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家庭科の食生活領域における健康教育に関する研究 ~諸外国との比較や若年者の食生活調査を通して~

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Academic year: 2021

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− 409 − 家庭科の食生活領域における健康教育に関する研究 諸外国との比較や若年者の食生活調査を通して 教科・領域教育専攻 生活・健康系コース(家庭) 山 下 遥 1. 研究の背景と目的 近年、我が国では食生活の変化に伴い、偏っ た栄養摂取などの食生活の説れや目輔、生活習 慣病の増加、若年女性の痩身傾向など食に関す る問題を多く抱えている。糖尿病や脂質異常症 といった生活習慣病は、いまや大人だけの病気 ではなくなり、小児肥満の増加や生活習慣病の 若年化などが我が国を含めた先進国で大きな課 題となっている。このような背景から、食教育 の重要性が高まり、2005年に食育基本法の施行 や栄養教諭銅j度の導入など生活習慣病予防のた めの国家レベルでの様々な取り組みがなされて いる。食育基本法や第二次食育推進基本計画で は、月間前や生活習慣病予防のための食生活のあ り方が述べられ、子どもそ若年者を対象とした 対策にも重点が置かれている。 このような食と健康を取り巻く環境を考慮す ると、学校現場における食教育においても、生 活習慣病予防を念頭においた適切な食生活のあ り方に関する教育が、子どもの健康を考える上 で非常に重要な課題であるといえる。生活習慣 病が日本に先駆けて問題となったアメリカやフ ランスなどの諸外国では、健康教育にカが入れ られており、日本の健康教育を進めていく上で 参考になる部分が多々あるものと考えられる。 これらを総合的に考察することで、現在の食生 活領域における家庭科教育の課題も見えてくる のではないだろうかb そこで本研究では、食と健康について、小学 校、中学校、高等学校の家庭科教科書での取り 扱われ方を調査分析し、それに関して、将来食 教育に携わるであろう教員養成課程の学生が、 食と健康に関してどの程度の知識を持っている 指 導 教 員 松 永 哲 郎 のか、学生自身の食生活と健康状態の実態と併 せて調査することで、食に関連する健康教育の あり方についての示唆が得られるものと考えた。 また、健康意識についてもあわせて調査し、普 段の健康に対する意識と知識や食生活、健康状 態との関連性についても分析した。さらに、諸 外国の健蔵教育にも着目し、日本と比較・考察 をすることで、日本の健康教育の特徴や課題が 明らかになると考えられた。 今回、下の5つの項目について調査・研究を 行った。項目①として、現行の家庭科の教科書 における食と健康についての記載内容の分析を 行い、項目②として、諸外国の健康教育につい て文献調査を行った。項目③として、本学の学 生を対象とした「健康状態Jと「食生活J関す る調査を実施し、項目④として、同集団に「食 と健康jに関する知識の調査と健康状態、食生 活との関連性を調べた。最後に、項目① ④の 成果を踏まえ、項目⑤として、中学校における 「食と健康」に関する授業案の検討を行った。 2. 研究方法 項目①:小中高の現行家庭科教科書20冊を調査 対象とし、「食と健康Jに関する記載内容につい て分析した。 項目②:文献をもとに、諸外国の健康教育の調 査・分析を行った。 項目③:本学の学生125人(男性75人/女性49 人、 1人性別無記入のため除外)を対象に「健 康状態J・「健康意識Jと「食生活jに関する調 査と調査項目聞における相関分析を行った。 項目④:項目③と同集団を対象に、「食と健康j に関する知識調査を行い、健康状態や食生活と

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− 410 − の相関分析を行った。 項目⑤:項目① ④を踏まえ、中学生を対象と した「食と健康jに関する授業案を検討した。 3. 結果および考察 項目①では、小学校、中学校、高等学校の家 庭科教科書において、いずれも生活習慣病や健 康に関する指数など食生活と健康を関連付けた 記載が不十分と感じられる項目が少なくなく、 具体的にどのような食生活が健康的か、または 病気のリスクになるのかについて補足する必要 性が示唆された。今後、日本人に多い高血圧や 低年齢化が進む脂質異常症、肥満症などについ て、食塩や野菜・果物の摂取、脂肪の摂取など 具体的な食事内容と関連付けて、小中高それぞ れの学習内容を考慮していくことも重要である と考えられた。 項目②では、諸外国で実施されている健康教 育の調査・分析を通して、日本の健康教育の特 徴や課題が示された。多くの先進国で健康教育 が食育との関連性を持って実施されていた。米 国では、幼少期から保健などの科目を通して栄 養学ヰ憶康教育を受けており、近年の健康状態 の改善の一役を担っていると考えられる。一方 で、日本の家庭科は男女必修であり、ひとつの 教科の中で、生活を包掛句に学ぶことができる よう学習内容が整えられていることが特徴であ る。この特色を生かしながら食と健康の教育の 連携をさらに深めることで、より一層、児童・ 生徒の知識キ憶康意識の向上が期待できるもの と考える。 項目③における大学生を対象とした健康状 態・健康意識、食生活調査では、健康意識の高 さが健康的な食生活の多数の項目と相関を示し ていた。また、健康意識が高く、健康的な食生 活の項目の該当数が多いほど、無機質やビタミ ン、野菜類キ魚介類など健康と関連の高い栄養 素や食品を多く摂取していることが明らかにな った。これらのことから、健康への意識を高め ることで、健康的な食事を選択しやすいと示唆 された。その一方で、健康意識の高さと相関の ない項目(間食ヰ靖腹まで食べない)もみられ たことから、健康への意識を高める上で不足し ている知識を補う手立てを考える必要があると 考えられた。 項目④における食と健康に関する知識調査で は、基礎的な家庭科(食生活領域)の問題キ為健 康に関する問題の正解率が

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割を切る問題も散 見され、これら基本的な知識の定着が不十分で ある可能性が考えられた。一方で、知識調査の 合計点が高いほど、健樹句な食生活を形成しや すく、無機質やビタミンの摂取頻度と有意な相 関がみられた。このことから、より若い時期か ら、実践につながりやすい「食と健康Jに関す る知識を高めることが、健康的な食生活の形成、 延いては将来の健康につながる可能性が考えら れる。一方で、これら食生活の各項目と相関が みられたのは、「家庭科(食物)の知識jよりも 「健康に関する知識jで、あったことから、家庭 科で学習する内容と健康に関する内容とをより 一層連携させていくことが、今後の食教育にお いて必要になるものと考えられた。 項目⑤では、項目① ④の結果を踏まえ、中 学生を対象とし、食と健康の学習内容の連携を 意識した授業案を検討した。中学校の家庭科に おいて、これまでの既習内容を振り返りながら、 現在の食習慣は将来の健康に結びつくという視 点から、現在の食生活の改善方法を考え、実践 につなげやすいよう授業構成を検討した。 以上、本研究により、家庭科における食と健 康に関する教育の課題について示唆に富む考察 ができたものと考える。研究成果が、食と健康 を関連付けた食教育・健康教育の発展に寄与し、 生活習慣病の若年化を

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する一助となること を期待する。

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