医療保険制度
2014 社会保障法 1 国民皆保険 2 健康保険制度の被保険者と被扶養者 (1) 強制被保険者 強制適用事業所(法3条3項1号)で、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所に使用 される者。および、「国、地方公共団体又は法人の事業所」で常時従業員を使用するものに使 用される者。 ただし、 ① 船員保険の被保険者 ② 所在地が一定しない事業所に使用される人 ③ 国民健康保険組合の事業所に使用される人 ④ 健康保険の保険者、共済組合の承認を受けて国民健康保険へ加入した人 ⑤ 後期高齢者医療の被保険者等 は除かれる。 (2) その他の被保険者 (3) 被扶養者 健康保険法において被扶養者とされる者はつぎのとおりである(後期高齢者医療制度の被保 険者は除く)。 (a) 被保険者の直系尊属、配偶者(内縁関係を含む)及び子であって、主としてその被保険者 により生計を維持するもの。 (b) 被保険者の3親等以内の親族であって、その被保険者と同一世帯に属し、主としてその被 保険者により生計を維持するもの。 (c) 被保険者と内縁関係にある配偶者の父母及び子であって、その被保険者と同一世帯に属し、 主としてその被保険者により生計を維持するもの。 (d) 被保険者と内縁関係にあった配偶者の父母及び子であって、その配偶者の死亡後引続きそ の被保険者と同一世帯に属し、主としてその者により生計を維持する者。 かつ、 (e) 認定対象者が被保険者と同一世帯に属する場合には、その者の年間収入が、130 万円未満 であって、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満である場合には原則として被扶養者とす る、 (f) 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合は、その者の年間収入が 130 万円 未満であって、かつ被保険者からの援助による収入額より少ない場合には原則として被扶養国民皆保険
国民 共済制度 健 康 民間労働者 公務員等 保 家族 険 自営業者・無職他 国民健康保険 1961(昭36)年4月~医療保険全体図
者とする、 とされている(昭52.4.6 保発9号・庁保発9号等)。 * パートタイム労働者の取扱 パートタイム労働者であっても、当該事業所の通常の労働者の月の通常労働日数及び1日 の労働時間の 3/4 以上労働していれば、被保険者となる。 3 国民健康保険制度の被保険者 市町村に住所を有する者のうち、雇用者保険各法と後期高齢者医療制度による適用対象者を除 いた全ての者を被保険者とする。 適用が除外され、被保険者となれないのは、(a) 健康保険法の被保険者、(b) 船員保険法によ る被保険者、(c) 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法によ る組合員、(d) 健康保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法の被 保険者の被扶養者、(e) 日雇労働者健康保険者手帳の交付を受けている者及びその被扶養者、 (f) 後期高齢者医療制度の被保険者、(g) 生活保護法による保護を受けている世帯に属している 者などである。 4 医療保険制度の財源 (1) 保険料 (a) 健康保険制度 健康保険の保険料は、被保険者と事業主(雇用主)とが折半する。 その額は、【標準報酬 × 保険料率】で算定されるが、保険料率は都道府県によって異な っている。 (b) 国民健康保険制度 保険料の納付義務者は世帯主であり、国民健康保険組合の場合は組合員とされている。市 町村国民健康保険の場合、世帯主が被保険者でない場合でも納付義務を課せられている(山 口地裁昭和 44.3.31.行裁例集 20-1・2-323)。市町村国民健康保険の場合、保険料は地方税法に よる国民健康保険税として徴収することができるとされており、多くの市町村は保険税とし て徴収している。 所得割① 応能割 資産割② 保険料(税) 被保険者均等割③ 応益割 世帯別均等割④ * この他、①・③・④の組合せや、①③の組合せもある。 (2) 国庫補助等 (a) 健康保険制度 (b) 国民健康保険制度
5 保険給付(70 歳未満の者に対するもの) (1) 健康保険制度 (a) 療養の給付(家族療養費) 業務外の傷病を受けた場合に、診察、薬 剤、治療材料の支給、処置、手術、病院・ 診療所への収容などの保険者が認める範囲 内の治療を治癒するまで支給する。 給付率は、本人・被扶養者ともに、医療 費の7割である(小学校入学前の児童につ いては8割)。 (b) 入院時食事療養費 医療機関に入院し、食事の提供を受けた ときに支給される。その額は、食事に要した額から、厚生労働大臣が定める標準負担額(一 般・1食260 円)を控除した額。 (c) 入院時生活療養費 療養病床に入院する 65 歳以上の者の生活 療養に要した費用について、支給される。 その額は、厚生労働大臣が定める算出基 準による生活療養費から、平均的な家計に おける食費及び光熱水費の状況等を勘案し て厚生労働大臣が定める生活療養標準負担 額(一般:食費・1食460 円、居住費・1日 320 円)を控除した額。 (d) 保険外併用療養費 保険者が認める範囲の治療(保険診療)に対して、保険者が認めていない治療を「保険外 診療(自由診療)」という。保険診療部分と保険外診療の部分とが混在する診療(混合診療) について、厚労省は「患者の負担が不当に拡大するおそれ」や、「科学的根拠のない特殊な 医療の実施を助長するおそれ」があるとして、これを認めない。その結果、診療の一部であ っても保険外診療があると、保険診療分も含めて、医療費の全額が自己負担となる。 ただし、保険外診療を受ける場合でも、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定医療」 については、保険診療との併用が認められ ており、通常の治療と共通する部分(診察 ・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般 の保険診療と同様に一部負担金を支払えば 足り、残りの額は「保険外併用療養費」と して健康保険から給付が行われる。 【評価療養】…先進医療、医薬品の治験に 係る診療、医療機器の治験に 係る診療、薬価基準収載前の 承認医薬品の投与、保険適用 前の承認医療機器の使用、薬価 (協会けんぽHP より) 基準に収載されている医薬品の適応外使用 【選定療養】…特別の療養環境の提供、予約診療、時間外診療、200 床以上の病院の未紹介 患者の初診、200 床以上の病院の再診、制限回数を超える医療行為、180 日を 超える入院、前歯部の材料差額、金属床総義歯、小児う触の治療後の継続管理 食事療養費 (厚労大臣の算出基準による) 標準負担額 入院時食事療養費 =保険負担 患者負担
入院時生活療養費
(全国健康保険協会庁HPより)(e) 訪問看護療養費(家族訪問看護療養費) 老人以外の被保険者やその被扶養者が、在宅で継続して療養を受ける場合で、医師の指示 により指定訪問看護事業者の指定訪問看護を受けたときに支給。 その額は、指定訪問看護に要した費用の7割である。 (f) 療養費 緊急又はやむを得ない理由があって保険医療機関以外の病院や診療所で診療を受けたとき などであって、保険者が認めたときには、療養の給付にかえて療養費が支給される。 支給される額は、療養の給付の場合と同額(率)である。 (g) 移送費(家族移送費) 入院、転院又は転地療養が必要であると医師が認めた場合、傷病のため歩行ができないか または歩行が困難な場合で、保険者が必要と認めたときに支給される。 支給される額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の旅費にもとづ いて算定した額の範囲での実費である。 (h) 傷病手当金 傷病による療養のため働くことができず、賃金を受けられない場合に、就労不能の日から 起算して4日目から1年6カ月目まで支給される(被保険者本人のみ)。受けられる額は、 標準報酬日額の3分の2である。 * 内職や副業程度のものに従事できない場合には支給されない(最判昭49・5・30 判時 743・47)。 * 資格喪失前に引き続き1年以上被保険者であった者が、傷病手当金を受けている間に 資格を喪失したときにも、残りの期間は受けられる。 (i) 埋葬料(家族埋葬料) 被保険者が死亡したとき、埋葬を行った家族(被保険者に生計を維持されていた者であれ ば被扶養者でなくてもかまわない)に5 万円の埋葬料が支給される。 また、死亡した被保険者に家族がいないときは、埋葬を行った者に、埋葬料の額(5 万円) の範囲内で、埋葬にかかった費用が埋葬費として支給される。 (j) 出産育児一時金(配偶者出産育児一時金) 被保険者及びその被扶養者が産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産をした ときに、1 児ごとに 42 万円を支給する。(それ以外の医療機関で出産した場合は、39 万円)。 協会けんぽから医療機関等に直接支払う仕組み(直接支払制度)と、医療機関等が被保険 者に代わって受け取る受取代理制度とがある。 (k) 出産手当金 被保険者が出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないとき、1日につき標準 報酬日額の3分の2に相当する額を支給する。 (l) 高額療養費 被保険者・被扶養者ともに、同じ月内に、同じ病院に支払った保険診療の費用(自己負担) が一定額を超えたときに、超えた額を支給する。ただし、差額ベット料等については対象と はならない。
(m) 高額介護合算療養費 同一世帯内に介護保険の受給者がいる場合に、1年間(毎年8月1日~翌年7月31 日ま で)にかかった医療保険と介護保険の自己負担額の合算額が著しく高額になった場合は、 負担を軽減するために自己負担限度額を超えた額が医療保険、介護保険の自己負担額の比 率に応じて、健康保険から支給される。 * 基準額(協会けんぽHP より) (赤字は、平成20年4月~平成21年7月の16か月間の自己負担額) (2) 国民健康保険制度 (a) 絶対的法定給付 保険者が給付を行わなければならないとされる基本的な給付。 … 療養の給付、療養費の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、 訪問看護療養費、移送費、高額療養費、高額介護合算療養費 (b) 相対的法定給付 原則として保険者が給付を行わなければならないとされる給付。ただし、給付水準は保険 者ごとに定めることができるほか、財政上の理由があるときには給付を行わないことも認め られる。 … 埋葬料、出産育児一時金(注) (注) 出産育児一時金については、現在、すべての保険者で、 健康保険制度と同一内容の給付を行うこととされている。 (c) 任意給付財政的な裏付けのもとに、条例又は規約の定めるところにより給付。 … 傷病手当金の支給