時間をどう使うか
1日は24時間,睡眠時間や食事の時間などの生命維持に必要な時間を
のぞいた時間を12時間とする.
この12時間をどう使うか?
→働く(労働時間)か遊ぶ(余暇時間)か
12時間=労働時間+余暇時間
もしくは
労働時間=12時間ー余暇時間
労働時間を自由に決められる仕事
労働時間を自由に決められる人は限定されている.
老人,専業主婦,学生などの生活に必要な資金は必要ない人.
労働時間を自由に決められる仕事は限定されている.
・特別な技術が必要なく,
・チームワークが必要になるほど複雑でない.
↓
容易にピンチヒッターが見つかるので,特定の人を高い賃金を
使って拘束する必要がない.
↓
高い賃金は得られない.
↓
生活をするには厳しい.
アルバイトで携帯代を稼ごう
携帯代を自分で稼がなければならない大学生を考える.
携帯をたくさん使いたい.
↓
お金をたくさん稼ぎたい.
↓
アルバイトの時間を増やす.
↓
余暇の時間が減る.
↓
余暇が減りすぎるのも困るので,自分にとって適当なところで
手を打つ.
余暇(レジャー)の時間は,将来を考える大学生にとっ
価格を考える
アルバイトの時給:1時間あたりのあなたの価格
携帯電話の1通話あたりの通話料:価格
この二つの価格の関係は,
アルバイトの時給=
1通話あたりの通話料×アルバイト1時間で可能な通話回数
アルバイト1時間で可能な通話回数=アルバイトの時給÷1通話あたりの通話料
増えるとうれしい
時給が上がると
通話回数が増え
る.
通話料が下がる
と通話回数が増
える.
相対価格=実質賃金
アルバイト
1時間で可能な通話回数=アルバイトの時給÷1通話あたりの通話料
実質賃金
(もので測った賃金)
名目賃金
(お金の単位で測っ
た賃金)
絶対価格
(お金の単位で測っ
たものの価格)
=
÷
名目賃金:いわゆる,円で支払われる給料.
絶対価格:もの(財・サービス)の値段.ざっくりいうと物価.
実質賃金:給料がどれだけのものに交換できるか.どれだけ楽しめるかの指標.
実質賃金が上がるとどうなるか
代替効果
所得効果
実質賃金が上がると...
携帯電話使用料が名目賃金(すなわち余暇)に比べて安くなっている
ので,携帯電話でより多く会話を楽しむようになる→余暇を減らし,よ
り長時間働く.
実質賃金が上がることでより多く会話を楽しめる.働く時間を短縮させ
ても会話を十分楽しむことができる.これにより余暇時間が増える.
一概にどっちの行動をするというものではない,個人によってど
うするかは任意(自由)に決めてよい.通常は,二つの効果が混
ざって現れる.
予算制約式
ここで,余暇時間をL,実質賃金をωとおく.稼いだお金は全額携帯代につぎ込むので,
労働時間=12時間ー余暇時間
アルバイト
1時間で可能な通話回数=アルバイトの時給÷1通話あたりの通話料
会話の総回数=労働時間×アルバイト1時間で可能な通話回数
会話の総回数をYとおくと,
Y=(12−L)×ω
12ω=Y+ωL
予算制約式
12
ω=Y+ωL
12
ω: マックス働いたら何回携帯の通話が楽しめるか.
↓
12時間の労働でどれだけ楽しめるか.
Y+ωL: 楽しみの内訳
↓
(12
−L)時間だけ働いてY=(12−L)×ωだけ通話を楽しむ(所得=消費).
L時間は余暇を楽しむ.その価値は,携帯通話をあきらめた分のωL.
機会費用
ある選択をしたことにより,あきらめなければならなかった選択肢から
得られたであろう収益.ここでは,労働の代わりに余暇を選択すること
により携帯通話をあきらめた.余暇はタダではなく,その値段は実質
賃金である.
所得効果と代替効果
通
話
回
数
12
Y
24
ω=1
8
ω=2
代
替
効
果
所
得
効
果
所得効果と代替効果
実質賃金
の上昇
代
替
効
果
所
得
効
果
相対的に値段
のあがったもの
(余暇)を減らし,
相対的に値段
の下がったもの
(通話回数=所
得=消費)を増
やす.
実質賃金の上昇
は,個人の所得を
上昇させ,余暇と
通話回数(=所得
=消費)の選択肢
を広げる.通常は,
双方を増やそうと
すると考える.
実際には,所得効果と代替効果は加え合わさった状態で観察される.
基礎的消費と労働供給
自由に労働時間を選択できる人は,誰かからの経済的援助が必要である.
基礎的消費:生きて行くために(衣食住)に最低限必要なお金.
大学生一人生きて行くのに約17万円必要
週休二日(一月22日労働),時給800円で働くと,
1日の労働時間は
17万
÷800円÷22=9.6時間/日
無理
月に12万必要だとすると,
働く理由
親から独立して一人前の社会人として生活するには,ある程度の安定した収
入が得られる職業に就かざるを得ない.
入社した会社の仕事に興味が抱けなくても,最低限の生活を維持するために
働き続けなければならない.
働くことに理由はいらない
やりがいのある仕事がないから働かないというのは,一人前の社会人のやるこ
とではなく,誰か(親,親族)に依存した甘えたものである.
予備的貯蓄
病気や不慮の事故で,仕事を休まざるを得ないことが人生ではありうる.
入院したりすれば医療費の負担は大きいし,会社を休むと給料が減って
しまい,運が悪ければ職を失ってしまうかもしれない.
予備的貯蓄
予期できない不幸に備えてあらかじめしておく貯蓄
就職後すぐの社会人は,生活費でいっぱいいっぱい.その後,家や車を
買ったりすると,余裕がなくてなかなか貯金が進まない.
→具体例で見てみよう
マイカー・マイホーム生活
3000万の家,固定金利3%,30年ローン
→毎月の支払13万
250万の車,固定金利2%,2年ローン→毎月の支払13万
月26万支払
基礎的消費17万,ただし家賃7万からマイホームへ住み替え
毎月の支出=17万+26万−7万=36万
年換算432万円.
月給29万
×(12ヶ月+ボーナス3ヶ月)=435万→とんとん
月給20万
×(12ヶ月+ボーナス3ヶ月)=300万→132万赤字
年齢階層別所得分布
年齢
男性(万円)
女性(万円)
70歳以上
384
213
65~69歳
407
203
60~64歳
474
228
55~59歳
599
256
50~54歳
649
283
45~49歳
632
280
40~44歳
577
286
35~39歳
505
292
30~34歳
432
299
25~29歳
366
293
20~24歳
269
237
19歳以下
158
112
平均
507
269
国税庁 平成22年 民間給与実態統計調査
男性(万円)
女性(万円)
26
14
27
14
32
15
40
17
43
19
42
19
38
19
34
19
29
20
24
20
18
16
11
7
34
18
年収
月収(年収/15)
年齢階層分布
階層
男性(単位:万人)
男性割合(%)
女性(単位:万人)
女性割合(%)
100万円以下
71.5
2.6
289.6
15.9
100万円台
196.2
7.2
487.9
26.8
200万円台
371.8
13.6
428.7
23.5
300万円台
532.2
19.5
290.4
15.9
400万円台
491.7
18.0
160.7
8.8
500万円台
347.8
12.7
79.7
4.4
600万円台
223.0
8.2
36.4
2.0
700万円台
160.5
5.9
18.8
1.0
800万円台
104.5
3.8
11.6
0.6
900万円台
68.9
2.5
5.1
0.3
1,000~1,500万円
119.3
4.4
10.1
0.6
1,500~2,000万円
25.3
0.9
2.3
0.1
2,000~2,500万円
7.3
0.3
0.9
0.1
2,500万円越
8.8
0.3
1.0
0.1
統計元:国税庁 平成22年 民間給与実態統計調査結果
生活を破綻させないために
生活における赤字は,自己破産や離婚,家庭崩壊の原因となる.
生活における赤字は,収入にそぐわない消費だけでなく,予期せざる病やけ
がによっても発生する.
やむを得ざる事情があれば多少の欠勤でもクビにならない職に就くこと.
安易にローンなどを頼り生活を拡張しないこと.
予備的貯蓄を積み将来の予期せぬ不幸に備えること.
楽な仕事
1) 仕事が単純で覚えやすい.
2) 長い時間働かないで済みそうだ.
3) 勤務時間外の付き合いを強要されない.
4) 初任給には目立った差がない.
面倒なくそこそこお金がもらえる「楽」な仕事はどんな仕事か経済学で考えてみる.
「楽」な仕事は人気があるので,たくさんの人が応募する.
→すぐに交代要員が見つかる.
らくちんな仕事がいいなぁ〜
企業の選択
1)〜3)の条件を満たす仕事
企業経営の中核をなすような「重役」はふさわしくない.
人脈や顧客を熟知し現場の責任者となるべき「中間管理職」はふさわしくない.
大量に商品をさばくための「外国人部隊」.
あまり会社の機密や内部情報を知ってほしくない.
企業の選択
4)の条件を満たす仕事
「楽」な仕事はいつでも人員の取り替えがきく.
「楽」な仕事は「単純で覚えやすい」が,「内容が薄くてすぐに飽きがくる」.
飽きるので,長期間働く人は少ない.給料はのびず,会社の経費もかさまない
経費がかさまないので,最初の給料を通常よりも若干高額にできる.
「楽」な仕事は,形式上は「正社員」だが,長く働くことが困難で,将来低所得で不
安定な雇用環境に留まらざるを得ない可能性が高い.
転職は賃金を上げるか
Aさんが辞めた職にあなたが転職しようとしている.
Aさんとあなたの職業の交換と考えればよい.
交換は自発的(嫌だったら拒否できる)に行われる.
自発的交換が行われるには,
1) 好み(preference)が異なる,
2) 交換が始まる前に持っているもの(endowment)が異なる,
Aさんがやめた理由
賃金
バランス
仕事内容
人間関係
バランスが崩れる
Aさんは,仕事内容と賃金に関しては満足だが,人間関係が煩わしい.
あなたが,提示された仕事内容と賃金に関しては満足でかつ,人間関係が
煩わしと思わなければこの交換は成功.
転職市場で募集中の仕事は,誰かが【仕事内容】か【付帯状況】に不満でや
履歴
どのような仕事をしてきたか
→どのような仕事ができるか
何度も職を変えているという履歴は,プラス評価を受けない.
会社では,対人関係を過度に煩わしいと思うと,他人との協調ができず,
共同作業に支障が出てくる.
対人関係などが原因で転職を繰り返すと,雇用環境が悪くなり,低賃金
の仕事しか見つからなくなる.
よい「楽」な仕事はない→努力が必要
働くのは厳しい
「信頼」を作り上げるためには「嘘をつかない」「手を抜かない」ことが必要.
安定した生活を維持するために,会社の中で「かけがえのないメンバー」
になろう.
「嘘をつかない」「手を抜かない」ことは,苦痛を伴い非常に難しい.
非常に難しいので達成感がある.
達成感が次の仕事への興味を高めてくれる.
これを繰り返すことにより,苦痛は減少し,「信頼」が形成される.
努力や苦痛は,将来の信頼への投資である.