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オヨギピンノの生活史I

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C A N C E R 7 (1998)

p . 1 - 8

オ ヨ ギ ピ ン ノ の 生 活 史

I

松 尾 美 好 1945- 1947年の夏,有明海( 諌早湾) において オヨギピンノが大発生し群泳したことが知られて いる . 酒井恒先生と三宅貞祥先生は,謎の多いこ のカニの生態に興味をもち,その謎の解明に努力 なされたことを多くの著書で知ることができる . 酒井先生から,大群

i

永の機会があったらすぐ報告 するようにと宿題をいただいた . 十数年周期で出 現するといわれているこのカニのこと,いつ現れ るかもわからない状況であったが,先生のご依頼 に応えようと諌早湾沿岸に住む知人らにこのこと を伝え情報の収集につとめた結果, 二度ほど先生 に連絡する機会が訪れ,先生のお供をして大群泳 の様子を観察した . 以来, 50年を過ぎたがまだ十 分なデータを得るまでにいたっていない. このカニの問題点として 1 . 大発生の原因は 何か. 2 . 大発生に周期性があるか. 3 . 群泳の 目的は何か. 4. 遊泳のしくみはどうな っている か. 5 . 平素の生活状況はどうか. 6 . このカニ の生活のサイクルなどについて. などの十分な報 告はまだないので,筆者はこれまで調査した こと を,生殖. Y)J生. 形態. 群j永とそのしくみ. 平素 の生活. 研究史について報告する. この研究に使用した材料の保管については 北海 道大学大学院理学研究科生物科学専攻に寄託し た. 標本番号: 幼生と成体ZIH U -1227 -1235,資形 ZIH U -1236-1241. 1. 生殖 筆者の観察によると, 2月の中旬から 9月の中 旬まで水底での交尾が見られ る. 交尾期になるま では, 雌 ガニは雄ガニの接触を 拒絶してはねのけ

Miyoshi M ATSUO: Life history of Tritodynamia

hoγvathi N o bili (Brachy ura, Pinnotheridae) .1

るが,交尾期になると雌ガニはしきりに腹部の開 聞を繰り返しサインをおくる. 雄ガニは容易に接 触し交尾する. 交尾がすむ と雌ガニは再び腹部を 固く閉ざし雄ガニの接触をこばむようになる. 遊 泳中での交尾は見られない. 抱卵個体は3月中旬 から 6 月中旬まで見られる . ( 大谷拓也氏は 1990 年2月16 日に飼育中のカニが抱卵しているのを確 認しているので産卵期はさらに早まる. ) この よ うに交尾期や産卵期が長いこと,産卵数約3000粒 で多産であること , ゾエアの放 出後,日をおかず 再び抱卵するなど, さらに ,生息環境に恵まれる などを考慮すれば大発生との 関連が予想できる. 2 . 幼生 これまでにオヨギピンノの第1 期及び第 2 期ゾ エア幼生について大谷 ・村岡( 1990). 第 3 期 ゾ エアから稚ガニについて村岡( 1983) の報告があ る. 筆者も1989年 6 月に飼育して第 1 期ゾエアか ら稚カニまでの幼生と , さらに成体カニまでの材 料を得て確かめた結果,ゾエアの側赫後部が丸く 状部は鈍頭であることを確認した. さらに ,飼育 して得た幼生の中に過剰発達した 4 個体があ っ た. 外殻は第 5 期ゾエアの形態的特徴を残してい るものの内部には次期メガロパの形態への移行過 程にあることを伺わせる発達が見られることを下 記のとおり観察した. 第5 期過剰

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発達ゾエア( 図1 ,a ) 甲 殻 : 甲 長 1.75mm (第 5 期 ゾ エ ア の 甲 長 1. 50mm) ,背林1 .85mm,背林先端か ら額練先端ま で、の距離6.07mm,側腕長0 .25mm ,左右の側線開の 距離2.50mm. 第一触角 (灰11 ,b ) : 膨らみのある円錐形で 内部に明確な分節が見られ,先端部に11本の感覚

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毛と 1本の剛毛がある . 内肢は無節で先端に3本 の感覚毛を備えている . 第二触角( 図1,c) :赫状突起には91Wiが並ぶ, 内肢の発達は著しく赫状突起をはるかに越え,内 部には明らかな分節と感覚毛が見られる .

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大顎( 同 1 ,d ) : 左右不相称. 左の門歯状部 には鋭いI病が並び、右の門歯状部には鈍歯が並ぶ, さらに臼歯状音11 と2 節からなる内肢がある. 内肢 の先端に3 羽状剛毛がある. 第一小顎 (図 1 ,e) : 底節に 16本の羽状剛毛.

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O.lmm 図1 オヨギピンノ ( カクレガ二 科 ) の過剰発達幼生 a 第5令WJ過剰発達ゾエア側面 b 第l触角 C . 第2触角 d 大初、 e . 第 l 小顎 f . 第2 小顎 g. 第l 顎脚 h. 第2顎脚 1. 第3顎脚 J. 鉛脚及び歩脚 k. 腹 部

(3)

松 尾 美 好 3 基節に13本の刺のある 剛毛と基部に近く 4本の羽 状剛毛を備えている. 内肢は2 節からなり,

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に2本の羽状毛,末節の内縁の中間はわずかに突 出しその先端部に刺のある3 本の剛毛がある. 内 肢の外縁基部に近くと小顎外縁の基部にそれぞれ

1

本の羽状毛を備える. 第二小顎 (図1,f) : 底節は2葉で縁に9

+

1, 4 の羽状剛毛,基節は 2 葉で 8 ,13の羽状剛毛を 備える. 内肢には枝葉を生じ,それぞれ先端に2 本の羽状剛毛をそなえる. 顎舟葉の縁に40本の羽 状毛が並ぶ. 第一顎脚 (図 1 ,g ) : 第5 期ゾエアの外殻が 残り,この中に次期]の組織が発達し副肢も現れ る. },氏節と基節の分節は不明i民 基節の先端部 に2本の羽状毛を備える. 外肢の先端に12本の羽 状遊泳毛を備える . 内肢の分節は明らかでないが, 各節が予想できる位置での毛式は

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1

である. 第二顎胸1 (同1,h ) : 第5則ゾエアの外殻が 残り , この中に次期の組織が発達している. 基節 に2羽状毛がある . 外肢の先端に12本の羽状遊泳 毛を備える . 内肢の側縁に1本,先端に3本の剛 毛がある. 内部に次期組織の5節か らなる内肢が 発達している. 胸脚 (図1,i, j ) : 第一胸脚は原基状の第 三顎脚として副肢 ・外股 ・内肢か らなる . 副肢に は20本の長毛がある . 外肢の原基は小指状. 内肢 は原基状で節部位がわずかにくびれていて7本の 羽状剛毛がある. 第二胸脚は発達し甜脚として分節も明らかとなる. 第三 第六胸脚は歩脚として分節も明らかで,第 五胸脚指節の前縁に4簡が並ぶ. 第六胸脚の指節 の先端に3 本の感覚毛を備えている. 腹部 (図1,k ) : 6腹節と尾節からなり,第 一腹節の背面に8 本の剛毛が腹節に沿 って並ぶ, 第二,第三腹節に各1 対の側縁林がある . 各節の 後側縁腕は短い, 2 - 6 の腹節の! 阪商には内肢の 原基が現れた腹肢があり,先端 にそれぞれ13 , 13, 14, 10, 6の羽状毛を備えている. 尾節後 縁の羽状毛は前期より減少し 3本を残すのみで ある.

3.

形態 オヨギピンノの成体の形態について, Dr. G Nobili (1905) はI,

t

l, 紺脚,第三顎脚, 大顎, 腹部,第 二 歩l肉lな どを図示し記述している. Chia-Ju i Shen (1932) は背面,紺脚,正面,腹部, 雄の第 一腹肢図を , さらにShen (1935) は第 三 顎脚を図示し記述している . 酒井( 1933,1936, 1939, 1976, 1981),上回( 1941),三宅( 1976, 1983)は背而図,第三顎脚の図と記述をしている. 筆者は,このカニの遊泳の働きになにが関わる のかを知るためにすべての付属肢を詳細に観察 し,特に遊泳にかかわるとされている歩脚を入念 に図示し記述した. 第一触角 (同2 ,b ) : 3 節からなる柄部とそ の先端に外鞭と内鞭がある. 外鞭は9節からなり 各節に5 - 8の感覚毛,計44本を備える . 内鞭 は 3 節からなり中間の節に 2 本の剛毛と末節には先 端に6 本,側縁に 8 本の剛毛がある. 第二触角 (図2 ,c ) 節に3羽状毛と 11削毛,そして各節に2 - 5本の 剛毛,末節に7本の感覚毛を備えている. 大顎( 図2 ,d) : 内肢は 2 節からなり,末節 には短毛が並ぶ. 第一小顎 (図2,e ) : 底節は三角形. 基節は こぶし状でどちらも周縁には短い羽状毛が密に生 えている. 内肢は2 節よりなり先端に数本の短い 羽状毛を生じている. 第二小顎( 岡

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,f) : 底節の周縁には羽状毛 が密に並ぶ. 基節は2 葉で周縁に剛毛が並ぶ. 内 肢は先のとが った三角状. 顎舟葉の周縁には規則 ただしく短毛が並ぶ. 第一顎胸1 (図 2 ,g ) : 底節 ・基節はだ円形で 一面に多くの剛毛がある . 内肢は無節の槌状で周 縁に剛毛が並び,さらに面には刺状の毛が散在す る. 外肢 は2節からなり ,基節 の先端に4本の羽 状毛があり ,末節の先端に2 本の羽状毛と 3 本の 長毛がある. 副肢は長い三角形で多くの長毛を備 えている. 第二顎脚 (同2,h ) : 内肢の 基節は小さく l 本の剛毛,座節の縁には数本の羽状毛と剛毛,長 節の内縁には剛毛が密に 外縁に3 本の剛毛が並 ぶ. 腕節の先端部に4本の剛毛がある . 前節 と指

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図2 オヨギピ ンノ (カクレガニ科) の形態 a オヨ ギピンノ 背面 図 d. 大宮

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e 第1小顎 h. 第2

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脚 1 . 雌 の腹部 1 . 第3顎脚 b. 第 l 触角 f 第2小顎 j 鈴I脚 c 第2触角 g . 第1 顎脚 k. 雄の腹部

(5)

松 尾 美 好

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図3 オヨギピンノ( カクレガニ科 ) の形態 m - p. 第1ー第4歩脚 Q. 雄 の 第1J)皇肢 r - u 雌 の第l一第4腹肢

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節には需に剛毛を備え,折節は前節の基部近くか ら出ている. 外肢は2節からなり,基節の周縁に 剛毛が並び,先端に3本の羽状毛がある . 末節の 先端に5 本の羽 状毛を 備えている. 副肢は細長く 周縁に長毛を列生する. 第三 顎脚 (同2,i) :内 肢 の 時 節 と 長 節 の 前 縁に羽状毛が整然と並び,面と後縁にも羽状毛が ある. 前節の周りには羽状毛が数本ある. 腕節に は周縁に 羽 状毛 の 列 と 先 端 部 に 長 い 羽 状 毛 が あ る,指節は前節の基部近くからでて ,周縁から先 端に前節の長さを越す30本の長い羽状毛を備えて いる . 外肢は細長く 2節からなり,基節の外縁に 密に短い羽状毛が並ぶ. 末節の先端部には8本の 羽 状毛を備えている. 腹部( 図 2 ,k , 1 ) : 雄の腹部は 5 腹節と尾節, 雌 の腹部は6 腹節と尾節からなり,周縁に短い羽 状毛が密に並ぶ. 雄の第一腹肢( 同3,q ) の先 端は鈍頭で基部から羽状毛が密に生じている . 雌 の腹肢( 図3,r - u ) は第二腹節から第五腹節 に各一対あり,内肢 ・外肢からなる. I付肢 は長く り状に曲がり長い毛を備え抱卵肢となる . 外肢 は 短棒状で周 囲 に羽状毛が整然と並ぶ. 歩脚( 図3,m - p ) :歩 脚 は 第 二歩 脚 が最も 大きく,第三 ・第一 ・第四歩脚の順に小さく,こ れらの各節は幅広く偏平にな っている . 第一歩脚の長節に十数本の羽状毛があり,後縁は 鋸状歯に縁どられ20数本の短い毛がある . 腕節の 背面に後縁に沿って長い羽状毛が列生する . 前節 の背面 に斜めに立つ羽状 毛が前縁に平行に密に並 び,後縁にも 羽 状毛が密に列生する . 指節の先端 は鋭く尖り,前節と同様の羽状毛の列が見られる. 第二歩脚 の長節に50数本の羽状毛が並ぶ,後縁は 鋭い鋸歯が縁ど っていて20数本の羽状毛が並ぶ. 腕節の後縁に平行に羽状毛が並ぶ. 前節と指節の 羽状毛のつき方は第一歩脚と 同様で、,密に並ぶ. 第三歩!陶 の長節の前縁に80数本,後縁に40数本の 羽状毛が列生する. 腕節の前縁と後縁に70数本の 長い羽状毛が需に列生している. 前節と指節にも

l

様に長い羽状毛が列生する. 第四歩脚 の羽状毛のつき方は第三歩胸! と同様で、あ る.

4.

成長と奇形 オヨギピンノの幼生の発達については,飼育に よるゾエア幼生から 5期カニまでの成長について 調査した報持,大谷 (1996) がある. 筆 者 も1989年6月18日に抱卵期のオヨギピンノ を飼育した結果,卵が緋化しその成長を確かめる ことができたので記述する. 成長の過程で8期カニの中に,左右の甜脚の奇 形を有する ♀ 1 個体があったので図示して記述す る こ ととした. 日本産カニ類の奇形については, モクズ、ガニの歩脚の過剰指及び腹部の萎縮奇形に ついて宮下( 1935), ズ ワ イ ガ ニ の 甜脚 の過剰 指 について伊藤( 1960) 鈴木 ・小田 原 (1971 ) 酒井 (1980) ,ベニズワイガニの鉛脚の過剰指について 本 尾 洋 (1971 ), ヤ マ ト オ サ ガ ニ の 紺脚 の過剰指 について鈴木( 1963),ケガニの鉛脚の過剰指に ついて鈴木・小田原 (1971),サワガニの歩脚の 過剰指について 一寸 木 (1977),の報告とイソガ ニの双頭の奇形について,およびタカアシガニの 額料の数の変化 についてj向井( 1980) の記述があ る. なかでも釦脚の過剰指の奇形について報告が 多い. しかし,その奇形の推移について追跡した 報告は見られない. 筆者は奇形のカニを飼育し, その推移を確かめたので報告する . 成長と発達 ゾエア: 令期は5期で各期は6 ::!: 1日,甲 長は 0 .5, 0.57, 1.15, 1. 35, 1. 50酬に成長する . メガロパ: 甲長2.05mm,甲幅1.75mmになる. メ ガロパ期は7 ::!: 2日. 第 1 期 の稚ガニ: 成長期間には個体差が見られ る. 1期 の稚ガニは7 ::!: 1日を経過すると脱皮し て2期稚ガニとなる. 成長するにともない脱皮期 が遅くなり,各期の期間が長くなる . 甲長 甲幅 1野

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稚ガニ 1. 78::!:0 .1 6mm, 2.4 1 ::!:0 .14mm. 左右の釦脚可動指に2台形歯が見られる . 2期稚ガニ 2.27士0 .16mm,3.00::!:0.38mm. 3期稚ガニ 3.24::!:0. 13mm, 4.85::!:0.09mm.

(7)

松 尾 美 好 7 4 W J カニ 3 .78士0 .20mm,5 .40::!::O .27mm. 第二次性徴が見られる . 5 WJ カニ 4. 28::!::O.62mm, 6.23土O.29mm. 6 WJ カニ 4.72::!::O.4 1mm, 7. 51 ::!::O.24mm. 7期 カ ニ 5.35士0 .26mm,8.21 ::!::0 .36mm. 8期 カ ニ 6 .04士0 .23mm,9.44士0 .28mm. 左右の紺脚可動指の台形歯数が

1

歯となる. 9期 カニ 6 .25mm, 10期 カニ 7.00mm, 12期 カニ 7 .80mm, 13期 カニ 8 .00mm, 紺脚 の奇形について (1 ) 奇形の形態 10.75mm. 11 .50mm. 12.90mm. 13.30mm. 左 鍬脚( 図4,a ) : 可動指は2.5mmの長さで不 動となりま っすぐに前方に突出し,不動指は長さ 2.0mm,可動指の基部に直角に折れ 曲がっている.

.

長 節 ・腕節 ・掌部の分節は見極められなし、ほど乱 れ関節の機能を完全に失っている . 可動指 ・不 動 指の区別がかろうじてできるが捕 食の機能を失っ ている. その表面には羽状毛が密に生えている ,

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O .1 m m 掌部とおもえる外縁部の中間に数個 の頼粒が見ら れる . 右 紺脚 (図4,b ) : 捕食は可能であったが, 底 節 ・基節 ・!長節 ・長節 ・腕節の形状と関節は正 常ではなく,各節には羽状毛がぎ っ しりと生じ, 正 常 な 紺脚 に比してとても多い. さらに,長節と 腕節との関節も固定化 している . (2 )奇形の推移 8期カニ …1992年8月9日 左 右 鉛脚 の奇形1 個 体の雌 を確認,形状は前記のとおり . 9期 カニ …8月23日に脱皮した . 左 甜脚 は脱離 節 か ら完全に消失し ,新 し い 甜脚 を欠く . 奇 形紺 脚 の組織の中では正常な新しい組織の形成は不可 能であったものと考えられる. 脱離節部位に袋状の再生芽が見られる. 右 の 紺脚 は正常な形態に復した . 10 WJカニ …9月28日に脱皮した . 左鉛脚の再生 芽は前記のほほ2倍になる . イ木H民W Jにはいる ,10月5日. 11期 カニ …1993年6月13日脱皮して左鍬胸lは正 常に復した . 図4 オヨギピンノ (カクレガニ科) の奇形 a. 左鮒腕lの奇形 b. 右

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脚の奇形

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(3)

奇形発生の原因につ いて考察 完全な胸脚に対して強い刺激を受けると胸胸!は 脱離 してしまうであろう ,ま た甲殻だけの浅い損 傷 で は 補 修 的 に 殻 の 再 生 が な さ れ る も の と 考 え る. これまでに報告されている鉛脚の奇形は,過剰 指の例が多く,奇形であ っても 鉛脚の機能は失わ れていない. これは指節が深く内部組織まで損傷 を受けた場合,刺激された組織が過剰指再生へと 分化 したものであろう . ま た再生芽の時期に釦脚 として分化 されるべき非分化 の細胞集団が偶発的 原因によって損傷を受け,過剰指形成へと分化 し たものと考えられる . この度のオヨギピンノの左紺脚の奇形は基節か ら可動指および不動指に至るまでどの部位かも 判 別しない状態で, しかも完全に関節の機能を消失 し鮒脚の働きは不能である. しかも. う多数の羽状毛など異常というほかない. こ の 寄 形 発 生 の 原 闘 に つ き 次 の よ う に 考 察 す る. 紺脚 が 脱 離 し て 再 生 芽 を 生 じ た 後 に 物 理的 ( J 長迫) による損傷を受け, そのまま再生芽の中 で異常な組織が形成されたものと考察する . 奇形に関する引用文献 伊藤勝千代. 1956. ズワイガニの第 2 歩脚指節の奇形. 採集と飼育. 18(11). 伊藤勝千代. 1960. 再び山陰沖か ら採捕されたズワイ ガニの奇形. 採集と飼育. 22 (4). 一 寸 木 曜 . 1977. サ ワ ガ ニ Geothelthllsa deh印 刷 (W h i tc) の歩脚 にあらわれた奇形について の研究. 8: 51-53. 酒 井 恒 . 1980. r蟹」その生態の神泌 p.35. 鈴 木 博 ・小田原利光. 1971. 2 種のカニの鈎脚にあ らわれた寄形について. 甲殻類の研究 4 . 5 ・191 195 鈴 木 博 . 1963 ヤ マ ト オ サ ガ ニ Macrothlhal叫 附 jatonicus de H aanの鈎脚にあらわれた奇形について. 甲殻類の研究 1 : 51-53. 宮下義信. 1935.モクズガニの奇形. 植物及動物 3(1) : 146. 本 尾 洋. 1971 . ベニズワイガニ 左鉛脚の奇形 2 例. 甲殺類の研究 4.5:184-187. (以下次分に続く )

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