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言語文化と国際英語教育

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言語 文化 と国際英語教育

塚  脇 真 由

は じ め に   今 日、 国 際語 と して の 英 語 教 育 は世 界 中 で 注 目 をあ び て い る。 国 際 化 が ま す ま す 進 む社 会 にお い て 英 語 は 重 要 で 欠 か せ な い コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン ・ツ ー ル に な っ て い る。 もは や 英 語 を無 視 して 社 会 で 生 きて い くの は困 難 な ほ ど英 語 は私 た ち の 生 活 に密 着 した もの に な っ て い る。 そ の よ うな社 会 の 中 で 英 語 を早 く確 実 に 身 につ け る こ とが 重 要 と され て い る 。 日本 に お い て も英 語 教 育 は常 に 注 目 を集 め 、 賛 否 両 論 あ る 中 、 文 部 科 学 省 は小 学 校 へ の 早 期 外 国語 教 育(実 質 的 に は英 語 教 育)の 導 入 を 決 定 した。 早 い う ち か ら英 語 に触 れ る こ と で 英 語 へ の抵 抗 感 を な く し、 す ん な り英 語 を用 い る こ とが で きる 人 を つ く る教 育 を推 し進 め よ う と して い る の で あ る。 本 稿 で は 、 今 日英 語 が 国 際 英 語 と して どの よ う な位 置 づ け に あ る か とい う こ と につ い て 考 え、 言 語 と文 化 の 関係 につ い て の こ れ まで の研 究 を検 討 す る こ とか ら、 これ か らの 英 語 教 育 が 目指 す べ き方 向 性 に つ い て 考 察 した い 。 1.国 際 英 語(EIL)と は 今 日の 国 際英 語 の位 置 づ け とい う もの は どの よう な もの で あ ろ うか 。 モ ナ ッ シ ュ 大 学 の 言 語 ・文 化 ・言 語 学 部 の准 教 授 で あ るSharifianは 国 際 英 語 を 次 の よ う に論 じ て い る 。

In general, we can say that English as an International Language refers to a paradigm for thinking, research and practice. ...EIL ... rejects the idea of any particular variety being selected as a lingua franca for international

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communi-cation. EIL emphasizes that English, with its many varieties, is a language of international, and therefore intercultural, communication.

(Sharifian 2009a : 2 )

EIL(English  as an International Language国 際言 語 と して の英語=国 際 英語) は多 様 性 を もつ 英 語 が 、 国 際 的 で そ れ ゆ え異 文 化 問(intercultural)の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 言 語 で あ る とい う こ とを 強 調 して い る。 す な わ ちEILは 国際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの た め の 言 語 で あ り、 思 考 ・研 究 ・実 務 のパ ラ ダ イ ム に 関 係 す る もの で あ る。EILは 、 ア メ リカ英 語 や イ ギ リス 英 語 、 カ ナ ダ 英 語 の み な らず 、 日本 英 語 、 イ タ リ ア英 語 、 中 国英 語 とい っ た様 々 な英 語 が 存 在 す る 中 で、 特 定 の英 語 を 国際 共 通 語 と して選 ん で、 そ れ を 国際 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 手 段 と し て使 用 す る とい う考 え を拒 絶 す る も の で あ り、 こ れ まで 行 わ れ て き た よ う な英 米 語 をモ デ ル に した 英 語 で は な く、 多 様 性 を許 容 す る英 語 で あ る と い う こ とが 強 調 さ れ て い る 。   次 に今 日の 英 語 の使 用 状 況 につ い て取 り上 げ る。 次 の 引用 文 の 中 でSharifian が 紹 介 して い る よ う に、 イ リ ノ イ 大 学 の 言 語 学 、 国 際 言 語 と して の 英 語 分 野 の 名 誉 教 授 で あ るKachruは 、 世 界 にお け る 英 語 の役 割 と使 用 を三 つ の 同心 円 を用 い て 論 じて い る。

Kachru (e. g. 1986, 1992) described the role and use of English around the world using a model that has three concentric circles: Inner-Circle, Outer-Circle and Expanding-Outer-Circle countries. In Inner-Circle countries, English is used as the primary language, such as in the United Kingdom, the United States, Australia and Canada. Countries located in the Outer Circle are multi-lingual and use English as a second language, such as India and Singapore. In Expanding-Circle countries, the largest circle, English is learned as a for-eign language, such as in China, Japan, Korea and Egypt.

(Sharifian 2009a : 3 )

Kachruは こ の 論 を さ ら に 詳 し くKachru(2008)に お い て も 論 じ て い る 。 Kachruの 論 を ま と め る と 、 表1と 図1に な る 。

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Types of concentric circle Inner-Circle

Outer-Circle

Expanding-Circle

The role of English

Primary  language 第 一 言 語   母 語 Second  language 第 二 言 語   公 用 語 Foreign  language 外 国 語 Areas

UK, USA, Australia, Canada. etc

India, Singapore. etc

China, Japan, Korea, Egypt. etc

表1.Kachru(2008)に よ る 世 界 の 英 語 の モ デ ル Inner-Circle Outer-Circle Expanding-Circle 図1.Kachru(2008)の 英 語 の 使 用 と役 割 を示 す 三 つ の 同 心 円   ま ず 、Inner-Circleに は 、 英 語 の 伝 統 的 な 基 盤iであ る イ ギ リ ス ・ア イ ル ラ ン ド ・ア メ リ カ と い っ た 国 々 と 、 ゆ る く 、 歴 史 的 に 主 に 白 人 が 多 く住 ん で い る 旧 植 民 地 で あ る オ ー ス トラ リ ア ・ニ ュ0ジ ー ラ ン ド ・カ ナ ダ が 含 ま れ る 。 こ れ ら の 国 々 の 人 々 の 母 語 は 英 語 で あ っ て 、 こ れ ら の 国 々 に お い て 、 英 語 は 「母 語 」 と い う 「第 一 言 語 」 と し て の 役 割 を 果 た し て い る 。 次 にOuter-Circleに は 英 語 が 公 用 語 で あ る 国 が 入 る 。 こ れ ら の 地 域 で は 、 英 語 は 民 族 間 お よ び 言 語 グ ル0プ 間 で 役 に 立 つ リ ン ガ ・フ ラ ン カ と し て 用 い られ 、 高 等 教 育 ・議 会 ・ 司 法 ・国 際 貿 易 ・そ の 他 諸 々 の 事 柄 は 、 主 に 英 語 を 媒 介 言 語 と し て 行 わ れ て い る 。 す な わ ち 英 語 は 「第 二 言 語 」 と し て 使 用 さ れ て い る 。 最 後 に 、 も っ と も 大 き なExpanding-Circleに は 英 語 に 公 的 な 役 割 が な く 、 英 語 を 外 国 語 と し

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て 学 習 して い る 人 々 の 国が あ て は ま る。 日本 や 中 国、 韓 国や エ ジ プ トと い っ た 国 が こ のExpanding-Circleに 当 て は ま る こ と に な る。 この よ う にKachru は三 つ の 同 心 円 を用 い て、 世 界 にお け る英 語 の 役 割 と使 用 を論 じた 。   次 に 、 そ れ ぞ れ の 英 語 の 使 用 と役 割 にお け る 問 題 点 につ い て 考 察 す る。 Kachruは 英 語 の使 用 と役 割 を示 す 三 つ の 分 類 に基 づ い て そ れ ぞ れ の サ0ク ル にお け る 問 題 点 を次 の よ うに 指 摘 して い る。

Within the Inner Circle, the debates are in relation to immersion in English vs. bilingual education leading to maintenance of primary language of the immigrant groups, and putting immigrant children in ESL (English as a Second Language) vs. mainstream classes in the USA, UK, Australia, Canada and New Zealand. In the Outer and Expanding Circles, arguments rageisicl about mother tongue vs. "other" tongue education, methodologies, appropri-ate textbooks, and models of English to be used in educational settings. In the Expanding Circle, the external models, especially American and British English still continue to enjoy their favored status. (Kachru 2008 :179)

  ま ずInner-Circleに お い て は 、 移 民 グ ル ー プ の 第 一 言 語 を保 護 す るバ イ リ ン ガ ル 教 育 に す る の か 英 語 で の イ マ ー ジ ョ ン 教 育 に す る の か と い う 問 題 が 存 在 す る 。 イ マ ー ジ ョ ン と は 「浸 す 」 と い う 意 味 の 英 語 で 、 実 用 的 な 外 国 語 の 習 得 の た め に 、 週 当 た りの 授 業 数 の 大 半 を 外 国 語 で 行 っ て 英 語 「浸 け 」 に す る 教 育 を さ し て い る 。 す な わ ち 、 こ こ で は 移 民 の 子 ど も をESL(English  as Second  Language)教 室 に 入 れ る の か 、 Mainstream(主 流)ク ラ ス に 入 れ る の か と い っ た 対 立 が あ る 。 一 方 、Outer-CircleやExpanding-Circleに お い て は 、 議 論 は 「母 語 」 対 「母 語 以 外 の 言 語 」 の 教 育 とい う こ とに な る 。 と くにExpanding-Circleに お い て は 、 外 界 モ デ ル と し て 特 に ア メ リ カ 英 語 や イ ギ リ ス 英 語 が 優 位 な 地 位 を 維 持 し て き た 。 す な わ ちExpanding-Circleに 所 属 す る 人 々 に は 、 Inner-Circle(英 語 や 米 語)を 目指 さ な け れ ば い け な い と い う 考 え が 常 に 存 在 し て き た の で あ る 。 し か し 既 に 見 た よ う に 、EILで は こ れ ま で の 英 米 語 中 心 に 基 づ い た 英 語 で は な く、 英 語 の 多 様 性 を 大 切 に し な が ら 、 共 通 語 と して 英

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言語文化 と国際英語教 育  73 語 を用 い る と い う事 が 大 切 に な っ て きて い る 。   「多 様 な英 語 」は 多 様 な 文 化 と関係 が あ る の で は な い か と考 え られ る 。 文 化 の 相 違 は 言 語 の相 違 と どの よ うに 関 係 して い るの だ ろ うか 。 2.言 語 と文 化 の 関 係 性   同 じ英 語 とい っ て も 日本 英 語 ・オ ー ス トラ リ ア英 語 ・ア メ リカ 英 語 等 の 間 に は好 まれ る発 音 ・文 法 等 の 言 い まわ しに お け る相 違 が あ る こ と を見 る と、 自然 の 条 件 や 人 々 の生 活 習 慣 の相 違 す る と ころ で は 言 語 の特 徴 も相 違 す る ら し い とい う こ とが 想 定 で き る。   言 語 を使 用 す る上 で 自然 の 条 件 や 人 々 の 生 活 習 慣 とい う文 化 は 重 要 な役 割 を果 た して い る よ う に思 わ れ る 。 そ れ で は 言 語 と文化 の 問 に は 一 体 どの よ う な 関係 が あ る の だ ろ う か 。 こ こで は、 言 語 と文 化 の 関 係 性 に つ い て 考 察 した い 。 言 語 と文 化 の 関係 性 につ い て の 研 究 に は 長 い歴 史 が あ る が 、 最 も よ く知 られ て い る研 究 はHumboldt(1767-1835)か ら は じ ま る も の で あ る。 i ) Humboldt 言 語 は 最 も含 蓄 的 ・直 観 的 に 世 界 観 か ら発 生 し、 こ れ を 最 も純 粋 に 再 現 し か つ 思 想 を 最 も容 易 に 、 抽 象 的 に 処 理 す る よ う に 形 成 さ れ る の で あ る が … 他 国 語 の 習 得 とい う こ と は従 っ て 、 従 来 の 世 界 観(Weltanschauung)に お い て 新 し い 立 場 を獲 得 す る こ と で な け れ ば な ら な か っ た し 、 ま た 実 際 に お い て も あ る程 度 は そ う で あ る 。      (Humboldt  l836)   Humboldtは 言 語 は世 界 観 か ら発 せ られ る と い っ た言 語 的 世 界 観 を 提 唱 し た。 した が っ て 他 言 語 の 習 得 は新 しい 世 界 観 を もつ こ とに な る とい う点 に お い て 、 言 語 と文 化 の 関係 性 を 認 め た。   次 にWeisgerber(1899-1985)は 言 語 的 中 聞世 界 とい う考 え方 を提 唱 した 。 言 語 的 中 間 世 界 とは 人 間 の心 と世 界 の 間 に言 語 と い うフ ィル タ ー が あ っ て 、 そ の フ ィ ル ター を 通 して 人 間 は世 界 を認 識 して い る とい う見 解 で あ る。 私 た ち が 世 界 を た だ 直 接 認 識 して い る と思 って い る 時 に も、 無 意 識 の う ち に社 会

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的 文 化 的 な記 号 と して の 言 語 を 通 して世 界 を見 て い る とい う こ とで あ る。 す な わ ち 言 語 を社 会 的 文 化 的 な記 号 と して捉 え る こ とに よ り、 言 語 と文 化 の 関 係 性 を 明 確 に認 め た 。   ま た 文化 人 類 学 者 で あ るBoas(1858-1942)は 次 の 引 用 で見 られ る よ うに 、 言 語 を経 験 の選 択 的 分 類 と して と らえ た 。 ii) Boas

It is obvious that an extended classification of experiences must underlie all articulate speech. (Boas 1911/1991 : 20)

It seems fairly evident that the selection of such simple terms must to a cer-tain extent depend upon the chief interests of a people. (ibid. : 22)

  Boasは また 上 の 第 一 の 引 用 文 に述 べ られ て い る よ う に、 あ らゆ る分 節 的 な 言 葉 の 根 底 に は、 広 範 囲 な 分 類 が あ る こ とは 明 らか で あ る こ と、 そ し て 第 二 の 引 用 文 に 見 られ る よ う に 、 単 一 語 を選 択 す る とい う事 は あ る程 度 、 民 族 の 主 要 な 関心 に よ る もの で あ る とい う こ とは 明 らか で あ る と論 じた 。 す な わ ち 言 語 と い うる の は そ の 民 族 の 「経 験 と関 心 」 とい う思 考 を反 映 す る と い う事 を認 め た の で あ る。Boasは 言 語 と思 考 の 関 係 性 や 言 語 が 経験 の 選 択 的分 類 で あ る とい う事 を認 め て い る 。   Boasの 影 響 を受 け たSapir(1884-1939)は 人 類 学 者 とい う よ り は む しろ 、 言語 学 者 と してそ の研 究 を継 承 し、 言語 と思 考 の 関 係性 を 「思 考 の溝(thought groove)」 とい う概 念 を 用 い て 論 じた。 iii) Sapir

Language and our thought-grooves are inextricably interrelated, are, in a sense, one and the same. The latent content of all languages is the same — the intuitive science of experience. (Sapir 1921 : 217)

It goes without saying that the mere content of language is intimately related to culture. In the sense that the vocabulary of a language more or less

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fully reflects the culture whose purposes it serves it is perfectly true that the history of language and the history of culture move along parallel lines.

(ibid. : 219)   Sapirは 言 語 の 潜 在 的 内容 は経 験 につ い て の 直 観 的 知 識 で あ る と し、 言 語 を 使 用 す る こ とが 特 定 の 思 考 に な りや す い とい う こ と を論 じた 。 言 語 と私 た ち の思 考 の 溝 は 、 密 接 不 可 分 に絡 み合 っ て い て 、 あ る意 味 で は 全 く同一 で あ る。 言 語 が 決 ま っ た 思 考 の溝 を流 れ る こ と で 、 特 定 言 語 に習 慣 的 な思 考 を しや す い とい う事 を述 べ て い る。 ま た言 語 の 内容 は文 化 に密 接 に 関 係 して い る と し、 あ る 言 語 の語 彙 は文 化 の 目的 を果 た し、 そ う い う語 彙 が 多 少 と も忠 実 に 文 化 を反 映 して い る と い う意 味 に お い て 、 言 語 史 と文 化 史 が平 行 線 を た どる とい う こ と を認 め た。Sapirは 語 彙 レベ ル に お い て の 言 語 と文化 の 関係 性 をみ とめ 、 ま た 習 慣 的 な 思 考 に お け る言 語 の 強 い 力 を認 め て い る 。   この よ うな 言語 と文 化 の 関係 性 が 認 め られ て い く中 で、Whorf(1897-1941) は 言 語 と文 化 の さ らに 強 い 関係 性 を認 め た 。 iv) Whorf

Concepts of "time" and "matter" are not given in substantially the same form by experience to all men but depend upon the nature of the language or lan-guages through the use of which they have been developed. They do not depend so much upon ANY ONE SYSTEM (e. g., tense, or nouns) within the grammar as upon the ways of analyzing and reporting experience which have become fixed in the language as integrated "fashion of speaking" and which cut across the typical grammatical classifications, so that such a "fash-ion" may include lexical, morphological, syntactic, and otherwise systemati-cally diverse means coordinated in a certain frame of consistency.

(Whorf 1941/1956 : 158)

Whorfは 言 語 と文化 の さ らに強 い 関係 性 を認 め た 。 「時 間 と物 質 の"概 念"」 は 何 か 一 つ の文 法 組 織(例 え ば時 制 や 名 詞)に 依 存 す る とい う よ りも、 総 合 的 な言 い 回 し(fashion of speaking)と して 言 語 に定 着 して お り、 典 型 的 な 文

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法 的 諸 類 別 に ま たが っ て い る経 験 の 分 析 と伝 達 の 仕 方 に依 存 す る もの で あ る と した 。 「言 い まわ し」 に は枠 組 み と して あ る一 貫 性 を持 っ た 辞 書 的 、 形 態 的 、

統 語 論 等 の種 々 の組 織 的 な方 法 が 含 ま れ て い る 。

  Whorfは またWhorf(1956)に お い て 収 録 さ れ て い なか っ た``Yale Report" に お い て次 の よ うに論 じて い る 。

In Eng the traditional "racy" talk of fishermen is doubtless source of division of fish-name nouns into 2 covert classes with markers (reactances) in the plural formation: 1. 'economic fish' (fish sought by fishermen) , plural without -s (trout , bass, cod, mackerel etc.), 2. low-grade fish', plural with -s (sharks, skates, rays, bullheads, shiners etc.) including "queer" fish, (may be fished for but are not typical prized fish e. g. eels, flounders) . ...The native speaker of Eng will pluralize names of fish new to him in accordance with his sense of the cultural placement of the fish.

("Yale Report" by Whorf in Lee 1996 : 267 — 268)

  上 の引 用 文 に お い て 、Whorfは 魚 の例 を用 い て 言 語 と文 化 の 関 係 を論 じて い る。 英 語 話 者 は魚 を 「利 益 の 上 が る魚 」 と 「下 等 な 魚(奇 妙 な 魚 を含 む)」 に分 類 し、 そ れ に よ っ て そ の 魚 の 複 数形 を変 化 させ て い る。 す な わ ち 「利 益 の 上 が る魚 」 の 場 合 、 複 数 形 に は 一sを用 い な い 。 一 方 で 「下 等 も し くは奇 妙 で あ る魚 」 の 場 合 、 複 数 形 に は 一sを用 い て 表 現 す る。 そ の た め 英 語 を母 語 と す る 人 が は じめ て み る魚 に 遭 遇 した と き、 そ の 人 は無 意 識 に そ の 魚 に対 す る 英 語 を母 語 とす る 人 の 文 化 的 な 位 置 づ け の感 覚 に した が っ て 、 そ の 魚 の 名 前 を複 数 形 にす る で あ ろ う。  Whorfは 言 語 と文 化 の 関係 を次 の 引用 文 に み られ る よ う に 定 義 した の で あ る。 言語 そ の もの が文 化 で あ り、言 語 と(言 語 以外 の)文 化 は と もに広 義 の文 化 とい う よ り大 きな全体 の本 当 に切 り離 せ ない部 分 を な して い る とい う事 実 に基づ くもの であ る。

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言語文化 と国際英語教育   77 Whorfは 「言 語 そ の も の が 文 化 で あ る」 と説 き、 言 語 と文 化 は切 り離 せ な い とい う事 を認 め た。 言 語 と文 化 の 関 係 性 の研 究 の歴 史 の 中 でWhorfは 、 言 語 と文 化 の 関 係 性 を よ り密 接 不 可 分 な もの と し て捉 え 、 語 彙 と文 法 の 区 別 を 超 え て 「習 慣 的 な 言 い ま わ し(fashion of speaking)」 とな っ た言 語 は 文 化 で あ る と捉 え た。 ま た 言 語 化 さ れ る 以 前 の ゲ シ ュ タ ル ト的 な知 覚 の 可 能性 を認 め た の もWhorfに とっ て 特 徴 的 で あ る。 こ の よ うに言 語 と文 化 の 関 係 性 を認 め る 度 合 い は確 実 に高 ま っ て きた の で あ る 。   さ て 今 日の 認 知 言 語 学 者 で あ るTomasello(1950-)は 幼 児 の 言 語 習 得 の 過 程 に お け る他 者 や 環 境 と の 関係 につ い て 、 次 の よ う に述 べ て い る 。 v) Tomasello

But at around 9 —12 months of age a new set of behaviors begins to emerge that are not dyadic, like these early behaviors, but triadic in the sense that they involve infants coordinating their interactions with objects and people, resulting in a referential triangle of child, adult, and the object or event to which they share attention. Most often the term 'joint attention' has been used to characterize this whole complex of social skills and interactions. ...In short, it is at this age that infants for the first time begin to 'tune in' to the attention and behavior of adults on outside entities. (Tomasello 2003 : 95)

  Tomaselloの 議 論 に お い て注 目す べ き点 は 、 幼 児 の 言 語 習 得 の 過 程 の 観 察 か ら、 幼 児 の 言 語 習得 は、 生 後 九 か 月 以 降 に 出 現 す る他 者 の意 図 を理 解 し、 他 者 が 第 三 者 の対 象 に 向 け る注 意 を共 有 す る能 力 、 い わ ゆ る共 同注 意(joint attention)を 基 盤 と して 進 行 す る と主 張 した 点 で あ る(9か 月 革 命)。 他 者 と の相 互 作 用 や 、 言 語 使 用 者 の 意 図 の 理 解 な しに 、 幼 児 の 言 語 習得 は不 可 能 だ と論 じて い る。 幼 児 は常 に 他 者 や 、 他 者 が作 り出 した 文 法 的 言 い ま わ しに 囲 まれ て お り、 そ の 中 に存 在 す る他 者 の 意 図 を理 解 す る こ と に よ って 、 言 語 や 文 化 を 習得 して い く。 子 ど もに と っ て真 っ 先 に接 す る他 者 は 親 で あ り、 親 か ら子 へ す な わ ち お と な か ら子 ど もへ と文 化 は 継 承 され て い くの で あ る 。 この よ う に お とな の 他 者 との コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを 通 じて 、Tomaselloは 言 語 や

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文 化 が 「世 代 を超 え て 継 承 され て い く」 とい う点 に注 目 し、 言 語 の 進 化 に お け る 文 化 的 な役 割 に焦 点 を 当 て た の で あ る 。 こ の よ う に して 、Tomaselloは 言 語 の 中 に 環 境 につ い て の社 会 的解 釈 が 織 り込 ま れ る こ と に注 目す る こ とに よ っ て 、Whorfが 述 べ た 「言 語 そ の もの が 文 化 で あ る」 とい う見 解 を結 果 的 に は 継 承 す る こ とに な っ た と見 る こ とが で き る。   そ れ で は 、 上 のTomaselloか らの 引 用 文 で述 べ られ て い る共 同注 意 は どの よ う な プ ロセ ス を た ど る の で あ ろ うか 。 表2は 共 同注 意 の プ ロ セ ス を示 して い る。 1 2 3 4 視 線 追 従(gaze  following) 協 調 行 動(joint engagement) 社 会 的 参 照(social  referencing) 模 倣 学 習(imitative  leaning) お と な た ち が 見 て い る と こ ろ を み る。 お と な の視 線 を追 う。 物 体 に媒 介 され た お と な と の相 互 作 用 をそ れ な りに長 い 間 続 け る。 お とな を社会 的な参照 点 と して利用す る。 お とな が 対 象 に対 して ふ る ま う よ う に 、 子 ど も も対 象 に対 して ふ る ま う。 表2.共 同 注 意(joint  attention)の プ ロ セ ス   まず 幼 児 は お と な た ち が 見 て い る と こ ろ を見 る 、 す な わ ち お と な の視 線 を 追 う とい った 視 線 追 従(gaze  following)の 行 為 をす る。 そ して 次 に、 対 象 に 媒 介 され た お とな と の相 互 作 用 を一 定期間 続 け る こ とが で き る よ う に な る。 そ して お とな を社 会 的 な参 照 点(social referencing)と して 利 用 す る よ う に な り、 最 終 的 に 、 お とな が 対 象 に対 して ふ る ま う よ う に子 ど も も対 象 に対 し て ふ る ま う よ う に な る。 幼 児 は お とな との 間 に 共 同 注 意 フ レー ムす な わ ち と も に 関 心 を 向 け る場 所 を確 立 し、 そ して 相 手 の伝 達 意 図 を理 解 す る よ う に な り、 最 終 的 に は お とな の 行 為 を模 倣 す る よ う に な るの で あ る。 子 ど も とお と な とい う二 項 で は な く、 子 ど も とお とな と対 象 との 間 で成 立 す る三 項 関 係 を 子 ど も は理 解 す る よ う に な る の で あ る 。 こ れ は つ ま り相 手 の 行 為 の 意 図 や 目

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言語文化 と国際英語教育   79 的 を読 み 取 り、 そ れ に基 づ い て 行 動 す る よ う に な る こ と を示 して い る。 これ が 子 ど も の社 会 化 の始 ま りに な る の で あ る 。 こ の よ う に幼 児 の 言 語 の習 得 が 生 活 の 場 面 す な わ ち文 化 と結 びつ て い る こ とか ら も、 言 語 と文 化 の 関係 が 証 明 さ れ る。   で は 幼 児 は 具 体 的 に は どの よ うに 言 語 を 用 い る よ う に な る の だ ろ うか 。 言 語 習 得 の 初 期 段 階 に お い て 、 子 ど もが 最 も頻 繁 に 言 葉 と触 れ る場 面 は、 子 ど も 自身 に とっ て 、 身近 な 場 面 や 出 来 事 で あ る と言 え る。 子 ど も 自 身が 意 図 的 に お と な に 注 意 を 向 け させ よ う とす る行 為 と して まず 子 ど も は 「一 語 発 話 」 をす る よ う に な る 。 一 語 文 の例 と し て次 の よ うな も の が あ げ られ る。

  ・Pick me up.→   up     ・Iwant more milk,→   more

  この よ う にpick me upのupの み を発 話 した り、Iwant more milkのmore の み を発 話 す る事 は子 ど も の言 語 処 理 上 の 負 担 と い う観 点 か ら説 明づ け られ 、 こ の よ う な発 話 は ボ トル ネ ッ ク処 理 と して み な さ れ る(児 玉2009参 照)。 ボ ト ル ネ ッ ク と は ビ ンの 首 の あ た りを指 す 用 語 で 、 ビ ンの 首 は ビ ンの 内 部 よ り も せ ま くな っ て い る 。 本 来 な ら、 子 ど もは 発 話 す る際 、 正 しい 語 を検 索 し、 他 の 語 と結 び つ け、 正 しい 語 順 に配 列 しな け れ ば な らな い が 、 幼 児 に と っ て そ れ は 過 重 の 負 荷 に な る。 そ の た め そ の な か の キ ー とな る 一 語 を抜 き出 す わ け で あ る。 この よ う に統 語 上 の 欠 陥 は あ っ て も、 限 られ た 語 で 文 に相 当 す る 内 容 を伝 え よ う と す る試 み が ボ トル ネ ッ ク な の で あ る 。   ま た 、 幼 児 の発 話 に とっ て 語 彙 は大 切 な役 割 を 果 た す 。 子 ど も は 自分 の欲 求 を満 た し て も ら うた め に 最低 限必 要 な 単 語 を習 得 す る必 要 が あ る。 そ の た め 子 ど も は最 も頻 繁 に使 わ れ る基 礎 的 な単 語 か ら順 に 言 語 を獲 得 して い くこ と に な る 。   さ らに 子 ど もは ゲ シ ュ タル トつ ま り 「か た ま り」 と して言 語 を習 得 して い くと い う点 に も注 目 しな け れ ば な らな い 。 ゲ シ ュ タル トとは ドイ ツ語 で 「形 態 」 を 意 味 す る 知 覚 心 理 学 の 概 念 で あ る。 ゲ シ ュ タル トとは 、 全 体 を分 析 せ ず に 「ひ と か た ま り」 の 形 態 と して 捉 え る こ とで あ り、 そ こで は全 体 は 部 分 の 単 な る総 和(集 合)で は な く、 部 分 の 総 和 以 上 の 特 性(機 能 や 法 則)を 示

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す とい う こ とで あ る 。 した が っ て 、 こ れ は 全 体 を 部 分 に分 解 し よ う とす る 要 素 還 元 主 義 を 否 定 す る見 方 を さす こ と に な る。 子 ど も は あ る 単 語 の 連 鎖 が比 較 的大 きな 塊 で あ っ た と して も、 「子 ど もに と って 扱 い や す い 単位 」 に 分解 し、 そ れ を全 体 と し て捉 え て い る。 この よ う に 表 現 を構 成 要 素 に 分 析 す る の で は な く、 表 現 全 体 を ま る で 一 語 文 の よ う に捉 え る ス タ イ ル が ゲ シ ュ タル ト ・ス

タイ ル で あ る。 例 と してwait a minuteやwait  for meを 取 り上 げ る こ と にす る。 子 ど もはwait a minuteやwait  for meと い っ た発 話 を頻 繁 にす る。 そ の と き、 子 ど も はwaitの 意 味 を理 解 す る と い う よ りは、 waitが 使 用 さ れ る状 況 にお い て 、wait a minuteやwait  for meと い っ た表 現 が 使 用 され る こ とを経 験 し、 表 現 全 体 を ゲ シ ュ タ ル トと して使 用 す る こ と を学 習 して い くと考 え られ る。 つ ま り場 面 と と もに ゲ シ ュ タ ル トと して ま る で0語 文 の よ う に子 ど もは 上 記 の よ う な一 語 文 よ りも比 較 的長 い 文 を発 話 す る事 が 出 来 る よ う に な るの で あ る。 この 場 合 、 重 要 に な っ て くる の が 入 力 の 頻 度 で あ る。 た び た び待 っ て い て ほ しい と い う状 況 の 時 にwaitと い う言 葉 を聞 くこ とで 、 子 ど もの発 話 に 定 着 し て い くの で あ る 。 この よ うな場 面 が 比較 的 起 こ ら な い 場 合 、 子 ど もに と っ て waitの 習 得 は難 しい もの に な る だ ろ う。 頻 繁 にお こ る とい っ た頻 度 が 言 語 入 力 の非 常 に重 要 な ポ イ ン トに な る。   こ の よ う に言 語 習 得 の 際 に は次 の 三 つ の ポ イ ン トが 重 要 な役 割 を果 た して い る。 1.基 本 重 要 語 句 の習 得 2.場 面 と と も に覚 え る 3.慣 用 句 、 言 い まわ し を ゲ シ ュ タ ル トと して 覚 え る。   こ の よ う に 言 語 習 得 の 過 程 か ら も、 言 語 と文 化 が 密 接 に 関 係 し て い る こ と が わ か る。 す な わ ち、 基 本 重 要 語 句 の 習 得 も、 場 面 と と も に覚 え る とい う こ と も、 ゲ シ ュ タ ル トと して 覚 え る と い う こ と もす べ て 言 語 を学 ぶ と同 時 に そ

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言語文化 と国際英語教育   81 の 文 化 を学 ぶ とい う こ と に繋 が って い る 。 この よ う にや は り言 語 と文 化 に は 密 接 な 関 係 性 が あ り、 あ る意 味 で は一 体 なの で あ る とい う事 が わか る 。 3.英 語 教 育 の 目指 す べ き もの   2に お い て 取 り上 げ た 言 語 と文 化 の密 接 な 関係 性 を認 め た 上 で 、 これ か ら の英 語 教 育 は ど の よ うな もの を 目指 す べ き なの だ ろ うか 。Sapirは 国 際 補 助 言 語 と して 求 め られ て い る言 語 の 条 件 を 三 つ あ げ た 。.

What is needed above all is a language that is as simple, as regular, as logical, as rich, and as creative as possible; a language which starts with a minimum of demands on the learning capacity of the normal individual and can do the maximum amount of work; which is to serve as a sort of logical touchstone to all national languages and as the standard medium of translation.

(Sapir 1931 : 113) す な わ ち 、Sapirが 国 際 言 語 に 求 め る 条件 を ま とめ る と表3の よ う に な る 。 可 能 な 限 り簡 潔 で 、 規 則 的 、 論 理 的 で あ り、 表 現 力 が 豊 か で 、 創 造 的 な言 語 で あ る こ と 通 常 の個 人 に は最 小 の 学 習 能 力 しか 要 求 せ ず 、 しか も最 大 の仕 事 量 を こ な す 言 語 で あ る こ と 全 て の 国 語 に対 し て 一 種 の論 理 的 基 準 とな る と 同 時 に 翻 訳 の標 準 的 媒 体 とな る言 語 で あ る こ と 表3.サ ピアに よる 国際補 助 言語 と して求 め られ る言語 の三 つ の条件 この よ う に 国 際 言 語 に な る為 に はい か な る 文 化 を持 つ 人 に もア プ ロ ー チ しや す い よ うな 普 遍 性 の 高 い 言 語 が 求 め られ る とい う こ と をSapirは 提 唱 し た の で あ る 。   で は 私 た ち は こ れ か ら どの よ う な英 語 教 育 を 目指 す べ きな の で あ ろ うか 。

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もち ろ ん英 語 教 育 と国 際 英 語 教 育 は 同 等 に扱 う こ と は 出 来 な い 。 今 日求 め ら れ て い る 国 際 英 語 教 育 は 特 にSpeakingやListeningに 重 きを 置 い て い る が 、 そ うい っ た こ との み に焦 点 を 当 て る とReadingやWritingと い っ たGrammar が 置 き去 り に さ れ て し ま う可 能 性 が あ る た め で あ る。 ま た 多 様 な英 語 を認 め る 国 際 英 語 教 育 を基 盤 とす る と、 現 在 の 英 語 教 育 にお け る 到 達 度 の評 価 が 困 難 に な る こ とか ら、 英 語 学 習 者 の動 機 づ け の低 下 に繋 が る 恐 れ も あ る 。 ま た 英 語 のSpeakingやListeningに 重 心 を置 くな ら、 教 師 は 英 語 の ネ イ テ ィ ブ ス ピー カ ー の み で い い とい う こ と に な って し ま うが 、 実 際 の 英 語 教 育 で は そ う で は な い 。 す べ て に お い て バ ラ ンス とい う もの が 重 要 な の で あ る。 また 学 習 者 一 人 一 人 に あ っ た 英 語 教 育 とい う もの が 求 め られ て い くの で あ る 。   しか しな が ら社 会 が 意 思 疎 通 の 手 段 と してEIL(国 際 言 語 と して の 英 語) を求 め て い る こ と も事 実 で あ る。EILは 多 様 な文 化 を持 つ 人 が使 用 す る た め 、 あ る程 度 ス タ ン ダー ド(標 準 的)な もの に な る だ ろ う。 国 際 英 語 と して 生 き 残 る もの と生 き残 ら ない もの はSapirのDrift(駆 流)で 説 明 され うる だ ろ う。

The linguistic drift has direction. In other words, only those individual varia-tions embody it or carry it which moves in a certain direction, just as only cer-tain wave movements in the bay outline the tide. The drift of a language is constituted by the unconscious selection on the part of its speakers of those individual variations that are cumulative in some special direction. This direc-tion may be inferred, in the main, from the past history of the language.

(Sapir 1921 :155)   Sapirは 言 語 に お け るdriftと は 、 目に は見 え な い 大 きな 流 れ つ ま り方 向性 で あ る とい う こ と を指 摘 し て い る。driftは 基 本 的 に言 語 変 化 の理 論 で あ り、 い か な る と き もす べ て の 言 語 はdriftに よ っ て強 力 に 決 定 づ け られ て い る 。 つ ま りdriftは 言 語 変化 の 方 向性 を決 め る の で あ る。 driftに よ る言 語 的変 化 は表 面 的 に は影 響 を 受 け る が 、 言 語 の 根 本 的 な 構 造(す な わ ちパ ター ン)に お い て は比 較 的 影 響 を 受 け な い。 またdriftは 無 意 識 的 な 感 情 に よ っ て 支 配 され る た め 、 言 語 の 話 し手 は 言 語 に お け るdriftに 無 意 識 的 で あ る。

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言語文化 と国際英語教 育  83   こ の よ う に 言 語 変 化 は 常 にdriftに よ る影 響 を 受 け て い る の で あ る 。 した が っ て 、 国 際 英 語 と して 求 め られ る 英 語 の言 語 変 化 も常 にdriftに お け る影 響 を受 け る こ と に な る だ ろ う。 で は 国 際 英 語 と して 生 き残 る もの と生 き残 ら な い もの は どの よ う に して 分 化 して い くで あ ろ う か 。 例 と して 次 の よ うな 表 現 を取 り上 げ て み よ う。

Ex) I'm swamped with work. / I'm very busy at work.

  ど ち ら も 「仕 事 で 身 動 き が 取 れ な い 。」 と い う 意 味 を 表 し て い る 。 前 半 の swampと い う 単 語 は 沼 地 と い う 意 味 を 持 っ て お り 、 沼 に は ま っ た の と 同 じ よ う に 身 動 き が 取 れ な い と い う こ と を 表 現 し て い る 。0方 後 者 の 表 現 は 、very busyと 言 う こ と に よ り、 仕 事 が 忙 し い と 言 う こ と を 伝 え て い る 。 前 者 は 比 喩 的 な 表 現 、 後 者 は 明 示 的 な 表 現 と い う こ と に な る 。 前 者 の 表 現 で は 「沼 」 を イ メ ー ジ す る こ と が 出 来 な い よ う な 国 々 の 人 、 例 え ば サ ウ ジ ア ラ ビ ア の 人 々 に と っ て 理 解 が 困 難 に な る と い う こ とが 報 告 さ れ て い る(Sharifian  2009:200 参 照)。 他 方 、 後 者 の 「と て も忙 し い 」 と 言 う 直 接 的 な 表 現 は 誰 に と っ て も 理 解 可 能 で あ る 。 し た が っ て 、1'mswamped  with work.と い う 比 喩 的 表 現 よ り

も 、1'mvery  busy  at work.と い う 直 接 的 な 表 現 の ほ う にdriftは 向 か う で あ ろ う と 分 析 す る こ と が 出 来 る 。

  次 に イ デ ィ オ ム に つ い て 取 り上 げ る こ と に す る 。

Ex) from dawn to dusk / all day

  上 の 表 現 は どち ら も一 日中 とい う こ とを意 味 して い るが 、 前 半 の 表 現 は 「夜 明 け か ら夕 暮 れ ま で 」 つ ま り は 日が 昇 っ て か ら 日 が 落 ち る ま で と言 う表 現 を す る こ とに よ り 「一 日中」 と言 う こ と をあ らわ して い る 。 一 方all dayは シ ン プ ル な表 現 で 「一 日中 」 を 表 現 して い る。 白夜 の あ る地 域 な ど を考 え る と、 各 々 の 国 に お い て 「一 日」 と言 う 時 間 の 捉 え 方 は さ ま ざ ま で あ り、 前 半 の表 現 にお け る一 日の 捉 え方 が す べ て の 国 の 一 日の 捉 え 方 に 当 て は ま る わ け で は

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な い 。 し か し ど の 国 に お い て も 、 一 日 と 言 う 単 位 が 存 在 す る こ と は 明 白 な 事 実 で あ る 。 し た が っ て 、 英 語 独 特 の イ デ ィ オ ム で あ る 前 半 のfrom  dawn  to dusk

よ り も 、 基 準 的 な 後 半 のall dayの ほ う にdriftは 向 か っ て い る の で は な い か と 分 析 す る こ と が 出 来 る 。   EILと し て 残 る も の と残 ら な い で あ ろ う も の を 予 測 し て み る と 、 そ のdrift の 特 徴 と し て い くつ か の こ と が 想 定 で き る 。 そ れ ら を ま と め て み る と 表4の よ う に な る 。 残 る もの 消 え て い く もの 一 般 的、 経 済 的 、 普 遍 的 、  「基 本 レベ ル 」 的 な もの 複 雑 、 例 外 的 、 特 定 文 化 の 特 質 に つ い て の比 喩 的 な い い ま わ し 表4.EILに お け るDrift   EILは さ ま ざ ま な文 化 的 背 景 を持 つ 入 が 使 う た め 、 そ の表 現 は 出来 る だ け シ ン プ ル(経 済 的)で 普 遍 的(ど こ に で もあ る)「 基 本 的 レベ ル」(子 ど もが 最 初 に習 得 し、 よ く用 い られ る 表 現)に あ る表 現 で 基 準 的 、 一 般 的 な もの に な ら な け れ ば な らな い 。 さ ま ざ まな 文 化 の 人 が 利 用 す るEILは す べ て の 人 に と っ てfairに 作 用 しな け れ ば な らな い 。 英 語 を母 語 と し て 使 用 す るInner-Circleの 人 もOuter-CircleやExpanding-るInner-CircleのEILを 理 解 す る こ とが 当 然 要 求 さ れ る こ とに な る。 様 々 な文 化 に あ る 人 々 に よ って 用 い られ るEILで は、 例 えば ア メ リ カ英 語 とい う よ う な特 定 文 化 の英 語 と相 違 す る 英語 も、 同 じEIL の 条 件 に よ っ て 解 釈 され べ き な の で あ る 。EILは こ れ か らま す ますgeneral-ization(一 般 化)が 進 ん で い くだ ろ う。 そ の た め 英 語 教 育 にお い て も、 そ の よ う な視 点 を大 切 に して 英 語 と親 しん で い く こ とが 大 切 で あ る と思 わ れ る。 母 語 を大 切 に した 上 で 、 意思 疎 通 の 手 段 と して 英 語 を学 習 す る とい う姿 勢 が これ か ら ます ま す 求 め られ て い くだ ろ う。

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言語文化 と国際英語教 育  85 お わ り に   国 際化 が ます ます 進 む 社 会 の 中 で 、 世 界 の 共 通 語 と して 英 語 を使 用 す る動 きが 高 まっ て い る 。 国 際 言 語 と して の 英 語EILは これ ま で の 英 米 語 中心 に基 づ い た 英 語 で は な く、 そ れ ぞ れ の 文 化 の 相 違 を視 野 に入 れ た 共 通 語 と して 英 語 を使 用 す る こ と を 目的 と して い る。 言 語 と文 化 は密 接 不 可 分 に絡 み 合 っ て お り、 あ る意 味 で は一 体 で あ る と考 え られ る。 そ れ ぞ れ の 文 化 を大 切 にす る た め に 、 複 数 の も の の 見 方 を もつ とい う事 が 求 め ら れ て い るの で あ る。 お 互 い の 文化 の 相 違 を尊 重 し た上 で 共 通 語 と して英 語 を使 用 す る と い っ た理 念 に 基 づ い た 英 語 教 育 が こ れ か ら ます ます 求 め られ る こ と に な るだ ろ う。 本 稿 は 、 京 都 女 子 大 学 英 文 学 会2009年 度 大 会(2009年10月31日)に お け る 発 表 原 稿 に加 筆 、 修 正 を 施 した もの で あ る。 References

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