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Frontier Management Industrial Research

産 業 調 査 通信

vol.34. April 2018

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 消費全般 松 岡 真 宏 『J.フロントの千趣会株式売却に見るコーポレートガバナンス』  中国担当 中 村 達 『新規事業参入の受け入れ』  電子デバイス・材料業界 村 田 朋 博 『一人で出来ることは限られる』  先端領域 本 橋 陽 介 『技術進化と社会需要、そして技術者の倫理 ~自律走行車の死亡事故』  メディア・エンターテインメント業界 福田 聡一郎 『「荒野行動」のインパクト』  機械業界 水 野 英 之 『ビジネスモデルの変革』  小売業界 山 手 剛 人 『米トイザラス破綻に見る「大型専門店」時代の黄昏』  ASEAN担当 毛 利 剛 実 『インフラ投資事情』 産業調査コラム p.5 今月のトピックス p.2  テクノロジー関連業界 栗 山 史 『企業価値自体が中長期経営目標となる可能性』

目次

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今月のトピックス

© 2018 Frontier Management Inc.

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テクノロジー関連業界:『企業価値自体が中長期経営目標となる可能性』

栗山 史 Hitoshi Kuriyama 産業調査部長 堅調な経済情勢、為替レートの安定化、構造改革効果、など を要因に、2017年度東証一部上場企業ROEは、データを遡れ る1982年度以降で初の10%超となる見込みだ。依然、米国と の差はあるが、欧州企業とは同等水準。収益改善を達成し、次 の経営目標に関して議論が起こっている印象がある。 時系列的なデータ入手が容易で歴史的比較がしやすい電機大 手6社の業績とバリュエーション動向をグラフ化した。リーマ ンショック直前期まで売上高は2度のバブルを経験したものの 安定して拡大したが、営業利益率は低下傾向。ネットバブル崩 壊直後とリーマンショック直後は赤字転落した。リーマン後は 日立・ソニー等での抜本改革が進み、売上高は一進一退状況が 続いているものの、営業利益率は80年代のレベルへ大きく上 昇。不採算事業の撤退や売却、従業員数の削減、設備型産業か らの離脱、などの複合効果が収益改善要因だ。構造改革や事業 ポートフォリオ転換の効果が顕在化中の3社(日立、三菱電 機、ソニー)が牽引しており、企業間格差は拡大している。 コーポレートガバナンスコードの導入と意識改革により、企 業の最終目的として「企業価値の長期的な拡大」をコメントす る企業が増加。将来的には、ROEや営業利益が主体であった中 長期計画目標が、企業価値自体の目標となる可能性が出てき た。 企業価値は前提となる業績数値とマルチプルで試算せざるを 得ない。意外にも長期観点でマルチプルの変動は少ない。電機 6社では、EV/EBITDA7倍、EV/純資産1.5倍、EV/売上高0.5 倍程度。企業価値を最終目的として設定する場合、経験値上か らこれらのレベルが業績面での目安となる可能性がある。

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 大和証券㈱、ゴールドマン・サックス証券会社、メリ ルリンチ日本証券㈱、アライアンス・バーンスタイン ㈱等を経て、2012年にフロンティア・マネジメント㈱ に入社。  22年間、一貫してテクノロジー関係のアナリスト業務 に従事。家電業界、総合電機、電子部品、精密機器、 ゲーム業界等、国内テクノロジー関連企業をほぼ網 羅。その他、医薬品・小売り・繊維・サービス等の生 活関連産業、電子素材等を含む川上のテクノロジー関 連業界、汎用化学等へも調査対象を拡大。  1994年以降、日経金融新聞「アナリスト人気ランキン グ」や米国「Institutional Investor」誌等のアナリス トランキングでは、ほぼトップ3の座を継続。

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参考:1980年以降の大手電機6社業績とバリュエーション推移

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電機6社は日立製作所、東芝、三菱電機、パナソニック、シャープ、ソニー。有価証券報告書等からフロンティア・マネジメント作成 -2% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 19 80/ 03 19 83/ 03 19 86/ 03 19 89/ 03 19 92/ 03 19 95/ 03 19 98/ 03 20 01/ 03 20 04/ 03 20 07/ 03 20 10/ 03 20 13/ 03 20 16/ 03 売上高(左軸)と営業利益推移(右軸) 売上高 営業利益率 (10億円) 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 19 80/ 03 19 83/ 03 19 86/ 03 19 89/ 03 19 92/ 03 19 95/ 03 19 98/ 03 20 01/ 03 20 04/ 03 20 07/ 03 20 10/ 03 20 13/ 03 20 16/ 03 企業価値/売上高・企業価値/純資産(左軸) と企業価値/EBITDA(右軸)の推移 企業価値/純資産 企業価値/売上高 企業価値/EBITDA (倍) (倍)

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産業調査コラム

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消費全般:『J.フロントの千趣会株式売却に見るコーポレートガバナンス』

 野村総合研究所、バークレイズ証券会社、UBS証券会 社、㈱産業再生機構を経て、2007年にフロンティア・ マネジメント㈱設立。  10年以上にわたり流通業界を中心に証券アナリストと して活動。㈱産業再生機構においては、地方百貨店で ある津松菱やうすい百貨店の事業再生に関与し、カネ ボウおよびダイエーの案件では、取締役として事業再 生に関与。  1999年に国内外の複数のアナリストランキングにおい て、小売部門でトップランキングを獲得。 松岡 真宏 Masahiro Matsuoka 代表取締役 主な著書 『小売業の最適戦略』(㈱日本経済新聞社 1998年) 『百貨店が復活する日』(㈱日経BP社 2000年) 『問屋と商社が復活する日』(㈱日経BP社 2001年) 『逆説の日本企業論』(㈱ダイヤモンド社 2003年) 『私的整理計画策定の実務』共著(㈱商事法務 2011年) 『流通業の「常識」を疑え!』共著(㈱日本経済新聞出版社 2012年) 『ジャッジメントイノベーション』共著(㈱ダイヤモンド社 2013年) 『時間資本主義の到来』(㈱草思社 2014年) 『「時間消費」で勝つ!』共著(㈱日本経済新聞出版社 2015年) 『宅配がなくなる日 同時性解消の社会論』共著(㈱日本経済新聞出版社 2017年) J.フロントリテイリング(以下JFR)は、自身が保有する総 合通販大手・千趣会の株式を売却することを発表した。千趣会 については、JFRのオムニチャネル戦略を推進する重要なグ ループ会社にするため、JFRが2015年4月に75億円出資して持 ち分法適用会社にした経緯がある。 しかし、JFRと千趣会の実務における協業は当初の計画に比 べると遅々とした進展であった。しかも、この数年で千趣会の 本業の地盤沈下が予想以上に進み、JFRとしてもサポートが容 易でないと判断したことが、今回の株式売却の背景にあると思 われる。 JFRのプロパー役職員からすると、千趣会への出資後3年で の見極めは多少早いと感じるかもしれない。しかし、JFRの千 趣会株式保有については、多くの証券アナリストが継続してネ ガティブなメッセージを発信していた。また、JFRの社外取締 役もROE維持・向上のために、業績不振のグループ会社を保有 し続ける事にはネガティブであった。 今回のJFRの経営判断には、このような株式市場の規律が有 形無形に大きく作用したと推測される。日本のコーポレートガ バナンスは、“確実に”効き始めている。ここ四半世紀の百貨店 の苦境期を、JFRは合併・人員リストラなどを大胆に駆使し て、業績・業容を拡大させてきた経緯がある。そのJFRがサ ポート困難と判断した千趣会を、政府系投資ファンドが引き受 け、どのような再建策を描くのか、興味を持ってウォッチして いきたい。

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中国担当:『新規事業参入の受け入れ』

中村 達 Toru Nakamura マネージング・ディレクター 中国の外食産業拡大に欠かせないのがケータリング(外売) であり、飢了嗎と美団の2大ポータルサイトが発展に寄与して いる。両社とも独立系のスタートアップ企業であったが、前者 はアリババの、後者はテンセントの出資を受入れ業容拡大を続 けている。 その美団が上海を含む7都市で3月21日より正式にタクシー ネット予約事業を開始した。 南京で試験を開始して約1年での開業となり、ウーバーチャ イナを買収した滴滴打車(Didi)の一人勝ちであった中国市場 に正式参入となる。 前後して、その滴滴が無錫など9都市で4月に外食ケータリン グポータルサイトを開業。 米国ウーバーが世界のケータリング市場10%前後のシェア 保有している事、第3の外売サイト 百度外売のCEO以下幹部 を雇用している事からも市場獲得への意欲が見られる。 滴滴は2017年4.5億人に対し累計74.3億回のサービスを 行っており、美団は同年2.5億人の顧客と同サイト取引額 1,710億元(約3兆円)の実績を有する。 シェアを崩す新規参入を市場は歓迎しており、今後も新しい サービスの導入を受け入れて行くと考える。60兆円を超え、 今年も10%超の拡大が見込まれる中国市場の中で、(日本の 外食市場は30兆円弱)消費者が欲しい商品開発、生産管理、そ してブランドについて日本企業が参画する機会は多くあるが、 スピードへの対応が必要である。

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 ㈱トーメン(現、豊田通商㈱)に入社、食料本部勤務。 Tomen Corporation do Brasil ltda.サンパウロ本社、 Tomen(America)Corp.シカゴ支店、㈱トーメン食 料本部、東棉(北京)駐在事務所に勤務。東棉(北 京)(大連)駐在事務所所長、東棉天津有限公司 総 経理を経て豊田通商㈱との合併。豊田通商(天津)有 限公司 副総経理に就任。豊田通商㈱食料本部食品部、 食料事業部に勤務。その後、サンヨー食品㈱海外事業 部勤務。2014年にフロンティア・マネジメント㈱に入 社。  豊田通商㈱入社後は、食料本部にて畜産、食品、食糧 トレーディング、同海外法人にてマネジメント、現地 でのトレーディング、新規ビジネス開発業務に従事。  豊田通商㈱食品部部長としては、投資案件立案や実行 に従事するとともに、各関連企業取締役として企業運 営を行う。  サンヨー食品㈱では、海外事業部部長として米国、中 国事業管理を行う。

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電子デバイス・材料業界:『一人で出来ることは限られる』

 大和証券㈱、㈱大和総研、モルガン・スタンレー証券 会社を経て、2009年にフロンティア・マネジメント㈱ 入社。  大和証券㈱、㈱大和総研では、通信機器、半導体、半 導体製造装置、ソフトウエア産業の調査を担当、モル ガン・スタンレー証券会社では、電子部品の調査を開 始、産業アナリストとして17年の経験を有する。  2001年に日経アナリストランキングで1位になるな ど、各種ランキングで上位に名を連ねる。 村田 朋博 Tomohiro Murata マネージング・ディレクター 主な著書 『電子部品だけがなぜ強い』(日本経済新聞出版社 2011年) 『経営危機には給料を増やす!』(日本経済新聞出版社 2013年) 『電子部品 営業利益率20%のビジネスモデル』(日本経済新聞出版社 2016年) 売上高1兆円超、営業利益率20%以上のある企業の元社長か ら、「日本は優れた技術を持っているが、連携が少ないことが 課題」とお聞きした。いまどきの言葉で言えばオープンイノ ベーションに欠ける、ということであろう。それで思い出した のが、エジソンである。以下は、スティーブン・ジョンソン 「世界をつくった6つの革命の物語」からの抜粋である。 一般には、エジソンが電球および配電システムを「発明」し たことになっているが、事実はそうではない。エジソンが電球 を「発明」した1870年代より遡ること数十年前から電球の実 現に必要な要素技術は開発されていた。エジソンが違ったのは、 物理、機械、化学、金属加工など多岐に渡る知見をもった 「マッカーズ(仲間)」と呼ぶチームがあったことである。こ のチームが電球を実用化したのであって、エジソンはそのとり まとめのような存在であった。ちょうど、iPhoneのジョブズの ようなものだ。 さらに、(電球を灯らせる)電気の供給には、電球だけでな く、電源技術、電流を計測する技術、配電システムなどさらに 幅広い技術が必要だが、これもマッカーズが貢献した。 このようなオープンイノベーションを実践しているのが、売 上高1000億円超、営業利益率30%弱のヒロセ電機である。同 社は「一社でできることには限界がある。世界の知をつなぐこ とで新しい付加価値を産み出す」ことを基本としている。

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先端領域: 『技術進化と社会需要、そして技術者の倫理 ~自律走行車の死亡事故』

2018年3月18日、Uberの自律走行車がアリゾナ州テンピで 夜間に道路を横断していた歩行者をはねて死亡させた事故は、 自動運転を推進するものに限らず、テクノロジー進化の恩恵を 信じる者すべてに衝撃を与えた。 警察が発表した最初の所見では、被害者が道路の横断歩道以 外の場所を急いで横断しようとしたことが原因で、人間の運転 者でも事故を避けることはきわめて難しかっただろう、とい う。日本では考えられないが、地元テンピ警察は事故の瞬間ま での記録映像を公開している。筆者もアップされた動画を確認 したが(本当に痛ましい映像だ)、歩行者は衝突のおよそ2秒 前に暗闇から出現したことがわかる。緊急状況に陥ったドライ ヴァーの操舵回避行動は、3秒前であれば確実に開始できる が、1.2秒以下だとほぼ無理、というのが常識であり、本件は その中間にあたる(2秒前後)ため判断は難しい。が、①周辺 認識機能、特にLiDARが歩行者を全く捕捉できていない。②同 乗していたテストドライヴァーは注意が散漫で減速・回避行動 に関与していない。ことは明らか、との印象だ。 技術的な問題点は今後の究明を待ちたい。しかし今回の事件 を尊い犠牲者、というコンテキストで語ることには違和感があ る。「わからないことが起きた時にはいったん立ち止まり、振 り返る」というのは技術を探求する企業、技術者一人一人に とって最低限の倫理であるように思う。 Toyotaは、完全な自動運転システム‘Chauffeur’と、事故を 未然防止するための高度な運転者補助システムである ‘Guardian’の両方を研究開発してきたが、事故を受けて、3月 20日に、 ‘Chauffeur’のアメリカにおける公道試験を一時停止 すると発表した。

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 2001年にアクセンチュア㈱に入社。2012年にフロン ティア・マネジメント㈱に入社。  アクセンチュア㈱では、製造・流通業のコンサルタン トとして、構想立案から業務プロセスの導入・定着化 及びIT導入までを一貫して支援。上海オフィスとの協 働プロジェクトなどに関与。全社予算管理、マーチャ ンダイジング改革、経営効率改善、事業再構築、全社 ITマネジメント、サプライチェーンマネジメント等に 経験を持つ。  フロンティア・マネジメント㈱では、化学、材料、電 子部品、機械、自動車OEM・自動車部品、エレクトロ ニクスなど製造業中心に、長期ビジョンや新規事業探 索などの戦略策定及び実行支援、中期経営計画策定な どを責任者として推進。その他、教育、エンタテイン メント、金融など各種サービス産業への戦略策定支援 や中央省庁委託事業等に従事。  M&Aアドバイザーとして、エレクトロニクスメーカや 住宅メーカー、電子部品材料、自動車部品企業等にお けるM&A戦略策定やビジネスDDなどのエクゼキュー ションに関与し、日立製作所による日立セキュリティ サービス株式の綜合警備保障(ALSOK)への譲渡など を担当。 コンサルティング部門における人工知能、IoTなど先 進テクノロジー領域におけるリサーチ、知見蓄積やデ リバリーメソッド開発のリーダー。 本橋 陽介 Yosuke Motohashi マネージング・ディレクター

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メディア・エンターテインメント業界: 『「荒野行動」のインパクト』

福田 聡一郎 Soichiro Fukuda シニア・アナリスト 中国大手ゲーム会社NetEase社が2017年11月に日本配信を 開始した「荒野行動」の課金ランキングは、直近では10位以内 にランクインするケースが多く、好調に推移している。平昌オ リンピックのフィギュアスケート銀メダリストの宇野選手がプ レイしているとコメントしたことも、認知度向上につながった と見られる。 同タイトルは、これまで日本のゲーム市場では大きな存在感 を示し得なかった銃を用いたシューティングゲームの系譜であ り、100人の中から1人が勝ち残るというバトルロワイヤル型 ゲームである。また、同タイトルは、グローバルで人気が高い PCゲーム「PlayerUnknow’s ButtleGrounds」(通称PUBG)の ゲーム性を抽出し、スマホ向けゲームとしてリリースしたもの と言える。 「荒野行動」のヒットは、海外では人気だが日本では認知度 の低いゲームジャンルを日本で普及させるために、家庭用ゲー ム機やPC向けに展開するのではなく、スマホ向けに展開する ことが有用ということを示す一例と捉えられる。市場の成長が 鈍化している国内スマホゲーム市場において、PCオンライン ゲーム開発を得意とする中国や韓国勢が、今後も日本での新規 ジャンル開拓に挑戦するケースが増えるものと考えられる。 スマホ向けゲーム開発では、要求されるグラフィックが高度 化し開発費が増大しているため、日本勢は、このような新規 ジャンルの開拓に相対的に消極的と見られるが、人気キャラク ターやIPの活用によりリスクを軽減した上で、PCオンライン ゲームを源流とする新規ジャンル開拓に挑戦すべきと考える。

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 三井信託銀行㈱(現、三井住友信託銀行㈱)、興銀証 券㈱(現、みずほ証券㈱)、日興ソロモン・スミス バーニー証券会社(現、シティグループ証券)、マイ クロソフト㈱(現、日本マイクロソフト㈱)、日興シ ティグループ証券㈱(現、シティグループ証券)、 フィールズ㈱を経て、2016年にフロンティア・マネジ メント㈱に入社。  1998年から2016年までの18年間、アナリスト業務お よび事業会社にて、一貫してエンターテインメント業 界に携わる。セルサイド・アナリストとしては、エン ターテインメント業界の他、メディア業界、インター ネット業界、ITサービス業界のリサーチも担当。  2003年から2005年に在籍したマイクロソフト㈱では、 同社のゲーム機Xbox360の日本ローンチ戦略、および オンラインサービス「Xbox Live」のマーケティング 戦略を担当。2014年から2016年に在籍したフィール ズ㈱では、IR、およびゲーム系子会社管理を担当。

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機械業界: 『ビジネスモデルの変革』

水野 英之 Hideyuki Mizuno シニア・アナリスト 建設機械業界では、アフターマーケットで安定的な収益を稼 ぐ収益構造への転換を進める動きを強めている。この動きの1 つめは、アフターサービスの売上構成が高い鉱山機械分野の強 化である。2016年以降、コマツが鉱山機械大手のJoy Global 社を、日立建機が鉱山機械のアフターサービスに強いHE-Parts 社(豪)とBradken社(豪)を買収した。もうひとつが、ICT (情報通信技術)を活用したソリューションビジネスの強化で ある。 ICTに関しては、(1) 建設現場での生産性向上、(2)建設機械 のライフサイクルコストの低減、(3)建設機械メーカーのアフ ターサービス売上の拡大、などを背景に、各社とも積極的な活 用を図っている。 日立建機では、中期経営計画の中で、アフターサービスの売 上構成比を16年度35%から19年度の50%まで引き上げること を目標としている。この売上の6割強は、部品・サービスが占 めている。同社の顧客が純正部品を使う割合は3割以下である が、ICTの活用やセンシング技術の活用による故障予兆検知率 の引き上げにより、同社の部品・サービスの売上拡大を狙って いる。 建設機械業界以外でも、システム化対応製品やアフターサー ビスで稼ぐ事業構造への変革を図ろうとする企業も散見される。 今後は、自社の強みを活かしながら、M&Aや提携により事業領 域を拡げることも重要になると思われる。

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 日興証券株式会社(現、SMBC日興証券株式会社)に 入社し、同年、日興リサーチセンターに出向。INGベ アリング証券会社(現、マッコーリーキャピタル証券 会社、メリルリンチ日本証券を経て、2016年フロン ティア・マネジメント㈱に入社。  1987年から2016年までの29年間、セルサイドアナリ ストの経験を有する。1992年からは日興リサーチセン ター、INGベアリング証券会社(現、マッコーリー キャピタル証券会社)、メリルリンチ日本証券にて、 機械業界を約24年間にわたって担当した。

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小売業界: 『米トイザラス破綻に見る「大型専門店」時代の黄昏』

3月14日の「The Wall Street Journal」等の報道によると、 昨年9月に連邦破産法の適用を申請していた米玩具販売大手 「トイザラス」は、事業再建のめどが立たないことから、全 800店舗を売却もしくは閉鎖すると社内関係者に伝えたもよう である。 日本における「トイザらス」は、1990年の日米構造協議を 受けた翌91年に大規模小売店舗法の規制緩和が実施されたこと を受けて、同年12月に国内1号店を茨城県にオープンさせた。 同店の開業は「開かれた日本の流通市場」の象徴として報じら れ、その後の大型のロードサイド店やショッピングセンターの 隆盛の一里塚となった。それから四半世紀以上が過ぎた現在の トイザラス苦境の報には、隔世の感を禁じ得ない。 大型玩具専門店の苦戦は、据え置き型/スマホゲームの登場 による玩具離れやアマゾン等のEC事業者へのシェア流出に加 えて、玩具売上の多くが年末商戦に集中することによる閑散期 の固定費負担の増大という構造問題が経営悪化に拍手をかけた のではないかと筆者は考えている。 800店ものトイザラスの店舗が米国で閉鎖されれば、多くの 雇用が失われるだけではなく、大型SCにおける空床率の上昇 も深刻化することが予想される。流通企業はこれを他山の石と して、自らのビジネスモデルの変革を急ぐべきである。自らの ビジネスモデルの破壊的イノベーションを内的な動機づけで行 うことは容易ではないことから、外部資源を活用するオープン イノベーションを推進していく必要があるだろう。

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山手 剛人 Taketo Yamate シニア・アナリスト  1999年にウォーバーグ・ディロン・リード証券会社 (現UBS証券会社)に入社。2003年に同社株式調査 部で小売セクター担当のシニア・アナリストに就任。 2010年にクレディ・スイス証券会社に移籍。小売セク ター担当のアナリストと消費関連産業の調査グループ リーダーを兼務。2017年にフロンティア・マネジメン ト(株)に入社。  1999年から2017年までの18年間、消費産業(小売、 食品、消費財)の産業・企業調査に従事。50社以上の 上場企業の株式格付を担当。  UBS証券会社では2002年に史上最年少でシニア・アナ リスト(食品、消費財セクター担当)に就任。 日経 ヴェリタス「人気アナリストランキング」では継続的 に上位にランクイン(最高順位は2010年の総合小売セ クターで2位)。 『宅配がなくなる日 同時性解消の社会論』共著(㈱日本経済新聞出版社 2017年) 主な著書

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ASEAN担当: 『インフラ投資事情』

毛利 剛実 Takemi Mori シニア・ディレクター 近時、アセアンやインドに対する日本のインフラ輸出に係る 話題が多い。弊社でも、参画する日系パートナーや、現地パー トナー候補の探索・JV組成に係る支援機会に取り組んでいる。 高速鉄道・地下鉄・高速道路などの各国のインフラ整備に、日 本からの技術や資金供与(共同出資・円借款)に官民挙げて取 り組む様子がメディアでも取り上げられているが、各国の政治 情勢や財政事情から、当初の計画通りには進まない例も少なく ない。以下、主な案件を挙げるが、そのいずれも、「財政問 題」・「政局」・「中国」といったキーワードが目立つことに 改めて気付かされる。 ■インドネシア(高速鉄道):ジャカルタ~バンドン間を繋ぐ 高速鉄道計画は、当初日本の新幹線方式の採用で進められるこ とが内定していたものが、ジョコ新政権発足直後に中国案が逆 転採用されたことは良く知られているところ。その背景にある のは、インドネシアが財政難にあり、中国側が政府負担を求め ない対案を出したことが大きいと聞く。他方で着工開始から2 年以上を経過した現在でも、資金拠出は実現していない。 ■タイ(高速鉄道):バンコク~チャンマイ間の高速鉄道計画 は、日本の新幹線方式での導入が内定し、3年越しで日本側か らの調査・事業計画案が提案されるも、現暫定政権が総選挙を 控えて財政負担増を危惧し、「低速化」や「合弁化」を打診さ れたことから、日本側で腰がひけている模様だ。この間隙を ぬって、中国からのアプローチも今後あり得よう。 その他、マレーシア~シンガポール間の高速鉄道化、ミャン マー鉄道案件、ベトナム鉄道案件等の入札プロセスも進んでい る中、財政・政治・中国のキーワードは、そのいずれでも影響 するように拝察され、引き続き注目している。

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 ㈱日本興業銀行(現、㈱みずほ銀行)に入行、香港上 海銀行(東京支店)、独立系マーチャントバンクを経 て、2014年フロンティア・マネジメント㈱に入社。  企業調査部門で小売業種を担当、1997年のアジア通貨 危機後のアジア進出日系企業の財務支援プロジェクト を主目的とし、1998年~2006年までタイを中心とし た東南アジア域内で、通貨スワップや現地通貨建て起 債環境整備などに関与。  香港上海銀行では、コマーシャルバンキング部門で日 系企業・アジア企業のカバレッジを担当。  ベンチャーキャピタルとアドバイザリー業務を行う独 立系マーチャントバンクでは、燃料小売ベンチャーの 事業再生や、映像コンテンツ運営ベンチャーの知財 カーブアウト(英国ファンドへの売却)などをアレン ジ。

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ディスクレーマー

本資料は、閲覧者の参考に資することを唯一の目的として作成、提出されたものであり、他の一切の目的のために作成されたものではありません。 本資料は、現時点で一般に入手可能な公開情報を、弊社においてその正確性および網羅性等を独自に検証することなく作成されており、具体的案件 の検討の基礎となる各前提事実、仮定およびその他情報等に関して弊社が対外的に意見を表明するものではありません。法律、会計、税務等の専門 領域に関する検討に関しましては、弁護士、公認会計士、税理士等の各専門家にご相談・ご確認されますようお願い致します。 本資料の著作権はフロンティア・マネジメント株式会社に帰属します。

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