消費者の保護と一般業務約款規制法--西独一般業務
約款規制法の成立を顧みて
著者
中村 武
著者別名
T. Nakamura
雑誌名
東洋法学
巻
21
号
1
ページ
p1-24
発行年
1978-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00006057/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja消費者の保護と一般業務約款規制法
ー西独一般業務約款規制法の成立を顧みてーー
中 村
武
目 次 一、はじめに 二、一般業務約款の法的規制の必要 三、本法の成立過程 四、一般業務約款法の事物的および人的遭用範囲 五、本法の実体法的規定 六、本法の訴訟法的規定 七、むすび 消費者の保護と一般業務約款規制法 一東洋法学
二 ㎜.はじめに 一九七六年一二月九日に西独一般業務約款法規制に関する法律︵の⑱器欝蒙種濁薦鳥巷αR鎌醗沁禽ぼ。 a餌霧と蒔Φ一器ぎ雲 ○霧9無欝ぴ豊ぎ磯§畿露=︾のζ ごーO霧⑪欝︶が発布され.一九七七年四月一日から実施されることになった。 一般業務 約款においては.契約自由の原則が契約の不自由につらなり.好智者に法の衣︵嘗餐戴驚驚蚤・欝塾邑をあたえ
る、正しい法の制禦が加えられねばならぬ. このことはわれわれ譲本入にとっても、少からぬ利害関係をもつ出来事である。そのわけは藁本の企業者または消 費者が西独の諸企業と直接取引をする場合や、西独で営業を行ヲ鷺本商社と独乙人間の取引について、轍の法の支配 をうけることがありうる故である。そればかりでなくこの法律はわが国においても広く取引上使用される一般業務約 款から生ずる紛争や、その裁判上・立法上の処理をどう取扱うかの難かしい諸間題に、多くの示唆をあたえる。伍で 本論文ではこの新法律の期待する目的や発表について述べ.さらにその内容を解説して.わが国の学説・判例の発展 を期し.および立法の資料に供したいことを念願する。 新法律は全条三〇個條におよび、かつ各条も数項あるいは十数号にわたり可成り詳細な規定をもつ法律であり、欧 米諸国ならびに東欧社会主義諸国でも、未だこうした特別立法の例をみない。絃ではその詳細にわたる解説や研究の 余裕はない。後日の研究にまつ外ない。以下では、一般業務約款の法的規制の必要性、本法の成立過程、一般業務約 款法の事物的および人的適用範囲、本法の実体法的諸規定、本法の訴訟法的規定、本法の日本企業えの適用について略説し、新一般業務約款法の主柱をさぐり、実際上生ずる重要な基本的問題を解明し、すすんで将来の立法えの ︵1︶ くa①琴象9としようと試みた訳である。 ω§﹃8魯鼠ω魯鼠舞−留一器びU器O霧①貧映霞菊。αQ①疑畠留の浮。簿ωαR≧蒔①影Φ貯窪Q①ω魯餌津ωぴ①島農琶αq。蔚ぎ 2匂譲・ωO﹂磐茜◎類Φ津擬おミψ簿黙● 竃器坤a即魯獣&①び≧一磯①旨蝕器○Φωo憲津ωび①山ぼ讐畠窪§山<Φ誉養8びgωoど貫置客05≦一博ωo富坤のご oユo賞Z鉾 弩くoβ⑳9貰這まω﹄c 。お。壼儀ぎω9≦Φ幕駐魯窪︸霞翼①㌣NΦ詳琶騨類。津G 。◎一。まψc 。。塗 国ぴ霞富疑什渓亀9U器のΦω09賊畦匁①αq①蜀轟α霧幻g馨ω血霞≧薗o導o冨窪の①ω9餌津ωびa貯讐品①P ㌶竃U節麟o津 O o●おミω●一〇 〇濠, いα項o\9鶏く窪薯①ωな匿一窪\↓慧畠濤詳麟o導旨Φ纂巽鐘琶OΦ。 。g賊霞知①αQo一§αq留。 。知Φo簿ω儀段≧蒔①導①露窪○①ω9飲− 津ω暮&ぎ磯自”αq窪●麟Φ雛巴びo茜お刈刈● ω9鼠傷?ω巴N9い≧蒔Φ筥①ぎ①のoωo羅津ωぴΦ&農慧αq①p厩器お魯岳o冨の①舞窮a毅ω琶一欝堕⑩●諾9①巽σ簿簿Φ︾島・ 鋸簿窪浮葺畠ω一魯鉱讐轟馨器瓢︾のじ o−のΦω①9①ω︸冒雪9窪おミ。
二、一般業務約款の法的規制の必要
− 一般業務約款は十九世記における産業革命の産物の一である。商品の多量生産と多量多数販売方法は、それまで 行われた個々的に交渉きれ取結ばれた個々契約に代りて、取引の態様が変り、契約の敏速。簡易および合理化の必要 から、契約の規格化が要求されるようになった。 個別に手がけられる手工業的な製作方法に代って、機械生産により多量の種類の商品が製造されると同時に、個別 消費者の保護と一般業務約款規制法 三東 洋 法 学 臨 的な契約に代り、多数の契約のすべてに通用するように作られた一般的約款が定められ、個々の契約はこれに服従さ せられた︵フランス法のいわゆる附合契約8欝窪籔島.p 。象窃一露の原理︶。こうした手続の特長は、業務上多数行われ る取引の簡易・迅速化ばかりでなく.さらに業務上の危険回避に役立つことである。言いかえると、一般業務約款に おいて特別の規定を設け、営業上の危険負担を転換することであった。 一般業務約款による特別規定の設正、すなわち法律の規定の補修または明確化は、ときには契約当事者双方の利益 に役立?弧ともあるが、多くの場合は.多分に滋業者の一方的な利益擁護に利用される. 法律が規定した契約形態は、一定の法律行為につき.本来経験的に生れた規範形態の上に発達したものであり、轟・ の規定は多分に抽象的なものである.しかもさらに法律の体系要素に応ずるよう整備きれた規範である、だからその 規定を実際に具体的な取引関係に適用しようとすれば、当事者の真意をただしかつその相互の利害を考慮し.その調 節をはかるためには、法の規定を正しく具体化せねばならぬ。そのためには法の任意処分的指示にもとずき、実定法 以外の秩序規範︵例・取引上の通合・黛儒義則︶を探求し、あるいは実体法または訴訟法上の危険負担の規定を回避し ようとはかる文言を完封することに注意せねばならぬ。また法律のある規定はときには.当事者の利益評価につき一 定の取引の客観的所与に適当でなく、契約当事者の主観的要求または観念に適応しない場合があり、またあるいは新 たに発生、変更した経済上・社会上の取引においては旧来の有名契約にたより得ない場合がある。そうした場合は、 辛うじて混合契約︵または8馨篤。 ・aαq窪R芭により解決し、旧来の契約理論によらず解決しようと苦心する。だ がこうした苦労を要せず一般業務約款により、その法律関係を明確化することは法的安全性を保ち、かつ経済取引の
発展をうながす所以である。 そうだとすれば、一般業務約款は現代の企業において営業上ふさわしい且つ有効な手段であるといわれよう。だか ら経済取引発展の段階において、いちじるしく広く採用され、今日の経済生活に関する民法典・商法典中の任意規定 が、一般業務約款の規定により多数排除あるいは補修されるのは驚くにあたらない。一般業務約款の採用は、ひろく 企業者と最終消費者との間の取引の大部分について行われ、わずかにその例外としては、日常の即時売買の場合があ げられるだけである。 一般業務約款による法律の任意規定を排除する業界の範囲は、これを正確にあげれば従来は単に一部だけに行われ るものと考えられた。だが推定によれば、西独においても保険業界・銀行業界・信託業者・観光旅行業者・通信教育 事業者・自動車販売業者・販売商事業者等においては、姻%一般業務約款を利用している。また土木建築業・仲立業 ・家具製造販売業・住宅賃貸業では、その使用率は90%におよぶ。運送・機械修理業・化学清掃業・家具販売業にお いては、その使用率は50%に達するとされている。同様の使用率は、官公庁が国民に生活に必要な物資を供給する事 業についてもみられるという。 こうした一般業務約款による法律の規定排除という現象は、永いあいだ批判の対象とされていた。そして契約自由 の原則はいまや命令の自由と化し、当事者の一方が他方にたいし契約の不自由を意味するにいたった。この叫びは鉱 二十年来ドイツにおいては、いよいよ強く訴えられるに至った。商業上・工業上また銀行や保険会社は、一般業務約 款による一方的命令を通して、法律がみとめた私法の自治を大胆に濫用した。商法典や民法典は、経済生活の態様が 消費者の保護と一般業務約款規制法 五
東 洋 法 学 六 すでに著しく変更したに拘らず、経済上の出来事は、依然として各人が自らこれを規制する契約自由の手段︵甘ω窪腎 讐禽け︶によってのみ自己発展の道がひらかれるのだと誤解している。こうした考え方は、中小企業者間、まだは手工 業間あるいは小商人間だけ︵即ち小市民の世界︶には適用するであろうが、大企業者は大胆にも法律や国家からさま たげられることなく.その経済上の発展をはかるため.そうした私法自治とか契約自由という制度を逆用する。 一般業務約款においては.約款の輿由は当事者双方に公正に行われることなく.そこには公正な意思の合致はみと められない.そこには一方的にさだめられた権力的行為による私的立法があるだけだ.契約藤由は一方的な特権行為 と化した。のみならず経済上の強者はしばしば同時に知的経験に優越した地位をしめている。そして自幽主義的思考 はやがて消費者たる顧客にTい負担を引受けさせ.私法自治の美名の下に自己に利益な権利義務を自成する、契約の 自由は直ちに裏目にでて、経済上の弱者・未経験・無知の民衆は.自ら自己の不利益を引受ける結果となり.自己の 権利利益を自ら擁護する理想に反する。契約自由の原則は往々にして未経験者・経済上の弱者を搾取略奪する具に供 せられ、悪意者に法の衣をまとわせる。だから契約上の形式上の正当性とみられる規定だけをもって、権力や勢力に よる自由活動の範疇を放任すべきではない。つねに社会正義の標準にてらし、法の保障があたえられねばならない。 しかしながら裁判に際して、裁判所は従来きわめて遠慮ぶかく.自由主義的法観念に固着して.契約自由に干渉す ることに躊躇してきた。そしてまづはじめは、企業者の悪意の場合にかぎり事案を検討し.経済上の弱者や未経験者 である消費者を保護する方策を採用した。だがこの方法は、結局裁判所のこうした解釈能度と一般業務約款作成者た る企業者との対立とその知恵競べを助長する結果となり、そのため一般業務約款作成手段はいよいよ巧妙精緻とな
り、ますます一般消費者に苛酷となるにいたった。そこで最近におよんで西独裁判所では、はっきりと一般業務約款 の内容監視につとめ、一般業務約款の効力を信義則︵西独民二四二条・日民一条二項︶にしたがって判定するように なった。だから一般業務約款の規定が、任意的な契約法規と異る場合には、強行的な実体的規定がこれを許容する限 度で、その効力がみとめられる。さりながら、こうした裁判の効果︵既判力による法律上の保護︶は、偶々訴法上争 われた事実、およびその当事者だけに限られる。 立法者はいままで、法律が社会法的傾向をもって転回する情勢に支配され、手びろく任意的な法律規定を改め、若 干の契約典型にたいしては、強行法的規定により、これを強化して消費者の保護をはかったが︵例・割賦販売営業法・ 私保険契約法・労働契約法・住宅賃貸法︶、さらに一般業務約款の作成変更に行政庁の認可を必要とした︵例・保険 業・建築貯蓄銀行・不動産抵当銀行・投資会社・航空運送業等︶。だがその他の企業についてはこれを自由として、法 の干渉から外した。 しかしながら、一般業務約款はこれを目して﹁経済がみずから創成した法﹂ ︵絶び馨鴨ω魯騒窪霧閑Φo鄭 α霧 ミ騨零鵠εだから、これに対しては国の立法者は手を触れるべきではないとの観念は、社会主義国家の通念と相容 れないという認識が強まった。だが時代はまだ契約法総体の変革には未熟であるので、まづ一般業務約款に関する特 別法の制定をはかり、その後おもむろに、これを民法典の中に編入すべきだと考えるに至へた。
三、一般業務約款法の成立過程
消費者の保護と一般業務約款規制法 七東洋法学 八 一九七二年西独連邦司法省は、一般業務約款にたいする消費者保護法改革の目的をもって、その改革委員会を設け た。それは右のように悪名たかい一般業務約款に適当の規制をくわえ、その本来もつ悪い運命︵露聾ω。 ・器§︶を救 い、これに有用な制度としての好き運命︵げ蔀憲。 ・器醜緯︶をあたえてくれる作業の始りであった。改革作業委員会 は、十六名の実務家と学識経験者から成り立ったものである。同委員会は討議をかさねて一九七四年および一九七五 ︵i︶ 年に、実体的規定ならびに手続的解決規定をもった法律案を作った。 さらにまた一般業務約款法の間題は.一九七四年開催の酉独法曹大会第五〇回大会において.詳細な醸論がかわき れた後、賛成票三二八個.反対票一七個.臼票一七個の多数をもって、改革委員会が作りあげた実体法上の提案.す ︵慧︶ なわち一般業務約款にたいし.特別法による規制を加える必要があるという提案が賛成された.この提案にもとづい て作りあげられた政府草案は、各委員会の作成した実体法の部分をそのまま採用したが、これに反してその手続法的 規定の採用は最少限度にとどまり、たんに集団訴訟︵<韓げ鎧欝鉱薦⑯︶の規定を採用したに止まる。 一般業務約款法政府草案として議会に提出された草案にたいしては、連邦議会および連邦参議院において.仔細の 一部分については一致をみなかったが、結局には協同委員会で修正可決された上、一九七六年一二月九鷺に、一般業 務約款法規制の法律︵O霧Φ欝瞬霧驚①αqΦ︸毒αQ伽窃欝9蜜血Rと蒔①筥⑦嘗窪○霧o憲罐訂餌凶轟毯αQ窪纏︾○じ OQ︶として ︵3︶ 発布された。そして一般企業者がその一般業務約款につき.新法の規定に適応するため十分の時間的余裕をもつた め、同法の施行時期を一九七七年四月一日とさだめた。 ︵同法三二条︶。 cb くαQ炉ω弩留ω巨鉱ω審ユ鱗霧鳥霞甘ω言︵篤①参騨y くo議o毎αq①N霞く驚びのωω①纂轟号のO o。筥9①ω鳥鶏くRぼ雲9段α貸農?
急びR≧斜①導①ぎ窪のoωoげ餅津ωびa汐讐轟窪︾騨。 摩け霞↓蝕一ぴ①はo簿Φ鳥窪︾魯簿農讐署①びΦ馨翻毯留ω導菖馨Φ憎ビ導儀霧 甘。 pけ貰窯飲震お凝。N類Φ謬巽↓鉱ぎ①はo簿噛鼠似養お謡◎ ③ §<段置鼠蜀畠窪留ω8.Uo暮ωoび窪甘は馨o馨曽ひq$一箋卜奪津○暮鴛9窪<s餌①㌶図α9q鼠勾9象馨く畠国 ¢一饗o播 ③ 偽Sω信&①の欝αqω辞8霧8ぎミωOお・
四、一般業務約款法の事物的および人的適用範囲
本法の実体法的規定ならびに手続法的規定の説明をはじめる前に、われわれはまず第一に、本法の重要な適用範 囲、換言すればその事物的適用範囲と、人的適用範囲について一覧せねばならぬ。 まづ本法の事物的適用範囲から除かれるものは、全般的にみて労働法、相続法、親族法および会社法の領域におけ る一般業務約款の規定である︵本法二三条一項︶。その理由。労働法の場合には、契約上の弱者の保護はすでに一連の 詳細な強行法、ならびに集合的契約の系体により行われているので、一般業務約款法の介入する必要はない。相続 法・親族法および会社法の場合には、それは本来人的または組識法的規定が活躍する領域であって、債権法上の財産 上の取引のために生れた一般業務約款の規定になじまない為めなのだ。これらの領域からは、本法の適用は排除され たけれども、その他の場合には、例外なくその適用がみられる。だから印刷し定型的に定められた約款の内容につい ても、個々の場合において、民法第二四二条の規定する信義誠実の原則による検討・審議が必要である。 排除される例外的ケースとして注意すべきは、電気・瓦斯。水道および緩風給付等をうける家庭消費者にたいする 消費者の保護と一般業務約款規制法 九東洋法学 一〇 供給契約の場合である。これらの消費物供給の条件は、多くは公法上の機関との公法的契約によるものなので、一般 業務約款にたよるものではない。だがかかる場合、連邦経済大臣は国民の安全保護のため、一般業務約款法の実体法 的の規定に準ずる法的命令を発布する権限をもっている。 ︵本法二六条・二七条︶ こうした本法の規定の一般適用排除のほかに.なお若干の適用排除の場合がある。それは国家が認可しあるいは監 視する若干の契約形態であって、例えば鉄遵蜜たは軌道による運送約款.保険会社・建鋸基金金庫.投資会社の定め た条件、国の認可にかかる宝くじ・購事契約の条代著作権管理契約の威件に関する約款の如きものであり、本法の 個々の保護規定から除かれる︵本法蕪二条二項三項︶ 本法の身的適用範顧外におかれる集団には二個ある。それらの集団にたいしては本法の規定による強化された特別 保護を必要としないものである。それは商人とおよび官公庁の手によって行われる営業の一般業務約款の場合である ︵本法二四条︶。契約が商人と締結せられ.しかもその商人的行為の範囲内で行われた場合.あるいは契約が公法人と 締結きれた場合には.個々の契約に対し一般業務約款についての規定による保護を与える必要はない。ただ約款の条 項が不当であるとの理由で、一般業務約款の規定が無効をきたす一般条項︵O霧鶏匙籔霧臨︶の適用だけが残される。 こうした処置の採用により、法の確かな規定により.法が特に数えあげた個々の約款だけが無効の結果をまねくに止 まり.本法の定めた手続法上の規定はそのまま適用をみられることとなる。但しこの人的適用範囲をきだめるにあた っては、注意して商事取引上認められる慣習や実例を常にかえりみる必要がある。
五、本法の実体法的規定
1 一般業務約款法の適用範囲を説明した後には、本法の核心ともいうべきその実体法的諸規定に目を注がねばなら ぬ。こうした実体的規定は、従来からすでに訴訟において、一般業務約款に関する争訟の取扱にさいし、裁判所によ って考慮されたところである。弦ではさらにその個々の間題につき詳しい規定がおかれた。 まづ本法第一条は、一般業務約款の法律上の定義をしめしている。それによれば、一般業務約款とは多数の契約締 結に具え、あらかじめ定型化された契約条件の全部をさだめるものであり、契約当事者の一方が相手方にたいし契約 締結の際に提出するものである。この立言にあたって立法者は、判例によって積み上げられ発展してき観念、即ち各 条件は、不特定多数人の契約のために作成されたものでなければならぬという、一層の要件を必要とする見解には賛 成しなかった。その訳は、売買契約または賃貸契約の買主または賃借人は、たとえ初めから少数若干の数の売買また は賃貸借が行われることが明らかな場合に於ても、その保護が必要だからだ。だから契約条件はたんに多数の契約に 具えて作成されたものであれば足りる。さらにまた、その条件が実際に多数取引の場合に常に使用されたか否かも問 題ではない。また誰が条件をさだめそしてこれを契約締結関係にもち込んだかも重要ではない。たとえその一般業務 約款の作成・採用が第三者︵例・企業者側か経済上の団体の作成か、定型化を教えた書物か︶であろうが、また多数 の契約締結の便宜上作成されたものであるか否かは、法の支配をうけることに変わりはない。 一般業務約款の法律上の定義の範囲を明らかにするため、法律は定型化した契約︵問霧巨鴛くR貸凝①︶もまた絃に 消費者の保護と一般業務約款規制法 二東 洋法 学 一二 含まれることを明規した。言い換えれば、外見上別段の紙面に記載せず、売買または賃貸借の契約書申に典型的に記 入した条件も、また一般業務約款の申にふくまれる訳である。さらにまた一般業務約款の適用範囲、およびこれを記 載した書面の種類態様如何にも無関係である。また個々の約款は、機械で印刷きれたものか、あるいは手書きにより 契約吉に記入されたものかによって、その効力に変わりはない。契約書の形式︵私成証書か、公証人の作成した文 書︶がどうであるかも、その効力に差異はない。 一般墨ポ約款の拘東力の鉾礎の閥題については.立法は通説にしたがい.一般夢猛約款はけっして法的規範働響 畠欝馨醜馨譲︶ではなノ\したがって一般業務約款の拘東性は.それが,講事者の合致した意思表示により.個々の契約 にとりいれられた九めであるとするものだ、 だが判例は、ハ般業務約款を個々の契約に受け入れられるについても.当事者の合意を必要とするという要求にた いしては.極めて軽度の要求だけに止め.一般業務約款が個々の契約内容となるについては、消費者である顧客側が これの存在を知らねばならぬ事情ある場合には、一般業務約款は当然にその契約の内容となるものと解した。しかし 本法では.一般業務約款の適用前提要件は、幾分これを強化した︵法二条一項︶。 一般業務約款の利用者は、契約締結にあたっては.あきらかに一般業務約款の存在を相手方に知らせねばならぬ。 この通告は口頭または瀞、、・面によってすることができる︵例えば注文書に附記印刷することによって︶。但し契約締結の 態様の特別なため.その明臼な指示がいちじるしく困難な場合には、右明確通告に代り、一般業務約款を.契約締結 地の見易い場所に掲示するをもって足りる。これは日常生活の契約で普通に行われるやり方で、契約の際に一般業務
約款の利用が通例であり、その明確通告が、実際上可能でない場合に常に用いられる処だ。その好例として、運送契 約・駐車場使用契約・携帯品一時預り契約とか、または銀行との取引契約の如きものがあげられる。だが、一般業務 約款の使用が取引上の慣習である場合でも、それだけの理由をもって、ただちに一般業務約款適用の基礎として十分 なものとはみとめられない。 一般業務約款の利用者︵企業者側︶は、右のように一般業務約款の存在をあきらかに知らせるばかりでなく、さら にその利用者は相手方︵消費者側︶にたいし、相手方がその内容を知ることができるような方法によって、一般業務 約款の内容を知る可能性を作り、その内容を出来るだけ知りうるような方法をとらねばならぬ。それには相手方が、 一般業務約款の文字を容易に読みうることも必要だ。要するに一般業務約款を有効に個々の契約申に取れ、これに拘 束性をもたせるためには、相手方が右にあげた条件の下に、一般業務約款の適用に同意したということでなければな らぬ。 取引当事者の間に、つねに継続的な取引関係が存在する場合に、契約当事者問で予め一般業務約款に関し集合的契 約、または枠契約︵勾魯露窪話おぎぴ鷲琶αq︶を取り結んだときには、一般業務約款は自動的に、しかも各個々の契約 毎にその存在および内容を明示せずとも、当然に各個々の契約の申に取りいれられる︵法二条二項︶。集合的契約ま たは枠契約を後日変更した場合にも、一般業務約款が当然に各個々の契約に取入れられる旨を、予め合意することは 許されない。 一般業務約款が、個々の契約中に受け入れられる条件が充たされるときと錐も、事情の変更により、殊に契約外の 消費者の保護と一般業務約款規制法 一三
東洋法学 一四
事情の著しい変更のため、一般業務約款利用者の相手方が、一般業務約款の規定の受入れを顧みる要なき場合には、 その一般業務約款は契約の構成部分とはならない︵本法三条︶。 各条件︵これを定めた条項︶はこれを定めた集合契約.または枠契約締結の際の事情に応じ、当事者が本来予期し得 た枠の範囲内にある条件に限られねばならぬ。附従的の個々の義務または附随的法律行為で、本来の契約対象と相関 連してその給付履行が通常予期することが妥当とされぬものは.これを︸般業務約款の申に受けいれることはできな い筈だ︵信義則︶。だかり例えば.売却商品の手入れ修理を有料で継続的に依頼す巻条項︵畷瓢麟載灘巽ざ織轡終圃鍵零ぎ︶ の如きものは、取入れをゆるさない、 凱れに反して抽象的な免責約款︵摩瓢認欝欝婦騒鵯鷺齢騒臨膿︶の如きものは必し も無効ではない. 個々の契約における特約が、一般業務約款の内容と相反するときは、その特約が優先する︵本法四条︶。契約の条 件が、当事者において個々的に交渉.話合いされたときは.たとい定型化された条件が利用された場合であっても. 本法の意昧における一般業務約款は、その契約の基礎とはならない︵本法一条二項︶。 一般業務約款申の一定の条項についての.単なる解釈説明は.これをもって一般業務約款とは異なる個別的契約と みることはできない。だから裁判においては個々の場合に応じ、契約当事者の一方が予め作成された定型化による書 面を利用したに拘らず.相手方の特別の意思表示があり、そのために特別に個々的な合意がありしものと認められる か否かは.各場合の事情にてらし個々にこれを判定せねばならぬ。 一般業務約款申のある条項の内容を、一義的に確定することができない場合には、その解釈は.一般業務約款利用者たる企業者側の責任である。その訳は、一般業務約款の内容作成には、一般大衆たる顧客は何等関係せずその内容 形成にはまったく影響を与えていなかったからだ︵法五条︶。 一般業務約款の利用者が、個々の特約締結のさいにこれを有効に取入れ採用せず、あるいは一般業務約款の個々の 条項が無効であった場合には、これにより契約全体の効力が問題となることは、却って契約当事者の利益に適うこと ではない。だから法律は第六条の規定をもって、民法第二二九条の規定︵一部無効に関する規定。即ち法律行為の一 部が無効となったときは、原則として全法律を無効とするとの規定︶に反して、原則として、残りの契約全部を有効 として存続させるものとした︵法第六条︶。 ただしこうしたことによって、規定に欠陥︵菊①αq2琶αq監舞象︶が生じた場合には、契約内容は一般の法律の規定 にしたがい、これを判定する外仕方がない。がかかる規定の欠けた場合には、西独民法第一五七条︵日民法第一条︶ の規定するように、契約は信義の原則にてらしてこれを解釈せねばならない。もし当該の条項の除去によって、給付 と反対給付との関係が不釣合となり、契約の存続は却って当事者にたいし、不当な苛酷を強いる結果となる場合に は、全契約はまったく無効となるほかない。 一般取引約款の利用者が、個々的契約の内容形成にあたってもつ契約の自由は、通常利用者である企業者だけがこ れを享有し、その相手方たる顧客または一般消費者は、たんに契約締結の自由をもつだけに止まる。だからこの場合 注意すべきことは、一般業務約款の採用により、成法上の規定を変更し、あるいはこれを補修する場合には、これに より契約相手方︵顧客たる一般消費者︶の利益の不当に害してはならない︵法八条︶ということである。 消費者の保護と一般業務約款規制法 一五
東洋法学 一六 法律は適当な利害調整をはかるため、ある種の型式をもつ条項の取入れをまったく禁止し、あるいは個々の場合に 不妥当性を許さぬものとした。その訳は、法の誰弁的︵8。 ・巳の膏︶な規定は、つねに欠陥をふくみ不完全なものだ から.立法者は不当条項禁止のほかに、一般的な救済規定の役目︵≧蒔窪戴零艶無鑓島鴨ε議oぼ簿窪︶をもつ一般条項 ︵のぐ 参器難鱈禦羅汐︶の規定を民法典の規定以外にさらにもうけたのだ。この一般的救済規定は.従来の判例による精 密な検討を通して統一化された決論であるが、これによれば一般業務約款の規定が.その利用者の相手方たる顧客消 費者にたいし.信義の原則に違反して不当な不利益をあたえる場合には.これを無効とするというものだ︵法第九条 一項︶。 離の場合適当妥当性の判定には.個々の場合の事情の考慮が必要であるが.さらに、一般簾務約款法の規制により 非妥当性を排除しようと努める.本法の規定の本来の目的に添うことを要する。一般業務約款で、特別に低額の価額 を規定するということは.通常は特に注意する必要はない。その訳は、一般業務約款の利用者たる企業者は、反対給 付の所在を.一般業務約款の基礎とし利用する価値︵遠大な終局的価値︶をつとに心得ているからだ。 本法は、不当性判断の基準をさだめる考え方の不安定さを避けるために、その判断基準の二個をさだめた︵本法第 九条二項︶。その第一は.一般業務約款の規定が、法律の重要な基本観念に違反し、これと異った規定をもつ場合であ り.第二に非妥当性の存する場合とは.一般業務約款の規定により.契約の性質上当然生ずるべき重要な権利義務を 制限し、契約を為した目的達成を害する倶ある場合であるとした。 個々に約款の条項を個々の場合の特殊事情にてらして取扱うに当り︵欝霧蓼静。匿ご ご魯舞αξお︶立法者は、法がみ
とめた二様の条項があるものとした。その第一は一般業務約款に服従する者︵顧客または一般消費者︶にとって、基 本的に当然危険と認められるので、何等の検討をまたず当然にこれを無効とする条項であり、その第二は、条項の規 定は当然に不当ではないが、個々の場合に、具体的に全般の事情を検討し、適当な利益調整の努力が行われているか 否かを審査して当否を決定さるべき条項である。そこで本法では、評価の可能性をもつ禁止条項︵箆帥窃巴誘昏o富巨骨 ≦R葺嵩αqω。 ・風卑き営︶と、評価の可能性をもたない禁止条項とをみとめ、その内容を詳細に規定した︵法第一〇条一 一条︶。 評価の可能性をもつ禁止条項︵第一〇条︶においては、一般条項︵O①器邑匹磐。 ・①庁︶におけると同様に、一連の不 定な法観念をふくむ文字を使用している。例えば不当な︵欝窪鴨9Φ器窪︶とか、不相当な︵琶話跨讐巳弩霧ω蒔︶と か、あるいは期望し難い︵琶建導蓉び畦︶など、裁量の余地がのこされた文言が散見する。だからこの規定の内容は 本質的には一般条項の規定︵信義則・反公序良俗性︶内容と異なるものではない。その有利性は、一般条項の典型的 適用およびその主要な適用性の検討を要する、八個の評価の危険を含む条項を列挙している。 これに反して評価の可能性なき禁止条項の場合︵第一一条︶は、右の第一〇条の場合と異なり、不当・非妥当性は 法律によって当然に評価され、何等の考慮を要せず、個々の契約に取入れられた条項が、同条一号乃至第一六号の規 定に触れる限り当然無効と評価きれる。それらの一六号は、さらに二・三を超える洋§餌により詳細に規定されて いる。 これらは、いずれも西独連邦司法省の立法委員会が、従来の積み重ねられた判例学説を基礎として抽出規定したも 消費者の保護と一般業務約款規制法 一七
東洋法学 一八 のである。こうした今日のドイッ契約法の形成についての詳述はいまこれを避けるが、われわれにも興味ある主要な 三点を指摘しておくことは忘れてはいけない。それは一般業務約款申にふくまれる違反罰の間題と、法律上定められ た蝦疵担保責任期間の短縮.ならびに顧客または一般消費者の不利をきたす立証責任に関する条項である。禁止条項 を巧みに他の定型方式によへて回避潜脱しようとする方策は、本法第七条により明かに禁止されている︵α簿α礎魯− 綴鵯畷灘ざ轡伽蝿︶
六.本法の訴訟法的規定
本法における実体法上の規定は、もっばら従来のドイツ裁判所の判例を基礎として.これに範ったものといわれる が.本法の訴訟法上の規定は.一般業務約款の内容規制を実施するにあたり、これを完遂し消費者たる顧客の利益保 護の可能性をたかめ.かつこれを広くおよばせることを目的とした。さりながらこの点に関し、本法の立法者が残念 にも失敗したことは、長年にわたり議論がかわされてきた民事訴訟法の改正論に手を触れることなく、また訴訟法改 正論のなかで取上げられた企図にも、きわめて中途半端の解決をあたえることである。そして一般業務約款監視の手 続として独立的に、あるいは他の制度と結合して行われるコント環ールの手続として、次のような方法がみとめられ た。 夏 行政機関による防止的監視 この方法としては種々のやり方が考えられる。(c)(b)(a,) (b)(&)皿 (c) (b)(a)皿 IV 一般業務約款の一般的義務認可主義︵最強手段︶ その任意的届出主義︵後日の届出という監視により特権が与えられるとしても、薄弱の手段だ︶ 一般業務約款の登記制度による簡短な監視︵登記義務を課することにより、後日の監視を容易にし、一般業務 約款につき絶対的不許の条項の検討の枠付けとなる︶ 裁判手続による事後の監視 不作為訴訟の方法により︵消費者団体・経済上の団体または消費者からの代理人による訴︶。 事後の監査手続の方法により︵抽象的な裁判上の手続、または準司法機関による抽象的規範の対策手続による 検査手続・例えば連邦内務省における監視委員会の裁定︶ 提案手続︵く&品お焦鱒ぼ窪︶の方法︵受訴裁判所が個々の訴訟手続における一般業務約款の申間監視にあた って、その裁判が具体的な審査手続における裁判と異るべきときは、裁判所は適当な提案をする義務がある︶ 一般業務約款の集合的作成は、次の方法によって行われる。 集合的協定︵労働協約の場合のように、企業者と消費者団体とのあいだの集合的の協定︶、また 模範的条項の作成︵同数の構成員による委員会で作成され、その定められたものは法律的効力をあたえられる か、あるいは一般的拘束力宣言︵︷浮9 。凝Φ露蝕暑o讐ぼ象号①葬㌶属︶がなされる︶ 消費者からの受託者制度の導入︵この受託者は裁定権をもった公官庁、あるいは社会保護官ωoN芭巽︾欝名聾 とすること︶。 消費者の保護と一般業務約款規制法 一九
東洋法学
二〇 立法者はいまや.民法上の契約自由の原則や、ドイッ連邦国の市場経済にたいする経済秩序は、もはや、国の官僚 の統制指導だけにまかせてこれだけにたよれないという観念に立っている。そこで立法者はいまや団体による不作為 訴訟︵ぎ夢墜量階α貸Φ︶の方法を考え出した。それは既にドイツ競業法において行われるところであり、その解決方 法は個々の場合.つぎの通りである。 実体法上無効な規定をふくむ一般業務約款の利用者は.その不使用を訴えることができる︵法二二条一項︶。だから ある人が、かかる条項をその法律行薦的取引に持出審れたときは︵集団的提案.定型的吉面によむ︶、ツ曳の撤回序噺講 求することができる.かかる場合の訴訟能力をもつものは経済上の団体だけに限られる︵法第ご二条二項︶、個入たる 顧客は個々の訴訟において/般業務約款の無効を主張する可能性をもつだけである、嬉鞭者団体の訴訟能力は.一般 業務約款が商人にたいし利用された場合.またそれが商人間だけに使用される場合には.これをうしなう︵法等ご二 条三項︶。団体の右請求権は.団体が無効の一般業務約款の利用または利用の提案を知った時から二年を経過したとき は・時効によって消滅する。右事実を知ったと否とに拘らず.右利用または利用の提案の時から四年を経過したとき 亦同じ︵法第ご二条四項︶。 こうした集団訴訟の專属管轄裁判所は、被告がその営業所を有する土地、これなき場合はその住所を有する土地を 管轄する地方裁判所とする。被告が内国に営業所または住所を有しないときは、内国における居所を管轄する裁判 所、またさらにこれをかくときは本法第九条乃至第二条の規定による無効の一般業務約款を利用した地方の裁判所 の管轄とする︵法第一四条一項︶。その手続は原則として通常の民事訴訟法の規定にしたがう︵法一五条︶。これに関する若干の規定がおかれているに過ぎないが、一九七七年発布された民事訴訟簡易化修正法︵○①ω①欝N霞く禽亀8ご轟 弩瓢⑦霧魯蚕鉱αq毒αQαq霞8竃一魯象く①臨拶ぼ窪揮く霞oぎ貯島毒αqの8︿亀①︶の適用をうける結果、相当その手続は迅速 ︵4︶ 簡易化されることが期待される。 裁判所は勝訴の原告の申立により、判決主文︵9鼠霞・護邑.↓窪霞︶ならびに敗訴の一般業務約款利用者、また は提案者の名称を、被告の費用をもって、連邦官報紙に、その他の部分については原告の費用をもって、官報その他 ︵5︶ の新聞紙等に広告することを命することができる︵法一八条︶。 訴訟の提起があったこと、確定判決またはその他訴訟の顧末については、裁判所は職権をもってこれを連邦カルテ ル庁に通告し、同庁はこれを登録せねばならぬ。右登録事項に関しては、何人といえどもその申請にもとずき、これ に関する情報をあたえられる︵法二〇条︶。こうして裁判所は勿論・利害関係人、およびその法律上の取引に参加した すべての人々、即ち訴訟能力をみとめられた消費者団体・一般業務約款の利用者、ならびに衆顧客の利益が考慮され たわけである。既判力ある判決に違反する行為にたいしては、顧客はその利用者である営業者にたいし、個々の訴訟 においても、その不使用︵不作為︶を訴えることができる。一般業務約款の効力の有効性についての検討は、再びこ れを繰返すことは許されない︵法第二一条︶。 団体訴訟の場合の訴訟物の価額は、五万ドイツマークを超えるものと認めることはできない︵法二二条︶。しかしな がら、消費者団体が財政上の能力の乏しいことを知る者は、立法者が適当の設備を考え、有効に消費者の保護を計ろ うとしなかった態度に不満を感ずるであろう。 消費者の保護と一般業務約款規制法 二一
東洋法学
二二 とは言うものの、われわれは諦めるには及ばない。ここに開かれた一般業務約款にたいする法改正の第一歩につづ いて、第二の改革の歩みをすすめねばならないとの反省がある。それは.契約法の総体を根本的に見直し、それを現 ︵6︶ 代的な社会国家的要請にこたえるものとせねばならぬという反省である。 ㈱ ⑥㈲ ぐ鷺綴8欝も o昏器鑓の鉾⇔富<⑪灘圃獣総劉鐸轟。 Q蓉霧瀞麟騨鰻蕊瞬驚臼9諺心雛岡篶箒験遍零評騨鍵⇔搾も ゆ野蜜馨騨驚⑲蹄歴驚織 讐膿譲堕陣∼鈴o ⇔頓∼燈聾 救轡勢諾\鱒既蕊欝≦欝愚錺回難\磁甑欝器詳酬ゆ難鑓漁纂幾熱簿艶鵜燈 離−ρ綴驚階圃欝撚樋鷺疇鯵蟻轡 社会大衆たる消費者にたいする有力な保護ということは.現代の自由契約法えの根本的検討であり.それはやがて社会主 義瞬家の要講にこたえることである.この要講えの瞬答は私法の公法化を意昧し.私法と公法の分化を法典のなかに強く 意識しなかった時代の法典︵例・普国一般國法とかオーストリヤ一般民法典︶の制度に似て私法法典が新らしい時代の脚 光をあびた社会主義国家の立法としてその姿を示すようになった。 ︵遷器。 喰≦欝欝詳ご霧鰻蕊薗霧舞讐8財甑欝ご○押置 ..鱒g簿鍵O自 っ酔驚難麟.のG ・幹.、嶺◎験接贔お刈9 鑓⑪津歴奪 り諏蹄頴鵯壌戯幻轟鴨種灘器灘協鰻蕊蒔霧の窟ぴ瓢魯鍛鼠鰻訟圃瞬畠⑫ 霧鍵弩餌陰鵬箒讐ごご驚糞騨2答ぐ⇒岡薦霧簿舘鐸じ ご段圃欝お蕊。ρ零簿七.む す び
終りにあたって注意すべきことは、この法律の影響は日本の企業にも差当り波及することきわめて多大であること だ。即ち日本の企業が、西独において営業上の活動をする場合、および我国の消費者がドイッ営業者と取引する場合 に、ドイツ法による不当な一般業務約款を使用し、あるいは使用された場合、ドイツ法におけると同様の保護が顧客にあたえられる訳である。本法第一二条は、本法の実体法的規定の適用を拡張し、本来日本法にしたがうべき契約に ついても、これにドイツ法たる本法の規定を適用するものとした。これに関連して注意すべきことは、本法第一〇条 八号の規定によれば、定型的書面による外国法適用の合意は、これにつき何等特別に考慮すべき利益がみとめられな い限り、無効とされることである。この場合当該企業がドイッ国内に営業所をもたのという事実だけでは、右にいう 特別にみとめられる利益とは称し難い。その訳は最近改修されたドイツ民事訴訟法の規定によれば、裁判管轄の合意 および裁判所の管轄に影響をおよぼすべき実体法上の履行地に関する当事者の合意は、大商人間においてのみこれが 許されるからだ︵民訴法三八条︶。従って商法上のいわゆる小商人は商業登記ができないし、また基本的商行為以外の 行為を行う者は、たとえ最後の消費者であっても、裁判管轄に関する合意を結ぶことはできない。 前示のように、ドイツ一九七七年の民事訴訟法簡易化修正法の目的は、民事訴訟法が当事者の争いを適正に迅速集 申的に審理し簡便手続で裁判のできるびω毒鋤ぼ欝ω○①器霞 ︵確実有効な法律︶としての理想を追求するにあった。し かしながら、一九七七年八月二七日から九月四日にわたって、ベルギー国ゲント市で開催された、国際民事訴訟法会 議の論題がしめすような、民事訴訟における各種の問題︵例・訴訟救助・大衆訴訟Ω霧の︾&8・少額裁判所・民 事訴訟における検事の職務介入・訴訟手続の速進・立証問題・国際民事訴訟の問題・法曹と勺鍵巷8獄鼠象巴のの問 題等︶に関して、必しもよい解答があたえられていない。われわれは右最近の民訴簡易化改修法︵bO卑お●器o 。一︶ の条文を正確にみつめるとともに、一九七五年六月一九日の東独民事訴訟法の条文を顧みて、謙虚にその改正のあと を探るとともに、東独新民法典と本法の規定の実効を凝視しよう。G∂ 消費者の保護と一般業務約款規制法 二一二
(7) 東洋法学 二四 ー一九七七・五・二七・稿ー くαq剛。H纂簿奏誉髭一禽麟o轟器器警霧鰻く昔㎏o器ω。 a誘o簿貯の①纂 ︵響戴窪︶ぎ鷺O塑塁おミ9曽旧顕巽壕蒔沁畠讐露− §貰80鍔ψ8㎝津小島試謂.訴訟制度改革の理論・弘文堂 大衆消費者保護のための訴訟形式として.本法では集団訴訟をみとめたが、大衆訴訟ともいうべきΩ器ω︾鼠§の制度は 採用しなかった。クラス・アクシ藁ンの制度をドイツ法で採用することについては.ドイツ学者は直ちに賛成できないと している。クラス・アクシ繋ンの制度はその制度の利絹者または弁護士の宣伝により悪罵きれるとか.その制度もこれを 採用す嵩アメ亨力の各州法で必しも一致していない。集合合同した訴訟においても・各原告たる消費者の損害の額・因果 闘係は常に同二硲はない.同一の権利関係を原霞とする多数訴訟の場禽には.選定当事者による訴訟の遂行も可能である以 上、強いてΩ霧む ウ糖a露の制度を取入れる必要はないというのが.ドイツ学者の意見だ ︵瓢鍵籔講艶 も 弓鳳鑑回韓踊蟹鐙 齢羅韓瞬圃蘇灘欝焦擦 雛舞幽欝鴻脚瀧副鎌饒 甑霧紛 霧凱螢講鐵麟 騨幽騨欝卿瓢欝 湾Φ瓢鵬鵡欝脚講齢瓢灘騨瓢紬瞬鵠賑︽瓢甑鵠織蓉 難蜘臨 /齋瓢義蜘曝 欝 蘇傷磁巽瓢難審膝鱒⑱鰍漣欝灘剛雛鑓磯畢籔韓灘魯轡≦瞬塊紳糞罫鴎鎌璽爾簿恥罵瞬欝㌫鉱器聡澄む 簿欝⇔欝獄縛譲欝漣“P獅簿鱗勝鑓㈹諾欝野騰慈 鰹羅韓a渓鰹学嬉 餐難爾獣お蕊堕oゆ器卑︶ 本法の訴訟法的規定は.さきにドイッ連邦基督教民主主義法曹協議会纏鷺ACDJが、 一九七四薙七月三一鷺採決発表し た一般業務約款法草案の第三章.手続法の規定と大差がない。同箪案との比較の為めには.拙稿コ般業務約款と立法化 への聞題点﹂東洋大学法学会刊・東洋法学第二〇巻一号参照。 西独一般業務約款法にたいするアメリカ側からする批評については § ↓富象器難Ω鍵ω$<富壌a蹄o簿餌 ご卿む 篠鐙箒βげ鴫智籔圃ご騨墾麹 っ霧欝力麟誇欝N矧㌶卯海声一㊤謡⑳濠︸顛 拙稿・﹁西独一般業務約款法の正本並びに略解﹂東洋大学比較法二九七七二干拠号参照。