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キヤノンは 1996 年より グローバル優良企業グループ構想 をもとに経営を進め てきました 今年は そのフェーズ Ⅴ すなわち 2020 年を最終年度とする 5 カ年計画 のスタートの年であり 新たな挑戦を開始する年です 昨年はフェーズ Ⅳ の締めくくり として 5 カ年計画の最終年に毎回開催して

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Academic year: 2021

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キヤノンは、1996年より、「グローバル優良企業グループ構想」をもとに経営を進め てきました。今年は、そのフェーズⅤ、すなわち2020年を最終年度とする5カ年計画 のスタートの年であり、新たな挑戦を開始する年です。昨年はフェーズⅣの締めくくり として、5カ年計画の最終年に毎回開催しております「Canon EXPO」を、ニューヨーク・ パリ・東京で開催しました。2020年の未来社会では暮らしも仕事もより進化を遂げ、 新たなる価値が次々と生まれようとしています。キヤノンは、映像文化の発展やビジ ネス革新の支援などを通じて新たな価値を提供することを使命と捉え、それを実現す るための画期的な技術や製品を紹介しました。今回は昨年までのフェーズⅣを振り 返った後、今年から始まるフェーズⅤにおいて、我々がどのように新たな成長に挑戦 しようとしているのか、その方針を説明していきたいと思います。 フェーズⅣは、リーマンショックからV字回復した2010年を「成長元年」と位置付け、 業容を拡大し、主要経営指標で世界のトップ100社に入ることを目指し、当初は順調 な成長を期待してスタートしましたが、その後、世界経済は想定以上に厳しいものと なり、逆風の中を突き進むことを余儀なくされました。そこで、規模の拡大を追求する 「攻め」の経営戦略から大きく舵を切り、世界経済不況を耐え抜けるように財務体質 をさらに強化しながら、将来の飛躍を目指して、経営方針の転換を図りました。 残念ながら当初の業績目標を達成することはできませんでしたが、この5年間は キヤノンにとって非常に有意義なものであり、これは時代を先読みし、将来を見据え て、事業転換のための重要な2つの布石を打つことができたからです。

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重要な布石の第一とは、現行の主力事業が成熟化する中で、事業ドメインを成長 領域へとシフトし、ビジネスモデルも拡張して、「新しい成長力を確保」したことです。 既にいくつかの成果が生まれており、そのひとつが、ネットワークカメラ事業への 本格参入です。監視カメラのデジタルシフトは、ニーズの多様化と、それを実現する 通信や記録などの周辺技術の進化を促してきました。 この市場の変化を捉え、監視カメラ事業の拡大を図るために、我々はマイル ストーンシステムズ社とアクシス社をグループに迎え入れ、ビデオ管理ソフトやネット ワーク対応などの周辺技術を獲得し、事業ドメインをハード主体から、ネットワーク システムへと大きく転換したのです。

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2013年に完全子会社化したオセ社の獲得も、プリンティング事業のドメインを ホームやオフィスのドキュメントを中心とした分野から、商業印刷まで含めた幅広い 分野へと転換し、総合プリンティングカンパニーの実現を目指すことが、その狙いの ひとつでした。 商業印刷は、デジタル化によって可能になった多品種少量印刷需要を取り込み、 オフィス市場にも広がりを見せてきています。この成長を捉えるために、オセ社の 持つ超高速印刷技術と、高い生産性を維持するソフトウェアを獲得し、これまで狙い どおりの成長を実現してきました。さらに、パッケージ印刷や印刷受託サービス などへ進出し、ビジネスモデルの拡張にも踏み出しました。 このように、業界をリードする会社をグループに迎え入れ、将来の成長産業の基盤 を整えることができました。

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この他にも、現行事業の横展開による多角化にも取り組み、新たな成長のための 布石を打ってきました。その筆頭格は、映画産業に新たな市場を創出したシネマEOS システムです。デジタルカメラが急成長を遂げていた当時、映画の撮影現場にも、 デジタル化の波が押し寄せていました。撮影直後にその場で映像を確認でき、編集 も簡単に行えるなど、従来のフィルムカメラにはない利点が評価され、潜在需要は 非常に高いものがありました。しかしながら、当時の機械は大きくて重く、小回りの 利いた撮影ができなかったため、市場規模は小さく限られていました。 そこに新風を巻き起こしたのが、高画質な動画を撮影できる機能を新たに搭載した 当社の一眼レフカメラでした。その後、業界関係者の要望を反映しつつ、EOSシリーズ の豊富な交換レンズ群に対応し、簡単に編集できる専用のカメラを開発しました。 2012年にシステムとして販売を開始し、小型ながら4K対応であることも評価され、 ハリウッドで圧倒的なシェアを獲得するに至りました。 このように我々は、潜在需要を的確に商品化に結び付け、新たな市場を創り出す ことができたわけですが、その最も大きな要因は、センサーなどのキーコンポーネン トを内製している、当社の総合力を発揮できたからです。この強みは、8Kシステムや 2億5千万画素のカメラなど、将来を担う製品にも脈々と受け継がれています。この他 にも、超高感度センサーを新たに開発し、これを搭載した多目的カメラなども既に 商品化しています。

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もう一つ、ロボットの眼となるマシンビジョンにも触れておきます。多くのメーカーが 生産の自動化を推進していますが、部品を正確にラインに供給するためには、個々 の部品を高速に認識し、ロボットを制御する必要があります。さらに、バラ積みの 部品を正確に供給するには、高度な3次元認識が求められます。キヤノンは、カメラ で培ってきた映像処理技術をベースに独自の認識技術を開発し、3D-CADの設計ノウ ハウも応用して、高精度のピッキングを可能にするマシンビジョンを開発しました。 これは主に自動車メーカー向けのものでしたが、現在は、小型部品の認識が可能 なモデルも追加し、電機メーカーへの導入も可能になっています。今後は、さらに 機能を拡張し、検査や組立工程へとマシンビジョンの事業領域を広げていきます。 以上、代表的な例をいくつか挙げましたが、このほかにも新たな成長のための布石 を打ち、着実にBtoCからBtoBへと事業領域をシフトしてきました。

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そして、フェーズⅣで取り組んだもう一つの重要な施策が、「ものづくり改革」です。 キヤノンは1996年にフェーズⅠをスタートして以来、生産革新に取り組み、生産の 自動化とロボット化を積極的に推し進めてきました。2003年までに全世界の工場を セル方式に転換し、さらに、人と機械が協働するマンマシンセルの取り組みを開始し ました。そしてフェーズⅣでは、本体組立の自動化や、ロボットの技術開発に注力し、 一部の交換レンズユニットの自動生産ラインを稼働させるなど、その範囲と種類を 広げ、コストダウンを積極的に推進してきました。 自動化を進めるもうひとつの狙いは、日本でも新興国並みのコストを実現し、国内 回帰を推し進めることです。国内生産の強みは、開発・調達・生産技術・製造現場が すべて揃っており、それらが一体となって原価低減活動を推進できるところにありま す。この強みを活かして、上流である開発段階で設計を見直し、部品や型の共通化、 内製化などを積極的に展開しています。今年も、国内の主要な製造拠点を回って 現場を視察してきましたが、組立職場の声が開発部門に反映されるなど、一体と なった改革が進んでいました。 また、調達部門も専門委員会を立ち上げ、調達業務とITシステムの一元管理を図 るなど、抜本的なコスト削減活動を推進してきました。さらに、製品の立ち上げ当初か らコストダウンが実現できるように、製品の開発段階から、調達部門と取引先が参画 して、部品構成や製造技術の最適化に取り組んでいます。

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このようにキヤノンは、全社を挙げて「ものづくり力」の強化に努め、原価部門の 革新を進めてきました。その結果、昨年の売上総利益率は、史上最高となる50.9% を記録しました。フェーズⅣを通して、売上が一進一退する中にあっても、このような 高い利益率を実現できたのは、キヤノンの革新力が揺らいでいないことを示して いると思います。 この利益がもたらした潤沢な資金をもとに、アクシス社などの優良企業をグループ に迎え入れ、将来の成長産業の基盤を整えたのであります。このように、フェーズⅣ では、世界経済の低迷が長期化し、現行事業が成熟していく中にあっても、新規事業 の育成と、「ものづくり力」の強化を図り、キヤノンの事業構造を大きく転換させてきた のです。

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ここからは、今年スタートした「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅤ」に ついて説明します。 フェーズⅤは、フェーズⅣで推し進めてきた改革を、より一層拡大し、時代を先取り して、抜本的な改革を断行していく5年間にしたいと考えています。そこで、基本方針 を「戦略的大転換を果たし、新たなる成長に挑戦する」と定め、2020年には、今の姿 とは全く違う、新しいキヤノンへと生まれ変わり、新たなる成長を実現していきます。 今回は、この中でも特に重要な2つの戦略を中心に説明します。

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まず、1つ目は、「原価率45%を実現する新生産システムの確立」です。 主力事業の市場成長が鈍化している現状を打開するためには、収益構造を見直し、 これまで進めてきた改革を継続して、迅速果断に実行していかなければなりません。 私が社長に就任した1995年当時の原価率は61%でしたが、その後 改革を重ねて、 昨年には49%と、12%改善することができました。その成果として、8,400億円の 借入金を返済しながら、ピークには1兆円を上回るキャッシュを蓄え、この資金を 活用して、数々のM&Aを実行し、1兆円を超える自己株式も取得してきました。

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そこで、キヤノンの利益体質の礎となってきた「ものづくり力」をさらに磨き上げ、今 までにない新しい生産システムを確立していきたいと思います。具体的には、日本の マザー工場を整備し、生産の自動化を展開することによって、国内回帰を推進して いきます。 既に、カメラ本体の完全自動化に着手し、大分の工場に昨年パイロットラインを立ち 上げ、第一段階として3月発売予定の一眼レフカメラの量産を開始しました。この ラインでは、本体組立の約7割が立ち上げ当初から既に無人で稼働しており、完全 自動化まであと一歩のところまできています。 今後は、この大分のラインで培ったノウハウを、ロボットの製作に反映するとともに、 製品自体の設計も自動化を前提としたものに見直していきます。そして、生産ライン の全工程にロボットを導入し、2018年を目途に完全自動化を目指し、自動化の展開 にあたっては、投資対効果を見極めながら、ロボットの内製化と汎用化を推し進め、 コスト削減が確実に実現できる生産システムに仕上げていきます。このように、カメラ が先陣を切って動き始めたシステムを、2020年までには他の事業にも展開して、 原価率45%の実現を図っていきたいと思います。

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続いて、もう一つの重要な戦略は、「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」 です。今後もキヤノンが持続的に成長を遂げていくためには、その軸足をより大きな 成長が見込める分野へとシフトしていかなければなりません。そこで、今回は特に 注力している事業について、幾つか例を挙げて説明します。 まずは、ネットワークカメラシステムです。カメラ本体に、ソフトウェアやソリューション を含めた市場は20%程度の成長が続き、2018年には3兆円規模になると見込まれて います。また、社会不安の増大や防犯意識の高まりから、監視を強化し、安心・安全 を確保したいというニーズも強くなってきています。そのような中、キヤノンも、カメラで 培ってきた光学技術や映像処理技術を活かし、社会不安を軽減できるよう技術開発 に取り組んできました。その一例として、肉眼では認識しにくい月明かり程度の暗い 中でも、100メートル先の人物をカラーで識別できるカメラを製品化しました。このよう に、特殊な環境でも威力を発揮できる技術力が認められ、世界から続々と大口商談 が持ち込まれてきており、既に日本の大手航空会社の整備場などへの設置が進ん でいます。今後は、アクシス社との共同開発やマイルストーン社との連携を強化し、 戦略的な製品ラインアップの拡充を推し進めていきます。 また、いわゆる監視という概念にとどまらず、生産ラインにおける稼働状況の把握 や、商業店舗の集客や売れ行き状況の調査など、ネットワークカメラに対する需要が 多様化し、さまざまな用途へと広がりを見せています。こういったニーズに対しては、 IT大手の企業とも連携して、画像認識技術や画像解析技術を開発し、競争力を強化 して、さらなる成長を目指していきます。

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続いて、商業印刷です。市場ニーズの多様化とともに、プリント素材は金属やプラス チック、木材などへと広がってきています。2.5次元の質感印刷や、パッケージ印刷 など、新しい可能性を秘めた技術をさらに高度化し、画像にこだわるキヤノンならで はのソリューションとして提供していきます。

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最後に、ナノインプリントです。ArF露光装置に代わる次世代の半導体製造装置と して、当社は微細化の実現だけではなく、コストパフォーマンスの高さも重要と考え、 研究を重ねてきました。ナノインプリントは、ArF液浸やEUVに比べてコストを半減で きることが期待されています。キヤノンは、この利点に早くから着目して基礎研究を 開始しましたが、独自にインプリント技術を確立するには相当の時間が必要になると 判断し、2009年には、この分野で世界唯一の量産技術を有する米国のモレキュラー インプリント社との共同開発を本格的に開始しました。そして、その目途が立った 2014年には、次世代半導体製造装置事業への転換を図り、同社のM&Aを決断し て、開発を一気に加速しました。 量産に求められるスループットなどの生産性も、昨年は前年に比べて倍増し、いよ いよ商品化可能な段階に入りました。 さらなる微細化と高いコストパフォーマンスを実現するために、周辺装置についても 開発を進めており、今年中の出荷を計画しています。このナノインプリントを実現 できれば、半導体製造業界の勢力図を一変させることも決して夢ではありません。 グループの総力を挙げて早期の立ち上げを目指します。

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この他にも、「人間の生命」に関わる領域に注目し、医療先進国であるアメリカに おいて、遺伝子検査装置の事業化を始めています。これは、DNAを解析することに よって、先天性疾患や将来かかりやすい病気の有無などを検査する装置で、 キヤノンでは、CMOSセンサーやインクジェットプリント技術を応用し、チップも微細 加工技術を活かして内製するなど、本格的な開発を進めてきました。昨年は、 遺伝子配列情報を切り出して提供する試薬の販売も先行して開始し、いよいよ 事業化の目途が立ってきたところです。 フェーズⅤでは、このような将来有望な成長分野に、経営資源を重点的に配分し、 新規事業の早期拡大を図っていきます。

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ここまで、フェーズⅤの主要戦略の中から、2つの戦略について説明してきました。 この他にも、販売網の再構築や研究開発力の強化にもグループ一丸となって取り組 んでいきます。新規事業の売上は、商業印刷やネットワークカメラが牽引し、2010年 に比べて約1.5倍となり、連結売上の15%を占めるまでになりました。今後5年間は 新規事業の強化にさらに力を入れ、年率15%程度の成長を目指していきます。

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今、世界情勢は政治も経済も不透明さを増してきています。主力事業であるオフィ ス機器やデジタルカメラも、残念ながらこれからの5年間を通しても高い成長を望む ことは難しくなっています。しかし我々は、この混迷の中にあっても、フェーズⅤの基 本方針にあるとおり、新たなる決意を持って、戦略的大転換を果たし、新たなる成長 に挑戦していきます。フェーズⅤの初年度である今年は、「変革への確実な第一歩を 踏み出す年」と位置付け、最優先テーマとして「現行事業の再強化プランの立案と 実行」を定めました。我々の現行事業の規模は依然大きく、収益の柱ですので、 収益構造やビジネスモデル、またものづくりのあり方などあらゆる面について、 一から見直し、経営基盤の強化を図ります。さらに、EXPOで出展した将来製品に つきましても、できるだけ早い時期に確実に市場に投入していきます。 半導体製造装置や有機EL製造装置なども、市場の需要を捉えて大きく成長して おり、キヤノンの事業ポートフォリオを、着実にBtoCからBtoBへと転換しています。 このように、現行事業で築き上げてきた「稼ぐ力」と「ものづくり力」をさらに進化させ るとともに、将来の成長の礎となる新規事業をM&Aも積極的に活用し、強化すること によって、この5年間では世界経済を上回る6%前後の成長を維持できるものと考え ています。 フェーズⅤの方針である「戦略的大転換」を果たすことによって、1ドル125円、 1ユーロ135円を前提として、売上5兆円、営業利益率15%、純利益率10%の目標を 達成し、今の姿とは全く違う新しいキヤノンへと変革したいと考えています。

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