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CC1 (4.1.5.参照)

CS (4.1.5.参照)

KS

KS2:私はそのー、ほんとは、ええっと形じゃなくてまずは内容だと思ってるんですね、ほ んとは。だけどそれをずっと言っていたら、私一人で生きているわけじゃないので、それ を分かっている人はとても少ない。で、私の指導教官の先生からもずっと言われていたん ですが、あなたはなんでそこまでこだわるかって、たぶん周りがそうさせているんだろう ねっていうことをずっと言われていて。きっと、その、たぶん一人が変わっていかないと、

変わらざるえない状況だからそんな苦労してるのねっていうふうに言われてるんですけど、

それはポジティブに考えて、ええっと、相手に自分が伝えるために、なんで分かってくれ ないのじゃなくて、もう少しスキルを工夫してみるともっちょっと伝わるかもしれないと いうふうに考えるようになりました。

CS

CS2:どうやって・・・。まー、発音とか全然気にしてないんですよね。まったくもって、あの ー、直してくださいみたいなことは言ってない。あっ、そうだ。来て1年ぐらいでしゃべ って、そんで、半年ぐらいすると、あのー、まあ、文とかは全然しゃべれるんだけど、な んか、友達にちょっとだけおかしいっていうのを言われて、まあ、アクセントを直そうか なと思ったんだけれどめんどくせーから、まあそのままにしといて。で、やってたら今っ て感じになったんですけど。あと何ですかねー、一日中テレビ見てましたね。はい。

T:どんな?

CS2:いや、ありとあらゆる。

4.2.6.動機

欧米の研究では、目標言語が話されているコミュニティーに自ら溶け込もうとする意欲 や、目標言語を使った職業に就きたいという動機が外国語の発音習得度に影響するという 指摘がある。日本語の発音習得度にも目標言語が話されている社会に対する心的距離や職 業的動機が影響するのであろうか。

前述のとおり、学習成功者の多くが音声に関する関心が強く、ネイティブレベルの発音

習得を到達目標に設定している。確かに、CC1のコメントに見られるように将来日本で 仕事をしたいという職業的動機(4.1.5.参照)や、日本人との交際 (4.2.2. 参照)などが言 語習得にプラスに働く場合もあろうが、これらの動機がないからといって学習に成功しな いとは言えない。むしろ、留学生としての日本語学習者の場合は、せっかく勉強するなら ネイティブのような話し方ができるようになりたいという初期の単純な動機や、発音上の 問題のために日本人に言いたいことが伝わらなかったため発音の重要性を認識したという ような体験がその後の発音学習に影響を与えることもある。そのようなきっかけをとおし て発音に意識が向き、発音が上手になった結果として、それが職業的動機につながるとい うような方向性もあることが本調査の結果から浮き彫りになった。これは、欧米の研究で 指摘されているのとは逆の方向性である。この点において、英語やドイツ語などの話され ている社会に移住し、職に就いて生計を立てていかなければならない欧米の移民の調査協 力者と、留学生としての日本語学習者の違いが見られる。このことは、欧米の先行研究と 同じ視点では、日本語学習者の発音習得の実態が把握できないことを示唆している。

KB

(4.1.5.参照)

KS

(4.1.5.参照)

CC

(4.1.5.および4.2.2.参照)

CS

(4.1.5.参照)

4.2.7.性別

女性のほうが外国語学習に向いているということが印象論で語られることがあるが、そ の理論的根拠として欧米の先行研究で指摘されている性別による方略使用の差異が挙げら れるであろう。女性はコミュニケーション方略群(情報伝達を重視する)と社会方略群(協 同作業や他人への働きかけを行う)を多く使用する傾向があるという。それに対して、男 性は認知的方略群(母語と目標言語の比較・分析を行う)を多用すると言われている。し かし、当然のことながら性別のみですべてが決まるわけではなく、言語習得には各種の要 因が関与しており、実態は複雑である。発音学習の成功者は7人中女性が6名、男性が1 名であったが、その男性はフォローアップ・インタビューからわかる限り、認知的方略を 用いて発音学習を行ったとは言い難い。むしろ、4.1.6.で指摘したように、学習者を取り巻 く環境が年齢によって変化することが学習方法にも影響を及ぼす可能性が高く、性別以上 の関与があるのではないかと思われる。

4.2.8.性格

外向的な性格のほうが外国語の習得が速いと言われることがあるが、このことも社会方 略群の使用と関連性があると言えよう。外向的な性格のほうが、教室外環境においても他 人への働きかけを好み、目標言語をより積極的に使用する機会を持てるかもしれない。し かし、発音習得に関しては必ずしも外向的な学習者でなければネイティブレベルの発音を 達成できないということはない。以下のように、自ら外向的な性格であるという学習者(C C1)もいるし、やや内向的であるとの認識を示している学習者(KB1)もいる。両者 の個性は異なるが、共にネイティブレベルの発音習得を達成した学習成功者に違いはない。

KB

KB1:特にないですね。あんまり、私、こうー、社会にすぐに入り込むタイプでもなくて、

まあ、そのー、全然知らない、分からないコミュニティーにじゃっ入れてくださいってい うタイプでもないですけども、うん。コミュニティーが大事だっていうふうにいってます けど、私はそういうのはあまりなかった。数少ない友達で、ずっと話をしたりだけだった。

あまり、話もしなかったかな?あんまり、口ベタなので自分からしゃべったりもしないで すけれども。ほんとに仲のいい人たち以外とあんまりしゃべらないタイプなので。その社 会性はどっちかというと欠けてる感じがするので、それとはまた関係はないと思います。

(中略)

KB1:そうですね。日本語学校の時でも、あのう、あんまりどれぐらい意識していたかは分 からないですけども、なんか、間違ったら恥ずかしいっていうのは強くあって、で、自分 で正しいと思わないものに関しては発言はしない。内容でも文法でもなんでも。黙ってい るタイプで。

T:自信をもったら、発言する。

KB1:はい。完璧にそれがわかれば言うっていうタイプだったので、たぶん、恥ずかしいっ ていうのが強く働いたんだと思います。

CC

T:性格は外向的ですか?

CC1:そうですね。はい。

T:外に出て友達と話すことが好き。

CC1:好きです。はい。そうですね、いつも友達と話してる時、私の方がいっぱいしゃべっ てますね。

5.考察

本調査の結果を踏まえた上で、冒頭で述べた研究課題について考察していく。

フォローアップ・インタビューにおける発音の達人のコメントには、以下のような特徴 が共通点として繰り返し現れることがわかった。1)音声的側面に焦点を当て、メタ言語 として日本語音韻を学習していること、2)発音に対する意識化がなされていること、3)

豊富なリソース(例:テレビ、ラジオ、ドラマ)を活用していること、4)音声化した発

音学習方法(例:シャドーイング、音読)を実践し、継続していること、5)学習初期に インプット洪水を経験していること、6)音声に関心があり、自ら高い到達目標を設定し ていることである。つまり、発音の達人は単に例外的な学習者なのではなく、あくまで独 自の工夫をして発音学習を行い、発音に対する意識の高さ・インプットの量と質・学習方 略等の理由に支えられて高い発音習得度を達成した学習成功者なのである。つまり、先行 研究で成人人口の 5%程度の割合で出現すると言われている「例外的高度外国語学習能力 保持者」のような外国語学習に異例の才能を発揮する学習者だけで構成された特異なグル ープではなくとも、学習次第で十分ネイティブレベルの発音習得が可能であるということ である。フォローアップ・インタビューの対象となった発音の達人の全員が日英2言語を マスターしている程度で、4,5言語を自由自在に操るような「外国語の達人」ではない ことも事実である。

本研究プロジェクトで確認された学習成功者は韓国および中国出身の日本語学習者であ る。学習成功者の言語背景は特定の韓国語・中国語方言に限定されていないことはすでに 述べたとおりである。しかし、ここで指摘しておきたいのは、英語話者の中には学習成功 者と判定された者がいなかったことである。この結果は、いくつかの解釈が可能である。

第一に、対照言語学的視点から英語は韓国語・中国語と比較して日本語との音韻的な違 いが大きく、英語話者はこの相違点から起こる母語干渉を克服するのが困難であるという ことである。しかし、韓国語・中国語・英語のすべての言語において日本語との音韻的な 相違があり、音素レベルだけではなく韻律特徴に関しても異なる点が多いため、一概に英 語が日本語と最も異なる言語であるという結論に至ることはできないだろう。

第二に、聞き手としての立場の違いから起こる学習者意識の違いが挙げられる。英語は 世界で広く話されているため、英語話者が母語背景の異なる話者による英語の発音を聞き なれて慣れており、発音の正確さより流暢さや話の内容を重視する傾向があると仮定する と、自分自身の話す日本語においても発音の正確さより流暢さや話の内容を重視する傾向 があるのではないかと思われる。

第三に、第二言語習得とアイデンティティーの問題が関与しているのではないかという ことが考えられる。学習者の意識の中に存在する第二言語習得とアイデンティティーの関 係はセンシティブな問題であり、慎重な議論を要するが、本書所収の「音声教育へのニー ズ-日本語学習者を対象としたアンケート調査からわかること-」でも指摘したとおり、

「日本人のような発音」「日本人みたいに話す」という学習動機の裏返しとして、「外国人 だと気付かれない発音」「外国人だということがわからないような発音」という表現が繰り 返し現れている。このようなコメントは外見上日本人と似ているアジア系の学習者に多い。

このアンケート調査の結果は上記論文の 4.1.を参照されたい。

以下の韓国人釜山方言話者であるKB1および中国人広東語話者であるCC1のコメン トに見られるように、ネイティブレベルを到達目標に設定している場合、韓国・中国出身 のアジア系の学習者であれば、外見が日本人と似ているため、発音が自然であれば外国人 であると気づかれないこともあり得る。しかし、本調査の対象となった欧米系英語話者の

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