Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design日
本 的 宗
教
空
間
に
お け る
景
観
中
嶋 猛 夫 女f
美
術大 学
は じ め に右
の写 真
は夕 焼 け
の富
士1.
1.
陵 箱根
の乙女 峠
より眺め た景 色であ る。 こ のコ ニー
デ型
の独
立峰
の美
しさは世界的
にも有 名
で、 日 本の代 表 的III
で象
徴でも
ある が、
この富
士111
が 全国
に散在 す
る 浅 間 神 社の本 宮の御 神 体である という
こと を知
れば、
単
に美
し い風 景とい う美 的 感 動か ら“
アリ ガ タ イ御 姿 を 拝む”
崇 高
な宗
教 景観
へ と変 身 するの で はなか ろうか。
本稿
では こ の大
き な 主 題 を詳 述 するのは別の機 会に譲 り、
そ の 主要
な骨
子 を概説
する。
1
.
日本 的 宗 教 空 問永
い 日本の歴 史の中で仏教 渡来
以前
は 「カ ミ」
の時代
であっ たと 言え
よう
。 カ ミとは太 賜
・
月
・
山
・
森
・
樹 木
・
岩
・
滝
・
泉・
火 などの 自然神
と魂
・
死者
など を含
む祖先 神
に大別
できる よう
です。
山 の カ ミ は神
奈 備 山・
神
体 山とな り、
岩や樹 木は カ ミ の降
り来る「
ヨ リシ ロ」とな りシメ縄 を 張っ て崇
拝の対
.
象
と なっ た。
祖 先神
は氏 神とな り共 同体の象 徴となっ て いっ た、
六 世紀に は中 国・
朝 鮮より仏 教・
儒 教・
道 教 など が移 人 し、
各 地に仏 教 寺 院が建立 さ れ「
カ ミ」は神
となり神
道・
神 社
が造 られ た。 以来
日本
の代 表
的宗
教 空間
は寺
院・
神
社の境
内とも 言 え、
それらは整形 式
と非整 形式
とに大別
でき よう
。
(
1)
整形式
概 念 的 空
間構
成 と も言え
大 陸 的 影 響 が 強 く、’
ド坦 地 に 直 線 的 アプロー
チ・
左 右 対 象 形・
大 規 模 建 造 物、
塀
や回廊
で囲むな ど が特
微。
その人工的 空 間は入を
圧倒 す
る よう
な景観
をつく り
出 す。
神
社では 出 雲 大 社、
新 し くは平 安 神 宮 など、
寺 院で は四 天 王 寺、
東 大 寺 他多
数 あるが、
法 隆 芋は非 左 右 対 象の伽 藍 配 置。
(
2)
非 整 形 式白然 環
境 尊
重 又は 地形 順 応型 で 目本の 原始
宗
教
空 間で多
くみ られ る。
自然の山・
森と混 然とした境
内、
地 形 に沿
っ て屈曲
・
上 下 する アプロー
チ、
散 在 す る 建 造 物 など自然 環 境 に 溶 け 込ん だ 景観
の連 続(
シー
クエ ン ス) 変 化 を提 供 している。神社
で は伊 勢
の内
・
外 宮
の境 内
全体
、
目光 東照 宮
な ど寺
院で は比叡 山延 暦寺
、
高
野山
金剛峯 寺他 山岳 寺院
、
神 社多 数
。
外 国では キ リス ト教会
、
イ ス ラムモス ク、
仏教
でもボルブ ドー
ル、
アンコー
ル ワッ ト など整形式
が多
く、
非 整 形 式 特 徴 が より 日本 式 宗 教 空 間とも言 えよう
。
USA の建 築 学 者フ ィ リッ プ
・
シー
ル氏 は 「環境
デザインに おい て連続
的経 験
が重要
であ り
、
日本
の池
泉 回遊式庭
園や 日光
の東
照宮
、
伊 勢
の内宮
、
奈 良
の長
谷寺
など日本
の庭 園、
寺
院・
神
社の境 内
と その アプロー
チ は変 有
意義
な材 料
を提供
してい る」
と示唆
に富
む指摘
を してい る。
次
に非 整 形 式の典
型であ る山 岳寺 院
・
神 社
の境 内
の事例
を調査研
.
究
した私
の学
位論 文
の資
料 を 基に景 観 性につ い て述べ る。
写 真1
夕焼の富士山一 一
.
繍一
一
一
四天琳、
齷
塑 a戸
塔 b_
会 堂 c一
講 堂 矚羈
曝 一 法隆 寺 式図
t
寺院
・
伽 藍 配置
.
姦 写 真2 法 隆寺 写 真3
那 智の滝 写 真4 伊 勢 内 宮 図2
日光
・
東
照宮他
配置
図30SPECiAL
ISSUEOF JSSD Vol.
2 No.
2 1994 デ ザ イ ン学 研 究特 集号Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design2
.
宗 教
的景観
私の論 文は 日
本
の山1
、寺
院・
神 社25ケ 所 (東 北の恐III
、
羽 黒 山、
関 東の 日光
・
箱根
、
関 西の延
暦 寺・
室 生 き、
四 国の琴’
r
山・
石鎚 山、
九州の阿 蘇 山な ど)を踏 査、
比 板 分 析 しtL
で境
内構
成上 で景観性
が多
大な役 割
を果し た こ とを 明 ら かにし た。(
1)常
なる景観
永
い年
月の間 変化
しに くい のは1
.
[い 森・
岩・
滝・
大
木 な ど で、
そ れ は日本
的宗 教 空
間に おいて 駐要 な 崇 拝 対象
である。
樹木
で はスギ、
マ ツ、
クス などの常 緑 樹 が 対象
となっ た。
山
岳寺
社の境
内構
成 要 素 を鳥
居や本 堂 (社殿)など29項
目を 選 び 比 較し、
25
ケ所 全部 に存在
し た の が本 坊 (社 務 所 ) 本 堂(
社殿 ) 見
晴台 (
逢拝所 )奥
の院(
奥 社)
の5
項
月であっ た。
また空 間
構
成技法
とし て・
見 え院れ・
筋た がいな ど15項
日に より比 較 し全 項 目満 足 したのが延 暦 寺であり、
次
に 室 生寺、
4
平LLI
、
捧 名 山、
古
野山
、
長
琴寺
、
石鎚
[1
]と続 き
、
最 も少
ないの が恐[L1
の 7項
日であっ た。
25ケ 所す
べて に存在
したのが・
目立 ち(
ラン ドマー
ク)
・
見 晴 ら し(
逢打
所)
・
巡り (
複 数
の宗教
施 設、
地 点 を 回 り歩
く)
の3
項
目、
そ れに加
え・
見
上げ
・
折
れ 曲 り・
へ だて(
谷・
柵等 )
・
つ なぎ (
渡 り)
の副
.
7
項
「1
満
足 し たのが24
ケ所であっ た。
こ の様
に多
くの要 素と様
々な見せ方に よっ て多 彩
な景観
の連続
、
変化
をつ く り出し ていた。
特 筆 す
べ きは逢
拝 所 と逢
拝 山の関 係で25寺 社「i34
例 あ り、
そ の内
29例(
約85%)
が仰 角5
°〜
13°
に集iit しF
均 値は8
.
2°
であ
っ た。 こ の数 値
は樋 口忠彦
氏の『
景 観の構
造 』 に よれ ば、
日本
の借 景式庭 園
か ら眺
め る由
の仰 角
の ほとんどが5
°〜
12°
で平均 値
は8
.
3
°
という結
果 とほ ぼ同値
で、
その見え
方は山 容个
体 が美
し く純風 景 的景観
と説 明
し てい る。逢 扞 所 は
奥
の院(
奥
社)
にある場 合
が多
く、
最
も聖的
な場所
に’
i1ると共に岩 場 が多
い。
山 道 を 登 りつ め た所に宗 教的 ク ラ イ マ ッ クス として、
美 しい山の景 観 を 設 定 し た 空 間構
成の妙 味に 感 嘆し、
同様の効 果を借 景 式 庭 國に取 り込んだ先 人の智 恵に驚嘆
する の み である。ま た池 泉 回 遊 式 庭 園 も 口本 的 宗
教
空間
の森の中
や光陽
、
滝
な ど を 巡回 する構
成の凝 縮 形と見る こ とも可 能で あろう。
(
2
)
常 な らざ
る 景観
日本の宗 教
観
に無常
という
概 念 は 不 可欠
であ
るが、
その具 象
的事
例 が 四 季の変 化であ ろ う。
春 夏 秋 冬、
花鳥
風月
その時々の自然
生態
を楽
し む精神
が 日本の宗 教
空 間の景 観 要 素 と して丁要 であ り、
そ れ 故に个
国の、
聾…社に名 所は多
い。
奈 良・
吉 野の桜、
京 都・
八坂 神 社の シ ダレ蝕、
鎌 倉・
明 月 院 の ア ジサイ、
京 都・
神 護 寺の紅 葉、
奈 良・
長 谷 寺のボタンなど があ り、
宗 教 行事
の祭
、
縁 日 などのハ レ の 空間
は旗
や 提灯
、
屋
台な どの様
々 な 仮 設 物と大 勢の物 見 遊 山の参 拝 客に より平 日と は一
.
.
変 する景 観 をつ く り出 し、
歳々 の節 目となっ てい る。
以
上、
日本 的 宗 教 空間
に は、
水、
岩、
樹.
木 を始
め 山、
森 しい ては鹿 や猿、
狐 な どの動
物 を含
め た自然
仕態系
全体
が深 く関
わ り、
その景 観 性 も境 内構
成 上 重 要 な役 割 をになっ てい て、
広 く 日本の文化全 体
に影
響を
及ぼ して い る よう
だ。
逢 拝 山
・
へ
ぐ
\
岩 場
仰角
5
.
O
\ →均 図3
山 岳 寺 社の逢拝 所 と逢 拝 山低
位 写 真5
借 景 式 庭 園・
円 通 寺 写 真6
京 都
・
八坂 神 社 (円 山公 園 )の シダレ桜
「 弸 写真7 神田明神・
平 日 と祭日臨 韓
よ
。
。
爨
尠 〆 応騰
ゑ 瀋論藤軸療齢
デ ザイン学 研 究 特 集 号 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vo1