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兵庫県尼崎市の猪名川公園におけるゴモクムシダマシ( コウチュウ目,ゴミ ムシダマシ科) の採集記録と飼育方法に関する若干の考察

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伊丹市昆虫館研究報告 第 1 号 2013 年 3 月

兵庫県尼崎市の猪名川公園におけるゴモクムシダマシ ( コウチュウ目,ゴミ

ムシダマシ科 ) の採集記録と飼育方法に関する若干の考察

高田兼太

Record of Pedinus japonicus Seidlitz (Coleoptera, Tenebrionidae)

collected from Inagawa Park, Amagasaki City, with some notes on

the rearing method for this species

Kenta Takada

Independent Researcher of Cultural Entomology and Echological Entomology

問い合わせ先 [email protected] (2013 年 2 月 11 日受理)  ゴミムシダマシ科 Tenebrionidae は、甲虫目の中でも 多様性が高い分類群であるにもかかわらず(安藤・中條 1985)、その注目度や社会的関心はそれほど高いとはい えないため(Takada 2010)、本科に属する種の地域種類 相と生物学的知見の解明度は未だ低いと考えられる。し たがって、兵庫県内における本科に属する多くの種に関 する資料もまた、まだ十分に集積されていないと思われ る。

 ゴモクムシダマシ Pedinus japonicus Seidlitz は、ゴ ミムシダマシ科 Tenebrionidae ゴモクムシダマシ亜科 Pedininaeに属する甲虫で、本州、四国、九州に分布し ている(安藤・中條 1985、 山崎 2012)が、筆者が文 献記録を調べた範囲では、兵庫県下における本種の分布 や生態に関する資料はほとんどないように思われる。筆 者は、兵庫県下において記録が少ないと思われるゴモク ムシダマシを兵庫県尼崎市の猪名川公園にて採集し、ま た採集時の状況を記録しているのでここに報告しておく (図 1)。  2012 年 10 月 10 日 兵庫県尼崎市猪名川公園  1 個体 高田兼太採集  2012 年 10 月 11 日 兵庫県尼崎市猪名川公園  14 個体 高田兼太採集  2012 年 10 月 15 日 兵庫県尼崎市猪名川公園  8 個体 高田兼太採集  筆者は、 2012 年 10 月 10 日の日中に猪名川公園内の 散歩道(路面は固められた土)を散策中に本種が 1 個体 徘徊しているのを目撃し採集した(図 2)。また、翌日(10 月 11 日)の昼過ぎに本種を目撃した周辺にて念入りに 調べて、散歩道の縁にある砂だまりを軽く掘ったところ、 多数の本種を採集することができた(図 3、図 4)。さらに、 2012 年 10 月 15 日には夜間に散歩道のわきにある丈の 低い草地を観察したところ、多数の本種が地表を徘徊し ているのを目撃し、またその一部を採集することができ た(図 5)。なお、今回は猪名川公園内のわずか 2 か所の 図1 猪名川公園で採集したゴモクムシダマシ Pedinus japonicus Seidlitz

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26 高田兼太 図3 公園遊歩道の淵の砂だまり。ここを掘るこ とで多数のゴモクムシダマシが採集された 図4 公園遊歩道の淵の砂だまりより採集したゴ モクムシダマシ 狭い範囲のみで本種を観察しているが、今後調査をすす めることで公園内のより広い範囲内で本種を確認するこ とができる可能性もあると思われる。  山崎(2012)によれば、本種は滋賀県または愛知県以 西の本州、四国、九州に分布(ただし、自然分布。人為 的な要因で東京にも分布を拡大している)し、普通種の ようであるとしているが、筆者の調べた限りでは、「害 虫屋の雑記帳」というブログの 2010 年 10 月 20 日の 記事において兵庫県南部の枯れ沢の石の下から本種を採 集したという記述以外には、本報告以前の兵庫県内にお ける本種の記録を確認することができなかった(URL: http://homeservice.blog.ocn.ne.jp/gaityuya/2010/10/ post_baae.html (2012 年 12 月 17 日アクセス確認))。 ついては、今後の調査による本種の追加記録がのぞまれ る。  また山崎(2012)は、本種の成虫・幼虫ともに砂地性 で土手の斜面に生えた背の低い草の根ぎわなどに生息す るとされているものの、サラサラした厚い層の砂でなく、 乾燥した堅い土、またはその上にいくらかの砂のあると ころで多く見かけるとしている。加えて、山崎 (2012) は、 夜間に人為的に分布を拡大したとされる東京都江戸川区 の葛西臨海公園にて夜間に多数の本種が徘徊しているの を目撃している。これら山崎 (2012) の本種に関する記 述は、筆者が本種を採集・観察した状況とほぼ一致して いる。また、本種が夜間に活発に活動していることも同 様である。  なお、現在筆者は、野外における本種の採集記録を集 積するだけでなく、予備実験としてゴモクムシダマシの 飼育方法を模索している。現在のところ、小型のタッパー ウェアに採集地で本種がもぐっていた砂(比較的乾燥し ているもの)をしきつめ、その上に浅底のペットボトル のふたをふたつ置いて、一方には湿らせたミズゴケを入 れ、もう一方にはテトラフィン(フレークタイプの熱帯 魚のえさ)を入れて飼育を試みている(図 6)。簡単な 観察結果では、本種は昼間や寒冷時にはペットボトルの ふたの下などに隠れているが、暖かい日の夜間や空腹時 にはエサをもとめて徘徊し、上述の熱帯魚のエサをよく 食べるようである。飼育実験には 12 匹を用いているが、 2013 年 2 月 19 日現在までに室内飼育にて 6 匹が生存 している状況である。なお、飼育実験中のテトラフィン の食べ残しには、比較的乾燥環境であるのにもかかわら 図2 ゴモクムシダマシが採集された公園の遊歩 道とその周辺

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27 兵庫県尼崎市の猪名川公園におけるゴモクムシダマシの採集記録と飼育方法に関する若干の考察 ず、高頻度で青色のカビが生育することは特筆すべきこ とかと思われる。本種は、単に有機物を摂食することだ けでなく、菌類を媒介することで分解者としての役割を はたしているのかもしれない。  末筆ながら、本種の猪名川公園における採集記録につ いて発表することを薦めていただいた長島聖大氏(伊丹 市昆虫館)に、深くお礼申し上げる。 参考文献 安藤清志・中條道崇 (1985) ゴミムシダマシ科 . 原色日 本甲虫図鑑 III. pp. 295-341. 保育社 . 大阪 . 500 p. 図6 ゴモクムシダマシの飼育現況。写真では、 多数のゴモクムシダマシが熱帯魚のエサを摂 食しているのが確認できる 図5 夜間丈の低い草地を徘徊中のゴモクムシ ダマシ

Takada, K. (2010) Popularity of different coleopteran groups assessed by Google search volume in Japanese culture - Extraordinary attention of the Japanese to Hotaru (lampyrids) and Kabuto-mushi (dinastines) (Cultural entomology). Elytra, Tokyo, 38: 299‒306.

山崎秀雄 (2012) ゴモクムシダマシ . 話の種のテーブル No. 194. 全国農村教育協会 HP. URL. http://www. zennokyo.co.jp/table/index_table.html (2012 年 12 月 17 日アクセス確認)

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