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浅見和彦校訂・訳 『方丈記』鴨長明

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Academic year: 2021

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浅見和彦校訂・訳

  

﹃方丈記﹄鴨長明

杉 

本 

亜 

由 

  数多の日本古典文学作品の中でも屈指の名文といわれている鴨長 明が著した ﹃方丈記﹄ 。著者である長明自身が自ら体験したり 、見 聞した安元の大火、治承の辻風、福原遷都、養和の飢饉、元暦の大 地震、そして晩年の方丈の庵における閑居生活がリズミカルで表現 豊かな文章で綴られている。本書はこの﹃方丈記﹄を現代の事柄に 置き換え現代人が共鳴できる作品として 、﹃方丈記﹄研究第一人者 浅見和彦氏が新校訂原文、現代語訳、評言を呈した﹃方丈記﹄解説 本である。   本書の構成は、方丈記   原文、方丈記   訳・評︵安元の大火・治 承の辻風・福原への遷都・養和の飢饉・元暦の大地震・住みにくき 世・あられぬ世・仮の庵のありよう・草庵の生活・仮の庵もふるさ となり・手の奴、足の乗り物・終章︶で成り立っている。   また、本書の﹃方丈記﹄の本文は大福光寺所蔵本︵複製︶を中心 に他の諸本を参照して作成されている。読み易さを第一に考え、漢 字等をあて、段落をもうけ、いくつかの章に分けられており、これ までに﹃方丈記﹄にふれたことがない初心者にも非常に理解し易く 作成されている本文である。   本書の特徴にふれたい。まず挙げられるのは、分かり易い表現で つけられている現代語訳である。先程述べた﹃方丈記﹄本文と同様 にこちらも読み易さを第一に考えて、平易な理解し易い表現で現代 語訳がつけられており 、﹃方丈記﹄の古典の世界をより具体的に想 像できるのである。   次の特徴として挙げられるのは﹃方丈記﹄の理解の助けとなるこ とをめざして、背景、時代、現代との関わりについて述べられてい る評言である 。﹃方丈記﹄の時代を 、実に見事に現代になぞらえて おり、例えば、長明の方丈庵での生活を現代のマンション、アパー トの 1 LDK の生活 、﹃方丈記﹄の ﹁つねに歩き 、つねにはたらく は、養性なるべし﹂という表現を現代のウォーキングのすすめなど、 長明は鎌倉時代にすでに平成のこの世を予見していたのではないか と思わせるほどである。   さらに本書の特徴として、写真や絵が豊富に載せてあるところも 挙げられる。長明ゆかりの下鴨神社、長明が幼少期に見ていたと思 われる京都市左京区に流れる泉川、安元の大火出火場所の樋口富小 路などの現在の姿が写真で楽しめるのである 。﹃方丈記﹄関連の写 真をみているうちに 、ふとその場所へ行き 、﹃方丈記﹄旅情に浸り たくなるのは私だけではないはずであろう。   数ある写真や絵の中で、私が一番興味深く感じたのは、長明が晩 年過ごしたといわれている方丈庵内部の復元イラストである 。約 五・五畳の広さの中に、寝所、居間、修道の場所と実に機能的に狭 い部屋を活用していた長明。その方丈庵で自給自足の生活をしてい た長明が目に浮かぶようである。

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― 171 ―   本書は全体を通し、説明、解説が平易な言葉で丁寧にされている ので読み易く、尚且つ、文庫本であるので持ち運び易い。来年は二 〇一二年と﹃方丈記﹄成立から八〇〇年後にあたる記念すべき年で ある。この機会に﹃方丈記﹄にふれてみたいと思う方には一読の価 値がある一冊である。 ︵二〇一一年十一月十日発行   二五三頁   一〇〇〇円+税   筑摩書 房︶ ︵すぎもと・あゆみ   大学院博士後期課程在学︶

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