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矩形波ポーラログラフィによる果実缶詰中のスズの定量-香川大学学術情報リポジトリ

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第22巻第1号(1971) 35 短形波ポーラログラフィによる果実缶詰中の

スズの定量

三 木 英 三,福 井 義 明

1.緒 食品中に存在するスズの定鼻法として,ポ・−ラログラフ法は簡易で精度も良いので,すでに缶詰(1),ミルク(2),ビ −ル(S),清涼飲料水(4)などに含まれるスズの定藍に応用されてこいる。とくに缶詰類において:ほスズの溶出,溶出スズ に・よる中毒例(5)などがあって.,食品衛生の見地から缶詰中のスズの定量は重要である。従来用いられてこいる定義法で は,缶詰試料を乾式灰化しその後直流ポーラログラフを適用して.いるが,直流ポーラログラフ法は共存する前放電物 質の妨害をうけやすく,また波高の作図による誤差が入りやすいなどの難点がある。この点に.おいて,矩形汲ポーラ ログラフは直流ポ−ラログラフよりすぐれているので,矩形波を用いる方法を検討した。なお,最近矩形波好一タロ グラフを用いる方法(6)が報億されたが,そこでほ共存鉛の妨害を除去する方法が明確でない。この点,本報告ではス ズの臭化物揮散法を採用して鉛の妨害を除去した。また,従来用いられている試料の乾式灰化法は,試料分解の不完 全,スズの揮散,難溶性スズ塩の生成などの危険性な含んでいる。そこで試料の灰化に層式分解法を採用し,矩形波 ポ−ラログラフを用いる方法について基礎的検討を行い,席販缶詰中のズズの定義:に適用した。そして満足な結果を 得たので報嘗する。 2.試薬および装置 2・1試 薬 (1)標準スズ溶液:塩化籍−スズ(和光鈍薬特級)190.1mgを5N塩酸に溶かして100mβとする。この溶液はスズ浪 皮1000ppmであり適宜稀釈レて一便用する。 (2)塩酸ヒドロキジルアミン溶液:塩酸ヒドロキンルアミン(島久薬品特級)10ダを40mβの純水紅溶かす。 伯)他の試薬:すべて特級品を使用する。 2・2 装 置 柳本製高感度ポ−ヲログラフPA202型を用いた。 測定条件:DampinglOFLF,Rec。Sens。0.1FLA/mm,Amp.Sens.,1/10,S.W.voltlOmV,Time constazlt5, Gate3−7,Span voltl.0V,Temp.20±0.2OC 滴下水銀電極の特性:t=4.13sec/dfOp,m=2.89mg/SeC(2M塩化アンモニクムー1N塩酸溶液中) 対極:水銀池 3.定盈条件の検討 3・1支持電解質 スズほ強塩酸,高濃度の塩化物の存在下で良好な還元波の得られることが,廼流ポL−・ラログラフにおいて知られて いる。そこで、まず最も−・般に使用される塩酸を支持電解質とレて用いた場合に.,塩酸濃度が波高紅およぼす影轡な 調べた。その結果はFig㊥1(a)に示す通り3Nで波高が最も高くなった。 つぎに,塩酸に塩化アンモニウムを加えると波高が高くなるので,塩化アンモニクムー塩酸混合支持電解質を用い た場合の濃度が扱高におよばす影響度調べた。塩化アンモ・ニクムを2Mに固定し,塩酸濃度を0.25N∼2.ONに変化さ せた時の波高の変化を1Fig.1(b)に示す。塩酸濃度が1N以上匿なると波高が低下してくるので,塩酸濃度ほ1Nが 適当と思われる。そこで塩酸濃度を1Nに固定し,塩化アンモニウム濃度を0∼3Mに∴変化させた時の波高の変化を調 べた。その結果ほFig.2紅示す通りで,波高は塩化アンモニウム濃度の増加につれて高くなるが,2Mで最高に達しそ れ以上は高くならない。

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香川大学農学部学術報嘗 36 ○−0−−・−べ>−

−−「)、一つ(b)

/′一へ−、−

、㌧・(a)

4 6 ︵∈0︶甚句堰月ぷ票丘 謹 /

︵∈0︶苫如竃貞ぷ富山 60 斗 3 0 20(○) 60(●) 05 10 15 1“5 30 45 0 05 10 1.5 20 25 NH4Cl(M) Fig.2.Effectofammonium chloIide HCl:1N,Sn2ppm HCl(N) Fig.1.Effectof hydrochloricacid (a)Sn2ppm (b)NH4Cl:2M,Sn2ppm

これらの結果より,スズの矩形波ポ−ラログラフにおける混合支持電

解質としてほ,2M塩化アンモニクムー1N塩酸が適当な濃度てあるとい

える。この濃度は交流ポーラログラフに・おいても適当であることが認め

られている。したがって以後の検討にほ,この支持電解賀を剛、ること

にした。なおこの支持電解質液中で,スズはFig・3に示すように−0・45

V付近紅典型的な還元波を示した0 3・2試料分解に使用する酸の影響 缶詰試料の湿式分解に硫軌硝軌過塩素酸を用いると硫酸と過塩素酸 −04 −05 −06 Potential(V) ー03 Fig.3.Sguare−WaVe pOlarogram of tin Sn2+ 2ppm,2M NH4Cl−・1N HCl,Damp.. 10,R.S.0.1〃・A/mm,A. S.1/10,S.W.Volt一.10 mV,Span Volt.1.0V 0 05 10 1.5 20 25 3.O H2SO4(N) Fig“4.Effectofsulfuricacid(Sn2ppm)

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37 が残存してポ−ラログラフの電解液に入ってくる ので,これらがスズの波高におよばす影響を調べ た。 硫酸の波高への影響は,標準スズ溶液匿硫酸を 添加して調べた。その結果はFig.4に示す通り, 0.6Nまでは波高紅影響しないが0.6N以上にな ると波高を低下させる。したがって,試料の分解 に.使用する硫酸鼻ほ0.8mβ.以下でなければならな い。 過塩素酸の波高への影響は,Fig.5に示す通 り0.5Nの濃度まで影響はみられない。しかし, 電解液中の過塩素酸の濃度が高くなると,塩化ア ンモニクムの沈澱が生じる。試料の分解に.は.過塩 素酸を0.2〝適用いた。 3・3 試料分解の加熱時問の影響 試料を分解するさいに徽患の不完全分解生成物 が残っても,スズのポー・ラログラムは妨害をうけ 簡22巻第1弓(1971) HClO4(N)

Fig.5.Effectof peIChloric acid(Sn2ppm)

る(8)。したがって,分解の終了点を確かめる必 要がある。スズ標準液を試料分解のさいと同処理を行ない,分解終了のめやすとなる白煙が発生し始めてからの加熱 時間が,波高に.およばす影響を調べた。Fig.6紅示すように,白煙発生後の加熱時間3分まで波高は漸増するが,そ れ以後15分まで一足である。したがって:,白煙が発生し始めてからさらに・5分間加熱を続けると,試料の分解は完全 であるといえる。 3・4 塩酸ヒドロキシルアミン処理 Sn2+溶液を強酸の存在下で加熱すると,その波高は低,fする。これはSn2+の−部が酸化されてSn4+になるためであ ると考え.られる。したがって,Sn4+→Snかの還元処理が必要である。との還元にアスコルビン酸を使用した例(6)もあ るが,本法では塩酸ヒドロキンルアミンを用いた。すなわち,スズ標準液を試料分解と同処理を行ない,塩酸ヒドロキ ンルアミンに.よる還元を行なった。この濃度が波高におよばす影響ほ,Fig.7に・示すように・塩酸ヒドロキンルアミン の1%添加によっで,低下していた波高は回復する。しかし5%以上添加すると,逆に波高が低下する。したがっ て,塩酸ヒドロキンルアミン処理は2%付近の濃度が適当である。 ︵己U︶芸句牒月劇票丘 Ul+ 巴∴ 15

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香川大学農学部学術報告 38

Fig.7.Effect of hydroxylamine hydIOChlo工ide(Sn2ppm) 3・5 妨害元素の影響 缶詰中紅含まれる可能性のある銅,鉄,鉛,弛素 カドミウム,亜鉛,コバルトニッケルについてスズに対する 影響を調べた。標準スズ溶液として2ppmの濃度を使用した。Tablelに・その結果を示した。 鋼ほ2ppmの存在で軋影響しないが,10ppm以上存在すると正電位側のベースラインの上昇により負の誤差を生 じる。鉄は100ppm存在して:も影響しないが200ppm以i共存すると正の誤差を生しる。鉛ほ頂点電位が近接して心 るために.合汲を生じるので影響が大きく0。2ppmで4.2%,1ppmで5.8%,2ppmで15.9%正の誤差を生じる。カド ミ.ウムは50ppmで隠影響しないが,それ以上でほ負電位側のベー.スラインの上昇に.より負の誤差を生じる。亜鉛ほ 100ppm共存しても影響しない。コバルト,ニッケルは共紅500ppm存在しても影響しない。以上の結果より,矩形 波ポーラログラフを用いると,鉛以外の元素によるスズに・対する妨害の恐れほない。 3・6 鉛の妨害除去(スズの揮散処理) 前述したよう紅,鉛ほわずかの量でもス ズの波高に大きな影響を与える。この妨害 を除去するために.,スズの臭化物揮散法を 適用した。すなわち,まずスズと鉛の合披 の波高を求める。別に同一∴試料の一・部を氷 り,臭化水素酸と臭素水を各1ク適加えて加 熱する。この操作を2度繰返しでスズのみ を臭化物に変えて揮敬し,残った鉛に.よっ て生しる波高を求める。そこでスズと鉛の 合波の扱高から鉛の波高を差し引いて,ス ズの正確な波高を求める。スズがこの臭化 物件散処理により完全に.揮敬することの確 認を,スズ標準液に.ついて行ったととろ Table2に.示すように十分満足な結果を 得た。十訊 このスズの押散処理中に鉛ほ 胆失しないことがTable3の結果から確 認できる。したがって,このスズの揮散処 理を行.えば,鉛が共存してもその影響を完 全に除去することができる。 Tablel.Effect of co−eXistingions

Co ̄ting Addedas ConOn Peaht

Cu2+ CuC12・2H20 Fe針 FeC18・6H20 Pb針 Pb(NO8)2 7.80 7.27 7.79 7.90 −8こ07 81、20 8.98 7.60 7.35 7.05 7ひ70 7“50 7.64 7.20 2 10 100 200 0u2 1…0 21、0 0.2 0u4 1.0 50 100 100 500 As$十 As208 Cd2+ CdC12・2}包H20 Z王12+ ZnC12 Co2+ CoC12・6H20 Ni2小 NiSO4・7H20 Sn9→ SnC12 500 7.75 500 7.70 2 7‖75

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39 第22巻貨1号(1971)

Table2.Effect of treatment with hydrobromic acid−bIOmine solution on tin

Table3.Effect of treatment with hydrobIOmic acid−bromine solution onlead

Pb2+ added Pb2+ found (ppm) (ppm) SI】2十 found (ppm) Sn2+ added (ppm) No. No. 1 2.00 2.08 2 2.00 2.08 3 2.00 2.Os 4 2.00 2.00 5 2.00 2.06 1 2.00 2 2.00 3 2.00 4 2.00 Blank O 0.016 0.018 0.0lo O.018 0.0lo 4.定 量 操 作 以上のスズの標準溶液凌用いての定愚条件の検討の結果より,缶詰申のスズの定遠を次のように・行う。缶詰試料を ホモジナイズし,その1タに.硫酸0.5mβ,硝酸2仙行および過塩素酸0.2mβを加え加熱分解し,白煙発生からさらに約5 分間加熱を続ける。分解液を5N塩酸で10mβに馨容する。この2mβをとり2M塩化アンモニウム−1N塩酸そして二2% 塩酸ヒドロキジルアミンとなるように.10mβに調製定容し,除酸素後−0.30Vから−0.60Vのポー・ラログラムを記録 する。別に.2〃適をど−カ一に取り臭化水素酸と臭素水を各1mβ加え.,砂浴上で白煙の発生がはばなくなるまで加熱す る。この操作を2皮繰返し,スズを完全に揮散させ,支持電解質を加えポーラログラムを記録し鉛の波高を求める。 スズと鉛の合彼の波高から鉛の波高を差し引いて.スズの波高を求める。 5.検 藍 線 定量条件の検討より,スズの標準液を定鼠操作紅 従って処理し,検鼠線を作製した(Fig.8)。濃度と 波高の間に比例関係が成り立っており,この検認線を 使ってニスズの波高から試料申のスズ嵐を求めた。 6回収率と繰返し精度 缶詰試料1ダに.スズを100ppm添加したものに.つ いて,前述の定蔓操作紅従って回収率を調べた。その 結果をTable4に示す。回収率の平均値は99.4%で ありはぼ満足できる結果を得た。 同一・試料について繰返し精度を求めた。その結果 Table5に示すように,標準偏差1.55,変動係数 1ひ08%の良好な結果を得た。 7∩ 市販品の定量例 本法を葡販缶詰中のスズの定崖に.適用した結果を Table6に示す。食品衛生法で定められた値150ppm を越す缶詰はなかったが,かなり多良匿含まれている 缶詰も存在することがわかった。 8.要 約 1.缶詰試料を硫酸,硝酸および過塩素酸で湿式 分解し,支持電解質として2M塩化アンモニクムー1N 0 1−0 20 30 4ノ0 50 Sn(ppm) Fig.8.Calibration curve Table4.Recovery

Sn2+found Sn2+added TotalSn2+found Recovery (ppm) (ppm) (ppm) (%) 63.0 100 164.5 〝 〝 159.0 〝 〝 161.5 〝 〝 160.5 〝 〝 165.5 101.5 96.0 98.5 97.5 102.、5 Recovery average 99…4

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香川大学農学部学術報舎

Table6.Analysis of sample

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Table5.Repr・Oducibility

found(ppm) No. Sample Content(Sn2+) 44.O ppm 88“0 125.5 57.5 66..5 134.5 22.5 54.5 146.0 143.5 143.0 141パ0 144.5 142.5 145l0 143.6 1.55 1 2 3 4 ■ 5 6 7 Ave‡■age Standard deviation 1 0Ⅰange 2 〝 3 Peacb 4 〝 5 ” 6 Pine apple 7 Apple 8 Tomato Coefficient of variation l.08% 塩酸を用い,またスズをSn2+に還元してスズの矩形波ポ−ラログラムを記録した。その波高から検邑線を使って, 試料中のスズ鼠を決定した。 2.スズと合波をつくる鉛の妨雪の除去には,まずスズと鉛の合披の波高を求める。別紅同一∴試料にスズの臭化物 揮散処理を適用して,鉛だけの扱高を求める。スズと鉛の合彼の波高から別に.求めた鉛だけの波高を差し引いてスズ の正確な値を得た。 3.本法ほ回収率の平均値99.4%,繰返し精度の変動係数1.08%であった。なお,本法を満販缶詰申のスズの定規 に適用した。 (日本食品工業学会,寛17匝l大会《197C年4月18日》 に.て発表) 文 (1)小田:分化10,82(1961) (2)BREZINAM.,P・ZuMAN:Polarograわhyin Medi− cirle,Biochemistry and Pharmacy P・81,Inter Pub.New YoIk(1958) (3)RooNEY,R・C・:A乃αJγSf88,959(1963) 献 (4)久保,岡:武庫j11女大紀要14,93(1966) (5)新川:金箱誌10,107(1969)小 (6)林;分化18,58(1969) l7)川瀬,/j\川:分化11,1155(1962) L8I福井,大西:未発表

SQUARErWAVE POLAROGRAPHIC DETERMINATIONOFTININCANNEDFRUIT

Eiz6MIKIand YoshiakiFuKUI

Summary

Square−WaVe pOlarographicdeterminationo董tinincannedfruit has beeninvestigated,and aprocedure

is recommended as follows.

Onegramofsampleisdecomposedwiththemixedacid(HNり8,H2SO4andHCIO4)・ニThe decom− posedsolutionisfilled uptolOmiwith5Nhydrochlolicacidル A portion of thedilutedsolutionis madeup to thesolutioncontainig2MammOniumchloride−1N hydrocニ1loIic acidand2%hydroxylamine hydIOChloride,and then the square−WaVepOlaIOgra:一Ofitisrecordedover therangefrom−0・30to

−0.60V.Ontheotherhand?apOrtion of thediluこつdsolutionis treated bythe prccedurewhichtin isbTOmatedandvolatiled,andthe wave ofleadisrecorded.,Thetrue waveheight of tinisobtained

by subtIaCting theheight of1eadfromfhe totalheightof tinandiead

This determination whichis appliedtoseveralcommercialproducts glVe aSatisiactory result・

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