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2009 年度修士論文 会合性置換基を有するポルフィリン亜鉛錯体の 色素増感太陽電池における多層膜効果 Effect of multilayer films by association of zinc porphyrin complexes in dye-sensitized solar cell

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2009年度 修士論文

会合性置換基を有するポルフィリン亜鉛錯体の

色素増感太陽電池における多層膜効果

Effect of multilayer films by association of zinc porphyrin complexes in

dye-sensitized solar cell.

高知工科大学大学院工学研究科基盤工学専攻

物質・環境システム工学コース

(2)

2

目次

1)序論

3p

2)実験

2-1 試薬及び材料 5p

2-2 合成 6p

2-3 色素の吸着 8p

2-4 測定 9p

3)結果及び考察

3-1 イオン性ポルフィリン亜鉛錯体を吸着させた色素増感太陽電池の特性

10p

3-2 会合性置換基を有する亜鉛錯体を吸着させた色素増感太陽電池の特性

16p

4)結論

23p

参考文献

24p

謝辞

25p

(3)

3

1) 序論

現在、枯渇してしまう危険性のあるエネルギー資源に替えて、太陽エネルギーなどの 脱化石資源でのエネルギー資源の開発、実用化が急がれている。その中でも太陽電池は クリーンエネルギー源として注目されており、需要が急増している。シリコン太陽電池 では供給面やコスト面に問題があるため、製造プロセスが容易で低コストである色素増 感太陽電池が期待されている。 Fig.1 色素増感太陽電池の構造と動作原理 Fig.1 に色素増感太陽電池の構造と動作原理を示す。色素増感太陽電池の構造は大きく 分けて酸化チタン電極、白金膜電極、電解質溶液、色素増感剤で構成されている。色素 増感太陽電池の動作原理は、始めに色素が光エネルギーを吸収して励起状態となり、エ ネルギー準位の差が酸化チタンより高いため、酸化チタンに電子を放出する。酸化チタ ンはその電子を受けて電極へと引き渡す。色素に残ったホールはヨウ素イオンを酸化し、 I- を I 3- へと変える。このI3-は対極で再び電子を受けて還元される。このようなサイ クルが繰り返されることによって電池となる。 色素増感太陽電池は色素間で電子が流れにくいため単層膜が主流になっている。しか しポルフィリン色素で多分子層化させると効率が上昇するのではないかと考えた。 1. 酸化チタン電極 2. 白金電極 3. 電解質溶液 4. 色素増感剤

(4)

4

アニオン性とカチオン性の色素を交互に吸着させ、色素の吸着量を増やし多層化して いくことで光電流にどのような効果を及ぼすか、会合性を示すN-oxide基をもつポルフ ィリンを合成し、それを用いれば色素がより積層すると考え、その色素を用いた色素増 感太陽電池の光電流特性を検討したものを報告する。

(5)

5

2)実験

2-1 試薬及び材料

色素増感太陽電池の製作で用いた試薬は、チタン酸テトライソプロピル(モノマー)、 硝酸、ヘキサクロロ白金(Ⅳ)酸Ⅵ水和物、ヨウ素、ヨウ化リチウム、アセトニトリル はnacalaitesque で購入し、ポリエチレングリコールはSIGMA で購入し、導電性ガラス 板はピルキントン製のものを使用した。 合成で使用した5,10,15,20-tetra-(4-pyridyl)porphyrinは和光純薬工業株式会社の ものを使用した。 本研究で使用した色素増感剤である

zinc tetra(4-sulfonatophenyl)porphyrin

(ZnTPPS)とzinc tetra(N-methyl-4-pyridinium)porphyrin (ZnTMPyP)

は本研究 室卒業生である竹森資記氏によって合成されたものを使用した。

(6)

6

2-2 合成

酸化チタンの合成 参考文献(1) 純水100mlに硝酸0.85mlを加え、この溶液に攪拌を行いながらチタン酸イ ソプロピル20mlをなるべく粒子が細かくなるように時間をかけ、慎重に滴下した。 全量を加え終わったら95℃で8時間還流を行う。この時、水とイソプロピルアルコー ルを蒸発させ、この溶液の全量を8時間で三分の一になるように調節する。 この溶液をオートクレーブに入れ、電気炉にて220℃で14時間の熱処理を行った。 これは酸化チタンの結晶構造をルチル型からアナターゼ型に変えるために行う。 熱処理後、この溶液を室温まで冷まし、ポリエチレングリコールを2.18g加え4時 間攪拌を行った。Fig.2に実験装置を示す。 Fig.2 酸化チタン合成での実験装置

(7)

7

5,10,15,20-tetrakis-(1-oxide-4-pyridyl)porphyrin(TOPyP)の合成 参考文献(2) TPyP を N-oxide 化した。5,10,15,20-tetra-(4-pyridyl)porphyrin (TPyP)0.35g (5.66×10-4mol)を dichloromethane : methanol 6:1 の混合溶媒 175ml に溶かし、

3-chloroperoxybenzoic acid 3.0g (1.74×10-2mol)を加え 3 時間撹拌する。その後、

triethylamine 20ml (0.143ml)を加えさらに 30 分撹拌した。エバポレートをして溶媒 を除去し methanol、aceton、水の順番で洗い、シャーレに移し 1 日乾燥させた。さら にこれを水:TFA(トリフルオロ酢酸)10:1 で溶かし、ろ過をして 3-chloroperoxy benzoic acid を取り除いた。濾液に等量の NaOH を加え中和し、ガラスフィルター付漏斗で自然 ろ過の後、水洗いして乾燥させた。収率は 73%。

5,10,15,20-tetrakis-(1-oxide-4- pyridyl)zinc porphyrin(ZnTOPyP)の合成

TOPyP の亜鉛錯体を合成した。TOPyP 92.6mg(1.36×10-4mol)を dichloromethane

30ml に入れ撹拌し、そこに zinc acetate dihydrate (4.22×10-2mol)を methanol 5ml

で溶かしたものを加え 6:1 の混合溶媒にし 3 時間還流した。反応生成物に methanol を加え、エバポレートにより dichloromethane を取り除き、さらに methanol を加え生 成物を結晶化させる。溶液が尐なくなったらガラスフィルター付漏斗で自然ろ過した。 収率は 91%。

(8)

8

2-3 色素の吸着

イオン性ポルフィリン亜鉛錯体にはアニオン性のzinc tetra(4-sulfonatophenyl) -porphyrin (ZnTPPS)とカチオン性のzinc tetra(N-methyl-4-pyridinium)porphyrin (ZnTMPyP)を用いた。ZnTPPSはスルホン酸を持ちマイナスに帯電しており、ZnTMPyPはピ リジンの4級化物を持ちプラスに帯電している。これらの色素を0.5mgずつとり1ml の純水に溶かしてからアセトニトリル30mLで希釈し色素溶液を作成した。 色素の積層の方法は、まずZnTPPS 溶液に酸化チタン電極を30分間浸漬させ次に酸化 チタン電極をZnTPPS 溶液から取り出し、アセトニトリル溶液で洗浄した後、今度は ZnTMPyP 溶液に30分間浸漬させた。そしてまた同じように色素溶液から取り出し、Z nTPPS 溶液に浸漬させた。これらを繰り返すことで積層回数を増やしていった。 会合性 N-オキシド基を持つポルフィリン亜鉛錯体には 5,10,15,20-tetrakis -(1-oxido- 4- pyridyl)zinc porphyrin(ZnTOPyP)を使用した。 ZnTOPyP 溶液の調製は 次のように行った。まず色素(ZnTOPyP)10mg に所定量の水を加える。そして色素と H2O を

掻き混ぜる。これに溶媒(CH2Cl2:CH4O=6:1)を加え、溶解させる。その後予め Isonicotinic

acid N-oxide を吸着させておいた電極を30分間浸漬させた。Isonicotinic acid N-oxide 溶液は Isonicotinic acid N-oxide10mg に H2O1mL を加え溶解し、そこにアセトニトリル 30mL

(9)

9

2-4 測定

吸収スペクトル

はPERKIN ELMER Lambda19 UV/Vis/NIR 分光光度計を用い、 IRスペクトルは日本分光株式会社 FT/IR-610 、発光スペクトルは

JOBINYVON-SPEX Fluorolog を用いて測定した。

色素増感太陽電池の光電流値はKEITHLEY 製の6541 SYSTEM ELCTROMETER と発光スペクト ルのJOBINYVON-SPEX Fluorolog を組み合わせて測定した。 まず発光スペクトルを用いて350nm から750nm までを5nm 間隔の光電流値を測定した。こ の操作を2 回以上行った。1回目の測定では光起電力の影響でデータにばらつきがでるため、 2 回目以降の安定した測定データを使用した。受光部分は1cm×1cm とした。次式を用いて 光電変換効率(IPCE)を求めた。

(10)

10

3)結果及び考察

3-1 イオン性ポルフィリン亜鉛錯体を吸着させた色素増感太陽電池の特性

酸化チタン電極をイオン性ポルフィリン亜鉛錯体で作成した色素溶液に浸漬させ色素を 吸着させた。酸化チタン電極にアニオン性の色素を吸着させたものを積層回数1回の電極 とし、アニオン性色素の上にカチオン性の色素が吸着した二層膜電極を積層回数2回の電 極、さらにその上にアニオン性の色素が吸着したものを積層回数3回の電極とする。これ らの電極の Absorption Spectrum を測定した。Blank は酸化チタンが焼結していない導電性 ガラスを使用した。Fig.3 に使用したイオン性ポルフィリン亜鉛錯体、Fig.4 に測定した 各電極のAbsorption Spectrumを示す。 これらの電極のスペクトルはポルフィリン特有のピークが見られ積層を重ねていく ごとに吸光度が上がっていき、ブロードな吸収が見られる。420nm のソーレ帯では 色素を積層させたいずれの電極も吸光度が2を越えていることから光を 99%以上吸収 しており、光の吸収量はほぼ同じでるという事が分かる。 Fig.3使用したイオン性ポルフィリン亜鉛錯体

(11)

11 Fig.4各電極のAbsorption Spectrum

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

350

400

450

500

550

600

650

Wavelength/nm

A b s o rb a n c e

積層1回目

積層2回目

積層3回目

(12)

12

そしてこれら3つの電極の光電流値を測定し、IPCE を求めた。Fig.5 に各電極の IPCE を示す。550nm 付近の Q 帯では IPCE は吸光度に対応して増加していくが、420nm 付近のソ ーレ帯ではいずれの電極も光の吸収量はほぼ同じであるにもかかわらず色素を積層させて いくごとに IPCE が増加していくという結果が得られた。色素間では電子が流れにくいため、 多層膜より単層膜の方が効率が良いと言われてきたがこの結果よりポルフィリン色素では 色素を積層させても不利になっておらずむしろ効率が上昇する事が分かった。 Fig.5 各電極の IPCE 0 5 10 15 20 25 30 350 400 450 500 550 600 650 Wavelength/nm IP C E / % 積層1回目 積層2回目 積層3回目

(13)

13 そこで色素を何層も積層させ、吸光度と IPCE の上昇を試みた。積層回数1~3回の場合 と同じ方法で積層回数 19 回まで積層を試みた。電極の一番外側の色素がアニオン性の色素 になるように積層回数が奇数回数の電極の吸収スペクトルと光電流値を測定した。Fig.6 に イオン性ポルフィリン亜鉛錯体を積層回数 19 回までの電極の吸収スペクトルと IPCE を示 す。色素を 5 回以上積層させてもそれ以上吸着量と IPCE を増加させる事ができなかっ た。これは色素の表面が電荷の均衡を起こし、色素が吸着しにくくなった為と推測され る。 Fig.6 イオン性ポルフィリン亜鉛錯体を 19 層まで積層させた電極の Absorption Spectrum と IPCE

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

350

450

550

650

750

A

b

so

rb

an

c

e

Wavelength/nm

1回目

3回目

5回目

11回目

15回目

19回目

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

400

500

600

700

IP

C

E

/

%

Wavelength/nm

1層

3層

5層

11層

15層

19層

(a) (b) 15 25 35 45 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 積層回数 IP C E / %

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14

色素を積層させると何故 IPCE が増加するのかを確かめる為にイオン性ポルフィリン亜鉛 錯体を吸着させた電極の発光スペクトルを測定した。Fig.7 に測定した色素溶液と電極の 発光スペクトルを示す。Fig.7(a)の黒い線はメタノール中の ZnTPPS の Emisson Spectrum で赤い線はアニオン性の色素のみが吸着した電極の Emisson Spectrum を表したものである。 この二つを比べてみると ZnTPPS 溶液の Emisson Spectrum と ZnTPPS を吸着させた電極の Emisson Spectrum のスペクトルはほぼ同じであった。

Fig.7(b)の黒い線はメタノール中の ZnTMPyP の Emisson Spectrum で赤い線はアニオ ン性色素の上にカチオン性色素を吸着させた二層膜電極の Emisson Spectrum を表した ものである。こちらの電極はアニオン性色素の発光は観測されず、カチオン性色素の Emisson Spectrum のみが観測された。このことから積層膜では上部の色素が主に光吸 収していると考えられる。従って Fig.3 及び Fig.4 に示したように上部色素から TiO2

への電子移動が積層で不利になっておらず、多層膜で IPCE が減尐していないことから 電子移動が効率よく起こっていると言える。

Fig.7 色素溶液と電極の Emisson Spectrum

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 500 550 600 650 700 750 Wavelength/nm In te ns it y/ cp s Methanol中の ZnTPPS 積層回数1回目の電 極 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 500 550 600 650 700 750 Wavelength/nm

In

te

ns

ity

/c

ps

Methanol中の ZnTMPyP 積層回数2回 目の電極 (a) (b)

(15)

15 更に多層膜で IPCE が増大している理由は次のように考えられる。色素が光を吸収し 励起され、電子を放出する。その電子は一旦は酸化チタンの伝導帯に移動するがその内 のいくらかは逆電子移動反応を起こし IPCE の効率を下げる。一層では光吸収による電 子放出の後、正孔と酸化チタン上の電子が逆電子移動反応を起こしやすくなる為 IPCE が小さい。しかし多層の場合では一層に比べ酸化チタンから正孔への距離が遠くなるの で逆電子移動反応が一層に比べ遅くなり IPCE が増大するのではないかと推測される。 多層になるほど正孔と酸化チタンの距離が長くなり、IPCE が増大すると考えられる。

(16)

16

3-2 会合性置換基を有する亜鉛錯体を吸着させた色素増感太陽電池の特性

会 合 性 置 換 基 を 有 す る 亜 鉛 錯 体 (ZnTOPYP )5,10,15,20-tetrakis-(1-oxido- 4- pyridyl)zinc porphyrin は下記のスキームに従って合成した。まず TPyP をメタクロロ 安息香酸で N-oxide 化し、次に亜鉛を入れ錯体化させた。

(17)

17 TOPyP の生成を確かめるために IR スペクトルと H-NMR 測定による同定を行った。Fig.8 に IR スペクトル、Fig.9 に NMR スペクトルを示す。TOPyP には 1500 cm-1と 1300cm-1 付近にニトロソ化合物の単量体と二量体のトランス型のピークがあり、またプロトンが 高磁場側にシフトしているので TPyP のピリジル基が N-Oxide 化されていると判断でき る。

Fig.9 TPyP と TOPyP の NMR スペクトル Fig.8 TPyP と TOPyP の IR スペクトル

(18)

18

TPyP と TOPyP の溶解性の違いを調べたところ Table.1 に示すとおり大きく異なっ ていることがわかった。普通のポルフィリンは TPyP の様な溶解性を示すが TOPyP は N-oxide に会合性があるため溶解性が変化したものと思われる。dichloromethane と methanol の混合溶媒については TPyP,TOPyP 共に良い溶解性を示す。

Table.1 TPyP と TOPyP の溶解性の違い

dichloromethane :

methanol = 6:1

×

dichloromethane

×

methanol

×

DMSO

chloroform

TOPyP

TPyP

◎よく溶ける ○少し溶ける ×溶けない

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19

ZnTOPyP を酸化チタン電極に吸着させる際に Isonicotinic acid N-oxide を使用した。 この Isonicotinic acid N-oxide の効果を検証した。溶媒は CH2Cl2:CH4O=6:1 ZnTOPyP

の量は 4.0×10-7mol/ℓで一定にし、Isonicotinic acid N-oxide の量を 0mg から 30mg まで変更して電極の吸収スペクトルを測定した。Fig.10 に Isonicotinic acid N-oxide の効果を検証した Absorption Spectrum を示す。Isonicotinic acid N-oxide を全く加 えていない場合では ZnTOPyP はあまり吸着せず、Isonicotinic acid N-oxide を一定量 加えることによって ZnTOPyP の吸着量を増やすことができた。これは Isonicotinic acid N-oxide のカルボン酸が酸化チタンと結合し、N-oxide 基が ZnTOPyP の N-oxide 基と相 互作用し ZnTOPyP がより多く吸着した為と考えられる。この方法で ZnTOPyP を吸着させ た酸化チタン電極の IPCE を測定したところ、IPCE の値は極めて低かった。

(20)

20

しかしながら、ZnTOPyP を溶媒に溶かす前に、水を尐量加え色素溶液を調製し色素を 吸着させると IPCE の値が飛躍的に増大することが分かった。Fig.11 に水を添加し会合 性 N-oxide 基を持つポルフィリン亜鉛錯体を吸着させた電極の Absorption Spectrum と IPCE を示す。溶媒と CH2Cl2:CH4O=6:1 ZnTOPyP の量を 4.0×10-7mol/ℓで一定にし、水

の量を 0 μL から 400 1μL まで変更して色素溶液を調製した。水の量を増やすごとに 色素の吸着量は増加し、それに伴い IPCE も増加していった。水を 0μL と 100μL 入れ た場合を比べてみると色素の吸着量はあまり変化がないにも関わらず、IPCE にはかな りの差があることが分かる。従って IPCE の増大には水分子が直接関与していることが 示唆される。だが水の量を 500μL 以上加えると CH2Cl2:CH4O の混合溶媒が二層分離し、 色素が吸着しない。 Fig.11 会合性 N-oxide 基を持つポルフィリン亜鉛錯体を吸着させた電極の 吸収スペクトルと IPCE

(21)

21 水の添加順序を変更しても光電流が流れるのかを確かめるために、水の添加順序を変更 して実験を行った。水の添加順序は以下のものを試した。 ① 色素に直接 H2O を加え溶媒(CH2Cl2:CH4O=6:1)に溶かす ②溶媒に H2O を加え、色素を溶かす ② 素を溶媒に溶かした後、 H2O を加える。 そしてこれらの順序で調製した浸漬液より色素吸着させた電極の吸収スペクトルと IPCE を 測定したものを Fig.12 に示す。①で作製した電極は色素が良く吸着し、IPCE も非常に大き い。③で作製した電極では色素があまり吸着せず、IPCE も極めて小さい。②で作製した電 極では吸収スペクトルの増加はわずかではあるが、IPCE は③よりもかなり大きくなってい る事が分かる。

Fig.12 H2O の添加順序を変更して作成した電極の Absorption Spectrum と IPCE

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

350

450

550

A

bsor

banc

e

Wavelength/nm

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 350 450 550 650 750 Wavelength/nm IP C E / % 3 2 1

(22)

22 何故、水を添加すると色素の吸着量及び IPCE が増大するのかを推測した。水を添加する 事によって色素が n 量体に会合し、会合体を維持したまま溶媒に溶け、更に会合体のまま 色素が吸着するので吸着量が増大すると考えられる。また、水の H+や OH-が電荷を安定させ、 電位勾配が生じ電子の移動が滑らかになり、色素から酸化チタンへの電子移動が十分な速 さで起こる。そして、色素が多層膜吸着している為、酸化チタンとホールの距離が長くな り、逆電子移動反応が起こりにくくなり、IPCE が増大するのではないかと考えられる。

(23)

23

4)結論

アニオン性とカチオン性の色素を交互に吸着させ、色素の吸着量を増やし多層化してい くことで光電流が増加した。これは多層化により電子と正孔との再結合が減尐し効率が増 加したと考えられる。この結果によって効率の良いRu色素でも応用できる可能性 がある。 また、会合性N-oxide基を持つポルフィリン亜鉛錯体に水を添加させると吸着量、光電 流値が増加した。今後の課題としてより色素を積層できる方法を発見し、IPCEの向上につ いて検討する必要がある。

(24)

24

参考文献

酸化チタンの合成

(1)

Jeremy M.Stipkala,Felix N.Castellano,Todd A.Heimer,Craig A.kelly,Kenneth J.T.Livi,and Gerald J.Meyer:Light-Induced Charge Separation at Sensitized Sol-Gel Processed Semiconductors,Chem.Mater.1997,9,2341-2353

TOPyP,ZnTOPyP の合成

(2)

Jeffrey J. Posakony, Russell C. Pratt, Steven J. Rettin,Brian R. James, and Kiesten A. Skov Can. J. Chem. 77: 182-198.(1999)

(25)

25

謝辞

本研究を行うにあたり、終始ご指導ご鞭撻を頂いた角克宏准教授に深く感謝申し上げま す。最後に、研究・学生生活を行っていく上で協力して頂いた角研究室の方々にお礼申し 上げます。 土居 知也

参照

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