大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 54 号 1 局地的な豪雨や突風が頻繁に発生する今年の梅雨ですが、教育実習に行く学生は奮闘中 の季節です。 少し前のお話になりますが、長年にわたって文楽界を牽引されてきた竹本住大夫氏が 4 月の大阪公演、5 月の東京公演をもって引退されました。私は幸運にも大阪公演の幕開け直 後の舞台「菅原伝授手習鑑 桜丸切腹の段」を鑑賞する機会に恵まれました。主君への忠 義を示すために自らの命を差し出す桜丸、苦渋の決断を経てそれを認める父親、夫の決心 を突然知り、何とか思いとどまるように口説く妻、三者三様の姿を見る者に雄弁に描く住 大夫氏の語りに引き込まれました。また、現代の我々とは違う価値観、美徳のなかに生き ている人々との距離感を否めない感はありましたが、圧倒的な語りの世界に取り込まれて、 素直に感動しました。また、数年前に文楽の傑作の一つと言われる「仮名手本忠臣蔵 山 科閑居の段」を見たときの「人間同士の情のやりとり」の感動を思い出したり、文楽劇場 のおひざ元の「黒門市場」から前掛けをしたまま応援に駆け付ける人たちの姿も思い起こ され、氏が聴衆から愛されて敬われていることにも感動しました。 多くの方がご存じのように、文楽は「補助金削減」の方針の元、大変厳しい状況にあり ました。(現在でも状況は変わっていないと思います。)そのような環境で、自らの高齢や 病いをおしてまで住大夫氏は対応に奔走されていました。そこには氏が言うところの「文 楽って、いいもんでっせ」や「情がおまっせ」という思いが表れているようですし、同じ ような思いを共有してもらえるようにという愛や使命感を感じました。 引退を決意した理由として、氏はいみじくも「醜態をさらしたくない」と語りましたが、 そこには先人から脈々と受け継がれている文楽への敬愛や尊厳の気持ちがこもっていたよ うに思います。各公演の楽日には華美にならない「ごあいさつ」もありましたが、そこに は氏の謙虚な横顔が垣間見えるようにも思います。凡人の私なら、「人間国宝らしい立派な 花道」を望んでしまいそうだからです。 氏の語りについては評価するすべをもたない私ですが、芸能道の最高点に到達してもお ごらず、また自分の継承したものや持てるものを次世代につなぐために妥協せずに指導す る姿には、教育者としても大いに学ぶ点があるのではないかと思います。 大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター
DSpace at My University: 英語教育リレー随想 54号(2014.7) 花道
1
0
0
全文
関連したドキュメント
大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの
鈴木 則宏 慶應義塾大学医学部内科(神経) 教授 祖父江 元 名古屋大学大学院神経内科学 教授 高橋 良輔 京都大学大学院臨床神経学 教授 辻 省次 東京大学大学院神経内科学
1991 年 10 月 桃山学院大学経営学部専任講師 1997 年 4 月 桃山学院大学経営学部助教授 2003 年 4 月 桃山学院大学経営学部教授(〜現在) 2008 年 4
訪日代表団 団長 団長 団長 団長 佳木斯大学外国語学院 佳木斯大学外国語学院 佳木斯大学外国語学院 佳木斯大学外国語学院 院長 院長 院長 院長 張 張 張 張
学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院
本稿筆頭著者の市川が前年度に引き続き JATIS2014-15の担当教員となったのは、前年度日本
Jumpei Tokito, Hiroyoshi Miwa, Kyoko Fujii, Syota Sakaguchi, Yumiko Nakano, Masahiro Ishibashi, Eiko Ota, Go Myoga, Chihiro Saeda The Research on the Collaborative Learning
山本 雅代(関西学院大学国際学部教授/手話言語研究センター長)