• 検索結果がありません。

中国における株式市場の発展とその問題 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中国における株式市場の発展とその問題 利用統計を見る"

Copied!
31
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

中国における株式市場の発展とその問題

1)

国有企業の経営振興を目標とする中国の経済改革は文字通り,国有企業の “国有”体制の現状を維持しながら,改革をスタートしたので,企業経営形態 として諸国で成功した株式制度導入の議論は取り上げられなかった。しかし, 1984年4月に,中国政府は都市経済改革のウォーキングショップにおいて, 都市集団性企業と一部の国営小企業の改革に株式制度を導入することは,企業 活性化の一つの方法として採用すべきだという方針を打ち出した。これは,株 式会社という長い間,中国で禁じられていた企業経営形態の封を切ることと なった。 1984年7月に北京天橋百貨は株式制度を導入し,天橋百貨株式会社に社名 を変更し,社会主義中国では初めての株式会社が誕生した。2)この会社は,社 内従業員向けで3年間の償還期間が付いた株式を発行し,300万元を調達し た。同年11月に国有と集団所有共同経営の上海飛楽電声工場は,公募により, 償還期間のない株式を発行し,資本金の一部(65%)を調達して上海飛楽音響 株式会社を設立した。これは社会主義中国成立後,初めて近代的株式会社のル ールを規範とした株式会社である。1985年1月,上海延中実業会社が設立し, 公募により資本金全額を調達した。 このように,株式制度の導入により企業改革を試みたが,ここに至って,国 有企業の改革に株式会社制度導入の例がまだ見られなかった。一連の試行錯誤 の上,1986年に上海市では比較的に規模の大きい国有企業の改革に株式制度

(2)

の導入を試みた。電子関係の国有企業7社を統合して上海真空電子株式会社を 設立し,1987年1月12日に株式を公開発行した。これをきっかけに,各地に 株式会社が設立されるようになった。1990年までに全国各地で株式発行額残 高は45.9億元になった。3)1991年末までに,全国に株式会社制度を採用した企 業数が3,220社に上った。4) 一方,1986年9月26日,上海工商銀行信託投資会社静安証券業務部が,率 先して“上海飛楽音響”と“上海延中実業”の株式の店頭売買を試みた。5)1990 年10月,上海証券取引所,1991年深!証券取引所設立の運びとなった。6) その後も,1991年11月30日上海真空電子株式会社が海外投資家を相手に 米ドル建ての B 株を発行し,1992年2月21日に上海証券取引所へ上場させ, 上海と深!証券取引所における海外投資家向けの B 株取引の幕を開いた。 このように,中国では,企業改革の試行錯誤の末,株式会社という企業経営 形態がやっと認められ,現在規模の大きい国有企業のほとんどは株式会社とい う企業経営形態を取るようになった。7) 本稿は,株式会社が企業経営形態の主流になってからの中国株式市場発展の プロセスを概観し,そのメカニズムを明らかにして,その課題と今後の展開を 分析することを目的とする。 なお,株式市場は広義と狭義の両方から捉えることができる。広義に捉えれ ば,非公開発行の株式や公開市場以外で取引される株式も含まれるが,狭義の 株式市場は株式の公開発行,或いは既に上場した企業による非公開発行,及び 証券取引所などのような公開市場による株式の取引と定義される。本文は狭義 の株式市場を分析の対象とする。 本稿の構成は,まず第1節で中国株式市場を発行と流通の両面から概観し, 第2節で発行市場の主な制度とその問題を分析し,第3節で流通市場の特徴と 問題点を分析することにする。 28 松山大学論集 第19巻 第4号

(3)

第1節 中国株式市場の概観

8) 中国における株式発行市場の始まりは前文で簡単に紹介した通りであるが, 株式流通市場の発展は次のプロセスを経過した。1990年と1991年に上海と深 !の両証券取引所が設立され,株式の公開取引が開始された。1992年に,外 国投資家向けの外貨を表示した B 株(上海証券取引所では米ドル建て,深! 証券取引所では香港ドル建て)の上場取引が始まった(その後,国内投資家向 けの株は A 株と呼ぶようになった)。1993年の青島ビールの香港市場への上場 をきっかけに,国内株式の香港市場への上場を始めた(H 株と呼ぶ)。 以下,発行市場と流通市場を分けて概観する。 1.発行市場の概観 表1は現在上海と深!の両証券取引所別に上場し,同時に香港市場に H 株 も発行している企業数及びこれら企業が発行した株式の種類の推移を示してい る。この表によれば,企業上場は1992年∼1995年は年間100社台,1996年∼ 1997年は200社台,1998年以降,再び100社台,2005年にはわずか4社のス ピードで進行し,株式市場の規模を拡大し,2006年現在,上場企業数は,合 計で1,434社に上ったことが分かる。 A 株だけ上場した企業数は1,287社である。2000年以降,B 株の新規発行 がストップしたため,B 株だけ上場した企業数は,2000年がピークになっ た。その後,今まで,B 株しか発行しなかった会社は,同時に A 株も発行し, 上場するようになったので,2006年現在23社へ減少した。A,B 株同時発行 の会社数は86社に増加した。同時に H 株を発行し,香港市場に上場した会社 数は1997年以降加速し,2006年現在,38社になった。 表2は上海深!両市場上場銘柄数を A 株,B 株別に表している。上海市場 の A 株は1995年∼1996年と2000年∼2001年は上場のブームを迎えたが, 1995年∼1996年,上海と同じスピードで成長した深!市場は,2001年∼2003 中国における株式市場の発展とその問題 29

(4)

年,新規の上場を停止した。このため,1999年まで上場銘柄数が上海とほぼ 変わらない深!市場は上海に差をつけられた。2004年以降,中小企業ボート を新設し,新規上場を再開した。 続けて,発行株式数と調達金額を見る。表3を参照されたい。 まず,発行株式種類別に上場株式数を見る。 A 株 式 上 場 数 が 年 間100億 株 を 超 え た 年 は1997年,2000年,2002年 と 2006年である。特に2006年に A 株式上場数は350億株を超え,飛びぬけて多 かった。B 株式市場の規模がもともと限定的で1990年代最盛期でも10億株台 全国合計 上海 深! A 株 B 株 A,B 株 A,H 株 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 10 14 53 183 291 323 530 745 851 949 1,088 1,160 1,224 1,287 1,377 1,381 1,434 8 8 29 106 171 188 293 383 438 484 572 646 715 780 837 834 842 2 6 24 77 120 135 237 362 413 465 516 514 509 507 540 547 592 10 14 53 183 227 242 431 627 727 822 955 1,025 1,085 1,146 1,236 1,240 1,287 0 0 1 6 4 12 16 25 26 26 28 24 24 24 24 23 23 0 0 18 34 54 58 69 76 80 82 86 88 87 87 86 86 86 0 0 0 3 6 11 14 17 18 19 19 23 28 30 31 32 38 表1 上場会社数と銘柄数 出所:中国国家統計局《2007年中国統計年鑑》中国統計出版社。 注1:A 株=国内投資家向け人民元建て株;B 株=外国投資家向け(上海)米ドル建て,(深 !)香港ドル建て株;H 株=香港市場に上場した中国大陸の企業が発行した株式。 注2:A 株=A 株のみ発行の会社;B 株=B 株のみ発行の会社;A,H 株=A,H 株両方発行

した会社;A,B 株=A,B 株両方発行の会社。

注3:上海=上海証券取引所;深!=深!証券取引所,以下同。

注4:1992年は53+1+18=72社になる。1993年は183+6+3+34=226社になるはず だが,《2006年中国統計年鑑》をそのまま引用した。

(5)

に止まった。2000年以降,その機能を失ってしまった。しかし,ここで注意 すべきことは,株式市場による外資導入の役割を持っていた B 株式市場の代 わりに,2000年以降,H 株を発行する香港市場の重要性が急速にクローズ アップした。2000年に H 株式上場数は359億株に達し,2001年に落ち込んだ ものの,その後も,速いテンポの成長を見せた。この結果,2000年以後も,H 株式市場の急成長は A 株式市場成長テンポの低下を補うことにより,H 株を 含めた中国株式発行市場合計の規模は失速せずに拡大した。 次に,調達資金額の推移を見たい。 表3を参照されれば,わずか十数年間で香港市場 H 株を含めた中国株式市 場の資金調達規模が大きく上昇したことが分かる。株式市場の資金調達額は発 行株式数と表裏の関係にあるので,当然,発行株式数に関連する。しかし,発 上海 深! A 株 B 株 A 株 B 株 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 8 8 29 101 169 184 287 372 425 471 559 636 705 770 827 824 832 0 0 9 21 34 36 42 50 52 54 55 54 54 54 54 54 54 2 6 24 76 118 127 227 348 400 450 451 494 494 491 526 534 579 0 0 9 19 24 34 43 51 54 54 59 56 57 57 56 55 55 表2 上場銘柄数の推移 出所:中国証券監督管理委員会編『2007中国証券先物 統計年鑑』学林出版社2007,8 中国における株式市場の発展とその問題 31

(6)

行時の株価や上場株の利益率などが違うことにより,発行株式数が同じであっ ても,調達金額が変わる。表3のように,A 株式発行により調達した金額が最 も多いのが2006年であり,次に多いのは2000年と2001年であった。2001年 9月までたまたま株式投資ブームで,株価が高かったので(図1を参照された い),発行株式数が100億株以下だったにもかかわらず,調達金額が高かっ た。逆に,2002年に株価の下落により,発行株式数が多かったが,調達金額 が少なかった。2003年と2004年は,株価の低迷が続き,調達金額は横這いの まま,2005年は前年の半分以下に下落した。政府や他の国有法人が所有する 非流通株を市場に放出することが認められたことにより,株式市場が冷え込 み,資金の調達も困難になったことが,その主な理由である。ところで,2005 年後半,非流通株の流通化改革の案が明確になり,投資家の賛同を得た。株価 発行株式数(億株) 調達資金額(億元) 合計 A 株 B 株 H 株 合計 A 株 B 株 H 株 1991 5.00 5.00 0.00 0.00 5.00 5.00 0.00 0.00 1992 20.75 10.00 10.75 0.00 94.09 50.00 44.09 0.00 1993 95.79 42.59 12.79 40.41 375.47 276.41 38.13 60.93 1994 91.26 10.97 10.40 69.89 326.78 99.78 38.27 188.73 1995 31.60 5.32 10.90 15.38 150.32 85.51 33.35 31.46 1996 86.11 38.29 16.05 31.77 425.08 294.34 47.18 83.56 1997 267.63 105.65 25.10 136.88 1,293.82 825.92 107.90 360.00 1998 105.56 86.30 9.90 12.86 841.52 778.02 25.55 37.95 1999 122.93 98.11 1.77 23.05 944.56 893.60 3.79 47.17 2000 512.03 145.68 7.10 359.26 2,103.08 1,527.03 13.99 562.21 2001 141.48 93.00 0.00 48.48 1,252.34 1182.13 0.00 70.21 2002 291.74 134.20 0.00 157.54 961.75 779.75 0.00 181.99 2003 281.43 83.64 1.00 196.79 1,357.75 819.56 3.54 534.65 2004 227.92 54.88 1.53 171.51 1,510.94 835.71 27.16 648.08 2005 567.05 13.80 0.00 553.25 1,882.51 338.13 0.00 1,544.38 2006 1,287.77 351.11 0.00 936.66 5,594.29 2,463.70 0.00 3,130.59 表3 発行株式数と調達資金額の推移 出所:同表2。 32 松山大学論集 第19巻 第4号

(7)

も低迷から一転し,2006年に発行株式数の大きな増加に伴い,調達金額も急 上昇した。 B 株市場の資金調達額はもともと小さく,100億元を超えた年は1997年だ けで,他の年は全部50億元以下に止まり,2001年以降,資金調達機能を失っ てしまった。 H 株市場による資金調達には,1994年,1997年,2000年と2003年∼2006 年,4つの山が見られる。2005年に調達金額は A 株式市場の5倍弱と急増 し,2006年は更に前年より倍増し,その金額は3,000億元以上に達した。こ のように,香港市場は,自身の著しい発展機会を手に入れただけでなく,中国 企業の H 株式発行に不可欠の場を提供し,中国企業の株式会社化改革にも重 要な役割を果たしたことが明らかである。 2.流通市場の概観 株式流通市場の規模を表す指標として,株式売買高と売買金額がある。表4 を見ていただければ分かるように,2006年,A 株と B 株だけでその売買高と 売買金額はそれぞれ1992年の430倍と130倍になり,驚異的な急成長を見せ た。 売買高と売買金額を分けて見ていこう。 まず,売買高の推移を見る。売買高には3つの循環が見られる。1992年∼ 1994年,1995年∼2000年と,2001年から始まり今日まで続いている売買高増 加の循環である。2001年から始まった循環は厳格には2002年から始まったと 言うべきであるが,2001年から B 株式市場は中国国内投資家に開放した政策 転換があり,B 株式売買の活性化を招き,A 株式売買低迷を補ったためであ る。 次に,売買金額を見たい。売買金額も売買高と同じ循環を繰り返したこと が,表4で分かる。しかし,株価変動の影響により,売買高の変動と一致しな い動きが見られる。例えば,1995年に,対前年比で売買高が3割減ったのに 中国における株式市場の発展とその問題 33

(8)

対して売買金額は5割減った。1997年に対前年比で売買高があまり変わらな いのに対して,売買金額は5割も増加した。2005年にも売買高は増加したの に対して,売買金額は逆に減少した。 以上はフローの面から株式流通市場を見てきた。ストックから株式流通市場 を見る角度もある。時価総額と発行済み株数がその指標である。 表5と表6はそれぞれ中国株式市場の発行済み株式数と時価総額の推移を表 している。ストックの面から見ても,中国株式流通市場が驚異的に成長したと いわざるを得ない。 2006年に発行済み株式数は1992年のそれの173倍に達した。その推移は, 1993年は対前年3.5倍増,1994年も対前年倍増で,その後,2001年までは約 20%∼59%の年成長率を維持した。2002年から2005年までは比較的に低迷 売買高(百万株) 調達資金額(億元) 合計 A 株 B 株 合計 A 株 B 株 1991 303.8 303.8 0.0 43.4 43.4 0.0 1992 3,689.8 3,287.8 402.0 683.0 651.8 31.2 1993 22,656.5 20,916.5 1,740.0 3,627.2 3,522.6 104.7 1994 101,333.9 98,802.4 2,531.5 8,127.6 8,003.1 124.6 1995 70,530.8 68,106.6 2,424.2 4,036.5 3,958.6 77.9 1996 253,314.4 246,492.9 6,821.5 21,332.2 21,052.3 279.9 1997 256,001.9 247,129.9 8,872.0 30,721.8 30,295.2 426.6 1998 215,410.6 209,250.1 6,160.5 23,544.3 23,417.7 126.5 1999 293,238.9 280,974.7 12,264.2 31,319.6 31,049.6 270.0 2000 475,838.2 455,802.1 20,036.1 60,826.7 60,278.7 548.0 2001 315,228.8 246,340.7 68,888.0 38,305.2 33,242.0 5,063.1 2002 301,619.5 285,949.2 15,670.3 27,990.5 27,142.0 848.4 2003 416,308.4 399,228.1 17,080.4 32,115.3 31,270.0 845.3 2004 582,773.3 567,290.8 15,482.5 42,334.0 41,576.2 757.8 2005 662,373.2 647,087.5 15,285.7 31,664.8 31,099.4 565.4 2006 1,614,522.6 1,580,861.9 33,660.8 90,468.9 89,217.1 1,251.8 表4 株式売買高と売買金額の推移 出所:同表2。1991年のデータは,《中国証券先物統計年鑑1996年》より。 34 松山大学論集 第19巻 第4号

(9)

で,約6%∼12%の年成長率で推移した。ところで,2006年に一転して対前 年77%の増加を見せた。 同様の推移は表6の時価総額の推移にも見られる。2006年に A 株と B 株合 計の時価総額は1992年の85倍である。その推移には,1993年に対前年約3 倍弱ジャンプし,そして穏やかに伸び,1996年に対前年比同じ約3倍弱, 1997年に約2倍弱,そして,2000年にも約2倍弱ジャンプした。その後,2001 年から2005年までの5年間は低下し続け,2006年にはまた3倍弱ジャンプし た特徴が見られる。発行済み株式数の推移と比べ,時価総額の振れが大きいの は言うまでもなく株価の変動によるものである。 ストックの面から中国株式流通市場を観察する際に,気を遣わなければなら ないのが発行済み株式数と流通株式数,そして時価総額と流通株式時価総額の 区別である。詳しい分析は第3節に譲るが,中国国有企業改革に株式会社制度 A 発行済み株式数(億株) B 流通株式数(億株) B/A (%) 合計 A 株 B 株 合計 A 株 B 株 1992 73.2 61.0 12.2 0.0 n. a. 0.0 0.0 1993 328.7 300.2 28.5 81.6 57.1 24.5 24.8 1994 639.7 592.6 47.0 185.6 144.4 41.2 29.0 1995 765.6 704.1 61.6 235.0 179.0 46.0 30.7 1996 1,110.7 1,025.2 85.5 345.6 267.1 78.4 31.1 1997 1,771.4 1,646.1 125.3 560.8 443.2 117.6 31.7 1998 2,345.4 2,204.0 141.4 740.9 607.0 133.9 31.6 1999 2,908.9 2,757.9 151.0 952.3 810.5 141.9 32.7 2000 3,613.4 3,439.6 173.8 1,233.3 1,078.3 155.0 34.1 2001 4,838.4 4,650.5 187.9 1,480.9 1,315.2 165.7 30.6 2002 5,463.0 5,283.6 179.3 1,679.9 1,508.4 171.5 30.8 2003 5,997.9 5,808.3 189.6 1,897.3 1,717.9 179.4 31.6 2004 6,714.7 6,505.8 208.9 2,194.2 1,996.7 197.5 32.7 2005 7,163.5 6,936.1 227.5 2,498.9 2,280.8 218.1 34.9 2006 12,684.0 12,445.7 238.3 3,444.5 3,215.5 229.0 27.2 表5 発行済み株式数と流通株式数の推移 出所:同表2。 中国における株式市場の発展とその問題 35

(10)

を導入する際,公的所有こそ社会主義であるとの意見が強かったので,国有企 業は株式会社に変わり,株式の一部しか流通されなかった。大半は政府や上場 企業の上層指導部において,非流通株式として所有された。 表5,表6のように,上場した銘柄の全部を計算した発行済み株式数(及び 時価総額)は A の欄に,その中,流通された流通株式(及び流通株式時価総 額)は B の欄にそれぞれ掲載した。A(発行済み株式数,或いは時価総額)に 対する B(流通株式,或いは流通株式時価総額)の比率は約30%前後で推移 することが分かる。 これで,中国株式流通市場の規模を判断する時,発行済み株式数(及び時価 総額)より流通株式(及び流通株式時価総額)で判断した方が実情に合ってい ると思う。にもかかわらず,流通株式数からも,流通株式時価総額からも,中 時価総額(億元)A 流通株式時価総額(億元)B B/A (%) 合計 A 株 B 株 合計 A 株 B 株 1991 109.2 109.2 0.0 n. a. n. a. 0.0 n. a. 1992 1,048.1 978.1 70.1 208.5 157.3 51.2 19.9 1993 3,541.5 3,327.7 213.9 861.6 683.0 178.6 24.3 1994 3,690.6 3,516.0 174.6 968.9 813.9 155.0 26.3 1995 3,474.3 3,310.6 163.7 938.2 790.9 147.3 27.0 1996 9,842.4 9,448.6 394.0 2,867.0 2,514.0 353.0 29.1 1997 17,529.2 17,154.2 375.0 5,204.4 4,856.1 348.3 29.7 1998 19,505.6 19,299.3 206.3 5,745.6 5,550.0 195.6 29.5 1999 26,471.2 26,167.6 303.5 8,214.0 7,937.5 276.5 31.0 2000 48,090.9 47,455.8 635.2 16,087.5 15,524.2 563.3 33.5 2001 43,522.2 42,245.6 1,276.7 14,463.2 13,344.9 1,118.3 33.2 2002 38,329.1 37,526.6 802.6 12,484.6 11,718.8 765.8 32.6 2003 42,457.7 42,520.5 937.2 13,178.5 12,305.9 872.6 31.0 2004 37,055.6 36,309.4 746.2 11,688.6 10,998.5 690.2 31.5 2005 32,430.3 31,810.6 619.7 10,630.5 10,028.4 602.1 32.8 2006 89,403.9 88,114.0 1,289.9 25,003.6 23,731.3 1,272.4 28.0 表6 時価総額の推移 出所:同表4。 36 松山大学論集 第19巻 第4号

(11)

国株式流通市場が急成長した結論には変わりがない。 3.株価指数 株価の変動を表す指標として株価指数がある。中国株式市場の主要株価指数 は表7にまとめられた。 上海株式市場の代表的な指数は上証総合である。上証総合は上海証券取引所 株価総合指数の略称である。上海証券取引所に上場した全銘柄を対象とし, 個々の銘柄の株価と株式数をかけて計算される時価総額の総和を,基準時であ る1990年12月19日の時価総額で割り,それに100をかけた数値として計算 される。 同様に,深証総合は深!証券取引所の代表的な指数であった。しかし,中国 株式市場に上場した個々の銘柄には流通株式比率がそれぞれ違うので,全部株 式と流通株式を区別しない時価総額で算出された株価指数は,時には株価の変 動との乖離を招きかねないので,深!証券取引所は1995年1月23日から深証 成分を公表するようになった。深証成分は上場時間,上場規模,売買金額を基 準に,各業種から代表の銘柄を選出し,全部で40の銘柄から構成される。個々 の銘柄の流通株時価総額の総和を基準時である1994年7月20日の流通株時価 総額で割り,それに1,000をかけて算出される。現在,深証成分は深証総合に 代わり,深!株式市場の代表的な株価指数になっている。 以上の外に,上海証券取引所では,それぞれ A 株,或いは B 株に限定した 上証 A 株指数,上証 B 株指数があり,計算方法は上証総合と同じである。上 証180は上場時間,上場規模,売買金額を基準に,各業種から代表的な銘柄を 180選出し,その流通株時価総額に基づいて算出した株価指数である。上証50 は上証180の中から更に規模の大きい50銘柄を選出して計算したものであ る。新上証総合は,非流通株式流通化改革を完成した全銘柄を対象として算出 した時価総額を,基準時である2005年12月30日の時価総額で割り,1,000 をかけて算出したものである。2006年末現在,その銘柄数は728に達した。 中国における株式市場の発展とその問題 37

(12)

深!証券取引所では,成分 A 株と成分 B 株,そして,深証 A 株と深証 B 株 はそれぞれ A 株或いは B 株に対応した指数であり,計算方法は深証成分,或 いは深証総合と同じである。中小ボート総合指数は,2004年に深!証券取引 所には中小企業上場専用の中小企業ボートが新設され,上場企業の全銘柄を対 象にして(全株式)時価総額に基づき算出した株価指数である。なお,2006 年末現在,中小ボート上場企業数は102社である。深証新指数は新上証指数と 同じで,深!市場に上場した非流通株式流通化改革を完成した企業に対応した ものである。 図1は,上海証券取引所の代表的な上証総合がスタートした時(1990.12.19) から2007年末の推移を,左軸と薄色の線で,同じく,深!証券取引所深証成 分指数のそれを,右軸と色の濃い線で示している。両指数はほぼ同調に進行し ているが,2005年後半から急騰したことは一目瞭然である。その背景には, まず,非流通株式の流通化改革の案が投資家から広い支持を得たことを挙げる ことができること,流通化改革により国有企業法人経営者が純資産残額重視か ら株価重視に転換したこと,国内経済の好調や物価の上昇による業績の伸び等 が挙げられる。 上 海 深 ! 指 数 基準時 基準値 指 数 基準時 基準値 上証総合 1990−12−19 100 深証成分 1994−07−20 1,000 新上証総合 2005−12−30 1,000 成分 A 株 1994−07−20 1,000 上証180 1996年1∼3月平均 1,000 成分 B 株 1994−07−20 1,000 上証50 2003−12−31 1,000 深証100 2002−12−31 1,000 上証 A 株 1990−12−19 100 深証新指数 2005−12−30 1,107 上証 B 株 1992−02−21 100 中小ボート総合 2005−06−07 1,000 深証総合 1991−04−03 100 深証 A 株 1991−04−03 100 深証 B 株 1992−02−28 100 表7 主要株価指数 出所:上海証券取引所「2006年市場資料」,深!証券取引所 http://www.szse.cn/ 38 松山大学論集 第19巻 第4号

(13)

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 1990/12/19 1991/6/27 1992/1/2 1992/7/10 1993/1/15 1993/7/22 1994/1/25 1994/8/5 1995/2/17 1995/8/23 1996/3/13 1996/9/16 1997/4/8 1997/10/20 1998/5/11 1998/11/13 1999/6/8 1999/12/16 2000/7/13 2001/2/6 2001/8/16 2002/3/14 2002/9/23 2003/4/15 2003/11/3 2004/5/25 2004/12/2 2005/6/23 2006/1/4 2006/7/25 2007/2/6 2007/8/23 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 上証総合 深証成分

第2節 株式発行市場とその問題

株式発行市場は,株式会社が株式発行により,資金を調達する場であるの で,市場メカニズムが健全に働く場合,株式発行は企業の自主的な行為であ り,発行した株式は,上場基準に合えば上場され,一般投資家に公開される。 しかし,計画経済から市場経済への移行期にある中国では,第1節で説明した ように,株式発行は,多くの場合,既存国有企業により行われたので,株式会 社制度の導入へ移行するプロセスがまず不可欠である。またゼロからのスター トなので,株式会社への移行が完成された企業は一斉に発行済み株式を上場さ せることも多くの混乱を招きかねないから,株式の発行と公開に対して,当然 でありながら,政府の管理下に置かれている。このため株式発行市場におい て,株式の発行とその公開の管理方法,上場基準,発行方式,発行株価の決定 などはそれぞれの特徴を持ち,それぞれの問題を抱える。本節では中国株式発 行市場を分析する。 図1 主要株価指数の変化 中国における株式市場の発展とその問題 39

(14)

1.株式発行の管理機関 計画経済から市場経済への移行期にある中国では,株式の発行と公開は政府 により管理されている。また,中国経済管理体制の改革とともに変化しつつあ る。 都市部の経済改革に株式制度の導入を試み始めたのは1984年であった。そ の後,上海と深!証券取引所が設立されるまで,株式制度導入許認可の権限は 地方政府の経済体制改革委員会に属し,株式の発行許認可などの管理は地方政 府の経済体制改革委員会のほかに,中国人民銀行現地支店も関わった。 1990年に上海,1991年に深!!証券取引所が設立された後,上海市政府と 深!市政府はそれぞれ証券弁公室を設立し,証券発行と流通の主要管理者の責 務を充てて,株式の発行も証券弁公室の管理事項となった。 1992年,中国政府は株式会社制度導入の試みを全国に繰り広げることを決 定し,上海と深!証券取引所は全国の証券市場の機能を果たすようになったの で(これまでは主に地元株式会社制度を実行した企業株式の発行と流通に責務 を持った,所謂ローカル市場である),全国の証券市場を管理する機関の設立 が必要になった。1992年10月,国務院は証券委員会を設立し,証券市場の管 理と政策などの制定に充てた。同時に中国証券監督管理委員会を設立し,証券 市場の監督執行責任を負わせた。 その後,証券市場の発展に伴い,今まで分散した証券市場の管理機能を更に 集中し,一本化するように動いた。1997年8月15日に国務院は,これまで地 方政府に委ねていた上海,深!両証券取引所の管理責任を,中国証券監督委員 会に移行させた。1998年8月に国務院は「証券監督機構体制改革案」を認可 し,中国証券監督委員会を部(日本の省に相当)の格に昇格させ,証券と先物 市場の監視管理任務を充てた。同時に国務院証券委員会が廃止され,その機能 と,中国人民銀行が持っていた証券会社管理機能が,ともに中国証券監督委員 会に統合された。 40 松山大学論集 第19巻 第4号

(15)

2.株式発行の管理 株式の発行は,国有企業経営活性化改革の一環として位置づけられるので, 既存企業の中から候補を選び,進められた。既存企業はほとんど国有企業であ り,国有企業はすべて中央官庁に直接管轄されることは量的には無理であるの で,国有企業でありながら(計画体制の)管轄関係からそれぞれの中央省庁, 或いは所在地の地方政府(省,直轄市,自治区,計画独立市)に所属していた ので,上場の管理責任はそれぞれの省庁と地方政府に充てられた。具体的に は,毎年,中央政府の計画当局は証券発行の計画を策定し,株式の発行規模を 確定し,政府関係省庁と地方政府に発行の枠を発表する。各地方政府は,既に 株式会社制度を導入し,株式会社への改革が完了した管轄下の企業から候補を 選び,発行許可企業のリストを作り,国務院証券委員会へ提出する。発行申請 企業は中央省庁に所属する企業であれば,管轄省庁が候補企業所在地の地方政 府と相談の上,発行申し込みを審査し,発行許可企業のリストを同証券委員会 に提出する仕組みとなっていた。9,10) しかし,行政手段による株式発行の割り当て制度は,多くの問題を抱えた。 第一,株式発行企業の選定は行政により割り当てられるので,資源配分の効 率性を損なう。 第二,株式発行の割り当ては,往々にして,業種,地域のバランスを念頭に 入れ,利益調整の結果になるので,株式発行により調達した資金は地元政府に 取り上げられたり,他の企業や他のプロジェクトに流用されたりするケースま で現れた。つまり,株式発行は資金分配機能に利用され,企業の効率的改革の 方向に背いた。 第三,株式発行は行政割り当ての結果であるので,上場業務を実際担当する 主幹事である証券仲介機関の責任と混合し,問題が生じれば,主幹事の推薦責 任逃れの口実となり,株式市場の効率性が損なわれた。 第四,制度的に,上場企業の推薦を担当する政府部門にレントを獲得する機 会を提供し,政府の不正を助長した。 中国における株式市場の発展とその問題 41

(16)

表8は2006年現在上場企業の地域別分布を示している。上場企業の多くは 東部地域に集中しているにもかかわらず,経済力の相違や企業の集中度などを 合 計 上 海 深 ! 東部 860 511 349 北京 92 64 28 天津 24 16 8 河北 35 18 17 遼寧 49 25 24 上海 149 146 3 江蘇 100 63 37 浙江 96 62 34 福建 48 27 21 山東 84 49 35 広東 163 34 129 海南 20 7 13 中部 298 174 124 山西 25 16 9 吉林 32 19 13 黒竜江 30 22 8 安! 46 27 19 江西 25 16 9 河南 33 20 13 湖北 61 34 27 湖南 46 20 26 西部 276 157 119 広西 22 10 12 内モンゴル 20 16 4 四川 64 34 30 貴州 17 9 8 雲南 24 13 11 チベット 8 6 2 陝西 24 13 11 甘粛 19 11 8 青海 9 6 3 寧夏 11 4 7 新彊 29 21 8 重慶 29 14 15 表8 2006年地域別上場企業の分布 (社) 出所:同表2,182頁。 42 松山大学論集 第19巻 第4号

(17)

考えれば,今の分布は,良し悪しは別にして,行政関与の結果と言わざるを得 ない。当然でありながら,広大で経済格差の大きい中国では,株式公開発行割 当制の実行に当たって,地域間のバランスが最も重要な考慮要素であることは 言うまでもない。 1999年7月1日から『証券法』は実施された。『証券法』第15条は,国務 院の証券管理機関は法律に基づき,株式発行申請を認可すると規定されてい る。2000年4月1日,中国証券監督管理委員会は《株式発行認可手順》を公 表した。具体的には証券発行業務の資格を持つ証券仲介機関は,株式発行申請 企業から発行候補企業を選んで証券発行審査委員会に推薦し,同委員会が主と して『証券法』と『企業法』の関係規定及びディスクロージャに基づき審査し, 多数可決した案件を,証券監督委員会が認可する制度を採るようになった。 このように,『証券法』の実施に伴い,2001年から株式発行が計画経済の割 り当て制から市場経済の認可制に変更された。その狙いは,市場メカニズムを 尊重し,主幹事である証券仲介機関に責任を持たせ,できるだけ優良企業を推 薦させることにあった。 しかし,株式発行の申し込みは遥かに市場の許容規模を上回るので,株式発 行の許認可は貴重な資源となり,割当てを完全に払拭することができなかっ た。行政割当て制と比べ,発行企業選定の権限はアンダーライターに与えら れ,アンダーライターの責任を強化したものの,証券仲介機関間の競争激化を 抑えるために,証券会社の規模に応じて,アンダーライターとして株式発行申 請企業を推薦する企業の枠を暗黙の内に割り当てられていた。一説によれば証 券会社1社に年間約2社∼8社の推薦枠を割り当てられたそうである。いくら 業務能力があっても,推薦できる企業の数は年間8社までが頂点で,逆に業務 能力がなくても2社くらいは確保される。11)一部,業務能力が欠乏の証券会社 は,推薦の枠を有償で他のアンダーライター業務に長けた証券会社に譲るケー スまで現れたそうである。12)その結果,必ずしもアンダーライターである証券 会社間の効率的競争につながらなかった。 中国における株式市場の発展とその問題 43

(18)

逆に,アンダーライターは株式発行企業を推薦する権限を握るので,証券会 社と企業の関係は逆転し,発行申請企業はアンダーライターの指示通りに動か なければならない。限られた推薦枠は貴重資源となり,アンダーライターはこ の資源を重要な収入源とみなす。発行手数料は調達資金と比例して変化するの で,手数料を稼ぐために,往々にして申し込み企業に予定した調達金額以上に 発行の規模を拡大させるように強要する傾向が生じ,上場企業増発氾濫の一因 となった。 2004年から株式発行申請企業を推薦する際,業務担当者の署名と上場後の 一定期間内,推薦企業の経営状態に連帯責任を負う推薦人責任制度を導入し た。アンダーライターの責任を強化すると同時に,具体的な業務担当者の責任 も強化する措置が工夫された。 3.株式発行と公開(上場)の条件 1984年7月,中国人民銀行上海市支店は『株式発行の暫定管理弁法』を制 定し,株式発行の資格を集団所有制の企業に限定した。これは,株式発行に関 する政府最初の書類である。その後,国有企業の改革にも株式制の導入が認め られた後,上海市人民政府は1987年5月23日に『上海市株式管理暫定弁法』 を制定した。株式の公開発行条件から集団所有制企業への限定条項を取り除い たが,発行者は発行株式の30%以上を購入しなければならない以外には,具 体的な条件を明確に示さなかった。 1990年中国人民銀行深!支店は『深!市株式発行と取引管理暫定弁法』を 制定し,株式公開発行申請企業の条件を初めて明確にした。 1993年4月22日,国務院は『株式発行と取引管理暫定条例』を制定し,株 式公開発行申請企業の条件を明確に定めた。1993年12月29日に制定し,1999 年12月25日に改正した『中華人民共和国企業法』と,1998年12月29日に 制定した『中華人民共和国証券法』は,共に株式公開発行の条件を定めた。そ して,2006年5月17日に中国証券監督管理委員会は『株式の公開発行と上場 44 松山大学論集 第19巻 第4号

(19)

の管理弁法』を公表し,詳しい発行条件を定めた。これらの法律や政府条令に 基づき,上海証券取引所は株式の上場基準と上場手順を定めた。 上場基準: 1)株式の公開発行は既に国務院証券管理部門により認可されたこと; 2)資本金は人民元5,000万元以上であること; 3)会社設立から3年以上,最近3年間連続して利益が出ていること。ただ し,国有企業から転身した株式会社であれば,転身前から設立年数が加算で きる。 4)株式額面価格1千元以上の株主数が1千人以上であること。公開する株式 の額は資本金の25%以上であること。ただし総資本金が4億人民元を超え た場合,15%以上である; 5)直近3年間,重大なミスがないこと,財務諸表には虚偽の記載がないこと; 6)国務院が定めた他の条件であること; 7)ハイテク企業と認定された企業の株式の上場は国務院の他の規定によるも のである。 上場手順: 1)中国証券監督委員会の認可が必要である。 2)認可された後,証券取引所に公開上場を申し込む。 3)公開上場する前に全部の株主名簿を中国証券登記決算有限責任会社に保管 させる。 4)公開上場日程を決定する。 5)証券取引所の審査を得てから公開上場する5日前までに公開上場書を刊行 する。 6)公開上場する。 4.株式新規発行の方法 1984年北京天橋と上海飛楽の設立をきっかけに株式制会社が各地に設立さ 中国における株式市場の発展とその問題 45

(20)

れるようになった。この中には株式を公開発行するものもあった。発行制度も よく整備されていなかったし,発行企業のディスクロージャもよく行われてい なかったため,多くの人は株式への投資に疑問を持った。株式発行の公開募集 は順調ではなかった。そのため,政府や公開発行企業の幹部を,新株発行の応 募に動員したり,或いは銀行金利と同じ利率の配当金を保証したりして募集を 行った。しかし,その後,両証券取引所の設立,株式の一部が上場され,流動 性を持つようになった。動員されて買わされた株の中に,上場後の株価が応募 価格の数倍に跳ね上がったものも出たので,人々の株式に対する見方が相当に 変わり,新株発行の応募に人気が集まるようになった。 このため,新規発行募集に抽選による方法を取り入れた。具体的には,新規 発行の応募者は抽選券を購入し,抽選により上場予定の株を購入する方法であ る。最初に株式投資に半信半疑の人はまだ多数存在したので,抽選券の購入者 数はそんなに多くなかったため,当選の確率が高かった。しかし,上場後もほ ぼ漏れなく,応募価格を大幅に上回ることが繰り返され,次第に新規発行応募 抽選券は大人気になった。抽選券購入者数の急増により当選の確率が低下し, また,抽選券の発行などによる新規発行コストも問題視されるようになった。 このため1994年以降,応募抽選券による発行は止められた。ちょうどイン フレ高騰期でもあったので,代わって,預金リンク発行方法を実施した。新規 発行の応募を預金とリンクさせ,預金通帳の番号を抽選する発行方式と,抽選 申し込み方式が規定された。13)1997年1月18日,中国証券監督管理委員会は, “抽選申し込み方式”と“預金リンク方式”を確認し,“抽選申し込み方式” を推奨した。14)1999年7月28日,中国証券監督管理委員会は「株式発行方式の 更なる改善に関する通達」を発布した。資本金4億以上の企業発行増資におい て第三者割当発行も一時実行した。そして,新規発行価格の割高を是正するた め,2000年に株式流通市場投資家に市場価格による割当発行を試みたが,技 術的な要因で,2001年に中止した。15)現在では,基本的に抽選申し込み方式が 採用されている。 46 松山大学論集 第19巻 第4号

(21)

5.発行価格の確定 1991年以前,新規発行は多く額面価格で行われていたが,1992年に株式市 場が本格的にスタートして以降,新規発行株価は,上場後3年間予測利益を基 本に算出されるようになったが,明確な基準がなく政府管理部門により確定さ れていた。 1994年6月から1995年1月にかけて,入札により発行価格を確定する方法 を試みたが,この方法による新規発行株4つの内,3つは上場日に発行価格を 割り,1つは申し込みが47.3%にしか達しなかった。このような事情を踏ま え,再び政府管理に戻った。 1996年12月26日,中国証券監督管理委員会は《株式発行規定に関する通 達》を発布し,新規発行株価の確定を,上場後3年間の予測利益に変え,過去 3年間の税引後利益の算術平均を基本に計算するように,新規発行株価確定方 式を変更し,算式を発表した。 算式: 発行株価 = 発行年次予測利益 × PER 発行年次ウエート調整済み株式数 = 発行年次予測利益 × PER 発行前株式数+新規発行株式数×12−発行月次12 ところで,中国証券監督管理委員会が1997年9月10日に「1997年株式発 行を改善する通達」を公布し,再び,新規発行株価の算式を公表した。 算式: 発行株価=税引後利益×PER 税引後利益=発行前年税引後利益×70%+発行年次予測税引後利益×30% PER=PER 最大値−[(計算日前上場企業業種30日間)平均終値の最大値− 平均終値]×調整係数+修正値 中国における株式市場の発展とその問題 47

(22)

調整係数 = (PER 最大値−PER 最小値) (計算日前30日間上場企業業種平均終値の)最大値−最小値 算式の中,PER は基本的に12∼15倍の範囲内に制限されていた。 1999年7月1日の《証券法》の施行に伴い,新規発行株価は《証券法》に 基づき,時価発行の場合,株式発行会社とアンダーライターが協議した上で決 定するようになったが,IPO はあまりにも好景気で PER が非常に高く吊り上 げられ,この PER を抑えるため,2002年後半から再び PER を20倍以下に規 制した。 6.株式による資金調達方式 次に,A 株発行による資金調達方式の内訳を見てみる。 株式市場による資金調達方式は,新たに上場する企業による初公募と,既に 上場した企業による公募増資(或いは株主割当,転換社債発行)に分けること ができる。表9で分かるように,中国の株式市場は新興市場として,新規上場 による初公募調達が資金調達の主要方式であることは言うまでもない。しか し,1998年以降,A 株の初公募の比率が低下の一途を!る。2005年は16.7% まで落ち込んだ。中国において株式の上場は政府の厳しい審査と規制を受ける ものの,新興市場として早くに資金調達の機能が老衰の様態を示したが,非流 通株式の流通化改革の成功により,2006年に初公募は一気に2005年の30倍 に急騰した。 A 株市場資金調達方式のもう一つの特徴は,株主割当は1995年に A 株市場 全資金調達額の73%以上に達し,その後下落し,1998年∼2001年は34%∼ 43%の水準を維持したが,2002年以後,急落したことである。 株主割当による増資の比率が高いことは何の原因によるものであろうか。ま ず考えられるのは,初公募による調達額が低いことである。1995年は正にそ れが原因である。その理由としては,初公募の申し込みが少ない,或いは認可 された案件が少ない。中国の実情から見れば,認可された案件が少ないことに 48 松山大学論集 第19巻 第4号

(23)

あるであろう。引き続き考えられるのは公募増資が少ない。その理由として は,経営業績が好ましくなく,公募増資が難しいこと,或いは経営権の分散を 恐れて,公募増資を中止するかのいずれかである。 表5,6のように,流通株式の比率が全部株式の3分の1以下しか占めない ので,経営権分散を恐れる理由が成立しないので,経営業績に問題があったと しか解釈できないが,実際にもそうであった。表11のようにジグザグするが, 趨勢的には1株利益額(EPS)が低下しつつあるので,公募増資が難しくなる。 一方,PER が上昇しているにもかかわらず,時価より少し低ければ,未熟の 個人投資家は株主割当に応じるので,上場企業経営者に資金工面の空間が与え られた。しかし,資本金の増大は更に EPS の低下をもたらす。株主割当に対 する社会的批判が高まるので,2002年6月21日に中国証券監督管理委員会は 『上場会社の公募増資行為を正そう』という通達を出し,公募増資の条件を厳 合計 初公募 公募増資 株主割当 転換社債発行 1991 5.00 5.00 0.00 0.00 0.00 1992 50.00 50.00 0.00 0.00 0.00 1993 276.41 194.83 0.00 81.58 0.00 1994 99.78 49.62 0.00 50.16 0.00 1995 85.51 22.68 0.00 62.83 0.00 1996 294.34 224.45 0.00 69.89 0.00 1997 825.92 655.06 0.00 170.86 0.00 1998 778.02 409.09 30.46 334.97 3.50 1999 893.60 497.88 59.75 320.97 15.00 2000 1,527.03 812.37 166.70 519.46 28.50 2001 1,182.13 534.29 217.21 430.63 0.00 2002 779.75 516.96 164.68 56.61 41.50 2003 819.56 453.51 110.66 74.79 180.60 2004 835.71 353.42 168.72 104.54 209.03 2005 338.13 56.74 278.77 2.62 0.00 2006 2,463.70 1,572.24 847.10 4.32 40.04 表9 A 株資金調達方式の内訳 (億元) 出所:同表2。 中国における株式市場の発展とその問題 49

(24)

しくした。

第3節 株式の流通市場とその問題

中国における上場された株式売買の場としての流通市場については,基本的 に諸外国と同じである。価格優先,時間優先と取引が取引所に集中する原則が 実行されている。株式の投機的な売買を制限するため,1日の価格変動幅が 10%以内に制限される。上場企業の財務状況には異常の状況及び他の異常の状 況が現れた時に,上場停止或いは特別処理を受ける可能性のある銘柄に“* ST”或いは“ST”をつけ,投資家に警戒感を示し,値幅制限も5%に縮小す るなどの措置が講じられている。 本節では,特に非流通株式,売買回転率と上場企業の主要財務状況を取り上 げることにした。 1.非流通株式の問題 第1節で説明したように,中国で株式会社制度が導入されたのは1980年代 の半ば頃であった。最初は,非国有企業の中で,主として社員に株式を発行す ることで資金調達を試みた。その後,国有企業改革の試行錯誤の末,株式会社 制度の導入に踏み出したが,生産資料と生産手段の公的所有こそ社会主義その ものであると大きな反論を招いた結果,国有企業改革に引き続き株式会社制度 の導入を試みるものの,政府や国有企業法人が引き続き株の大半を所有しなけ ればならないとして決着が付いた。つまり,株式会社化された旧国有企業の株 式が上場されることが認められた後も,上場できたのは一般投資家向けの流通 株式に限られ,政府や国有企業法人が所有する株式の上場は認可しない。この 結果,中国の株式市場は流通株式と非流通株式に分けられ,長期間にわたって 中国株式市場発展の障壁となった。 表5,表6を参照されたい。流通株式の株式数も時価総額も全体に占める比 率は上昇するものの,3割強しか占めていないこと,また表10のように,非 50 松山大学論集 第19巻 第4号

(25)

流通株式は主に国有(政府)或いは(国有)法人に所有されることが分かる。 上場企業非流通株式の存在はどんな問題をもたらしたのであろうか。 第一,国有企業改革に株式会社制度を導入した目的は,親方日の丸の経営体 質を改革し,経営合理化を実現することにあるのに,非流通株式の存在は,政 府や国有企業法人が依然として大株主として企業経営に君臨する状態を温存 し,みずから親方日の丸の経営体質改善の条件を妨害した。 第二,流通株式の規模が限られ,株価が変動しやすくなり,投機しやすい状 況を作ってしまった。 第三,流通株主と非流通株主との間の利益が差別化され,行動様式の乖離を 生じさせてしまった。流通株式の持ち主は事実上,会社の経営参加が無理であ れば経営に無関心となり,専ら株価の短期変動だけに気を配り,頻繁に売買を し,株式市場がより投機的になる要因の一つになる。 国有 法人 外資法人 縁故者 社内 その他 流通株 A 株 B 株 H 株 1992 42.1 13.1 4.0 9.4 1.2 0 15.9 14.9 0 1993 49.1 9.0 1.1 10.6 2.4 0.0 15.8 6.4 5.6 1994 43.3 10.8 1.1 10.6 1.0 0.2 21.0 6.1 6.0 1995 38.7 15.9 1.4 7.3 0.4 0.7 21.2 6.7 7.7 1996 35.4 18.4 1.2 7.5 1.2 1.0 21.9 6.4 6.9 1997 31.5 22.6 1.3 6.7 2.0 1.2 22.8 6.0 5.7 1998 34.3 20.9 1.4 6.0 2.0 1.2 24.1 5.3 4.7 1999 36.1 19.1 1.3 6.2 1.2 1.1 26.3 4.6 4.0 2000 38.9 16.9 1.2 5.6 0.6 0.9 28.4 4.0 3.3 2001 46.2 12.7 0.9 4.7 0.5 0.3 25.3 3.1 6.4 2002 47.2 11.3 0.9 5.1 0.3 0.5 25.7 2.9 6.1 2003 47.4 10.9 0.9 4.8 0.2 0.5 26.7 2.7 5.9 2004 46.8 10.6 1.0 4.8 0.1 0.6 27.9 2.8 5.4 2005 45.0 7.2 3.0 3.2 0.1 3.8 29.9 2.9 5.4 2006 30.7 3.8 0.5 0.8 0.0 26.6 22.1 1.5 14.1 表10 所有者別比率の推移(機関投資家) (%) 出所:同表2,180頁。 中国における株式市場の発展とその問題 51

(26)

逆に,非流通株主は政府或いは国有企業法人であり,その代表者を上場企業 の経営者に任命するので,上場企業のコーポレート・ガバナンスも経営者の意 識も行動も株式会社制度を導入する前とあまり変わらない。一方,国有資産管 理委員会は上場企業経営者の経営業績の考察に,上場企業純資産の変動を基準 に使うので,上場企業経営者は株価の変動に無関心となり,純資産の変動をめ ぐって資産経営と呼ぶさまざまな操作手法を講じた(紙幅のため,詳細は別の 機会に譲る)。 第四,以上の問題を察して,中国政府は非流通株の流通化を図らなければな らないと考え,2000年から着手したが,非流通株の放出により,株価が非常 に敏感になり,長期の株価低迷を招いてしまった。 外にも,国有企業法人などの大株主が,上場企業の資金を流用することなど も大きな問題になったとメディアで取り上げられている。 2005年9月4日,中国政府は『中国資本市場改革開放と健全的発展に関す る国務院の若干意見』を発表した。これを受けて,証券管理監督委員会,国有 資産管理委員会,財政部,中国人民銀行と商務部が『上場企業株式分割改革に 関する指導意見』を公表し,証券管理監督委員会が具体的な規定を定めた。主 な内容は流通株主に一定の補償を与え,非流通株式の上場に時間をかけること である。 この改革の内容は流通株主から広く支持が得られた。2005年末からの株価 高調を迎え,表10のように非流通株式比率の低下を実現した。これにより非 流通株式の流通化問題が一段落した。 2.株式の売買回転率 株式の流動性を表す指標として売買回転率がある。売買回転率は売買代金に 基づく計算方法と売買株式数に基づく方法がある。上海証券取引所も深!証券 取引所も売買代金に基づき,算出した売買回転率を公表している。年売買回転 率の算式は次のようになる: 52 松山大学論集 第19巻 第4号

(27)

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 上海 A 株 上海 B 株 深圳 A 株 深圳 B 株 売上回転率 = Σ毎日売買代金 流通株式数 図2に示されているように,上海市場も深!市場も中国国内投資家向け A 株と外国投資家向け B 株の売買回転率がそれぞれ違うことが明らかである。 まず,B 株の売買回転率を見てみよう。中国国内投資家の市場参入を開放し た2001年を除けば,基本的に100%前後で推移し,多くの年は100%以下であ る。しかし,100%とは年に1回売買されることを意味するので,諸外国と比 べても決して低くない。 引き続き,両市場の A 株を見てみよう。B 株と比べて,A 株市場の売買回 転率がより高い。上海市場では,データのある13年間の内,8年間は500%弱 以上になり,1996年は1,035%で,1994年は記録の1,471.48%であった。株 式市場低迷と言われる2001年からの5年間も200%を下回ることがなかっ た。低迷に終止符を打った2006年は564.5%となった。同様に,深!市場も データのある15年間の内,200%を下回る年があるものの,2001年と2002年 だけで,2004年と2005年は上海市場より早く300%台を回復した。2006年は 671.34%に達した。 図2 株式売買回転率の推移 (%) 出所:同表2,24∼27頁。 中国における株式市場の発展とその問題 53

(28)

中国株式の売買回転率は,日本やアメリカなどと比べてどうであろうか。例 えば,売買代金に基づいて計算した東京証券取引所市場第一部・第二部合計の 売買回転率は,ほとんどの年は100%以下である。バブル最盛期の1987年∼ 1989年でさえ80.6%,70.2%,61.1%に止まった。その後バブルが弾けて, 株式離れにより更に落ち込み,1996年まで20%台で推移し,2004年はようや く100.8%を実現した。同様に,ニューヨーク証券取引所も1975年から2005 年までの数字を見る限り,基本的に100%以下であるが,2000年以後,やっと 100%近くまで上昇した。 このように,東京証券取引所の株式持ち合いの要因を除いて考えても,中国 株式市場の売買回転率が異常に高いことが分かる。これでは中国 A 株式市場 は投機そのものであると言わざるを得ない。 上海 PER 深! PER 営業収入 (億元) 利益総額 (億元) 純資産収益率 (ROA) 1株当たり利益 (EPS)元 平均 A 株 B 株 平均 A 株 B 株 1992 n. a. n. a. n. a. n. a. 57.52 35.56 225.55 31.64 14.28 0.35 1993 42.48 n. a. n. a. 42.69 44.21 20.11 954.00 157.00 14.68 0.36 1994 23.45 n. a. n. a. 10.37 10.67 7.02 1,680.00 256.00 13.15 0.31 1995 15.70 16.32 8.00 9.35 9.80 6.01 2,204.00 256.00 10.78 0.25 1996 31.32 32.65 14.04 35.42 38.88 14.07 3,235.00 344.00 9.59 0.23 1997 39.86 43.43 11.99 39.86 42.66 10.67 5,076.51 577.33 9.69 0.24 1998 34.38 34.36 6.04 30.59 32.31 5.71 6,269.71 614.40 7.45 0.19 1999 38.13 38.14 10.05 36.30 37.56 10.38 7,974.56 806.31 8.23 0.20 2000 58.22 59.14 25.23 56.04 58.75 13.06 10,783.87 1,007.43 7.63 0.20 2001 37.71 37.59 43.39 39.79 40.76 25.30 15,475.80 1,016.48 5.35 0.13 2002 34.43 34.50 30.61 36.97 38.22 17.51 19,001.97 1,298.89 5.65 0.14 2003 36.54 36.64 30.32 36.19 37.43 20.92 25,047.16 1,890.11 7.37 0.19 2004 24.23 24.23 20.15 24.63 25.64 12.90 34,064.44 2,671.98 9.12 0.25 2005 16.33 16.38 12.40 16.36 16.96 9.11 41,042.29 2,627.31 8.19 0.22 2006 33.30 33.38 23.97 32.72 33.61 21.01 50,774.97 5,109.75 10.18 0.23 表11 上場企業の PER と主要財務指標 出所:同表 2,88∼89頁,183頁。 54 松山大学論集 第19巻 第4号

(29)

3.上場企業の収益と PER 表11には上場企業の平均 PER の推移が示されている。2000年にピークを 迎え,その後の株価の低迷とともに低下し,2005年に16倍台に落ちた。2006 年には前年の2倍に跳ね返った。新興市場として30倍の平均 PER は決して問 題にならないが,振れの大きい,特に1年間に倍増することは大きな問題にな る。 2002年に株主割当増資を規制し始めて以降,上場企業財務内容の改善が見 られた。まず,利益総額が大きな上昇を見せた。特に2006年には前年の倍増 に近かった。次に,ROA と EPS は低下を中止し,上昇に転じた。しかし,2005 年から再び微減を見せ,2006年に微増に転じた。一部の報告では2006年諸財 務指標改善の原因は,2006年から国有資産管理委員会が,純資産額の変動と いう上場企業経営者考察基準を中止し,上場企業経営者が今まで隠していた利 益を公表したことや,非流通株式上場の含み益を表面化したことによるものと 分析されている。いずれにしても,2005年以降,上場企業の財務内容が改善 され,今度の株価の上昇をもたらしたと言える。

証券取引所の成立から通算して中国株式市場の歴史はまだ20歳未満であ る。多くの問題を抱えながらも著しい発展と大きな進歩を成し遂げたことは否 めない。2007年末現在,上海と深!両市場の全株式時価総額は約30兆元(流 通株式時価総額は約10兆元)に達し,およそ年間 GDP の1.22倍になる。株 式市場は中国の企業資金調達の重要な場だけでなく,家計の資金運用の場でも ある。2007年末,中国家計部門の銀行預金残高が約17.3兆元であるのに対し て,個人投資家所有株式は流通株式の約半分,そして,投資ファンドを通して 所有する株式を加えると,家計部門所有株式の時価総額は約7兆円に上り,金 融資産の3割は株式であることになる。 中国のような移行経済において,最初から規律の正しい市場の形成を求める 中国における株式市場の発展とその問題 55

参照

関連したドキュメント

トリガーを 1%とする、デジタル・オプションの価格設定を算出している。具体的には、クー ポン 1.00%の固定利付債の価格 94 円 83.5 銭に合わせて、パー発行になるように、オプション

既発行株式数 + 新規発行株式数 × 1株当たり払込金額 調整後行使価格 = 調整前行使価格 × 1株当たりの時価. 既発行株式数

紀陽インターネット FB へのログイン時の認証方式としてご導入いただいている「電子証明書」の新規

新株予約権の目的たる株式の種類 子会社連動株式 *2 同左 新株予約権の目的たる株式の数 38,500株 *3 34,500株 *3 新株予約権の行使時の払込金額 1株当り

等に出資を行っているか? ・株式の保有については、公開株式については5%以上、未公開株

関係会社の投融資の評価の際には、会社は業績が悪化

「普通株式対価取得請求日における時価」は、各普通株式対価取得請求日の直前の 5

理由:ボイラー MCR範囲内の 定格出力超過出 力は技術評価に て問題なしと確 認 済 み で あ る が、複数の火力