• 検索結果がありません。

大学院グローバル・ファイナンス専攻(修士課程)新設に向けて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "大学院グローバル・ファイナンス専攻(修士課程)新設に向けて"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

   全 国 初 の フ ァ イ ナ ン ス 学 科 ︵ 学 部 ︶ 設 置 の 意 義   本 学 経 済 学 部 に 全 国 初 の フ ァ イ ナ ン ス 学 科 が 新 設 さ れ た の は 、 平 成 三 年 ︵ 一 九 九 一 年 ︶ 四 月 で し た 。 国 立 大 学 で 初 め て の カ タ カ ナ 名 の 学 科 と い う こ と で 大 き な 話 題 を 呼 び 、 バ ブ ル 崩 壊 後 の 金 融 面 で の 反 省 と バ ブ ル 再 発 防 止 策 の 検 討 、 不 良 債 権 処 理 策 、 金 融 倫 理 問 題 、 デ リ バ テ ィ ブ ︵ 金 融 派 生 商 品 ︶ を 中 心 と す る 金 融 工 学 研 究 、 金 融 ビ ッ グ バ ン 対 策 等 々 に つ い て も フ ァ イ ナ ン ス 学 科 の 教 官 が 積 極 的 に 研 究 し 、 そ の 成 果 を 基 に 発 言 を 行 っ て き ま し た 。 そ の 意 味 で フ ァ イ ナ ン ス 学 科 設 置 の 意 義 は 大 き か っ た と い え る で し ょ う 。 平 成 四 年 以 降 私 立 大 学 で も フ ァ イ ナ ン ス 学 科 や 金 融 学 科 新 設 が 相 次 ぎ ま し た が 、 本 学 フ ァ イ ナ ン ス 学 科 設 置 は そ の 先 鞭 を つ け た も の で し た 。   グ ロ ー バ ル ・ フ ァ イ ナ ン ス 専 攻 ︵ 大 学 院 ︶ 新 設 の 必 要 性   社 会 ・ 経 済 の 情 報 化 ・ グ ロ ー バ ル 化 が 急 速 に 進 展 し て い る 今 日 ほ ど 、 フ ァ イ ナ ン ス に つ い て の 総 合 的 知 識 を 必 要 と し て い る 時 代 は な く 、 そ の よ う な 大 学 院 設 置 が 切 望 さ れ て い ま す 。 フ ァ イ ナ ン ス と は 資 金 の 調 達 と 運 用 に 関 す る 総 合 的 学 問 分 野 で す が 、 企 業 、 個 人 、 金 融 機 関 、 政 府 、 中 央 銀 行 そ れ ぞ れ に お い て 科 学 的 な フ ァ イ ナ ン ス の 知 識 を 習 得 し 、 健 全 な フ ァ イ ナ ン ス ・ マ イ ン ド ︵ 金 融 倫 理 ︶ を 養 う 場 が 強 く 求 め ら れ て い ま す 。   国 際 的 に は 資 本 移 動 の グ ロ ー バ ル 化 の 中 で デ リ バ テ ィ ブ 等 の 金 融 工 学 を 駆 使 し た ヘ ッ ジ ・ フ ァ ン ド に よ り 、 一 九 九 二 年 に は 英 国 が 通 貨 切 り 下 げ を 余 儀 な く さ れ た り 、 一 九 九 七 年 に は 東 南 ア ジ ア 諸 国 が 経 済 的 困 難 に 落 ち 込 ま さ れ た り と 、 全 世 界 的 規 模 で ヘ ッ ジ ・ フ ァ ン ド の 規 制 問 題 が ク ロ ー ズ ア ッ プ さ れ て い ま す 。 ま た 各 国 内 に お い て も デ リ バ テ ィ ブ 取 引 は 急 速 に 拡 大 し て い る に も か か わ ら ず 、 金 融 工 学 の 手 法 は ま だ 充 分 に 普 及 し て お ら ず 、 莫 大 な 損 失 を 蒙 る 例 も 枚 挙 に い と ま が あ り ま せ ん 。 と く に 地 方 に お い て は デ リ バ テ ィ ブ を 含 め た リ ス ク 管 理 手 法 を 取 得 し た 人 材 の 不 足 は 著 し く 、 そ の 早 急 な 養 成 が 急 務 と な っ て い ま す 。   他 方 一 九 九 七 年 の ノ ー ベ ル 経 済 学 賞 は 、 デ リ バ テ ィ ブ 研 究 に 貢 献 し た 二 学 者 に 授 与 さ れ ま し た が 、 理 論 の 進 展 も 日 進 月 歩 で そ の 手 法 は 三 ∼ 五 年 で 陳 腐 化 す る と ま で い わ れ て い ま す 。 こ の よ う な 状 況 下 、 日 本 の 金 融 界 や 官 界 で デ リ バ テ ィ ブ 等 の 金 融 ハ イ テ ク 手 法 や 理 論 を 理 解 し 、 新 し い 金 融 商 品 を 開 発 す る 能 力 や 政 策 立 案 能 力 を 持 つ 人 材 育 成 も 緊 急 の 課 題 で す 。   ま た 従 来 の 融 資 姿 勢 は 、 担 保 が あ れ ば 貸 す と い う ﹁ 有 担 保 原 則 ﹂ に 基 づ い た も の で し た が 、 バ ブ ル 期 の 土 地 や 株 、 絵 画 の 高 騰 に 伴 う 過 剰 融 資 が 、 そ の 後 の 担 保 価 値 の 下 落 に よ り 不 良 債 権 累 積 の 大 き な 原 因 と も な っ て い ま す 。 し か し 近 年 の ベ ン チ ャ ー ・ キ ャ ピ タ ル 育 成 の た め の 資 金 供 給 拡 大 な ど 、 担 保 が な く て も 貸 し 出 し を 行 わ な け れ ば 将 来 の 優 良 な 顧 客 を 失 う ケ ー ス も 増 加 し て い ま す 。 顧 客 に 対 す る 的 確 な 分 析 や リ ス ク 管 理 な ど ﹁ A L M ︵ 資 産 ・ 負 債 の 適 正 な 管 理 ︶ ﹂ の 手 法 の 再 教 育 や 金 融 倫 理 も 産 業 界 か ら 強 く 求 め ら れ て い ま す 。   欧 米 の 金 融 業 界 は デ リ バ テ ィ ブ に よ る 収 益 拡 大 を 通 じ 、 衰 退 産 業 か ら 成 長 産 業 へ の 脱 皮 を 図 っ て い ま す 。 し か し 日 本 に お い て は 、 と く に 関 西 に お い て は 、 体 系 的 な デ リ バ テ ィ ブ 教 育 機 関 が 少 な く 、 デ リ バ テ ィ ブ の 専 門 家 が 絶 対 的 に 不 足 し て い ま す 。   こ の よ う に 、 わ が 国 の 金 融 界 は 内 外 の 急 速 な 変 化 に 立 ち 遅 れ て お り 、 金 融 業 界 が 成 長 産 業 と し て 再 び 活 性 化 し 、 国 際 的 に も 先 端 的 な 競 争 力 を 取 り 戻 す こ と は フ ァ イ ナ ン ス 分 野 の み な ら ず 、 わ が 国 経 済 の 健 全 な 発 展 に と っ て も 最 も 重 要 な こ と で す 。 大 学 審 議 会 の 金 融 工 学 を 中 心 と す る 大 学 院 設 置 提 言 も こ の よ う な 状 況 を 背 景 に 出 さ れ た も の で す 。 こ う し た 社 会 の 強 い 要 請 を 基 礎 に 本 学 で は 大 学 院 経 済 学 研 究 科 に 、 こ れ ま で の フ ァ イ ナ ン ス 教 育 ・ 研 究 の 経 験 、 蓄 積 を 生 か し た 本 学 な ら で は の 地 域 に 根 差 し た ﹁ グ ロ ー バ ル ・ フ ァ イ ナ ン ス 専 攻 ﹂ を 平 成 十 三 年 ︵ 二 ○ ○ 一 年 ︶ 四 月 に 新 設 す る 計 画 で 、 現 在 、 随 意 準 備 を 進 め て い る と こ ろ で す 。   金 融 の プ ロ 育 成 を 目 指 す 新 専 攻   本 専 攻 で は グ ロ ー バ ル な 視 点 を 持 つ 、 フ ァ イ ナ ン ス の 総 合 的 知 識 を 身 に し が だ い (18)

(2)

 つ け た 健 全 な フ ァ イ ナ ン ス ・ マ イ ン ド 溢 れ る 人 材 育 成 を 行 い た い と 思 い ま す 。 す な わ ち 以 下 の よ う な 人 材 養 成 を 目 指 し て い ま す 。   ① 金 融 工 学 と く に デ リ バ テ ィ ブ 等 の 金 融 ハ イ テ ク 手 法 や 理 論 を 理 解 し 、 新 し い 金 融 商 品 を 開 発 す る 能 力 や 政 策 立 案 能 力 を 持 つ プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル の 育 成 を 図 る 。   ② 金 融 業 界 や 地 方 公 共 団 体 の 財 務 担 当 者 に 対 し 、 顧 客 に 対 す る 的 確 な 分 析 能 力 の 向 上 と A L M 手 法 の 再 教 育 、 国 債 ・ 地 方 債 の 管 理 手 法 ・ 償 還 計 画 の 再 計 画 、 金 融 法 務 、 フ ァ イ ナ ン ス 会 計 等 実 務 能 力 増 強 を 図 り 、 金 融 の プ ロ を 目 指 す 人 々 を 育 成 す る 。   ③ グ ロ ー バ ル な 視 点 か ら 現 実 の 経 済 、 企 業 を 分 析 で き る 公 認 会 計 士 や 税 理 士 等 資 格 取 得 希 望 者 や 、 高 度 金 融 理 論 を 理 解 で き る 一 般 人 の 育 成 を 目 指 す 。   や る 気 の あ る 人 は チ ャ レ ン ジ し て み ま せ ん か 。   有 馬 敏 則 ︵ 経 済 学 部 教 授 ・ 大 学 院         制 度 検 討 委 員 会 委 員 長 ︶ し が だ い (19) デリバティブ理論でノーベル経済学賞を受 賞したマイロン・ショールズ博士と筆者

 陵水学術後援会協力

    特別講義『現代の経済』

 昨年度の秋学期に開講された特別講義『現代の経営』は、本学出身で陵 水会名誉会長の樋口廣太郎氏を筆頭に、多くのアサヒビールの経営幹部に よる、我々に身近なビール会社の経営問題という実践的な講義内容であっ たため、毎回講義室が満員となるほどの盛況ぶりで、学生の皆さんへのア ンケートでも大変好評でした。  この特別講義の目的は実業界、民間の研究機関など、実社会で活躍して いる経験豊富な社会人講師を、毎年定期的に招いて、実社会と密接に関連 した、新鮮かつ実践的なカリキュラムを提供頂き、受講される学生の皆さ んばかりでなく、本学の教育のあり方にも多くの刺激を頂こうとするもの です。  今年度は同じ特別講義のシリーズ・第二弾として、『現代の経済』が4月 21日から開講され、当日は、23教室に詰め掛けた満員の学生を前に、まず最 初に成瀬経済学部長から開講の辞があり、当講義の意義などについて詳し く紹介されました。学部長からの紹介等をもとに、当講義のポイントをま とめると以下の通りです。  今回の『現代の経済』は、副題に「実践経済学」とあるように、学生の 皆さんに現実の「経済を見る目」を養ってもらうため、実際に日々の経済 動向を分析しているエコノミストの方々に「経済をどのように分析し、解 釈していけばよいか」を判りやすく講義していただくものです。  講師陣は日本生命と同社のシンクタンク、ニッセイ基礎研究所から3名 をお招きして、多忙なスケジュールを縫って毎回東京から駆け付けて頂く ことになっています。当日第1回目の講義をされた客員助教授の久保英也 氏(日本生命資金証券部次長)は数十兆円もの巨額の資金運用を手掛ける チーフ・エコノミストとして腕を振るうかたわら、日々のマスコミや経済 専門誌などでも盛んに論陣を張っておられます。また久保氏と交互に講義 を分担される客員助教授の小巻泰之氏(ニッセイ基礎研究所副主任研究員) も日本経済、金融専門の若手アナリストとして多くの研究実績を挙げてお られます。  最終回の7月14日にはニッセイ基礎研究所社長の正田文男氏(元日本生 命副社長)が、お二人の講義の総仕上げとして、ご専門の年金などの社会 保障問題を取り上げて日本経済の将来展望について講義頂くことになって おります。正田社長は保険業界・金融界きっての論客として知られた方で、 保険に関する著書等も多く著されておられます。この最終講義には出来る だけ多くの学生・学内関係者の受講が可能なように、必要な処置(教室の 変更等)を取る予定ですので、この問題に関心のある方のご来聴を歓迎致 します。  なお、最後になりましたが、昨年度の『現代の経営』、本年度の『現代の 経済』ともに(財)陵水学術後援会協力講義として物心両面での暖かいご支 援・ご協力をいただいておりますことを申し上げるとともに、今回特にお 世話になった本学出身で陵水会元理事長である川瀬源太郎日本生命名誉会 長はじめ陵水会の関係各位に厚く御礼申し上げます。またニッセイ基礎研 究所常務として今回の講義実現のため種々ご尽力賜りながら今春急逝され た著名なエコノミストである故山村浩氏のご冥福をお祈り申し上げます。 小川 功(経済学部教授)  講義する久保英也日本生命資金証券部次長

参照

関連したドキュメント

2.認定看護管理者教育課程サードレベル修了者以外の受験者について、看護系大学院の修士課程

士課程前期課程、博士課程は博士課程後期課程と呼ばれることになった。 そして、1998 年(平成

区分 授業科目の名称 講義等の内容 備考.. 文 化

(コンセッション方式)の PFI/PPP での取り組 みを促している。農業分野では既に農業集落排水 施設(埼玉県加須市)に PFI 手法が採り入れら