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現代日本の金融自由化と公的金融のあり方に関する一考察 : 「金融自由化」時代における郵便貯金の存在意義を中心に

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(1)

現代 日本 の金融 自由化 と公的金融のあ り方 に関す る一考察

―「金融 自由化」時代 における郵便貯金の存在意義 を中心に一

経済学研究室 藤

I

はじめとこ一 問題 の所在 一

H

「郵貯補完論」 とその批判 Ⅲ 金融 自由化 と金融機関の社会的責任 Ⅳ バ ブル経済期 の銀行行動 とその問題点

V

「経済大国」か ら「生活大国」への転換 と郵便貯金の存在意義

I

は じめ に 一 問題 の所 在 ― 本稿 のテーマ にある「公的金融」 とは

,郵

便貯金

,簡

易保険

,厚

生年金や国民年金 のような公的 年金 の形態 をとって調達 した資金 を

,資

金運用部 を経 由して

,な

ん らかの政策 目的のために公団, 事業団

,地

方公共団体 な どに投資 した り

,政

府系金融機関な どを通 じて国民 に融資す る金融活動 の 総体 をさすω。また

,わ

が国の公的金融機関には

,郵

便貯金制度

,公

的保険 。年金制度

,政

府系金融 機関な どが あるが

,な

かで も郵便貯金 は公的金融 の最大 の資金源泉であ り

,1993年

現在

,資

金運用 部資金原資残高326兆2859億 円のうち,郵便貯金資金 は181兆 1586億円K2Jと ,全 体 の

55.5%を

占めてい る。 ところで

,現

代 日本 の公的金融 は

,郵

便貯金 による資金調達面 と政府系金融機関 による資金運用 面 の両面で

,民

間金融機関 とのあつれ きを激化 させているとして

,近

年わが国における公的金融 の あ り方 とその再編成 の方向をめ ぐり

,激

しい議論が展開 されて きた。なるほど

,金

融 自由化が進 め ぼ進むほ ど

,公

的金融 はさまざまな側面 において

,今

まで以上 に市場 メカニズムが作動す る金融市 場 との接触 を余儀 な くされ るであろう。 しか し

,そ

の ことをもって

,い

きおい公的金融の存在 を否 定 した り

,あ

るい は公的金融 をより競争促進的なシステムヘ と再編成 しようとす る議論が 目立 って きている。 とりわけ郵便貯金事業 について は

,最

近 とみに

,そ

の見直 しの トー ンを高 め郵貯民営化 の響 きを 強めつつある。 こうした動 きは

,郵

便貯金が民間金融機関の営利活動 を圧迫 しているとす る巨大銀 行 の執拗な主張 にもとづいて

,1983年

3月 の臨時行政調査会 『行政改革 に関す る第五次答 申―最終 答 申』 に示 された「金融 自由化 の展望が得 られた段階 においては

,郵

便貯金事業の経営形態の在 り 方 について も再検討すべ きもの」 とい う考 えに沿 っていることは間違いないであろう。金融 自由化 にむけての高いハー ドルであった金利 の自由化 については

,昨

年(1994年 )10月 17日の流動性預貯金

(2)

金利 の自由化 によって一応 の完成 をみた ことが

,改

めて現在

,郵

便貯金事業 の経営形態 をめ ぐる議 論 をさかんにしている一因である。 郵便貯金の経営形態 を見直 し民営化 しなければな らない とす る

,こ

の論拠 の中心 に依然 として居 座 り続 けているのが

,言

うまで もな く郵便貯金の歴史的役割 はすでに終わった とす る考 えである。 根強い こうした主張 にもとづ く郵便貯金への攻撃が

,は

た して現在および将来 にわたって

,わ

が国 の金融制度 を発展 させ るものなのであろうか。 本稿 の課題 は

,こ

のような問題意識 の もとに

,金

融 自由化 を背景 とす るバ ブル経済 とその崩壊過 程 にお ける金融 システムの現状 を踏 まえ

,バ

ブル経済期以降の これ まで とは明 らかに異なった局面 での公的金融 の存在意義 を

,郵

便貯金 を中心 に考察す ることである。

H

「郵 貯 補 完 論 」 とその 批 判 これ まで

,郵

便貯金 の存在意義 について

,ど

のように考 えられて きたであろうか。 郵便貯金法 は言 う一 「 この法律 は,郵便貯金 を簡易で確実な貯畜 の手段 としてあまね く公平 に利 用 させ ることによって

,国

民 の経済生活の安定 を図 り

,そ

の福祉 を増進す ることを目的 とす る。」い うまで もな くこの規定 は

,郵

便貯金事業創設当時の主 旨を継承す るとともに

,不

幸 にも戦時中

,郵

便貯金が軍事費調達 の手段 に利用 された とい う痛切 な反省 の上 に立 って

,1947(昭

22)年

に制定 された郵便貯金法第

1章

1条

である。 この法律 に示 されたように

,国

民生活 の安定 を図 り

,国

民福祉 を増進 させ ることを目的 とす る郵 便貯金の存在意義が

,残

念 なが ら官業 と民業 との役割分担 として狭 く解釈 され

,郵

便貯金が民間金 融機関の補完的立場 に立つ もの と

,は

っきり認識 され るようになるのは,「官業 は民業 の補完 に徹せ よ」 とい う臨時行政調査会 (以下

,臨

調 と略記

)の

基本理念 を受 けて以降の ことである。当時

,第

二臨調の第四部会長であった加藤 寛氏 は,「政策金融 は民間金融の補完 に撤する とい う原点 に立 っ て

,た

とえば幼稚産業の育成や産業構造 の変化 に伴 う摩擦の回避等

,政

策的には必要であるが民間 の融資 にはなじまない真 に必要 な分野 に限定 し

,そ

の他 の民間 に委ねて もさしつか えない分野 につ いては

,思

い きって縮小 あるい は撤退すべ きである」G)と述べている。 しか し

,こ

うした「郵貯補完論」 とい う考 え方には

,当

時か ら有力な反対論が存在 していた。 まず

,郵

政省 は「郵便貯金 をめ ぐる見解 に対 す る郵政省 の考 え方」(1981年6月23日

)に

おいて, 官業が民業 の補完 といえる場合 の基準 を示す とともに

,逆

に政府 の保護政策 に甘 ん じている民間金 融機関のあ り方 に対 し

,つ

ぎのように疑問 を呈 した。 「官業が民業の補完であるべ きとす る主張が妥当す るのは

,民

業が民業 としての活力 を十分 に発 揮 し

,能

率が よ く

,サ

ー ビスが充実 し

,民

間相互間 に健全 な自由競争が行われている場合 にはじめ て言 えることであって

,現

状 の護送船団行政 の下で こうした主張 をするのは

,民

間金融機関の利益 擁護 とい う立場 しか考 えない国民の立場 を無視 した主張である。」K41 また

,押

田八洲男氏 は「臨調最終答 申 と郵便貯金」 において

,ひ

かえめなが ら次のように臨調 の 反国民的姿勢 を指摘 した。 「官業 は民業 の補完 に徹せ よ。 とい う臨調の基本理念 を受 け

,民

業 の経営が成 り立 たない領域 の みを官業が受 け持つ とい うことになると

,独

立採算制 による事業 の維持 は不可能 になると考 えられ るが

,そ

の場合 の事業 の財政的維持方策が示 されない まま

,た

だ官業 の活力 を抑制するとい うこと で は

,い

わゆる第二の国鉄 を続 出させ る結果 になるので はなか ろうか。 棚 意 シ 機 ‖ │ │

(3)

鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 46巻 第

1号

(1995) 金融 の在 り方 を考 える場合

,資

金 を合理的かつ効率的に供給す る とい う経済・ 産業政策上の観点 のほか に

,預

金者 の利益 をどう向上 させ るか

,

とい う国民生活上 の観点が必要であると思 うが

,臨

調答申は

,後

者 についての配慮 にやや欠 けるところがあるので はなか ろうか。」°) さらに

,佐

々木弘氏 は臨調の「官悪 。民善」的発想で郵便貯金 の改革 を議論す ることに反対 し, 官業 と民業 とが適正 に競争 し合 うシステムを支持 して

,つ

ぎのように述べた。 「官業 は

,た

んなる『先導性』『民間への補完的役割』のみに限定 され ることな く

,も

っ と積極的 に民業 と競合 ない し競争的関係 に立 ち

,民

業 を誘導 し

,牽

制 し

,ま

,民

業 のパ フォーマ ンスに刺 激 を与 えるとともに

,自

らの経営 を振 り返 る尺度 をそ こか ら得 るな ど

,よ

り広い役割 をになうべ き もの と考 える。」

0

以上のような反対論が「郵貯補完論」 に対 してなされた理由 として

,先

の臨調 の主張が

,あ

まり にも産業政策上 の資金供給 の効率性 とい う観点 に重 きが置かれす ぎて

,預

金者 の利益 をどのように 守 り国民生活 を向上 させてい くか

,

とい う視点が軽 んぜ られていたか らであ り,「官業性悪説」Vこ も とづ き郵便貯金事業 を押 え込 もうとす る姿勢が

,あ

りあ りと見受 けられたか らであった。 しか も, この「補完」の内実が

,実

際上「追随」 とかわ らない意味 をもたされてい く。すなわち

,郵

便貯金 は民間金融機関の活動で はカバー しきれない部分 を補 うとい う役割か ら

,民

間金融機関 に服従す る 存在へ と

,限

りな く上下関係 に近づ けられていった。その典型 を

,私

達 は先般 の民間金融機関によ る郵便貯金への預貯金金利上の追随 システムの要求 にみることは容易であろう。

このような

,補

完か ら追随へ とい う郵便貯金 をとらえるスタンスの移動 を余儀 な くされて きた根 拠 には

,郵

便貯金が民間金融機関本位 の経済運営 に役立つ限 りにおいてのみ

,か

ろうじてその存在 意義が許 され るのだ とす る明確 な主張がある。 しか し

,そ

れほ どまでに

,民

間金融機関が担 う金融 システム は信頼す るに足 りうるのであろうか。 この点 を

,1970-80年

代 における金融 自由化 とその 推進が

,わ

が国の国民経済 に与 えたなまなましい現実 に照 らして検証 してみよう。 III 金 融 自 由化 と金 融 機 関 の 社 会 的 責 任 今 さしあた り「金融 自由化」を,「取引の実態 に適合 しな くなった規制 を

,緩

和 ない し撤廃 し

,市

場での自由な競争 を促進 し

,価

格機能 を働 かせ ることを通 じて

,資

金配分 の効率性や

,所

得分配 の 公正 を高 めようとす るもの」0と 定義 してお くと

,こ

うした意味での金融の自由化が

,具

体的に検討 され本格的に政策化 されていったのは

,日

本 の場合

,1980年

代以降であるといえよう。1980年代 に おける金融 自由化 の推進 は

,も

っぱ ら金融機関の効率性 のよリー層の達成が 目標 とされ

,そ

のため の金融 自由化が異例 のス ピー ドで推 し進 め られた。 そこで は

,市

場 のメカニズム を通 じた資金の効 率的配分 三公共性 とい う図式の もとで

,効

率性 は必然的に公共性 を約束す るもの とみなされたので ある。 しか し

,こ

うした図式が疑問視 され

,反

省 をせ まられた時期があつた。1970年代前期がその時期 であ り

,経

済的混乱 と不況 を背景 に

,大

企業 に対 して きび しい社会的責任 の追求が行 なわれた頃で あった。金融制度研究会 は

,1970年

の金融制度調査会答 申『一般民間金融機関のあ り方等 について』 において

,金

融機関の効率性 と公共性 との関係 について

,つ

ぎの ように述べた ことがある。 「金融機関の公共性 は

,具

体的には預金者保護

,資

金配分

,金

利 な どの面で問題 となるが

,金

融 機関 における効率化 とは

,ま

さにこれ らの各面 における金融機関の機能 を国民経済的見地か ら望 ま しい方向に十全 に発揮 させてい くことをね らい とす るものである。 したがつて

,金

融機関の効率化

(4)

,本

来 その公共性 の基盤 の上 において行 なわれ るべ きものであ り

,ま

た このような見地か らの効 率性が推進 されることによって

,金

融機関の国民経済的機能 の面で公共性が より高め られることが 期待 され ると考 える。」lal この答 申が指摘す るように

,公

共性 は効率性 を追求す ることによって必然的 に達成 され るので は な く

,あ

くまで も公共性 を基盤 にして効率性が追求 されなければな らない

,

とい う考 えに基づいて いた。 そして

,そ

の後 の金融機関の行動が この答 申に遵守 してなされていた ら

,バ

ブル経済期 にみ らるような金融機関が国民経済 に多大 な損失 をもた らし国民的批半」にさらされ るような ことはなか ったであろうし

,不

良債権問題 にみ られ るように自らの経営基盤 を弱体化 させ著 しく信用不安 を惹 起す るという状態 は起 こらなかったであろう。 あるい は

,た

とえ起 こった として もその傷 は

,現

在 に比べてはるかに軽かったに違 いない。そうした問題意識 の もとに

,1970年

代 における金融機関の 社会的責任問題 と新金融効率化行政 の意義及 び問題点 を

,つ

ぎに考察 してお こう。 1970年代前半

,わ

が国 はオイル・シ ョックを契機 として

,企

業 による不当な買占め

,便

乗値上 げ。 売 り惜 しみによる狂乱物価がお こり

,投

機が横行 し

,国

民経済の不安が著 し く助長 された。そのた め

,こ

うした事態 を引 き起 こした反省か ら

,金

融機関 を含 めた大企業 の社会的責任が きびし く問わ れ

,一

時期

,金

融機関お よび金融活動 における効率性 と公共性 との調和が強調 された ことがあった。 とくに

,1973年

か ら74年 にか けて

,企

業の社会的責任 を追求す る運動が高揚す るなか

,1975年

には 金融制度調査会 による銀行法改正 のための作業が始 ま り,1977年にはいわゆる新金融効率化行政(9が 大蔵省銀行局 によって打 ち出された。 この新金融効率化行政 の基本的な考 え方 は

,確

かに

,高

度経済成長か ら低成長段階への移行 に と もな う金融構造 の変化 によって

,金

融機関の経営環境が極 めて厳 しくなって きた こと

,お

よび経済 の国際化 に ともなって金融 の国際化 も進展 して きた ことへの対応 として

,金

融の効率化 をいっそう 推進す ることが必要であるとの認識 に基づ くものであった。 しか し同時 に

,従

来 の効率性一辺倒 に たいす る反省か ら

,競

争原理 の活用 による自由化 の推進 にあたっては

,

リスクの増大や中小企業金 融専門機関の経営な どに種々の弊害 を伴 うため

,効

率性 と公共性 とを調和 させ るように十分 な配慮 をしなければな らない とい う考 えが

,今

後 の金融政策 のあ り方 として提起 されたのである。ここに, 新金融効率化行政 の認識 にお ける積極的意義 を認 めることがで きよう。 しか し現実 には

,そ

れ以降の金融機関の経営行動が

,効

率性 と公共性 の調和 とい う視点 を著 し く 後退 させ

,競

争原理 の強調 による効率性 の追求 に一面化 されていった。なぜ

,こ

のような結果 に終 わって しまったのか。効率性 と公共性 の調和 とい う新金融効率化行政 の理念 に

,ど

のような欠陥が あったのであろうか。 その最大の欠点 は

,公

共性 の発揮 をあ くまで も金融機関の自主性 に委ねた点であろう。思いかえ せ ば

,1970年

代 において

,金

融機関の社会的責任 を国民が きび しく追求 した理 由は

,金

融機関の自 主性 に委ねておいて は

,個

人・ 中小企業 な どを含むすべての借 り手 にたいす る借入の機会均等

,社

会的に不当 または有害な融資の規制

,不

当な歩積 み 。両建預金 の解消な ど

,公

共性 を体現 した金融 システムの実現 にはな らないか らである。 それ にもかかわ らずァ これ らの点 を依然 として金融機関 の自主性 に委ねるか ぎり,国民が望 んだ公共性 な ど実現 され るはずのないのは当然 の ことであった。 事実

,官

民一体 となって民間企業・ 金融機関主体 の不況克服策 の大合唱が強 まるにつれて

,民

間企 業・ 金融機関の社会的責任 を追求す る声 はか き消 されていった。 そのため

,公

共性 を置 き去 りにし て

,

もっぱ ら金融 の効率性が一面的 に強調 されたまま

,1980年

代以降の金融 自由化時代 を迎 えるこ とになる。

(5)

鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 46巻 第

1号

(1995) まずそれ は

,80年

代初頭

,イ

ギ リス

,ア

メ リカ

,日

本 において相次いで成立 した新 自由主義政権 と

,そ

の政権下で強力 に進 め られ 自由化・ 規制緩和政策 を背景 にし

,具

体的 には

,1984年

5月 のア メ リカによる金融 自由化 を求 めた『日米共同円 ドル レー ト

,金

融・ 資本市場問題特別会合作業部会 報告書』αωいわゆる日米円・ ドル委員会報告

,お

よび大蔵省 『金融 の自由化及び円の国際化 につい ての現状 と展望』(1°が出されて以来,力速 されて きた。 さらに

,1985年

6月 の金融制度調査会答申 『金融 自由化 とその環境整備』 は

,自

由化 による競争 の促進が信用秩序の維持 につなが るとい う考 え方 を初 めて打 ち出 した。 その意味で この答 申は

,自

由化が もた らす弊害 を強 く意識 して金融の公 共性 をも配慮 した70年代 の議論 を大 き く転換 させ る画期 となった。 このような経緯 によつて

,わ

が国の金利や業態の規制が緩和 され

,1980年

代金融市場 の自由化が 急速 に進 んだ。 また,「金融革命」とい う名 の もとで

,各

種 の新金融商品群が

,つ

ぎつ ぎと提供 され た。 それ を前提 にして

,企

業 も金融機関 も低金利で大量の資金 を内外か ら調達 した。特に

,1987-88年 を通 じた

2.5%と

い う超低金利時代 に

,企

業 は転換社債

,ワ

ラン ト債 (新株引受権付社債)など のエ クイテイ・ フアイナンスによつて

,過

剰 な資金調達 をお こない

,膨

大 な設備投資 に乗 り出し, さらに銀行 は

,土

地・ 株式な どの担保価値 の審査 を十分 にお こなわないまま

,異

常 な貸 し出 し競争 をお こし

,地

価や株価 の暴騰 に象徴 されたバ ブル経済 を創出 したのである。 こうした金融 自由化 を背景 とす る民間金融機関の行動 に対 して

,郵

便貯金 の存在 はどのように位 置づ けられ るのであろうか。果た して

,郵

貯民営論者 の言 うように

,郵

便貯金 の歴史的役割 は終わ った と簡単 にかたづ けられて よい ものなのであろうか。 Ⅳ バ ブ ル 経 済 期 の 銀 行 行 動 とそ の 問 題 点 この問いに答 えるにあたつて

,ま

ず は

,郵

便貯金 の歴史的役割 は終わつた

,と

す る考 えを聞 くこ とにしよう。 「現在で は民間金融機関 は既 に十分 に発達 し

,預

金者保護対策 も整備 されて きてお り

,郵

便貯金 制度がその発足時 に意図 した

,一

般国民 に対す る安全確実かつ簡便 な貯畜手段 の提供 は

,既

に民間 部門によって達成 され るようになった と考 えられ る。 また

,郵

便貯金がその主たる原資 となってい る財政投融資 を通 じた政策金融 について も

,今

日で は一部 を除 けばその緊要性が低下 し

,そ

のあ り 方の再検討が求め られている。 このように

,長

期的な視野 に立 って考 えると

,郵

便貯金の歴史的意 義 はもはや薄れつつあるとい う事実 を明確 に認識 しておかなければな らない。」° 2)「このように

,揺

監期の民間部門の補完

,財

政投融資の原資調達等 の郵便貯金制度 の歴史的役割 は終わ り

,そ

の今 日 的意義が問われ るにいたつている。」この こうした民間金融機関に対す る過度 の評価 と楽観的 ともいえる信頼 は

,バ

ブル経済の現出 とその 崩壊 の過程 によって

,み

ごとに裏切 られた。 ここに

,大

蔵省銀行局が作成 した『金融機関別不祥事 件発生状況』 とい う内部資料がある。それによると

,平

成元年か ら平成

4年

まで に銀行 あるいは銀 行員が引 き起 こした内部不祥事 の合計件数 は18■件

,1393億

円。横領や着服

,不

正貸 し出 しな ど事 件 の種別 と件数

,金

額 な どが明 らか にされている。 このうち

,都

市銀行や長期信用銀行 な ど大銀行 が関与 した不祥事 の割合 は

,な

ん と

50%近

くにのぼつている(10。 そ もそも

,銀

行 の基本的姿勢 として は

,元

本保証

,確

定利付 の預金 とい う形で顧客か ら資金 を預 かっているため

,そ

の資金 の運用 に際 して細心 の注意 を払 つて リスクを管理 しなければな らない責 任があ冷。 したが つて銀行 は

,資

金 の使途 を厳密 に審査 し

,借

入金の支払いや元本返済が可能か ど

(6)

うか

,十

分 に調査 した うえでなければ貸 してはな らない はずである。 しか し

,バ

ブル経済期 の銀行 は

,鈴

木淑夫氏 の適切 な表現 を借 りれば,「土地

,株

,高

級絵画の購入資金だ といわれれば

,二

つ 返事で融資 に応 じた。土地や株式な どが担保 に入れば

,地

,株

価 の上昇がいつ まで も続 くとい う 『バ ン ド・ ワゴン』 に目が くらみ

,利

払いや元本返済 の能力 は間違いない と考 え

,実

際の資金使途 を十分 に審査 しな くなった。」(10 こうして

,住

友銀行 の出資法違反や富士銀行 の不正融資な ど

,偽

預金証書の発行やそれ を担保 と す る不当融資な どの不祥事が

,同

時多発的に起 こった。 しか も

,銀

行 による不動産業への過剰融資 が

,資

産 インフレを引 き起 こし地価高騰 を招 くことによって

,固

定資産税 の増税や家賃 の値上 げを もた らし

,ま

た庶民のマイホームの夢 を奪 うな ど

,国

民経済 と国民生活全体 に与 えた損失 ははか り しれない。つ まり

,バ

ブル経済期 の日本 の現実が教 えた ことは,「民間金融機関 による自由な効率性 の追求 こそが

,資

金の最適配分 をもた らす」 とい う考 え方が

,実

はフィクシ ョン以外の何 もので も なか った とい うことである。 この点 は

,郵

便貯金事業 の存在意義 を否定 し民営化 を唱 える論者 に共 通す る主張 ― 郵便貯金 は金融政策の有効性 を阻害 し,資金の適切 な社会的配分 をゆがめ,国民経済 の活力 を奪 う一―に対 す る有力 な反論 とな りうるであろう。 しか も

,バ

ブル経済期 にお ける以上 のような銀行 の反社会的行為 に

,国

民の零細 な貯畜が動員 さ れた意味 は大 きい。巨大銀行 は

,自

らの行為 を反省す るだけでな く

,今

こそ

,同

じ国民 の貯蓄 をあ つかいなが ら

,少

な くともバ ブルの演出 とは無関係であった郵便貯金の存在 を

,謙

虚 に受 けとめな ければな らないであろう。郵便貯金事業 の歴史的意義 は

,決

して失われたわ けで はない。 それ どこ ろか,つぎに明 らかにす るように

,金

融 自由化 とい う不確実な金融 システム時代への突入 にあた り, 国民の零細 な貯蓄 を守 り

,国

民生活への利益還元 システムを盛 り込んだ郵便貯金 の社会的存在意義 を

,私

達 は今 あ らためて注 目してよいので はなか ろうか。

V

「経 済 大 国 」 か ら「生 活 大 国 」 へ の 転 換 と郵 便 貯 金 の 存 在 意 義 戦後わが国 は

,1970年

代 まで,「経済成長第一主義」のレールの上 を

,ひ

たす ら走 りつづ けて きた。 しか し

,1980年

代 に入 り

,日

本全体が経済的豊か さに酔い しれているかに見 えた足下で

,そ

の地盤 を激 し く揺 さぶ る事象が襲 つた。言 うまで もな く

,対

外的には

,貿

易摩擦 の一層の激化 とそれを口 実 とす る日本経済への攻撃

,国

内的には

,過

労死 に至 る長時間労働や労働強化,I地価 の異常な高騰 や住宅難 な どが

,そ

れであった。 これ らは

,今

後 の日本経済の発展 を制約する渫刻な要因 として認 識 されただけでな く

,従

来 の経済成長至上主義的な日本社会 のあ り方 に

,抜

本的な反省 を加 えるも の となった。 そして

,経

済 の豊かさを国民が実感 で きるように

,既

成 のさまざまな社会 システムを 生活者 の視点か ら見直 そうとす る動 きが

,社

会各層の間か ら起 こって きたのである。 こうした生活者重視 の発想 は

,1990年

代 に入 り,「経済大国」に代わ る「生活大国」の実現 をめざ そうとするスローガンとなって,さっそ く政府の新経済計画 にも盛 り込 まれた。経済企画庁が1992(平 成

4)年

7月 に発表 した『生活大国 5カ 年計画一 地球社会 との共存 をめざして一―』では

,つ

ぎの ように述べ られている。 「真 に国民が豊か さを実感で きるようにす るためには

,今

,我

が国 は生活者・ 消費者 を重視す る視点 に立 って

,経

済社会 の在 り方 を総点検 し

,自

己実現 の機会が十分与 えられたよ り自由度 の高 い社会 を実現すべ きである。その意味で

,人

間一人一人 を尊重す る視点が重要である。……つまり, 国民一人一人が豊かさ とゆ とりを日々の生活の中で実感で き

,多

様 な価値観 を実現す るための機会 か 濶 ︱ 甥 会 日 で 潤 便 で 立 移 研 月 ︲ 銀 剰 側 測 瑚 イこ, 涎

J 点 │ 金 │ 『ョ

(7)

鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 46巻 第

1号

(1995) が等 し く与 えられ

,美

しい生活環境 の下で簡素なライフ・ スタイルが確立 された社会 としての『生 活大国』への前進が図 られなければな らない。」(10 以上 の指摘が示 しているように

,一

人一人 の国民が生活の中で豊か さを実感でき

,快

適 な生活環 境 の もとで

,等

し く自己実現の機会 を得 られ る社会が

,今

求 められているのである。 このような社 会 システムを金融面で担 う重要な構成要素 として

,郵

便貯金が注 目され よう。なぜ な ら

,郵

便貯金 は現在わが国で唯一貯蓄銀行的性格 をもち

,全

国各地 に設置 された多数 の店舗 を活用 して

,こ

れ ま で民間金融機関が等閑視 して きた り

,進

出をため らって きた個人 に対 する金融サー ビス分野の向上

,積

極的 に寄与 した と評価で きるか らである。 例 えば

,全

国 どこで も出 し入れ 自由で

,日

常生活 に必要 な金額 を預 け財布代わ りに利用す るのに 便不」な「通常貯金」や

,預

け入れ して半年経過後 は自由に払い戻 しがで き

,半

年複利 で最長10年ま で預 けることので きる「定額貯金」, 2・ 4・

6年

目に利子が まとめて受 け取れ

,子

供 のための積み 立て貯金である「愛育貯金」や「住宅積立貯金」「教育積立貯金」な ど

,多

彩 な用途 に応 じ貯蓄手段 を提供 して きた他 に

,郵

便貯金 は

,個

人向け金融サー ビス として

1973(昭

48)年

1月 には「ゆう ゆうロー ン (預金者貸付 け)」 とい う小 回の貯蓄担保貸付制度 を発足 させた り

,1978(昭

53)年

7 月には「進学 ロー ン (進学積立貯金)」 を設 けた。 これ ら郵便貯金の新 しい貸付制度 に刺激 されて, 銀行 は「総合 口座」や「教育 ロー ン」などを登場 させた経緯がある。 これなどは

,郵

便貯金側 のエ 夫 と決断が

,全

体 としてわが国の個人向け金融サー ビスを向上 させた顕著な例であろう。さらに郵 便貯金事業 は

,間

接的 に

,そ

の資金が財政投融資 を通 じ社会資本の充実・ 生活環境整備 に役立てら れているだけでな く

,直

,各

地 の郵便局で はその施設 を住民の会合や会議の場 として提供 した り, 郵便局 自ら地域 の文化展やスポーツ大会 をはじめ とし各種のイベ ン トを開催するなど

,利

益 を国民 に還元 しなが ら地域 の金融 。文化・情報のセンター として

,地

域社会 の振興 に果た している役割 は, 決 して小 さい もので はない。 以上 のように

,郵

便貯金 は国民の切実なニーズ と向い合って きた と言ってよい。少な くともこの 点 は,「一般 の人 たちに対 し気位 と敷居が高過 ぎ

,時

に冷淡す ぎた」(1つ 銀行 との違いである。郵便貯 金 の こうした性格 は

,現

在 の郵便貯金利用の実態か らも

,は

っ きりとうかがい知 ることがで きる。 『郵便貯金に関する調査研究会報告書一― パーソナル・ファイナンスの充実に対応 した金融 システ ム と郵便貯金の機能―― 』(1980年9月)を参考 にす ると

,(1)郵

便貯金の個人以外 の利用 は

1%未

満 にす ぎない

,(2)当

座預金がないな どの理 由か ら

,法

人企業 は利用 しに くい

,(3)貯

金総額 に制 限があることか ら

,法

人企業や高所得者層が利用す る際の誘囚が乏 しい

,な

どの特徴 か ら

,郵

便貯 金 は比較的小額 の個人預金 の集積 とみなしてよいであろう。 また

,個

人が郵便貯金 を利用す る目的 において も

,子

供 の教育や結婚 のため

,老

後 の生活保障のため

,住

宅 の新増築・修理 のためな ど, ライフ・ サイクルに応 じた将来財 に向けての ものが比重 を増大 させている。郵便貯金に託 した庶民 の切実な願 いを知 るべ きである。 かつて

,大

内兵衛が郵便貯金 に関 して述べた次の指摘 は

,決

して現代 において もその妥当性 を失 つてはいない。 「 それ (郵便貯金 をさす― 弓1用者

)は

,人

間が もち得 るところのあ らゆる敬虔的な念願 ― 冠婚 葬祭 におけるそれぞれの儀礼 をつ くさんがため と云 ったことより

,立

身出世 のための学資

,独

立 自 営の生活のための資金,所謂生業上に必要な器具,機械の購入等々―― の最 も現実的な形態である。」(19 しか し

,こ

うした国民 の念願 とはうらはらに

,郵

便貯金の民営化 を求 める主張 には,「企業性・効 率性 を発揮 して こそ

,公

共性 は確保で きる」 とい う考 え方が

,執

拗 に存在 している。だが

,バ

ブル

(8)

経 済期 の銀行行 動 が如 実 に示 した よ うに

,資

金 の配 分 を企 業性 や効 率性 にのみ委 ね る こ とは

,収

益 性 の多寡 を基準 に した民 間資本 に とって の効 率性 に外 な らず

,社

会 的 に は資金 の適正配 分 を境乱 す る要 因 とな る

,

とい う ことで あつた。 しか も

,こ

のバ ブル の過程 で国民 が見 た もの は

,小

口投資家 を犠牲 に した大 口投資家へ の損失補 填や

,暴

力 団 と癒 着 した株 の仕手戦 で の株価 つ り上 げのた めの 銀行 融 資 とい う

,利

益相 反 の典型例 で あった。 こうした行為 が

,し

いて は銀行 自身 に も負 の遺産 と して重 くの しかか り

,現

在 に至 って も

,ま

だ総計 13兆 3000億 円 (1994年9月末現 在 )に もの ぼ る巨額 な不 良債権 の未償却 問題 となって

,資

金 の適 正 な社 会 的配分 を防 げてい るので あ る。 ここか ら私達 が教 訓 を得 る とすれ ば

,一

国 の金融 シス テム は

,民

間金 融機 関 の効 率性 よ りも国民 生活 の公共性 をまず最優 先 に考 えて運 用 されな けれ ばな らず

,そ

うして は じめて

,民

間金融機 関 の 企 業性 や効 率性 も達成 で きる とい うことで あ ろう。 つ ま り

,金

融 システム とい う極 めて公 共性 の高 い イ ンフラス トラ クチ ャー を評価 す るに は

,個

別性・ 短 期性 に代 つて総 合性・ 長期 性 とい う評価 基 準 を必 要 とす る

,

と言 いか える こ とがで きる。 しか し

,今

後 も金 融 自由化 の進 展 は

,た

えず この基 準 を くつが えす危 険性 を は らんで い る。 そ うな らない た め に一 日 も早 く

,国

民 生活 を守 りその福 祉 を増進 す るための資金配分 の適正化 こそが

,民

間金 融機 関 の効 率性 よ りも

,よ

り上位 の公共性 を体 現 した理念 として追 求 され な けれ ばな らない。 こう した理念 に

,今

後 も郵便貯 金 が積 極 的 に応 え る た め

,国

営事 業 が 陥 りが ちな官僚 的体 質 に絶 えざ る反省 を加 えなが ら

,国

民 の要 求 を基礎 に事 業収 益 を国民 に還元す る努力 を重 ね るか ぎ りにおいて,「 経済大 国」 か ら「生活大 国」へ の転換 にむ け, 郵便貯 金 はわが 国社 会 システム の健 全 な発 展 を担 う不 可 欠 な存在 とな りつづ け るで あ ろ う。 江 (1)公的金融の定義は

,古

野直行・古川彰編著『金融自由化 と公的金融辺(日本評論社,1991年 )を 参考にした。以下, その箇所を抜き出しておこう。 「公的金融 とは

,公

的部門が行なう金融活動を指し

,郵

便貯金や簡保資金のように市場を通 じて調達される資金 と

,厚

生年金や国民年金のように法にもとづいて調達される資金を原資として,資金運用部を経由し,日本道路公 団等の公団,日本開発銀行

,住

宅金融公庫等の政府系金融機関 (2銀行, 9公庫)および

JR各

社等の特殊会社な どに対する出資,貸付け,債券引受けのかたちで資金運用を行なうものである。」(121ページ) (2)資金運用部資金原資残高およびこの残高のうち郵便貯金資金が占める額については,郵政省貯金局『郵便貯金'94

-郵

便貯金・郵便為替・郵便振替の現状―』を参照。 (3)加藤 寛『官業改革論』中央経済社,1984年 ,140ペ ージ。 141 内閣官房内閣審議室監修『金融の分野における官業のあり方――懇談会報告並びに関連全資料』1981年11月,221 ページ。 参議院常任委員会調査室編 『立法 と調査』1983年10月号,13ページ。 佐々木 弘「郵貯民営化の必要性 を考える」『金融 ジャーナル』1986年4月号,10ページ。 鈴木淑夫編『日本の金融 と銀行 (第2版)』 東洋経済新報社,1989年,21ページ。 金融制度研究会編『普通銀行のあり方 と銀行制度の改正一金融制度調査会の答申―』金融財政事情研究会,1979 年,475ペ ージ。

0)新

金融効率化行政 については,谷田庄三「金融再編成の今ET的意義 を吟味する」『金融財政事情』1978年10月 30日・ ■月 6日 合併号,および齋藤 正「金融 自由化 と金融行政」谷田庄三編 『金融 自由化 と金融制度改革』大月書店, 1986年を参照。

10

日米円。ドル委員会のこの「報告書」 は

,公

表にさきがけて1983年11月 10日の日米蔵相共同新聞発表の進捗状況, 追加措置の検討・ 実施 を目的 として設置された作業部会の 6回 にわたる会合の結果である。 日本の金融 自由化 を求 めるアメリカの姿勢 は,1984年 以前か らも続いているが,1984-85年にかけては,日米経済摩擦の一環 としての日

(9)

鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 46巻 第

1号 (1995) 59

米金融摩擦問題 として,アメリカの対 日経済自由化要求のなかに強 く組み込 まれてきた。「報告書」における対 日金 融要求の内容 は,円。ドルレー ト問題,日本の金融・資本市場の自由化 と外国金融機関の参入問題,ユーロ円投資, 銀行市場の発展問題などとして提起 されている。 この報告書にみられるアメリカ金融資本の対 日要求は,日本の金 融 自由化 を拡大 させることによって,自国の過剰資本の日本の金融 。資本市場への参入 とユーロ円市場の開放を追 り,アメ リカ金融資本のビジネス・ チャンスを拡大することにおかれている。

10

この『金融の自由化及び円の国際化についての現状 と展望』は先の『日米・ 円 ドル委員会報告書』にもられたア メリカの金融自由化要求への日本側の対応を表 したものである。大蔵省 は『金融の自由化及び円の国際化について の現状 と展望』の「基本的考え方」において

,金

融 自由化 は,わが国における金融のいっそうの効率化 と資源の適 正配分 をもたらし国民経済に望ましいから

,前

向 きかつ主体的に対応 してい く考え方を明 らかにした。ただし,そ の取 り組み方については,金融 自由化の急激な進展 は信用秩序に混乱をきたし

,金

融機関の公共性の十全な発揮 を 困難にし,国民経済的に悪影響を及ぼすおそれ もあるので,日本の実状 を考慮 して漸進的に対応 してい くことを表 明 している。 また,同書「金融の自由化の現状 と展望」では

,金

融の自由化が金利,金融 。資本市場

,業

務内容, 業際 。制度問題,の各分野で着実に進展 していることを指摘 したうえで

,今

後達成すべ き課題 を具体的に列挙 して いる。同書「円の国際化の現状 と展望」では

,経

常取引における円の使用,資本取引における円の使用,公的準備 における円の保有の三つの面に分けて,円の国際化の進展状況 と今後の展望について述べている。 Cか 後藤新一 『郵貯民営論』有斐閣,1987年 ,318ペ ージ。

10

同上,164ペ ージ。

10

詳 しくは,「巨大銀行 と大蔵省の『背信』」『現代』1994年■月号 を参照。

19

鈴木淑夫『日本の金融政策』岩波書店,1993年 ,124ペ ージ。

10

経済企画庁編 『生活大国五カ年計画一地域社会 との共存をめざして』1994年, 2ページ。

10

牧野義司『郵貯―世界最大の銀行』毎日新聞社,1978年,28∼29ページ。

10

大内兵衛「郵便貯金における小市民性 と社会性 との矛盾」『大内兵衛著作集』第12巻,岩波書店,1975年 ,346ペ ージ。 (1995年4月30日受理)

(10)

参照

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