宇宙航空研究開発機構研究開発資料
JAXA Research and Development Memorandum
品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援
川崎 聡,内海 政春,島垣 満,黒木 康洋,
中村 智也,平木 博道,矢田 和之,國枝 麿
2016年3月
宇宙航空研究開発機構
Japan Aerospace Exploration Agency品 質 機 能 展 開 を利 用 したターボポンプの多 領 域 設 計 支 援
*
川 崎 聡 *1
, 内 海 政 春 *1
, 島 垣 満 *1
, 黒 木 康 洋 *1
,
中 村 智 也 *1
, 平 木 博 道 *1
, 矢 田 和 之 *1
, 國 枝 麿 *2
Supporting Method for Multidisciplinary Design of Turbopump
Using Quality Function Deployment*
Satoshi KAWASAKI*1, Masaharu UCHIUMI*1, Mitsuru SHIMAGAKI*1, Yasuhiro KUROKI*1, Tomoya NAKAMURA*1, Hiromichi HIRAKI*1, Kazuyuki YADA*1 and Maro KUNIEDA*2
1.はじめに
ロ ケ ッ ト タ ー ボ ポ ン プ は 、ロ ケ ッ ト の タ ン ク
か ら 推 進 剤( 液 体 酸 素 や 液 体 水 素 な ど )を 高 圧
状 態 に し て エ ン ジ ン 燃 焼 室 に 送 り 込 む た め の
回 転 機 械 で あ る 。 図 1 に 現 在 運 用 さ れ て い る
H-ⅡAロ ケ ッ ト の メ イ ン エ ン ジ ンLE-7Aに 搭 載
さ れ て い る 液 体 水 素 タ ー ボ ポ ン プ の 断 面 と 主
要 な 仕 様 を 示 す 。ロ ケ ッ ト は 、総 重 量 の 低 減 が
打 上 げ 能 力 の 向 上 に 直 結 す る た め 、エ ン ジ ン お
よ び タ ー ボ ポ ン プ に 対 し て も 厳 し い 軽 量 化 が
求 め ら れ 、一 般 の 産 業 用 回 転 機 械 と 比 較 し て 極
め て 高 速 な 回 転 が 要 求 さ れ る 。図 1 に 示 す 液 体
水 素 タ ー ボ ポ ン プ の 場 合 、作 動 点 に お け る 回 転
速 度 は 42,000rpmで あ り 、 3 次 危 険 速 度 を 超 え
る 回 転 速 度 で 運 転 さ れ て い る 。そ の た め 、タ ー
ボ ポ ン プ 開 発 時 に は 高 速 回 転 に 伴 う 軸 振 動 ト
ラ ブ ル を 多 く 経 験 し て き た (1)(2)
。 従 っ て 、 タ ー
ボ ポ ン プ 開 発 に お い て は 、性 能 や 効 率 の 向 上 と
と も に 高 速 回 転 に 対 す る 軸 振 動 の 問 題 も 重 要
な 技 術 課 題 と し て 存 在 す る 。
タ ー ボ ポ ン プ は 複 数 の サ ブ シ ス テ ム( ポ ン プ 、
タ ー ビ ン 、軸 受 、 軸 封 シ ー ル な ど ) か ら 構 成 さ
れ る 機 械 シ ス テ ム で あ る 。タ ー ボ ポ ン プ シ ス テ
ム を 最 適 設 計 す る 場 合 、サ ブ シ ス テ ム の 個 別 最
適 設 計 結 果 を 統 合 し た だ け で は 、必 ず し も 上 位
シ ス テ ム( エ ン ジ ン シ ス テ ム や ロ ケ ッ ト 機 体 シ
図1 ロケットエンジンとターボポンプ
* 平 成27年12月16日 受 付 (Received 16 December, 2015)
*1 研 究 開 発 部 門 第 四 研 究 ユ ニ ッ ト (Research Unit IV, Research and Development Directorate)
ス テ ム )の 要 求 に 対 し て タ ー ボ ポ ン プ シ ス テ ム
が 最 適 化 さ れ て い る と は 限 ら な い 。例 え ば 、前
述 し た 軸 振 動 問 題 は 複 数 サ ブ シ ス テ ム の 特 性
が 相 互 に 影 響 す る た め 、軸 振 動 特 性 を 最 適 化 す
る た め に は 各 サ ブ シ ス テ ム の 関 係 性 を 把 握 し
た 上 で 全 体 最 適 を 行 う 必 要 が あ る 。
そ こ で 、 著 者 ら は 各 サ ブ シ ス テ ム を 「 領 域 」
と し て 捉 え 、全 領 域 に ま た が る タ ー ボ ポ ン プ シ
ス テ ム を 最 適 化 す る「 多 領 域 最 適 化 」の 研 究 を
進 め (3)(4)
、QFD( 品 質 機 能 展 開 ) を 援 用 し た タ
ー ボ ポ ン プ の 多 領 域 最 適 設 計 手 法 の 構 築 と 試
行 を 行 っ て き た 。本 稿 で は 、多 領 域 最 適 設 計 に
対 す る QFD 援 用 方 法 の 具 体 例 と そ の 有 用 性 に
つ い て 紹 介 す る 。な お 、表 1 に 本 稿 で 用 い る 用
語 の 定 義 を 示 す 。
2.ターボポンプの構 造 と設 計
2.1 ターボポンプの機 能 と構 造
図 2 に 液 体 酸 素 タ ー ボ ポ ン プ を 例 に し て タ
ー ボ ポ ン プ の 構 造 と サ ブ シ ス テ ム( 領 域 )の 機
能 を 示 す 。タ ー ボ ポ ン プ は 、駆 動 ガ ス の エ ネ ル
ギ ー を 推 進 剤 の 昇 圧 エ ネ ル ギ ー に 変 換 す る エ
ネ ル ギ ー 変 換 機 械 シ ス テ ム で あ り 、駆 動 ガ ス に
よ り 軸 動 力 を 発 生 さ せ る 「 タ ー ビ ン 」、 低 圧 の
推 進 剤 を 、要 求 さ れ る 吐 出 圧 ま で 昇 圧 し 送 り 込
む 「 ポ ン プ( イ ン デ ュ ー サ + イ ン ペ ラ )」、ロ ー
タ を 支 持 す る 「 軸 受 」、 ポ ン プ 領 域 の 推 進 剤 と
タ ー ビ ン 領 域 の 駆 動 ガ ス を 分 離 す る「 軸 封 シ ー
ル 」 の 4 つ の 領 域 に 大 別 さ れ る 。
タ ー ボ ポ ン プ に 対 し て は 、性 能 や 効 率 と と も
に 極 め て 高 い 信 頼 性 が 求 め ら れ 、構 造 強 度 や 振
動 へ の 対 応 も 要 求 さ れ る 。特 に 軸 振 動 問 題 は こ
れ ま で の 開 発 に お い て し ば し ば 発 生 し 、大 き な
手 戻 り 作 業 を 生 じ さ せ て き た 。な お 、タ ー ボ ポ
ン プ で は 半 径 方 向 と 軸 方 向 の 軸 振 動 問 題 が あ
り 、 両 者 と も 重 要 な 技 術 課 題 で あ る 。
図 3 に 、タ ー ボ ポ ン プ の ロ ー タ に か か る 力 を
模 式 的 に 図 示 す る 。タ ー ボ ポ ン プ の 軸 振 動 特 性
は 、羽 根 車 や シ ー ル に 発 生 す る 流 体 力 、機 械 的
加 振 力 ( 不 釣 合 、 ミ ス ア ラ イ メ ン ト )、 軸 受 反
力 な ど が 影 響 す る 。す な わ ち 軸 振 動 問 題 は 複 数
サ ブ シ ス テ ム の 特 性 が 影 響 す る 多 領 域 問 題 で
あ る と 言 え 、タ ー ボ ポ ン プ が 安 定 し て 高 速 回 転
を 維 持 す る た め に は 、多 領 域 問 題 を 最 適 化 す る
必 要 が あ る 。
図 2 ターボポンプを構 成 するサブシステムの機 能 と構 造
品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援 3
2.2 ターボポンプの新 たな設 計 手 法
( 1 ) 従 来 の 設 計 手 法
従 来 の タ ー ボ ポ ン プ 設 計 の 流 れ は 、以 下 の 通
り で あ る 。上 位 シ ス テ ム で あ る エ ン ジ ン シ ス テ
ム か ら タ ー ボ ポ ン プ シ ス テ ム に 対 す る 要 求 仕
様 を 各 サ ブ シ ス テ ム ( ポ ン プ 系 、 タ ー ビ ン 系 、
シ ー ル 系 、軸 受 系 )の 要 求 仕 様 に 分 解 し て 展 開
す る 。各 サ ブ シ ス テ ム に お い て は 、展 開 さ れ た
要 求 仕 様 を 満 足 し 、か つ サ ブ シ ス テ ム 固 有 の 特
性 を 最 適 化 す る よ う に 設 計 す る 。各 サ ブ シ ス テ
ム の 最 適 設 計 結 果 を 統 合 し 、タ ー ボ ポ ン プ シ ス
テ ム と し て 取 り 扱 う こ と が 可 能 な 設 計 変 数 を
用 い て シ ス テ ム 最 適 化 を 行 い 、シ ス テ ム と し て
の 最 適 解 を 得 る 。つ ま り 、各 サ ブ シ ス テ ム の 個
別 最 適 化 が ベ ー ス と な り タ ー ボ ポ ン プ シ ス テ
ム が 設 計 さ れ る 。従 来 の 設 計 手 法 の 流 れ は シ ン
プ ル で あ り 、各 サ ブ シ ス テ ム の 設 計 に お い て は
個 々 の サ ブ シ ス テ ム が 有 す る 技 術 的 な 情 報 や
知 見 を 用 い て 個 別 に 最 適 設 計 を 行 う こ と が 可
能 で あ る 。一 方 、タ ー ボ ポ ン プ シ ス テ ム 全 体 と
し て は 、限 ら れ た 設 計 変 数 に よ る 最 適 設 計 と な
る た め 設 計 自 由 度 は 狭 ま り 、得 ら れ る 設 計 解 が
エ ン ジ ン シ ス テ ム の 要 求 仕 様 に 対 す る 最 適 解
で あ る と は 限 ら な い 。ま た 、タ ー ボ ポ ン プ シ ス
テ ム に 対 す る 要 求 仕 様 か ら 各 サ ブ シ ス テ ム の
要 求 仕 様 へ の 分 解 お よ び 展 開 が 最 適 化 に 対 し
て 大 き く 影 響 す る 。軸 振 動 問 題 な ど の 多 領 域 の
シ ス テ ム 問 題 の 場 合 、サ ブ シ ス テ ム に 対 し て 定
量 的 か つ 適 切 に 要 求 仕 様 を 分 解 す る こ と は 極
め て 困 難 で あ り 、そ の 結 果 、有 効 な 最 適 解 が 得
ら れ な い 可 能 性 が あ る 。
( 2 ) 新 た な 設 計 手 法 ( ダ イ ナ ミ ッ ク 設 計 )
上 記 問 題 を 解 決 す る た め 、著 者 ら の グ ル ー プ
で は 、「 タ ー ボ ポ ン プ の ダ イ ナ ミ ッ ク 設 計 」 と
い う 新 た な 概 念 の 設 計 手 法 を 構 築 し 、試 行 し て
き た 。各 サ ブ シ ス テ ム の 形 状 設 計 、例 え ば イ ン
ペ ラ の 翼 形 状 設 計 な ど は 、今 日 で は 逆 解 法 や 多
目 的 最 適 化 の 設 計 ツ ー ル 適 用 に よ り 比 較 的 容
易 に 最 適 化 を 図 る こ と が 可 能 で あ る 。一 方 、軸
振 動 な ど の タ ー ボ ポ ン プ の ダ イ ナ ミ ク ス に 関
わ る 特 性 は 、全 領 域 が 関 連 す る シ ス テ ム 特 性 で
あ り 、設 計 開 発 の 上 流 段 階 で 適 切 な 最 適 化 が 成
さ れ ず に ト ラ ブ ル が 発 生 し た 場 合 、状 況 に よ っ
て は シ ス テ ム 全 体 の 再 構 成 が 必 要 と な り 、極 め
て 大 き な 手 戻 り 作 業 が 生 じ る 恐 れ が あ る 。そ こ
で 、設 計 開 発 の 上 流 段 階 で 軸 振 動 抑 制 を 優 先 し
図 3 ターボポンプロータにかかる力
(a) 従 来 の設 計 イメージ (b) 多 領 域 最 適 設 計 イメージ
図 4 ターボポンプの設 計 手 法
第四研究ユニット
川崎
聡
修正図
宇宙航空研究開発機構研究開発資料
「品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援」
図3
図9
※1 ロータ系=メインシステム
※2 このフローでの「サブシステム」と表記した部 分には、マルチサブシステムも含めている。
※1
た タ ー ボ ポ ン プ 形 態 を 最 適 化 す る 設 計 手 法 の
研 究 を 行 い 、リ フ ァ レ ン ス タ ー ボ ポ ン プ に 対 す
る 最 適 設 計 の 試 行 を 行 っ て き た 。本 設 計 手 法 は 、
各 サ ブ シ ス テ ム の 概 略 形 状 を 設 計 し つ つ 、そ れ
ら を 包 含 す る 上 位 階 層 で あ る タ ー ボ ポ ン プ シ
ス テ ム の 最 適 形 態 を 探 索 す る 点 が 特 徴 で あ り 、
こ の よ う な 設 計 方 法 を「 多 領 域 最 適 設 計 」と 呼
ん で い る 。
図 4 に 従 来 設 計 と 多 領 域 最 適 設 計 の イ メ ー
ジ を 比 較 し て 示 す 。多 領 域 最 適 設 計 で は 、各 領
域 間 お よ び 全 体 シ ス テ ム と の 情 報 の 交 換 や 共
有 化 が 重 要 で あ る こ と が 分 か る 。従 っ て 、設 計
の 流 れ と し て は 従 来 設 計 と 比 較 し て 複 雑 な も
の と な り 、情 報 の 交 換 や 共 有 化 に 対 し て 何 か し
ら の 工 夫 が 必 要 と な る 。そ こ で 、QFDを 利 用 し
て 情 報 の 交 換 や 共 有 化 を 支 援 す る と と も に 、
QFD を 援 用 し た 多 領 域 最 適 設 計 手 法 の 構 築 を
試 み 、具 体 的 な 援 用 方 法 を 確 立 し て き た 。QFD
援 用 方 法 の 研 究 は 現 在 も 継 続 し て 実 施 し て お
り 、ロ ケ ッ ト タ ー ボ ポ ン プ に 限 定 さ れ ず 様 々 な
シ ス テ ム 機 械 に 適 用 可 能 な 手 法 と し て 利 用 で
き る よ う 体 系 化 を 進 め て い る 。
図 5 に 、新 た な 設 計 手 法 で あ る ダ イ ナ ミ ッ ク
設 計 の フ ロ ー 図 を 示 す 。ダ イ ナ ミ ッ ク 設 計 の 詳
細 に つ い て は 文 献(5)~(7)を 参 照 さ れ た い が 、簡
潔 に 設 計 の 流 れ を 説 明 す る 。
<STEP 1>
タ ー ボ ポ ン プ シ ス テ ム か ら の 個 別 要 求 仕 様
に 基 づ き 各 サ ブ シ ス テ ム の 概 略 形 状 を 決 定 し 、
サ ブ シ ス テ ム の 配 置 配 列 を パ ラ メ ー タ と し た
軸 振 動 解 析 を 実 施 し 、半 径 方 向 軸 振 動 抑 制 に 最
適 な 形 態 を 選 定 す る 。
<STEP 2>
STEP1 で 得 ら れ た サ ブ シ ス テ ム の 配 置 配 列 お よ び 概 略 形 状 に 基 づ き 、内 部 循 環 流 路( 軸 受
冷 却 や 軸 方 向 振 動 特 性 に 影 響 す る 流 路 )の 成 立
性 な ど を 確 認 し た 後 、軸 体 格 の 最 適 化 を 実 施 す
る 。
① ロケットエンジンシステムからの要求仕様
② サブシステムの概略設計
③ ロータシステムの軸振動解析と形態最適化
④ 軸推力バランスなどを考慮したTP内部循環流路システムの設計
⑤ 軸方向長さ・軸径・要素径を設計変数としたロータシステム最適化
図 5 ターボポンプのダイナミック設 計 フロー
品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援 5
2.3 サブシステム設 計 へのQFD援 用
多 領 域 最 適 設 計 へ の QFD 援 用 に 関 す る 内 容
を 紹 介 す る 前 に 、タ ー ボ ポ ン プ の サ ブ シ ス テ ム
設 計 にQFDを 援 用 し た 事 例 を 紹 介 す る 。
初 期 の ダ イ ナ ミ ッ ク 設 計 研 究 に お い て 、瀧 田
ら は タ ー ビ ン の 設 計 技 術 の 獲 得 を 目 的 と し て 、
QFD と パ ラ メ ー タ 設 計 を 連 携 さ せ た 設 計 を 実
施 し 、そ の 有 用 性 を 示 し た
(8)~(11)
。具 体 的 に は 、
QFD に よ り 市 場 の 声 を タ ー ビ ン の 設 計 パ ラ メ
ー タ ま で 展 開 し て 重 要 設 計 パ ラ メ ー タ を 選 定
し ( 図 6 )、 そ れ ら の 設 計 パ ラ メ ー タ を 用 い て
ロ バ ス ト 設 計 お よ び 遺 伝 的 ア ル ゴ リ ズ ム を 用
い た 最 適 設 計 を 行 っ た 。な お 、こ こ で の 市 場 と
は 、タ ー ボ ポ ン プ に 関 わ る ス テ ー ク ホ ル ダ( タ
ー ボ ポ ン プ お よ び 上 位 シ ス テ ム で あ る ロ ケ ッ
ト エ ン ジ ン や ロ ケ ッ ト 機 体 の 開 発・ 設 計 ・ 製 造
に 携 わ る 全 て の 関 係 者 ) と し て 定 義 し て い る 。
最 適 設 計 の 結 果 、タ ー ビ ン 動 翼 で 発 生 す る 軸
振 動 を 不 安 定 化 さ せ る 力 を 、 現 行 翼 に 対 し て
40%低 減 さ せ る こ と に 成 功 し 、 軸 振 動 問 題 で 苦
慮 し て い る ス テ ー ク ホ ル ダ の 要 求 に 応 じ た 設
計 解 が 得 ら れ た 。従 来 の 最 適 設 計 で は 設 計 パ ラ
メ ー タ の 選 択 が 設 計 者 の 知 識 や 経 験 に 依 存 し 、
最 適 設 計 に て 得 ら れ た 結 果 が 必 ず し も 市 場 要
求 を 反 映 し て い な い 場 合 が あ っ た が 、QFDと ロ
バ ス ト 設 計 を 組 合 せ た 本 最 適 設 計 プ ロ セ ス に
よ り 、市 場 要 求 に 合 致 し た 最 適 化 が 可 能 に な る
と 考 え ら れ る 。ま た 、本 設 計 手 法 は ロ ジ カ ル で
あ る た め 設 計 者 に と っ て は 扱 い 易 く 、実 践 的 設
計 手 法 と し て 有 用 で あ る 。
3.QFD援 用 によるターボポンプの
多 領 域 最 適 設 計
3.1 多 領 域 の関 係 性 把 握
タ ー ボ ポ ン プ の 軸 振 動 特 性 は 複 数 サ ブ シ ス
テ ム の 特 性 が 影 響 す る シ ス テ ム 特 性 で あ る 。実
際 の 設 計 に お い て は 、メ イ ン シ ス テ ム 設 計 者 は
シ ス テ ム 特 性 に 関 し て は 理 解 し て い る が 、サ ブ
シ ス テ ム 固 有 の 特 性 と の 関 連 性 の 詳 細 ま で は
把 握 し き れ な い 場 合 が あ る 。一 方 、サ ブ シ ス テ
ム 設 計 者 は サ ブ シ ス テ ム 固 有 の 特 性 に つ い て
は 熟 知 し て い る が 、他 の サ ブ シ ス テ ム や メ イ ン
シ ス テ ム に 対 す る 影 響 に つ い て は 把 握 で き て
い な い 場 合 が あ る 。こ の よ う な 状 況 で は 、メ イ
ン シ ス テ ム が 上 位 シ ス テ ム 要 求 を 把 握 し て い
て も 、サ ブ シ ス テ ム に 適 切 な 要 求 を 展 開 す る こ
と は 困 難 で あ る 。そ こ で 、各 設 計 者 が 多 領 域 の
関 係 性 を 共 有 し て 把 握 す る た め に QFD を 用 い
た 整 理 方 法 を 試 み た 。ま ず 、各 サ ブ シ ス テ ム に
対 し て 上 位 シ ス テ ム 要 求 品 質→品 質 要 素→機 能
→機 構 ま でQFDを 実 施 し( 図 7(a))、重 要 な タ
ー ボ ポ ン プ 機 能 で あ る 軸 振 動 抑 制 機 能 に 対 し
て 各 サ ブ シ ス テ ム の 品 質 表 を 連 結 し て 関 連 付
け を 行 い 、領 域 間 の 関 係 を 調 べ た
(12)(13)
( 図 7(b))。 更 に 、領 域 間 の 関 係 性 を 図 示 す る こ と に よ り 見
え る 化 を 行 っ た 。 そ の 一 例 と し て 、「 シ ー ル 隙
間 部 の 不 安 定 化 力 を 抑 え る 」機 能 に つ い て 整 理
し た 結 果 を 図 8 に 示 す 。シ ー ル 隙 間 部 の 不 安 定
化 力 抑 制 に 対 し て は 、隙 間 を 構 成 す る シ ー ル と
ロ ー タ だ け で な く 、シ ー ル を 支 持 す る ケ ー シ ン
グ や シ ー ル 部 上 流 の 流 れ を 決 め る ポ ン プ 内 部
循 環 流 路 が 関 係 し て い る こ と が 分 か る 。こ の よ
う な 整 理 に よ り 領 域 間 の 関 係 性 が 明 ら か に な
る と と も に 、タ ー ボ ポ ン プ の シ ス テ ム 特 性 に 関
す る メ カ ニ ズ ム の 技 術 的 理 解 が 促 進 さ れ る 。
多 領 域 最 適 設 計 プ ロ セ ス の 構 築 を 行 う 際 に
は 、ま ず 初 め に 上 記 の よ う に 多 領 域 の 関 係 性 の
可 視 化 を 行 い 、各 設 計 者 の 認 識 を 共 有 化 す る こ
と が 重 要 で あ る 。 各 サ ブ シ ス テ ム の QFD 作 業
は あ る 程 度 の 負 荷 を 伴 う が 、次 節 以 降 で 紹 介 す
る 多 領 域 最 適 設 計 へ の QFD 援 用 に 流 用 す る こ
と が 可 能 で あ る と と も に 、大 き な 手 戻 り 作 業 の
発 生 を 未 然 に 防 ぐ た め に は 有 効 な 作 業 で あ る 。
な お 、 サ ブ シ ス テ ム の QFD は サ ブ シ ス テ ム
設 計 者 が 単 独 で 実 施 す る こ と も 可 能 で あ る が 、
メ イ ン シ ス テ ム 設 計 者 と 共 同 に 実 施 す る ほ う
が 望 ま し い 。特 に 多 領 域 に ま た が る 機 能 に 関 す
る 部 分 で は 、設 計 者 間 の 認 識 の 相 違 が 生 じ る ケ
ー ス が あ る 。 そ の 違 い を 把 握 す る こ と に よ り 、
サ ブ シ ス テ ム 設 計 者 は メ イ ン シ ス テ ム 特 性 の
メ カ ニ ズ ム を 、メ イ ン シ ス テ ム 設 計 者 は サ ブ シ
ス テ ム 特 性 の メ カ ニ ズ ム を 相 互 に よ り 深 く 理
解 す る こ と が で き る 。
(a) サブシス テムの品 質 機 能 展 開 (b) 軸 振 動 抑 制 機 能 による品 質 表 の連 結
品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援 7
3.2 多 領 域 設 計 プロセスの構 築
前 節 で は 、多 領 域 の 関 連 性 を 設 計 者 が 共 有 し
て 認 識 す る 方 法 を 示 し た が 、実 際 の 設 計 に お い
て は 各 設 計 プ ロ セ ス の 入 出 力 を 結 び つ け 、設 計
順 序 や 設 計 変 数 の 取 り 扱 い 方 法 を 定 め 、全 体 の
設 計 プ ロ セ ス を 構 築 す る 必 要 が あ る 。こ こ で は 、
QFD を 援 用 し て タ ー ボ ポ ン プ の 内 部 循 環 流 路
設 計 プ ロ セ ス( 図 5 の ④ 設 計 プ ロ セ ス )を 構 築
し た 事 例 を 示 す (14)
。
表 2 に タ ー ボ ポ ン プ の 内 部 循 環 流 路 設 計 に
関 わ る 各 領 域 の 入 出 力 情 報 ・ 設 計 変 数 ・ 評 価 関
数 を 抽 出 し た リ ス ト を 示 す が 、各 項 目 の 影 響 関
係 を 整 理 し な け れ ば 、適 切 な 多 領 域 設 計 プ ロ セ
ス の 構 築 は 困 難 で あ る 。な お 、表 2 に お け る マ
ル チ サ ブ シ ス テ ム は 、内 部 循 環 流 路 に 関 わ る 複
数 サ ブ シ ス テ ム を 統 合 す る 領 域 を 示 し 、内 部 循
環 流 路 に お い て 各 サ ブ シ ス テ ム に 含 ま れ な い
設 計 情 報 は マ ル チ サ ブ シ ス テ ム に お い て 扱 う 。
表 2 に 示 す 設 計 情 報 の 関 係 性 を 整 理 す る 際 に 、
内 部 循 環 流 路 に 関 わ る 範 囲 に 限 定 す る と 、タ ー
ボ ポ ン プ 全 体 と し て の シ ス テ ム に 要 求 さ れ る
機 能 と の 関 連 が 途 切 れ て し ま う 。そ こ で 、ダ イ
ナ ミ ッ ク 設 計 の 設 計 思 想 を 反 映 さ せ る た め に 、
重 要 な タ ー ボ ポ ン プ 機 能 で あ る 軸 振 動 抑 制 機
能 か ら 内 部 循 環 流 路 に 関 わ る 設 計 情 報 へ 展 開
を 行 い 、 関 連 付 け を 実 施 す る 。
図 9 に 展 開 の フ ロ ー を 示 す 。設 計 プ ロ セ ス を
構 築 す る 際 に 、設 計 者 と し て は サ ブ シ ス テ ム や
マ ル チ サ ブ シ ス テ ム の 入 力 に 対 す る メ イ ン シ
ス テ ム( ロ ー タ 系 )の 特 性( ロ ー タ 系 評 価 関 数 )
へ の 影 響 を 把 握 し た い 。し か し 、こ れ を 直 接 的
に 関 連 付 け す る こ と は 困 難 で あ る の で 、設 計 プ
ロ グ ラ ム を 連 結 す る イ メ ー ジ で サ ブ シ ス テ ム
の 入 力 条 件 と 出 力 情 報 を 繋 げ る こ と を 目 指 す 。
設 計 プ ロ グ ラ ム で は 、入 力 条 件 を 設 計 変 数 に 変
換 し 、シ ス テ ム の 関 数 に よ り シ ス テ ム 特 性 が 算
出 さ れ 、出 力 情 報 が 得 ら れ る 。従 っ て 、 入 力 条
件 と 出 力 情 報 の 間 に 設 計 変 数 を 介 し て 展 開 を
行 う こ と に よ り 、設 計 者 は ス ム ー ズ に 関 連 付 け
を 行 う こ と が 可 能 と な る 。以 上 の 方 法 で 展 開 を
行 っ て 整 理 す る こ と に よ り 、多 領 域 の 設 計 情 報
の 関 連 性 が 明 確 に な る 。
上 記 方 法 で 展 開 を 行 い 、関 連 性 を 整 理 し て 図
示 し た 例 を 図 1 0 に 示 す 。図 1 0 で は 、マ ル チ
サ ブ シ ス テ ム の 出 力 情 報 で あ る シ ー ル 上 流 部
圧 力 ・ 下 流 部 圧 力 、サ ブ シ ス テ ム 配 置 配 列 、 軸
受 冷 却 流 量 に 関 す る 多 領 域 の 設 計 情 報 と の 関
連 性 を 示 し て お り 、関 連 図 通 の 連 結 線 の 太 さ は
関 係 性 の 強 弱 を 表 し て い る 。こ の 整 理 方 法 に よ
り 、設 計 者 は 内 部 循 環 流 路 に 関 わ る 設 計 情 報 の
繋 が り を 把 握 す る こ と が で き 、内 部 循 環 流 路 に
関 わ る 入 力 条 件 が メ イ ン シ ス テ ム ( ロ ー タ 系 )
対 し て ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ す か を 理 解 す る
こ と が で き る 。
上 記 の 展 開 方 法 に よ り 作 成 し た 関 連 図 を 基
に 内 部 循 環 流 路 の 設 計 プ ロ セ ス を 構 築 し た 。そ
の 設 計 プ ロ セ ス の フ ロ ー を 図 1 1 に 示 す 。設 計
プ ロ セ ス の 構 築 は 、担 当 す る 設 計 者 の 技 術 レ ベ
ル に 依 存 す る が 、関 連 図 を 用 い る こ と に よ り 多
領 域 の 設 計 情 報 の 関 連 性 が 把 握 で き 、設 計 プ ロ
セ ス に 反 映 す る こ と が 可 能 と な る 。こ の よ う に
し て QFD 援 用 に よ り 得 ら れ た 関 連 図 は 、 多 領
域 設 計 プ ロ セ ス 構 築 の た め の 有 用 な 支 援 ツ ー
ル と し て 使 用 す る こ と が で き る 。
表 2 ターボポンプの内 部 循 環 流 路 設 計 に関 わる各 領 域 の設 計 情 報
図 9 軸 振 動 抑 制 機 能 から内 部 循 環 流 路 設 計 情 報 への展 開 フロー
第四研究ユニット
川崎
聡
修正図
宇宙航空研究開発機構研究開発資料
「品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援」
図3
図9
※1 ロータ系=メインシステム
※2 このフローでの「サブシステム」と表記した部
分には、マルチサブシステムも含めている。
※1
品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援 9
図 10 シール上 流 部 圧 力 ・ 下 流 部 圧 力 、サブシステム配 置 配 列 、軸 受 冷 却 流 量
に対 する各 領 域 の設 計 情 報 との関 連 性
3.3 多 領 域 最 適 設 計 への援 用
2.2 節 で 示 し た 新 し い タ ー ボ ポ ン プ の 設 計 手
法 で あ る ダ イ ナ ミ ッ ク 設 計 は 、半 径 方 向 振 動 の
抑 制 を 主 要 目 的 と し て タ ー ボ ポ ン プ 形 態 の 最
適 化 を 図 る 手 法 と し て 構 築 さ れ 、軸 方 向 振 動 に
影 響 を 及 ぼ す 内 部 循 環 流 路 に 関 し て は 、そ の 成
立 性 を 確 認 す る 設 計 フ ロ ー と な っ て い る 。し か
し 、軸 方 向 推 力 の 調 整( 静 特 性 )と 軸 方 向 振 動
の 抑 制( 動 特 性 )を 両 立 さ せ る よ う な 内 部 循 環
流 路 の 設 計 は 難 易 度 が 高 く 、適 切 に 設 計 で き て
い な い 場 合 、タ ー ボ ポ ン プ の 機 能 喪 失 に 結 び つ
く ト ラ ブ ル に 結 び つ く 可 能 性 が あ る こ と が 最
近 の 研 究 か ら 分 か っ て き た 。そ こ で 、内 部 循 環
流 路 に 対 し て も 、成 立 性 確 認 の み で な く 最 適 設
計 を 実 施 で き る 手 法 の 検 討 を 行 っ た 。
3.2 節 で は 設 計 の 入 出 力 情 報 を 中 心 に 多 領 域
の 関 連 性 を 明 ら か に し た 。こ の 展 開 方 法 は 、確
立 さ れ た 設 計 ツ ー ル 同 士 の イ ン タ ー フ ェ ー ス
を 効 率 良 く 調 整 す る た め に は 有 用 で あ る が 、物
理 現 象 の 理 解 の た め に は 必 ず し も 有 効 で は な
い( 入 出 力 情 報 が 物 理 現 象 と 直 接 的 に 関 連 し て
い な い 場 合 も あ る た め )。 そ こ で 、 今 回 は 物 理
現 象 の 理 解 を 主 眼 に 置 い た QFD を 行 い 、 内 部
循 環 流 路 の 多 領 域 最 適 化 を 試 み た 。図 1 2 に 展
開 表 の フ ロ ー を 示 す 。展 開 の 特 徴 は 以 下 の 通 り
で あ る 。
・設 計 者 が 思 考 し や す い 評 価 項 目 を 用 い て 展 開
・「 評 価 項 目 」 か ら 「 設 計 変 数 」 の 間 に 「 評 価
項 目 の 引 数 」を 介 し 、物 理 的 な 関 係 式 を 用 い
て 関 係 性 を 整 理
・評 価 項 目 と 設 計 変 数 と の 関 連 性 を 分 か り 易 く
示 す た め に 特 性 要 因 図 を 導 入
図 1 3 に 特 性 要 因 図 の 作 成 ル ー ル を 示 す 。図
1 4 に は 、評 価 項 目「 軸 方 向 の 動 特 性 を 良 く す
る 」と 引 数 、設 計 変 数 を 整 理 し て ま と め た 特 性
要 因 図 を 示 す 。特 性 要 因 図 の 作 成 作 業 の 負 荷 は
比 較 的 大 き い が 、作 成 ル ー ル に 従 え ば 、展 開 表
は 特 性 要 因 図 か ら 半 自 動 で 完 成 す る 。
以 上 の 方 法 で 内 部 循 環 流 路 の 各 評 価 項 目 を
サ ブ シ ス テ ム お よ び マ ル チ サ ブ シ ス テ ム の 設
計 変 数 ま で 展 開 し 、重 要 度 を 算 出 し た 。そ の 結
果 を 図 1 5 お よ び 図 1 6 に そ れ ぞ れ 示 す 。サ ブ
シ ス テ ム の 設 計 変 数 の 重 要 度 を 見 る と 、内 部 循
環 流 路 の 境 界 条 件 と な る ポ ン プ 系 の 設 計 変 数
の 重 要 度 が 比 較 的 高 い 。更 に 軸 受 系 お よ び タ ー
ビ ン 系 か ら も 比 較 的 重 要 度 の 高 い 設 計 変 数 が
抽 出 さ れ て お り 、内 部 循 環 流 路 に 関 連 す る 特 性
は 多 領 域 に ま た が っ て い る こ と を 確 認 で き た 。
マ ル チ サ ブ シ ス テ ム の 設 計 変 数 の 重 要 度 を 見
る と 、重 要 度 の 高 い 設 計 変 数 は バ ラ ン ス ピ ス ト
ン に 関 連 す る 設 計 変 数 で 独 占 さ れ て い る 。バ ラ
品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援 11
ン ス ピ ス ト ン は 軸 方 向 推 力 を 調 整 す る 機 構( 静
特 性 に 関 連 す る 機 構 )で あ る が 、軸 方 向 の 動 特
性 や 内 部 循 環 流 量 に も 影 響 を 及 ぼ す た め 、全 体
的 に バ ラ ン ス ピ ス ト ン 関 連 の 設 計 変 数 の 重 要
度 が 高 く な っ て い る 。
以 上 の よ う に QFD 援 用 に よ り サ ブ シ ス テ ム
お よ び マ ル チ サ ブ シ ス テ ム の 重 要 設 計 変 数 を
抽 出 し 、図 1 7 に 示 す 設 計 フ ロ ー を 実 行 す る こ
と に よ っ て 、多 領 域 に 影 響 す る 重 要 な 設 計 変 数
を 考 慮 し た 最 適 設 計 が 可 能 と な る 。
図 13 特 性 要 因 図 の作 成 ルール
図 15 サブシステムの設 計 変 数 重 要 度
品質機能展開を利用したターボポンプの多領域設計支援 13
4.おわりに
多 領 域 に ま た が る シ ス テ ム 機 械 の 設 計 に お
い て は 、領 域 間 の 関 連 性 を 明 ら か に し 、適 切 に
設 計 プ ロ セ ス へ 反 映 す る こ と が 重 要 で あ る 。し
か し 、複 雑 な シ ス テ ム に な る ほ ど 、そ の 関 連 性
を 明 確 に す る こ と は 容 易 で な く な る 。サ ブ シ ス
テ ム に 関 す る 設 計 情 報 を 、そ の 担 当 設 計 者 は 十
分 理 解 し て い る が 、他 の サ ブ シ ス テ ム 設 計 者 や
メ イ ン シ ス テ ム 設 計 者 が 十 分 理 解 で き て い な
い こ と も 多 い 。ま た 、設 計 者 同 士 が 情 報 交 換 を
し て も 、多 領 域 で の 設 計 情 報 の 関 連 性 を 全 体 と
し て 把 握 す る こ と は 難 し い 。一 方 、QFDは 市 場
の ニ ー ズ を 技 術 の 言 葉 に 変 換 し て 関 連 性 を 見
え る 化 す る こ と が 可 能 な 手 法 で あ り 、サ ブ シ ス
テ ム 間 や メ イ ン シ ス テ ム と サ ブ シ ス テ ム 間 の
設 計 情 報 の 関 連 性 を 見 え る 化 す る 場 合 に も 有
効 に 機 能 す る と 考 え ら れ る 。
た だ し 、関 係 性 を 明 確 に し た い 項 目 を 単 純 に
並 べ 、展 開 表 を 作 成 し た だ け で は 上 手 く 関 連 付
け が で き な い 場 合 が あ り 、以 下 に 示 す よ う な 工
夫 が 必 要 で あ る 。
・橋 渡 し 的 な 中 間 項 目 を 追 加 す る こ と に よ り 関
連 付 け が 容 易 に な る
・ 特 性 要 因 図 を 組 み 合 わ せ た 展 開 方 法 は 、多 領
域 最 適 設 計 へ の 援 用 手 法 と し て 有 効 で あ る 。
上 記 の よ う な 工 夫 は 他 に も あ る と 考 え ら れ 、
様 々 な ア イ デ ア を 取 り 込 む こ と に よ り QFD 援
用 の 範 囲 は 広 が り 、そ の 効 果 も 増 大 す る と 考 え
ら れ る 。
本 稿 で 紹 介 し た 内 容 は ロ ケ ッ ト タ ー ボ ポ ン
プ と い う 特 殊 な 機 械 を 対 象 に し て い る が 、基 本
的 な 考 え 方 は 複 数 サ ブ シ ス テ ム で 構 成 さ れ る
シ ス テ ム 機 械 に 対 し て も 有 効 で あ る と 考 え ら
れ る 。多 領 域 最 適 設 計 が 必 要 な シ ス テ ム 機 械 の
設 計 開 発 に 対 し て 、少 し で も 役 立 つ 知 見 を 提 供
で き れ ば 幸 い で あ る 。
な お 、 本 稿 は 2015年 11月 13 日 に 開 催 さ れ
た 第 21 回 品 質 機 能 展 開 シ ン ポ ジ ウ ム ( 主 催 :
一 般 財 団 法 人 日 本 科 学 技 術 連 盟 日 本 科 学 技 術
連 盟 ) に お い て 講 演 し た 「QFD 援 用 に よ る ロ
ケ ッ ト タ ー ボ ポ ン プ の 多 領 域 最 適 設 計 」の 要 旨
集 掲 載 内 容 を 再 編 集 し た も の で あ る 。
参 考 文 献
(1) 岡 安 彰, 太 田 豊 彦, 尾 池 守, 藤 田 敏 彦, “LE-7 用
液 水 タ ー ボ ポ ン プ 軸 系 振 動 問 題 と 対 策”, タ ー
ボ 機 械, Vol. 26, No.8 (1998), pp. 456-462.
(2) 山 田 仁, 内 海 政 春, “ロ ケ ッ ト 用 タ ー ボ ポ ン プ の
流 体 関 連 振 動 事 例”, タ ー ボ 機 械, Vol. 36, No.2
(2008), pp. 67-73.
(3) Uchiumi, M., Shimagaki, M., Kawasaki, S., Yoshida, Y. and Adachi, K., “Integrated Design Method of a Rocket Engine Turbopump Sub-system for Suppressing Rotor Lateral Vibration”, Proceedings of 28th International Congress of the Aeronautical Sciences (ICAS 2012), Brisbane (2012).
(4) 内 海 政 春, 島 垣 満, 川 崎 聡, “タ ー ボ ポ ン プ の ダ
イ ナ ミ ッ ク 設 計(そ の 2)”, タ ー ボ 機 械, Vol. 41,
No. 10 (2013), pp. 578-585.
(5) “特 集 : タ ー ボ ポ ン プ の ダ イ ナ ミ ッ ク 設 計 ①”,
タ ー ボ 機 械, Vol. 40, No. 6 (2012), pp. 322-379.
(6) “特 集 : タ ー ボ ポ ン プ の ダ イ ナ ミ ッ ク 設 計 ②”,
タ ー ボ 機 械, Vol. 40, No. 7 (2012), pp. 426-460.
(7) “特 集 : タ ー ボ ポ ン プ の ダ イ ナ ミ ッ ク 設 計 ③”,
タ ー ボ 機 械, Vol. 41, No. 10 (2013), pp. 577-632.
(8) Takida, J., Akao, Y., Funazaki, K. and Uchiumi, M., “Application of QFD Method for Design of Rocket Turbopump Turbines”, Proceedings of 17th International QFD Symposium (ISQFD 2011), Stuttgart (2011).
(9) 瀧 田 純 也, 福 岡 勝, 國 枝 麿, 船 﨑 健 一, 内 海 政 春,
“ロ ケ ッ ト タ ー ボ ポ ン プ 用 タ ー ビ ン の パ ラ メ ー
タ 設 計(第1報:QFDを 用 い た 重 要 設 計 パ ラ メ ー
タ の 抽 出)”, タ ー ボ 機 械, Vol. 40, No. 12 (2012),
pp. 705-713.
(10) 瀧 田 純 也, 船 﨑 健 一, 内 海 政 春, 島 垣 満, “ロ ケ
ッ ト タ ー ボ ポ ン プ 用 タ ー ビ ン の パ ラ メ ー タ 設 計
(第2報 : タ ー ビ ンThomas Force低 減 の た め の
最 適 化)” タ ー ボ 機 械, Vol. 41, No. 6 (2013), pp.
368-377.
(11) 瀧 田 純 也, 福 田 太 郎, 宇 山 遼 一, 船 﨑 健 一, 内 海
政 春, “ロ ケ ッ ト タ ー ボ ポ ン プ 用 タ ー ビ ン の パ ラ
メ ー タ 設 計(第 3 報 : タ ー ビ ン 諸 特 性(回 転 部 重
量 、 翼 応 力 、 動 翼 共 振 回 避 、Thomas Force)を 考
慮 し た ロ ケ ッ ト タ ー ボ ポ ン プ タ ー ビ ン の 多 目 的
最 適 化)”, タ ー ボ 機 械, Vol. 41, No. 2 (2013),
pp.78-88.
(12) 川 崎 聡, 内 海 政 春, 島 垣 満, 瀧 田 純 也, 弘 松 純,
中 村 智 也, “ロ ケ ッ ト 用 タ ー ボ ポ ン プ の 多 領 域 シ
ス テ ム 設 計 に お け る 品 質 機 能 展 開(QFD)の 援
用”, 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 研 究 開 発 資 料,
JAXA-RM-12-009 (2012).
(13) 川 崎 聡, 瀧 田 純 也, 弘 松 純, 内 海 政 春, 島 垣 満,
中 村 智 也, “ロ ケ ッ ト 用 タ ー ボ ポ ン プ の 多 領 域 最
適 設 計 に お け る 品 質 機 能 展 開(QFD)の 援 用”, タ
ー ボ 機 械, Vol. 41, No. 10 (2013), pp. 602-607.
(14) 弘 松 純, 内 海 政 春, 島 垣 満, 川 崎 聡, 瀧 田 純 也,
中 村 智 也, “QFD援 用 に よ る ロ ケ ッ ト タ ー ボ ポ ン
プ 多 領 域 最 適 化 設 計”, 第 53 回 航 空 原 動 機 ・ 宇
宙 推 進 講 演 会 講 演 論 文 集, JSASS-2013-0019
(2013).
(15) 黒 木 康 洋, 内 海 政 春, 川 崎 聡, 島 垣 満, 平 木 博 道,
四 宮 教 行, 中 村 智 也, “QFD援 用 に よ る タ ー ボ ポ
ン プ 内 部 循 環 流 れ の 多 領 域 最 適 化”, タ ー ボ 機