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産褥1か月間の褥婦の心配事と, 実母の援助との関係

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J. Jpn. Acad. Mid., Vol. 6, No. 1, pp.31-37, 1992

産褥1か 月間 の褥 婦 の 心配 事 と,実 母 の援 助 との 関係

―実母 の援助態度別分析―

Anxieties

of the New Mother

During

the First Month

After Birth

and Their

Relationship

to Assistance

Given by Her Own Mother

—An Analysis

of Her

Own Mother's

Attitude

in Assisting

Her

松 下 キ ョ 子(Kiyoko MATSUSHITA)* 岩 澤 和 子(Kazuko IWASAWA)** 要 約 出産 後 の援 助 者 が 実母 で あ る場 合 の,(1)産 褥1か 月間 の 褥 婦 の 心 配 事 を明 らか にす る こ と,(2)実 母 の 育児 に関 す る援 助 態 度 と褥 婦 の 心 配 事 の 関 係 を明 らか にす る 目的 で,都 内民 間 病 院 で 出産 した 初産 婦20 名 とそ の実 母20名 を対 象 に,施 設 退 院 後2∼3日 目 と退 院 後2∼3週 間 目 に訪 問 調 査 を行 っ た 。 そ の結 果,す べ ての 褥 婦 は何 らか の心 配事 を も って お り,1回 目訪 問で は延 べ127件,新 生児 に 関 して は100件 で,そ の 中で も育 児 技 術 に 関 す る もの が67件 と最 も多 か っ た。 また 実母 の援 助 態 度 は「見 守 るタ イプ 」 「まか せ る タ イプ 」 「もめ る タ イプ 」が あ り,褥 婦 の心 配事 の 出現 に は,こ の援 助 態 度 だ けで な く, 褥 婦 の実 母 の助 言へ の 態 度 や,育 児 書 の とら え方,育 児 経 験 な ど,他 の 要 素 の 影 響 が考 え られ た 。 退 院 後 も褥 婦 は さ ま ざ まな 心 配 事 を もっ て お り,実 母 の援 助 を受 け て い て もそ れ が解 消 され な い 場 合 が 多 い こ と よ り,退 院 後 も助 産 婦 な ど専 門 家 の 継 続 的 なサ ポ ー トが 必 要 で あ る とい え る。 Abstract

Our study was conducted with the purpose of clarifying, when it is the woman's own mother who assists her after childbirth, 1) what the postpartum woman's anxieties are during the first month after birth, and 2) what the relationship is between these anxieties and her own mother's attitude in assisting her in taking care of her child. During home visits 2-3 days after discharge from the hospital and again at 2-3 weeks after the birth, we surveyed 20 primipara, who had given birth in private hospitals in Tokyo, and their mothers.

Our results showed that all of the postpartum women had some anxieties. Responses to the first of the two surveys, identified 127 anxieties. Of these, 100 were regarding the newborn, the majority of which (67) concerned childcare techniques. We also found the women's mothers' attitudes in giving assistance fell into 3 different categories: 1) supportive of her daughter's ideas but ready to intervene if she deemed it absolutely necessary, 2) completely laissezfaire, due to a lack of

*福 岡 県 立 看 護 専 門 学 校(FukuokaPrefecturalNursingSchool)

*国 立 公 衆 衛 生 院(Department of Public Health Nming ,Institute of Public Health)

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産褥1か 月間 の褥 婦 の 心配 事 と,実 母 の援 助 との 関係

confidence in her own ideas, and 3) aggressive in trying to assert her own ideas on her daughter. The actual occurrence of what the postpartum woman had feared seemed to derive not only from the attitude of her mother, but also from other factors such as how the woman handled advice from her mother, how she interpreted childcare books, and what her previous experience had been in taking care of children.

After discharge from the hospital, women had various anxieties. The fact that there were many cases in which the assistance offered by the woman's mother did not alleviate her anxieties indicates

that women need continuous support from professionals such as midwives ever after leaving the hospital. Iは じ め に 近 年,核 家 族 化 や 仕 事 を もつ 母 親 の 増 加,さ ら に 少産 傾 向 が 進 ん で い る。 そ の た め 乳幼 児 に接 し た経 験 を もた な い褥 婦 や,退 院 後 の援 助 者 の最 も 多 い 実母 に,子 ・孫 等 の 育 児 経 験 が少 な い もの が 増 加 して い る。 しか し,妊 娠 中 か ら産 褥 期 まで の継 続 看 護 が 可 能 な助 産 所 を 除 い た施 設 分 娩 が98.7%で あ る1)わ が 国 で は,施 設 を退 院 して か ら1か 月健 診 まで の 期 間,育 児 不安 を解 消 す るた め の 援 助 が,す べ て の褥 婦 に対 して な され て い る とは い え な い現 状 で あ る。 ダ ラ ・ラ フ ァエル は,母 乳 哺 育 を成 功 させ るた め に は,出 産 後 の 一 定期 間 他 の 人 か らの 助 け を確 保 す る こ とが必 要 条 件 で あ る2)と 述 べ て い る。 わ が 国 に お い て は,出 産 後 の援 助 者 で 最 も多 いの は 実 母 で あ る。 出産 後 の援 助 者 が 実 母 の 場 合 に は, 実 母 以 外 の 場 合 と比 較 して 褥 婦 の 育 児 不 安 が 軽 減 ・解 決 され て い る と思 わ れ るが,援 助 者 が 実 母 で あ る こ とで 有 意 に褥 婦 の不 安 が 少 な い わ けで は な い3)と い う報 告 が あ る。 実母 は状 況 に応 じ褥 婦 に適切 な援 助 が で きて い る の だ ろ うか 。 褥 婦 の 不 安 内 容 に つ いて は さ ま ざ ま な調 査 が な され て い る が,出 産後 の 実 母 の援 助 に 関 す る調 査 は ご くわ ず か で あ る。 褥 婦 に と って 出 産 施 設 退 院 後2∼3日 目 は,新 生 児 との新 しい生 活 に 適 応 す る た め に,身 体 的 に も精 神 的 に も負担 が 大 き く,さ ま ざ まな 不 安 が 強 い時 期 で あ る。 そ して退 院 後2∼3週 間 目は,育 児 の 疲 れ が 目立 ち,以 前 と は違 っ た不 安 が 出 現 し て くる時 期 で,福 井 は この 時 期 に家 庭 訪 問 の 希望 が 多 い4)と 報 告 して い る。 そ こで,出 産 後 の援 助 者 が 実 母 で あ る場 合 の, (1)産褥1か 月 の褥 婦 の 心 配 事 を 明 らか に す る,② 実 母 の 育 児 に関 す る援 助 態 度 と褥 婦 の 心 配 事 との 関係 を明 らか に す る こ と を 目的 と して調 査 を行 っ た。 II研 究 の 対 象 お よ び 方 法 1.対 象 都 内民 間総 合 病 院 で,平 成2年10月1日 ∼3年 1月31日 の期 間 に 出産 し,退 院 後,実 母 の援 助 を 受 け る正 期 産 ・経腟 分 娩 で,母 子 と もに 正 常 な経 過 を た どっ て い る初 産 婦20名 とそ の 実母20名 。 2.方 法 褥 婦 とは 入 院 中 に面 会 し,家 庭 訪 問調 査 を2回 行 う こ との承 諾 を得,出 産 施 設 退 院 後2∼3日 目 の 訪 問(以 下1回 目訪 問 とい う)の 約 束 を した。 また,1回 目訪 問 時 に退 院 後2∼3週 間 目の 訪 問 (以下2回 目訪 問 とい う)の 約 束 を した。 訪 問時 に は,褥 婦 と実 母 に 以 下 の こ と につ い て面 接 調 査 を 行 った 。 1)褥 婦 に対 して (1)出産 施 設 退 院 後 か ら訪 問 時 まで の 心 配 事 の 内 容 とその 解 消 方法 (2)(1)以外 の 褥 婦 の 身体 状 況 ・生 活 状 況 ・新 生 児 の状 況 ・育 児 の状 況 につ い ての 心 配 事 の 内容 とそ の 解 消 方 法 (3)実母 の援 助 で助 か って い る 内容 ・実 母 に援 助 して もら い た い 内 容 ・育 児 につ い て実 母 と考 え の 違 う 内容 2)実 母 に対 して (1)育児 経 験 の 有 無 (2)褥婦 を援 助 し よ う と考 えて い る 内容 (3)褥婦 を母 親 と して どの よ う に評 価 して い るか

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産褥1か 月間の褥 婦 の 心配 事 と,実 母の 援 助 との関 係 な お,ひ ど く心 配 して お り保 健 指 導 が 必 要 な場 合 に は 保健 指 導 を行 っ た。 3.分 析 方 法 心 配 事 は訪 問 時 期 別 ・内 容別 に 分 類 した。 心 配 事 の 内 容 は新 生 児 に関 す る もの と褥 婦 に関 す る もの の2つ に分 類 し,さ らに 新 生 児 に関 す る 心 配 事 を「新 生 児 の 生 理 」 「育 児技 術 」 「環 境 調 節 」 「身体 の 異 常症 状 と対 処 方 法 」の4項 目 に,褥 婦 の 身 体 に関 す る心 配 事 を 「乳 房 管 理 」 「身 体 の 不 快 症 状 」 「生 活 に つ い て 」 の3項 目に分 類 した。 育 児 に関 す る心 配 事 を解 決 す る う えで の 実 母 の 援 助 内容 や,実 母 と考 え の 違 う内 容 を,褥 婦 か ら 聴 取 した。 褥婦 を援 助 し よ う と考 えて い る 内容 や 褥 婦 を どの よ うに評 価 して い るか を実 母 か ら聴 取 した。 褥 婦 と実 母 か ら聴 取 した こ と を1例 ず つ 比 較 検 討 した結 果,実 母 の 育 児 に関 す る援 助 態 度 を 3つ に分 類 した。 実 母 の 育 児 に 関 す る援 助 態 度 は,褥 婦 の 行 う こ と を見 守 り,必 要 と判 断 した と き に助 言 ・援 助 し よ う と考 え て い るタ イプ(以 下,見 守 る タ イプ と い う),育 児 に 関 して は相 談 され て も答 え られ な い の で,褥 婦1人 で考 え て や って ほ しい と考 えて い るタ イプ(以 下,ま か せ る タ イプ とい う),褥 婦 と 育児 に関 す る考 え が違 い 自分 の 考 え を主 張 して譲 らず褥 婦 と もめ るタ イプ(以 下,も め る タ イプ と い う)の3タ イプ に分 類 し,実 母 の援 助 態 度 別 に 心配 事 の 特 徴 を分 析 した。 4.対 象 施 設 の 指 導 につ い て 1)授 乳 指 導 対 象 の 出 産 病 院 で は母 児 異 室 制 で,褥 婦 は3時 間 お きに授 乳 室 で授 乳 を行 い,抱 き方 ・直 母授 乳 ・ 乳 房 管 理 の 方 法 につ い て個 別 に指 導 を受 け る。 母 乳 分 泌 が 良 好 な ケー ス は,指 導 者 の判 断 で 自律授 乳 と な る。 2)沐 浴指 導 退 院 日に新 生 児 を モデ ル と して指 導 者 が デ モ ン ス トレー シ ョン を行 い,褥 婦 は見 学 す る。 希望 に よ り褥 婦 は 自分 の児 を沐 浴 す る こ とが で き る。 3)退 院 指 導 退 院 後 の 新 生 児 や 褥 婦 の 生 活 ・起 こ りや す い ト ラブル ・1か 月健 診 の受 診 方法 ・家 族 計 画 な ど に つ い て集 団 指 導 を受 け る。 な お,調 査 期 間 中 は退 院指 導 のパ ン フ レ ッ トを 改 訂 中 の た め,褥 婦 に 手渡 され るパ ン フ レ ッ トが な か っ た。 III結 果 お よび 考 察 1.対 象 の 特 性 褥 婦 の 平 均 年 齢 は27.3歳 で,最 低22歳 ・最 高32 歳 で あ っ た 。 実 母 の 平 均 年 齢 は55,3歳 で,最 低47 歳 ・最 高62歳 で あ っ た 。 実 家 に 帰 り 実 母 の 援 助 を 受 け た 褥 婦 は19名,自 宅 に 戻 り 実 母 の 援 助 を 受 け た 褥 婦 は1名 で あ っ た 。 児 の 出 生 時 体 重 の 平 均 は 3,183.8gで,最 低2,584g・ 最 高3,752gで あ っ た 。 対 象 の 夫 は す べ て 新 生 児 に 対 す る 関 心 が 高 く,育 児 に 参 加 し て い た 。 しか し 日 中 は 不 在 で,褥 婦 の 心 配 事 の 相 談 者 で は な か っ た 。 2.訪 問 時 期 別 心 配 事 の 内 容 20名 す べ て の褥 婦 は,何 らか の 心 配 事 や 相 談 ・ 確 認 希 望 事項 を も って いた 。心配 事 の総 件 数 は220 件,1回 目訪 問127件,2回 目訪 問93件 と,1回 目 訪 問 に 多 く,「退 院 後2∼3日 目」 の家 庭 訪 問 が, 身 体 的 な 回 復 の 途 中 で 育 児 に対 して も自信 を もて ず さ ま ざ まな 心 配 事 を抱 えて い る褥婦 に とっ て, 最 もニ ー ドが 高 い 時期 で あ る とい え る。 ま た心 配 事 の 件 数 は1人 平均11.0件 で,最 多19 件,最 少3件 と個 人差 が み られ た。 心 配 事 の 内 容 別 件 数 をみ る と(図1),新 生 児 に 関 す る もの が 多 く168件,1入 平 均8.4件(最 多11 件,最 少1件),さ らに その な か で も 「育 児技 術 」 が101件,1入 平 均5.1件(最 多10件,最 少1件) と最 も多 くみ られ た。 図1新 生児 に関 す る心 配事 日本 助 産 学会 誌 第6巻 第1号(1992) 33

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産褥1か 月 間の 褥 婦の 心 配事 と,実 母 の 援 助 との 関係 新 生 児 に 関 す る心 配 事 につ い て細 か くみ る と, 「新 生 児 の 生 理 」に関 す る もの は,1回 目訪 問 で は 入院 中 に新 生 児 の便 を見 た 経験 が な く便 の性 状 ・ 回数 は正 常 で あ るか わ か らな い,く しゃ み や しゃ っ く りを して い て 大 丈 夫 なの か,新 生 児 の 視聴 覚 機 能 は働 い て い るの か,入 院 中 に新 生 児 の 裸 を見 た経 験 が な く新 生 児 の 姿 勢 が 正 常 で あ るか わ か ら な い な ど8項 目,2回 目訪 問 で は授 乳 後 す ぐ寝 な い よ うに な っ た の は 異 常 で は な い か,便 の性 状 ・ 回数 や 皮 膚 乾 燥 は 正 常 で あ るか な ど8項 目に わ た っ て い た。 「育 児 技 術 」 に 関 す る もの は,1回 目訪 問 で は, 母 乳 が 足 りて い るか判 断 で き な い,う つ伏 せ 寝 の 方 法 が わ か らな い,沐 浴 指 導 で 方 法 は習 っ た が 入 院 中 に実 施 しな か っ た た め に臍 消 毒 の 方法 に 自信 が な い,啼 泣 時 の対 応 が わ か らな い な ど22項 目, 2回 目訪 問 で は,母 乳 が 足 りて い る か ・ミル ク を どれ だ け足 した ら よい か判 断 で き な い,啼 泣 時 の 対 応 が わ か らな い な ど15項 目 にわ た っ て い た。 ま た1回 目訪 問 で は,「何 時 間 間 隔 で 授 乳 しな け れ ば な ら な いの か」「1回 の授 乳 で何cc飲 ませ た ら よい の か 」 と心 配 して い る事 例 も あ っ た。 「環 境 調 節 」 に関 す る もの は1回 目訪 問 時 の み に み られ,衣 服 の枚 数 に つ い て で あ っ た。 「身 体 の 異 常 症 状 と対 処 方法 」 に関 す る もの は, 1回 目訪 問 で は,殿 部 発 赤 は み られ な いが その 予 防 や 発 生 時 の 対 応 を知 りた い,中 毒疹 ・臍出血 は 異 常 で は な いか な どの8項 目に わ た って い た。2 回 目訪 問 で も,殿 部 発 赤 ・中毒 疹 ・臍出血 な どの 9項 目 にわ た っ て い た。 図2褥 婦 に関 す る心 配事 また,哺 乳 時 以 外 は寝 て い る新 生 児 を 「サ イ レ ン トベ ビ ー」 で は な いか と心 配 して い る褥 婦 や, ミル クか す のつ い た 舌 を 「鷲 口瘡 」 で は な いか と 心 配 して い る褥 婦 が い た 。 褥 婦 の 身 体 に 関 す る心 配 事 の 内 容別 件 数 は,図 2の とお りで あ る。 褥 婦 の 身 体 に関 す る心 配 事 につ い て細 か くみ る と,「乳 房 管 理 」に関 す る もの は,1回 目訪 問 で は, 強 い乳 房 の 緊 満 は い つ まで持 続 す る の か,入 院 中 と比 較 して 乳 房 の 緊 満 が 弱 くな っ た な ど4項 目, 2回 目訪 問 で は,強 い乳 房 の緊 満 へ の 対 応 が わ か らな い な ど3項 目 に わ た っ て いた 。 出産 後2∼3 日目の 乳 房 の 緊 満 が 最 も よい状 態 で あ る と考 えて い た り,母 乳 分 泌 が 良 好 で授 乳後 に乳 房 の 熱 感 が あ る こ とで 乳 腺 炎 に な る の で は な い か と心 配 して い る褥 婦 が い た 。 「身 体 の不 快 症 状 」 に関 す る もの は,1回 目訪 問 で は,色 や 量 は 正 常 で あ るか とい う悪 露 の 変化, 縫 合 部 痛 は い つ まで 持 続 す る の か,疲 労 感 な ど9 項 目 に,2回 目訪 問 で は,1名 ず つ5項 目に わ た って い た。 退 院 後,2∼3日 は入 院 中 よ り も動 く た め 悪 露 は一 時 的 に 増 量 しが ち で あ るが,そ れ を 異 常 で は な い か と と ら えて い る褥 婦 が 多 か っ た。 「生 活 につ い て 」 に 関 して は,1回 目訪 問 で は, どの よ う な食 事 が母 乳 に よ い か,な ぜ 産 褥1か 月 間 は 入 浴 で きな い の か と い う2項 目,2回 目訪 問 で は,ど の よ うに健 診 を受 け た ら よい か,外 出 は い つ ご ろか ら どの程 度 可 能 なの か とい う外 出時 の 注 意 な ど3項 目に わ た って い た。 3。実 母 の 援 助 態 度 別 心 配 事 実 母 の 援 助 態 度 は3タ イ プ に分 類 で き,「見 守 る タ イ プ 」12名,「 まか せ る タ イ プ 」4名,「 もめ る タ イ プ 」4名 で あ っ た。 実 母 の 援 助 態 度 別 に,実 母 の 孫 の 育児 経 験 の有 無,褥 婦 の 実 母 の助 言へ の 態 度 ・育児 書 の と らえ 方 をみ た(表1)。 実 母 に孫 の 育 児 経験 が あ っ た の は,す べ て 「見 守 る タ イ プ 」で あ っ た。 「見 守 るタ イ プ 」12名 中11名 の褥 婦 が 実 母 の 助 言 に満 足 して い た が,「 まか せ る タ イ プ 」 「もめ るタ イ プ 」 で は 1名 しか 満 足 して い な か っ た。ま た,「見 守 るタ イ プ 」 で は8割 以 上 の褥 婦 が 育 児 書 を参 考程 度 と と らえ て い たが,「 まか せ る タ イ プ 」「もめ る タ イプ 」 で は 半 数 以 上 が 育 児 書 に 忠 実 に 従 お う と して

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産褥1か 月間 の褥 婦 の心 配 事 と,実 母 の援 助 との関係 表1実 母 の援 助別 態度別実 母 の育児経 験 と褥婦 の態度 い た。 実 母 の 援 助 態 度 別 に心 配事 の件 数 をみ る と,「見 守 るタ イ プ」で は1人 平 均9.8件(最 多15件,最 少 3件),「 まかせ るタ イ プ 」で は1人 平 均11.8件(最 多15件,最 少8件),「 もめ る タ イプ 」 で は1人 平 均13.8件(最 多19件,最 少8件)と,「 もめ る タ イ プ 」 に 多 く「見 守 るタ イ プ 」 に少 な い傾 向 が み ら れ た 。 丹 羽 らは「実 質 的 に相 談 で き る相 手 が い るか ど う か と い う こ と が 不 安 解 消 の 重 要 な 要 素 で あ る」5)と述 べ て い る。 「見 守 る タ イプ 」 の 実 母 は, 褥 婦 に と って 実 質 的 な相 談 相 手 とな って いた 。 そ して褥 婦 は1人 平 均9.8件 の 心 配 事 が あ る に もか かわ らず,「 育 児 とは この よ うな もの だ ろ う」と と らえて お り,実 母 の 援 助 で 心 配 事 を解 消 で き て い た よ うで あ る。 「まか せ る タ イプ 」 「もめ る タ イプ 」の 実 母 を もつ 褥 婦 は,育 児 書 に忠 実 に従 お う して い る もの が 多 か っ た。 その ため 経 験 に裏 打 ち され て い な い実 母 の 知 識 を信 用 で きず,実 母 の 自信 の な い 助 言 や「昔 は この よ う に して い た」 とい う助 言 に は満 足 して いな か った 。 深 澤 らが「知 識 の みが 不 安 を軽 減 さ せ る こ と には な らな い」6)と述 べ た よ う に,「ま か せ る タイ プ 」 「もめ る タ イプ 」の 実 母 で は,褥 婦 の 心 配 事 の 解 消 に は つ な が って い な か った よ うで あ る。 実母 の 育 児 に 関 す る援 助 態 度 別 に 心 配 事 をみ る と(図3),「 育 児技 術 」 が 「まかせ る タイ プ 」 で は47件 中27件(57.5%),「 もめ る タイ プ 」 で は55 件 中28件(50.9%)と 各 タ イ プ と も5割 以上 を 占 め て い た 。 「見 守 る タ イプ 」で は,他 の2つ の タ イ プ と同様 に「育 児 技術 」 が118件 中46件(39.0%) と最 も多 い が,そ の割 合 は 他 の2つ の タイ プ よ り も低 くな って い た 。次 い で 「身 体 の 異 常症 状 と対 処 方法 」が25件(21.2%)と 多 く,「 育 児 技 術 」 と 合 わ せ て6割 を 占め て い た 。 「育 児 技 術 」 と 「身 体 の 異 常症 状 と対 処 方法 」 とい う項 目以 外 は,実 母 の 育 児 に関 す る援 助 態 度 別 に 比較 して み て も同 様 の 傾 向 を示 した 。 心 配 事 の 件 数 が 多 い傾 向 に あ る 「まか せ る タ イ プ 」 「もめ る タ イプ 」 の 褥 婦 は,「 育 児 技 術 」 に関 す る心 配 事 が 多 く,「身 体 の異 常症 状 と対 処 方法 」 に関 す る心 配 事 が 少 な い 傾 向 にあ り,孫 の 育 児 経 験 の な い実 母 の 助 言 を受 け入 れ られ ず,実 母 も育 児 に関 して は どの よ うに援 助 した らよ いか 褥 婦 と と もに悩 ん で い た 。 また 表2に 示 す よ う に,8事 図3実 母 の育 児に関 す る援助 態度 別心配 事 日本助 産 学会 誌 第6巻 第1号(1992) 35

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産 褥1か 月間 の褥 婦 の 心配 事 と,実 母 の援 助 との 関係 表2実 母 の援 助態 度別 栄養 方法 と心配 事 例 中7事 例 に授 乳 に関 す る心 配 事 が あ り,混 合 栄 養 で指 導 の 必 要 な 事例 は もち ろ ん,母 乳栄 養 で 問 題 が な い と考 え られ る事 例 で も自分 の判 断 に 自信 を もっ て い な か った 。 藤 田 は 「現 代 の女 性 は妊 娠 も出産 も育 児 も文 化 的 で モ ダ ンな もの とい う イ メー ジ を持 っ て い る。 現 実 に は もっ と厳 し く,も っ と雑 然 と して お り, 描 い た 現 実 と は 大 き な ギ ャ ッ プ が あ る の で あ る」7)と述 べ て い る。 ま た,若 松 らは,「 一 世 代 前 の 育 児 経 験 や 知 識 で は,理 想 的 な褥 婦 や 新 生 児 の 生 活 環 境 を整 え る に は不 充 分 で あ る」8)と述 べ て い る。 この こ とよ り,孫 の 育 児経 験 の な い実 母 が 「まかせ るタ イプ 」 「もめ るタ イ プ 」 の 事例 で は, 褥 婦 も実 母 も 「こ ん な は ず で は な か っ た」 とい う 思 い と,自 分 が ど う対 応 した ら よ いか とい う心 配 事 が 多 い た め,新 生 児 の 身 体 を観 察 す る余 裕 を も て ず に 生 活 して い る様 子 が うか が え る。 心 配事 の 件 数 が 少 な い傾 向 に あ る 「見 守 る タ イ プ 」12例 中9事 例 の褥 婦 は,「 育 児 技 術 」だ けで な く殿 部 発 赤 ・中 毒疹 ・臍 出血 な どの「身 体 の 異 常 症 状 と対 処 方法 」に関 す る心 配事 が 多 くみ られ た。 ま た こ の9事 例 は,母 乳 栄 養 で も混 合 栄 養 で も授 乳 に関 す る心 配 事 は な く,褥 婦 は 自分 で判 断 し授 乳 を行 っ て い た。 こ の9事 例 中1事 例 の褥 婦 は依 存 性 が 高 く,実 母 の助 言 を受 け入 れ て い た。 他 の 8事 例 の 褥 婦 は 育児 書 を参 考程 度 と と らえ,自 分 な りの 考 え を もっ て い た が,実 母 の 孫 の 育 児 経 験 の 有 無 にか か わ らず 実母 の 助 言 を抵 抗 な く受 け 入 れ て い た。 そ して9事 例 す べ て の 実 母 は褥 婦 の 身 体 面 へ の 配 慮 が み られ た。 こ の こ と よ り,実 母 が 「見 守 る タ イプ 」の 事 例 で は,心 配事 に 自分 で 対 応 で き,新 生 児 の 身 体 の 観 察 を す る 余 裕 が うか が え る。 しか し,心 配 事 の 件 数 が 多 い 「見 守 るタ イプ 」 の3事 例 で は,実 母 は 育 児 に関 して適 切 な援 助 を 行 っ て い た が,褥 婦 は 育 児 書 に忠 実 に従 お う と し て 専 門 家 の確 認 を希 望 して お り,孫 の 育 児 経 験 の な い実 母 の 助 言 に は満 足 して い なか っ た。 ま た3 事 例 と も母 乳栄 養 で 問 題 が な い と考 え られ たが 授 乳 に関 す る心 配 事 が あ り,哺 乳量 が わ か らな いた め に母 乳 が 足 りて い るか 自分 の判 断 に 自信 を も っ て い な か っ た。 東 ら は,「現 在 持 って い る不 安 の解 決 法 で は,「身 近 な 人 に相 談 して い る」 「そ の ま まに して い る」が 多 か った が,安 心 で き る方法 と して は 「病 院 を受 診 す る」 「入 院 中 に か か わ っ た ス タ ッフ に相 談 す る」 「電 話 相 談 を利 用 す る」が 多 い」9)と報 告 して い る。 また 岡 本 ら は,「1か 月 まで の 育 児 不 安 の 内 容 は,「 母 乳 不 足 」 や 「便 の こ と」 「順調 に育 って い る か」 等,専 門 家 の ア ドバ イ ス が 必 要 と思 わ れ る項 目 が上 位 を 占め て い る」10)と述 べ て い る。 東 ら,岡 本 らの 文献 引 用 同 様,本 調 査 の 結果 で も褥 婦 の 心 配 事 を 解 消 す るた め に は,実 母 だ け で な く 専 門 家 の 助 言 が 必 要 で あ る と考 え られ る。 褥 婦 の 心 配 事 の 出現 に は,実 母 の 育 児 に関 す る 援 助 態 度 だ け で な く,褥 婦 の 実 母 の 助 言 へ の 態 度 や,育 児 書 の と らえ 方,育 児 経 験 な ど,他 の 要 素 の 影響 も考 え られ た。 退 院後 実 母 の 援 助 を 受 け て いて も,初 産 婦 は さ まざ まな 心 配 事 を もっ て お り,そ れ が 解 消 され な い場 合 も多 い こ とが わ か っ た 。 そ こで 退 院 後 の 援 助 者 が 実 母 で あ る場 合 の 褥 婦 に対 して 保健 指 導 を行 う場 合 には,以 下 の 点 に考 慮 す る必 要 が あ ろ う。 1.入 院 中 に 褥 婦 と実 母 の 両 者 に,退 院 後 の 生 活 を イ メ ー ジ し,お 互 い の 役割 期 待 を知 っ て役 割 調 整 が で き る よ う な話 し合 い の機 会 をつ くる。 指 導 者 は 退 院 後 に 予 測 され る 問題 点 を把 握 し,必 要 な 保健 指 導 を行 う。 2.退 院 後 は 実母 の援 助 態 度 と褥 婦 との 親 子 関 係 につ い て把 握 し,対 象 に応 じ必 要 な と きに必 要 な保 健 指 導 を行 う。 IV結 論 褥 婦 の 援 助 者 と して 最 も多 い 実母 に焦 点 を 当て て,育 児 に関 す る援 助 態 度 と褥 婦 の 心 配 事 を分 析

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産褥1か 月 間の褥 婦 の心 配 事 と,実 母 の 援助 との 関係 した結 果,次 の こ とが 明 らか に な っ た 。 1.褥 婦20名 の 心 配 事 の 件 数 は,新 生 児 に関 す る もの が最 多 で76%を 占め て お り,そ の な か で も 育 児技 術 に 関 す る もの が 多 か っ た。 2.実 母 の援 助 態 度 は,「 見 守 る タ イプ 」 「まか せ る タイ プ」「も め るタ イ プ 」の3タ イ プ が み られ た が,こ の タ イプ に よ っ て心 配 事 の 内 容 や そ の 解 決 方法 に違 いが あ っ た。 しか し,心 配 事 の 出 現 には,実 母 の 育 児 に 関 す る援 助 態 度 だ け で な く,褥 婦 の 実 母 の 助 言 へ の態 度 や,育 児 書 の と ら え方,育 児 経 験 な ど他 の 要 因 の影 響 も考 え ら れ た。 謝 辞 本 研究 にあ たって,訪 問調 査 にご協力 いただ けた お母様 方,ご 協 力 いただ いた都 内民間病 院褥 室 ・分 娩 室の ス タッフの皆様,ご 助 言 いただ いた地 域 で母 子 保健活 動 をされて い る開業 助産婦 「おや ハ ウス」 代表 の桐 島美千 子氏 に心か ら感謝 いた します。 この 内 容 の 一 部 は,第6回 日本 助 産 学 会 学 術 集 会 に お い て 発 表 した もの で あ る。 引 用 文 献 1) 厚 生 省 大 臣 官 房 統 計 情 報 部 編: 平 成 元 年 人 口動 態 統 計 中 巻, 114-115, 1990。 2) 福 井 典 子: 産 後 の 生 活 調 査 か ら み た 産 褥 保 健 指 導 の あ り方, 助 産 婦 雑 誌, 13(7), 26, 1980。 3) 佐 々 木 英 子, 清 水 凡 生: 乳 児 を もつ 母 親 の 育 児 不 安 に つ い て, 小 児 保 健 研 究, 45(3), 291, 1986。 4) 福 井 典 子: 前 掲 書, 27。 5) 丹 羽 洋 子, 高 野 陽 他: 産 後 に お け る母 親 の 不 安 に つ い て(第 二 報)― 育 児 に 関 す る 問 題 ―, 母 性 衛 生, 31(4), 586, 1990。 6) 深 澤 睦, 宮 原 守 子, 他: 産 後1か 月 に お け る 育 児 サ ポ ー トの 実 際, 母 性 衛 生, 31(4), 621, 1990。 7) 藤 田 八 千 代: 助 産 婦 の 活 動 に 期 待 す る ― 助 産 婦 を め ざ す あ た な へ ―, 助 産 婦 雑 誌, 41(4), 41, 1987。 8) 若 松 友 子, 鈴 井 江 三 子, 他: 産 褥 期 の 家 庭 訪 問 に お け る一 考 察, 母 性 衛 生, 29(2), 214, 1988。 9) 東 真 由 美, 守 谷 和 子, 他: 施 設 分 娩 に お け る継 続 看 護 の 充 実 を め ざ して 一 退 院 後 ア ン ケ ー ト調 査 を 実 施 し て の― 考 察 ―, 母 性 衛 生, 29(4), 473, 1988。 10) 岡 本 喜 代 子, 長 濱 博 子, 他: 新 生 児 訪 問 指 導 に 関 す る 調 査, ペ リネ イ タ ル ケ ア, 10(7), 52, 1991。 日本助 産 学 会誌 第6巻 第1号(1992) 37

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