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薬物使用者の家族の認知的反応の検討――尺度作成と因子構造の確認――

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-67 430

-薬物使用者の家族の認知的反応の検討――尺度作成と因子構造の確認――

○辻 由依1,2)、青木 俊太郎3,4)、坂野 雄二5) 1 )北海道医療大学大学院心理科学研究科、 2 )日本学術振興会特別研究員、 3 )福島県立医科大学医療人育成・支援セン ター、 4 )福島県立医科大学神経精神医学講座、 5 )北海道医療大学心理科学部 【問題と目的】 薬物使用者の家族には孤独感,孤立感,不安,抑う つ,有罪感,恐れ,心配,恐怖,緊張,混乱といった 様々な認知的反応が生じることが報告されている (Vellman et al., 1993)。したがって,薬物使用者の 家族に対して効果的な支援を行うためには,家族に生 じる認知的反応を考慮し,家族がどのような部分で困 難を感じているのかを理解することが必要であると考 えられる。しかし,薬物使用者の家族の認知的反応を 量的に測定出来る尺度はなく,家族の認知的反応を客 観的に捉えることは困難であった。したがって,本研 究では家族の認知的反応を量的に測定できる尺度を作 成することおよび因子構造を確認することを目的とし た。 予備調査 【目 的】 家族の認知的反応を測定する尺度を作成するための 項目を収集することを目的とした。 【方 法】 調査協力者 薬物使用者の家族 7 名(男性 2 名,女 性 5 名),薬物使用者の家族を支援する医療専門職11 名(男性 8 名,女性 3 名)を対象とした。 調査材料 薬物の問題に関連して生じる認知的反応 について尋ねる調査票または半構造化面接を行った。 薬物使用者の家族には,薬物の問題に関連してどのよ うな考えが生じたことがあるのかについて尋ね,専門 職の方には薬物の問題に関連して薬物使用者の家族に はどのような考えが生じやすいと思うかについて尋ね た。 手続き 家族には薬物使用者の家族が集まる家族会 を利用して調査票の配布または半構造化面接を行っ た。医療専門職について,調査票は協力を依頼した専 門家に直接または E -mailを用いて配布し,半構造化 面接は協力を依頼した機関で行った。また,本研究 は,第一著者が所属する大学の倫理委員会の承認を得 た上で実施した(受付番号 第16012号)。 【結 果】 薬物使用者の家族は 5 名が半構造化面接, 2 名が調 査票での回答であった。医療専門職は 7 名が半構造化 面接, 4 名が調査票での回答であった。臨床心理士 2 名によって,同じ内容の項目をまとめ,認知的反応に 該当しないものを削除した結果,60項目が得られた。 本調査 【目 的】 家族の認知的反応を測定する尺度を作成すること, および因子構造を確認することを目的とした。 【方 法】 調査協力者 薬物使用者の家族会に参加している家 族71名(男性23名;平均年齢68.65歳±6.18,女性48名; 平均年齢63.00歳±8.37)を対象とした。薬物使用者 との続柄は父親15名(21%),母親37名(51%),配偶 者・パートナー 2 名( 3 %),兄弟姉妹 5 名( 7 %), 子ども11名(15%),その他 2 名( 3 %)であった。 調査材料( a )デモグラフィックデータ家族に関す る内容:性別,年齢,薬物使用者との関係,居住状況, 婚姻状況,就業状況,家族会への参加歴( b )家族の 認知的反応に関する項目(60項目:予備調査を基に作 成) 教示は「以下の文章を読んで,あなたにどのぐ らい当てはまるか,もっとも適していると思う番号に ○をつけてください。」とし, 5 件法( 1 :「まったく そう思わない」, 2 :「あまりそう思わない」,) 3 :「ど ちらとも言えない」, 4 :「とてもそう思う」, 5 :「完 全にそう思う」)で回答を求めた。 手続き 調査票は154部配布し,74部を回収した(回 収率:48.05%)。また,尺度への回答が途中からなさ れておらず分析不可能と判断された 3 名を除いた71名 を最終的な分析対象とした。また,本研究は,第一著 者が所属する大学の倫理委員会の承認を得たうえで実 施した(受付番号 第17029号)。 統計解析 統計解析にはSPSS Statistics Version 25.0を 使 用 し た。 欠 損 値 の 処 理 はSPSS Missing Valuesを使用し,回帰代入法を用いた。項目の選定方 法としては,家族の認知的反応尺度の総得点を基に高 群と低群に分け G - P 分析行ったあと,因子分析(一 般化された最小 2 乗法・プロマックス回転)を行っ た。 【結 果】 G - P 分析を行った結果, 9 項目において高群と低 群の間に有意差が見られなかったため削除した。その 後,平行分析の結果から,抽出する因子を 3 因子に固 定した探索的因子分析を行った。因子負荷量が0.40以 下の項目と0.35以上の二重負荷がある項目は削除した

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-67 431 -結果,21項目となり,「将来や薬物使用者に対するネ ガティブな考え」,「家族の孤立」,「責任感」の 3 つの 因子が得られた。Table1に因子負荷量,因子行列相関 を示した。すべての因子において, α 係数の値は良 好であった。 【考 察】 本研究では薬物使用者の家族の認知的反応を測定出 来る尺度を作成し,因子構造を確認した。因子分析の 結果から,家族の認知的反応を測定する尺度は「将来 や薬物使用者に対するネガティブな考え」,「家族の孤 立」,「責任感」の 3 因子から構成されることが示され た。また,全ての因子においてCronbachの α 係数が 十分な値を示したことから,本尺度の内的整合性が確 認されたと考えられる。薬物使用者の家族の認知的反 応を量的に測定できることによって,家族の状況を客 観的に捉えることが出来ると共に,支援を行った際の 家族の変化を継時的に確認することが可能になると考 えられる。今後は本研究で作成した尺度を利用し,再 検査法を用いた信頼性の検討や妥当性の検討を行うこ とが課題である。

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