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小型容器を使用したオニバスの栽培-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

香川生物(KagawaSeibutsu)(24):ト4,1997 小型容器を使用したオニバスの栽培

久 米

〒760高松市番町4丁目1番10号 香川県農林水産部林務課

CultivationofEurγalej占roxSalisb.inaSmallBowl

OsamuKume,H(7gat川IPTefectu:alSection ofFores[.4−1−10,B(2nCho,

7bゐαmαとSα符0,ノ(pα花 観察ほぼぼ毎日行い,その状態を記録した。 菓身の計測は,図1に示した浮実の各部位につ いて行った。各部位の寸法ほ,菓が水面に達し て浮菓となり,展開して生長した後最大となっ た時の値をその葉の大きさとした。

朝 察 結 果

移植時のオ・ニバスは,線形の第1葉とともに 矢尻形の第2菓が出て−おり,根が少し伸び出し たものであった。移植後オニバスは定着して生 長を続け,矢尻形の第3菓を出し,スイレソ葉 形の第4薫から浮菓となった。以後葉序を重ね

は じ め に

オ・=lバスEurγalefbTt)XSalisb.の生活史につ いてほ,宮下(1983)の報告がある程度で,詳 細な研究報告ほあまり見られない。それはオニ バスが,池沼を生活域としていることから,野 外の自生地で詳細に観察するには作業上の困難 性が伴うためと思われる。 筆者ほ先に,ガラス製の簡易容器で栽培した オニバスの発芽状況について報告したが(久米, 1988・1995),この栽培中に発芽した1株を小 型容器に移植し,浮実の生長経過を観察したの でその結果を報告する。

観察の方法

発芽状況の観察用に継続して栽培していたオ ニバスの種子は,1987年10月4日に丸亀市川西 町南剣来「八丈粗」で同一イ国体の2個の果実か ら採取した85個の種子である。この種子の内, 1993年5月30日に第1葉状態の発芽を確認した ものを,6月4日に小型容掛こ移植して生長過 程を観察した。 使用した小型容器は,縦26cm横30cm深さ14cm のポリ塩化ビニ・−ル製であり,底に2cm程度の 田土を入れ,水道水を用いて水位を常時8分月 程度に維持する様努めた。特に肥培は行わなか った。容器の置場所は,鉄筋コンクリ・−ト製ア パートの北西向きの3階ベランダで,日当たり ほあまり良くない場所であった。 図1オニバス浮葉菜身の計測部位」 ー1−

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(2)

図2栽培オニバス菓序と花序の生長経過. ら,常時生存する浮実は3枚以下に減少した。 浮菓の着生枚数は,栄養条件と占有可能面筋に 影響されると思われるが,今回の観察では全期 間を通して栽培容器の水面が葉身で全面積覆い 尽くされると言う事ほ.無かった。また,浮葉ど うしの一・部が他の菓身に重なる事ほあったが, 重なり合った他の菓身の下に葉身の全てが隠れ ると言う例は見られなかった。 菓身各部位の計測結果を衰1と図3に示した。 これによると,菓身の最大ほ9月6日に計測し た第15菓であった。葉長A(縦長)と菓長B(横 長)の長さの推移を見ると,第13菓までは菓長 Aの縦長の方が長く,第14葉は縦横の長さがは ぼ等しく,第15菓以降は横長が若干長かった。 葉長Aの縦長の推移を見ると,第9菓までは順 次長さが増加し,第10菓で急に長さが増加する が,第11菓からはむしろ第10菓より短く,第16 菓からほ逐次短くなっていた。 菓身各部位の形状比を図4に示した。図4に おいて,菓長Bを菓長Aで除した値を葉状比と 呼んだ。この債は1に近似するほど菓身の縦横 の長さが同じ事を,つまり円形に近い事を表す ものである。また葉身と葉柄の付着点を菓芯と 呼ぶ事にし,菓芯から菓身下部側の癒合端まで の長さDを葉芯から菓身下部長Cで険した値を る度に菓身は,スイレン葉形から菓身下部が癒 合して楯状菓となり,第13築から完全なオ・ニバ スの成案となヶた。ただし,楯状葉となった成 案でも菓身下部ほ完全には癒合せず,成美とな ったものでも最後の菓まで葉身下部側に凹部と してその名残が見られた。菓裏の刺は,第11葉 から見られ,第13菓からほ菓表にも極小さなも のが見られた。また,第11実の菓裏ほ淡紫色を 帯び始め,第12菓からは菓裏が濃紫色となった。 8月に入ると新しく仲良して来る葉柄は,水面 から抽出する勢いとなり,水面から抜き出た状 態で菓身を展開し,実の重みで水面に着く様な ものが9月12日の第17菓の菓身の展開まで見ら れた。これを過ぎて−9月中旬以降になると新薬 の形成が鈍くなり,最後の第19実は菓身が展開 しないまま11月3日に枯死した。これら葉序の 生長経過を図2に示した。図2において,実線 ほ葉身の展開後の生存期間を示し,実線前の点 線は新薬が伸び始めて水面に達し展開するまで の期間を,実線後の点線ほ葉身が黄化して枯死 するまでの期間を示した。 浮実の状態ほ図2に示す通り,第5菓以降9 月中旬までほ順次新薬が補給され,水面上には 常時4∼6枚の浮菓が生存していた。9月中旬 以降第15柔からは,新薬の補給が減少する事か ー2−

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(3)

蓑1栽培オニバス菓身の計測経過.. 葉展開日 菓枯死日 英計測日 A B 日 初 葉 浮 粗 菓 (5。30) (63) (6.4) 12345678910111213141516171819 13 6.13 7 15 16 6.16 7 15 20 6“22 7.17 24 6“26 7.21 30 7.1 7 29 4 7.5 8 3 8 7.9 8 11 0 0 0 8 0 0 3 3 3 1 1 6 6 6 7 7 7 6 6 6 6 6 7 7 7 7 7 1 0 5 8 0 2 1 8 8 9 7 5 6 5 3 0 4 6 8 9 1 1⊥ A〟 ∩乙 ワ︼ 2 つJ 3 ■⊥ 8 Rけ つJ l l l l l l l l l 3 3 9 5 4 8 9 2 3 8 6 1 6 9 8 8 つん 3 3 4 5 579 1小 ■L 3一4−︵乙 9 52 1 1 1 1 1 4 3 4 4 2 4 5 6 8 4 8 5 2 0 1 3 りム ︵J 4 ﹁J ハb 6 7日 ︵h ﹁〇 5 ﹁汀■ ﹁a ﹁a 4 2 1⊥ 2 t 00005 5 1 3 7 0 6 0 2 2 1 2 3 7・7・︵汀一〇け ︵汀 q︶ q︶ 2 1 0 1 2 3 7.14 8 20 7.23 9 2 7.31 9 14 7 8..9 9 8 8 8 1 2 2 0 0 2 2 3 1 ︵首 8 0い 5 6 1 2 10 8 1 6 0 3 9 q︶ 10 26 10 23 104 1031 10.23 10.14 113 10.23 寸法単位:cm,():沈水薬. 葉良B 菓長A

4 5 6 7 8 9 10 1112 13 14 15 16 1T 18 19枚目

図3.菓長の寸法経過. −3−

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(4)

腋に見え始め,9月18日に見え始めた第4花ま で順次観察された。これらの花は,いずれも閉 鎖花で,水面近くまで上がって来たものの,水 面上にほ出ない■まま沈下した。このうち第1花 から第3花までが極小塾の果実を形成した。第 1花の果実は,9月30日に崩れて,小型の3個 の種子が浮上した。第2花も9月30日に崩れ始 め,その後小型の2個の種子が浮いてこいた。こ れらの種子の稔性についてほ確認出来なかった。 第3花の種子数及び第4花が結実していたかど うかは確認出来なかった。 宮下(1983)による新潟県佐潟に自生するオ ニバスの観察結果と今回の栽培結果を比較して みると,1個体に.着く菓の枚数は,佐潟では24 ∼28枚程度(この枚数に初生薬が含まれている かほ不明)としているが,今回の栽培結果では 19枚と10枚程度少ない結果であった。しかし栽 培容器の大きさからすれば,比較的多くの菓を 着けたものと思われる。また佐潟では,5日に ほぼ1枚の割合で菓が展開し,1時点で着ける 葉の枚数ほ普通3∼4枚であるとしており,今 回の栽培結果もはぼ類似したものであった。菓 の生存日数については,佐潟でほ9月上旬まで が約2週間,それ以降は約1カ月としているが, 今回の栽培結果では全体的に.それよりもやや長 い日数生存していた。最大実の展開時期につい てほ,佐潟では9月上旬としており,今回の栽 培結果も9月6日計測の菓が最大であり一・致し ていた。以上のことから,今回栽培したオニバ スの菓の生長経過は,大小の寸法を除けば,自 生のものと大きな差異なく推移したものと思わ れる。 文 献 久米 修..1988..簡易容器を使用したオ・ニバス の発芽観察.水草研究会会報 32:5. .1995.簡易容器を使用したオニバス の発芽観察.2.水草研究会会報 57:18− 19. 宮下佳子.1983.新潟県佐潟のオニノミス小 水草 研究会会報11:4−6. 葉 形 状 比 ノ/ −● ・−−一葉状比 −・…一癒合率 一一・叫腐心率 / / ・・l ‥ 菜枚目 5 相 川 図4日 菓身の形状比の推移. 癒合率と呼んだ。この億は1に近似するはど菓 身下部の癒合が進んでいる事を示している。菓 身下部長Cを葉長Aの半分で除した値を偏心率 と呼んだ。この値ほ数字上の黄身の中心から葉 芯がどれだけずれているか偏心の程度を示すも ので,1に近似するほど菓芯が数字上の葉身の 中心に近い事を示している。 形状比のうち癒合率を見ると,第13菓が最も 1に近く,オニバスの成業が完成した事が表れ ている。第14菓以後の癒合率ほ,むしろ第13菓 よりも低くなり,第15菓から第18菓までの癒合 率の平均は約0.85で,葉身下部に凹部が残って いる事が表れている。 葉状比を見ると,第11葉から順次1に.近づき, 第12菓からは丸薬形となった事が表れている。 偏心率についてほ,極端に.大きな偏心が見ら れず,全体的には2割程度の幅で変異していた。 偏心の仕方は,第11菓までは葉芯が菓身の上半 分側に偏っており,第12柔からは下側半分に偏 つていた。つまり,上半分側に偏っていた幼葉 の菓芯は,成業になると下側半分に偏っていた 事になる。 花序の経過を見ると,8月17日に第1花が菓 ー4−

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参照

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