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多国籍企業のCSRに関する一考察─スターバックスの事例を中心として─ 利用統計を見る

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多国籍企業のCSRに関する一考察─スターバックス

の事例を中心として─

その他(別言語等)

のタイトル

?于跨国公司CSR的考察─以星巴克事例?中心─

著者

張 赫

著者別名

ZHANG He

雑誌名

東洋大学大学院紀要

54

ページ

61-77

発行年

2017

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00009660/

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目  次 Ⅰ はじめに Ⅱ 企業の社会的責任(CSR)の歴史と各国の特徴 Ⅱ—1 企業の社会的責任(CSR)の歴史 Ⅱ—2 各国のCSRの特徴 ①欧米のCSRの特徴 ②日本のCSRの特徴 ③中国のCSRの特徴 Ⅲ 多国籍企業のCSRの現状 Ⅲ—1 多国籍企業のCSRの展開 Ⅲ—2 多国籍企業のCSRの標準化アプローチ Ⅲ—3 多国籍企業のCSRの適応化アプローチ Ⅳ スターバックスのCSR Ⅳ—1 ターバックスのCSRの特徴 ①倫理的調達 ②人材の育成 ③環境への取り組み ④地域貢献 Ⅳ−2 ターバックスのCSRの各国での展開 ①欧米におけるスターバックスのCSR ②日本におけるスターバックスのCSR ③中国におけるスターバックスのCSR Ⅴ むすびに代えてースターバックスのケースから見た多国籍企業のCSRの今後

多国籍企業のCSRに関する一考察

─スターバックスの事例を中心として─

経営学研究科経営学専攻博士後期課程1年

張   赫

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Ⅰ はじめに

企業の社会的責任とは、企業倫理的観点から事業活動を通じて自主的に社会に貢献する責 任のことである1。英語ではCorporate Social Responsibility(略称はCSRである)と標記さ

れている。企業の社会的責任(CSR)についてさまざまな定義がある。アンダーソン (1994)2によると、社会的責任という概念は昔から存在してきた。しかし、今まで発展して きたものは、現代の社会的責任に対する最初の解明として「ビジネスマンの社会的責任」3 よって始まったものだと言われる。 日本の学者である水尾は「企業組織と社会の健全な成長を保護し、促進することを目的と して、不祥事の発生を未然に防ぐとともに、社会に積極的に貢献していくために企業の内外 に働きかける制度の義務と責任」と定義している4 現在、「企業の社会的責任(CSR)とは、企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が 社会へ与える影響に責任を持ち、あらゆるステークホルダー(利害関係者)からの要求に対 して適切な意思決定をすることを指す」と記述されている5。1980年代から1990年代初期、 一部の企業では多様な人材の活用、政府や地域などへの情報公開など、主に人事・マーケテ ィングなどの部門で、CSRの取り組みが行われていた。特に近年、グローバル化が急速に発 展していることに伴って、多国籍企業のCSRに対する期待が高まっている。より多くの多国 籍企業は、ただ利益を追求するのみならず、その事業活動が社会へ与える影響を考え、積極 的に社会的、環境的課題の解決に向けた取り組みを始めている。多国籍企業のCSRは、新た な事業の創出と新規市場の開拓と合う自身の持続可能な発展にもつながることである。した がって、各企業にとってCSRの重要性はますます高まっていくと考えられる。 本研究では、多国籍企業のCSRについての考察を通じて、多国籍企業はその海外進出する 際に自社のブランドバリューを高めるために、また、現地の競争優位を獲得するために、ど のようにしてその社会的責任を果たしていくのかについて整理してみたい。そして、アメリ カの大手企業であるスターバックスの事例を取り上げ、多国籍企業のCSRのあり方とその主 な課題についても分析を試みることとする。

Ⅱ 企業の社会的責任(CSR)の歴史と各国の特徴

Ⅱ−1 企業の社会的責任(CSR)の歴史 CSRの起源は、1920年代の教会を中心としたアルコール、タバコと武器などを排除するた めの投資活動から生まれたものだと言われる。1970年代に入ると、環境問題、公民権運動と 戦争反対などで学校などの機関が企業の社会的責任を求めるようになった。さらに、1990年 代にアメリカにおける社会的責任を果たしていると判断された企業の株価を基準とする指標 「Domini 400 Social Index」6が開発された後、CSRに積極的に取り組むようになったという

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Ⅱ−2 各国のCSRの特徴 CSRは国家、地域また企業により発展の仕方が異なる。次には、各国・地域のCSRの特徴 についてみることとする。 ①欧米 ヨーロッパではCSRは企業の持続的発展に対する必要不可欠な要素であり、また、企業に とっては未来に投資する必要な活動を行うことであると認識している。ヨーロッパで消費者 に対してイメージ向上を狙うなどの活動はCSRとして評価されていない一方で、環境や労働 などに関する市民の意識が高いのである。そして、ヨーロッパが主導的にさまざまな基準を 整備するとともに、企業としてCSRに対する取り組みは包括的で、企業活動の根幹として根 付いている。 アメリカでは、従来企業が株主のものであるという考え方があり、一般の市民にも株主へ の説明責任という観点から、企業のCSRへの理解と認識は深い。 1990年代の後半から、企業に対する法律遵守、コミュニティーへの貢献と環境への配慮な どが求められ、CSRが重視されるようになり、2000年代になるとアメリカにおける企業に対 する社会的責任を法律で定めていくというような法的整備などが進められていくようになっ た。この背景には、企業の社会環境が整えられると同時に、労働者の人権の保護に関して も、国際的に関心が高まるようになったのである。 また、グローバル化は急速に発展していることに伴って、企業の社会的責任の問題は新た な局面を迎えている。企業とステークホルダーとの間にさまざまな問題が発生したからであ る。アメリカ政府は、その企業が起こす諸問題について、企業改革法などを成立し、企業経 営者に各ステークホルダーに対する説明責任の徹底を求めるようになったのである。 ②日本 日本では1970年代から企業の社会的責任(CSR)ということばを使われていた。しかし、 今までは企業活動において利益だけを追求する経営者は多く、小さな企業においてはCSR活 動への取り組みはほとんど進んでいないのが現状である。 一方で、近年の日本における不祥事が頻発したことに対応するために、経済団体などは CSRの普及に努力しているのも事実である。日本で圧倒的に多い中小企業のCSRに関する意 識の変化には時間がかかるのであるが、CSRは日本企業のグローバル化にとって避けて通れ ない重要な課題となってきているのである。 ③中国 近年、中国の経済が急速な発展を遂げたとともに、企業のCSRへの関心も高まっている。 2005年だけでも中国全国で主催したCSRに関するセミナーが100以上あった。変化の要因が いくつかがある。まず、内的要因から見ると、中国では環境汚染問題が深刻である一方で、 多国籍企業が安い労働力を求めて中国に進出することに伴って労働問題も顕在化しているの

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である。外的要因から見ると、グローバル化に進展していることで、ますます多くの企業は 国境を越え、そのサプライチェーンの強化とともにCSRも中国へ波及しているのである。一 方で、世界市場に進出する中国企業はその競争力を高めるために、CSRへの対応が必要とな っている。また、中国では貧富の格差が大きく、農村部などの地方では医療技術が遅れてお り、農民らが医療扶助などの社会保障を受けられなく、子どもは義務教育すら受けられない という問題が深刻である。したがって、中国には本国にある企業にしても、外国に進出して いる企業にしても、CSRへの取り組みは重要な課題となっているのである。

Ⅲ 多国籍企業のCSRの現状

Ⅲ−1 多国籍企業のCSRの展開 多国籍企業には、さまざまな定義がある。ダニングは「多国籍企業とは、海外直接投資 (FDI)を行い、1ヵ国以上において付加価値活動を所有もしくはコントロールする企業であ る」7と定義した。また、『多国籍企業と新興国市場』の中で、「多国籍企業は、国境を越えて の資本移動、つまり直接投資を行い、環境の異なる複数国で事業活動を行なっている」企 業8と定義されている。各企業は国際的な視野が求められ、競争優位を獲得するために経済 活動は本国に限らずグローバル化に展開している。そして、さまざまな業界における企業は ただ利益を追求するのみならず、自社のブランドイメージを高めると社会的責任を果たすよ うに努力している。したがって、CSRは企業のグローバル化の展開に対して重要な役割を果 たしていると認知される。特に、近年ではますます多くの多国籍企業が積極的にCSRのイベ ントに取り組む姿勢を見せるようになってきている。 その変化の原因は2つある。1つは、多国籍企業自身の意識変化である。もう1つは、多国 籍企業に対するステークホルダーの姿勢の変化である。多国籍企業が変化した経営環境を素 早く対処しなければ、社会問題が起きたら自社のブランドイメージに傷つくだけでなく、ス テークホルダーからの批判も浴びかねないのである。 こうした企業の動向に対して、高巌氏は「この歴史的潮流は、もちろん企業の主体的努力 の結果であるかもしれないが、そうした努力を引き出した背景に、国際社会からのさまざま な圧力や動きがあったことを忘れてはならない」と指摘している9。つまり、CSR活動を展 開している多国籍企業に対する株主のみならず、さまざまなステークホルダーからの圧力に 対処する必要があると考えられるのである。 CSRは欧米を中心に発展してから、企業と経営者だけでなく、国際関連機関、政府、労働 組合とNPO、NGOなど多様な機関や組織にも重視され、広がってきているのである。1976 年に経済協力開発機構(OECD)は多国籍企業に関するガイドラインを採用したのである。

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Ⅲ−2 多国籍企業のCSRの標準化アプローチ 多国籍企業はその国際的なマーケティング活動を展開する場合、標準化アプローチと適応 化アプローチという2つの戦略がある。標準化アプローチとは「自国と、あるいはグローバ ルとほぼ同一の国際マーケティング活動を行うこと」と定義され、適応化アプローチとは 「現地の市場環境に合わせて国際マーケティング活動を行うこと」と定義されている。そし て、企業が海外に進出する場合、標準化戦略を採用した時、同一の製品とブランドを展開 し、すべての戦略を一貫して実施することが可能であるため、数多くのメリットを有する。 一方で、標準化戦略にはデメリットもある。次は、標準化戦略のメリットとデメリットにつ いて検討してみよう。 標準化のメリットは非常に大きいと思われる。自社で在庫管理や生産した商品が世界の市 場で顧客に同時に受け入れられるのであれば、規模の経済性といった恩恵を享受することが できる。そして、同じ規格で作り、それを輸出していけば、開発費にしても製品コストにし ても減少できるのである。また、世界の市場で自社のブランドイメージを創造できる。さら に、企業について標準化戦略によりマーケティング計画を世界的な規模で推進していくこと ができるようになり、製品失敗のリスクを削減できる利点もあげられる。 標準化戦略のデメリットは、本社による各子会社への標準化された製品の独自性が少ない ことより現地の個別ニーズに対応しにくく、顧客に高い満足度を与えることが難しいことが 上げられる。 Ⅲ−3 多国籍企業のCSRの適応化アプローチ 適応化のメリットは企業が海外に進出する際に設定したターゲットの感覚と個別ニーズな どを満たす商品を提供することが可能となるより、現地市場の拡大に結びつくこと、また、 顧客の満足度を高めることが可能となることである。さらに、現地に対応する商品の生産や 開発を行うことにより、子会社の発展に対するモチベーションを高めることが可能であると 考えられる。しかし、その反面、適応化のアプローチによるデメリットは、企業がグローバ ル化に展開すると同時に多数の国に応じた戦略を考えなければならず、コストが高くなり規 模の経済性が期待できず、世界的なブランドとして認知されることが難しくなるのである。 標準化アプローチもしくは適応化アプローチのどちらを選択した方がいいのかは企業にと っての大切な課題であり、その問題に対して今までさまざまな論議が繰り返されてきたので ある。実際には、企業が海外進出段階より標準化か適応化かという単純な選択ではなく、両 者のバランスを取るべきであろう。つまり、企業がグローバル展開をする際のアプローチの 仕方としては、適応化するべき部分は適応し、標準化の可能な部分は標準化にする。そして、 もう1つ選択はハイブリットなアプローチ(標準化・適応化アプローチ)である。 多国籍企業であるスターバックスは標準化と適応化の同時達成を果たすために、共通的な

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基幹部分を標準化してグローバルに取り組む同時に、各国の事情に合わせたCSR活動を展開 している。例えば、日本では積極的に環境問題に取り組んでおり、また中国は都市部と農村 部の格差を是正するような支援がなされるなどである。このように、ただ標準化のCSRを一 貫させてグローバルに展開するのみならず、各国の経営環境に適応させたCSR活動を行い、 世界的に同一のブランドイメージを確保することができるとともに、各国の個別なニーズに 対応することもできるのである。さらに、各国の子会社がCSRに関するモチベーションの意 欲も向上にしてきたのである。

Ⅳ スターバックスのCSR

Ⅳ−1 スターバックスのCSRの特徴 ①倫理的調達 スターバックスは多くの国際フェアトレード(Fair trade)認証10のコーヒー豆を購買す る企業である。2004年に国際環境NGOのコンサベーション・インターナショナルの協力を 獲得し、「C.A.F.E.プラクティス」という持続可能な調達ガイドラインを作った。NPOとの パートナーシップを活かしながら、地球環境に配慮して、持続可能性を追求している。 C.A.F.E. (Coffee And Farmer Equity)プラクティスと名付けられた購買ガイドラインは、 労働環境の改善、児童労働の規制をはじめ、土壌侵食や汚染防止などの生物多様性の保全に 対する取り組みを含めた包括的かつ測定可能な基準である。2004年に導入された背景には具 体的に3つの基本的な考え方があった。まず、持続可能性の全体戦略には、品質・社会・環 境・経済に関する基準を含める必要がある。次に、コーヒーに支払われるプレミアム価格 は、最高品質との強い結びつきがある。最後、生産者が収穫物の公正な対価を受けているか どうかを評価するには、経済の透明性が必要である11 スターバックスはコーヒー豆の品質と生産性を高めるために、コーヒー豆の生産地にファ ーマーサポートセンターを設立し、直接生産者の技術養成と支援を行っている。C.A.F.Eプ ラクティスによりスターバックスとコーヒーの生産者は相互的に利益がもたらされるととも に強い関係を築き、長期的な契約関係を結ぶことである。さらに、同社はコーヒー苗を植え る農民と協力し、現地生産者と農民の生活水準を引き上げる力を入れながら、コーヒーの品 質を高めるように生産コストの削減について支援している。スターバックスは世界の顧客に おいしいコーヒーを提供し続けるために、高品質なコーヒー豆を調達することが大切である と認識しており、地球環境に遠慮した栽培のやり方を一歩ずつ進んできたのである。2004年 には14.5%、2008年には77%、さらに2015年の4月以降、スターバックスは99%のコーヒー を倫理的に調達することに至った。ところが、スターバックスは99%調達することに満足せ ず、100%の調達目標を目指して最後の1%を追求しているのである。

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― 67 ― ②人材育成 スターバックスは「人を尊重する経営」という理念を中心に人材育成に優れる企業として 有名である。企業には大切なのは利益であるが、スターバックスの場合は、社員と地域を重 んじれば利益はついてくるという経営をしてきた。それは、スターバックスの人事戦略の特 徴としている人材育成システムにも反映されている。「われわれの顧客の期待に応えるため には、まずパートナーの期待に応えなければならないと考えている。」と、スターバックス の会長であるハワード・シュルツはこのように言っている。 近年、スターバックスでのアルバイトは人気が高く、多くの若者が応募している。また、 同社が正社員は年間8%、アルバイトは年間40%という低い離職率である。他社に比べると、 長く働き続けている人が多いのである。このような人材育成戦略を採用し、パートナーの能 力を育てるとともに顧客のロイヤルティーも高まってきた。さらに離職率が低いことで、企 業のコスト削減にもつながるのである。 グローバル企業であるスターバックスは人材を採用する際には、企業の価値観に合う人を 採用することは同社の人事方針である。そして、一人前のパートナーになる前には80時間の 研修を受けることが必要である。スターバックスの価値観、歴史などを習得する上で、コー ヒーに関する専門知識や産地別知識などを身につける必要がある。その80時間の中にスター バックスのパートナーは研修の最後に、「バリスタ認定」というテストがある。パートナー にとって、バリスタという認定テストを合格した後エスプレッソやラテといったコーヒーを 淹れる人としてはじめて名乗ることができるのである。 そして、パートナーはまた継続的な学習を促進するために、日々の職場におけるOJL(On

図 1 スターバックスの世界展開の分布図 出典:(https://ja.wikipedia.org/wiki/)2017 年 9 月 8 日にアクセス ②人材育成 スターバックスは「人を尊重する経営」という理念を中心に人材育成に優れる企業 として有名である。企業には大切なのは利益であるが、スターバックスの場合は、社 員と地域を重んじれば利益はついてくるという経営をしてきた。それは、スターバッ クスの人事戦略の特徴としている人材育成システムにも反映されている。「われわれ の顧客の期待に応えるためには、まずパートナーの期待に応えなければならないと考 えている。」と、スターバックスの会長であるハワード・シュルツはこのように言っ ている。 近年、スターバックスでのアルバイトは人気が高く、多くの若者が応募している。 また、同社が正社員は年間 8%、アルバイトは年間 40%という低い離職率である。他 社に比べると、長く働き続けている人が多いのである。このような人材育成戦略を採 用し、パートナーの能力を育てるとともに顧客のロイヤルティーも高まってきた。さ らに離職率が低いことで、企業のコスト削減にもつながるのである。 グローバル企業であるスターバックスは人材を採用する際には、企業の価値観に合 う人を採用することは同社の人事方針である。そして、一人前のパートナーになる前 には 80 時間の研修を受けることが必要である。スターバックスの価値観、歴史など を習得する上で、コーヒーに関する専門知識や産地別知識などを身につける必要があ る。その 80 時間の中にスターバックスのパートナーは研修の最後に、「バリスタ認定」 というテストがある。パートナーにとって、バリスタという認定テストを合格した後 エスプレッソやラテといったコーヒーを淹れる人としてはじめて名乗ることができ 8

図 1 スターバックスの世界展開の分布図 出典:(https://ja.wikipedia.org/wiki/)2017 年 9 月 8 日にアクセス ②人材育成 スターバックスは「人を尊重する経営」という理念を中心に人材育成に優れる企業 として有名である。企業には大切なのは利益であるが、スターバックスの場合は、社 員と地域を重んじれば利益はついてくるという経営をしてきた。それは、スターバッ クスの人事戦略の特徴としている人材育成システムにも反映されている。「われわれ の顧客の期待に応えるためには、まずパートナーの期待に応えなければならないと考 えている。」と、スターバックスの会長であるハワード・シュルツはこのように言っ ている。 近年、スターバックスでのアルバイトは人気が高く、多くの若者が応募している。 また、同社が正社員は年間 8%、アルバイトは年間 40%という低い離職率である。他 社に比べると、長く働き続けている人が多いのである。このような人材育成戦略を採 用し、パートナーの能力を育てるとともに顧客のロイヤルティーも高まってきた。さ らに離職率が低いことで、企業のコスト削減にもつながるのである。 グローバル企業であるスターバックスは人材を採用する際には、企業の価値観に合 う人を採用することは同社の人事方針である。そして、一人前のパートナーになる前 には 80 時間の研修を受けることが必要である。スターバックスの価値観、歴史など を習得する上で、コーヒーに関する専門知識や産地別知識などを身につける必要があ る。その 80 時間の中にスターバックスのパートナーは研修の最後に、「バリスタ認定」 というテストがある。パートナーにとって、バリスタという認定テストを合格した後 エスプレッソやラテといったコーヒーを淹れる人としてはじめて名乗ることができ 8

図 1 スターバックスの世界展開の分布図 出典:(https://ja.wikipedia.org/wiki/)2017 年 9 月 8 日にアクセス ②人材育成 スターバックスは「人を尊重する経営」という理念を中心に人材育成に優れる企業 として有名である。企業には大切なのは利益であるが、スターバックスの場合は、社 員と地域を重んじれば利益はついてくるという経営をしてきた。それは、スターバッ クスの人事戦略の特徴としている人材育成システムにも反映されている。「われわれ の顧客の期待に応えるためには、まずパートナーの期待に応えなければならないと考 えている。」と、スターバックスの会長であるハワード・シュルツはこのように言っ ている。 近年、スターバックスでのアルバイトは人気が高く、多くの若者が応募している。 また、同社が正社員は年間 8%、アルバイトは年間 40%という低い離職率である。他 社に比べると、長く働き続けている人が多いのである。このような人材育成戦略を採 用し、パートナーの能力を育てるとともに顧客のロイヤルティーも高まってきた。さ らに離職率が低いことで、企業のコスト削減にもつながるのである。 グローバル企業であるスターバックスは人材を採用する際には、企業の価値観に合 う人を採用することは同社の人事方針である。そして、一人前のパートナーになる前 には 80 時間の研修を受けることが必要である。スターバックスの価値観、歴史など を習得する上で、コーヒーに関する専門知識や産地別知識などを身につける必要があ る。その 80 時間の中にスターバックスのパートナーは研修の最後に、「バリスタ認定」 というテストがある。パートナーにとって、バリスタという認定テストを合格した後 エスプレッソやラテといったコーヒーを淹れる人としてはじめて名乗ることができ

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the job learning)を推進していく。それは、スターバックスの独自の研修方法の1つである。 パートナーは80時間の研修が終わった後、また仕事しながら学ぶという考え方として取られ ている。 ③環境への取り組み スターバックスは「地域社会や環境問題に積極的に貢献する」というミッションを目指し ている。地球環境は最も重要であるという認識が強いスターバックスは環境を守るために環 境負荷を最小化し、持続可能な経営理念に基づく気候変動などの対処に取り組んでいる。同 社の店舗の水道料金は2015年までに、25%削減する目標を設定すると同時に、すべての店舗 はLEED認定の店になるように努力している。6年間の努力を通じ、設定した電力節約の目 標は2015年末までに達成している。 スターバックスは力を入れているのが、環境を破壊しないように高品質なコーヒー豆を栽 培する方法である。なお、地球の環境と気候を考えることによって、特別の日には店内の照 明は一部を消すことなどである。コーヒー豆の高品質と生産性の向上のために、コーヒー豆 の生産地にファーマーサポートセンターを設立し、直接生産者の技術を育てると同時にサポ ートもしている。 ④地域貢献 経営者は従業員、顧客、株主に責任を負っているだけではなく、地域社会への関心を持つ べきだとスターバックスが考えている。特に、グローバル企業に対する健全的な経営環境が あれば、さらに十分な管理があって、必ず利益が上げられる。そして、地域の経済を発展す ることや生態環境を配慮すること以外に、スターバックスは地域社会とのつながりも重視し ている。地域の幸せと繁栄がなければ、スターバックスの成功はないとの認識である。 コーヒー生産地における大手コーヒーメーカーや中間業者が不当な価格でコーヒー豆を取 引した場合はよくある。この状況がこのまま続ければ、コーヒー生産者は苦しくなり、コー ヒー豆の品質と安定的な供給に問題が生じやすくなるのである。この問題を解決するために、 スターバックスはさまざまな対策を採用した。まず、同社の経営者はよくコーヒー原産国を 訪ね、コーヒー豆を植える農民を金銭面での援助を行う。このように、現地の生活水準を改 善するとともに、コーヒー豆の品質を保証するのである。なお、発展途上国であるコーヒー 豆の生産地について、コーヒーの価格を安定させるために未焙煎のコーヒー豆にしても高品 質コーヒーのような高い価格で購買する。さらに、現地の人々に基本的な健康管理方法を教 えあげ、きれいな水を飲めるように協力する。特に、スターバックスは1991年から非政府組 織(NGO)のCARE(Cooperative for Assistance and Relief Everywhere)12を通じて、アフ

リカで農園のワーカーの賃金保障を行うなどによって、年間最低約10万ドルの寄付を行って きた。同社が1993年間にCAREへの寄付金は全米ナンバー1になった。なお、スターバック スは2000年10月からフェアトレード13認証コーヒーの販売を始めている。

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Ⅳ−2 スターバックスのCSRの各国での展開 ①欧米におけるスターバックスのCSR まずは、欧米のスターバックスのCSRについて検討する。ヨーロッパのCSRの起源はイギ リスであるので、ここではまずイギリスのCSRについて見ていく。 a 倫理的調達 イギリスのスターバックス店舗ではエスプレッソのドリンクに使われるコーヒーはすべて フェアトレード認証のものである。使用されるコーヒーは主にフェアレード小規模コーヒー 生産者から調達されたものであり、また、今後多くの生産者がフェアトレードに参加するチ ャンスを提供する予定である。 b 環境への取り組み (1)店舗の水道や電気などのエネルギーを削減する (2)店内で使用する紙カップやティシュなどのリサイクルへの取り組み (3)廃棄のリサイクルを促進する c 地域貢献

スターバックスはチャリティ団体であるThe Prince’ s Trustと協力し、イギリスの若者 が働くチャンスを提供することと、仕事を紹介することなどの努力をしている。スターバッ クスのパートナーがボランティア活動を行っており、寄付するなどで支援している。 一方で、アメリカのスターバックスは共同的な標準化以外で適応化を採用している。次 に、アメリカのスターバックスのCSRについて見てみる。 a 倫理的調達 (1)コーヒー豆のプレミアム価格での買い取り (2)生産地への技術開発や生活の支援などの投資 (3)フェアトレードの取り扱い ここでは倫理的調達ガイドラインである「C.A.F.E.Practice」14について見てみる。スター バックスはCIというNGOと協力関係を築いている。CI15とは、1987年に設立した環境NGOで あり、アメリカに本部を設置され、世界31ヵ国でオフィスを構えている。1998年スターバッ クスはCIと共に「スターバックス優先サプライヤープログラム」を策定し、試運転を始め た。そして、2006年には、C.A.F.E.Practice基準に認定されたサプライヤーから全体の63% に当たるコーヒー豆を調達していたが、5年後の2011年度には「C.A.F.E.Practice」を通じて 購入されたコーヒーはスターバックスの総仕入れ量の86%に達している。

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コンサベーション・インターナショナルとの連携 コンサベーション・インターナショナルは、メキシコ・チアパス州にあるエル・トゥリウ ンフォ自然保護区の緩衝地帯でコーヒーを栽培する農民を支援しているNGOである。木を 切り倒すことではなく、木陰でコーヒーを栽培することによって、保護区内にある野生生物 に対する良い生態環境を提供できるように努力している。また、スターバックスはコーヒー 豆の生産地の農業技術を高めるために、関連するトレーニングに対して財物支援をしながら、 技術移転を行うなどによるチアパスプロジェクトの支援をしている。 2004年にスターバックスは農作物生産と土壌管理の専門家を集め、技術支援センターをラ テンアメリカのコスタリカに設立した。現地の生産者と直接接して、高い基準を遵守したコ ーヒー豆の品質を請け負うことになる。 b 環境への取り組み (1)リサイクルへの取り組み 店舗で使用した紙カップを現地の製紙大手工場に送り、またナプキンに再生する。 11 (3)フェアトレードの取り扱い ここでは倫理的調達ガイドラインである「C.A.F.E.Practice」14について見てみる。 スターバックスは CI という NGO と協力関係を築いている。CI15とは、1987 年に設立 した環境 NGO であり、アメリカに本部を設置され、世界 31 ヵ国でオフィスを構えて いる。1998 年スターバックスは CI と共に「スターバックス優先サプライヤープログ ラム」を策定し、試運転を始めた。そして、2006 年には、C.A.F.E.Practice 基準に 認定されたサプライヤーから全体の 63%に当たるコーヒー豆を調達していたが、5 年 後の 2011 年度には「C.A.F.E.Practice」を通じて購入されたコーヒーはスターバッ クスの総仕入れ量の 86%に達している。 表1 C.A.F.E.Practice 基準—重点分野 C.A.F.E.Practice 基準 製品の品質(前提条件) C.A.F.E プラクティスサプライヤーから購入されるすべてのコーヒーは、スターバ ックスの高品質基準を満たす必要がある。 経済的責任(前提条件) C.A.F.E プラクティスサプライヤーは、当社のコーヒーサプライチェーンに沿って、 生産農家に支払ったコーヒー代金を示す領収書など、あらゆる段階で作成される支払 い証明書を提出する必要がある。 社会的責任(評価対象要素) C.A.F.E プラクティスサプライヤー及び供給ネットワーク内のそのほかの組織は、 安全、公平、及び人道的な労働条件、労働者の権利保護、十分な生活環境を保証する ように業務を設定する必要がある。最低生活賃金の要件および児童労働・強制労働・ 差別に関する基準は必ず必要である。 環境保護リーダーシップ(評価対象要素) コーヒーの栽培や加工では、環境保護の手段を設定し、廃棄物の管理、水質保護、 水・エネルギー使用量の節約、生物多様性の保護、農薬使用量の軽減が必要になる。 出所)スターバックス社会的責任(CSR)レポート(www.starbucks.com/csr)より引用

14 C.A.F.E.Practice(C.A.F.E.プラクティス)とは労働環境の改善・児童労働の規制・土壌侵食や汚染防止・ 生物多様性に対する測定可能な倫理的調達に関するガイドラインである。 15 CI(コンサベーション・インターナショナル)とは地球が長い年月をかけて育てきた自然遺産である 生物多様性を保全し、人間社会が自然と調和して生きる道を具体的に示すことをミッションとして設立 された国際NGO である。CI ジャパンは、コンサベーション・インターナショナルのグローバルネットワ ークの一員として、1990 年より活動を開始した。

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環境配慮型の店舗にすることを目指して、アメリカの店舗ではより地域感を演出した店舗 に変えるという試みがされている。なお、スターバックス社は2010年より新しい店舗はすべ てLEED認証を取得している。 (2)エネルギーの削減の取り組み 節水率について2015年までに25%削減という目標を設定した。一方で、エネルギーを削減 するために電気使用率は2010年まで25%削減という目標を設定したのである。 c 地域貢献 1997年スターバックス財団が設立された。アメリカのシアトル市で積極的に地域社会への 収益還元を実施し、図書館へ50万ドルを寄付した。また、アメリカのスターバックス店舗だ けでなく、イギリス、カナダ、アイルランドでも使用できるREDカードを発行している。 このカードを買うと、その売り上げの一部が世界基金に寄付される。さらに、2014年にスタ ーバックスのCEOハワード・シュルツは「スターバックスとアリゾナ州立大学と提携して、 同社のパートナーが同大学を卒業できるようにサポートする」と表明した。そのサポートの 対象となるのは、アメリカのスターバックスで働く13万5000人である。このプログラムは経 済的な理由で大学に通えないパートナーのために設定したものである。なお、パートナーが 学士号を取得した後、スターバックスに留まらなくてもいいということにもなっている。 ②日本におけるスターバックスのCSR 1995年にスターバックスは日本に進出した。当時のサザビーとスターバックスコーヒー・ インターナショナルが共同出資する形で、スターバックスコーヒージャパンが設立された。 それは、スターバックスが北米以外の国に初めて進出したことである。翌年、日本で第一号 店である銀座松屋通り店がオープンした。その後、神奈川県と千葉県で新しい店を次々とオ ープンした。 スターバックスの日本でのCSR活動は、以下の内容が含まれている。 a 倫理的調達 (1)コーヒー豆のプレミアム価格での買取り (2)スターバックスは日本でCIと協働し、コーヒー豆の取引において環境・社会・経済 などに対する配慮を行うためのガイドラインを策定している。 b 環境への取り組み (1)リサイクルの紙カップを使用する (2)マイカップ持参したら20円の割引サービスを提供する (3)店舗の水道や電気削減ための努力をする また、スターバックスは日本国内で初めてLEED認証を取得する店舗である。環境配慮型 店舗を創造するために、同社はさまざまな努力をしてきた。2008年スターバックスジャパン は富山の富岩運河還水公園内で環境配慮型店を初めて出店した。公園内の店舗は環境を配慮

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― 72 ― するため家具や店舗の内外壁は木材を使用している。また、高天井の設計を通して柔らかな 自然光を取り入れることで、店内照明効果を上げると同時に、電力消費量を減少することも できた。スターバックスはいつも失敗を恐れず、新たな経営モデルを試行しているのである。 c 地域貢献 日本におけるスターバックスは地域社会とのつながりを重視している。地域の幸せと繁栄 がなければ、スターバックスジャパンの成功はないと言っている。日本における多くのスタ ーバックス店舗は「店舗周辺やオフィス周辺の清掃活動」を行っている。しかも、そのイベ ントに参加する人数はますます増加している。2000年から、スターバックスジャパンは生徒 を受け入れ、「職場体験」というイベントを展開し始めた。地域社会との繋がりを深めると 同時に、スターバックスジャパンのパートナーもイベントを通じて視野を広げることができ るという。当時の生徒は後にスターバックスのパートナーとなっているケースが少なくな い。 スターバックスジャパンは近隣と持続的な関係を作るために努力している。例えば、2003 年よりさまざまなボランティア団体「メイク・ア・ウィッシュ・オブ・ジャパン」16のイベン トを応援している。店舗近隣の中学生たちがスターバックスで短期の仕事をする体験プログ ラムもある。また、「ブック・フォー・ドゥー」というプログラムも始めた。それは店内で ン」16のイベントを応援している。店舗近隣の中学生たちがスターバックスで短期の 仕事をする体験プログラムもある。また、「ブック・フォー・ドゥー」というプログ ラムも始めた。それは店内で特別なボックスを置き、人々が読み終わった古本は専門 家の査定を通じて店頭に揃って買い取りを依頼し、その金額はすべて日本点字図書館 に寄付する。 こうした社会的責任の原則に基づくイベントを展開することはさまざまな地域と の繋がりを生み、スターバックスジャパンの 1 つ重要な戦略となっているのである。 表 2 スターバックスコーヒージャパンの福利厚生対象 全パートナー対象 ・パートナービーン(自己研修を兼ねて、週 1 回コーヒー豆を支給) ・パートナー割引、パートナードリンク ・東京ディズニーランドマジックキングダムクラブ ・災害時相互扶助制度等 社会保険加入者対象 ・WELBOX(総合福利厚生プログラム) ・定期健康診断 社員パートナー対象 ・特別有給休暇 ・確定拠出年金、借り上げ社宅制度(転勤者用) ・提携住宅ローン金利優遇制度、財形貯蓄制度 ・通信教育費用補助等 出典:健康人事委員会のホームページ(kenko-jinji.jp/Starbucks-no-site-wo-Matakite/) より引用。2017 年 9 月 13 日アクセス ③中国におけるスターバックスの CSR 1999 年スターバックスは中国大陸に進出し、北京で第1号店をオーペンした。現 在、中国国内の 120 の街に 2600 以上の店舗を展開し、これは本拠地であるアメリカ に次ぐ店舗数である。北京、上海と広州などの大都市の繁華街ほとんどがスターバッ クスの店舗が構えている。

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特別なボックスを置き、人々が読み終わった古本は専門家の査定を通じて店頭に揃って買い 取りを依頼し、その金額はすべて日本点字図書館に寄付する。 こうした社会的責任の原則に基づくイベントを展開することはさまざまな地域との繋がり を生み、スターバックスジャパンの1つ重要な戦略となっているのである。 ③中国におけるスターバックスのCSR 1999年スターバックスは中国大陸に進出し、北京で第1号店をオープンした。現在、中国 国内の120の街に2600以上の店舗を展開し、これは本拠地であるアメリカに次ぐ店舗数であ る。北京、上海と広州などの大都市の繁華街ほとんどがスターバックスの店舗が構えてい る。 スターバックスのCSRの中国展開は、以下の内容が含まれている。 a 倫理的調達 スターバックスは、中国の雲南省でコーヒー豆を栽培し、そこで栽培されたコーヒーは中 国の市場で販売するだけでなく、マレーシアとシンガポール地区の店舗でも販売されている。 b 環境への取り組み (1)リサイクルの紙カップの使用 (2)マイカップ持参したら人民元2元の割引サービスを提供する (3)一般的にスターバックスではドリングを作った後、使ったスプーンは水を流し続けて いる容器の中に入れるが、水を節約するために、中国におけるスターバックス店舗ではドリ ングを作った後に、スプーンをそのような容器に入れたまま、後で洗うというやり方である。 c 地域貢献 現在、スターバックスは中国国内における2600店舗で約4万人が働いている。今まで中国 の医療保険制度がまだ十分に整備されているとは言えなく、同社はパートナーの医療保険費 用をすでに負担している。さらに、中国のパートナー向けにフルタイムのバリスタやシフト 管理者に対する住宅補助と長期休暇制度を用意している17。また、スターバックスの地域貢 献である福利厚生施策の一環として、2010年から同社はパートナーおよびその家族に資金援 助制度を実施し、CUP基金を導入してきた。中国における人々と家族の絆が非常に強く、 これによりパートナーが安心してスターバックスで働く環境づくりの一貫となる。そして、 高齢者重大疾病保険を全額スターバックスが負担することとなるのである。 前述した節水により節約した金額を中国婦女発展基金に寄付する。この基金は中国西部の 農村部に住む人々、特に女性たちもきれいな水を飲めるようなプログラムに使われている。 なお、スターバックスは中国西部の農村部で働く教師の再教育講座を行なっている。

Ⅴ むすびに代えてースターバックスのケースから見た多国籍企業のCSRの今後

本論文では、スターバックスの事例を中心として、多国籍企業の社会的責任(CSR)につ

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いて検討した。企業は海外に進出する際に、現地でどのようなCSR活動を行なっていたのか、 また、多国籍企業としてCSR活動を展開するときの標準化と適応化について分析を行った。 企業の持続可能性を追求することが社会の持続可能性につながり、多国籍企業のCSRはただ 寄付やボランティアなどの活動を行なうだけでなく、環境保護への取り組みと地域貢献につ いて力を尽くす必要があることを指摘した。各国の経営状況によってCSRのあり方が違い、 スターバックスもそのグローバル化の進展に伴い、標準化させたCSR活動に取り組むと同時 に各国の状況に応じて適応させるCSR活動を展開している事実を明らかにした。他国で行な っているCSR活動を詳細に把握し、自国における弱い部分を認識した上、他国のCSR活動に ついて自国でも取り入れられそうな部分を取り込むことが重要だと指摘した。 今日、企業の社会的責任(CSR)はすでに企業のグローバル戦略の重要な構成要素となっ ている。CSRを制度として社会に定着させることと「多国籍企業と社会、人々が共存や共同 発展する、持続可能な発展」を実現していくことにつながるのである。グローバル化の中で、 企業は自社のブランドバリューを高め、現地での競争優位を獲得するためには、その社会的 責任を果たせざるを得ない一面がある一方で、積極的にそのCSRを果たしていく企業も今後 ますます増えていくことが予想される。 1 https://ja.wikipedia.org/wiki/企業の社会的責任(2017年6月25日アクセス)。 2 CSR・サステナビリティのビジョンを示し実行を進めている企業の中に世界的なタイルカー ペットの企業である「インターフェイス社」の創業者・前CEOである。 3 ボーエンの研究書物ならびにCSRの定義は1950年代の最も注目すべきものであるとして、ボ ーエンを「CSRの父」と位置づけている(櫻井、2000、PP34−35)。 4 水尾順一・田中宏司(2004)『CSRマネジメント』(P5)による引用。 5 ウィキペディアによる引用。ウィキペディア(Wikipedia)とはインターネット上にある百科 事典であり、あらゆる人が編集に参加できる(2017年10月16日アクセス)。

6 Domini 400 Social Indexとは世界初の社会責任投資インデクス、1990年5月が運用された。略 称DSIである。 7 『グローバル経営入門』(2009)浅川和宏 日本経済新聞出版社 P2 8 『多国籍企業と新興国市場』(2012)大石芳裕・桑名義晴など 株式会社文真堂 P17 9 『ビジネス・エシックスー企業の社会的責任と倫理法令遵守マネジメント・システムー 新 判』文真堂 高巌 トーマス・ドナルドソン(2003)P200 10 フェアトレード(Fair trade)認証とは、1970年代以降公正貿易による直接買い付けが行われ ている。非営利団体や小規模事業者により、高品質を保証したスペシャルティ・コーヒーを 先進国の消費者に直接販売し、生産者の収益を安定させ、労働者の待遇や環境問題・生産環

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境の改善、経済的自立促進を試行しているが、消費者のブランド信仰、価格破壊要求に阻ま れ、取引規模は統計値に現れない水準(1%未満)に留まっている。スターバックスやイオ ングループなど一部の大手企業は、自社製品のごく一部に関する「フェアトレード」を標榜 している。 11 斎藤槙(2007)「米国のCSRコミュニケーションー3つの企業の環境へのとりくみー」(『AD STUDIES Vol.22 2007』P26) 12 CAREとは、世界の発展途上諸国の貧しい人々の生活向上するためにさまざまな援助活動を 行っている国際的な民間支援組織である。 13 フェアトレードとは、途上国産の原材料や製品を適正価格で取引し、搾取されがちな生産者 の自立や生活改善を図る考え方である。 14 C.A.F.E.Practice(C.A.F.E.プラクティス)とは労働環境の改善・児童労働の規制・土壌侵食 や汚染防止・生物多様性に対する測定可能な倫理的調達に関するガイドラインである。 15 CI(コンサベーション・インターナショナル)とは地球が長い年月をかけて育てきた自然遺 産である生物多様性を保全し、人間社会が自然と調和して生きる道を具体的に示すことをミ ッションとして設立された国際NGOである。CIジャパンは、コンサベーション・インターナ ショナルのグローバルネットワークの一員として、1990年より活動を開始した。 16 メイク・ア・ウィッシュ・オブ・ジャパンとは、難病とたたかっている子どもたちの夢をか なえ、生きる力や病気とたたかう勇気を持ってもらいたい」と願って設立されたボランティ ア団体である(2017年9月28日、スターバックスホームページからアクセス)。

17 Starbucks Redefines Partner Benefits in Chinaから参照する。

参考文献

書籍 浅川和宏(2009)『グローバル経営入門』 日本経済新聞出版社 浅沼宏和(2013)『スターバックスの最強戦略』ぱる出版 荒田雅之(2012)『スターバックスの感動サービスの秘密』ぱる出版 岩田松雄(2012)『ミッション元スターバックスCEOが教える働く理由』アスコム 岩田松雄(2013)『BRANDブランド』アスコム 岩田松雄(2013)『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』サンマーク出版 梅本龍夫(2015)『日本スターバックス物語』 早川書房 草地真(2013)『なぜスターバックスは最高のスタッフを育てられるのか』ぱる出版 グロービス経営大学院(2011)『グロービスMBAマーケティング』ダイヤモンド社 ジョン・シモンズ(2004)『スターバックスコーヒー豆と、人と、心と。』 ソフトバンクパプリッ シング株式会社

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黒石和宏(2009)『人が輝くサービスースターバックスと僕の成長物語』中央精版印刷株式会社 佐久間信夫 黒川文子(2013)『多国籍企業の戦略経営』 白桃書房 瀬藤澄彦(2014)『多国籍企業のグローバル価値連鎖』中央経済社 ハワード・シュルツ(1998)『スターバックス成功物語』 ハワード・シュルツ ジョアンヌ・ゴードン(2011)『スターバックス再生物語』徳間書店 劉永鴿(2004)「競争戦略」『経営戦略論』(編)創世社 劉永鴿(2003)「競争戦略」『経営学検定試験公式テキスト(1.経営学の基本)』(編)中央経済社 論文 神尾勇貴(2014)「日本のコーヒー市場に関する研究」文教大学 斎 藤 槙(2007)「 米 国 のCSRコ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ―3つ の 企 業 の 環 境 へ の 取 り 組 み ―」 AD STUDIES(P22−29)吉田秀雄記念事業財団出版 鈴木友紀(2010)「グローバル企業のCSR ―スターバックスのケースをもとに―」東北大学大学 院 根岸可奈子(2012)「(56)多国籍企業のCSR ―スターバックス社とCIの取り込み―」中央大学 『経営学論集第83集』 萩原愛一(2005)「企業の社会的責任(CSR)―背景と取り組み―」国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER (476) URL スターバックスコーヒー カンパニー (http://www.starbucks.com/) スターバックスコーヒー ジャパン (http://www.starbucks.co/jp) スターバックスコーヒー 中国(http://www.starbucks.com.cn/) スターバックスコーヒー イギリス (http://www.starbucks.co.uk/en-GB/)

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现如今,人、物品、信息、服务等事物可以很容易的越过国境的界限。而经济活动也不仅仅 限于本国,已经开始在全球范围开展起来。作为国际经营主体的多国籍企业(Multinational Corporation)被定义为「即对各国差异性的敏锐度和回应力,建立强健的各地自主企业形 象,在各地国家拥有完全自主操作的分公司。」所以,多国籍企业在向海外进军的时候为了提 高自己公司的品牌价值,对于各利益关系者的要求应积极地做出适当的决策。在这种情况下, 企业的社会责任(CSR)便成为了多国籍企业发展不可缺少的重要因素。特别是在全球化急速 发展的同时,人们对多国籍企业的企业的社会责任(CSR)的展开以及实施程度变得越发的重 视。 本篇论文将以星巴克的事例为中心,通过关于对多国籍企业CSR的考察,对于企业在进行全 球化的发展之际,为了提高自己公司的品牌价值,应如何履行企业的社会责任等问题进行分析 研究。 开始的部分是关于本篇论文的研究背景、研究目的、研究方法、以及论文构成的介绍,在第 Ⅱ章的部分是对企业的社会责任(CSR)的历史和各国的CSR的特征等进行了详细的整理。第 Ⅲ章是关于多国籍企业CSR的现状的介绍以及对此进行的分析。这其中包括对多国籍企业CSR 的展开,CSR的标准化方法和适应化方法的研究分析。第Ⅳ章是对星巴克公司所实行的企业的 社会责任进行的着重分析。 并且整理了星巴克公司CSR的特点,主要针对该公司的伦理配送、人才的培养、为保护环境 所采取的措施以及该公司对当地的贡献等一系列的策略进行的整理和分析。同时也对星巴克在 各国及各地区所实施的CSR策略展开了分析,对于该公司在进入到各国各地区的市场以后,为 了能在当地获得竞争优势,如何展开企业的社会责任并采取了何种策略等问题进行探讨和研 究。最后的Ⅴ章是对以上各章的分析及总结。预计在今后,会有越来越多的企业开始注重实施 企业的社会责任。

关于跨国公司CSR的考察

─以星巴克事例为中心─

ZHANG, He

参照

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