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病棟建て直し後の経営状態 A 病 院 全 国 平 均 年間金額 収入比 年間金額 収入比 医業収入 1,300,000,000 円 - 1,336,481,664 円 - 支払利息 35,000,000 円 2.7% 16,505,100 円 1.2% 税引前利益 40,000,000 円 3.1%

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Academic year: 2021

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西岡税理士事務所発

医 業 経 営 情 報

NO.48

今回のテーマ:事業計画の立て方

病医院を経営していく上で事業計画を立てる事はとても大切です。 特に、多額の資金を必要とする新規開業、分院開設または病棟の増改築等を計画され る時は、事前に事業計画を立てる事が必須ですし、病医院の経営改善を図る場合にも事 業計画はとても重要です。 ただ、中にはかなり楽観的な事業計画を立てた結果、病院経営が赤字になってしまっ たケースや、事業計画が収支計算書なのか損益計算書なのかはっきりせず、予想した利 益と実際の利益が大きく異なるケースも見られます。 そこで今回は、最近、当事務所で相談を受けた実例をまじえながら、事業計画の立て 方について書いていきます。

■病棟増改築等に関する事業計画の立て方

A病院は約100床の病院で、開業以来ずっと健全経営を行ってきました。病棟を建て直 す前までの経営状態は下記の通りです。 病棟建て直し前の経営状態 A 病 院 全 国 平 均 年 間 金 額 収入比 年 間 金 額 収入比 医 業 収 入 1,450,000,000円 - 1,466,179,536円 - 支 払 利 息 7,000,000円 0.5% 15,273,960円 1.0% 税引前利益 60,000,000円 4.1% 31,611,540円 2.2% ※全国平均値は中央社会保険医療協議会の平成15年6月分医療経済実態調査報告より計算しました。 A病院は全国平均に比べると税引前利益の比率が2%も高く、健全経営をしてきたのが わかると思います。 また、支払利息の比率が低いという事は、全国平均に比べて借入金残高が少ないとい う事を意味します。実際にこの時点でのA病院の借入金残高は約1億7千万円でした。 しかし、病棟建て替えを境にがらっと経営状態が変わりました。建て替え後の経営状 態は次ページの通りです。

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病棟建て直し後の経営状態 A 病 院 全 国 平 均 年 間 金 額 収入比 年 間 金 額 収入比 医 業 収 入 1,300,000,000円 - 1,336,481,664円 - 支 払 利 息 35,000,000円 2.7% 16,505,100円 1.2% 税引前利益 △40,000,000円 △3.1% 7,496,016円 0.6% ※全国平均値は中央社会保険医療協議会の平成17年6月分医療経済実態調査報告より計算しました。 全国平均の税引前利益の比率は平成15年6月の調査では2.2%あったのが、平成17年6月 の調査では僅か0.6%と、1.6%も下がっています。しかし、A病院は4.1%から△3.1% と、たった2年足らずの間に7.2%も下がってしまいました。 その原因の一つして支払利息が多い事が上げられます。年間3,500万円の利息を支払っ ているという事は、年利2%としても3,500円÷2%=17億5千万円の借入金となります。 実際にこの時点でのA病院の借入金残高は約16億5千万円でした。 過剰投資が経営を破綻させる典型的パターンですが、なぜ、A病院はこのような過剰 投資をしたかというと、建て替え前の事業計画に問題があったからです。 A病院は長い間、ある医業経営コンサルタントに顧問を依頼していましたが、そのコ ンサルタントが作成した事業計画書は銀行が貸してくれる限度額を元に作成していまし ................. た。 恐らく、最初に建設会社に理想的な建て替えプランを出させ、そのプランに必要な資 金を銀行から借りられるように収入を水増しした事業計画書を作成したのです。ですか ら計画書の元は銀行融資可能額となります。その証拠にA病院に追加工事の必要が生じ た時に銀行は一銭も追加融資に応じてくれませんでした。 本来、事業計画は返済可能な金額を元に作成するべきです。................ 当事務所が試算したA病院の適正な借入金額は返済期間20年とすると約8億円でした。 つまり適正金額の2倍も借りて病棟建て替えを行ったのです。借入金は建物だけでなく色 々な医療機器購入にも充てられていました。多額の資金を銀行から調達できたので気持 ちが大きくなり、理想とする病院を作ろうとしたのかもしれません。しかし、理想を追 ったために、病院経営が傾くのでは本末転倒と言えます。 事業計画の立て方 多額の資金を必要とする事業計画は、銀行が貸してくれる限度額ではなく、返済 可能な金額の範囲内で立てる事

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■経営改善に関する事業計画の立て方

●比較対象すべき収入は、前期実績収入ではなく、本来あがるべき収入 よく、経営改善会議で前期との比較表が使用され、顧問税理士等が「前年比+10 %となったので好調でした」と説明するのを聞きます。しかし、前期が本来あがる べき収入(以下、本来収入と書きます)の60%しかなかった場合、仮に当期が+10 %でも好調と言えるでしょうか? 本来収入とは、病棟であれば病床数×1床当たりの医療費、デイケア等の通所施設 であれば定員数×1名当たりの介護報酬により計算した金額です。 当期の収入が前期より増えたのは良い事ですが、増えてもなお本来収入から比べ ると少ないかもしれません。ですから経営改善で使用する比較対象は本来収入とす べきなのです。特に大きな診療報酬改定があった年は前期と比べても意味がありま せん。 なお、病院ではよく病床利用率等を使用しますが、経営改善に関する事業計画で は本来収入を使用される事をお薦めします。本来収入は後ほど説明する人件費率に も関係してくるからです。 ●人件費率が高い理由が何かを調べる 病院の経費の中で最もウェートを占めるのは人件費です。ですから、経営改善も 人件費をいかに抑制するかが最大のポイントとなりますが、この人件費率を単純に 他病院又は全国平均等(以下、他病院と書きます)と比べるのは間違いです。 人件費率は人件費÷医業収入で計算しますが、問題なのは医業収入です。ほとん どの病院は医業収入に自院の収入を使いますが、他病院と比べて高いかどうかを判 断する時は、人件費÷本来収入で計算すべきです。 仮に2つの病院があり、両方とも同じ病床数、同じ職員数、同じ給料水準だとして も、病院ごとの実際の医業収入で人件費率を計算すれば、病床利用率の低い病院の 方が人件費率が高くなるのは当然です。そして人件費率だけを見ると「うちの病院 は給料が高い」と思ってしまいます。 だから、本来収入による人件費率を使用し、本当に他病院と比べて給料水準が高 いかどうかを判断する必要があるのです。もし、本来収入による人件費率が他病院 と比べて高いのであれば原因をしっかり調べる必要があります。他病院の人件費率 は本来収入による人件費率ではなく、実際の医業収入による人件費率である事を考 慮すると、確実に人件費率が高いと断言できるからです。 その場合、まずは人員基準をオーバーしている人数及び人員基準とは関係ない事 務職や役員等の同族関係者(以下、基準外職員)が多くないかを確認する必要があ ります。人件費率が高い病院に見られる傾向として基準外職員が多い事が上げられ ます。もし医業収入が同じだとしたら、基準外職員が多くいる病院の方が人件費率 が高くなるのは当然です。

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●収入よりも利益が重要 例えばA商品は仕入値が100円で売値が120円、B商品は仕入値が60円で売値が 100円だとします。売値だけで見るとA商品を多く売った方がいいですが、利益で見 るとB商品を多く売った方がよくなります。どちらを売った方が手許に多くの現金 を残せるかと言えば利益の多いB商品となります。 これは病院経営についても同じです。入院料の異なる複数の病棟がある場合、単 純に収入だけ見ればA病棟の方が多いですが、人件費や薬品費等直接要する原価を 差し引いた利益で見ればB病棟の方が多いかもしれません。必ずしも収入が多い病 棟が利益が多いとは限りません。 ●部門別損益を把握する事が重要 上記の通り病棟や施設ごとで利益は異なります。ですから各部門ごとの損益を把 握する事はとても大切です。ここでも大切なのは病床利用率よりも利益で把握する という事です。例えばA病棟は80%の病床利用率で利益が出るかもしれないし、B 病棟は90%以上の病床利用率でなければ利益が出ないかもしれません。 ですから病棟や施設を一つの部門として利益を計算し、部門ごとに利益を出せる 収入は幾らなのか(この収入の事を損益分岐点といいます)を把握しておく事が大 切なのです。 そして、どの部門が赤字なのか、赤字部門は本当に必要なのか又は改善する見込 があるのか等を検討する事で初めて病院全体の経営が改善されていくのです。 単に病床利用率を上げろ、人件費率を下げろ、デイケアの人数を増やせと言い続 けても経営は改善されません。 事業計画の立て方 ・前年比で一喜一憂するのではなく、あくまで本来収入比で判断する事 ・人件費率が高い場合は、理由をちゃんと把握する事 ・部門ごと(病棟又は施設)の利益と損益分岐点をしっかりと把握する事

■事業計画書を作成する際の注意事項

●収支計算書なのか損益計算書なのかをはっきり区別する 収支計算書とは資金(お金)の収入と支出を表にしたもので、資金繰り表とも呼 んだりもします。都道府県へ提出する事業計画書等が収支計算書です。 これに対して損益計算書とは収益と費用を表にしたもので、会計事務所が作成す る試算表や税務申告書に添付する決算書等が損益計算書です。 収支計算書と損益計算書の主な違いをまとめたのが次ページの表です。

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収支計算書と損益計算書の主な違い 収 支 計 算 書 損 益 計 算 書 医業収入 入金された月に収入として計上 請求した月の収益として計上(入金さ れた月ではない。したがって未収であ っても収益として計上する) 銀行借入金 借り入れした金額を収入として計上 借りただけなので収益ではない 資産の購入 出金した月に支出として計上 高額な資産の場合、減価償却資産とす る為、費用にならない。 減価償却費 出金されないので計上なし 費用として計上 借入金元本返済 返済した月に支出として計上 借りたものを返しただけなので費用で はない 上記の通り、収支計算書で計算した利益は、損益計算書の利益とは大きく異なり ます。この事をよく理解しておかないと決算申告時に慌てることになりかねません。 特に高額な資産を購入した時は、収支計算書では支出となりますが、損益計算書で は減価償却資産となり費用になりませんのでご注意下さい。 ●税金の納付を忘れない 病医院職員が作った事業計画書や、他のコンサルタントが作った事業計画書の中 には税金の納付を考慮していないものがありました。税金の納付のある・なしでは 資金計画が大きく異なりますのでご注意下さい。 ●なるべく根拠のない収入予測を立てない 病棟増改築等に関する事業計画の立て方で、返済可能な金額の範囲内で立てると 書きましたが、この返済可能な金額の算定の際に、根拠のない収入予測を立てるの は非常に危険です。例えば何ヶ月後には病床利用率が○%になっているだろうとか、 一ヶ月に外来患者が○人づつ増えるだろうとかです。ある程度はこのような予測を する事が必要ですが、出来るだけ現在の収入を元にして、根拠のない予測は極力避 けるべきです。特に経営改善に関する事業計画を立てる時は、どのようにすれば病 床利用率が改善するか又は患者が増えるのか検討した上でないと、単なる希望的目 標値となってしまいます。 もし、増築を計画する時でも現在の収入で返済できる範囲で借入をすれば、余程 の事がない限り、銀行返済が出来ない事態にはなりません。 ※ 減 価 償 却 費 と は 、 長 期 間 に わ た っ て 使 用 で き る 高 額 ( 30万 円 以 上 ) な 備 品 や 建 物 等 ( こ れ を 減 価 償 却 資 産 と い い ま す ) を 購 入 し た 場 合 は 、 購 入 し た 年 だ け の 経 費 と す る の で は な く 、 長 期 間 に わ た っ て 経 費 に す る と い う 税 制 に よ り 計 算 し た 費 用 を い い ま す 。何 年 間 使 用 で き る か は 国 税 が 定 め た 法 定 耐 用 年 数 に よ り 算 定 し ま す 。 し た が っ て 、 減 価 償 却 資 産 を 取 得 し た 時 は 出 金 は し て い る が 費 用 に は な ら ず 、 翌 年 以 降 に わ た り 減 価 償 却 費 を 計 算 す る 時 は 出 金 は し て い な い が 費 用 に な り ま す 。

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初期投資を極力抑える必要があります。何せ事業計画の元が根拠があまりないので すからリスクを最小限に止めるよう心掛けて下さい。 ●事業計画は収支計算書と損益計算書の両方で作る 損益計算書だけで事業計画を作るケースが多いようですが、損益計算書による事 業計画で利益が出ていても、借入金が多額な場合や返済期間が短い場合には収支計 算書で見ると赤字の場合がよくあります。 特に病棟を建築した場合にはこのような現象がよく見られます。理由は病院用の 建物は法定耐用年数が39年(鉄筋コンクリート造の場合)であるのに対し、銀行借 入の返済期間は最長でも20年となる場合が多いからです。 単純に考えても減価償却費として損益計算書で費用に計上できる金額は、借入金 元本返済として収支計算書で支出に計上する金額の1/2となります。費用に計上 できる金額が少ない = 利益が出やすいという事です。 イコール その上、利益が出れば税金が発生します。税金の支払いは当然収支計算書の支出 となりますので、建物を建築した時は、どうしても収支計算書の方が利益が出づら くなりますのでご注意下さい。 平成18年7月31日

西岡秀樹税理士事務所

http://www013.upp.so-net.ne.jp/nishioka/ 文 責 西岡秀樹

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