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共焦点レーザー顕微鏡 : その原理と応用

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Academic year: 2021

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解  説 〔東女医大誌 第64巻 第12号頁1043∼1048平成6年12月〕

共焦点レーザー顕微鏡 一その原理と応用一

  東京女子医科大学 第二生理学教室 シラカワ  ヒデキ  シライシ コウイチ  ミヤザキ シュンイチ

白川 英樹・白石 浩一・宮崎 俊一

(受付 平成6年8月20日) Principle and Application of Confocal Laser Scanhing Fluorescent Microscopy   Hideki SHIRAKAWA, Koichi SHIRAISHI and Shunichi MIYAZAKI       Department of Physiology, Tokyo Women’s Medical College   The 4evelopment of confocal laser scaming microscopy(CLSM)is one of the most dramatic progress ill the optic§of light microscopy, The spatial resolution along z−axis has been greatly improved in fluorescent microscopy with CLSM, compared to conventiona1 m量crQscopy, This optical method can be applied to a wide variety of experiments. Collection of fluorescent images. of consecutive optical sections can be compiled to a 3 dimensional image of intact specilnen. The endoplasmic reticulum, for example, was demonstratQd to be distributed as a meshwork which spread over the entire cell, by DiICI8 staining of living eggs of hamster. Intracellular Ca imaging with CLSM gives us valuable spatio−temporal information aboロt、calcium concentration’at subcellular level. Temporal measurement of fluorescent intensity bf Ca green, a Ca indicator which can be excited by visible light, revealed Ca wave propagating thr6ughout the hamster egg. Although some technical problelns still remain to be solved, CLSM can be a main stream in the optical rnethods in the field of biornedical researches・.  1.序  医学・生物学の研究において,光学顕微鏡によ る観察は古くから主要な手法であったことは言う までもないが,生化学的,遺伝子工学的な様々な 研究手法が発達した今日でもなお,最も基本的か っ重要な位置を占めているごとに変わりはない. 「見たいものをよ.り.はっきり.と(=より高い解像 度・コントラス.トで)見たい」という欲求のもと に,暗視野,位相差,微分干渉顕微鏡法などの様々 な光学系や染色法が考案されてきた.そのなかで も,見たいものだけを蛍光物質で特異的にラベル して光らせて観察する,いわゆる蛍光顕微鏡法は, 蛍光抗体染色法や生体内イオン感受性蛍光試薬の 開発などに伴いその応用範囲が広がり,現在細胞 組織学・生理学の分野では必要不可欠なものと なっている。.  従来の蛍光顕微鏡法においては,非焦点面から の蛍光シグナルの混入が大きな問題点の一つに なっている.即ち,肉眼あるいはカメラによって 検出される蛍光像には,焦点面にある蛍光光源か らのシグナル(=観察したいシグナル)に加え, 焦点面の上下からのシグナルもバックグラウンド として混入している.このことは特に厚みのある 組織標本や細胞などめ観察においては,空間解像 度やコントラストを低下させる大きな要因となる (図1A).共焦点レーザー.走査顕微鏡くconfocal laser scanning micfoscope;CLSM)はこめ問題 点に対して改良を加え,空間解像度,特にz軸方 向の解像度が飛躍的に改善された画期的な顕微鏡 であり1)2),近年急速に普及し様々な実験系への適 用が試みられている3>.本学にも,平成5年(1993) より総合研究所にカールツァイス憾めCLSM,.

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A

    像面  l l

《幽光輔’

騨貿

    対物レンズ .畝

 準談 ,・。撫麟・ B ダイクロイックミラー 従来の落射蛍光顕微鏡 図1  顕微鏡法(B)の比較     共焦点ピンホール 勢鵠灘痢甥 塗.一士@ く勢う  謹ヨ・嚇.磁  、.卍柵膚謝・鯉 共焦点蛍光顕微鏡 従来の蛍光顕微鏡法(A)とCLSMによる蛍光 焦点面上の点(白い星印)からの蛍光は太い実線で, 焦点面より上と下の点(黒と斜線の翻印)からの蛍 ’光はそれぞれ点線と細い実線で示してある.’ 励起光フィルター

  レーザー 蛍光フィルター

 光電子増倍管 \ ピンホール ix/Yミラー チューブレンズ 対物レンズ /標本 図2 CLSMの光路図 LSM310が設置された.本解説では, CLSMの基 本原理に加えて,CLSMによる蛍光顕微鏡法の応 用についてゴパムスタニ卵での実験を例にとり解 説する.  2.共焦点レ』ザー顕微鏡の原理  図2にCLSMの光路の概略を示す.現在,カー ルツァイス社のほか,ニコン,オリンパス,バイ

オラッド,メリディアンなどの各社からCLSM

が市販されており,それぞれ特徴のある光学系が 用いられているが,基本的には共通の原理に基づ いている.CLSMのポイントの一つは光源にレー ザーを用いている点であり,それによって集光性 のよい励起光が得られることになる.反面レー ザー光は単色光であるため,使える励起光の波長 がレ「ザーの種類によって限定されてしまうとい う難点もある..LSM310では3.種類のレーザーを 設置することにより,計4波長「(365,・488,、514,

543nm)の励.起光が使用可能で, FITC,

rhodamine, DAPIを始め,多くの蛍光色素に対応 できるようになっている.また,・クリプトン/アル ゴンレーザーを用いれば488,568,647nmの3波 長の実用可能なレーザー光を得ることができ,一 本のレーザーでも複数の蛍光色素によって多重染 色した標本の観察が可能である.もう一つ, CLSMの最大のポイントは蛍光検出部(光電子増 倍管)の前にあるピンホールである.このピンホー ルは焦点面からの蛍光が焦点を結ぶ位置に設定し てある.焦点面より下からの蛍光はピンホールよ り前で,,逆に焦点面より上からの蛍光はピンホー ルの後ろで焦点を結ぶので,それらの殆どの部分 はピンホールを通過できない(図ユB).結果とし て,焦点面からのシグナルのみが抽出され,厚み のある細胞や組織かちも,非常に薄い光学的切片 の像が得られることになる.理論的には垂直方向 の解像度Rfは   Rfニ1.4nλ/NA2 で与えられる4).ここで,nは対物レンズと物質と の間の媒質の屈折率,λは光の波長,NAはレンズ の開口数(numerical aperture)である.例えば, よく用いられる乾燥系(n=1.0)の40倍の対物レ ンズ(NA=0.75)の場合であれば, Rf=1.24μm (ただし,λ=500nm),更にNA=1.4の63倍の油浸 レンズ(n=1.52)であればRf=0.54μmになる. つまり一般に開口数の大きいレンズを用いたほう が,よりシャープな像が得られることになる.た だしこの値はピンホールのサイズが無限小である と仮定し,さらにレンズの収差も完全に補正され ている場合についての計算値であることに注意し なくてはならない4).実際の観察においては,ピン

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ホールを小さくしすぎると光電子増倍管によって 検出される蛍光の強度が弱すぎて,結果としてS/ N比の悪い像になってしまうため,解像度を若干 犠牲にしてピンホールを大きめに設定しなくては ならない.また,一般に対物レンズの収差はカバー グラス直下の点に焦点をあわせた場合について補 正されており,焦点面をカバーグラスから遠ざけ ていくにつれて次第に補正は不完全になる.従っ て,現実には上記の理論上の解像度は達成するこ とができないと考えるべきである.しかし,共焦 点光学系により1μm以下の厚さの光学的切片の 像が得られるのは事実であり,後に述べるように 一つの標本からの連続した光学切片像をもとにし て3次元的な蛍光像を構築することも可能であ る.  CLSMの場合,励起光は平面全体に同時にあた るわけではなく,スポット状のレーザー光を2枚 のミラー(X/Yミラー)によって2次元的に走査 して標本に照射する.そのときの蛍光を光電子増 倍管によって検出し,さらにA/D変換した後コ ンピュータによって2次元画像として構築する. 従って一つの画像を得るのに最低でもレーザーを スキャンするだけの時間がかかることになり,時 間解像度はあまりよくない.LSM310では,最短で 0.5秒で1回スキャンできるが,その場合得られる 像はかなりノイズの多いものになる.標本にもよ るが,十分置イズの少ない像を得るには1∼4秒 かけて1回のスキャンを行い,さらに像を4∼16 回程度加算平均することが必要であり,従って1 枚の画像を得るのに1分程度かかることもあるこ とになる.しかし最近ではレーザーの走査方法の 工夫によりビデオレイト(30イメージ/秒)での記 録を可能にしたCLSMも市販されている.ビデ

オレイトのCLSMには主に2種類あり,一つは

レーザーの走査にAOD(acousto−optic device) と呼ばれる素子を導入し高速な走査を実現してい るものと,もう一つはレーザーをスポット状では なくスリット状に照射するものである.このよう なシステムは,後で述べる細胞内Ca濃度の時間 変化を経時的に測定する,といった実験に特に有 用である.  3.CLSMによる蛍光顕微鏡法の応用

 1)CLSMによる3次元蛍光像の構築

 上述のように,CLSMによって得られる蛍光像 は非常に薄い光学的切片からのシグナルのみによ るものである.従って,ある細胞や組織の立体的 な情報を得たいという場合,従来であれば連続切 片を切らなくてはならなかったところを,CLSM を用いれば,1つの標本について少しずつ焦点面 を変えて次々と蛍光像を取っていくだけで,垂直 方向(z軸方向)の情報を得ることができる.それ ぞれの像はすでにディジタル化されているので, さらにそれらからソフトウェア的に標本の全体像 を立体画像として再構築することも容易である.  図3はDilC18という蛍光色素で小胞体を標識 したハムスター成熟卵の共焦点像である.DiIC、8

A

B

   図3 ハムスター卵の小胞体の蛍光像 Aは2μmおき,40枚のイメージをもとに作成したステ レオイメージ.卵内に見える大きな球状のものは注入 した大豆油のドロップ.Bは同じ卵の8μmおきの光学 切屠象

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を大豆油に溶解したものを卵に注入し約30分イン キュベートした後40倍の水浸対物レンズ(NA= 0.75)を用いて観察した.励起光には543nmのヘ リウムネオンレーザー光を用い,蛍光は590nmの ロングパスフィルターを通している.ステッピン グモーターによって顕微鏡のステージを2μlnき ざみで上げていき,卵の上端から下端まで計40枚 の蛍光像を取得し,さらにそれらからステレオイ メージを作成した(図3A).小胞体が山内にほぼ 一様に編み目状の構造として広がっていることが わかる.また図3Bは,もとにした蛍光像を8μm おきに示したものであるが,卵の下部の像ほど暗 くなっていることがわかる.厚みのある標本では このように深い部分の像ほど暗くなるというのは 不可避の傾向である.何故なら,励起レーザー光 は焦点面に至るまでに細胞内・組織内の構造物に よる散乱や蛍光色素による吸収によって弱めら れチまた生じた蛍光も散乱によってその一部門失 われるからである.ただしこの傾向は,焦点位置 によって画像取得の条件(実際には光電子増倍管 からの出力のゲインとオフセット)を変えること である程度補正することは可能である.  ここで,この標本において卵の生理的な活性が ほぼ正常に保たれていることを強調しておきた い.即ち,例えばこの卵に対し媒精すれば受精時 の細胞内カルシウムの増加反応を誘発することが できる.従って,受精時の小胞体の構造の変化を 4次元的(3次元空間+時間)に調べることがで きることになる.このような実験は,従来の固定 標本の切片を用いた方法では到底実現不可能なも のであることは言うまでもない三

℃LSMにようて3次元蛍光像を得るという方

法は,他の様斤量系にも応用可能である.例えば, 一つの神経細胞に蛍光色素を注入しておき,その 細胞の軸索,樹状突起の空間的な広がりを調べた いというような目的の実験には,』非常に有効な方 法となろう.

 2)CLSMによる細胞内Ca画像解析

 細胞内Ca画像解析とは,細胞内の遊離Caイオ ンの濃度の分布および時間変化を画像として測定 する方法の総称である.ほとんどの場合,Ca感受 性蛍光試薬(Caと結合するとその蛍光特性が変化 する蛍光物質)を細胞内にロ「ドしその蛍光を高 感度カメラなどで経時的に記録する方法がとられ る.従来の蛍光顕微鏡を用いたCa画像解析では, ほとんどの場合fura−2という蛍光色素が用いられ てきた.fura−2を紫外域の2波長で励起したとき の蛍光像の割り算をすることによって,細胞・組 織の形状や色素の分布による蛍光強度の違いを補 正する,いわゆるレイシオイメージングができる ことがその理由である.しかしながら,始めにも 述べたように従来の蛍光顕微鏡法では卵のように 厚みのある細胞では非焦点面からの蛍光シグナル の混入が無視できない.仮に,卵の赤道面上に焦 点をあわせfura−2の蛍光を記録したとしても,卵 の中心部のシグナルだけを抽出することは不可能 であり,従って卵細胞深部でのCa動態はこれま では厳密には測定できなかった.Ca画像解析に対

するCLSMの適用はこの問題を解決するのみな

らず,細胞内局所(例えば核内)でのCa動態の測 定も可能にするという点で非常に有意義である.

 Ca指示薬としては,励起レーザーの関係で

fura−2を用いることができないので,可視光で励 起できるCa感受性蛍光色素,例えば刊uo−3やCa greenといったものを用いる必要がある.これら

はいずれもFITCに似た蛍光特性を持つ色索で

あるが,その蛍光強度はCa濃度が高いほど強く なる.励起レーザーには488nmのアルゴンレー ザーを用い,カットフィルターには540±25nmの バンドパスフィルターを用いた.記録条件は対象 にする細胞,対物レンズなどによって自ずから異 なるが,例えば約50μMのCa greenを注入した 卵の受精時『のCa反応を40倍の対物レンズ(水浸, NA=0.75)を用いて観察した場合,256×256ピク セルの画像を得るのに約0.5秒のレーザー走査時 間をかけている.これより遅いとCa濃度変化を 追従できなくなってしまう.スキャンスピードが 速く,また加算平均も行えないので,静止した蛍 光像に比べてノイズの多い像になってしまうのは 避けられない.図4はあらかじめCa greenを注 入しておいた卵にイノシトール三燐酸(IP3)を注 入したときのCa増加反応を示している.注入部

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 図4 1P3によって誘発されたCa波の共焦点像 Ca greenをあらかじめ注入しておいたハムスター卵 の赤道面に焦点をあわせ3心おきに蛍光像をとりなが ら,卵の左側からマイクロピペットによってIP、を注 入した. 位に始まり卵全体に伝播するCa波(Ca wave) が,Ca greenの蛍光強度の増加として観察され る.CLSMによって得られたこの画像から,Ca波 は細胞表面だけでなく,細胞深部にもほほ均一に 伝播していることが確かめられたことになる.

 一方LSM310にはラインスキャンというモー

ドもある.これはレーザーをある直線上に固定し て1次元的に走査するモードである.従って2次 元的な空間情報は失われるものの,レーザーの走 査にほとんど時間がかからないため,ミリ秒オー ダーで反応を追従することができるという点で有 効である.これら二つのモードをうまく使い分け ることで,卵のような大きな細胞からも細胞内の 局所でのCa動態などについても様々な角度から の解析が可能である.  3)その他の応用法

 このほかにもCLSMの応用範囲は幅広い.

LSM310は,落射蛍光による蛍光像と完全に同時 に,同じ焦点面からの透過明視野像(微分干渉像) を得ることができる(ただし,明視野像に関して は共焦点の効果は現れない).従って,蛍光を発し ている部位と細胞・組織の形態とを容易に対応づ けることができる.また,例えば細胞内Ca濃度の 変化と細胞形態の変化を同時に経時的に記録する こともできるわけである.  さらに別の応用法としては,caged化合物を用 いた実験があげられる.caged化合物というのは, それ自体は生理的に不活性なのであるが,紫外線 を照射すると開騙して生理的に活性のある物質を 遊離する化合物の総称で,現在,caged Ca, caged ATP, caged cAMP, caged IP3など数多くの種 類のものが合成されている5).caged化合物をあら かじめロードしておいた細胞に,紫外レーザーを 照射することによって,特定の細胞内シグナル伝 達物質の濃度を瞬時にあげることが可能である. 実際に我々は,caged IP3をCa greenとともに注 入したハムスター卵に紫外レーザーを照射した際

に細胞内Ca濃度が上昇することをCLSMに

よって観察している.  また,標本の観察という本来の目的からはずれ るが,システムによってはレーザーピンセット (laser tweezer,あるいはoptical tweezer)とし て使用することができるものもある.ここでは レーザーピンセット法の原理については割愛する が,培地中に浮遊する物質(単離細胞やビーズな ど)を集光したレーザーによってトラップする方 法である.レーザーのオン・オフやレーザースポッ トの移動によって,動いている物質の捕捉や移動 といったマニピュレーションをすることが可能で ある.

 4.CLSMの問題点

 CLSMが従来の顕微鏡に比べて優れている点

も多いが,実際にはまだ多くの問題点が残されて いるのも事実である.共焦点のピンホールは垂直 方向の解像度を高めるのに重要なものであるのと 同時に,シグナルの明るさを弱めるというマイナ ス面もあわせ持つことは前述の通りである.事実, 肉眼で直接みた通常の蛍光像の方が共焦点像より も明るくきれいに見えることがしばしばある.検 出されるシグナルが弱いとS/N比が悪いので, レーザーを強くして蛍光を明るくする,スキャン 速度を遅くする,何回かスキャンして加算平均を する,などの対処が必要になるが,レーザー光を 照射しすぎると今度は蛍光物質の退色が問題にな る.標本によってどのような条件でレーザー照 射・画像取得をすればよいかは実験者の経験に よって判断するしかなく,最良の共焦点像を得ら れるようになるにはある程度の熟練を要する.装 置面に関しては,できる限りロスの少ない光学系 の設計やより高感度の検出器の開発が待たれると ころであるが,現状ではより明るくかつバックグ ラウンドの低い標本を作る,という当たり前の努

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力が最も重要・有効であろう.  理論上の解像度は光の波長,レンズの開口数, ピンホールのサイズによって規定されるが,実際 はそれらよりも他の装置上の要因が大きく影響す る6).レンズの収差の問題についてはすでに述べ たが,特に3次元像を得るために標本の上から下 までセクショニングしていく場合など,その範囲 のすべての焦点位置において収差が補正されてい ることが要求される.この意味ではカバーグラス なしで使用するように設計された高開口数の水浸 レンズが今のところ最も適切なレンズであると思 われる.レンズ収差のほかに,レーザーの走査の 精度も問題となる.ミラーの機械的な動きによっ て走査する方法だと,実際には走査線にかなりの ぶれが生じる.光電子増倍管からのシグナルから 画像を構築するときには,レーザーは完全に直線 的に走査されているものとして処理しているの で,走査線のぶれは画像の歪みとなって現れ,像 の正確さを低下させる結果となる.

 CLSMによる細胞内Ca画像解析についてい

えば,その定量化という点に関して問題が残され ている.一つは蛍光検出系のリ上アリティーの問 題である.蛍光強度を数値化する際には,検出系 の入出力の線形性が広い範囲に渡って保たれてい る必要があるが,現在の多くのシステムではこの

点が考慮されでいない.またCLSMでレイシオ

イメージングを行うのに適したfura」2に代わる Ca指示薬がないということも,.Ca濃度の定量化 においての大きな障害となっている.  5.結  語

 以上CLSMによる蛍光顕微鏡法の原理と応用

について,実例と問題点とあわせて解説してきた. 未だ問題点も多いが,今後の技術的な改良によっ て解決されていくであろうと思われる.CLSMが 蛍光顕微鏡法における最も強力な手法の一つであ ることに間違いはない.          文  献  1)藤田誓也:コンフォーカル走査型レーザー顕微鏡   とその応用.電子顕微鏡 25:189−194,1991  2)藤田誓也:共焦点顕微鏡がひらく分子細胞学の世   界.科学 63:45−54,1993  3)特集 培養細胞の共焦点レーザ顕微鏡.組織培養   19(8) :1993  4) Majlof I・, Forsgren P−0= Confocal micro−   scopy:Important co丘siderations for accurate   imaging. Methods Cell Bio138:79−95,1993  5)Adams SR, Tsien RY:Controlling cell chem−   istry with caged compounds. Ann Rev Physio1   55:755−784, 1993  6)Pawley J:Fundamental limits in confocaI   microscopy.1ηHandbook of Biological Con−   focal Microscopy(Pawley J ed)pp15−26,   Plenum Press, New York(1990)

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