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成長戦略タスクフォース

成長に向けた新たな航路への舵取り

日本の指導者への提言

(2)

Published  by:   在日米国商工会議所 東京都港区麻布台2­4­5 メソニック39MTビル10階 Tel:  81  3  3433  5381   Fax:  81  3  3433  8454   [email protected]   www.accj.or.jp   ©2010  在日米国商工会議所  

All  rights  reserved.  

Cover  image:  Kensuke  Okabayashi,  Piggy  Back  Studios   Layout  and  design:  Alan  Rowe,  Mindful  Planet  Communications Editor:  Doug  Jackson,  Fresh  Eyes  Communications

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成長に向けた新たな航路への舵取り

日本の指導者への提言

会長からのメッセージ ... !

タスクフォースメンバーおよびスポンサー... "

概要 ... #

総論 : 新成長戦略のすゝめ ... $

在日米国商工会議所の成長戦略タスクフォース・プロジェクト ... ! 希望的観測によらず、分析に基づいた政策 ... ! 真の政治的リーダーシップの尺度 ... "" 技術は成長の源泉 ... "# 日本はもっと出来る! ... "$ 実現した国の例 ... "% 深尾・権レポート:的を射た分析 ... "& Eberhart-Gucwaレポート:進展の兆し ... "! 重要な分析結果と政策的含意 ... #' 日本の新経済戦略への舵取り ... #"

起業を促進し市場にイノベーションをもたらし未来の企業を創出 ... "%

成長促進及び雇用創出の為の対日直接投資の拡大 ... %&

全ては教育から始まる:日本の国際化、若年層の再活性化、知識産業の推進 ... '(

税制で成長と競争力を活性化させ、生産性ある投資とイノベーションを推進 ... ##

日本への投資を促進させる為の規制や法制度の透明性及びアクセスの向上 ... (%

「オープンコンバージェンス」の推進でインターネット・エコノミーの最大化 ... ()

労働流動性の向上が、世界市場における日本の競争力を改善 ... &)

投資と成長を刺激する為の日本の移民政策の緩和 ... ()

目次

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! 成長戦略タスクフォース白書 在日米国商工会議所(ACCJ)は、国家経済を 強化するための新しい方法を確立するという 日本政府のイニシアティブを認識したうえで、 日本の経済成長戦略を今年の重要課題として 取り上げることとしました。 これに次いで、ACCJは、ニコラス・ベネシュと 佐藤玖美のリーダーシップのもとに約70人の メンバーから成る成長戦略タスクフォースを設 立しました。また、客観的な分析を行い、日本の 経済成長の推進力を明らかにするため、生産性 とイノベーションの専門家として最も権威のあ る一橋大学・深尾京司教授と日本大学・権赫旭 准教授の協力を得ました。二人が作成したレポ ート、「日本経済再生の原動力を求めて」は多く の興味深い事実を提供しています。最も重大な 二つの調 査 結 果は、現 在 、日本のG D P( 国内 総生産)の80%をサービス業が占めるという こと、1996年から2006年の間、外国企業と 新たに設立された企業だけが雇用をネットベ ースで増加(純増)させたということです。 次に、タスクフォースはこの白書「成長に向け た新たな航路への舵取り-日本の指導者への 提 言 」を作 成しました。この政 策 文 書は深 尾 教授と権准教授の実証的分析と結果、そして スタンフォード大 学の研 究 者たちによる最 新 で独自の分析に基づいて、経済成長を強化す るという日本の目標を可 能にするためのイニ シアティブを明らかにしています。 ACCJは深尾教授と権准教授の優れた分析、 またこの計 画を達 成させたメンバーたちを称 賛いたします。特に、この計画の委員長を務め、 研究者たちと協調し、政策文書の重要な部分を 作成したベネシュ氏に感謝します。彼のリーダ ーシップ、実行力、創造性はこの事業の成功に とって極めて重要でした。 この非常に複雑な計画に時間と才能を費やし 貢献してくれたチームリーダー、そしてタスク フォースのメンバー、特にダグラス W. ジャク ソン、ブライアン・ノートンとアーロン・フォース バーグに感謝したく存じます。頁4にあるこの 白書の原稿作成や編集に携わった方々、また、 頁3にあるこの計画をサポートしていただいた スポンサー の 皆 様 の 御 厚 意 に心 から謝 意を 表します。最後に、専務理事サミュエル・キダー のもと、長い時 間と労力をかけてこの計 画が スムーズに進 行することを確 実にしたA C C J スタッフ、ライアン・アームストロング、伊 地 知 徳 子 、井 手 麻 美 、野 田 由 比 子 に 感 謝 いた します。 在日米国商工会議所 会頭 トーマス・ウィッソン

会頭からのメッセージ

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在日米国商工会議所 ! 委員長 ニコラス・ベネシュ、一般社団法人会社役員育成機構 副委員長 マイケル・アルファント、フュージョン・システムズ・ジャパン株式会社 ローレンス・ベイツ、 日本GE ジム・フォスター、マイクロソフト 佐藤 玖美、コスモ アラン・スミス 成長戦略タスクフォースチームリーダー 起業環境 マイケル・アルファント、フュージョン・システムズ・ジャパン株式会社 ニコラス・ベネシュ、一般社団法人会社役員育成機構 海外直接投資 ニコラス・ベネシュ、一般社団法人会社役員育成機構 セオドア・A.・パラダイス、デービス・ポーク・アンド・ウォードウェル外国法事務弁護士事務所 ケン・レブラン、シャーマン アンド スターリング ブライアン・ノートン、ティー・マーク株式会社 移民政策 佐藤 玖美、コスモ 労働流動性 森 康明、インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社 君嶋 祥子、日本GE インターネット・エコノミー ジム・フォスター、マイクロソフト 杉原 佳尭、インテル株式会社 税制 ゲーリー・トーマス、ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所 上村 聡、日本GE 法制度 エリック・セドラック、ジョーンズ・デイ法律事務所 教育 ブルース・ストロナク、テンプル大学ジャパンキャンパス

在日米国商工会議所成長戦略タスクフォース

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成長戦略タスクフォース白書 ! ゴールド・スポンサー シティグループ シルバー・スポンサー 日本GE マイクロソフト ティー・マーク株式会社 ブロンズ・スポンサー アフラック シャーマン アンド スターリング ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所 スポンサー コスモ ジョンソン・エンド・ジョンソン フェデックス フュージョン・システムズ・ジャパン株式会社 インテル株式会社 株式会社ジェイ・ティ・ピー 日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 株式会社オークローンマーケティング 六興電気株式会社

成長戦略タスクフォーススポンサー

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在日米国商工会議所 ! 協力者 浅井 英里子、マイクロソフト ダレン 令実 、フュージョン・システムズ・ジャパン株式会社 デバリエ いづみ、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS) C. ウォレス・デ ウィット、デービス・ポーク・アンド・ウォードウェル外国法事務弁護士事務所 クラウス・アイルリッヒ、ドイツ大使館 アーロン・フォースバーグ、在日米国大使館 福島 真保、デービス・ポーク・アンド・ウォードウェル外国法事務弁護士事務所 附野 徹也、ジョーンズ・デイ法律事務所 堀 勝彦、一般社団法人会社役員育成機構 デビー・ハワード、ジャパン マーケット リソース ネットワーク 池原 晃、国際基督教大学 フランク・ヤンセン、新日本アーンストアンドヤング税理士法人 上林 奈津子、テンプル大学ジャパンキャンパス 近藤 龍治、コスモ エリック・コジンスキー、ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所 熊谷 瑞穂 松井 有恒、丸紅株式会社 松本 紗代子、株式会社ジェイ・ティ・ピー 中井 正人、行政書士法人 中井イミグレーションサービス パトリック・ニュウエル、21 Foundation 岡山 浩子、ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所 デイヴ・ペリー、ジャパン マーケット リソース ネットワーク 榊原 裕希、UCLA アンダーソン・スクール 志熊 秀生 マイケル、ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所 ダニエル・サイモン、 コスモ マキ・ソモソット 、コスモ ジョナサン・ストラドリング、ジョーンズ・デイ法律事務所 鈴木 悦子、テンプル大学ジャパンキャンパス 瀧野 啓太、国際基督教大学 谷口 光、一般社団法人会社役員育成機構 ティー・マークチーム 内山 貴子、日本GE ブラッドフォード・ワルターズ ユン ヨンド、早稲田大学 湯原 心一、 デービス・ポーク・アンド・ウォードウェル外国法事務弁護士事務所

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! 成長戦略タスクフォース白書

概要

はじめに 成 功 する経 済 成 長 政 策 は 、分 析 に裏 打ちさ れた将来ビジョンに基づくもので、単なる希望 的 観 測で成し遂げられるものではない。その ビジョンを明 快に語る、強い政 治 的リーダー シップが必要である。 核心的分析 在 日 米 国 商 工 会 議 所( A C C J )が 委 託した 独自の経 済 調 査によれば、日本は以 下のよう な課題を抱えている。 ‡ 1 9 9 6 年 以 前 に設 立された多くの企 業を 中 心 に、製 造 業 が 次 第 に海 外 に移 転した ことで、数 百 万 の 雇 用 機 会 が 失 わ れ た 。 今 や、製 造 業 は G D P の 2 0 % を占めるに 過ぎない。サービス業が日本経済の80%も 占めるに至った。 ‡ 労 働 市 場 の 縮 小と、すでに潤 沢 な 資 本 を 抱えているという現 状を考えると、今 後の 日本の経済成長には生産性の向上が急務 である。 ‡ 日本の労働生産性は、米国水準の60%弱 であり、すでにキャッチアップする過 程 が 止 まった 。サ ー ビ ス 業 に お いて は 、労 働 生産性はさらに低く、米国の半分にも届か ない。これらの弱みが全要素生産性の成長 を抑えている。 ‡ 多くの産業において、他国と比べ情報通信 技術(ICT)向けの投資が遅れたことが低迷 する生産性向上の主たる原因であった。ICT 及 び イ ン タ ー ネ ット 革 命 は 、日 本 で は 米国にみられたような生産性向上を起こさ なかった。 ‡ 日本の低 調な経 済 的「 新 陳 代 謝 」、つまり 資源再配分が、長年にわたる生産性の低成 長率のもう一つの原因である。 ‡ 資 源 を最 適 に配 分 するためには 、日 本 は 産 業 により多くの 参 入 者を積 極 的 に迎え 入れなければならない。さらに、弱体化して いる事業者には非主力事業から撤退させ、 競 争 力 の ある 中 核 事 業 に 投 資 をす すめ させるべきである。 起こりつつある変化の兆し しかし 、日 本 経 済 にはまだ 大 きな 潜 在 力 が 残っている。日本には生 産 性と経 済 成 長 率を 大きく伸ばすことのできる有力な技術基盤が ある。この技術基盤を最大限に活用し、「スピル オ ーバー 」効 果( 波 及 効 果 )を 推 進し、外 国 からのものも含めてノウハウを広めることが、 日 本 の 発 展 の カギ で ある 。事 実 、A C C J が 委託した分析によると、新規参入企業の貢献に よって、すで に日 本 経 済 に「 改 革 」が 起こり つつあるかもしれないというのである。 ‡ 日 本 の 外 資 系 企 業 は 平 均 値 で 最 も 高 い 生 産 性 と 高 い 雇 用 創 出 比 率 を 示 して いる。企 業レベルデータを使って計 算する と、1996年から2006年にかけて、雇用を 25万人から41万人に増加させた。この雇用 純 増のほとんどはM & Aによるものという より、単に事業拡張によるものか、グリーン フィー ルド 市 場 参 入 によるもの で ある 。 従って外国企業がM&Aの市場によりアク セス出 来 るなら、か なりの 追 加 的 投 資 が 見込めるということである。 ‡ 国 内の起 業 家あるいは「イントレプレナー ( 企 業 内 起 業 )」は 、同 期 間 において経 済 成 長 と 雇 用 創 出 にさら に 大 き な 貢 献 を し た 。1 9 9 6 年 以 降 に 設 立 し た 企 業 は

成長に向けた新たな航路への舵取り

日本の指導者への提言

在日米国商工会議所 成長戦略タスクフォース

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在日米国商工会議所 ! 成長に向けた新たな針路を示す ! 2006年までに、約120万人の雇用の純増 を生み出した。 ‡ 最 近 、若 い日本 の 企 業 は 古 手 企 業よりも より高 い 雇 用 創 出 率 、高 い 残 存 率 を持ち 始 め た 。若 く、R & D や 国 際 化 に 積 極 的 な 小 規 模 企 業 の 生 産 性 は 高く、その 他 の 新しい企 業よりも高い生 産 性 水 準と生 産 性上昇を示している。 ‡ 2 0 0 4 年 から2 0 0 8 年 に設 立されたハイ テク企 業のおよそ5 % が 、2 0 0 8 年までに 5 億 円 の 年 間 売 上 を 達 成 している 。この グル ープの平 均 的 企 業 年 齢 は2 年を若 干 上回る程度であることから、ベンチャー企業 が 成 功するのに必 要 な 時 間 が 短くなって いることが分かる。 ‡ 1996年から2006年にかけて、外国企業と 新たに設立された企業、この二つのグループ だけが 雇用をネットベースで増 加させた。 これに対して、2006年現在、独立系の大企 業と1996年以前に設立された企業の雇用 者数はそれぞれ1996年と比べて数百万ほ ど減少した。 ‡ これまでの15年間に起こった多岐にわたる 法的、規制的改革は、起業家と対日直接投資 (FDI)に好ましい影響を及ぼし始めている という兆しがある。 成長戦略への提言 ‒ 核心テーマ 説得力のある、効果的な日本の成長戦略の策 定に、今や若い企業と外国企業の対日直接投 資が成長のカギだという現実を反映すべきで あろう。戦 略 は 、単 一 省 庁の 指 導 によるので はなく、総 理 大 臣 及び 連 帯する内 閣によって 率 先されるべきで、下 記の核 心テーマに焦 点 を当てる必要がある。 1. 新 規 参 入 者と起 業 家 ‒ M & Aを含めて、 日 本 経 済 へ の 新 規 参 入 者 によって 活 性 化を図る。新 規 立 上げ 企 業だけではなく、 スピンオフによるもの、「イントレプレナー」、 外資系企業などが日本市場への新規参入 者である 2. 技 術 的スピルオーバーと「 突 破 的 な 技 術 革新」、新しいビジネスモデル 3. 「 内 向きのグローバリゼーション」 の利 点をFDI、コーポレートガバナンスの改善、 教育、移民政策によって加速させる 4. 市 場 ベ ース の 政 策 ‒ 恣 意 的 な 勝 者 の 選 定と適 正な競 争を歪めかねない無 条 件 のサポート(支援)を回避し、投資家にとっ て魅力的な市場にする 5. インセンティブを伴う税 制 体 系によって、 新 規 参 入 者( F D Iを含む)、生 産 性が 高い 長 期 的 な 投 資 、技 術 スピ ル オ ー バ ー を 促進する 6. 規制上の透明性 ‒ 公正さを増し、コストを 下げ、規 制 環 境と市 場をもっと参 入し易く ユーザーフレンドリーにすることで、日本は 新しい参入者と新規投資を呼び込める 7. インターネット・エコノミーでの「オープン・ コンバージェンス」を、規 制 緩 和と通 信と 放 送 の 融 合 を 介 して 展 開 。「 ガ ラパ ゴ ス 症候群」を回避する 8. サービス分 野の生 産 性 向 上 ‒ 効 率 性 向 上のために、ICT(インターネットを含む)の 活用に対する規制と障害の撤廃 9. 労働市場の活性化と移民政策 ‒ 労働者が 再訓練できる余裕をもてるよう、セーフティ ネットを強化し、公正で柔軟な採用と雇用 調 整 の 自 由 度 を 高 め る 。新 規 参 入 者 が 成長するために必要なスタッフの採用を容 易にする

明るい未来へ

A C C Jは、適 正な政 策によって日本には以 下 の可能性があると確信している。

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成長戦略タスクフォース白書 ! 成長に向けた新たな針路を示す ! ‡ アジア圏において、アントレプレナー 、イノ ベ ー ション、金 融 面 の 躍 進 するセンター となる ‡ 1 人 当りG D P が より高く、人 口 動 態 的 、 金 融 的な諸 問 題に対 処できる力を備えた 国づくり ‡ 日 本 の 若 者 に と っ て 、多 くの エ キ サ イ ティング な 雇 用 機 会 を 創 出 する 、動 きの 速い国づくり ‡ 日本への投資、熟練労働力、税、活力といった 面で貢献してくれる移民に魅力的な市場

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! 在日米国商工会議所 2 1 世 紀に入って最 初の1 0 年が経 過したが、 日本経済は人口統計学的、財政的な泥沼には まり込んでいる。この20年、GDP及び生産性 の伸びは、それ以 前の4 0 年 間にくらべると、 きわめて低いものであった。現実のGDPと潜在的 なGDPの差異として定義されるGDPギャップ は、1993年以降マイナスである。国の労働力 は高 齢 化し、その上 低 下し、若 者には精 気が 無く、税 収 基 盤は徐々に弱 体 化し、国 内 株 式 市 場は長 期にわたり低 迷している。公 的負債 がGDPの200%を超える日も近い。 日本は早急に、より速い成長を達成するための 道を探さなければならない。社団法人日本経済 研究センターが予測した図1の成長シナリオ (日本は殆ど横ばい)を回避するために、日本は 全く新たな成長戦略を構築する必要がある。 上に述べた課題の多くは日本に限ったことで はないが 、日本の場 合 、これらの課 題 が 特に 速いペースで起きており、しかも長期間続いて いる。低い出生率や厳格な移民政策と、急速に 進 む 高 齢 化 が 相 まって、近 い 将 来 、殆 どの 先進国も経験することのないような厳しい人口 統計上のハードルに直面している。 日本はこれまで、疑いもなく急 速かつ長 期 的 な 経 済 成 長や強い 社 会 的・産 業 的 安 定 性を 誇 りとしてきており 、そ の 過 去 が 語 る 経 済 実 績 はつとに 有 名 であった 。過 去 の 成 功 や 安 定 は 、当 然 ゆ る や か な 政 策 の 改 善 に 対 する信 頼 や 政 治 的 支 持 を生 む 傾 向 が ある。 しかし、どの 国 においてもこのことは 国 家 を 既得権者の保護や現状維持へと眠りこませる ことにもなり、現 実 に立ち向 かい 、急 が れる 変革に直面することのできない政府にさせて しまうことがある。 最 近の政 治 的 事 象で明らかになったことは、 ほとんどの 日 本 人 が 、国 の 直 面 する 厳 しい 課 題 につ いて、危 惧 の 念 を 抱 いてい ること である。国民は古い政策や公共支出の慣習の 多くがもはや機 能しないことを理 解している (日本 の G D P の 増 加 率 の 低さは 図2に示さ

総論:新成長戦略のすゝめ

! " #! #" $! $" %! %" &! $!!! $!!" $!$! $!%! $!&! $!"! 日本 米国 韓国 インド ASEAN EU 出所 : 日本経済研究センター、;:ZͿ͕tŽƌůĚĐŽŶŽŵŝĐĂŶĚWŽƉƵůĂƟŽŶKƵƚůŽŽŬϮϬϬϲͲϮϬϱϬ͖ĚĞƚĂŝůƐŝŶ ĞŵŽŐƌĂƉŚŝĐŚĂŶŐĞĂŶĚƚŚĞƐŝĂŶĐŽŶŽŵLJ͕ϮϬϬ'年%月

GDP予測 (US 億ドル)

(PPP Basis, 2000年 US億ドル) 図1

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成長戦略タスクフォース白書 ! 総論:新成長戦略のすゝめ ! れている)。これは将 来の公 共 政 策について、 さらに透明で具体的な議論を巻き起こすこと になった。 過 去 の 経 済 政 策 の 成 功 や 欠 点 を 指 摘 する ことは簡単だが、困難な時期に将来に向けた 明 確な指 針を示すことは容易ではない。最 近 の 急 速 な 変 化 や、よりオ ープンで 実 質 的 な 政 策 論 争 の 突 然 の 高 まりは 、何 をなすべ き かについて、むしろ多くの 混 乱 を招 いている ように見受けられる。 こうした 混 乱 の 一 因 は 、日 本 国 民 や 政 治 指 導 者 に伝えられるべき徹 底した分 析 が 行 わ れてこなかったことに起 因する、とA C C J は 考える。実証されていない仮定が頻繁に政治 的美辞麗句を支えるために使われ、徹底した データの解析が行われるのを妨げてきた。その結 果、政治哲学的、対立的、感情的な選好が、最善 どころか 時 に実 行 不 可 能 な 政 策 に突き進 む 時ですら、支配する傾向にある。 在日米国商工会議所の成長戦略 タスクフォース・プロジェクト A C C J な ら び に そ の 会 員 企 業 は 、日 本 の 将 来 を 明 る い も の に す る こ と に ひ た むきに取り組 んでいる「 ステ ー クホルダー 」 である。日本の経済が回復し、再び力強く成長 することによってのみ、我々の長期的な目標が 達 成 さ れ る 。A C C J で は 、この 問 題 を 深く 憂慮しているものとして、2010年初めに成長 戦 略 タ ス ク フ ォ ー ス を 立 ち 上 げ て 、日 本 経済に影響を及ぼす現実と要因に関する徹底 した分析を外部に委託した。我々は、この分析 が現在の混迷を少しでも払拭する一助となり、 現 実 的 な 政 策 提 言 を示 すものになることを 確信している。 この 報 告 書 は 、外 部 委 託 調 査( 個 別 に 入 手 可 能 )の主 要 な 結 論 、スタンフォード大 学の 研 究 者 から頂いた 最 新 報 告 書( 同 様 に入 手 可 能 )に、多くの 産 業 の 現 状 について我々が 独自に現場で得た知識を組み合わせた日本の 経 済 成 長 戦 略である。A C C Jは、日本の指 導 者が政策立案に役立てられるよう、実証的な 研 究 成 果と具 体 的 な 戦 略 提 言 を提 供 する。 我々が伝えたい中核となるメッセージは、「より 説得力をもつ効果的な国家成長戦略の実行が 求められている今、時間を無駄に費やす余裕は ない」ということである。 希望的観測によらず、分析に基づいた政策 成長戦略タスクフォースは、図3が示す最善の 状態には程遠い、日本が直面する現実を評価 することから始 めた 。私 たちは 、一 橋 大 学 の !"!# !"$# %"!# %"$# &"!# &"$# '"!# '"$# ("!# イタリア 日本 ドイツ フランス 米国 英国 カナダ スペイン 出所 )*世界銀行 平均名目GDP成長率(現地通貨ベース)

GDPの増加率1999-2008(年ベース%)

図2

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在日米国商工会議所 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" 深 尾 京司教 授 及び日本 大 学の権 赫 旭 准 教 授 ( 両 教 授 は 、日本 における成 長 経 済 学 、生 産 性分析、イノベーションに関する最高権威)に、 日本 経 済の「 失われた2 0 年 」の分 析と、この 間の 主 要トレンドと変 化 、及び 今 後も続くと 思われるものについての提 示をお願いした。 低成長が日本の財政状況に与える影響を認識 したうえで、我々は、なぜ経済が低迷している のか、どのような要 因がこれを改 善に向かわ せるのか、そしてどのような企業や投資が近年 の雇用の伸びや経済活動に最も貢献している かについて、分析を依頼した。 A C C J は 、両 教 授 のこれらの 質 問 に 対 する 実証的で事実に基づいた回答は、日本の政治 的 な 膠 着 状 態 を打 破し、既 に進 行 中である 経 済 的 変 化の最も深い洞 察に基づいた政 策 を 実 行 す る た め の 一 助 に な る と 考 え る 。 「 深 尾・権 レ ポ ート 」と 呼 ぶ 両 教 授 の 洞 察 力に満ちた分析は、将来の成長政策に明確な 指針を与えている。 タス クフォ ース チ ー ム は ま た 、S t a n f o r d Program on Regions of Innovation and

Entrepreneurshipの研 究 者であるRobert Eberhart、Michael Gucwaの両 氏からも、 近 年 日 本 で 設 立 さ れ た 独 立 企 業 に 関 する 最近の調査結果を受け取る機会に恵まれた。 Eberhart-Gucwaレポートとしてまとめられた 彼らの調査結果は、近年日本で会社を起こした 起 業 家 た ち の 成 長 と 挑 戦 に つ いて 貴 重 な 統計分析に基いた解釈を与えてくれた。 経済成長政策は、現在のトレンドを注意深く分 析したうえで策定すべきものである。我々が深 尾教授と権准教授に調査を依頼した主な理由 は、次のような本質的な質問について切迫した 必要性を感じていたからである。その質問とは、 どのような企業が成長や新規雇用の創出に貢 献してきたのか。また、それらの企業はどのよう にそれを達成したのか、というものである。 さらに、我々はこれまで日本 政 府または主 要 団 体・利 害 関 係 者による、これらの質 問に対 する 徹 底 分 析 に 基 づく包 括 的 な 国 の 経 済 成 長 戦 略 があることを寡 聞にして知らない。 このところの 政 治 的 変 化 が 緊 急 性 や新 鮮 な 代 替 案 を 検 討 する 必 要 性 をもたらしたこと ! " # $ % &! &" &# &$ &% "!

&''! &''" &''# &''$ &''% "!!! "!!" "!!# "!!$ "!!% "!&! "!&" "!&# 出所 () !"#$%&'()$*+&,&-.+$/01(&&23$45657 4558年以降は、9:;と負債総額は!"#の予測 ! *! &!! &*! "!! "*! +!! 世界GDPにおけるシェア%(左目盛),) GDPに占める負債総額%(右目盛)

日本のGDPシェアと公的負債の推移

図3

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成長戦略タスクフォース白書 !! 総論:新成長戦略のすゝめ !! か ら 、A C C J は「 分 析 第 一 」の 手 法 が 政 策 決 定 にお いて 将 来 に 向 けさらに 根 付くこと を期待する。 真の政治的リーダーシップの尺度 成長は、挑戦が正しい対応を喚起する 場合に起きる。そして、次の新たな挑戦を 呼び起こすのである。 ̶ アーノルド・J・トインビー(歴史学者) 成 長 戦 略 は 、現 実 を 認 識 することにとどま らない。リーダーシップとは、現実が提起する 挑戦を受け入れ、行動することであり、さらに 変化の好循環を引き起こすことである。そこで 我々は、まず 最 初に、この日本の成 長 戦 略に 関 す る 提 言 に 影 響 す る 可 能 性 の あ る 別 の 課 題 につ いても 認 識 した 。日 本 にお ける 国 家 経 済 戦 略 は 依 然としてその大 部 分 に整 合 性がなく、省庁間で断片化されている。これは 恐らく、日 本 の 急 速 な 経 済 成 長 が 輝 きを 見 せていた9 0 年 代 初 頭までは機 能していたと いうことを引きずっているからである。 従 来 か ら 、経 済 産 業 省 は 国 家 の 中 核 的 な 産 業 戦 略 を 担 ってきたと 認 識 されており 、 その 大 きな 功 績 にたが わず、経 済 産 業 省 は 現在、総括的な成長戦略案に近いものを策定 しているに違いないと思 われる。しかし経 済 産業省は一部の産業(主として製造業と小売 業 )を管 轄 下に置いているに過ぎず、必 然 的 に 大 きな ギャップ が 存 在 する 。した がって、 日 本 が 明 言 する「 成 長 戦 略 」が 依 然 として 輸出向け工 業 製 品に集中しているのも、歴 史 的に経 済 産 業 省が 最も関 心を寄せる分 野で あったため驚くに値しない。また、日本の政策 が 伝 統 的 に 、特 定 の 政 治 団 体 や 世 界 的 な 「 勝 者 」になる可 能 性がある産 業を補 助 金や 優 遇 税 制で 支 援する傾 向 があったのも当 然 のことである。 残 念ながら、2 1 世 紀の現 実は日本のG D Pの 8割が製造業ではなくサービス業から生み出さ れている。さらに、いずれの先 進 国でもG D P 成 長 率 に 大 きく貢 献 しているの は 、規 制 が 強く及ぶ医 療や通 信サービス、その他 I C Tが 効 率 を 高 める 業 種 な の で ある 。このことは 日本にも当てはまるが、日本はGDP成長率や I C T 投 資 が 貢 献する生 産 性 において他 国 の 後塵を拝している。 !"#$ "#" "#$ "#% "#& "#' (#" (#$ (#% 米国 メキシコ オーストラリア ポルトガルアイルランド オランダ 英国カナダ デンマーク スイス フィンランド スペインノルウェイ オーストリア ニュージーランド 韓国 日本 スエーデンベルギーイタリア ドイツフランス ルクセンブルグ ) 生産性が向下した国 生産性が向上した国

ICT利用サービスにおける付加価値への寄与度

(就業者1人当り, 1995-2002) 出所 : K<ĞLJ/d/ŶĚŝĐĂƚŽƌƐ͕KWƌŽĚƵĐƟǀŝƚLJĂƚĂďĂƐĞ͕ϮϬϬ!年"月 図4

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在日米国商工会議所 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" 技術は成長の源泉 経済政策にとって最も重要な任務は、 技術の進歩を支援する制度的環境を 醸成することである。 ̶ ポール・ローマー (スタンフォード大学経済学教授) 経済成長論は数多くある。それらの数学的方 程式は異なっても、すべての経済成長論には、 成長の大部分は技術の進歩とそれがもたらす 国 家・世 界 経 済 への技 術の拡 散と「 波 及 」に より起きるという概念に基いている。例えば、1% の生産性向上は、投下資本の1% 増よりもはる かに大きな成長を生む。 深 尾 教 授 がしばしば 指 摘 するように 、単 に 日 本 国 内 で 投 資 を 増 や す だ け で は 解 決 に ならないことは明かである。仮にそうであれば、 日本の課 題はそれほど我々を悩ませることに はならない。むしろ、必要なのは、より生産性が 高い投 資である。それには迅 速に使 用でき、 有 効 活 用でき、拡 散させることのできる技 術 もうひとつの基本的な問題は、経済産業省が これらの問題に関して建設的な提言を行って はいるが、国の経 済 成 長 戦 略の立 案 者・調 整 役として権限を与えられた単一の省庁や機関 が存在しないということである。それどころか、 総 務 省や厚 生 労 働 省などのように、分 離した 「サイロ」が権限をもっている。 日 本 の 成 長 戦 略 には 、客 観 的 かつ 徹 底した 経 済 分 析が 必 要 不 可 欠である。しかし、最 大 限 に 効 果 を 上 げ る た め に は 、そ れ 以 上 の ものが必要である。日本が力強く成長して行く ため には 、有 害 な 省 庁 間 の 競 争 意 識 、その 結 果としての 連 携 の 欠 如 を排 除しなけれ ば ならない。日本が 必 要としているのは統 一 的 な成長戦略であり、それが中央政府の強力な リーダーシップの下に策定され、実行されること である。つまり国 全 体の利 益のために官 庁の 足並みをそろえて重要な経済成長政策に取り 組ませるリーダーシップが必要である。そして、 そのリーダーシップを支える中立 的な組 織を 内閣府の中に設けることである。 米国 日本 !"#$ "%&' "%(' &)' &)* &)+ ()& (), ()' ()* ()+ ,)& ,), &++& +( +, +- +' +. +* +/ ++ (000 0& 0( 0, (00-出所 12!"#$%!&'()*')+!,)'-*./.01!2*3!4*356781!"57/..9!:;;<

地域別R&D集中度指数

1991-2004 GDP比(%) 図5

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成長戦略タスクフォース白書 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" である( 図6参 照 )。同じく、G D P比でみた 対日直接投資(FDI)の累計残高もきわめて 低い。帰結:新規参入者が少ないため、市場 にもたらされる新たなビジネス手法、戦略、 突破的な技術革新も少ない。 ‡ 日本の技 術 基 盤の多くは「 休 耕 状 態 」であ る。専門家によれば、日本企業が達成した多 くの技術的進歩が商業化されていないか、 ライセンス 供 与 さ れて おらず、使 わ れ る スピードも遅い。(タスクフォースでは、技術を 話 題 にした 際 に 、いか に 多くの 関 係 者 が 即 座 にこの 点 について言 及したかに驚 か された。また、O E C Dの調 査もこれを裏 付 けている。)日本の研 究 開 発における国 際 共同研究の比率はEU平均のおよそ半分に 過ぎず、日本の産 業 構 造の変 化( 例えば 、 海外生産の増加)も、大企業から中小企業 への技術拡散のペースを遅らせているよう である。 日本はもっと出来る! 日 本 の 優 れた 技 術 や 人 的 資 本 は 、追 求 する 政策路線次第で、この国に依然大きな成長の 潜 在 力 が あることを 意 味している 。さらに 、 日 本 がこれらの 要 素 からほとんど恩 恵 を 受 けていないため、もし起業家の増加、対日直接 投資、国際共同研究開発、迅速な資源の再配 分、移民、労働市場の流動性向上などを後押 へ の 投 資と、状 況 を 一 転 させるような 突 破 的な技 術の創 造が 含まれる。特に、いわゆる 「 破 壊 的 」な 技 術 開 発 と 活 用 は 日 本 の 国 際 競 争 力を高め 、従 来 の 技 術 体 系 の 延 長 線 上 に見られる緩やかな 技 術 の 改 善と比 べ ると、より大きくより広範な拡散と波及効果を もたらす。 日 本 は 幸 い にも 、世 界 のどの 国とも比 肩 で きる豊かで強力な技 術 基 盤に恵まれている。 長 年 、日 本 の 研 究 開 発 指 数( G D P に対 する 研 究 開 発 費 の 割 合 )及 び G D P に 対 す る 特許出願率は、図5が示すようにOECD諸国 内でトップ、またはそれに準ずる地 位にある。 また、O E C D 加 盟 国 内で 高 等 教 育の比 率 が 最も高い国のひとつであり、栄あるノー ベル 賞受賞者リストにおいても科学分野での功績 がある人物が多い。 もし、日本が 生 産 性を高め、経 済 成 長を加 速 させるのに不可欠な要素である強力な技術的 蓄積や人的資本を持っているのであれば、何が この国を停滞させているのか。調査結果を再検 討し専門家と討議した結果、日本がその巨大 な技 術 基 盤をフルに活用していないという事 実が明らかになった。その理由として、以下の ようなものが挙げられる。 ‡ 日 本 にお いて は 、他 の 先 進 国と比 べ て、 新 規 創 業 企 業の参 入 率が極めて低いまま ! " #! #" $! 英国 ドイツ オーストラリア 米国 フランス インド 日本 $!!!%!&'平均 $!!& 出所 : 世界銀行͕ŶƚƌĞƉƌĞŶĞƵƌƐŚŝƉĂƚĂďĂƐĞ;ϮϬϬϴͿ͕K͛ƐDĞĂƐƵƌŝŶŐ/ŶŶŽǀĂƟŽŶ͗EĞǁWĞƌƐƉĞĐƟǀĞϮϬϭϬ͘ ドイツ($!!$%!")*'オーストラリア'($!!+%!&)*'米国'($!!,%!")*'フランス'($!!!%!-)*'インド'($!!#%!-)*'日本'($!!$%!")のデータ

平均新規参入率、2000-07

全登記済み企業に対する新規登録企業割合 図6

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在日米国商工会議所 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" 簡素化、産業の規制撤廃、大学の知的財産権 や共同研究などに影響を与えている。 実現した国の例 天然資源に乏しく、世界の中でも軍事的、政治 的に不安定な地域に位置する国がある。ほんの 20年前、この国の国民1人あたりの起業家数、 ハイテク新興企業数、革新的特許件数は、日本 と比較してはるかに少なかった。 しかし、わず か 2 0 年 間 で、この 国 は 起 業 家 精 神 のセンターと化し、イノベーションでは 高 位 置 に 、N A S D A Q 市 場 で は 外 国 新 興 企業による新規上場件数で最大となっており、 国民1人当たりのベンチャー・キャピタル投資 額でも世界最大となっている。 しすれば、多くの望ましい結果が生まれるはず である。外国直接投資と移民(図7,図8参照) においては多少の進展があるが、国際的な比較 ではまだ少ない。まだまだ、「上昇余力」がある ということである。 この潜在性は、日本がこうした機会を活かす政策 を構築できて初めて現実のものとなり得る。 事 実 、深 尾・権レポートとEberhart-Gucwa レポートの 研 究 結 果 によると、9 0 年 代 後 半 に日本が 実 施した数 多くの改 革が 、ビジネス 環 境 や 新 規 市 場 参 入 者 の 機 会 にプ ラス の 大きい影響をおよぼす結果になったことを示唆 しており、これらの改革をさらに推し進め、改善 していくべきである。これらの広範囲にわたる 改 革は、会 社 法や労 働 法 、会 社 設 立と採用の !"#$% !&#'% ()#*% ($#"% ")#+% *#,% *#*% ,#'% &#"% +% $% "+% "$% !+% !$% (+% ($% &+% &$% 世界 先進国 英国 EU 米国 韓国 インド 中国 日本 "**+ !++, 出所 -./012

内国向け外国直接投資ベース名目GDP比(%)

図7 !"#$ %#& !'#( !)#) !*#+ * ) $ ( & ,* ドイツ 英国 フランス 韓国 日本 出所-!./01!/ŶƚĞƌŶĂƟŽŶĂůDŝŐƌĂƟŽŶKƵƚůŽŽŬϮϬϭϬ! ,""" )**&

OECD加盟国の外国人労働力

全労働力に占める割合(%) 図8

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成長戦略タスクフォース白書 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" 全 要 素 生 産 性を示した。また、その分 析では 外資系企業が同期間に156,000人の新しい 雇用(純増)を創り出したことも示した。これらの 結 論 は 、生 産 性 の 高い 企 業 のみが 恒 常 的 に 雇 用 を 増 や せるという意 味 で は 、理 論 的 に 整合性が取れている。 さらに、深尾・権レポートの分析では日本経済の 雇用増の現 在のドライバーは、外 資 系 企 業と 社齢の若い新しく設立された企業である。日本 の全 雇 用が 数 百 万 人も減 少した同じ時 期に こ れ ら の 2 つ の グ ル ープ は 、ネット ベ ース ( 純 増 )で持 続 的に雇 用を創 出したグル ープ であった。 これ らの 調 査 で 確 認 さ れ た 傾 向 が 物 語 る のは、直接外国投資、アントレプレナー(起業家) と「 イ ン トレプ レ ナ ー 」( 企 業 内 起 業 家 ) の 増 加 、そ の 他 の 新 た な 新 規 参 入 が 日 本 経 済の拡 大には不 可 欠だということである。 こ れ が 、マ ー ケ ット に 新 し い ビ ジ ネ ス と ビジネスモデルを最も早く持ちこみ、より生産 性 が 高 い 活 用 に 向 け て 資 源 の 再 配 分 が 行 われる流 れである。それらは、既 存の競 合 者との間で更なる競 争を生み、それが経 済と 消費者に恩典をもたらす。 以下に、深尾・権レポートの最も重要な発見を 抄訳した。 なぜ「失われた20年」が起きたのか。どのよう な 傾 向 と 要 因 が 日 本 に 影 響 を 与 え 続 ける のか。 日本の「 失われた2 0 年 」は法 的 、人口動 態 的 な変化の結果であって、低い生産性と低調な 需要、同時に起きた労働者の減少と平均労働 時間の短縮という、破壊的な組み合わせによる ものであった。全体として労働生産性は1997 年ごろ米 国 にキャッチアップするのを止 め 、 現在は米国の60%のレベルにある。 二つの要因が重なり被害を助長した。 まず、1 9 8 9 年の株 式 市 場のバブル崩 壊より も前に、日本の経済的な「新陳代謝」は危険な その 国 はイスラエルである。日本 に比 べると 経 済 規 模 は 小 さい が 、イスラエ ル の 事 例 は 日 本 にとって 貴 重 な 手 掛 かりとな る 。この 国が成功したのは、ノウハウを学ぶため、ベン チャー・キャピタル による 海 外ファンドとの パートナーシップを奨 励し、ベルリンの 壁 が 崩壊した時にソビエト連邦から大量の移民を 受 け 入 れ 、そ の 移 民 を 素 早 く社 会 に 組 み 入 れ る な ど 自 ら 再 改 造 を 成 し 遂 げ た か ら で あ る 。さら に 、イスラ エ ル の 軍 隊 は 類 を 見 ない「フラット」な 組 織 構 造 であり、国 民 皆 兵と相 まって、若 者 を 企 業 家 的 な 機 知 や 柔軟性に富む自信にあふれたリーダーとして 社会化し、教育したという発見もある。 イスラエ ル の目 覚しい 変 革 の 秘 訣 は 、外 国 直 接 投 資 、移 民 、資 源 再 配 分と統 合 、そして 教育である。 深尾・権レポート:的を射た分析 深尾・権レポートが想起させることは、国がGDP の成 長を促すために必 要なのは、わずか3つ のドライバーであるということである。①投下 資 本 の 増 加 、② その 国 の 労 働 力の 規 模 の 拡 大 または 総 労 働 時 間 の 増 加 、③ 研 究 やイノ ベーションを活用して労 働・資 本の生 産 性を 上げるという3つである。 日本の労働力が減少し、高齢化し、しかし投資 水準が相当に高いレベルにあるとすれば、深尾 教 授と権 准 教 授は日本の「 全 要 素 生 産 性 」を 増強する道を見つけることが、GDP拡大へ完全 復調するために絶対的に重要だと結論づけた。 つまり、生産性の伸びを加速することが、現実 に残された唯一の主要なドライバーで、国民に より高い成 長 率と、さらによい仕 事を与える ために、日本が使える唯一の道なのである。 このこと自体は目新しく驚くような結論ではな い。真の問いかけは、「日本が以前の高い生産 性を取り戻すにはどうしたらよいか」である。 この 点 について、研 究 の 分 析 結 果 は 対 象と なった全てのタイプの企 業において、1 9 9 6 年から2 0 0 6 年の間に外 国 企 業が 一 番 高い

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在日米国商工会議所 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" したがって、日本に影響を与える主たる傾向と 経済的力学は次のようなものである。 ‡ 移民政策や労働市場に女性や高齢者を投入 するほか、労働生産性の向上によってGDP、 賃金、税収を引き上げて、落ちこみを相殺し ないかぎり、労働力供給の連続的な低下で、 さらに需要を冷やし税収基盤を失う。 ‡ 新市場に新規参入の波が興り、資本市場で 生 産 的な企 業の参 入 が 促 がされ 、非 効 率 な企 業の退 場がおきない限り、低い「 新 陳 代 謝 」と資 源の再 配 分の低 迷は続く。これ に 関 連 して 、民 間 企 業 部 門 で の 過 度 の 内部留保がデフレ効果を持つようになる。 ‡ 多くのサービス産 業では 速い 成 長 が 続く が 、その 生 産 性 の 成 長 は 鈍 い 。生 産 性 を 上げるための広 範なソリューションとして は 、新 し い ビ ジ ネ ス モ デ ル の 波 、新 規 参 入と、より大 きな I C T 投 資とそ の I C T 投資を使いこなすための組織的な構造改革 が必要であろう。 ‡ 製造業におけるグローバリゼーションによる、 さらなる「空洞化」と規模縮小。これは、GDP 全体の中で生産性の低いサービスの比率を 引き上げることになり、サービススセクター の生産性向上の必要性を増す。 日本の経 済 成 長 戦 略は、このように進 行して いるトレンドを矯 正し、対 抗 するよう設 計さ れることが必要である。 どのような企業や投資が経済活動を増やし、 雇 用 の 純 増 を 招 き、より高 い 生 産 性 指 数 を 上げるのか。 深尾・権レポートでは、外資企業、新規参入者、 R & D や国 際 化( 輸 出 関 連 や外 資 系を含 む ) に積 極 的な企 業が 直 近の分 析 期 間において 他 のタイプの 投 資 家 に比 べて目 立って高 い 生 産 性を示した。一 般 的には 、彼らはより多 くの 雇 用 を 生 み 、その 経 済 活 動 は日 本 の 成 長 に寄 与した 。分 析 では 新 興 企 業 やその 他 の新 規に立ち上 がった起 業 家 が日本の雇 用 に大 きく貢 献していることを明らか にした 。 ほど低いものであった。つまり、資 本 、労 働と 技 術の資 源を最 適に利 用する為の再 配 分の ペースが著しく鈍かった。それを最もよく示す 例として、何 年も生 産 性の高い企 業が業 界を 撤退し、生産性の低い企業が残り、従って業界 の平均生産性は落ちた。普通は、これとは逆の ことが 起きるはずである。その結 果 、「 残 存 」 企業の労働力の多くは凍結され、仕事の入れ 替 え 、再 訓 練 や 配 置 転 換 は日 本 が やるべき レベルには届かなかった。 こじらせた二つ目の要 因は、日本のサービス 産業は伸び続け、GDPの80%に達するに至った ことである。しかし、日本のサービス産業は何 十年もの間、低い生産性に苦しんでおり、その 傾向は残っていた。非製造産業の労働生産性は、 未 だに 米 国 の 水 準 の 半 分 以 下 である 。した がって、今や日本の経済活動の約80%が、低生 産性サービス業種によって構成されている。 この 圧 倒 的 にサ ービスを主 力とする経 済 転 換に貢献したものは、過去20年間にわたって 多くの 大 企 業 メーカ ー が 強 い 円 に 対 処し 、 グ ロ ー バ ル な 競 争 圧 力と闘うため に 、低 い 労 働コストを 利 用し、生 産 の 拠 点 を 海 外 に 移したことである。深 尾・権レポートは、上 場 企 業 の 多くと多 国 籍 企 業 が 不 振 に陥ったの は 2 0 年 間 で は なく、せ い ぜ い4、5 年 の 間 だったことを示している。彼らは 連 結 決 算で 黒 字 を 上 げ ても 、日 本 にお いて は ほとんど 新規雇用をしなかった。消費需要は低迷した ままであった。 深尾教授の広範な分析では、日本のサービス 産 業 の 低 い 生 産 性 は 、低 い( あるい は 遅 す ぎ た )I C T へ の 投 資 の 結 果 で あ る ことを 物 語 っており 、そ れ は 日 本 の 低 水 準 の「 無 形 資 産 投 資 」の 表 れ の 一 つということな の かもしれない。日本はサービス産業のR&Dに は多額の開発資金を投じるが、他国と比較する と 費 用 対 効 果 の 高 い I C T や I C T サ ー ビ ス と、ブランド・エクイティ、ビジ ネスモ デル 、 組 織 構 成 などの 部 門 に向けられる投 資 額 は 少ない。また、従 業員のための職 場 外 研 修に 投じる額も少ない。

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成長戦略タスクフォース白書 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" 選 ん だ 業 種 で は な いところで 起 きてい る 。 1996年から2006年の期間では、外国企業は 新しい 業 種 に 投 資した 。外 国 企 業 は 深 尾・ 権レポートで調べた112業種のうち、1996年 にはわずか 3 7 業 種 に不 在で、2 0 0 6 年 には さらに19にまで下がった。 新興企業とその他の新規参入企業 外国企業や日本企業の子会社を除いた独立系 企 業に限 定すると、2 0 0 6 年 現 在で1 9 9 6 年 以降に設立された「新規参入」の国内企業は、 過 去 5 年 の 間 にネットベースで 1 2 1 万 人 の 新規雇用を生み出したが、これは1996年以前 (図10参照)に設立された全企業で310万人 の雇用喪失が起きたことと好対照である。 古 い 企 業 と 違 い 、若 手 企 業 は ど の 業 種 に おいても平 均 で 雇 用 者 数 を 上 げ た 。彼らは 古い会社よりも高い定着率を持っていた。R&D に活 発な企 業と輸出や外 国 投 資 家など国 際 戦略を持つ企業は、その他の新しい企業よりも 高い生産性水準と生産性上昇を示した。 これ に 対して、独 立 系 の 大 企 業と1 9 9 6 年 以 前 に 設 立 され た 企 業 の 雇 用 者 数 は そ れ ぞれ2006年現在で1996年と比べて数百万 ほど減少した。 外国企業 深 尾 教 授 と 権 准 教 授 は 、サ ー ビ ス 産 業 に おいて外国企業の全要素生産性は、独立した 日本 企 業より( 他の要 因をコントロールした 上で比較して)平均で21%高いと推計した。 外 国 企 業 は 非 常 に 高 い 生 産 性 と 相 俟 って 1 9 9 6 年から2 0 0 6 年にかけて日本における 雇用を249,000人から405,000人へと60% 近く増加させた。外国企業によるこの156,000 人の純 増は、グリーンフィールド投 資や事 業 拡 張 によって起こった 。その 結 果 は 、図 9 に 示されている(M&A取引による雇用増効果は この図から除かれている)。 外 国 企 業 による投 資と雇 用 は 多くの 業 種 に 流 布し、しばしば日本 企 業が 拡 大 分 野として 日本の独立系企業 -3,752,215 日本企業の子会社 +96,501 外資系企業 +147,248

1996-2006間の雇用純増

(深尾・権レポートによる推計、企業レベルデータ) 図9 1996年以前に設立 -3,102,648 1996-2001に設立 +409,488 2001年以降に設立 +795,813

独立企業による2001-2006年における雇用純増

(深尾・権レポートによる推計、企業レベルデータ) 図10

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在日米国商工会議所 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" に、どの業種においてもその業種への新規参入 企業による雇用創出の貢献は大きい。 日本経済における現在と将来のドライバーと 成 長と生 産 性 の 根 源 は 何 か 。主 たる課 題と 障害とは。 深尾・権レポートの結論と含意は、日本の主要 な潜在的ドライバーと成長の根源として、以下 の事柄がある。 ‡ 国 内に向けた外 国 企 業の投 資はきわめて 高い生産性を持ち、その結果多くの雇用を 生む。雇用創出をもたらす対日直接投資の 貢献の多くは、今のところグリーンフィールド 市場参入か単なる事業拡大によるもので、 もし外 国 企 業によるM & Aが増えるならば この貢献はさらに伸びるであろう。 ‡ 起業家的経済活動。若手企業が1,000人 前後の従業員を抱えるまでに成長すれば、 純増ベースの雇用増貢献は大きい。 ‡ スピンオフとイントレプレナーを含む、一般 的な新 規 参 入 者 。新 規 参 入 企 業が 市 場に 高 い 生 産 性 と 新 し い ビ ジ ネ スモ デ ル を 持 ち 込 み 、規 制 緩 和 によってさらに 魅 力 的になる。 ‡ 政府の調達計画に中小企業者向けの予算 額 を 別 途 に 確 保して、その 枠 内 において 競 争 ベ ースで 業 者 を 選 ぶ などによって、 市場機能を生かしながら新規企業にとって 競争しやすくする。 ‡ 技術のより速い商業化と拡散。日本版バイ・ ドール法の拡充等により中小企業がより多く の大学の技術にアクセスしやすくなる。 ‡ 国内の新興企業や中堅企業によるR&Dと 輸出の増加。日本企業は最初から「Think Global」を実践しなくてはならない。 ‡ 労働市場でのより大きな公正さ、移動性と 流動性は、小企業が要員を採用したり撤退 するコストの削減を容易にする。セーフティ ーネットの拡充も従業員に再訓練を施すう えで、補完的に作用する。 子会社 1996年から2001年の間に、大手独立系企 業の子会社・系列企業は607,000人の雇用 者を減らした。次の5 年 間には、ネットベース で約703,000人増やしたが、増加のかなりの 部分は親会社のリストラによるものであった。 例えば 、2 0 0 1 年から2 0 0 6 年の間に全ての 子 会 社と親 会 社 の 雇 用 者 数 変 動 の 合 計 値 は1 1 3 万 人の純 減であった。そのようなリス トラは 往 々にして従 業 員の 賃 金 が 低 い 系 列 会 社への移 転を伴うので、本当の雇用ネット 増 にはならないし、一 度 限りの 現 象である。 し か し 、そ の 他 の ケ ース で は 、系 列 企 業 の ネット増は多分に親会社によって成功した企 業内起業(イントレプレナー)が、 意志決定を 速め、戦略に集中し、より厳密なガバナンスを 敷くために親会社から当該部門をスピンオフ させた結果起きたものである。 日本の多国籍企業 国際事業展開をする日本企業は、外資系企業 の次に高い生産性を上げた。しかし、その開き は大きく、しかも多くは日本での雇用の純増を 生まなかった。 日本はすでに再改造を始めている 特に歴 史の浅い産 業で、しばしばサービスセ クターかあるいは規 制 緩 和や業 界 再 編 が 進 んだ業 種で、1 9 9 5 年 以 降にできた企 業の多 くが2006年までに雇用者数で測った企業規 模で見ると、全 企 業のうちの上 位 1 / 4グルー プに名を連ねている(情報通信、保険、ホーム サービスがその例)。これはいくつかの業界に おいてダイナミックな変化が起こっていること の証左である。 そのほかのダイナミックな動きの兆候:15%以 上もの雇用削減をした業界が製造業を中心に 24あったが、サービス産業を中心に19の業種 で10%以上の雇用を増やした。これらの産業は 外資系参入企業があった業種で、彼らも新しい マーケット拡大に寄与したと考えられる。さら

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成長戦略タスクフォース白書 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" 設立された独立系企業(帝国データバンクの デ ータから抽出した5 万 社 )に関する詳 細な 分析である。 深尾・権レポートの結果と同様に、この分析は 会社法や労働法、産業の規制撤廃、大学の知 的 財 産 保 有や共 同 研 究に関する近 年の広 範 な改 革が 、日本における起 業にプラスの影 響 をもたらしていることを示唆している。以下は その事例のいくつかである。 ‡ 日本の新興企業のうち目覚ましい割合の企 業が、今や急速に高いレベルの成功を収めて いる。ごく最近の2006年の時点までに設立 され生き残った、データ内全企業の5%以上 が、2008年末時点でそれぞれの業界の売 上高ランキングで90パーセンタイル以内に 入っている。また、1999年に設立された企 業の9%近くが、2008年までに同水準に到 達している。(図11参照) 注目すべきは、このトレンドが2、3の業界に とどまらず、実 際に相当広 範 囲に広がりを 見せていることである。 ‡ I C Tを活用する産 業において、より大きな 投資をすることにより生産性を高めるICT投 資と関連の無形資産を増加させる。 経済成長を加速するうえで起きる課題と障害 には下記の事柄があるであろう。 ‡ 低 い 生 産 性 を 持 つ 旧 態 依 然 の 競 争 者 が 収縮し、市場退出に時間がかかる。 ‡ 超過貯蓄と、多くの大企業に見られるように、 現 金を投 資や配当に回さず負債の返 済に あてることなど、機 能 不 全に陥った企 業 統 治 が 、最 適 な 利 用のための資 源の再 配 分 を阻害する。 ‡ 労働市場の不全と流動性不足が、労働資源 の最適化を遅らせる。 Eberhart-Gucwaレポート:進展の兆し S t a n f o r d P r o g r a m o n R e g i o n s o f Innovation and Entrepreneurshipの 助成で書かれたEberhart-Gucwaレポートは、 1999年から2008年にかけて日本で新たに !" #" $" %" &" '!" '((( #!!! #!!' #!!# #!!) #!!$ #!!* #!!% 出所 +,,-./012,3/0145126,-0705184,90::.;6,<=->36スタンフォード大学

国内新興企業の業界売上高ランキング

業界ランキングで90パーセンタイル以内の%(設立された年別) 図11

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在日米国商工会議所 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" のに 必 要 な 時 間 が 短くなっていることを 示している。 ‡ 新規ハイテク企業のCEOの出身校が、日本 の 技 術 系 大 学 で ある 割 合 は 異 常 な ほど 高い 。また、海 外 の 大 学も多くのハイテク 企業のCEOを輩出している。 重要な分析結果と政策的含意 深尾教授と権准教授は、タスクフォースとの話し 合いの中で、日本の核心的な問題点は、生産性 の高い投資の欠如であり、これが構造的な低い 「新陳代謝」率と高齢化し縮小する労働力によ り増幅されていると指摘している。データによる と、多くの生産的企業が育つほど多くの雇用者 が採用される。生産性を上げることは、より多く の 投 資 を日 本 に惹 き付 け、経 済 成 長 を加 速 させ、好循環のサイクルを作ることになる。 した が って、日 本 は 、資 本 、労 働 力 、技 術 を 生 産 性の高い用 途に配 分または再 配 分する ことを加 速する政 策を採る必 要がある。すで ‡ 平均すると、最近の新興企業は古参の競合 他社に比べ、売上高ランキングを伸ばして いるようである(図12参照)。同レポートに よると、これら新 興 企 業は平 均してわずか 2、3年で業界売上ランキングで50パーセ ンタイル(中央値)内に入ったことが示され ている。1999年に設立された企業の売上 ベースの中 央 値 は、2 0 0 8 年までに約 7 0 パーセンタイル水 準になっている。この傾 向は、相当広範囲に分散されている。 ビジネス環 境の大きな変 化や新 規 参 入 者 にとって機会の拡大がなかったのなら、これ は驚くべき結果である。それどころか、新興 企業はゆっくりと 50パーセンタイルである 中央値へ引き寄せられると予想される。 ‡ 2004年から2008年に設立されたハイテク 企業のおよそ5%が、2008年までに5億円 の年間売上を達成している。このグループの 平均的企業は設立後2年を若干上回る若さ であることから、ベンチャー企業が成功する ! !"# !"$ !"% !"& !"' !"( !") !"* !"+ # $!!* $!!) $!!( $!!' $!!& $!!% $!!$ $!!# $!!! #+++ 出所 ,-./0123-401256237-.1816295-:1;;/<7-=>.?47スタンフォード大学

国内売上高ランクのパーセンタイル

(2008年時点、設立年別) 図12

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成長戦略タスクフォース白書 !" 総論:新成長戦略のすゝめ !" 日本の新経済戦略への舵取り  大 胆 な 新 国 家 経 済 戦 略を発 表し、実 行 に移 すにあたり、日本の指 導 者は、エコノミストで ある深 尾 、権 、Eberhart、Gucwaの 各 氏 が 提起した以下のような重要な課題を公に認め、 明確に対処する必要がある。 ‡ キーとなる存在は外資系企業、日本の起業 家 、新 規 参 入 者 :多くの 日 本 の 大 企 業 は 生 産 の 拠 点 を 海 外 に 移 すか 、リストラを 行った。将 来においては、未 開 拓の潜 在 的 な 成 長 は 引 き 続 き 新 規 参 入 者 、外 資 系 企 業 、起 業 家から生み出されるであろう。 既に過 去 1 5 年にわたってこれらの新しい 事業者は、主に日本の経済成長の鍵となる サ ー ビ ス 産 業 に お い て 、雇 用 の 純 増 と 生 産 性 向 上をもたらしてきた。リストラと 異なり、彼らがもたらす生産性向上は一時的 なものではなく、恒常的である。 ‡ キ ーとなるリソースは 突 破 的 技 術とノウ ハウ:日 本 はその 素 晴らしい 技 術 基 盤 を 起 業や産 学 連 携といった形を通じて商 用 化するために、先に述べたような投資家や 日 本 の 教 育 機 関 に 協 力 を 求 めてい か な けれ ば ならない 。日本 は 、新しいノウハウ と 技 術 を 持 ち 込 む 事 業 家 を さら に 引 き 寄せ、インターネット・エコノミーの恩典を 享 受することに努力しなくてはならない。 しかし、技 術 ベ ースを 強 化し利 用 する 過 程においては、日本は上からの指導ではな く市 場 が 有 力な 技 術 の 選 別 をできるよう 図るべきである。 ‡ 「内に向けたグローバル化」から得る便益: これらの恩恵は対日直接投資の増加、教育 政 策の変 更 、国 境を越えるR & Dと移 民な どといった 形 で 受 けられる 。このことで、 日本の労働市場に現在生じているギャップ を埋め、新しい技術やビジネス手法、戦略へ のアクセスが可能になる。 ‡ 規制環境を含めて、投資に向けた魅力ある 市 場 の 創 造:日 本 を 外 国 企 業 や 国 内 に 述 べ たとおり、エコノミストは 一 般 的 に 、 研 究 開 発 や 技 術 の 潜 在 的 な 利 益 は 、この 点 において極めて大きなものであると認 識して い る 。知 識 や 技 術 が より 速く拡 散 し 、市 場 化され、商業化されればされるほど、全要素生 産性の上昇は速くなる。 つまり、最も重要なのはスピードである。再配 分 が 速くな れ ば なるほど 、技 術 がより突 破 的 な 力を 持 てば 持 つ ほど 、投 資 対 象となる 市 場が内 外を問わず 大きくなればなるほど、 より良い 方 向 へと向 かう。いかなる政 府も、 今日の急速に変化するビジネス界においては、 勝 者を選 別することは 無 理であることから、 より効 率 的 な 市 場プ ロセスを 促 進 すること がもう一つのカギになる。一 貫した競 争 政 策 は極めて重要だが、労働市場及びこれに送り 込 む 教 育 シス テム も 同 様 に 極 め て 重 要 で ある 。な ぜ なら、今 日の 世 界 において、新 規 事 業 や 新 規 市 場 参 入 者 に は 、流 動 的 で 柔 軟 性 のある労 働 市 場 、そして国 際 的 に 機 能 し 得 るスキル を 持 ち 、高 度 な 能 力 を 持 った 人材を輩出する有能な教育機関が必要である ためである。 これらのニーズにうまく対応していけるだけの 大胆な経済成長戦略がないため、多くの日本 企業(特に中小企業や独立企業)は、競争力の 向 上に手 間 取っている。また、生 産 性の低い 旧来の競争相手ですら市場からの退出がなく、 依然として低水準な新興企業の市場参入率の 一因となっている。こうした状況で、あまりにも 多くの有望で収益性の高い技術が閉じ込めら れたままとなっていると思われる。多くの外国 企 業や国内企 業さえも、日本は魅力に欠ける 投 資 市 場 であると見 ているため 、対 日 直 接 投 資の伸びや「 内に向けたグローバル化 」も 低調にとどまっている。 深尾・権レポートとEberhart-Gucwaレポート のデ ータは 、過 去 1 5 年 間 の 改 革 がようやく 有 益 な 効 果 を 持 ち 始 めていることを 示して いる。両レポートは 、政 策 面でやらなけれ ば な ら な い こと が ま だ 山 積 み で あ る こと も 明確にしている。

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在日米国商工会議所 !! 総論:新成長戦略のすゝめ !! 就職でき、より良い就労機会を見つけること ができる環境を提供する必要がある。 ACCJは、日本政府がこれらの重要な課題を、 経済の回復と成長を促す効果のある新戦略と ビジョンの中核 的な構 成 要 素として認 識し、 以 下 に掲 げる八つの 提 言 書 に描 かれている 具体的な政策を実行するよう提議したい。この 白書 は 、総 論である本 章の 後 に続く、各々の 章は各提言書から成り立っている。 1. 起業を促進し市場にイノベーションをもた らし未来の企業や雇用を創出する 2. 成長促進及び雇用創出のため、対日海外直 接投資の拡大を 3. 全 ては 教 育 から 始 まる:日 本 の 国 際 化 、 若年層の再活性化、知識産業の推進を 4. 税制で成長と競争力を活性化させ、生産性 ある投資とイノベーションを推進 5. 日 本 への 投 資 を促 進させるため 、規 制 や 法制度の透明性及びアクセスを高める 6. 「オープンコンバージェンス」の推進でイン ターネット・エコノミーの最大化を 7. 労 働 流 動 性の向 上 が 、世 界 市 場 における 日本の競争力を改善 8. 投 資と成 長を刺 激するための日本の移 民 政策の緩和 また、日本 がどのように金 融セクターを強 化 し、グローバルな金融センターとしての役割を 増 やす 事 ができるか に焦 点 をあてた白 書 を 年内に刊行する予定である。 投 資 家 にとってより魅 力 的 な 市 場 にする ことは 急 務である。これには 、市 場 に目を 向けた税政の改革や慣習、規制、基準等の 調 和 、そして 取 引 の 複 雑 化 によるコスト 高 を 生じさせる規 制 の 緩 和 が 含 まれる。 また、日本にある外資系企業を日本経済に 不 可 欠なステイクホルダーとして認 知し、 審 議 会や研 究 会のような政 府の諮 問 機 関 などへの 参 加 を増 やすべく正 式 メンバー として招 致 することも適 切 である。また 、 それは、企 業のガバナンスとM & A 市 場を 改 善 することである。それによって、新 規 参入企業を排除している競争力がない日本 企 業 が 市 場 か ら 撤 退 す る 一 方 で 、競 争 優位性を持つ中核的企業領域にさらに投資 を行う事になる。 ‡ サ ー ビ ス 産 業 の 生 産 性 向 上 の 重 要 性: 日 本 の G D P の 8 割 は 製 造 業 で は なく、 サービス業によるものであり、日本が経 済 全 体 を支えるために、輸 出 主 導 型 の 製 造 業 の 成 長 に 頼 っていら れ た 時 代 は 過 ぎ 去 っ た 。I C T 及 び I C T サ ー ビ ス 投 資 の 促 進 を図りつつ 、サ ービス 業 の 生 産 性と 効率性を高めることが、至上命題である。 ‡ 労働市場の改善:日本の労働市場には、被 雇用 者が 離 職中に受けられる研 修を施す セーフティーネットに補完された、より高い 流 動 性 が 必 要 である。さらに日 本 の 大 学 は 、日 本 の 最 大 の 成 長 軌 道 が 依 存 す る 迅 速 な 新 規 市 場 参 入 企 業 と 投 資 家 が 求めるニーズに応えるため、より国際的で、 臨 機 応 変 で 、柔 軟 な 思 考 を 持 つ 学 生 を 輩出する必要がある。この新規雇用の多く がサービス、サービス関連産業で創出され、 そこでは迅 速な対 応と間 断のない調 整が 最 重 要 で あ る た め 、社 員 の 素 養 と 雇 用 慣行の柔軟性は特に重要である。 ‡ 職場の現実:日本の労働力は減少し続けて おり、このギャップを埋めるために、国は必然的 に 女 性 や 退 職 者 、移 民 を 労 働 力 として 活用しなくてはならないという厳しい現実が ある。政府は、これらの人々がもっと容易に

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