本章では,本研究の成果をまとめ,今後の展望を述べる.
7.1 まとめ
本研究では,ネットワークを用いたメディアストリーミングにおいて必要な情報の管 理,およびメディアストリーミングの制御機構の設計と実装を行った.
ネットワークを用いたメディアストリーミングを行うにあたって,ユーザはあらかじめ 送信先ノードのIPアドレス情報や,フォーマット情報,送信タイミングなどの様々な情 報を,ユーザ自身によって交換しておく必要があった.そこで,本研究では,ネットワー クを用いたメディアストリーミングに用いられる各ノードにおける,メディアストリー ミングに必要な情報を統一的に管理し,メディアストリーミングに用いられるノードを,
ユーザの指示に従い,制御するための,新しい手法を提案した.
各ノードにおける,メディアストリーミングに必要な情報を収集するために,各ノード に”Client”と呼ばれるアプリケーションを常駐させる.このClientは,自ノードのメディ アストリーミングに用いられる情報を収集し,収集した情報を,管理サーバに対して送信 することで,管理サーバによって管理される.Clientは,遠隔からのメディアストリーミ ングの制御を実現するために,管理サーバから制御情報を受信すると,受信した制御情 報に従ったアプリケーションの実行,および停止を行う.また,Clientは,管理サーバの サービス探索を自動で行う機能を持つ.この機能により,ユーザが管理サーバに関する情 報を事前に取得することなく,本機構を用いることを可能にした.
メディアストリーミングに必要な情報の管理,蓄積を行うために”Manager”と呼ばれる 管理サーバを設置した.このManagerは,各ノードの情報を集約する他,Webによるイ ンターフェイスをユーザに提供し,集約されたメディアストリーミングに必要な情報を ユーザから閲覧可能にした.また,このWeb Interfaceでは,ユーザからの接続要求を受 け付けることを可能にし,ユーザからの要求に従って,メディアストリーミングに用いら れるノードへ制御情報を送信する.メディアストリーミングに用いられるノードからの サービス探索を容易にするため,Managerは,各ネットワークドメインに1つ配置するこ ととした.ネットワークドメインごとに分散して配置されたManager間で,それぞれの
Managerが管理する情報を交換する.それぞれのManager同士で情報を交換することに
より,より様々なネットワークドメインに存在するノード間における,メディアストリー ミングの制御を実現した.
本研究により,インターネットを用いたメディアストリーミングを行うために,ユーザ
7.2. 今後の課題 第 7章 結論
が事前にメディアストリーミングに関わる情報を収集せずにメディアストリーミングを行 うことが可能となった.
7.2 今後の課題
考えうる本研究の今後の課題は以下の事項が挙げられる.
サービス探索における他プロトコルの利用
本機構では,Local Area Network内のサービス探索に,本機構独自の手法を用いた.し かし,他にもBonjourや,UPnPといった,Local Area Network内で有効なサービス探 索のプロトコルがある.サービス探索の他プロトコルを活用することにより,Managerの
Web Interfaceへのアクセスを,より事前に情報を用意する情報を減らした上で,行うこ
とを可能にできる.これらの改良が今後の課題である.
Manager 間の情報共有の手法
本機構では,Manager間のClientノード情報の共有に,ASMを利用した.しかし,現 状のインターネット上では,IP Multicastを満足に利用できない.そのため,今回は,情 報を共有するManagerのアドレスをWeb Interfaceから指定できるようにした.Manager 間の情報共有を自動化するためには,P2PネットワークのようなIP Multicast以外の技 術を用いる必要がある.これらの調査,改良が今後の課題である.
Client ノードにおける情報の収集手法
本機構では,Clientにおけるメディアストリーミングに用いられるアプリケーション,
および機器の情報を,設定ファイルを用意することによって実現している.現状では,ア プリケーションにおいて,自動的に機器を認識し,その情報を取得するのは困難である.
機器情報の取得を,より自動的に行う方法を発見し,その改良を加えることが今後の課題 である.
7.3 今後の展望
本研究における今後の発展として以下の事項が挙げられる.
7.3. 今後の展望 第 7章 結論
ネットワークドメインを超えたサービスロケーション
本機構では,管理する情報としてメディアストリーミングを行うために必要なものを取 り扱った.本研究では,サービス探索の技術を用いて管理サーバの探索を行うため,Local
Area Network内で有効な他のサービス探索プロトコルに対応し,本機構における,情報
の取り扱い方に工夫を凝らすことで,ネットワークドメインを超えたサービスロケーショ ンとして活用することが可能となる.
しかし,サービスによってセッションの取り扱い方が異なるため,対応するサービスを 増やすには,サービスごとに制御を行う機構が必要になる.
謝辞
本研究を進めるにあたり,ご指導いただきました,慶應義塾常任理事 村井純博士,同大 学環境情報学部教授 徳田英幸博士,中村修博士,同学部助教授 楠本博之博士,高汐一紀 博士,同学部専任講師 湧川隆次博士に感謝致します.
絶えずご指導とご助言を頂きました慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科大学助手 杉浦一徳博士,慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程 堀場勝広氏,久 松剛氏,三島和宏氏に感謝致します.
研究室に入ってからいろいろな面倒を見てくださいました慶應義塾大学大学院政策・メ ディア研究科講師 南政樹氏,慶應義塾大学環境情報学部専任講師 重近範行博士に感謝致 します.
また,研究を進める中で絶えず気にかけてくださいました慶應義塾大学大学院政策・メ ディア研究科研究員 岡田耕司氏,慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程 成 瀬大亮氏,工藤紀篤氏,松園和久氏,谷隆三郎氏,小椋康平氏,水谷正慶氏,大薮勇輝氏,
中村友一氏,慶應義塾大学環境情報学部 金井瑛氏,空閑洋平氏,奥村祐介氏,江村桂吾 氏,永井ゆり氏,合資会社バイパスネットワークス 千代佑氏に感謝致します.
そして最後に,徳田・村井・中村・ 楠本・高汐・湧川研究室の諸氏,特にSTREAM研 究グループ,SING/IA*研究グループの皆様に感謝致します.
以上を持って,謝辞といたします.
参考文献
[1] Specifications of Consumer-Use Digital VCR´s using 6.3mm magnetic tape, 1994. HD Digital VCR Conference.
[2] MPEG-2 Generic coding of moving pictures and associated audio information.
http://mpeg.telecomitalialab.com/standards/mpeg-2/mpeg-2.htm, Oct 2000.
[3] A.Ogawa. DVTS (Digital Video Transport System) WWW page, November 2001.
http://www.sfc.wide.ad.jp/DVTS/.
[4] J. Postel. Internet Protocol, September 1981. RFC 791.
[5] J. Postel. User Datagram Protocol, August 1980. RFC 768.
[6] J. Postel. Transmission Control Protocol, September 1981. RFC 793.
[7] HD DIGITAL VCR CONFERENCE. Specifications of Consumer-Use Digital VCRs PART1 General Specifications of Consumer-Use Digital VCRs. Specifications of Consumer-Use Digital VCRs using 6.3mm magnetic tape, pages 1–61, Dec 1994.
[8] HDV Format Co promoters Office. HDV Information WEB site, 2004.
http://www.hdv-info.org/.
[9] D. LeGall. Mpeg: A video compression standard for multimedia applications. Com- munications of the ACM, 34(4):46–58, April 1991.
[10] Schwarz T. Schafer R., Wiegan T. The emerging h.264/avc standard, 2003.
[11] MPEG-4 Industry Forum. MPEG-4 The Media Standard, July 2002.
[12] Skype Limited. Skype WWW page. http://www.skype.com/, 2006.
[13] Microsoft Corporation. MSN Messenger / Windows Live WWW page.
http://ideas.live.com/whatis.aspx, 2006.
[14] Apple Computer, Inc. iChat AV WWW Page.
http://www.apple.com/macosx/features/ichat/, 2006.
[15] Polycom, Inc. Polycom WWW Page. URL: http://www.polycom.com/home/.