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ロンドン自然史博物館で発見された最古のイワトコナマズSilurus lithophilus(ナマズ目ナマズ科)の標本

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59 魚類学雑誌 64(1):59–64 2017 年 4 月 25 日発行

記録 ・ 調査報告 Note

〒 517–0703 三重県志摩市志摩町和具 4190–172 三重大学大学院生物資源学研究科水産実験所 現住所:〒 812–8581 福岡県福岡市東区箱崎 6–10-1 九州大学大学院農学研究院資源生物科学部門 (2016 年 12 月 26 日受付;2017 年 1 月 31 日改訂;2017 年 2 月 2 日受理) キーワード: イワトコナマズ , 博物館標本 , 博物学 , リチャード・ゴードン・スミス , ロンドン自然史博物館 , 大英博物館 Japanese Journal of Ichthyology

© The Ichthyological Society of Japan 2017

Yusuke Hibino. 2017. An early specimen of Silurus lithophilus (Siluriformes: Siluridae) found in the Natural History Museum, London. Japan. J. Ichthyol., 64(1): 59–64.

Abstract A single specimen of the catfish, Silurus lithophilus (Tomoda, 1961), was found in the collection of the Natural History Museum, London. The catalog number of the specimen (BMNH 1910.6.30.18) indicates that it was registered on 30 June 1910, long before the collection of the holotype of S. lithophilus (April 1961), previously believed to be the first collected example of the species. Accordingly, the Natural History Museum specimen represents the oldest known example of the species. It is inferred that the specimen was collected during the 6th collecting survey of Mr. Richard Gordon Smith (from November 1905 to mid 1907), the precise date not being apparent in his excerpted diary published by Ms. Victoria Manthorpe. The collection locality of the specimen was noted as Kyoto on the jar label and in the museum collection database. However, a personal tag attached by Mr. Gordon Smith noted its collection from Lake Biwa. Apparently, the specimen was purchased at Kyoto after having been originally collected at Lake Biwa.

*Corresponding author: Laboratory of Fisheries Biology, Faculty of Agriculture, Kyushu University, 6–10–1 Hakozaki, Higashi-ku, Fukuoka 812–8581, Japan (yusukeelology@ gmail.com)

ワ ト コ ナ マ ズ Silurus lithophilus(Tomoda, 1961)はナマズ科 Siluridae の日本固有種で あり,琵琶湖と余呉湖,そして,琵琶湖から流出 する瀬田川の一部からのみ分布が知られている. 本種は大変味が良いことが知られ,その佳味は 200 年以上前の江戸時代末期にはすでに書物「湖 魚 考 」 の 中 に 登 場 す る( 小 林,1806; 北 原, 2008)が,種として記載されたのは約 60 年前で ある(Tomoda, 1961). 筆者は 2016 年 10 月,分類学的研究を目的とし たロンドン自然史博物館(BMNH)での滞在中に 日本産ナマズ科魚類の標本を観察する機会に恵ま れた.ロンドン自然史博物館には日本産のナマズ

Silurus asotus Linnaeus, 1758 の標本が計 12 個体登

録されており,古いものでは Pieter Bleeker 氏によっ て購入された標本(BMNH 1863.12.4.74)や,明 治初頭に David Jordan 氏が入手した日本各地の標 本が現存している.このうち,“Kyoto” と書かれ た 標 本 瓶 に 保 管 さ れ て い た 1 標 本[BMNH 1910.6.30.18,標準体長(以下,体長と略記)244 mm]について再同定を行ったところ,イワトコ ナマズに同定された.本標本は本種の最も古い標 本と判断されたことから,ここに報告する. 標本の計数・計測方法は Tomoda(1961)と同様, 松原(1955)に従ったが,両眼間隔については Tomoda(1961)に従った.計測にはデジタルノ ギスを用いた.比較に用いた S. lithophilus のホロ タイプとパラタイプは従来では京都大学農学部 (MIKU)に登録されていたが,現在は国立科学 博物館(NSMT)に移管されている.

ロンドン自然史博物館で発見された最古のイワトコナマズ

Silurus lithophilus(ナマズ目ナマズ科)の標本

日比野友亮

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標本の同定 今回発見した標本の形態は背鰭が きわめて小さいこと,臀鰭が尾鰭と連続し,両者 の間には欠刻があること,胸鰭棘の全体に鋸歯を もつこと,下顎が上顎より長いこと,上顎の髭が 発達し,その先端は鰓蓋後縁を越えること,下顎 に 1 対の髭をもつことなどからナマズ属 Silurus Linnaeus, 1758 と 一 致 す る(Kobayakawa, 1989; Bornbusch, 1991).ナマズ属は世界で 16 有効種が 知られており(Ferraris, 2007;Nguyen, 2015),日 本からは上述のナマズとイワトコナマズ,および ビワコオオナマズ Silurus biwaensis (Tomoda, 1961) の 3 種が在来種として知られる(友田,1962). また,近年では国外移入種としてヨーロッパオオ ナマズ Silurus glanis Linnaeus, 1758 が報告されてい る(国立環境研究所,2016).今回の標本は色彩 については確認できなかったものの,標本の状態は 概ね良好で,腹部の膨張や眼の落ちくぼみなどの 目立った損傷や腐敗の痕跡も見当たらない(Fig. 1A–C).本標本は眼が水平方向に膨出し,肉質縁部 を含めた両眼間隔が吻端から皮膜を除いた鰓蓋後 縁までの距離の 54.2% と広く,頭部前半が平らかで あること(Fig. 1C),臀鰭基底長が長く,臀鰭前長 は体長の 42.5% であること,肛門直後での体高が 最も高いこと,鋤骨歯帯が中央で明瞭に 2 分され ること,頭部が長く細いことなどが Tomoda(1961) と友田(1962)が示した S. lithophilus の特徴によく 一致し,同属他種とは異なることから本種に再同定 された(Table 1).なお Tomoda(1961)では本種の 眼は腹面から視認できるとされているが,本標本だ けでなく,本種のタイプ標本についても少なくとも 腹面方向から両眼を同時に視認することはできな かったが,角度によっては片側の眼が視認できた. ロンドン自然史博物館の標本番号には,登録年 月日,およびその後に追加の番号(1, 2, 3 …)が 割り振られている.したがって,今回発見された 標本の登録日は 1910 年 6 月 30 日であり,少なく ともこの標本が採集されたのはこの日より前であ ると判断できる.これまでの本種の最古の標本は 友田自身によって 1961 年 4 月に採集されたホロ タイプ(NSMT-P 31193)であったことから(Tomoda, 1961;友田,1978),今回の標本は現在知られる うちでは現存する本種の最古の学術標本である. 日本産のナマズ類は複数個体が幕末から 20 世 紀初頭にかけて海外の有名・無名の採集家によっ て本国へと持ち帰られており(滝川,2016),し かも当時はすでに琵琶湖の固有性・独自性がヨー Fig. 1. Silurus lithophilus (BMNH 1910.6.30.18, 244 mm of standard length), found in the collection

of the Natural History Museum, London. A, specimen jar and specimen; B, right side of specimen; C, dorsal view of head with protruded eyes.

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最古のイワトコナマズ標本 61 ロッパの博物学者たちの大きな関心を集めていた (滝川,2016).にもかかわらず,その蒐集品の中 に琵琶湖周辺の固有種であるイワトコナマズが含 まれていたことは認識されていなかったこととな る. 上述したとおり,この標本の納められていた標 本瓶のラベルには “Kyoto” の文字が明示され,ロ ンドン自然史博物館のコレクションデータベース でも産地は京都とされていた.ところが,標本に 取り付けられていたタグの文字の判読を試みたと ころ,“Lake Biwa”,“Japan.” と採集地の情報が書 かれていることが判明した(Fig. 2B).この標本 タグと標本瓶ラベルとの表記の不一致については 後ほど検討する. 採集日の特定 今回発見されたイワトコナマズ の標本はイギリス人 Richard Gordon Smith 氏(以 下 Gordon Smith 氏)によって購入され,大英博物 館 に 送 ら れ た 標 本 群 の う ち の 1 個 体 で あ る. Gordon Smith 氏は大英博物館からの依頼を受け, 世界各地で生物標本の蒐集を行ったが,特に日本 から膨大な数の動植物標本を本国に送っている. 彼の旅程は彼自身が書き残した詳細かつ膨大な手 記から分かるため,そこから採集日の特定を試みた. しかし,その膨大な原典を直接参照することは筆 者には難しいため,代わりに Victoria Manthorpe 氏 がその手記から抜粋して出版した「Travels in the Land of Gods (1898–1907) The Japan Diaries of Richard Gordon Smith」の和訳本(スミス,荒俣・大橋訳, Table 1. Counts and measurements of Silurus lithophilus

Silurus lithophilus

BMNH

1910.6.30.18 Holotype Paratypes (n = 3) Tomoda (1962)

Standard length 244 388 317–523 ca. 100–550

Counts Dorsal-fin rays 5 4* 5* 4–5 Anal-fin rays 73 83* 75–88* 73–90 Pectoral-fin rays 14 11* 11–12* 11–13 Barbels (total) 4 4 4 – Measurements As % of standard length

Head length 21.4 20.1 19.5–19.9 ca. 18–22.5

Body depth 16.4 18.6 15.7–18.6 –

Caudal peduncle depth 4.3 5.2 4.6–5.4 –

Dorsal-fin height 5.9 4.5 5.2–6.3 ca. 4.3–9.0

Pre-dorsal-fin length 30.9 30.0 30.1–30.5 ca. 29.4–33.8 Pre-anal-fin length 42.5 39.4 38.5–41.0 ca. 40–46 As % of head length

Eye diameter 12.9 11.9 9.9–12.2 –

Interorbital width 54.2 56.4 56.1–59.3 ca. 54–63

Snout length 35.7 35.9 37.2–38.8 –

Maxillary-barbel length 113.7 93.8 96.6–116.4 ca. 83–153 Mandibular-barbel length 8.0 18.3 18.8–22.8 ca. 15–38 *Data from Tomoda (1961).

Fig. 2. Personal tag (viewed from reverse side) attached by Mr. Richard Gordon Smith to Silurus lithophilus (BMNH 1910.6.30.18). Front side, “230” punched out and “RED Catfish” written; Reverse side, “Lake Biwa” (line 1), “Japan.” (line 2), and “red. Catfish” (line 3) written.

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1993) を 参 照 し た.Gordon Smith 氏 は 1898 年 12 月に初めて日本を訪問し,合計 6 回にわたって滞 在した.1901 年には 7 月 19 日付の大英博物館か らの手紙で彼の日本,朝鮮,ロシア領シベリアへ の 滞 在 に か か る 標 本 蒐 集 を 依 頼 さ れ, そ の 後 1901 年 10 月からの 4 度目の日本滞在時に生物採 集を開始する.1902 年春にはヨットを借りて瀬 戸内海での採集を始めた.Gordon Smith 氏の標本 は 1902 年 10 月に登録されたものから存在してお り[ 例 え ば ス ズ キ Lateolabrax japonicus (Cuvier, 1828)(BMNH 1902.10.31.10)など],これらはこ の 4 度目の滞在時に採集されたものである(滝川, 私信).つづいて,1903 年 10 月から 1905 年 2 月 まで日本に滞在し,再び瀬戸内海周辺で生物採集 を行ったが,その一連の標本群は 1910 年以前, 具体的には 1907 年までにすでに大英博物館に登 録されている.Gordon Smith 氏は 1905 年 11 月に 再び来日し(6 度目の滞在),その後 1907 年の半 ばまで日本に滞在した.Gordon Smith 氏の一連の 標本群のうち,4 度目と 5 度目の日本滞在時に採 集された標本が 1907 年までに大英博物館に登録 されていることを踏まえ,今回の標本は 1905 年 11 月から 1907 年半ばまでの間に採集されたもの と推測されるが,それ以上の詳細な日付について は 確 認 す る こ と が で き な か っ た. な お Gordon Smith 氏はこの 6 度目の滞在期間中である 1906 年 9 月 19 日から 20 日に琵琶湖畔の坂本屋,唐崎お よび三井寺(いずれも大津)を訪問しており,手 記中では琵琶湖という素晴らしい潜在的可能性を 秘めた漁場が漁師に独占されていることに対する 不満を述べているが,和訳された抜粋版からは, Gordon Smith 氏がこの際標本の蒐集を行ったかど うかは不明である. 標本タグと標本瓶ラベルに書かれた採集場所の 不一致 ここで,標本タグと標本瓶ラベル・コレク ションデータベースに書かれた採集場所が異なって いた経緯について推論しておきたい.標本のタグに は “230” という,ロンドン自然史博物館の登録番号 とは全く関係のない番号が割り振られていることから, このタグは Gordon Smith 氏自身がコレクションを整 理するために取り付けたものと考えられた.ロンド ン自然史博物館ではイワトコナマズ以外にも同時期 に登録された京都産とされる複数の標本が所蔵さ れており,その中にはウグイ Tribolodon hakonensis (Günther, 1877),ワタカ Ischikauia steenackeri (Sauvage, 1883),ニゴ イ Hemibarbus labeo (Pallas, 1776),アユ モドキ Parabotia curtus (Temminck and Schlegel, 1846) (データベース上は Leptobotia curta)などの淡水魚 だけでなく,海産魚であるドチザメ Triakis scyllium Müller and Henle, 1839 が 3 個体含まれていた(ただし, これらの標本の種同定の正否は未確認)(Table 2). したがって,標本瓶ラベルとコレクションデータベー スの “Kyoto” は誤りではなく,Gordon Smith 氏は一 連の標本を京都の魚問屋を経由して購入したが,購

Table 2. Fish specimens believed to have been collected in Kyoto and registered in the London Natural History Museum on 30 June 1910

Catalog number Scientific name registered in database BMNH 1910.6.30.18 Silurus lithophilus BMNH 1910.6.30.19–24 Pelteobagrus ransonnetii BMNH 1910.6.30.25–27 Liobagrus reini BMNH 1910.6.30.28–37 Aplocheilus laticeps BMNH 1910.6.30.40–43 Salmo macrostoma BMNH 1910.6.30.44 Salmo macrostoma BMNH 1910.6.30.51–54 Cyprinus carpio BMNH 1910.6.30.55–57 Carassius auratus BMNH 1910.6.30.58 Hemibarbus labeo BMNH 1910.6.30.59–62 Tribolodon hakonensis BMNH 1910.6.30.63–64 Phoxinus jouyi BMNH 1910.6.30.65 Ischikauia steenackeri BMNH 1910.6.30.66–70 Cobitis taenia BMNH 1910.6.30.71 Leptobotia curta BMNH 1910.6.30.72 Lefua nikkonis BMNH 1910.6.30.73–75 Triakis scyllium

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最古のイワトコナマズ標本 63 入地のみならず,その正確な採集地についての情報 をタグに書き残しておいたと考えるのが妥当である. これは彼が日本の地名に精通し,他の標本について も正確な採集地を書き残していることからも支持さ れる(滝川,私信).なお,彼の手記によれば京都 へは少なくとも複数回訪問・滞在しているが,採集 日の特定につながるような記述は少なくとも和訳さ れた抜粋版からは確認されなかった. 標本の生鮮時の色彩 本標本はすでに著しく退 色 し, 現 在 の 色 彩 は 一 様 に 褐 色 で あ る が(Fig. 1A–C),Gordon Smith 氏による標本タグには,産 地 の 情 報 と 同 じ 面 に “red. Catfish”, 反 対 の 面 に “RED Catfish” と読める文字が確認できる(Fig. 2A, B). イワトコナマズはメラニンの欠乏に起因する色 彩変異個体の出現率が高いことが知られており, それらの個体は通常黄色やオレンジ色を呈する(大 沼,2017).色彩変異個体の中にはメラニンが完 全には欠乏せず,黄褐色になる個体も存在する(日 比野,未発表データ).黄色やオレンジ色の個体 は琵琶湖の漁業者の間で “ ベンテンナマズ(弁天 ナマズ)” と呼称され,竹生島弁才天の使いとし て大切に扱われていること(小早川,1989;大沼, 2017)から,現在の状況では色彩変異個体の食用 目的での市場流通と,魚問屋を介しての標本蒐集 はきわめて困難と思われる. 鎌倉時代の仏教書「渓嵐拾葉集」や室町時代に 刊行された「竹生島縁起」には竹生島の出自にま つわるナマズの伝承が書かれており,江戸時代中 期刊行の「斎諧俗談」には,伝承に基づいて竹生 島の鮎(ナマズ類のこと)が弁才天の使い魚であ ることが書かれている(萩生田,2016).またこ のような背景の中で,標本が蒐集された明治時代 末期まではナマズ類を食することを特例的に許可 する鯰免状が竹生島宝厳寺の祭礼である蓮華会の 頭役を務めた人物に対して発行される慣行があっ た(峰,1998;北原,2008)ことから,当時はこ の行事が行われていた旧浅井郡(現在の長浜市と 米原市の一部)で,鯰免状のない限り,黄色やオ レンジ色の “ ベンテンナマズ ” だけでなく,ナマ ズ類全般が禁食扱いとされていたことは明らかで ある. 一方,江戸時代後期に刊行された「湖中産物図 證」では琵琶湖に産する水産物が,筆者自身の観 察や漁業者からの聞き取り情報を基にした味や生 態,伝承についての詳細な解説とともに,図示さ れている(北原,2008;滝川,2016).ナマズ類 としては “ 鮧魚(ナマズ)”,“ ゴマナマヅ ”,“ ア カナマヅ ” とともに “ キナマズ ” なるナマズ類の 黄色変異個体が掲載されているが,黄色変異個体 の信仰や禁食習俗に関する記述はない.したがっ て,現在の “ ベンテンナマズ ” 伝承とは異なり, かつては竹生島周辺ではナマズ類全般について漁 獲や食利用についての制限があったことは確実だ が,それ以外の琵琶湖岸地域ではこのような伝承 はなかったために色彩変異個体も食用などとして 流通していた可能性が高い. Gordon Smith 氏はイワトコナマズの蒐集当時, 大英博物館の研究者を驚かせるような珍種を探し ていた(スミス,荒俣・大橋訳,1993).さらに, 同氏は 1903 年以前に彼の居住地であった神戸近 郊でナマズ(BMNH 1903.2.24.13)を採集している. このことから,イワトコナマズの蒐集時点で,も しそれが色彩変異個体であれば,その差異を認識 できたと考えられる.しかも,Gordon Smith 氏は 標本タグの両面に “RED Catfish” であることを記 載していた.したがって,現在では標本の生鮮時 の色彩を確認することはできないものの,本標本 は “RED” と形容可能な色彩変異個体である可能 性が高いと判断した. 比 較 標 本  イ ワ ト コ ナ マ ズ:NSMT-P 31193 (MIKU 34411 から移管),ホロタイプ,体長 388 mm, 琵 琶 湖, 尾 上 近 郊;NSMT-P 31194(MIKU 34412 から移管),パラタイプ,体長 361 mm,琵 琶湖,海津大崎;NSMT-P 31195(MIKU 34413 か ら移管),パラタイプ,体長 317 mm,琵琶湖,竹 生島;NSMT-P 31196(MIKU 34414 から移管),パ ラタイプ,体長 523 mm,琵琶湖,菅浦. 謝 辞 本報告をまとめるにあたり,ロンドン自然史博 物館の James Maclaine 氏には標本情報の探索や筆 者の博物館滞在に際し便宜を図っていただき,京 都大学附属舞鶴水産実験所の田城文人博士には標 本調査のための撮影機材を貸与いただいた.三重 大学附属水産実験所の小川清宏氏,鈴木 啓氏に は標本タグの解読にご助力いただいた.香川大学 農学部の滝川祐子氏には標本タグの解読に対する ご助力と共に,原稿をご校閲いただき,有益なご 助言を多数頂戴した.国立科学博物館の篠原現人 博士,中江雅典博士,栗岩 薫博士,片山英里博 士ならびに田中文也博士には比較標本の観察に際 し便宜を図っていただいた.中央水産研究所の斉

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藤憲治博士と三重大学大学院生物資源学研究科の 河村功一博士には魚類学雑誌への原稿の投稿を薦 めていただいた.本稿の担当編集委員で北海道大 学大学院水産科学研究院の今村 央博士からは原 稿改訂にあたって格別のご助言を賜った.記して 御礼申し上げる. 引 用 文 献

Bornbusch, A. H. 1991. Redescription and reclassification of the silurid catfish Apodoglanis furnessi Fowler (Siluriformes: Siluridae), with diagnoses of three intrafamilial silurid subgroups. Copeia, 1991: 1070– 1084.

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Table 1. Counts and measurements of Silurus lithophilus
Table 2. Fish specimens believed to have been collected in Kyoto and registered in the London Natural History Museum  on 30 June 1910

参照

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