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昭和34年度卒業論文要旨

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(1)

II 食 物学 会誌 ・第8号

昭和34年 度 卒 業 論 文 要 旨

足 立 教 授 指 導

2.3食 品 のtanninに 関 す る顕 微 化 学 的 研 究(第2報)

秋 山 知 子

tanninは 海 藻 の植 物 体 中 か ら双 子 葉 植 物 まで の 高 等 植 物 体 中 に 広 く分 布 し,材,樹 皮,葉,根 に 有 り特 に 昆 虫 や 細菌 類 に よ り侵 害 され た 部 分 に 多 く集 結 す る。 一 般 にtanninは 生 皮 を 革 に 変 え る性 質 を 有 す るが,そ の 分 布 状 態,生 理 的意 義 に つ い て は 正 確 に は分 つ て い な い 。 筆 者 は 亀 井 の研 究 に次 ぎ蔽 穀 類,禾 穀類 に お け る tanninの 分 布 及 び渋 柿 中 に お け るtanninの 酸 化 に お け る変 化 を顕 微 化 学 的 方 法 に よ り明 らか に す る 為 に 当 研 究 を 行 つ た 実 験 方 法 と して はH.Molish:Mikro一

(2)

昭 和35年7月(1960)

chemie der pflanzeを 参 考 と し た 即 ち 試 料 の 切 片 を 作 りFec13の1%溶 液 に 呈 色 さ せ 検 鏡 及 び 写 真 撮 影 を 行 い 研 究 す る 。 試 料 は オ タ フ ク豆,碗 豆,オ ラ ン ダ 豆,絹 さ や,ど じ よ うい ん げ ん,三 沢 さ さ ぎ,大 豆, 小 豆,斗 六 豆,う ず ら,白 あ ず き,黒 豆,青 碗 豆,赤 碗 豆,ウ エ ス タ ン 小 麦,ハ ー ドウ ィ ン タ ー 小 麦,マ ニ トバ2号,3号,ウ エ ス タ ン ホ ワ イ ト,内 地 小 麦,伊 勢 裸 麦,梗,精 米,渋 柿 。 そ の 結 果,果 皮 胚 芽,内 胚 乳 細 胞 膜 にtannin分 布,特 に 果 皮胚 芽 に 多 く又 胚 芽 に はtanninを 認 め る,成 熟 し た も の よ り も未 熟 な る 場 合 にtannin及 びtannin細 胞 の 多 量 の 分 布 を 見 る 。 又 渋 柿 のShiUuolは 初 め 全 ゆ る 所 に 液 状 に 分 布 し て 居 た も の が 次 第 にtannin細 胞 と な り液 状 に 散 存 す るtanninが 滅 少 し て 渋 味 を 呈 さ な く な る と液 状 の tanninは ほ と ん ど 認 め ら れ ず 円 型 楕 円 型 のtannin 細 胞 を 多 量 に 認 め る 。 牛肉の腐敗 過 程に於 ける水 溶 性窯素の定性 的研究

奥 村 慶 子

屠 殺 後 の 肉 は 先 ず 後 硬 直 を起 し,自 己 消 化 に よ り熟 成 が 行 わ れ これ が 進 行 す る と遂 に は 細 菌 に よ る腐 敗 現 象 へ と移 行 す る事 は 明 か で あ る が木 俣 は この 様 な 腐 敗 過 程 中 に 筋 肉 構 造 の 大 部 分 を 占 め る 蛋 白質 の 化 学 変 化 の 一 つ と して 水 溶 性 窒 素 の増 加 を あ げ て い る。 即 ち腐 敗 の進 行 と共 に 水 溶 性 窒 素 は 増 加 す る事 を指 摘 して い る 。 しか し未 だ こ れ に つ い て の 多 くの 研 究 報 告 は 見 な い 様 で あ る の で 鈴 木 が これ を 定 量 的 に 実 験 し,筆 者 は Paper Chromatography.を 用 い て 定 性 的 に 実 験 し た 。 牛 肉 を300Cの 恒 温 器 中 に放 置 して腐 敗 を進 行 させ 乍 ら水 溶 性 の ア ミノ酸 や ア ミン の 消 長 を0時 間 な い し30 時 間 の 各 段 階 に 於 てPaper Chromatographyで 調 べ た 結 果,0時 間 な い し30時 間 の 各段 階 に 於 て ア ミノ 酸 や ア ミン の量 的 関 係 に はSpotの 呈 色 濃 度 に よ り変 動 が 予 想 され た 。 肉 の腐 敗 初 期 に 於 て は 自己 消 化 に よ る ア ミ ノ酸 が 水 溶 性 窒 素 の大 部 分 を 占 め 腐 敗 が 進 行 し て 肉 も ア ル カ リ 性 に 傾 くと細 菌 に よ る腐 敗 産 物 が 多 くを 占 め る もの と 思 わ れ る。 炭 酸 ガス発生 量 に依る食品 の鮮度鑑 定 につい て

小 田 史 枝

獣鳥 魚 肉類 の鮮度 低 下が進行 す るに従 い蛋 自質 は分 一一一一一45一 解 さ れ て,漸 次 下 級 の 化 合 物 と な り最 後 に ア ミ ン類, HAS, NH3, CO;, H2,等 迄 に 達 す る。 こ の最 終 的 分 解 物 の 一 つ で あ るCO:;の 発 生 量 と鮮 度 との 関 係 を 明 らか に す るた め に,水 素 イ オ ン濃 度 法 に よ る もの と を 比 較 し,鮮 度 鑑 定 法 の 妥 当 性 を 追 求 し よ う と試 み. 着 手 した 。 資料 は,市 販 の 牛 肉,豚 肉,鶏 肉,鯖 肉 を 用 い,各50 9を エ ル レ ンマ イ ヤ ー フ ラ ス コに 入 れ て30。C恒 温器 中 に 保 存 し,毎 測 定 時 刻 に と り出 し,バ リ ッ ト法 に よ り CO2を 測 定 した 。 CO2発 生量 と水 素 イ オ ン濃 度 法 に よ る結 果 とを 比 較 考 察 す る と.COQの 発 生 は 自家 消 化 中 の 分 子 内 呼 吸 に よつ て発 生 し腐 敗 初 期 ま で盛 ん に 発 生 す る が,腐 敗 が 進 め ば 極 め て 少 な くな る。 即 ち 自 家 消 化 産 物 と して発 生 す るCO:;の 方 が 腐 敗 産 物 と し て 発 生 す るCO:,よ りは るか に 多 い こ とが 判 明 し,肉 509(30。Cに 保存 り か ら発 生 したCOQの 総 量 が 凡 そ 13∼14ccに 達 す れ ば,腐 敗 初 期 で あ り,又2時 間 の増 加 量 が1cc以 下 で あ れ ば す で に 腐 敗 に 達 して い る と云 え る に 至 つ た 。 こ の様 な 結 果 か ら,更 に 研 究 を 重 ね て い け ば,少 な く と も獣 鳥 魚 肉類 の 腐 敗 鑑 識 の 一 方 法 に な る と考 え られ る。

食品蛋白質の利用価値に関する考察

粗蛋白質,純 蛋白質及び消化性蛋白質の定量

小 杉 笑 子

山 本 征 子

林 佳 子

食 品 蛋 白 質 の 体 内 に 於け る利 用 価 は 粗 蛋 白 質 に 於 け る純 蛋 白質 及 び 消 化 性 蛋 白 質 の 含 有 比 率 の 他 に,ア ミ ノ酸 組 成 や 生 物 価 に よ り決 め られ る。 今 我 々 は 最 終 の 目的 を 食 品 分析 表 の 改 善 と言 う事 に 於 い て,勿 論 全 食 品 に つ き行 わ れ な け れ ば な らな い が,そ の… 手 始 め と して,粗 蛋 白 質 に 於 け る純 蛋 白 質 及 び 消 化 性 蛋 白質 の 含 有 比 率 の 面 か ら利 用 価 値 に つ い て 考 察 す べ く,本 実 験 を 開 始 した 。 純 蛋 白 質 の 定 量 法 は 種 々有 り, 1. Barnstein法, 2.10°oト リ ク ロ ール 酷 酸 溶 液 法. 3.20%過 塩 素 酸 溶 液 法, 以 上 三 方 法 の そ れ ぞ れ の平 均 値 を 純 蛋 白 質 量 と した 。 純 蛋 白質 の 含 有 比 率 の面 か ら,最 も優 れ て い る と考 え られ るの は,獣 鳥 肉 類 の91.11ioで,芋 類 の46.2%が 最 低 の比 率 を 示 して い る。 消 化 性 蛋 白質 は,Wedemyer法 に よ り定 量 した 。

(3)

一46一 消 化 性 蛋 白 質 の 比率 か ら.優 れ て い る と考 え られ る の は,や は り,獣 鳥 肉 類,卵 類 の98ioで 海 藻 類 は12°oで 非 常 に 劣 つ て い る と考 え られ る。 一 般 に 動 物 性 食 品 は 植 物 性 に 比 べ 消 化 が 良 い と言 わ れ て い る。 そ の 一 原 因 と して,細 胞 組 織 の 構 成 及 び 細 胞 の 物 理 的 性 質 が 異 り 植 物 性 に 比 べ 優 れ て い る と考 え られ る。 本 実 験 結 果 か ら も動 物 性 蛋 白 質 が 優 れ て い る。 粗 蛋 白 質 の量 は 従 来 の分 析 表 か らそ の ま ま,使 川 す る事 が 出 来 な い 為 改 め て,本 実 験 の 試料 の 粗 蛋 白 質 をKjeldah1法 に よ り 定 量 した, 本 実 験 に 於 て は,全 食 品 に つ い て 定 量 出 来 な か つ た 為,具 体 的 な 数 値 は 得 られ な か つ た が,今 後 実 用 を 目 的 と した 分 析 表 と して 純 蛋 白 質,及 び 消 化 性 蛋 白 質 の 含 有 比 率 が 記 載 され るべ き で あ る事 を 実 験 の う らづ け に よ り,再 確 認 した。 水 溶性,非 水 溶性窒素化合 物の 比率 による 食 品鮮度検 定に つい て

鈴 木 絢 子

従 来,食 品 に 魚獣 肉 類 の鮮 度 検 定 法 と して は,種 々 研 究 され て 来 た 。 本 実 験 は 動 物 の死 後,自 家 消 化 と共 に 微 生 物 の 作 用 に よ り,魚 獣 肉類 は 腐 敗 し始 め,そ の 結 果,分 解 窒 素 化 合 物 が 生 成 され る事 に 着 眼 し,水 溶 性 窒 素 化 合 物, 非 水 溶 性 窒 素 化 合 物 の比 率 と鮮 度 との 関 係 を 明 に か に し よ う と試 み た ので あ る。 実 験 結 果 を要 約 す る と,水 溶 性 窒 素 化 合 物 は,自 家 消 化 に よ る蛋 白質 分 解 と共 に 遊 離 し腐 敗 と共 に次 第 に 増 大 す る。 そ して,水 素 イ オ ン濃 度,揮 発 性 塩基 態 窒 素 の 各 々 の 腐 敗 限界 と され て い る範 囲 とほ ぼ 一 致 す る点 に 於 い て,水 溶 性 窒 素 化 合 物 が 増 加 して い る事 よ り考 察 して 水 溶 性 窒 素 化 合 物 が640mgio以 上 に 至 れ ば,腐 敗 に 達 して い る と云 う関係 を 見 い だ した 。 水 溶 性 窒 素 化 合 物 は 極 く少 量 の 増 加 で も測 定 出 来 る 事 等 よ り,魚 獣 肉類 の腐 敗 鑑識 と して の 一 方 法 とに り 得 る と考 察 した 。 食 用ね ぎ類の 炭水化物 に ついて

西 谷 恵 子

食 用 ね ぎ類 よ り任 意 の2,3実 験 試料 と し て 反 り上 げ,そ れ らに つ い て 炭水 化 物 の 段 階 的 抽 出 を 試 み,そ の 他,炭 水 化 物 に 関 す る一 般 反 応,確 認 反 応 な ど を 並 食物 学会 誌 ・第8号 用 す る こ とに よ り,相 互 間 の 炭 水 化 物 に 於 け る関 係 を 検 討 した 。 竹材 糖 化に つい て

平 塚

砂 糖 消 費 の90,%を 外 国 か ら輸 入 して い る現 在 我 国 の 生 産 を もつ と伸 ぽ さね ば な らな い と思 う。 砂 糖 消 費 の 如 何 は そ の 国 の文 化 の バ ロ メ ー タ ー に な る とは 言 い 古 い 言葉 だ が,食 生 活 の 向 上 と共 に そ の 需 要 は 増 々増 す 事 だ ろ うと思 う。 社 会 的 に も甜 菜 の 暖 地 栽 培 と木 材 糖 化 が大 き く クmズ ア ッ プ され て い る,木 材 糖 化 と比 較 して 我 国 特 産 物 で あ る 竹 材 の 糖 化 を 試 み た 。 資 源 の 豊 富 さ と生 長 速 度 の 急 速 さ等 そ の 材 料 と して の 条 件 は 大 き い 。 木 材 糖 化 と甘 藷 澱 粉 糖 化 に よ る ブ ドウ糖 製 造 が 重 視 され て い る現 在,こ の 豊 富 な竹 の 糖 化 が 加 え ら れ た ら と思 い そ の2,3の 実 験 を 試 み た 。 〔1〕 Pulpの 調 製 方 法 Cross&Bevan改 良 法 Pulp収 量 若 竹 42°o 赤 松 40% 〔2〕Pulpの 加 水 分 解 方 法 H2SO4-5%∼30%溶 液 オ ー トク レー ブー-1∼7気 圧 加水 分 解 した 糖 液 を ベ ル トラ ン法 に よ り定 量 最 良 条 件 竹 材 5%(H2SO4) 3気 圧 加 圧 時 間 1時 間 木 材 10%「(H2SO4) 6気 圧 加 圧 時 間 1時 間 〔3〕 還 元 糖 の 定 量 方 法 (1)Paper chromatography ②Pentoseの 検 出 試 験 (3)Ketose 〃 (3)ウ ロ ン酸 の 〃 竹 材 glucose,Xylose, arabinose・ fructose 木 材glucose, fructose 〔4〕glucoseの 結 晶化 結 論 結 果 か ら云 え る事 は 竹 材 の 方 が 木 材 よ り良 質 の原 料 と な り得 る と言 う事 で あ る。 木 材 糖 化 が 工 業 化 され つ つ あ る現 在 竹 材 の そ れ も不 可 能 で は な い, そ し て そ の 資 源 は 豊 富 で あ る。

(4)

昭 和35年7月(1960) 穀 類 の 一 物 理 的 性 質 に つ い て 一 硬 度 及 びPackillg Strength

増 田 和 子

従 来 の 穀 物 の物 理 的 品 質 検 定 法 に 加 え て,穀 粒 の硬 さ及 びPacking Strengthが 品 種 及 び 品 質 の 監 定 に 適 用 出 来 るか 否 か に つ い て 実 験 考 察 した 。 こ こで 言 う Packi【lg Strengthと は,一 定 量 の 粒 状 物 体 の集 合 体 に 圧 力 が 加 わ つ た 場 合,そ の集 合 体 の 容 積 の 減 少 即 ち 歪 の 度 合 を 意 味 す る もの で あ つ て,粒 状 物 体 自身 に 対 す る 歪 を 意 味 す る もの で は な い,し か し,Packing StrengthとPacking Salidityと の境 界 を 明 確 に 知 る 事 が 出 来 な い た め に,圧 力 に 対 す る歪 の 変 化 の 仕 方 で もつ て 知 ろ うとす る も の で あ る。 故 に,粒 の 表 皮層 の 組 成 及 び 組 織 に よ る粒 の 滑 性 即 ち 摩擦 に 対 す る抵 抗 の 大 小 及 び粒 の形,大 き さ等 が これ に 関 与 す る と考 え ら れ る 。 実 験 方 法 は 硬 度 に つ い て は,手 廻 し穀 粒 硬 度 計 を,Packing Strengthに つ い て は,内 外 二 筒 か ら成 る金 属 性 の 器 具 を 使 用 した 。 本 実験 の 結 論 の み 次 に 挙 げ る。 硬 度 に つ い て 1. 同 種 属 に 於 て は,蛋 白質 含 有 量 の 多 い 品 種 程 硬 度 は 高 い 。 2.硝 子 質 の 分布 状 態 に よ り硬 度 は左 右 さ れ る。 3.精 白 す れ ば 硬 度 は低 下 す る。 4.い ず れ の 種 の 穀 粒 も硬 度 の最 高 に な る一 定 の 水 分 量 が あ り,そ の量 か ら増 加或 は 減 少 す る こ とに よ り 硬 度 は低 下 す る。 即 ち 過 度 の 乾 燥 に よ り粒 は も ろ く な り,水 分 が 増 加 す れ ば 柔 軟 性 を増 し,物 理 的 及 び 化 学 的 変 化 を 起 し易 くな る。 故 に 硬 度 の 高 い も の程 良 質 と言 え る。 5. モ ー ド値 と平 均 硬 度 値 の差 が 少 く,し か も標 準 偏 差 値 の少 さい も の 程 良 質 で あ る。 6. 種 及 び 品 種 間 の 硬 度 差 は 極 く小 さ い た め に 硬 度 か ら種 類 を 監 別 す る こ とは 出来 な い。 Packing Strengthに つ い て ユ.… 定 条 件 下 で のPacking Strengthは 種 及 び 品 種 間 の 差 が 極 少 で あ るた め鑑 別 に は不 適 当 で あ る, しか し水 分 を 増 加 或 は減 少 さ せ た 場 合 のPacking Strengthの 変 化 の仕 方 に ょ り或 る程 度 監 別 し得 る 。 2.Packing Strengthに よ り品 質 を 検 定 す る こ とは 出 来 な い 。 3.Packing Strengthに よ り粒 形 を推 測 し得 る。 即 ち,球 型 の 物 よ り卵 型 の もの に,又 偏 平 な もの よ り 丸 味 の あ る もの に 歪 の 度 合 は 多 くな る。 一47一 本 実験 の結 論 は 以 上 の 如 くで あ る が,器 具 が 不 完 全 で あ り しか も粒 形 及 び 大 き さ の 類 似 した 資料 ば か り使 用 した 為 にPacking Strengthに つ い て決 定 的 な結 論 の 出 せ な い 事 は 残 念 で あ る。 しか し,器 具 を 今 少 し 工 夫 す れ ば品 質 検 定 も不 可 能 で は な い と思 う。 葱 類の有 機酸 に つい て

安 田 良 子

葱 類 植 物 は 「ユ リ科 」 に 属 し,玉 葱,葱,ニ ン ニ ク ラ ッキ ヨ ウ,ニ ラ 等種 類 は 多 く,今 日 あ ら ゆ る料 理 に 用 い られ て い る。 既 報 に 依 る と酸 性 成 分 と し て玉 葱 に就 て は,ク ヰ チ ン,燐 酸(0.08%), リ ン ゴ酸,ク エ ン酸,-SHを 有 す る酸 そ の 他 ニ ン ニ クに 含 有 され る と同 様 の含 硫 黄 有 機 酸 等,又 葱 に就 て は,無 機燐 酸 (i1.%)の 含 有 量 最 も多 く,リ ン ゴ 酸 が これ に 次 ぎ クヰ チ ン含 硫 黄 有 機 酸 等甚 だ 僅 少 で あ る こ との み が 明 らか に され て い る。 現 在,植 物 成 分 の有 機 酸 の 分 離 と し てPaper Chr gmatographyを 応 用 した 研 究 が 試 み られ て い る折, 韮 葱,葱,ニ ン ニ ク,ワ ケギ を 用 い 第 一 次 元Paper Cbronatograghy上 昇 法 を 応 用 して 有 機 酸 の 分 離 を 行 うと共 に,酸 味 度 合 を も究 明 せ ん が た め に 本 実 験 を 行 つ た 。 ①Paper Chromatographyに よ る 有 機 酸 の 検 索 玉 葱,葱,ワ ケギ に就 ては ク エ ン酸,リ ン ゴ酸 を, ニ ン ニ クに就 て は クエ ン酸 の み を 各 々対 照 試 験 の Rf値 か ら認 め た 。 ② 総 酸,不 揮 発 酸 の定 量 。 実 験 結 果 の 数 値 よ りみ るに,双 方 の 酸 の 差 が 近 似 し て い るた め揮 発 酸 の存 在 な い も の と され る。 ③ 自然 状 態 の ま ま の搾 汁 をPHメ ー タ ー で 測 定 を行 つ た 。 酸 味 度 合 の順 位 は わけ ぎ,葱,玉 葱,ニ ン ニ ク とな る。 以 上 の結 果 依 り,普 通 私 達 が これ らを 食 した 時,辛 味 甘 味 を 感 じ る程 度 に と と ま る が,本 実 験 の 結 果,敏 感 に は 感 じな い まで も酸 味 を 呈 して い る こ とを 知 つ た 。 食 用 菌 輩 類 の 炭 水 化 物 とAmylaseに つ い て

山 名 春 子

食 用 菌 萱 類 の 炭 水 化 物 の 組 成 を 研 究 し,次 で,Am ylaseの 存 在 を 椎 茸 を 試 料 と して 認 め,そ のAmyla seがGlycogen及 び 可 溶 性 澱 粉 基 質 に どの 様 な傾 向

(5)

一48一 を 示 す か を 研 究 し,そ の結 果Amylaseと 炭 水 化物 の 関 係 を 検 討 した 。 グ リ コー ゲ ン量 に よ る 腐 敗 の 鑑 識 に つ い て

吉 本 恭 子

牛 肉 と鮒 肉 を 試料 と して グ リ コー ゲ ン含 有 量 を 測 定 し,従 来 よ り鮮 度 検 定 法 と して認 め られ て い 化 学 法 即 ち 水 素 イ オ ン濃 度 の測 定 と揮 発 性 塩 基 態 窒 素 の 定 量 を行 い,こ れ 等 を総 合 的 に 考 察 す る こ とに よつ て鮮 度 鏡 定 と して の 一 方 法 を設 定 し よ うと試 み た 。 最 近に於 ける 京都地 方住民 の 栄 養摂取 状態 につい て

二部

上 田 美 和 子

厚 生 省 実 施 の 国民 栄 養 調 査 に よる1人1日 当 の栄 養 摂 取 量(1955∼1953年 の平 均 値)を 用 い京 都 市 部及 び 京 都 郡 部,並 び に 全 国平 均 大 阪 市 部 間 に お い て栄 養 摂 取 状 態 を 比 較 した 。 更 に 栄 養 摂 取 状 態 を判 定 す る為 に 1959年7月 に 厚 生 大 臣 の諮 問 機 関 で あ る栄 養 審 議 会 が 1962年 を 目標 と して 答 申 した 「日本 人 の 食 糧 構 成 」 の 栄 養 の 摂 取 量 を 理 想 値 と した とき の 実 際 摂 取量 が 示 す 最 近 の栄 養 摂 取 状 態 に つ い て 考 察 した 。 京都 市の食 糧 問題の栄 養学 的考察

二部

林 田 恵 里 子

昭 和33年 度 を 対 象 に して 諸 種 の 統 計 に 基 き,京 都 市 民 の 栄 養 摂 取 量 の実 態 を 把 握 し,特 に 食 品 購 入 数 量 よ り求 め た 栄 養 摂 取 量 と,国 民 栄 養 調 査 に よ る京 都 市 民 の栄 養 摂 取 量 を 比 較 す る事 に よつ て,食 品 購 入量 よ り 栄 養 摂 取量 を 算 出 す る こ と の是 非 を 検 討 した 。

工 藤 教 授 指 導

南 瓜の成 分 につい て

森 下 雅 子

南 瓜 は 澱 粉 糖 分 に 富 み.巣 養 価 も高 く疏 菜 と同 時 に 主 食代 用 と して,重 要 な 食 品 で あ る。 そ の ま ま食 用 に 向け られ る外,製 粉 製 菓,製 飴等 の 加工 原 料 と して も 利 用 され る。 食 用 疏 菜 と して の本 植 物 が 栄 養 学 的 に 如 何 な る成 分 を 含 有 す るか を究 明 す る と共 に,カ ロチ ン の調 理 加工 に お け る変 化 に つ い て 検 討 す べ き 実 験 を 試 食 物 学 会 誌 ・第8号 み た 。 京 都 伏 見 産 の 菊 座 南 瓜 の 可 食 部 を メ タ ノ ー ル に て 温 浸 抽 出 し.そ の メ タ ノ ー ル エ キ ス を 常 法 に 従 つ て 処 理 し,呈 色 反 応,及 び ペ ー パ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー の 結 果,遊 離 ア ミ ノ酸 と し て は,Histidine・Arginine,

Threonine, Glutamic acid, Alanine, Phenyl-ala-nine, Leucine,を,遊 離 糖 と し て は, Fructose, Gl-ucose, Sucrose.の 存 在 を 検 出 し た 。 カ ロチ ン の 調 理 加 工 に 於 け る 変 化 と し て,加 熱 温 度 と 時 間 に よ る 総 カ ロチ ン量 の 変 化 とZO°o-一食 塩 水,食 酢 に 浸 した 場 合 の 総 カ ロ チ ン 量 の 変 化 を 試 み た,夫 々 の 処 理 を 施 し た 資 料 を 用 い,カ ロ チ ン の 抽 出 を 行 い 光 電 比 色 計 に よ り,吸 光 度 を 求 め 総 カ ロ チ ン量 を 算 出 し た 。 結 果 と し て,加 熱 温 度 と時 間 に よ る変 化 で は, 20分 迄 は,200,40。Cで は 殆 ん で 変 化 な く,1000Cで け 約0%が 分 解,100℃,60分 で は 約23%の 分 解 が 認 め られ た 。 10%一 食 塩 水,食 酢 に 浸 し た 場 合 の 変 化 で は,10時 間 以 内 で は 殆 ん で 変 化 な く,15時 間 に 至 つ て は,35∼ 40°oの 分 解 が 認 め られ た 。 浜防 風 の成分 研究

大 脇 厚 子

浜 防 風 の 乾 燥 葉1.7kgを メ タ ノ ー ル で 抽 出 し,そ の エ キ ス を 常 法 に 従 つ て 処 理 濃 縮 液 よ り黄 褐 色 の 粗 結 晶 約1.5gを 得,50°oア ル コ ー ル 及 び 熱 水 に て再 結 晶 を 繰 り返 し 淡 黄 色 針 状 結 晶600mgを 得 たHCI‐reg反 応, 濃 紅 色,FeCI:;反 応,暗 緑 色, Molisch反 応,(+), Fehling反 応(一),稀 酸 に よ り, 加 水 分 解 した 後 は Fehling著 し く還 元 す る 。 又,ア ル コ ー ル 溶 液 は 紫 外 線 に よ り螢 光 を 発 す る 。 故 に 本 結 晶 は,フ ラ ボ ン系 色 素 配 糖 体 と推 定 。 ペ ー パ ー ・ フ ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で 検 討 した 結 果2箇 の ス ポ ヅ トを 確 認,そ の 間 の1箇 は 純quercitrinと Rf値0.459に 於 て 全 く一 致,又,ク ロ マ トグ ラ ム 上 の ス ポ ッ トの 呈 色 は,塩 基 性 酷 酸 鉛(飽 和 水 溶 液)に よ つ て 澄 黄 色,過 ク ロ ー ル 銀(2%メ タ ノ ・一ル 液)に て 緑 色,塩 化 ア ル ミ ニ ウ ム に よ り黄 色 。 こ の2箇 を 分 別 単 離 す べ く ア ル ミナ に よ る 吸 着 フ ロ マ トグ ラ フ ィ及 び シ リ カ ゲ ル に よ る 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー を 試 み た が 完 全 に 分 別 出 来 な か つ た 。 さ らに 結 晶 を5%のH2SO4に て 加 水 分 解,一 一旦 溶 解 し た 後 折 出 す る 結 晶 を 局 方 ア ル コ ー ル に よ り再 結 晶 を 繰 り返 し鮮 黄 色 を 結 晶 を 得 た 。 融 点300QC以 上 で 分

(6)

昭 和35年7月(1960) 解 冷 水 に 不 溶,熱 水 に や や 溶,冷 ア ル コ ー ル に 難 溶, 熱 ア ル コ ー ル に 易 溶,Molish反 応(一), FeCl反 応 暗 緑 色,ア ン モ ニ ア 性 銀 液 を 著 し く 還 元 す る 。 ペ ー パ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー一に よ り 検 討 した 結 果 Rf値 及 び ク ロ マ ト グ ラ ム 上 の ス ポ ッ トの 呈 色 に 於 て, quercetinと 全 く一・致 元 素 分 析 の 結 果C15H1・07に 一 致 故 にaglyconeはguercetinで あ る こ とを 確 め た 。 又,加 水 分 解 後 の 炉 液 を 炭 酸 バ リ ウ ム で 中 和 炉 過 し 炉 液 を 減 圧 濃 縮 し シ ロ ッ プ 状 と し オ サ ゾ ン の 生 成 に よ り単 糖 類 の 存 在 を 認 め,ペ ー パ ー ・ ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー で 検 討 した 結 果 ,glucose及 びRhamnoseを 確 認 し た 。 以 上 の 結 集 よ り浜 防 風 の 葉 よ り分 離 し た 結 晶 はque rcetin系 の 色 素 配 糖 体 でguercitrinと 恐 ら くguer cetinをaglycolleと しglucoseを 糖 と し た 配 糖 体

2種 が 含 ま れ て い る こ と を 認 め た 。

鶏の肝臓の成分研究

求 上 令 子

Amino-Sugar類 は糖 とAmino Acidと の 中 間 に 位 す る も の と し て 古 く よ り生 化 学 的 関 心 を 持 た れ,研 究 さ れ て 来 た が,そ の 生 化 学 的 意 義 の 認 識 の 増 大 と共 に 最 近 特 に 盛 ん に な つ て 来 た 。 生 体 よ りIso-Glucosa mineを 発 見 し た の はGottschalkが 初 め て で あ る が Borsook等 はHo91iver中 よ り蛋 白 生 合 成 の 促 進 因 子 と し てAmino Acid lsoglucosarnineを 発 見 し て い る が,し か し天 然 物 中 よ りのAmino-Sugar類 の 単 離 に 関 し て は 研 究 さ れ つ つ も 余 りそ の 成 果 は み ら れ て い な い 。 私 は 鶏 肝 臓 を 用 い てN-Glycosideを 単 離 し,そ の 性 質 を 明 らか に な す べ く本 実 験 を 開 始 し た 。 鶏 肝 臓 を7%ト リ クmル 酷 酸 に て 抽 出,凍 結 乾 燥 し た も の に つ い てPaper Chromatography及 び 呈 色 試 験 の 結 果,遊 離Amino Acidと し てAlanine, Leucine, Iso-leucine, Arginine, Proline, Serine, Aspartic Acid, Glutamic Acid, Phenylalanine, Threonine, Lysineを,遊 離 糖 と し て Glucose, Fructoseの 存 在 を 確 認 し た 。 又 イ ナ ン 交 換 樹 脂 に

よ り吸 着 分 離,再 凍 結 乾 燥 し て エ ー テ ル 及 び ア ル コ ー ル の 等 量 混 合 物 よ り褐 色 の 沈 澱 を 得 た 。 呈 色 反 応 及 び Peper Chromatographyに こ よ り検 索 結 果N-Gly-eosid e存 在 が 推 定 さ れ た 。 糖 はGlucoseで あ つ た が,Amino Acid,と し てProline, Glutamie acid, Alanine.及 び 不 明 のSpot 1つ を 得 た 。 こ の 結 晶 はN-Glycosideと 推 定 さ れ る が,そ れ は 単 一 な も の で な く,GlucoseとProline, Alanine, Glutam一

.・ ic acid又 は 不 明 のSpotの い ず れ か1つ と 結 合 し た N-GlycosideとAmino acidの 混 在 物 と 考 え ら れ る 。 が しか し 非 常 にalcoholに 易 溶 性 で あ る こ と はProlineの 含 量 の 多 い こ と も 想 定 さ れ る が,他 の Amino Acidも 混 在 し て い る こ とか ら,少 く と も, い く らか 不 溶 の も の も み られ る の で あ る が.こ の 実 験 か ら は 得 られ な か つ た 。 得 られ た 結 晶 が 微 量 で あ つ た 為,更 に 精 製 し て,そ の 化 学 的 物 理 的 性 質 を 求 明 す る に 至 ら な か つ た 。 魚 貝類 筋 肉 中 のTaurire定 量

藤 川

Taurineは 、 CH2-SO3H i C H2NH2 の 分 子 式 を 持 つ ア ミ ノ酸 の 一 種 で あ る 。

1824年 にGmelinに よ つ て 牛 の 胆 汁 中 よ り発 見 さ れ (牛 の 意)Taurineと 名 づ け ら れ た も の で あ る 。 動 物 体 に 広 く分 布 し 軟 体 動 物 の 筋 肉 に 最 も 多 く,次 い で,甲 殻 類 の 筋 肉 が こ れ に 次 ぎ,背 椎 動 物 の 筋 肉 に は 微 量 存 在 す る と い わ れ て い る 。 又Taurineは 市 原 氏 に よ る と生 体 解 毒 の 作 用 あ り,赤 松 氏 は 脂 油 の 消 化 吸 収 を 促 進 し,内 服 す れ ば 胆 汁 の 分 泌 を 増 進 す る と, と い わ れ,薬 理 作 用,生 理 作 用 を 持 つ 重 要 な ア ミ ノ 酸 と さ れ て い る 。 筆 者 はTaurine含 有 す る 食 品 の 利 用 上 重 要 な 意 義 が あ る と み な し,定 量 を 行 つ た 。 先 ず 京 都 市 阪 の 新 鮮 な る タ コ(9月)(10月)(11月)(7月)の 四 種 と シ ジ ミ,ハ マ グ リ,カ キ,ナ マ コ,ア カ 貝,ト リ貝,ア ワ ビ,乾 燥 ア ワ ビ の 試 料 を そ れ ぞ れ100gを 使 用 した 。 (1)試 料 を5倍 の 水 に て 抽 出 し 活 性 炭 に て 脱 色 した 。 (2)イ オ ン 交 換 樹 脂Amberlite IR-120をHC1で 活 性 化 した も の に(1)の 抽 出 液 を 通 し,ア ミ ノ 酸 を 吸 着 さ せ,糖,無 機 質 を 除 去 し,最 後 に ア ミ ノ 酸 を ア ン モ ニ ア 水 に て 溶 出 し,ア ン モ ニ ア 分 を 減 圧 下 に て 除 去 し た 。 (3)Paper-chromatography一 次 元 上 昇 法 に よ り 11・ ブ タ ノ ー ル:酢 酸:水(4:1:2)の 溶 媒 に て(2) の 液 を 展 開 し,Taurin・eを 検 出 し.そ のSpotを 細 く き ざ む 。 (4)Spotを ニ ン ヒ ド リ ン(500mgの ニ ン ヒ ド リ ン と50 mgのSnCl2-2H20を50mgの メ チ ル セ ロ ソ ブ レ に 溶 か し,1N-NaOH25m1と 酢 酸25m1を 加 え

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一一一一50一 た も の)3mlピ リ ヂ ン 水1mlに て 色 を 溶 出 し,更 に1mlのn・ プ ロ ピ ル ァ ル コ ー ル:水(1:1)の 混 合 液 に て 完 全 に 色 を 抽 出 し た 。 (5)着 色 した 色 を 光 電 比 色 計 に て 測 定 し,Standerd Curveよ り定 量 した 。 タ コ(7月)0.18°o タ コ(10月)0.83io ナ マ コ 0.40°o ハ マ グ リ 1.08io カ キ 1.13io 乾 燥 ア ワ ビ1.26% タ コ(9月)0.63% タ コ(11月)0.66% シ ジ ミ 0.11°o ア カ 貝 0.... ア ワ ビ 0.96% ト リEl 1.66% で あ つ た,本 実 験 に よ り中 し添 え て お き た い 事 は 前 述 に て記 述 したTaurine含 量 は 軟 体 動 物 次 い で 甲殻 類 筋 肉 中 に 多 い とい う事 で あ りま した が,筆 者 の 行 つ た 実験 に て は 甲殻 類 な る ト リ貝,カ キ,ハ マ グ リ,ア ワ ビ,ア カ貝 が 多 く,次 い で 軟 体 動 物 の タ コ,ナ マ コ の 順 とな つ た 。 我 国に於 ける食器 の変遷 に ついて

井 上 武 子

食器 とは 如 何 な る も の か とい う事 を述 べ な け れ ば な らな い が,現 代 史 の 上 で 食 器 を 取 扱 う場 合 は お そ ら く 住 生 活 とい う空 間 構 成 に し め る位 置 を 述 べ な け れ ば な らな い だ ろ う。 しか し,そ れ は 今 後 の課 題 で あ る と思 う。 我 々は 毎 日食 器 に,調 理 され た 食 物 を 盛 つ て 食 事 を して い る わ け で 乳 児期 を 除 い て 生 活 の 必 需 品 で あ る が,故 に 食 器 は 文 化 生活 と切 り離 す 事 が 出 来 ず,日 本 文 化 史 の 時 代 区 分 を 通 じ て,当 時 の 食事 情 を窺 う事 に よ り,食 器 の 変 遷 を概 説 す る に あ る。 ロ本 文 化 史 を 通 して 食 器 の 消 長 を 知 る事 は そ の 時 代 の 風 俗 を 知 る事 で あ り,現 代 の生 活 に も示 唆 を 与 え るえ とに な る で あ ろ う。古 代 か ら石 器 ・金 属 器 時 代 の 頃 まで は 生 産 と消費 は 過 不 足 な く行 わ れ,蓄 積 は そ の 必 要 も な く,又,自 然 に 依 拠 す る所 の 多 か つ た 当 時 は そ れ だ け 前 科 学 的 な 生 活 が 行 わ れ,食 器 も又,そ れ らを 裏 づ け る様 に,単 に 土 を こね た もの,木 を うが つ た も の 等 で あ つ た 。こ の 事 自 身 は 世 界 史 の発 達 過 程 に 於 て も 同 じで あ る。 唯 そ の 間 に 大 陸 続 きで な か つ た 日本 は そ れ 故 に 地 理 的 に 輸 入 文 化 の 影 響 と歴 史 的 に 伝 統 の風 潮 の特 徴 と して 育 つ て い つ た とい え る。 奈 良 時 代 へ 移 行 す る と 中 国 の 行 事 も 多 量 に 伝 わ り瑠 璃 や 金 属 製 の 食 器 が 見 うけ られ た 。 平 安 朝 で は 国風 尊 重 の 思 想 が.流 行 し,当 時 の公 卿 は 銀 や 銅 の 高 価 な 食 器 を用 い て い た が 一般 で は ま だ そ の一ヒ製 木 製 が使 用 され て い た に 過 ぎな い 。 鎌 倉 時 代 に は 武 家 食 物 学 会 誌 ・第8号 の信 仰 す る。 禅 宗 の 文 化 風 俗 と共 に 食 器 が一 般 に な が れ,従 つ て,食 事 情 は 簡 素 で あ つ た 。 室 町 時 代 は 将 軍 の花 や か な生 活 の た め に 食 礼 が 発 達 し,又 膳 が 用 い ら れ た の は 当 時 の 特 色 で あ り,又,中 国 風 料 理 が もた ら され,薬 用 飲 料 と して の 茶 が 後 に 「数 寄 」(茶 の 湯 の 事)と し て行 わ れ た の も 食 物 史 上 重要 で あ る。 安 土 桃 山 時 代 に は 南 蛮 文 化 が 輸 入 され,食 事 情 も一 時 に 明 る くな り,食 羅 は金 の 砂 子 を 交 え た 蒔 絵 の もの もあ り, 又 楽 焼 も行 わ れ た 。 そ し て 懐 夷,開 国 の両 論 が1唱え ら れ,大 政 奉遷,鹿1鳴 館 時 代 を 迎 え,い よい よ 日本 の 近 代 化 が 進 め られ,食 器 は 広 く大 衆 の手 に 渡 り,そ の機 能 化 は よ り健 康 な生 活 を 築 こ う と し て い る。 そ して 世 界 文 化 との 交 流 の 中 で 日本 の 伝 統 が 現 代 に 生 きて い る の も それ らの 消 息 を 物 語 つ て お り,グ ッ ドデ ザ イ ンの 民 芸 品 が 誕 生 す る の も うた が い を 入 れ な い もの と思 わ れ る。 私 は 食 器 の 変 遷 を 見 て 伝 統 の問 題 が現 代 の 食器 の 上 に 息づ き,食 生 活 の み な らず,文 化 生 活 の 向 上 を に な つ て い る こ とを 力 説 した 。 うどの 成 分研究

藤 井 和 子

う ど は う こ ぎ 科 に 属 す る 多 年 生 草 木 で,山 野 に 生 じ 畠 に も栽 培 せ られ お よ そ1.5∼2.Om内 外 と な る 。 京 都 市 中 央 市 場 よ り入 手 した う ど を そ の 圧 出 液 及 び 温 湯 抽 出,メ タ ノ ー ル 抽 出 し た も の を 常 法 に よ り処 理 し,ペ ー パ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー 及 び 呈 色 反 応 に よつ て,遊 離 ア ミ ノ 酸 と し て は ロ イ シ ン,パ リ ン の 必 須 ア ミ ノ 酸 と グ ル タ ミ ン,ア ラ ニ ン 。 ア ス パ ラ ギ ン,グ ル タ ミ ン 酸,ハ イ ド ロ オ キ シ プ ロ リ ン,セ リ ン,ア ス パ ラ ギ ン 酸 の9個,蛋 白 質 構 成 ア ミ ノ酸 で は ロ イ シ ン,パ リ ン グ ル タ ミ ン,ア ラ ニ ン,ア ス パ ラ ギ ン,グ ル タ ミ ン 酸 ハ イ ド ロ オ キ シ プ ロ リ ン,セ リ ン の9個 の 存 在 を 確 認 し た 。 遊 離 糖 に つ い て は グ ル コ ー ス,ガ ラ ク トー ス, マ ル トー ス,ア ラ ビ ノ ー ス の4個,有 機 酸 と し て リ ン ゴ 酸 と他1個 の 不 明 の ス ポ ッ トを 得 た 。 又,塩 基 性 酷 酸 鉛 水 溶 液 に よ る 沈 澱 物 よ り窒 素 配 糖 体 で あ る グ ル コ サ ミ ン と 同 様 の 呈 色 反 応 を 示 す が,ブ タ ノ ー ル:酷 酸: 水(4:1=5)の 上 層 を 用 い て ペ ー パ ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー を 行 つ た 結 果,0.17のRf値 を も つ 黄 色 結 晶 が 析 出 した 。 鶏卵殼の 特 殊成 分に つい て

湯 浅 和 子

ラ ン チ オ ニ ン の 研 究 は1941年HORN及 び, BRO

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昭 和35年7月(1960) UN氏 等 に よつ て,羊 毛 か ら初 め て,新 含 硫 黄 ア ミノ 酸 ラ ンチ オ ニ ンが 単 離 され て い る。 そ の 後 井 上 氏 等 は HORN氏 等 の 方 法 に よ り,蚕 が 殻 よ りラ ン チ ォ ニ ンを 単 離 し得,HORN, BROUN氏 等 の得 た も の と一 致 す る こ と を 確 か め,又 更 に 一 つ の 末 知 異 性 体 ラ ンチ オ ニ ンを も単 離 した と 報 告 して い る。 しか しい ま だ い か に して ラ ンチ オ ニ ンが 生 成 され る の か 明 らか に され て は な く,単 離 の 際 炭酸 ソ ー ダ 水 溶 液 処 理 に よ り シス チ ンの 如 き 含 硫 黄 ア ミノ酸 か ら生 成 され た 第 二 次 的 変成 物 で あ ろ うと も考 え られ て い る,CALV ERYは 鶏 卵 殻 に 関 す る研 究 を 行 つ てお り,シ スチ ンの 存 在 を 確 認 して い る,こ の こ とか らラ ンチ オ ニ ン の存 在 を究 明 せ ん が 為 本 実 験 を 開 始 した の で あ る,稀 塩 酸 アル コール で 精 製 した る鶏 卵 殻 を 用 い て,井 上 氏 等 の 方 法 に よ り,ラ ンチ オ ニ ンの 検 索 を 試 み た,鶏 卵 殻 を2 %炭 酸 リー ダ水 溶 液 に て 煮 沸 した 後,塩 酸 で 加 水 分 解 ,そ の液 を 濃 縮 し,無 水 アル コ ール に て 溶 解,ピ リ ジ ンを 加 え て 一 夜 冷 蔵 庫 に 放 置 した 結 果 結 晶 の析 出 を 認 め 得 なか つ た の で ペ ー パ ー ク ロマ トグ ラ フ ィー に よ る 検 索 を 試 み た,殻 蛋 白 を5倍 量 の8規 定 酸 で 分 解 そ の 濃 縮 液 を 用 い て ア ミ ノ酸 の検 索 を 試 み た 結 果,シ ス チ ン,リ ジ ン,ヒ ス チ ジ ン,グ リ シ ソ,グ ル タ ミン酸, プ ロ リン,バ リ ン,ロ イ シ ンの8個 の ア ミ ノ酸 を 確 認 し,又 遊 離 糖 と し て は マル トー ズ を検 出 確 認 し得 た 。 い か の タ ウ リ ン含 有 量 に つ い て

松 田 邦 子

い か は 軟 体 動 物,頭 足 綱 に 属 し我 が 国水 産 物 上 重 要 な位 置 を 占め る も の の 一 つ で あ つ て広 く一般 に 生 食 せ られ て お り,又 い か 蛋 白 中 に は タ ウ リ ンを存 し これ が 胆 汁 の 分 秘 及 び そ の 他 の 諸 病 薬 に 効 作 用 を有 す る と さ れ て い る 。 そ こで 最 も一 般 食 用 に供 さ れ て い る所 の五 種 い か( ス ル メ イ カ,ハ リイ カ,モ ンゴ イ カ,ケ ンサ キイカ,ミ ミイ カ)を 取 り上 げ 種 類 別 に よ る タ ウ リ ン含 有 量 を 比 較 検 討 した。 まず 試 料 を 倍 量 の 水 で 抽 出 後 タ ンニ ン酸 及 び 塩 基 性 酷 酸 鉛 に て処 理 した 後 減 圧 濃 縮 しそ の 濃 縮 物 を イ ナ ン 交 換 樹 脂 及 び ペ ーパ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィーを 用 い て タ ウ リンを 分 離 し呈 色 斑 抽 出 比 色 法 に よ り定 量 を行 つ た そ の 結 果 試 料 ユ009中に スル メ イ ヵ一61.9_ngケ ンサ キ イ カー50mg,ミ ミイ カー26,1mgモ ン ゴ イ カー41rng ,ハ リイ カ ー-32.4mgの 数 種 を 得 た。 又 そ の 他 の ア ミノ酸 を 検 索 した 結 果 五 種 い か共 通 し 一51一 て 認 め られ た の は リ ジ ン,ヒ ス チ ジ ン,グ リ シ ン,タ ウ リ ン,プ ロ リ ン,バ リ ン,ロ イ シ ン を 更 に 種 類 に よ つ て は シ ス サ ン,ア ル ギ ニ ン,ト リ プ トフ ァ ン な る ア ミ ノ酸 の 存 在 す る 事 を 明 らか に し た 。 や まの い もの 多糖類 につい て

船 越 啓 子

や ま の い もに 関 す る 研 究 報 告 は か な り多 い が,そ の ほ とん どが 蛋 白 質 に 関 す る研 究 で あ る ので や ま のい も の 炭水 化 物 特 に 多 糖 類 につ い て そ の 構 成 々 分 の 検 索, そ の量 的 割 合 及 び 分 子 量 の 測 定 に よ り,そ の 構 造 及 び 分 子 式 を 明 らか に す る こ とを 目的 と して本 実験 を 開始 した 。 資 料 は や ま の い も の近 種 で あ る 長 い もを 用 い, 長 い もユ00gに 蒸 溜 水11を 加 え て ミキ サ ーに か け撹 伴 後 綿 布 で 濟 して ジ ュ ー ス を 得,こ の ジ ュー ス を 静 置 し て 上 澄 液 を減 圧 濃 縮 後 無 水 ア ル コ ール を 加 え て 沈 澱 を 生 じ させ これ に1%苛 性 ソ ー ダ 溶 液 を 加 え て 熱 し溶 液 を 溶 した 。 こ の 時 溶 解 しな か つ た も の をA物 質 と し溶 解 した もの を 濃 縮 後 無 水 ア ル コ ー ル を 加 え て 沈 澱 させ これ と同 方 法 で3回 精 成 して 得 た 物 質 をB物 質 と し た 。 A物 質 は 暗 褐 色不 定 形 物 質 で 水 分 を 含 む 時 は 海 藻 様 状 態 を 呈 し,水,ア ル コ ール,ベ ンゼ ン,ク ロ ロホル ム,エ ー テ ル に 不 溶 で 弱 酸 弱 アル カ リに 対 して は 熱 時 に 微 量 溶 解 し,強 酸 強 アル カ リ と共 に 熱 す れ ば か な り とけ る。 呈 色 反 応 及 び ペ ー パ ー ク ロマ トグ ラ フ法 に よ りA物 質 構 成 々 分 を 検 索 した 結 果 糖 類 と して はMan nose, Glucose,ア ミ ノ酸 と し て はLeucine'Alanine, Arginine, Histidineの 存 在 を 認 め さ らに燐 を 検 出 し 微 量 の窒 素 の 存 在 を 認 め た 。 定 量 の 結 果,糖21.5°o, 燐1.56%を 含有 す る こ とを 認 め た 。 B物 質 は 灰 褐 色 の粉 末 状 物 質 で 水 に 易 溶,ベ ンゼ ン ,エ ーテ ル,ア セ トンに 不 溶,無 水 アル コ ール に は不 溶 で あ るが 局 方 アル コ ール に は 微 量 溶 解 し,50%ア ル コー ル に 可 溶,酸 アル カ リに も可 溶 で あ る。 呈 色 反応 及 びペ ーパ ー ク ロ マ トグ ラ フ法 に よ る構 成 々分 検 索 の 結 果 糖 類 と してArabinose Galactose,ア ミノ酸 と してLeucine Valine, Threonine, Arginine, Hist idineの 存 在 を認 め,さ らに 燐 を 検 出 し,微 量 の 窒 素 の 存 在 を 認 め た 。 定 量 の結 果 燐1...,を 含 有 す る こ と が 判 明 した が,糖 は 少 量 の 為 定 量 出 来 なか つ た 。AB 両 物 質 共 糖量 が 少 な過 ぎ る よ うに 思 わ れ る の で さ らに 加 水 分 解 の 方 法 や 定 量 法 を 検 討 す る必 要 が あ る と共 に 構 成 々分 に 関 して 一一層 の 検 索 を 試 み る必 要 が あ り今 後 の 研 究 に 待 ち た い と思 う。

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一52一 フキの成 分研究

塚 本 喜 美 子

フ キ ノ トウ 根 に 関 し て は,既 報 の 文 献 を 多 く,特 殊 成 分 を 数 種 見 い 出 さ れ て お り,医 薬 品 珍 味 品 と し て 利 用 価 値 も相 当 高 い が,フ キ の 葉 に つ い て の 研 究 は 少 く 又2.3の 利 用 法 を 除 い て は 一 般 の 利 用 価 は 低 く廃 品 に 類 し て い る。 そ こ で 私 は,フ キ の 葉 茎 が 食 品 と し て, 如 何 な る 栄 養 学 的 価 値 を 有 す る か,又 これ らに い か な る 成 分 を 含 有 す る か を 究 明 す る た め に 本 研 究 を 行 つ た 所,少 々 の 知 見 を 得 た の で こ こ に 記 す 。 本 実 験 試 料 と し て 水 ブ キ(缶)10kg,乾 燥 水 ブ キ 3.81kgを メ タ ノ ール で 抽 出 し,常 法 で 処 理 し た 所(飽 和 酷 酸 鉛 に よ る 沈 澱 を 炉 取 し,水 中 に 懸 濁 さ せ,H 2Sで 脱 鉛 し,炉 液 を 濃 縮 し た 後 に つ き,)無 色 の 結 晶 0.459を 得 た 。 本 物 質 は 熱 水,MeOH, EtOH,熱A cetone,熱 氷 酷 に 易 溶,ベ ン ゼ ン, CHC13に 不 溶, モ ー リ ッ シ ュ 反 応 は 陽 性 で 熱 時 フ ェ ー リ ン グ 試 薬 を 還 元 し,リ トマ ス 紙 に よ り微 酸 性,叉 オ ル シ ン 塩 酸 反 応 は 陰 性 でSkatole反 応 は 陽 性 で あ る 事 に よ り, Hex oseで あ る と 確 認 し, mpを 測 定 した 所214。 で 分 解 し た 。Paperchromatography に よ り,本 物 質 はD-Mannoseで あ る 事 を 検 出 し,再 に 本 物 質 のOsz.を 生 成 し,そ の 融 点 を 測 定 し た 所mp 196∼197。 でMa nnoseのOsz.と 混 融 す る に 融 点 の 降 下 を み と め な か つ た 事 に よ り,本 物 質 はD-Mannoseで あ る と 確 定 した 。 そ の 他 遊 離 糖 と し て は,呈 色 反 応 及 びPaperchrom atographyに よ り, Raffinose, Glucose, Fructose を 確 認 し た 。 又 常 法 よ り有 機 酸 を 結 晶(粗)状 態 で1.09得,本 物 質 は 熱 稀 ア ル コ ー ル に 可 溶,冷 水,無 水 ア ル コ ー ル に 難 溶,ア セ ト ン に 不 溶 で あ つ た 。 又 モ ー リ ッ シ ュ反 応 フ ェ ー リ ン グ 反 応 は 共 々 陰 性,カ ル ボ ン酸 の 検 出,不 飽 融 合 の 検 出 は 陽 性 又 芳 香 核(ベ ン ゼ ン核)カ ル ボ ン 酸 の 試 験 は 陰 性 で あ つ た 。Paper chronatography を 行 つ た 所 未 知 のSpot 1個 を 得 本 物 質 を 確 認 す る 事 が 出 来 な か つ た 。

又 遊 離 の 不 揮 性 有 機i酸 と し て は,Tartaric acid, Citric acid, Malic acid, Picric acid, Malonic ac id, Adipic acid, Fumalic acidを 確 認 し た 。

又 遊 離 の ア ミ ノ酸 と し て は,イ オ ン交 換 樹 脂 に 通 し て ア ミ ノ酸 を 吸 着 さ せ る 方 法 及 びHC豆 で 加 水 分 解 し た 後 に つ き,呈 色 反 応 及 びPaperchromatography

を 行 つ た 所, Serine,91utamic acid, Threonine・

食 物学 会 誌 ・第8号

Proline, Histidine, Lysine, glycine Alanine, Cy stine, Phenyl alanine, iso-Leucine, Arginineと 不 明 のSpot 1個 を 確 認 し た 。 又,飽 和 塩 基 性 酷 鉛 を 加 え た 残 査 を 処 理 し た 後 に つ き,結 晶 の 析 出 は み と め な か つ た が,配 糖 体 試 験 を 行 つ た 所,極 く微 量 の フ ラ ボ ン 配 糖 体 の 存 在 を み と め た 。 以 上 の 実 験 に よ り,比 較 的 多 種 の 必 須 ア ミ ノ酸 を 含 有 し て お り,栄 養 学 的 価 値 が 低 い と は 一 概 に 伝 え ぬ と 思 う。 む し ろ 程 ん ど 廃 品 に 類 し て い る フ キ の 葉 の 食 品 と し て の 利 用 法 を 考 え,日 常 生 活 に 普 及 す べ き で あ る と 思 う。 牛肝臓 の 特殊成 分 につい て 村 川 ト シ 子 Liverの 栄 養 学 的 意 義 は 高 く,食 品 面 か ら も,一 般 成 分 分 析 値 は す で に 発 表 さ れ て い る が 動 植 物 界 に 存 在 す る と い わ れ る Glucoprotein又 はMucoprotein と 称 さ れ る 糖 蛋 白 質 に つ い て の 研 究 は な さ れ て い な い 。 糖 蛋 白 質 の も つ 生 物 的 特 異 性 は 生 体 に お い て 重 要 な 意 義 を 持 つ て 居 り,こ れ ま で 多 数 の 研 究 者 に よ り 報 告 さ れ て い る が,中 で も近 年 の 報 告 で は,1955年 Henry.Brsook, Adolph Abrams等 に よ り, Rabit reticulacytes又 は.Ho91iverよ りFructose-Am

ino acidを 分 離iし か っ 合 成 比 較 し て い る 。

そ こ で 著 老 は 屠 殺 場 よ り新 鮮 な 牛 肝 臓 を 入 手 し て, こ れ よ り ア ミ ノ酸 の 蛋 白 合 成 刺 戟 物 質 た るN-Glycol ideを 分 離 し,牛 肝 臓 中 よ りか か る 特 殊 成 分 を 見 出 す べ く本 実 験 を 開 始 した の で あ る 。 生 牛 肝 臓2kgを Trichl or acetic acidに て 抽 出 処 理 し た 結 果,炉 液 中 よ

り白 色 穎 粒 状 結 晶 約49を 得 る と共 に 呈 色 反 応 及 び Paperchromatographyに よ つ て, Borsook等 が 研 究 報 告 し て い る 活 性 有 効 物 質 た るFructoseとAm

ino acidと し て Glutamic acid, Alanine, Glyc ineが 牛 肝 臓 に も存 在 す る 事 を 確 認 し,同 時 に 遊 離 糖

と して,glucose, Lactose, Sucrose.を 又 遊 離 ア ミ ノ酸 と し て,Arginine, Methionine, Proline, Hist idine, Lysine, Serine, Threonineの 存 在 す る 事

を 明 ら か に し た 。 又 牛 肝 臓 よ り数 個 のAmino acid がPeptide結 合 を な し そ れ に 燐 の 結 合 した る 特 殊 な 結 晶 を 単 離 した の で あ る が,そ れ が 如 何 な る 序 列 で 結 合 し て い る も の で あ る か に つ い て は 時 間 の都 合 上 究 明

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昭 和35年7月(1960) 有色 肉 と白色肉 との ア ミノ酸組成

河 本 久 子

有 色 肉 を 有 す る 鮪 と 白 色 肉 を 有 す る鮮 の 蛋 白 に つ い て,硫 酸 分 解 と水 酸 化 バ リ ウ ム 分 解 を 行 い,そ の 濃 縮 液 に つ い て 呈 色 反 応 をPaperchromatographyを 試 み た 結 果 鮪 蛋 白 中 よ り1.histidine,2. oxyproline, 3.alanine, 4. Proline, 5. tyrosine,6. aspartic acid,7. glutamic acid, g, serine, g. isoleueine, 10.threonine,11. lysine,12. glycine, 13. argin ine,14. leucine,15, tryptophane, 16, phenyl alanine,17. vaIineの17種 のAmino-acidを 確 認 し 又30gの 乾 燥 鮪 肉 よ り硫 酸 分 解 に よ り45.5mgの tyrosineの 結 晶 を 得 た 。

一 ・方 癬 の 蛋 白 に つ い て は1.tryptaphane,2. asp artic-acid,3, glutamic acid, 4. alanine,5, vali ne,6. methionine,7。 isaleucine,8. leucine,9.

lysine, 10. proline, 11. serine, 12. threonine・ 13.tyrosine,14. phenylalanine,の14種 のArnino acid検 出 確 認 し た 。 又 新 鮮 肉 よ り acto-myosineを 抽 出 し そ の acto-myosineを 燐 酸 緩 衡 液 に 溶 解 して 透 所 内 液 と し,透 析 外 液 に ア ニ オ ン 色 素 の メ チ ル ォ レ ン ヂ と カ チ オ ン 色 素 の メ チ レ ン ブ ル ー を 川 い,70時 間 透 析 を し 比 色 し た 結 果 メ チ ル オ レ ン ヂ に 対 し て は 鮪 〉 鮮 を メ チ レ ン プ ル ー に 対 し て は 癬 〉 鮪 な る 結 合 力 を 示 し た 以 上 の 結 果 よ り 鮪 蛋[II一中 に の み 確 認 し たamino-acidにhistdine oxyproline. glycineが あ りそ の 反 対 鯨 中 の み 確 認 し た,Amino acidにmethionineが あ る が 特 に 注 日 さ れ る 結 果 と し て,鮪 蛋 白 よ り,histidineを 検 出,網 ∼ 中 よ り検 出 さ れ な か つ た こ と で こ のhistidilleが 有 色 肉 に 多 量 に 含 有 さ れ 生 体 内 で 生 成 さ れ た 疲 労 物 質 の 酸 化 還 元 に 重 要 な 機 能 を は た し て い る と 思 わ れ る 即 ち, 多 量 のhistid illeを 含 有 す る 蛋 白 質 と 色 素 物 質 の 結 合 し た 物 質 に よ つ て 生 体 内 で 迅 速 に,生 成 さ れ た 疲 労 物 質 の 処 理 を 行 つ て い る だ ろ う と 推 定 さ れ る,な お,色 素 イ オ ン に 対 す る,結 合 力 とamino acidの 関 係 は 究 明 す る に 至 ら な か つ た 。 疏 菜 の 調 理 加 工 及 び 容 器 に よ る Vitamin Cの 破 壊 に つ い て

西 原 良 子

論 旨,次 の 実 験 を 行 つ てVitamin Cの 破 壊 に つ い て 検 討 して み ま した 一53一 。 調 理 液 中 のL-ascorbic acidの 加熱 に よ る 破 壊 量 の 測 定 。 調 理 液 中 の疏 菜 の 加 熱 に よ るVitamin C,の 損 失 量 の測 定 ・調 理 器 具 の調 理 時 中 に 於 け る溶 出 成 分 の 測 定 。調 理 液 中 のL-ascorbic-acid に 対 す る 金 属 イオ ン の影 響 。 大 根 汁 液 中 のVitanlill Cに 対 す る銅 イ オ ンの 影 響 実 験 結 果 疏 菜 の 種 類 に よつ て あ る程 度 の差 は 認 め られ るが,次 の よ うな 結 果 を 得 た 。

蒸 溜 水 で5分 闘 苑 で る(100℃) 1%一 食 塩 水 で5分 間 妬 で る 0.1%一 酢 酸 水 で5分 間 如 で る 0.1%一 重 ソ水 で5分 問 如 で る 11^-14 9^-13 17-20 30-一 一39 上 表 よ り野 菜 を茄 で る場 合 はVitamin Cの 破 壊 の点 よ り食 塩 の 添 加 を 忘 れ な い 事,又 こ の実 験 に よつ て疏 菜 中 のVitamin Cは 全 部 が 熱 に よ つ て破 壊 され る の で な くて,汁 の 中 に 相 当 存 在 す る事 が わ か つ た 。 故 に 茄 で 汁 も共 に利 用 す る事 が 望 ま しい 事 。 調 理 器 具 に 於 て は,日 常 使 川 さ れ や す く,微 量 元 素 の 溶 出 を 予 想 され る金 属 の 調 理 器 具,鉄 鍋,銅 鍋 アル ミニ ウ ム鍋 よ り溶 出 量 とそ の 傾 向 を 調 らべ た 。 この三 種 金 属 イ オ ンの 溶 出量 は 調 理 液 の 種 類 で傾 向 を 示 して お り,鉄,銅 イ オ ンは 酸 性 調 理 液 の場 合 に 多 量 に 溶 出 を み,ア ル ミニ ウ ム イ ォ ンは ア ル カ リ性 の調 理 液 の 溶 出 量 が 多 い,水 煮 沸 よ り,食 塩 水,酢 酸 水,重 ソ水 等 の 調 理 液 の 方 が 溶 出量 は 大 で,又 煮 沸 時 聞 の 増 加 に伴 つ て,溶 出量 も増 加 して い る。 次 に 銅 イ オ ンを 添 加 して,大 根 汁 中 のVitamin C の 破 壊 を 調 らべ て み た,と ころ,明 らか に,単 な る水 煮 沸 よ り銅 イ オ ンの存 在 す る水 煮 沸 の 方 がVitamin C の 破 壊 は 明 らか に 大 で約2°o近 くは うわ まわ る。 要 約 す る と, 疏 菜 を 食 す る 場 合,疏 菜 中 のVitamin Cの 損 失, 破 壊 を 出来 るだ け 少 な くす る た め に は,調 理 加工 中 如 で る場 合,食 塩 の 添 加 を絶 対,忘 れ な い 事,又 ア ル カ リの 混 入 を さけ る事,茄 で 汁 の 利 用が 望 ま しい 事,又 調 理 器 具 を使 用 し,調 理 液 で 疏 菜 を 煮 る場 合 溶 出 成 分 量 が 少 い よ うに,配 慮 して,あ ま り煮 す ぎ な い 事,又,有 機 酸 の 含 有 量 の 多 い 野 菜 を 長 時 間 煮 る場 合 は 十 分 注 意 す る事 で あ る。

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一54一 食物学 会誌 ・第8号 江崎 君子 太 田 米子 松浦 茂子 竹 田 利 子 花 田富 美子 二 部 樫 田維 久子 藤 本 博 子 紅 蓼 の 成 分 研 究 さ ち のVitamin Eの 消 長 に つ い て み つ ば の 成 分 研 究 冷 凍 鯨 肉 の ア ミノ酸 組 成 数 種 貝 殻 中 の 蛋 白質 中 の ア ミノ酸 組 成 に つ い て 京 都市 に於け る食中毒 の発 生状 況 胃切除 患者 の食事療法 につい て

平 教 授 指 導

ホ ル モ ル 法 に よ る ア ミノ 酸 の 定 量

高 取 英 子

蛋 白 質 分 解 液 そ の 他 ア ミノ酸 の 含 有 試 料 につ い て ア ミ ノ酸 の 総 量 を 定 量 す る方 法 と し て,滴 定 法,ガ ス 分 析 法,加 銅 法,比 色 法 等 が あ り,私 は 滴 定 法 の 一 つ で あ るSδrensenのFormol滴 定 法 に よ り,味 の 素 株 式 会 社 製 造 の 各 種 ア ミ ノ酸 を 試 料 と し て,mア ミ ノN 含 量 を求 め そ の 実 験 値 と分 子 式 よ り求 めた 理 論 値 を 比 較 し,そ の 誤 差 率 を 求 め,Formol法 に よ りどの 程 度 正 確 な値 が 得 られ る か を 検 討 し て み た 。 結 果 は 次 の様 で あ る。 種 類 Glycine Alanine Valine Ieucine Serine threonine phenylalanine asparatic acid glutamic acid asparagine methionine tryptophan 分 子 式 C2H502N C3Hτ02N C5Hコ,aN C嚇H1302N C3H703N C4H903N CgH1ユ02N C,H20↓N C5HgO4N C4H30詠N2 C5H1102NS CnH1202N2

分子副 全N含

量(癖 て離

雰 卑 τ曇縣 欝

i5 89 117 131 105 119 165 133 147 150 149 2a4 18.66 15,i2 11.96 1・: 13.27 11.76 ,. 10.52 9.52 ・. 9.39 13,i2 :.・ 15,72 11.96 10.68 13.27 11.76 8.48 10.52 9.52 9.33 9.39 ・:. 18.19 13.99 11.56 9.61 11.50 ・'1 7.35 9.47 9.36 8.07 8.26 6.53 誤 差 率% 2.5 11 5 9.5 ユ2.5 16.6 13 11.5 2 13.5 12 4.8

tyrosione, cysteineは 水 に 難 溶 で あ る 為, lysine, はFormol法 で は 正 確 な 値 は 得 られ な か つ た 。 牛 肉の貯 蔵に依 るア ミノ酸 の変化

横 山 啓 子

試 料 は,市 販 の パ ラ 肉 を 用 い 一 般 分 析 な ら び に 貯 蔵 に 依 る 窒 素 形 態 の 変 化 及 び,ア ミ ノ酸 の 変 化 に つ い て 研 究 し た 。 研 究 結 果 を 要 約 す る と 次 の 如 くで あ る 。 ① 分 析 結 果 水 分 粗 蛋 白 質 粗 脂 肪 灰 分 含 有 量(%)70.0 43.8 25.5 3.7 ② 貯 蔵 期 間 が 長 くな る に 従 い,全 窒 素,可 溶 性 窒 素 不 溶 性 窒 素,凝 固 性 窒 素,プ ロ テ オ ー ズ,ゼ ラ チ ン 窒 素,肉 塩 基 窒 素,ア ン モ ニ ア 窒 素,ア ミ ノ 態 窒 素 に つ い て は 増 加 し,ア ミ ド態 窒 素 に お い て は 減 少 を 認 め た 。 ③ 牛 肉 の 構 成 ア ミ ノ 酸15種 の う ち,15日 間 の 貯 蔵 に 於 て,proline, oxyproiine, lysine, CyStlri°,の4 種 が 消 失 し,25日 間 貯 蔵 で は,leucine, isoleucine,

valine, tyrosine, phenylalanine, alanine, threo =nine, histidineの8種 の 減 少 を 認 め た 。 ④ 牛 肉 構 成 ア ミ ノ 酸 は,貯 蔵 に よ り 減 少 し て い く こ と を 確 認 し た 。 「エグ 味 」の 研究

坂 口 和 美

筍,里 芋 な ど の 「エ グ味 」,或 は 漢 方 医 薬 と して 用 い られ て い る半 夏 の 「エ グ味 」 な ど,「 エ グ味 」 の 研 究 は 今 迄 ほ とん どな く,わ ず か に 蔭 酸 及 び そ の塩 類 が 原 因 で あ る との 報 告 が あ る の み で あ つ た が,最 近,長 谷 川 氏 はtyrosinの 代 謝 物 で あ るhomogentisic acid に 非 常 に 強 い 「エ グ味 」 の あ る こ とを 確 認 して い る。 私 は,孟 宗 竹 を 用 い て 筍 中 に このhomagentisic acid が 存 在 す る か否 か を 一 次 元paper chromatography に よ り検 討 し,更 に ず い き の 「エ グ味 」 は如 何 な る成 分 に よ る もの か を 研 究 す る と同 時 にず い き の有 機 酸 定

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昭 和35年7月(1960) 性 を 行 つ た 。 そ の 結 果,筍 中 に 真 の エ グ 味 成 分 で あ る と 云 わ れ て い るhomogentisic acidを 検 出 し,こ の 酸 が 筍 の エ グ 味 の 主 要 成 分 で あ る こ とが 考 え ら れ る 。 又 ず い き 中 に もhomagentisic acidを 検 出 し,ず い き の エ グ 味 も こ の 酸 に よ る も の で あ る可 能 性 が 考 え ら れ る 。 ず い き の 有 機 酸 と し て,酒 石 酸,ク エ ン酸,リ ン ゴ 酸,ホ モ ゲ ン チ ジ ン 酸 の4種 を 検 出 した 。 醤 油中の塩 基 性ア ミノ酸の研 究

丹 羽 胱 子

醤 油 は 中 国 か ら渡 来 し1300年 前 か ら我 国 の 調 味 料 と し て用 い られ て い ます 。 こ の 醤 油に つ い て塩 基 性 ア ミ ノ酸 及 び 一般 分析 を し ま した 。 一 般 分析 の結 果(100cc中 の9数) 比 重 エ キ ス 分 食 塩 総 窒 素(ケ ル ダ ール 法) 蛋 白性 窒 素 非 蛋 白性 窒 素 ア ミノ態 窒 素(ホ ル モ ル 法) ア ンモ ニ ア態 窒 素 有 機 塩 墓 窒 素 1.181 35.058 17.5£ig 1.0928 0.0649 1.0279 0.6728 0.003b O.0678 特 殊 成 分 と し て 塩 墓 性 ア ミ ノ 酸 の 検 索 を イ オ ン 交 換 樹 脂Amberlite IRC50を 用 い て 分 離 し,こ れ を 二 次 元 paper chromatography上 昇 法 を 行 い,そ の 結 果 塩 基 性 ア ミ ノ 酸Arginine・lisine. histidineを 検 出 し 又 同 じ く イ オ ン交 換 樹 脂 を 用 い て 分 離 し た 試 料 でhis tamineの 検 索 を 一一次 元paper chromatography上 昇 法 を 行 つ た 結 果histamineの 存 在 を 認 め ま し た 。 次 に arginine態 窒 素 をFolinの 装 置 で 定 量 した 結 果 醤 油100cc中4.648rngのarginine態 窒 素 を 定 量 した 。 以 上 の 事 か ら し ま し て 醤 油 中 の 窒 素 は 非 蛋 白 性 窒 素 が 多 く蛋 白 性 窒 素 が 少 い 。 又 醤 油 の 塩 基 性 ア き ノ酸 と し てarginine histidline lysineが 検 出 され た と い う の は,大 豆 の 成 分 にarginine histidine Iysineカ ミ存 在 す る こ と か ら可 能 な 事 で あ り醤 油 の 原 料 で あ る 大 豆 や 小 麦 よ り 細 菌 の 作 用 に よ り分 解 さ れ こ れ ら の ア ミ ノ 酸 が 含 ま れ て い る と い う事 は 日本 人 の 食 生 活 に 於 い て か く こ と の 出 来 な い 醤 が 栄 養 上 有 意 義 な も の で あ る と い う 事 が 解 り ま す 。 又histamineの 存 在 が 認 め られ る と い う事 は 醤 油 を 多 量 に 飲 む と 中 毒 を 起 す と い う原 因 の 一 つ に な る と 一55一 考 え られ る。 小 麦粉の グル テ ンの成 分研 究

岡 垣 弘 子

小 麦 の グ ル テ ンは,パ ン及 び 種 々 のbaked foodを 作 る上 の 企 て とな る も の で あ るか ら,文 明 に 於 け る重 要 性 はパ ンそ れ 自身 の 重 要 性 に も等 しい と云 え る。 市 販 の小 麦 粉,強 力 粉 準 強 力 粉 を 用 い,洗 源 法 に よ りグ ル テ ンを 取 り出 し,ア ミノ 酸 組 成 をPaperchromato graphyに よつ て 定 性 し,グ ル テ ンか ら グル テ ニ ンを 分 離 しZ,そ の ア ミ ノ酸 組 成 を 定 性 比 較 した 。 乾 燥 し た,グ ル テ ン の二 つ の資 料 の 大 体 の 組 成 を決 定 した 。 粗 グル テ ン の成 分 組 成 成 分 蛋 白 質 灰 分 炭 水 化 物 グ ル テ ン00 グ ル テ ン(標 品)% 7i O.55 5,8 78 1.05 9.2 酸 分 解 法 に よ り 構 成 ア ミ ノ 酸 か らPaper chromato-graphyに よ つ てLeucine, Isoleucine, Valine phe nylalanine Tyrosine, Proline, Aspartic acid glu tamic acid, Lysine, Alanine, Histidine Arginine, Threonine,の13種 を 検 出 し た 。

乾 燥 し た 粗 グ ル テ ン を70%ア ル コ0ル に よ り 可 及 的 に グ リ ア ジ ン を 抽 出 し 去 つ て グ ル テ ニ ン を 分 離 し た 。

グ ル テ ニ ン の ア ミ ノ 酸 は 二 次 元paper chromatograp hyに よ りLeucine, Isoleucine, Alanine, phellyla lanine, Valine,Threonine, Proline, Histidine, A rginine, Threonine, glutamic-acid, Aspartic-acid の12種 を 検 出 し た 。 グ ル テ ニ ン 定 量 を 行 つ た 結 果 グ ル テ ン 中 の グ ル テ ニ ン 含 量 は 含 量 は41%で あ つ た 。 清酒 の塩 基性 ア ミノ酸 に ついて

山 崎 佳 子

清 酒 は 本 邦 に お け る ア ル コ ー ル 飲 料 の 代 表 的 な も の で あ り ま す 。 私 は こ の 清 酒 を 用 い て 一 般 分 析 及 び 特 殊 成 分 の 研 策 を 行 い 次 の 結 果 を 得 ま し た 。 0般 分 析 を 行 い 次 の 結 果 を 得 ま し た,比 重 α999, ア ル コ ー ル15%,エ キ ス 分5.817%,遊 離 酸(コ ハ ク 酸 に 換 算 し て)4.122° °,総 窒 素 に0.343%ア ミ ノ態 窒 素(グ リ コ コ ー ル に 換 算 し て).0.016%,.蛋 白 性 窒 素 0.061°o,ア ン モ ニ ア 性 窒 素 にこ0.035° °。 ア ル ギ ニ ン態 窒 素 の 定 量 に よ り,清 酒1009中 の ア ル ギ ニ ン態 窒 素 は

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一一56一 約33.6mgで 有 る 。 二 次 元 ペ ー パ ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 上 昇 に よ り ア ル ギ ニ ン,リ ジ ン,ヒ ス チ ヂ ン,ヒ ス タ ミ ン の ス ポ ッ ト と 他 に 不 明 の ス ポ ッ トニ つ を 得 ア ル ギ ニ ン,リ ジ ン,ヒ ス チ ヂ ン,ヒ ス タ ミ ン は 対 照 試 験 と 一 致 い た し ま し た 。 他 の 二 つ はRf値 よ りす い 定 し て,プ ロ リ ン,チ ロ シ ン で は な い か と 思 わ れ ま す 。 納 豆菌 によ る大豆蛋 白質 の分解

二部

竹 内 喜 代 子

市 販 糸 引 納 豆 は 大 豆 納 豆 菌 を 繁 殖 さ せ た も の で あ る が,大 豆 蛋 白 質 の 主 成 分glycininの み に 納 豆 菌 が 繁 殖 す る か ど うか を 研 究 し て 見 た 結 果 。次 の 成 分 脂 肪,炭 水 化 物,灰 分,繊 維,等 の 存 在 し な く と も,納 豆 菌 が 繁 殖 す る 事 を 判 明 し た 。 大 豆 粉 末 を 常 法 通 りglycinin調 製 法 に 従 い,glycininの 粉 末 を 得,こ れ に 納 豆 菌 を 繁 殖 さ せ,二 次 元paper chramatographyに よ り,次 の ア ミ ノ酸 の 検 出 を 見 た 。Leucine. phenylalnine.Valille. Tryptophan. Proline. Hydroxyproline. Alanine. Tyrosine. Histidine. glutamic-acid. Serine. gly cine. Arginine. Leucine. Cystille.其 の 他 三 種 不 明 物 を 見 た 。 鰻 の干物 の成分 研究 油の調理 化学的 変化 につい て トマ トの色素 の分離 清 酒酵母 の生産 す る ア ミノ酸 の研究 ラー ドの調理 化学 的研究 萄 蕩 の成 分研究 二 部 食塩 の存 在下 に おけ る 麹菌 に よるア ミノ酸 の生成 米飯 の腐敗 加熱 に よる味 噌 汁の成分 変化

土 屋 教 授 指 導

西 川登志子 宇 野 裕子 石 川 京 子 飯 田 武 子 横 溝 久枝 ニ ノ部弥栄 岸 本 道子 井 上 敏子 勝 田 和 子 研究 室の都 合 もあ り喜多 裕子以 下5名 の卒 論は,土 屋 教 授の依 嘱に よ り平 田教授 の専 ら指 導 した もの であ る 病 人給 食の 現況 に就い て

金 谷 博 子

我 々は 日常 合 理 的 な 栄 養 物 の 摂 取 に よ り健 康 の保 持 増 進 に 努 め 居 る の で あ るが,何 等 か の 原 因 に よ りて健 康 を害 し疾 病 に 罹 患 した 場 合 に は,其 の 疾 病 の如 何 に よ り其 の 疾 病 に 適 合 した 食 餌 を 撰 択 し与 え なけ れ ば な 食物 学会誌 ・第8号 ら な い 。 と こ ろ が 我 国 の 旧 来 の 慣 習 と して 病 人 食 と中 せ ば 直 に 重 湯 と梅 干 と誰 で も即 答 せ られ 居 る如 く左 様 に 取 扱 わ れ て 来 た が,こ う した 食餌 だ け で は 病 人 食 の 最 低 カ ロ リー を 満 た す 事 は 不 可 能 で,殊 に結 核 食 餌 に は 蛋 白質,脂 肪 の 適 当 量 を 必 要 とす るが,こ う した 必 要 量 を 遙 か に 下 廻 り居 る ば か りか,往 々 に して 無 機 質 ビ タ ミ ン類 は 全 々 摂 取 さ れ な い 事 が 多 い 。 従 つ て こ う した 不 合 理 な 貧 弱 な 食 餌 が く り返 え され れ ば 疾 患 者 を 著 る し く衰 弱 させ,疾 病 の 治 療 を妨 げ る 結 果 と な るで あ ろ う こ とは 容 易 に 推 測 せ ら れ る と こ ろ で あ る。 私 は 長 年 口本 に おけ る 国 民 病 の一 と して 恐 れ られ て 居 た 結 核 症 も新 医 薬 の 普 及 に よ り何 うや ら最 近 に お い て は 死 因 順 位 第 一一位 よ り第五 位 に す べ り落 ち一 応 の 安 心 感 を 懐 か せ るに 至 つ た が,患 者 は 一一向 に 減 少 せ ず,或 は 死 亡 率 は正 し く反 比 例 し居 る に 非 ざ るや の 統 計 を 現 わ し 居 る こ とに 一驚 さ せ られ 居 る と こ ろ で あ る。 然 るに こ う した結 核 性 疾 患 者 の 食 餌 は 果 して 如 何 とい う考 えか ら私 は京 都 市 内 某 一 流 病 院 た るK病 院 に 於 け る食 餌 献 立 を 対 象 と し,或 は 大 森,或 は 原 説 と比 較 検 討 した 結 果 次 の 如 き結 論 に 遠 した の で 戴 に 御 報 告 中上 げ 御 批 判 を 仰 ぎた い と望 ん で 居 る と こ ろ で あ る。 1). K病 院 に 於 け る結 核 入 院 患 者 に 対 す る食 餌 中 の 各 栄 養 素 及 び 熱 量 の 年 間 平 均 値 は,大 体 蛋 白質88g, 脂 肪39g,含 水 炭 素474g,カ ロ リー-26000a1で あ つ た 。 2). K病 院 の 年 間 平 均 値 と大 森 憲 太 説 とを比 較 す る に 蛋 白質 は 大 森 説 の100gに 対 し88gで 大 差 は な か つ た が,脂 肪 に 於 て は 大 森 説 の90∼100gに 対 し39gと い う半 量 以 下 で あ り注 目せ られ る と こ ろ で あ つ た が 含 水 炭 素 は 大 森 説 の400gに 比 し474gの 多 量 で 脂 肪 の 不 足 分 を 補 つ て居 る こ とを 知 つ た 。 熱 量 は 大 森 説 の3000Ca1に 比 し2600Ca1で 全 般 的 に 大 して不 足 は 示 して 居 らな か つ た 。 3) K病 院 の年 間 平 均 値 と季 節 別 平 均 値 とを 比 較 す るに,蛋 白 質 は4季 に よ り大 差 な く摂 取 され て は い た が,脂 肪,含 水 炭 素 は 秋 の終 りか ら冬 春 に か け て 一 般 に 多 く摂 取 さ れ て い た。 又 無 機 質 及 び ビ タ ミ ン 類 に就 い て は 大 体Ca 4∼79, Fe14∼1gmg,ビ タ ミ ンA3000∼50001u, Bi 2∼3mg, B20.7∼1.3mg C50∼150mg程 度 摂 取 され て お り著 る し く合 理 的 に 工 夫 せ られ た も の と うな つ か さ れ た と ころ で あ つ た 。 以 上 を要 す るに 旧 来 の 重 湯 と梅 干 の 病 人 食 餌 は これ を 全 く廃 止 し,今 後 は 疾 病 の 種 類 及 び 病 状 の 如何 に よ り 有 資 格 の 栄 養 士 の 如 き を 病 医 院 に配 属 せ しめ,此 等 の 栄 養 士 を して 責 任 を持 つ て 各 種 の 栄 養 素 の採 用量 とカ

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昭 和35年7月(1960) ロ リー量 を よ り合 理 的 に 為 す よ う充 分 に 研究 せ しめ 調 理 に 当 ら なけ れ ば 意 義 な き こ とを 強 調 し結 論 とす る と こ ろ で あ る。 脳卒 中 と食生活の関 係

公 子

明 治 の 末 期 並 に 大 正 時 代 に 於 け る 日本 の 結 核 死 亡 率 は,毎 年 極 め て 高 く,国 民 総 死 亡 の7分 の1を 占め, しか も年 々増 加 の一 途 を辿 り,1951年 ま で は,相 変 ら ず 総 死 因 中 の 第1位 を つ づ け 来 つ た と こ ろ で あ つ た が 1952年 に は 現 在 の 医 学 で の 強 力 な 予 防 と,治 療 とに よ つ て,漸 くに 後 退 し,こ れ に 代 つ で 一躍 死 因 第1位 に と成 り上 つ た の が 脳 卒 中 で あ つ た 。 私 は 何 故 に 脳 卒 中 が 死 因 の 第1位 と なつ た か に就 ぎ 専 ら私 の 郷 土 の 三 重 県 を 対 象 と し調 査 中 の と ころ 大 体 次 の 如 ぎ 実 情 を 承 知 し得 た の で,卒 直 に 報 告 し,併 せ て 大 方 諸 賢 の 御 批 判 を 仰 が ん とす る と こ ろ で あ る。 (1)脳 卒 中 の 死 亡 率 を 全 国 的 に 観 るに,昭 和15年 を 頂 点 と し,以 後 は 速 に 低 下 を続 け 昭 和23年 に は最 低 率 を 示 し,其 の 後 に 於 い て は 再 び漸 増 の 高 率 を呈 す る に 至 つ た。 三 重 県下 に 於 け る二 漁業 地 区 を対 象 と し て これ を 調 査 した る に 昭 和28年 ∼33年 の6ケ 年 の 死 亡 率 は,年 間10人 を 上 下 し居 る こ と を 突 き止 め る と 同 時 に 次 の 如 き事 情 を 知 つ た ので あ る 。 (2)脳 卒 中死 亡 率 を 性 別 に 観 るに,全 国 的 に は 中す に 及 ば ず,二 地 区 に 在 りては,女 性 の40°oに対 し男 性 は600の 高 率 を 示 して い る。 (3)年 令 別 に 観 る に55才 ま で は10%の 少 率 で あ るが60 才 以 後 で は90°oと い う高 率 を 示 し,65才 以 後 だ け で も67.3%と い う高 率 を 示 して い る。 (4)発 病 よ り死 亡 ま で の 期 間 及 び年 令 別 状 況 を 観 るに 10日 以 内 に 死 亡 した 者 が 最 も多 く31°o,1ケ 月以 内 20%0',10時 間 以 内16.3%を 示 した 。 (5)脳 卒 中発 作 場 所 に つ い て は,寝 室 で 死 亡 した 者 が 71°oと高 率 を 示 し,次 い で 浴 場11%で あ つ た。 (6)時 間 別 に は,午 前 中 の発 病 者 は午 後 の 者 よ り断 然 に 多 く57°oを示 し,特 に 午 前6時 前 後,12時 前 後 が 高 率 で あ る。 (7)食 物 との 関 係 を 観 るに,従 来 人 口 に膳 災 せ られ い た 酒 類 は 美 食 よ り も少 な く却 っ て美 食 の み をつ づ け る こ とが著 しい 障 害 を来 す とい う結 論 に 達 した の で あ る。 就 中 カ ロ リー の過 剰,食 塩 の 過 剰 等 は大 い に 警 戒 しなけ れ ば な らな い と結 論 せ られ るに 至 つ た 。 一57一 岡山県下 に於 ける ヂス トマ 病の消長 に ついて

長 尾 朝 子

岡 山 県 の 南 部 地 域 一 帯 は 従 来 肝,肺 吸 虫 症 の 地 方 病 存 在 地 と して 人 口 に 宣 伝 脅 嚇 せ られ て 居 た と ころ で あ る が,現 在 に 於 て は 県 衛 生 当 局 の 衛 生 知 識 の 普 及, 渓 谷 水 飲 用 の 厳 禁,蟹 類,鯉 魚 類 の 生 食 禁 止 等 が 効 を 奏 してか,近 年 著 し く該 病 患 者 の 激 減 を 見 つ つ あ る ら し く,特 に 倉 敷 水 島地 区 及 び そ の 周 辺 地 帯 に は 末 だ に 渓 谷 に お け る蟹 類 並 に 田 畑 地 域 に 於 け る マ メ タ ニ シ類 の 繁 殖 が 予 想 外 に 旺 盛 で あ る関 係 上 知 らざ る の 間 に 罹 患 し相 当 数 の 疾 患 者 の 報 告 が な され て 居 る よ うで あ る 。 果 して 然 るか,私 は 此 の地 に 生 育 し幼 児 時 代 よ り 多 数 の 患 者 に も接 し,看 護 に 当 つ た 経 験 もあ る の で い た く興 味 を 感 じ此 等 寄 生 虫 病 患 者 の 消 長 に つ き調 査 中 の と ころ 大 体 次 の 如 き 結 果 を 得 た の で蜘 ここれ が 成 績 を 申 し述 べ る。 1. 昭 和30年 以 来,肺 ヂ ス トマ 患 者 の 発 生 報 告 は な き も肝 ヂ ス トマ患 者 は,昭 和31年 に は49名,同32年 に 25名 で あ る。 2.昭 和31,32の2力 年 間 の綜 肝 ヂ ス トマ 患 者74名 中 純 日本 人 は8名(男 子3名,女 子5名)の10.8%な るに 対 し朝 鮮 人 は8倍 強 の66名(男 子49名,女 子17 名)の89.2°oと い う高 率 で あ つ た 。 3.所 轄 保 健 所 が 昭 和31,32年 の2力 年 に 亘 り 日人, 鮮 人 を 対 象 と した 糞 便 検 査 に 於 て も純 日本 人 の 肝 吸 虫 卵 保 有 率 は,1.7°oの 低 率 な るに 反 し鮮 人 で は22' 8%の 高 率 を 示 した 。 4.鮮 人 の 大 多 数 者 は,密 造 酒 に 携 わ りこれ が 飲 用 時 に は 好 ん で 鮒,鯉 の 如 き 淡 水 魚 を刺 身 と して 生 食 す る者 が 末 だ非 常 に 多 き 由 で あ るが,こ う した 食 生活 が 肝 ヂ ス トマ 症 罹 患 の最 大 原 因 を な し居 る もの な り と推 測 せ られ る と こ ろ で あ る 。 故 に 今 後 は 一 層 殊 に流 行 地 に 在 りて は 肝,肺 ヂ ス トマ 症 の 中間 宿 主 の 生 食,渓 谷 水 の 食用 を 厳 禁 し,本 症 の 蔓 延 を防 止 しな け れ ば な らな い こ とは 申 す まで もな い 良 対 策 と云 い よ う。

平 田 教 授 指 導

食 品衛生学 的 に見 た ブ ドー球菌の 研究

喜 多 裕 子

病原 性 ブ ドー球菌 に関す る研究 報告 は古 くか ら内外

参照

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