: Ω Cb, a Ω とするとき、fa で連続 def. (∀V ∈ Uf(a)) (∃U ∈ Ua) f(U Ω)⊂V.

もともとの C の場合と比べてみよう

上の定義と比べやすくするため、距離の代わりに円盤を使って表現し直してある。

(a) ΩCが Cの開集合def. (∀a∈Ω) (∃ε >0)D(a;ε)Ω.

(b) C 内の点列 {zn}nNa C に収束def. (∀ε > 0) (∃N N) (∀n N: n N) zn ∈D(a;ε).

(普通|zn−a|< ε と書くところを、zn∈D(a;ε) と書き換えてある。)

(c) Ω C, f: Ω C, a Ω とするとき、fa で連続 def. (∀ε > 0) (∃δ > 0) f(D(a;δ)Ω)⊂D(f(a);ε).

(普通(∀z Ω: |z−a|< δ))|f(z)−f(a)|< εのように書くところを、f(D(a;δ)Ω) D(f(a);ε) と書き換えてある。)

このように定義すると、以下が成り立つ。

• 開集合系の公理16が成立する。

16(i) Cb は開集合, (ii) 二つの開集合の共通部分は開集合, (iii) 開集合からなる集合族 {Uλ}λΛ の合併 [

λΛ

Uλ は開集合.

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• ΩC の場合は、Ωが Cの開集合であることと Cb の開集合であることは同値である。

zn C(n N), a∈Cであるとき、{zn}が C でa に収束することと、bC でaに収束す ることは同値である。

zn C (n N)であるとき、{zn} が Cb で に収束することと (∀R∈R)(∃N N)(∀n N:n ≥N) |zn|> R が成り立つことは同値である。

9. このことを確かめよ。

余談 3.7 (きちんとやるには) 一般に、与えられた集合X に対して、その中の点列の極限や、

関数の連続性を考えるには、位相と呼ばれる構造を用いる。X の位相を定義するのは、X の 開集合系 (開集合の全体) を定めるやり方を採用することが多いが、X の各点a に対して、a の基本近傍系と呼ばれる集合族を定めるやり方もある。これについては、位相空間の詳し目の テキスト(例えば定評のある松坂 [13] や、古典的な定番テキストである河田・三村[14])を見 ると良い。

複素数aに対して、bCで a に収束というのは、これまでと同じ意味(Cで a に収束) で、bC で に収束というのは、これまで → ∞ (無限大に発散) と言ってきたことに相当する。

(これまで、普通は「十分小さい ε」だったのに、「十分大きい R」が対応するのは違和感が あると思うが、そもそも ε-δ 論法の論理式に「大きい」、「小さい」という言葉は入っていない ことを思い出そう。)

3.8 f(z) = 1

z は、z = 0 で連続である。実際、上の規約により f(0) = 1

0 =, limz̸=0

z0

f(z) = であるから、lim

z→0f(z) =f(0) が成り立つ。同様に fz = でも連続である。

実はCb =C∪ {∞} は、次式で定義されるd を距離として距離空間になる: (27) d(z, z) :=φ1(z)−φ1(z).

(ただし、φ:S Cb は立体射影で、k·k は R3 のベクトルの長さkxk= vu utX3

j=1

x2j を表す。) これは要するに、z, z Cb の距離を、対応するRiemann球面 S 上の二点 φ1(z), φ1(z) の R3 における距離として定義してるわけである。

10. 特にz, z C の場合は、次のように書けることを示せ。

d(z, z) = p 2|z−z|

(1 +|z|2) (1 +|z|2).

この距離d(·,·) から Cb の位相を定めることが出来るが、それは上の基本近傍系で定めた位 相と同じであることが証明できる(ここでは省略する)。

メモ (別のところに書いたものを持って来た。)

位相を定めるには、開集合を定義する以外に、各点の基本近傍系を定める、というやり方が ある。超駆け足で説明する。

X は空でない集合とし、X の各点 xに対して、X の部分集合族B(x)が定まっていて、以

下の条件(基本近傍系の公理)を満たすとする。

1. (∀x∈X) B(x)6=. さらに(∀x∈X) (∀U ∈ B(x)) x∈U.

2. (∀x∈X) (∀U, V ∈ B(x)) (∃W ∈ B(x))W ⊂U ∩V.

3. (∀x∈X)(∀U ∈ B(x)) (∃W ∈ B(x)) (∀y∈W) (∃Uy ∈ B(y)) Uy ⊂U. このとき、X の部分集合 Ωについて

Ωは開集合 def. (∀x∈Ω)(∃U ∈ B(x)) U

と定義すると、開集合の全体は位相の公理を満たす(位相空間のテキストを見よ)。 Cにおいては、a∈C に対して、

B(a) := {U(a;r)|r >0}, U(a;r) :=D(a;r) ={z C| |z−a|< r}

と定めると基本近傍系の公理が満たされ、それが定める位相は、通常の C の位相である。

新たにB() を定めて、B(a) (a∈C∪ {∞})が基本近傍系の公理を満たすことを確認すれ ば、bC の位相が定義できる。

B() := {U(;R)|R (0,+)}, U(;R) :={z C| |z|> R} ∪ {∞}.

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