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ノコギリガザミの鉗脚重の雌雄差について

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Academic year: 2021

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9 C A N C ER 9 (2000), p . 9 -12

ノコギリガザミの紺脚重の雌雄差について *

結果と考察 まずノコ ギリ ガザミにとっての紺脚の重要性に つい てみてみる .研究に供 したノ コギ リガザミ は, 雄 で は 甲 幅101. 4 - 146.8mrn, 雌 で は108. 3 -159 .2mmとほぼ成熟した個体であ った. ( 棚 )

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90 藤 一般的にカニ類は,成長に伴って雄では紺脚が, 雌では腹節が発達す ることが知ら れており ,雄 は 紺脚 を発達さ せ ること で,雌 を確保する時雄 同士 の闘争で有利 とな り,雌は腹節を 発達さ せ ること で よ り多くの卵 を抱 くこと ができる よう になる と 考えられる . 摂餌に よって得られたエネル ギーを 雄は紺脚 の発達に ,雌 は卵生産により多く 配分し ているためと考えられる . しかしながら甲 幅 に対 して錯脚長あるいは腹節幅が発達することはよく 知 られているものの,鉛脚重の増大については あ まり報告がない ように思われる . また , カニの漁 業を考えた場合,錯脚 の有無で価格という面で評 価 が大きく異なると言わ れる. 浜名 湖でのノコギ リガザミの繁殖生態を 研究していた中で,紺脚重 を測定する機会があったので,主

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脚重の雌雄差に ついて報告したい . なお ,本稿ではノコギリガ ザ ミの学名はScylla serrataを用いたが, ノコギリガザミは分類学上 数種とする説があり (E stam pado r.1949: F'useya and W atanabe. 1996), そ れ に 従 う と 本 種 は S. tranquebaricaに同定され る. 帯 T ,aE , 30 h a ・ 企 a ・ ぽ

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ド 20 15 100 材料 と方法 19 9 4 - 1995年に浜名漁協白 洲支所に 水揚げさ れ たノコギ リガザミを買い取り ,雄38個体,雌76個 体について甲幅(側線を含む最大甲幅) ,紺脚前節 の長さと高さお よび幅( 左右で大きい方) ,体重 と主

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脚重について 測定した . 錠

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脚重は自 切而で自 切させて紺脚部の重量を 測定した . また ,浜名 漁 協白 洲支所の 水揚 げ資料よ り1991- 1998年の銘柄 別漁獲単価 を調べた .

甲幅 (m m)

130 140 1日 主甘脚前節高および鉛脚前節 160 120 110 甲幅 とを甘脚前節長, 幅の関係

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, ・ :雌

図1

M adoka IT O: Sex dimorphism of chela w eight of Scylla serrata.

*

(2)

ノコギリガザミの鈎脚重の雌雄差について 雄の比較はできないが,雄だけでみると鉛脚前節 長が100mm前後から ,紺脚前節長に対して紺脚重 がより増大している傾向があった. 体重に占める 針tJ肉l重の割合は ,雄では鉛脚前節長が増大するに 伴 いわずかながら増えていたが,105mmを境にほ ぼ一定であ った. 一方,雌ではほとんど変化がみ られなかった. 体重と紺脚重および体重に占める紺脚重の割合 をみると( 図4 ),体重の増大に伴い 雌雄とも紺 脚重は増大していたが,明 らかに雄の方が雌 より 発達していた . 体重に 占めるを甘脚重の割合は ,雄 では体重350 9からほぼ一定であり ,雌 では体重 400 9からほぼ一定であった . 鉛脚重の割合を 雌 雄で比較すると ,雌では14 .8 - 2 5 . 9 %で,平均し て21.7 %であったが,雄では29 .0 - 4 4 .4 %で,平 均して37 .6 %と雌のほぼ2倍であ った. 雌雄を 比較すると ,雄は雌の約2 倍まで体重に 占める鮒脚重の割合を増加させること , さらには その割合が44 .4 %に達する個体もあり ,鮒胸lの発 達にかなりのエネルギーを投資していることがわ かる. このようなことから雄にとって鉛脚 の重要 10 甲幅と鉛脚前節長や鈎脚前節高および

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脚前節 幅 との関係についてみると( 図1 ),甲 幅の増大 とともに鮒脚前節長や鉛脚前節高および主

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脚前節 幅 は増大していた . そして ,雌 と比べて雄の方が 明らかに発達していた . 雄についてみると甲 幅で 120mm,甜脚前節長で、は95mm,

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脚前節高で、は43mm, 鉛脚前節幅で、は25剛前後を境に発達状況が異なっ ているようにみえる . 甲幅と紺脚重お よび体重に占める鉛脚重の割合 をみると( 図2) ,甲幅 の増大に伴い紺脚重 は増 大し ,雌よ り雄の方が よ り増大して いた. 体重に 占める鉛脚重の割合は ,雄では甲 幅の増大 に伴い わずかながら増大している傾向があるが, 甲幅 135mmを境にほぼ変わらなくな った. 一方雌 では 甲幅の増大に伴い逆に減少している傾 向がある が, 甲幅140mmを境に 一定とな って いる . 鮒脚前節長と鈎脚重および体重に占める主I t胸l重 の割合をみると( 図3 ),針

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脚前節長の増大に 伴 い雌雄とも紺脚重は増大し ,

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肉Jfitr節長が100mm 以下の場合雌雄に差はみられなか った. 鮒脚前節 長が100mmを越える 雌個体のデータがないので雌 4‘ 企 組 合 ー 晶

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20 20 10 60 10 100 130 鉛胸前節長と鉛脚重および体重に占める鉛脚重 割合との関係 企 :雄, ・ :雌 00 田 1

110 120

紺脚前節長

(m m)

70 図3 160 甲幅と鉛脚重および体重に占める鉛脚重の割合 との関係 . :雄,

. :雌

130 140 150

甲幅

(m m)

120 110 図2

(3)

300 9 ,小 甲が110 - 160 9 であ った) , ブクは脱皮 前後の甲の軟らかい個体である. そして ,紺脚が 片方脱 落していた 個体は, 体 重 300 9 以上であ っ ても中甲とされる . さらに 両方の錯脚が脱落して いた個体はブクとさ れ る場合も あ る. 1991- 1998 年の各銘柄の 1 kg当たりの漁獲金額は,平均して 大甲が5 ,364 JLJ/ kg,中 甲が3 ,345円/ kg,ブクが 1 .095円/ 切であ った (表 1 ) . 雄の場合両方の主

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脚 で体重の約4 0 % を占め ,雌 の場合は約2 0 % と紺 脚 を脱落した場合に体重や価 格の減少は雄の方が より 大き い. 例 えば

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魚、獲した 体重1 kgの雄個体の 場 合, そのままでは 5 .364 円 の大甲であるが,仮 に片方の鮒脚 を脱落させてし まった場合,片方の 鉛脚重は約200 9 なので,体重800 9 の中甲となり , 単純計算で価格は 2.676 円 となる . さらに 両方の 鉛脚 を脱 落させてし まった場合,体 重600 9 のブ クとなり ,価格 は 657 円 となる. 一方雌 の場合に は片方の紺胸lの脱 落で3 .010 円,両 方 の鉛脚 の脱 落で876円 となる . 今 回は平均価格 で試算したが, カニの単価 は時に よって大 きく異なり ,大 甲の単 価 が高いときには, 格差が生じ ,雄 の方がその差が大 きくなる . このようにみてみると ,主甘脚 はカニにと って重 要な器官であるだけではなく ,同 時に漁獲する人 間 にと っても重要であり ,雌雄によ ってその重要 性は異なると 言 える .

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体重と 鉛脚重およ び体重に占める 紺脚重の割合 との関係

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筑)() 20 10 200 図4 性が非常に高い こ とが予想される . 次に漁業という 面 からノコギリガザミの錯脚 を みてみる . 浜名漁協白洲支所では , ノコギリガザ ミの銘柄は ,現在「大甲」や「中甲」および「ブ ク」の 3 種類である . 大甲は 300 9 以上,中 甲は 15 0 - 3 0 0 9

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992年 9 月 13 日以前は 中 甲が160 -浜名漁協 白洲支所でのノコギリガザ ミの水揚げ単価 表1 1992年9 月14日以降 は銘柄「小申」はなくな ったため,数値はない. 単位は 円/ kg. プ 甲 甲 中 甲 大 銘柄 ク 最高 ) 4.800 ) 3.375 ) 3.376 ) 2. 168 ) 3、995 ) 2.820 ) 7.610 ) 1. 987 ) ( 最 低 一 169 293 -461 196 311 -170 281 -381ー 610 - 10,769 ) 1,278 ( 289一 7,557 ) 1. 153 ( 1.075 ( 1,079 ( 945 ( 992 ( 1. 302 ( 937 ( 平均 最高 ) ( 最低 一 6司061 (3,365 - 10,106 ) 4,031 ( 1可138 - 6,614 ) 2,479 ( 6,817 ( 945 - 10,000 ) 4,655 (1. 888 - 8,863 ) 1. 830 ( 6 , 386 (2,836ー 11,355 ) 3,735 ( 844 - 7,489 ) 5 , 505 ( 1, 935 - 9唱660) 3,561 ( 944ー 15,494 ) 3司814 (1 ,890 - 7,164 ) 2,578 ( 471 - 4,109 ) 4,795 (1, 278 - 8 ,170 ) 2,477 ( 9 4 6 - 4 .594 ) 5,424 (2,196 - 8,000 ) 3,553 ( 1. 278 - 6.582 ) 4,108 (1. 416 - 6,990 ) 2,172 ( 940 - 4,956 ) 平 均 最高 ) ( 最低 一 平均 最高 ) ( 最 低 一 平均 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 年 1,095 2,154 3,345 5‘364 平均

(4)

12 ノコギリガザミの鉛脚重の雌雄差について

参考文献

E stampador. F. P.. 1949. Studies on Scylla (Crωtacea. Portun idae). 1. Revision of the gen川us. T、he Phi凶11ω川lli ppir川n

lourn al of Science. 78: 95-108. plates j-3

F useya. R. and S. Watanabe. 1996. G enetic variabi lity in the m u d crab genus Scyllα (Brachyura: Portunidae) Fisheries Science. 62. 705 -709

参照

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