U.D.C 691.328.4
組立て式補強鋼材と吹付けモルタルによる
RC 柱の
耐震補強に関する実験的研究
北沢 宏和
*黒岩 俊之
**前田 欣昌
*前原 聡
***早川 健司
***伊藤 正憲
** 要 約: 筆者らは,既設鉄筋コンクリート柱の新しい耐震補強工法として,分割帯鉄筋と吹付けモルタルを用いて既設柱を補強する CB フープ工法(Combination Hoop)を開発した。本工法は,鉄筋コンクリート柱に分割した帯鉄筋を配置し,これらを固定用鋼 材を用いて一体化させ,吹付けモルタルを施工するRC 巻立て工法である。 本研究は,CB フープ工法の耐震補強効果を検証するために,本工法を適用した柱試験体を作製し正負交番載荷を実施した。 その結果,縮小試験体を用いた載荷実験により,既往のせん断耐力式を用いて補強後のせん断耐力を安全側に評価できることを 明らかにした。さらに,本工法で補強することにより,破壊性状をせん断破壊型から曲げ破壊型へ移行できることを実大試験体 により示し,変形性能についても既往の評価式を用いて妥当に評価できることを確認した。 キーワード: CB フープ工法 RC 柱 耐震補強 分割帯鉄筋 目 次: 1.はじめに 3.実験内容 5.まとめ 2.CB フープ工法の概要 4.実験結果 1. はじめに 将来,発生が予想される巨大地震に対して,古い設 計基準に従って設計された高架橋の耐震補強工事が, 現在も進められており,代表的な耐震補強工法に鋼板 巻立て工法がある。この工法は,補強効果が高く,広 く一般的に用いられているが,施工に重機を用いるた め広い作業スペースが必要である。しかしながら,道 路や他の構造物などと近接する,特に都市部の高架橋 では,重機を設置する広い作業スペースを確保するど ころか,十分な作業スペースを確保することさえ非常 に困難な状況がある。 そこで,このような施工条件に対応できる新しい耐 震補強工法(以後,CB フープ工法)を開発した。本論 文は,工法の概要に加え,開発の過程で実施した構造 性能確認実験について報告する。 2. CB フープ工法の概要 2.1 工法の特長 図1にCB フープ工法の補強の概略を示す。CB フー プ工法は分割した帯鉄筋を柱周りに配置し,これを躯 体隅角部にて固定アングルと連結ピン(丸鋼),結束金 具を用いて一体化させ,閉合フープ筋と同等の性能を 有するようにしたものである。なお,CB フープ工法は 下記のような特長を有している。 (i) 低コスト CB フープ工法は,入手性が良い一般的な材料を用い ることで材料コストを抑えた RC 巻立て工法である。 なお,分割帯鉄筋を固定用鋼材により組立てるので, 特別な技能を有する作業員を必要としない。 (ii) 施工性 本工法は,鋼板巻立て補強のように重機を必要とせ ず人力で組立てられ,狭隘部でも施工できるように, 分割帯鉄筋を使用している。すなわち,材料の軽量化 により施工性が向上している。 (iii) 短期施工 型枠を省略し,吹付けモルタルを使用することで工 程の短縮を図っている。また,鉄筋の組立てに「ラッ ク状の組立治具」を使用することにより,組立速度が 向上している。 図1 CB フープ工法の補強の概略 分割帯鉄筋 結束金具 固定アングル 連結ピン (分割タイプ) (連続タイプ) 固定アングル 吹付けモルタル *土木総本部 土木設計部 **土木総本部 土木技術部 ***技術研究所 土木研究室 pp.1039-1044,1998 3)下野一行,柏原茂,佐藤勉,松岡茂:高強度材料を用いた RC 梁部材のせん断耐力に関する実験的研究,コンクリート工学年次論 文報告集,Vol.21,No.3,pp.175-180,1999 4)原夏生,三島徹也,山田尚義,近藤眞生:自己充填型高強度高耐久コンクリートを用いた RC 梁のせん断耐力,コンクリート工学 年次論文報告集,Vol.23,No.3,pp.925~930,2001 5)黒岩俊之,佐藤勉,岡本大,吉田幸司:高強度材料を用いた RC 梁のせん断耐力に関する実験的検討,コンクリート工学年次論文 集,Vol.24,No.2,pp.733~738,2002 6)土屋智史,山田尚義,原夏生,三島徹也,前川宏一:コンクリートの自己充填性の有無がせん断補強筋の補強効果に及ぼす影響に 関する検討,土木学会第57 回年次学術講演会,2002 7)国土交通省鉄道局監修・鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説 コンクリート構造,2004.4 8)(社)日本道路協会:道路橋示方書・同解説Ⅴ 耐震設計編,2002.39)Otani, S.:Inelastic Analysis of R/C Frames Structures,J. Struct. Div.,ASCE,100, ST7,pp.1433-1449,1974
10)Tanaka, H.,Park, R.:Seismic Design and Behavior of Reinforced Concrete Columns with Interlocking Spirals, ACI Structural Journal, pp.192-203, March-April 1993
11)Buckingham, G.C.:Seismic Performance of Bridge Columns with Interlocking Spiral Reinforcement,M.S. Thesis,Washington State University,May,1992 12)柳下文夫,田中仁史,Park, R.:インターロッキングスパイラル鉄筋を有する鉄筋コンクリート柱の繰り返し荷重下における挙動, コンクリート工学年次論文報告集,Vol.19,No.2,pp.951-956,1997 13)藤倉修一,川島一彦,庄司学,張建東,武村浩志:インターロッキング式帯鉄筋を有する RC 橋脚の耐震性,土木学会論文集, No.640/Ⅰ-50,pp.71-88,2000.1 14)柳下文夫,田中仁史,Park, R.:インターロッキングスパイラル鉄筋を有する鉄筋コンクリート橋脚の耐震性能,土木学会論文集, No.662/Ⅴ-49,pp.91-103,2000.11 15)東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社:設計要領 第二集 橋梁建設編,2006.5 16)黒岩俊之,宮城敏明,大滝健,水上善晴:インターロッキングスパイラル配筋による RC 橋脚の合理化工法,コンクリート工学年 次論文集,Vol23,No.2,pp.1279-1284,2001.7 17)下司弘之,正岡孝,北川俊治,奈良正,服部尚道,大滝健:PC 鋼より線を用いたインターロッキング橋脚の破壊性状,土木学会 第59 回年次学術講演会概要集 V,pp.827-828,2004 18)(独)土木研究所:高じん性鉄筋コンクリート構造の配筋合理化技術に関する共同研究報告書(その2),pp.71-91,2005.2 19)水口和之,広長周治,中須誠,大内一,田中浩一,平櫛督彦:ストランドフープ工法による木曽川橋下部工の設計と施工,橋梁と 基礎,pp.29-38,2000.2
STUDY ON DESIGN AND CONSTRUCTION OF RC PIERS WITH RATIONAL TRANSVERSE
REINFORCEMENT
T.Kuroiwa
In this study, we examined the high strength shear reinforcement and the interlocking spiral/hoop columns.
In order to investigate the shear strength of reinforced concrete beams using high strength materials, we performed loading tests on the beams with high strength shear reinforcement. Based on the test results together with previous studies, shear capacity of high strength reinforced concrete beams was evaluated and the adequacy of the shear design equation in the JSCE model code was discussed.
The objectives of this study were to experimentally investigate the performance of columns with interlocking spirals/hoops under flexural and shear loading. It was confirmed that the seismic performance of the interlocking spiral/hoop columns was quite comparable to that of the conventional rectangular columns. It is also found that the volumetric confinement ratio necessary for the interlocking columns to have ductile behavior could be at least 0.3% for the design with an adequate safety margin.
*土木総本部 土木設計部 **土木総本部 土木技術部 ***技術研究所 土木研究室 U.D.C 691.328.4
組立て式補強鋼材と吹付けモルタルによる RC 柱の
耐震補強に関する実験的研究
北沢 宏和
*黒岩 俊之
**前田 欣昌
*前原 聡
***早川 健司
***伊藤 正憲
**50mm ピッチとした。一方,せん断耐力の確認を行う No.2 試験体は補強後もせん断破壊を生じさせるため, SD345-D10mm を 200mm ピッチで配置した。実大試験 体としたNo.3 試験体の補強は SD345-D19mm を 90mm ピッチで行った。なお,固定アングルと連結ピンの組 み合わせは表1に示す通りであり,固定アングルの大 きさは補強材の鉄筋径によりD10 鉄筋では t=6mm のア ングルと連結ピン9mm の組み合せ,D19 鉄筋では t=9mm のアングルと連結ピン13mm の組み合せとした。 表3に使用した鋼材の材料試験結果を示す。 3.2 載荷方法 No.1,No.3 試験体の載荷試験は,一定の軸方向圧縮 力を作用させた状態で,水平方向に正負交番載荷を行 った。 軸力(N)は,地震時に高架橋柱に作用する軸圧縮応 力(3N/mm2) を参考に,No.1 試験体は N=750kN, No.3 試験体は N=1920kN とした。載荷パターンは,軸 方向鉄筋が降伏した変位を降伏変位(y)とし,この 降伏変位を基準とした 3 サイクル載荷とした。なお, No.2 試験体は,軸力を導入せずに単調増加による水平 載荷を行った。 4. 実験結果 4.1 No.2 試験体 No.2 試験体の破壊状況を写真1に示す。ひび割れ発 生状況は,柱基部から載荷点に向かって斜めひび割れ が発生しており,ひび割れ発生状況からは試験体がせ ん断破壊したと考えられた。表4には材料試験結果を 基に計算したせん断耐力と曲げ耐力を示し,図6に No.2 試験体の荷重~変位関係を示す。図6には,鉄道 表3 鉄筋の材料試験結果 図3 No.1 試験体配筋図 図4 No.2 試験体配筋図 表2 コンクリートの物性値 試験体 No. 降伏強度 静 弾 性 係 数 降伏ひずみ 降伏強度 静 弾 性 係 数 降伏ひずみ 降伏強度 静 弾 性 係 数 降伏ひずみ (N/mm2) (kN/mm2) (μ) (N/mm2) (kN/mm2) (μ) (N/mm2) (kN/mm2) (μ) 1 D22 378 188 2060 φ6 356 206 3730 D10 383 175 2280 2 D22 442 190 2510 φ6 356 206 3730 D10 383 175 2280 3 D35 391 195 2070 φ9 373 206 1840 D19 381 194 2050 既設部 補強部 種別 帯鉄筋 種別 種別 帯鉄筋 軸方向鉄筋 試験体 圧縮強度 静 弾 性 係 数 圧縮強度 静 弾 性 係 数 No. (N/mm2) (kN/mm2) (N/mm2) (kN/mm2) 1 33.2 23.9 67.7 27.8 2 36.5 24.7 52.0 27.3 3 28.0 26.6 65.5 29.1 コンクリート モルタル 図5 No.3 試験体配筋図 2.2 施工手順 CB フープ工法の施工手順を図2に示す。 ①補強する既設柱に 4 分割した鉄筋を配筋するため のラック状の組立治具を設置 ②分割した帯鉄筋をラック状の組立治具に配置 ③固定アングルを設置 ④連結ピンを帯鉄筋と固定アングルとの隙間に挿入 ⑤帯鉄筋のフック部分への結束金具の設置と 締め付け ⑥吹付けモルタルの施工およびコテ仕上げ 3. 実験内容 3.1 試験体諸元 表1 に本実験に用いた試験体の諸元および補強内容 を示す。補強前の試験体はせん断破壊先行型とし,2 層 式ラーメン高架橋によく見られるせん断スパンが短く, 補強前のせん断耐力が極端に少ないものを想定した。 そのため,せん断スパン比は No.1 および No.2 試験体 ではa/d = 2.74,No.3 試験体では a/d = 2.67 である。
図3~図5に試験体配筋図を示す。No.1 および No.2 試験体は実大寸法の 5/8 縮小試験体とし,No.1 試験体 では変形性能および分割タイプ固定アングルの影響の 確認を,No.2 試験体は補強後のせん断耐力の確認を行 った。なお,No.3 試験体は実大規模での変形性能の確 認を主な目的とした。表2にコンクリートおよびモル タルの材料試験結果を示す。既設部コンクリートの圧 縮強度は実際の高架橋の圧縮強度を考慮して 30N/mm2 程度を目標とし,モルタルの圧縮強度は既設部のコン クリートの圧縮強度を上回るように 50N/mm2以上とし た。 No.1 試験体および No.2 試験体の軸方向鉄筋は,表3 に示すように D22 を使用した。ただし,せん断耐力の 確認が目的である No.2 試験体では,確実にせん断破壊 を生じさせるために鉄筋の種類を SD390-D22 とした。 両試験体とも既設の帯鉄筋にはSR235-6mm を 220mm ピッチで配置した。実大規模の No.3 試験体の軸方向鉄 筋には SD345-D35 を用い,既設帯鉄筋には SR235- 9mm を 150mm ピッチで配置した。 分割タイプ固定アングルの影響を確認するNo.1 試験 体では補強帯鉄筋を SD345-D10mm とし,配置間隔を ①組立治具の設置 ②補強帯鉄筋の配置 ③固定アングルの設置 ④連結ピンの挿入 ⑤結束金具の設置と締め付け ⑥吹付けモルタルの施工・コテ仕上げ 図2 CB フープ工法の施工手順 表1 試験体諸元 試験体 断面寸法 軸方向 断面寸法 吹付厚 固定 No. (mm) 鉄筋 (mm) (mm) アングル SD345 SR235 SD345 分割タイプ SR235 D22-28本 φ6ctc220 D10ctc50 L35×6mm φ9 SD390 SR235 SD345 連続タイプ SR235 D22-28本 φ6ctc220 D10ctc200 L35×6mm φ9 SD345 SR235 SD345 連続タイプ SR235 D35-24本 φ9ctc150 D19ctc90 L60×9mm φ13 帯鉄筋 補強前 1 連結ピン 補強後 590×590 帯鉄筋 2 3 a/d 2.74 2.74 2.67 500×500 500×500 800×800 590×590 940×940 45 45 70
50mm ピッチとした。一方,せん断耐力の確認を行う No.2 試験体は補強後もせん断破壊を生じさせるため, SD345-D10mm を 200mm ピッチで配置した。実大試験 体としたNo.3 試験体の補強は SD345-D19mm を 90mm ピッチで行った。なお,固定アングルと連結ピンの組 み合わせは表1に示す通りであり,固定アングルの大 きさは補強材の鉄筋径によりD10 鉄筋では t=6mm のア ングルと連結ピン9mm の組み合せ,D19 鉄筋では t=9mm のアングルと連結ピン13mm の組み合せとした。 表3に使用した鋼材の材料試験結果を示す。 3.2 載荷方法 No.1,No.3 試験体の載荷試験は,一定の軸方向圧縮 力を作用させた状態で,水平方向に正負交番載荷を行 った。 軸力(N)は,地震時に高架橋柱に作用する軸圧縮応 力(3N/mm2) を参考に,No.1 試験体は N=750kN, No.3 試験体は N=1920kN とした。載荷パターンは,軸 方向鉄筋が降伏した変位を降伏変位(y)とし,この 降伏変位を基準とした 3 サイクル載荷とした。なお, No.2 試験体は,軸力を導入せずに単調増加による水平 載荷を行った。 4. 実験結果 4.1 No.2 試験体 No.2 試験体の破壊状況を写真1に示す。ひび割れ発 生状況は,柱基部から載荷点に向かって斜めひび割れ が発生しており,ひび割れ発生状況からは試験体がせ ん断破壊したと考えられた。表4には材料試験結果を 基に計算したせん断耐力と曲げ耐力を示し,図6に No.2 試験体の荷重~変位関係を示す。図6には,鉄道 表3 鉄筋の材料試験結果 図3 No.1 試験体配筋図 図4 No.2 試験体配筋図 表2 コンクリートの物性値 試験体 No. 降伏強度 静 弾 性 係 数 降伏ひずみ 降伏強度 静 弾 性 係 数 降伏ひずみ 降伏強度 静 弾 性 係 数 降伏ひずみ (N/mm2) (kN/mm2) (μ) (N/mm2) (kN/mm2) (μ) (N/mm2) (kN/mm2) (μ) 1 D22 378 188 2060 φ6 356 206 3730 D10 383 175 2280 2 D22 442 190 2510 φ6 356 206 3730 D10 383 175 2280 3 D35 391 195 2070 φ9 373 206 1840 D19 381 194 2050 既設部 補強部 種別 帯鉄筋 種別 種別 帯鉄筋 軸方向鉄筋 試験体 圧縮強度 静 弾 性 係 数 圧縮強度 静 弾 性 係 数 No. (N/mm2) (kN/mm2) (N/mm2) (kN/mm2) 1 33.2 23.9 67.7 27.8 2 36.5 24.7 52.0 27.3 3 28.0 26.6 65.5 29.1 コンクリート モルタル 図5 No.3 試験体配筋図
験体と同様のひび割れが発生し,柱基部にひび割れが 集中していた。No.3 試験体は軸方向鉄筋の降伏後,2y で柱基部が圧壊し,6y の負側で荷重低下した。両試験 体とも,破壊形態がせん断破壊型から曲げ破壊型へ移 行したと考えられる。表5に No.1 試験体および No.3 試験体の実験結果と耐力の計算値を示す。コンクリー トの受け持つせん断耐力は前述の二羽式を用い,補強 量をVy/Pud = 1.0 以上となるように決定している。通常, 設計では RC 標準式を用いてせん断耐力を評価し補強 筋量を決定するため,二羽式を用いた場合に比べて補 強量が増加する。したがって,CB フープ工法も通常の せん断補強と同様にVy/Pud = 1.0 以上とすれば,せん断 破壊に対して安全側に補強することができる。 No.1 試験体,No.3 試験体の荷重~変位関係を図9, 図10に示す。図中には,前田らの研究 3)において, 同種のモルタル吹付けによる巻立て補強に対して提案 されている骨格曲線を示す。図9および図10より, No.1,No.3 試験体の荷重~変形関係は,既往の手法に より算定した部材降伏点(Y 点),最大耐荷力点(M 点) および終局点(N 点)を包絡する結果となった。 なお,分割型の固定アングルと連続型の固定アングル による差異は,破壊状況および荷重~変位関係からは 認められなかった。したがって,どちらのタイプの固 定アングルを使用しても CB フープ工法においては同 様の補強効果を得られることが確認できた。 図9 荷重~変位関係(No.1 試験体) 図10 荷重~変位関係(No.3 試験体) 表5 実験結果(No.1 試験体,No.3 試験体)
(a) 6δy (b) -6δy (a) 6δy (b) -6δy 写真2 破壊状況(No.1 試験体) 写真3 破壊状況(No.3 試験体) -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 水 平 荷 重 ( k N ) 水平変位(mm) 実験値 前田・岡本式 -Pmax = -749kN Pmax = 798kN δy = 8.0mm Y M N -2000 -1600 -1200 -800 -400 0 400 800 1200 1600 2000 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 120 水 平 荷 重 ( k N ) 水平変位(mm) 実験値 前田・岡本式 Pmax = 1870kN -Pmax = -1804kN δy = 12.6mm Y M N 曲げ耐力 せん断耐力 曲げ耐力 せん断耐力 Pud Vy Pud Vy Pu (kN) (kN) (kN) (kN) (kN) 1 590×590 3 2.74 588 379 588 930 798 1.17 3 940×940 3 2.67 1354 910 1354 2303 1870 1.23 Vy/Pu 軸力 N (N/mm2) 補強後 実験値 試験体 No. 断面寸法 (mm) a/d 補強前 構造物等設計標準・同解説1)(以後,RC 標準)により 求めた曲げ耐力(Pud)およびせん断耐力(Vy1)の算 定値と,二羽らの研究 2)によるせん断スパン比の影響 を考慮したVy2 を示す。No.2 試験体は,曲げひび割れ が徐々に斜めひび割れに移行し,500kN 付近で柱の引 張側上部から圧縮側下部に向けて斜めひび割れが発生 した。最大荷重は 642kN であり,せん断耐力算定値と 最大荷重の比は,RC 標準式の場合で 0.61,二羽式の場 合で 0.84 あり,RC 標準式,二羽式どちらを用いても CB フープ工法のせん断耐力を安全側に評価できる結果 となった。 既設の帯鉄筋のひずみ分布を図7に,補強帯鉄筋の ひずみ分布を図8に示す。既設帯鉄筋は 572kN,補強 帯鉄筋は 545kN で降伏ひずみに到達していた。したが って,帯鉄筋のひずみ分布からも試験体がせん断破壊 したことが確認できた。 以上のことから,吹付けモルタルおよび補強帯鉄筋 が既設柱部分と一体となって挙動しており,RC 標準 を適用できる破壊形態と考えられる。 3.2 No.1 試験体および No.3 試験体 写真2に,No.1 試験体の破壊状況を示す。No.1 試験 体は,無補強ではせん断破壊する試験体であるが,補 強することでせん断破壊を防止できた。No.1 試験体は, 軸方向鉄筋の降伏後,4y でモルタルの剥離が観察され, 6y の正側で柱基部の圧壊が進み,負側で荷重低下し た。写真3に示すNo.3 試験体の破壊状況でも,No.1 試 表4 実験結果(No.2 試験体) 写真1 破壊状況(No.2 試験体) 二羽式 曲げ耐力 せん断耐力 せん断耐力
Pud Vy1 Vy2 Pu
(kN) (kN) (kN) (kN) 2 590×590 2.74 745 392 538 642 0.61 0.84 RC標準 Vy1/Pu Vy2/Pu 実験値 試験体 No. 断面寸法 (mm) a/d 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 0 5 10 15 20 25 30 35 水 平 荷 重 ( k N ) 水平変位(mm) 実験値 Pmax = 642kN P=541kN Pu=745kN Vy1=392kN Vc=237kN Vy2=538kN (二羽式) 0 250 500 750 1000 1250 -5000 -3000 -1000 1000 3000 5000 高 さ (m m ) ひずみ (μ) 300kN 350kN 400kN 450kN 500kN 572kN 642kN 540kN εy=3730μ εy=-3730μ 0 250 500 750 1000 1250 -5000 -3000 -1000 1000 3000 5000 高 さ (m m ) ひずみ (μ) 300kN 350kN 400kN 450kN 500kN 545kN 642kN 540kN εy=2280μ εy=-2280μ 図6 荷重~変位関係(No.2 試験体) 図7 既設帯鉄筋のひずみ分布 図8 補強帯鉄筋のひずみ分布
験体と同様のひび割れが発生し,柱基部にひび割れが 集中していた。No.3 試験体は軸方向鉄筋の降伏後,2y で柱基部が圧壊し,6y の負側で荷重低下した。両試験 体とも,破壊形態がせん断破壊型から曲げ破壊型へ移 行したと考えられる。表5に No.1 試験体および No.3 試験体の実験結果と耐力の計算値を示す。コンクリー トの受け持つせん断耐力は前述の二羽式を用い,補強 量をVy/Pud = 1.0 以上となるように決定している。通常, 設計では RC 標準式を用いてせん断耐力を評価し補強 筋量を決定するため,二羽式を用いた場合に比べて補 強量が増加する。したがって,CB フープ工法も通常の せん断補強と同様にVy/Pud = 1.0 以上とすれば,せん断 破壊に対して安全側に補強することができる。 No.1 試験体,No.3 試験体の荷重~変位関係を図9, 図10に示す。図中には,前田らの研究 3)において, 同種のモルタル吹付けによる巻立て補強に対して提案 されている骨格曲線を示す。図9および図10より, No.1,No.3 試験体の荷重~変形関係は,既往の手法に より算定した部材降伏点(Y 点),最大耐荷力点(M 点) および終局点(N 点)を包絡する結果となった。 なお,分割型の固定アングルと連続型の固定アングル による差異は,破壊状況および荷重~変位関係からは 認められなかった。したがって,どちらのタイプの固 定アングルを使用しても CB フープ工法においては同 様の補強効果を得られることが確認できた。 図9 荷重~変位関係(No.1 試験体) 図10 荷重~変位関係(No.3 試験体) 表5 実験結果(No.1 試験体,No.3 試験体)
(a) 6δy (b) -6δy (a) 6δy (b) -6δy 写真2 破壊状況(No.1 試験体) 写真3 破壊状況(No.3 試験体) -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 水 平 荷 重 ( k N ) 水平変位(mm) 実験値 前田・岡本式 -Pmax = -749kN Pmax = 798kN δy = 8.0mm Y M N -2000 -1600 -1200 -800 -400 0 400 800 1200 1600 2000 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 120 水 平 荷 重 ( k N ) 水平変位(mm) 実験値 前田・岡本式 Pmax = 1870kN -Pmax = -1804kN δy = 12.6mm Y M N 曲げ耐力 せん断耐力 曲げ耐力 せん断耐力 Pud Vy Pud Vy Pu (kN) (kN) (kN) (kN) (kN) 1 590×590 3 2.74 588 379 588 930 798 1.17 3 940×940 3 2.67 1354 910 1354 2303 1870 1.23 Vy/Pu 軸力 N (N/mm2) 補強後 実験値 試験体 No. 断面寸法 (mm) a/d 補強前 構造物等設計標準・同解説1)(以後,RC 標準)により 求めた曲げ耐力(Pud)およびせん断耐力(Vy1)の算 定値と,二羽らの研究 2)によるせん断スパン比の影響 を考慮したVy2 を示す。No.2 試験体は,曲げひび割れ が徐々に斜めひび割れに移行し,500kN 付近で柱の引 張側上部から圧縮側下部に向けて斜めひび割れが発生 した。最大荷重は 642kN であり,せん断耐力算定値と 最大荷重の比は,RC 標準式の場合で 0.61,二羽式の場 合で 0.84 あり,RC 標準式,二羽式どちらを用いても CB フープ工法のせん断耐力を安全側に評価できる結果 となった。 既設の帯鉄筋のひずみ分布を図7に,補強帯鉄筋の ひずみ分布を図8に示す。既設帯鉄筋は 572kN,補強 帯鉄筋は 545kN で降伏ひずみに到達していた。したが って,帯鉄筋のひずみ分布からも試験体がせん断破壊 したことが確認できた。 以上のことから,吹付けモルタルおよび補強帯鉄筋 が既設柱部分と一体となって挙動しており,RC 標準 を適用できる破壊形態と考えられる。 3.2 No.1 試験体および No.3 試験体 写真2に,No.1 試験体の破壊状況を示す。No.1 試験 体は,無補強ではせん断破壊する試験体であるが,補 強することでせん断破壊を防止できた。No.1 試験体は, 軸方向鉄筋の降伏後,4y でモルタルの剥離が観察され, 6y の正側で柱基部の圧壊が進み,負側で荷重低下し た。写真3に示すNo.3 試験体の破壊状況でも,No.1 試 表4 実験結果(No.2 試験体) 写真1 破壊状況(No.2 試験体) 二羽式 曲げ耐力 せん断耐力 せん断耐力
Pud Vy1 Vy2 Pu
(kN) (kN) (kN) (kN) 2 590×590 2.74 745 392 538 642 0.61 0.84 RC標準 Vy1/Pu Vy2/Pu 実験値 試験体 No. 断面寸法 (mm) a/d 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 0 5 10 15 20 25 30 35 水 平 荷 重 ( k N ) 水平変位(mm) 実験値 Pmax = 642kN P=541kN Pu=745kN Vy1=392kN Vc=237kN Vy2=538kN (二羽式) 0 250 500 750 1000 1250 -5000 -3000 -1000 1000 3000 5000 高 さ (m m ) ひずみ (μ) 300kN 350kN 400kN 450kN 500kN 572kN 642kN 540kN εy=3730μ εy=-3730μ 0 250 500 750 1000 1250 -5000 -3000 -1000 1000 3000 5000 高 さ (m m ) ひずみ (μ) 300kN 350kN 400kN 450kN 500kN 545kN 642kN 540kN εy=2280μ εy=-2280μ 図6 荷重~変位関係(No.2 試験体) 図7 既設帯鉄筋のひずみ分布 図8 補強帯鉄筋のひずみ分布
U.D.C 624.164.6
既設盛土一体化橋梁の実大試験橋梁の構築
白仁田和久
*野中 隆博
**黒岩 俊之
**奥村 幹也
**榊原 将
***豊田 幸由
**新井 健太
*** 要 約: 現在,インテグラル橋梁の背面盛土に補強土を適用し,橋梁と一体化させたより高性能なインテグラル橋梁,即ち,補強盛土一体橋 梁1)~3)の開発を行っている。一方,この技術を既設橋梁の延命化技術として応用する検討がなされつつある。これを既設盛土一体化橋 梁と呼ぶ。本稿では,既設盛土一体化橋梁の開発経緯および概要,実物大規模試験橋梁の構築について報告する。実物大規模試験橋梁 の構築においては,施工性に関して問題ないことが確認できた。 キーワード: インテグラル橋梁,補強土,新構造形式,延命化技術,コスト縮減 目 次: 1.はじめに 5.動態計測 2.既設盛土一体化橋梁の開発経緯 6.まとめ 3.既設盛土一体化橋梁の概要 7.おわりに 4.試験橋梁構築 1. はじめに 我が国は,既に少子高齢 化社会を迎えており,今後 は,低経済成長期が続き, 国家の財政が縮小していく ことが予想されている。し かし,インフラ整備は,ま だ十分ではなく,限られた 財源を有効かつ効果的に利 用していくことが必要とな る。また,限られた財源は, 高度成長期に建設された構 造物の維持管理等の延命化 策にもむけられる必要があ る。 よって,インフラ整備に おいては,初期建設コスト を抑え,維持管理コストも あまりかからない構造物の 建設技術の開発が必要とな っており,インフラの維持 管理においては,既設構造 物を取替ることなく最小限の改良にて供用し続けられる既 設構造物の延命化技術の開発が,急務となっている。 本稿では,既設鋼鉄道橋の延命化を目的とした既設盛土 一体化橋梁の開発概要を報告するとともに,試験橋梁の構 築の概要および施工方法,動態計測の概要について報告す る。 2. 既設盛土一体化橋梁の開発経緯 鋼鉄道橋梁は,明治より架設され,架設後 50 年以上経 過している橋梁数が,現存する橋梁数の半数を超える状況 となっている。このような中,今後,補強・補修・取替等 の措置を必要とする老朽鋼鉄道橋梁が急増することが懸念 されており,対応策の確立が急務となっている。鋼鉄道橋 *技術研究所, **土木総本部 土木技術部, ***東京支店 土木部 橋桁 地震時:落橋 平常時:フランジ部の腐食 盛土 平常時:橋台背面の沈下 地震時:橋台背面の沈下 橋台 平常時:土圧による前傾 地震時:躯体の損傷 支承部 平常時:部材の腐食 地震時:部材の損傷 図1 従来式橋梁の主な問題点 橋台と盛土の一体化 平常時:地盤沈下の抑制 地震時:相対変位の抑制 補強土工法の応用 鋼桁と橋台の一体化 平常時:鋼桁のモーメント減少,支承部メンテナンス費削減 地震時:落橋防止等耐震性向上 ラーメン構造化 図2 既設盛土一体化橋梁による改善点 21 5. まとめ 本論文は,CB フープ工法を適用した RC 柱試験体 のせん断耐力および変形性能について検討を行ったも のである。 以下に本研究により得られた知見を示す。 (i) CB フープ工法で補強した柱部材のせん断耐力は, RC 標準に示される棒部材のせん断耐力式により安 全側に評価できることを確認した。 (ii) せん断破壊する試験体を CB フープ工法により補強 することで,破壊形態を曲げ破壊型へ移行できるこ とを実大規模の試験体で確認できた。 (iii) CB フープ工法により補強した柱部材の変形性能は, 同種の既往の実験により提案された手法により, 評価できることが確認できた。 謝 辞 本研究にあたり,公益財団法人鉄道総合技術研究所にご指導をいただきました。ここに記して感謝いたします。 参考文献 1) 鉄道総合技術研究所:鉄道構造物等設計標準・同解説(コンクリート構造),2004 2) 二羽淳一郎,山田一宇,横沢和夫,岡村甫:せん断補強鉄筋を用いない RC はりのせん断強度式の再評価,土木学会論文 集,第372 号/V-5,1986 3) 前田友章,岡本大,谷村幸裕,庄野昭,中村敏晴:補強鋼材と吹付けモルタルで補強した RC 柱の変形性能算定手法,土 木学会第64 回年次学術講演会概要集,2009.9EXPERIMENTAL STADY ON SEISMIC BEHAVIORS OF RC COLUMNS STRENGTHENED WITH
SPLITTED REBAR AND SPRAYED MORTAR
H.Kitazawa, T.Kuroiwa, Y.Maeda,
S.Maehara, K.Hayakawa, and M.Ito
We developed retrofitted method for reinforced concrete column with using the splitted rebar and sprayed mortar.In this study, cyclic loading tests using two models, one is 5/8-scale model and the other is 1/1-scale model are carried out.
The results obtained from the experiments are summarized as follows; (1) It was possible to improve the shear strength capacity by using CB hoop method. (2) The ductility behaviors of reinforced concrete column is estimated by the existing equations.