• 検索結果がありません。

密教研究 Vol. 1920 No. 3 004瀬成 世眼「顕密二教の比較研究 P69-91」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "密教研究 Vol. 1920 No. 3 004瀬成 世眼「顕密二教の比較研究 P69-91」"

Copied!
23
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

二敎

第 一 、 純 正 哲 學 部 の つ ゝ き 三 、 破 相敎 と の 比 較 破 相敎 と は 三 論 宗 の敎 義 を 指 す 、 此 宗 の敎 義 は 大 師 が 悲 唯 蘊 之 迷 無 性 歎 他 縁 之 阻 境 智 と 言 へ る が 如 く 、 小 乘 が 法 體 實 有 と 談 じ て 、諸 法 の 無 自 性 を 知 さ る を 悲 み 。 法 相 宗 が 境 空 心 有 と 談 じ て 心 境 を 隔 異 す る を 歎 き て 。諸 法 は 縁 生 無 性 な り 、 心 境 は 倶 空 な り と 云 。 百 論 疏 中 之 下 丁十 ﹁ 彼 由 識 變 異 故 成 六 塵 、 故 有 於 識 而 無 塵 、 今 明 非 但 無 塵 、 亦 無 有 識 、 所 以 然 者 , 若 有 於 塵 可 得 生 識 、 檢 塵 不 得 識 何 由 生 と 釋 す る も の 是 な り 。 其 六 塵 の 境 空 を 明 す に 、 所 釋 の 百 論 に 左 の 如 く 言 へ り 。 身 根 取 四 大 故 四 大 有 、 是 故 火 等諸 物 四 大 所 造 、 亦 應 有 。 内 日 火 中 一 切 熱 故 、 修 妬路 四 大 中伹 火 是 熱 相 、 餘 非 熱 相。 今 火 中 四 大 都 是 熱 相 、 是 故 火 不 爲 四 身 、 若 餘 不 然 不 名 爲 火 、 是 故 火 不 爲 四 身 、地 堅 相 、 永 濕 相 、 風 動 相 、 亦 如 是 。 此 文 の 意 は 外 道 は 、 法 塵 も 色 に 屬 す と 言 ふ 故 に 六 塵 の 空 を 明 す に 、 六 塵 の 根 本 た る 四 大 の 空 を 明 す も の な り 。 外 道 曰 く 四 大 は 不 可 見 な れ ど も 、 身 根 に 觸 知 す る 故 に 實 有 な り と 。 内 道 提 婆 之 を 破 し て い は く 、 四 大 は 獨 立 し て 存 在 す る も の に 非 ず 、 各 餘 の 三 大 を 具 し て 存 在 す 。 然 れ ど も 四 大 別 々 に 並 列 す る あ り さ ま 無 く し て 、 各 々 一 大 の 形 ち に 成 り て あ り 。 火 大 て 言 へ ば 、 餘 の 三 大 ま で 皆 熱 す る と こ ろ で 、 一 の 火 大 が 存 す る な り 、 若 熱 せ さ れ ば 火 と は 成 れ ぬ な り 。 餘 の 三 大 熱 す る 處 ろ で 火 は 存 在 す れ ど も 、 餘 の 三 大 は 各 自 の 性 質 を 失 へ り 。 若 餘 の 三 大 が 熱 せ ず し て 、 各 自 存 在 す れ ば 、 火 大 は 消 失 す 。 且 つ 四 大 が 物 質 を 作 る は 、 共 有 因 を 以 て □ 顯 密 一教 の 比 較 研 究 六 九

(2)

□ 密 研 究 七 〇 つ く る も の に て 、 四 大 の 各 々 が 別 離 し 獨 立 し て 造 る も の に は 非 ず 。 必 ず 四 大 の 共 合 を 要 す る と こ ろ で , 物 質 を 作 る と 言 ふ が 定 ま り な り 。 然 る に 共 合 す れ ば 斯 く の 如 く 一 を 得 れ ば 三 を 失 し 、 三 を 得 れ ば 一 を 失 す 。 是 故 に 四 大 は 實 に 物 質 を 作 る 根 因 に 非 ず し て 、 六 塵 の 境 界 は 實 有 に 非 ず 。 殊 に 四 大 自 身 が 共 同 互 資 し て 存 在 す る も の な る 故 に 無 自 性 な り 、 既 に 自 性 な け れ ば 、 ま た 實 有 に は 非 ず し て 、 水 月 鏡 像 の 如 き も の な り 、 六 塵 の 境 は 空 に 非 ず し て 何 ぞ や と 言 ふ 意 な り 。 亦 色 法 が 縁 生 無 性 な る を 示 す 爲 め に 、 中 觀 論 の 五 陰 品 に 左 の 如 く 言 へ り 。 問 曰 若 二 處 ( 因 中 有 果 因 中 無 果 )倶 不 然 但 有 無 因 色 有 何 咎 、 答 曰 無 因 而 有 色 是 事 終 不 然 、 是 故 有 智 者 不 應 分 別 色 。 此 は 内 外 道 の 物 質 元 素 は 無 因 而 生 と 言 ふ を 破 し て 、 縁 生 無 性 に し て 畢 竟 有 無 の 分 別 を 爲 す べ か ら ず と 明 す 意 な り 。 優 樓 迦 外 道 は 、 隣 虚 塵 は 圓 に し て 常 な り 、 因 よ り 生 せ ず と 言 ふ 。 大 論 第 七 十 卷 に ﹁ 有 人 説 世 間 初 邊 名 微 塵 、 微 塵 常 法 不 可 破 、 不 可 燒 、 不 可 爛 、 不 可 壊 、 以 微 細 故 ﹂ と あ る は 此 外 道 の 説 な り 。 又 た 儒 家 で は 、 太 極 の 一 氣 は 清 濁 未 分 に し て 、 之 が 世 界 萬 化 の 本 源 な り 何 の 因 よ り 來 る と 説 く べ か ら ず と 爲 せ り 。 道 家 も 道 生 一 一 生 二 二 生 三 と 云 ふ て 、 道 を 自 然 に 名 け 、 一 は 渾 沌 の 一 氣 と し て 、 是 も 一 氣 は 無 因 自 然 よ り 現 は れ た も の と す 。 内 道 の 毘 曇 は 、 此 等 の 無 因 而 生 説 を 破 し て い は く 。 此 世 界 の 最 初 た り と 言 ふ と こ ろ の 極 微 塵 或 は 一 氣 は 、 從 來 す る と こ ろ あ り 。 此 世 界 は 無 始 巳 來 成 住 壊 空 の 四 刧 に 移 さ れ て 、 浮 氣 體 か 固 形 體 と 成 り 、 固 形 體 か 浮 氣 體 と 成 り 、 循 環 無 窮 な る も の な り 。 今 の 固 形 體 が 壞 劫 に 至 れ ば 、 大 火 聚 の 日 輪 が 上 下 四 方 中 央 の 七 方 面 に 現 は れ て 、 初 禪 天 ま で 焚 燒 し て 、 一 切 の 物 質 界 は 悉 く 遊 塵 と 成 る 、 い は ゆ る 天 地 洞 然 混 沌 未 分 は 此 處 を 指 せ り 。 後 ち 有 情 の 業增 上 力 を 以 て 此 世 界 が 成 立 せ ん と す る 成 劫 に 至 れ ば 、 七 極 微 が 上 下 四 方 中 央 と 七 方 に 集 合 し 集 合 し て 、 浮 氣 体 が 液 躰 、 液 躰 が 固 形 軆 と 成 り て 、 一 の 小 千 世 界 が 出 來 る な り 。 極 微 と は 物 質 の 極 細 と 言 ふ 事 に て 、 之 を ば 隣 虚 塵 と も 名 け て 、 空 に 隣 り す る 者 と す 。 梵 に 阿 免

(3)

と 言 ふ 此 に 極 と 譯 す 、 天 眼 及 菩 薩 輪 王 の 所 見 に し て 外 の 肉 眼 に て は 見 る こ と 能 は ず し て 、 物 質 の 極 邊 際 極 細 微 な る に 名 く 。 か ゝ る 極 微 が 上 下 四 方 中 央 に 初 め て 集 り し を 阿 耨 塵 と 名 く 。 此 阿 耨 塵 は 都 べ て 塁 礙 す る 事 無 き 故 に 無 礙 塵 と も 言 ふ 。 此 阿 耨 塵 が 上 下 四 方 中 央 の 七 方 に 集 り し を 銅 塵 と 名 く 次 第 斯 の 如 く 、 七 方 に 集 ま り 集 り し て 、 水 塵 免 毛 塵 、 羊 毛 塵 、 等 を 成 し て 、 此 世 界 の 山 河 大 地 等 が 出 來 る 。 然 る に 極 最 初 の 未 だ 集 ま ら ざ る と き の 極 微 な る も の は 無 因 而 生 な り 、 極 細 に し て 之 が 因 と な る も の 無 け れ ば な り と 云 ふ 。 成 實 論 は 此 極 微 の 無 因 而 生 説 を 嫌 ふ て 、 色 は 心 の 所 變 な り と 言 つ て 、 心 を 色 の 因 と す れ ど も 、 無 明 の 初 念 は 空 に 託 し て 起 る と 言 ふ と こ ろ で . 心 は 無 因 而 生 と す 。 心 が 無 因 而 生 な れ ば 、 色 塵 も 畢 竟 無 因 而 生 と 成 り て 、 中 觀 論 の 所 破 た る を 免 が れ ざ る な り 。 蓋 し 毘 曇 は 、 極 微 は 四 大 の 爲 に 作 ら れ て 所 作 因 あ り 、 四 相 に 遷 さ れ て 倶 有 因 あ り 、 業 よ り 感 成 さ れ て 報 生 因 あ る こ と は 知 れ ど も 、 生 死 無 始 と 立 て ゝ 、 突 然 色 心 が 出 來 た に 非 ず 、 何 程 昔 し に 溯 り て も 、 唯 同 類 の 連 續 な る の み 、 結 局 本 有 に し て 因 な き な り と す 。 中 觀 論 主 の 破 し た ま ふ 意 ろ は 、 元 來 汝 小 乗 は 、 折 空 觀 を 以 て 苦 空 無 常 無 我 な り と 云 ふ 。 既 に 折 空 を 以 て 空 無 常 な り 等 と す る な れ ば 、 畢 竟 の と こ ろ 、 極 微 も 折 空 に 歸 す べ き な り 。 是 故 に 極 微 も 性 實 有 に 非 ず し て 假 有 な り 、 假 有 な ら ば 實 は 空 な り 。 然 れ ど も 此 空 と 言 ふ も 假 無 に し て 空 ま た 有 な り 、 是 故 に 極 微 の 法 体 は 有 無 の 戯 論 を 離 れ て 、 中 道 無 分 別 な り と 言 ふ に あ り 。 總 し て 三 論 の 意 は 、 宇 宙 萬 象 に 八 不 を 言 ふ は 、 八 迷 を 遮 し て 中 道 の 眞 色 眞 心 を 證 得 せ し め 、 二 種 生 死 の 大 海 を 度 脱 せ し む る を 要 義 と す 。 即 ち 遮 情 す る と こ ろ で 中 道 微 妙 の 表 徳 自 ら 備 具 し 、 以 て 二 障 二 死 を 離 れ て 、 中 道 眞 常 の 本 郷 に 歸 入 す る を 肝 要 と す る も の な り 。 中 論 疏 四 末 左十 七 に 左 の 如 く 言 へ る に て 知 る べ し 。 問 五 句 不 受 何 所 歸 耶 、 答 若 能 如 此 悟 者 歸 於 本 卿 是 故 經 云 、 本 際 爲 卿 絶 句 爲 里 、 而 衆 生 任 運 受 此 陰 身 巳 失 本 卿 、 今 大 小 學 人 於 五 陰 法 復 起 諍 論 、 是 爲 失 内 更 復 失 矣 。 故 去 城 踰 遠 岐 路 逾 多 、 又 若 能 知 五 陰 空 即 是 捨 旃 陀 羅 、 又 是 □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 七 一

(4)

□ 密 研 究 七 二 捨 無 常 色 獲 得 常 色 受 想 行 識 亦 復 如 是 。 問 云 何 得 爾 、 答 以 了 悟 色 陰 生 滅 不 可 得 即 無 常 色 不 生 。 生 滅 色 既 不 生 即 無 生 滅 色 便 現 、 故 大 品 云 、諸 法 若 生 波 若 即 不 生 、 波 若 生 故 諸 法 即 不 生 。 小 乘 は 五 薀 に 於 て 、 縁 生 無 常 、 四 相 遷 流 の 苦 、 不 得 自 在 の 無 我 、 無 我 な る 故 に 空 な る を 知 る と 雖 も 法 體 の 空 を 知 ら ず 、 唯 人 空 を 得 る の み 。 既 に 五 陰 の 當 體 寂 滅 を 知 さ る 故 に 、 五 旃 陀 羅 (五 陰 の 事 な り ) を 全 く 離 る ゝ 能 は ず し て 、 尚 ほ 變 易 生 死 を 受 く る な り 。 成 實 論 は 五 陰 の 人 法 倶 に 空 な る を 知 れ ど も 、 折 空 に し て 体 空 に 非 ず 。 但 空 に し て 不 但 空 に 非 ず 。 五 陰 の 當 體 中 道 の 佛 性 な る を 知 さ る 故 に 、 二 障 を 全 斷 す る こ と 能 は ず し て 、 同 く 變 易 生 死 を 免 が れ ざ る な り 。 方 廣 道 人 の 偏 空 を 取 る も 復 た 是 に 同 じ 。 今 三 論 家 が 八 不 を 言 ふ は 、 生 と 滅 と 不 生 不 滅 と 亦 生 滅 亦 不 生 滅 と 、 非 生 滅 非 不 生 滅 と の 五 句 を 離 る れ ば 、 我 等 が 本 郷 に 歸 る な り 。 本 郷 と は 法 華 三 昧 經 に 、 變 無 盡 欲 室 令 人 歸 古 卿 、 古 卿 名 無 爲 、 號 字 清 淨 室 、 佛 答 婆 羅 門 言 、 般 若 郡 、 本 際 縣 、 超 入 城 、 絶 句 里 、 甘 露 樹 下 。 と 説 き た ま へ て 、諸 法 從 本 來 常 自 寂 滅 相 の 法 性 都 が 我 本 郷 な る も の な り 、 五 陰 の 當 體 に 五 句 を 離 れ た 本 郷 あ れ ど も 、 之 を 悟 了 せ ざ る が 故 に 、 無 常 の 五 陰 を 得 て 他 郷 に 彷 徨 せ り 。 五 句 を 離 れ た 中 道 の 法 性 を 證 得 す れ ば 、 旃 陀 羅 (煩 惱 な 起 さ せ て 人 を 害 す る 五 陰 ) を 捨 て ゝ 涅 槃 の 四 徳 を 具 へ た 國 土 も 身 心 を も 獲 得 し て 、 全 く 二 種 生 死 の 他 郷 を 離 れ て 、 永 久 本 郷 に 居 し て 他 郷 受 苦 の も の と は な ら ざ る な り と 云 ふ か 、 前 に 引 た る 疏 文 の 意 な り 。 亦 中 觀 論 第 一 卷 は 、 前 品 に は 五 薀 の 空 義 に 就 て 實 相 を 顯 は し 、 次 に 六 種 品 を 明 し て 五 薀 の 本 た る 六 大 の 實 義 を 彰 は し た ま へ り 六 種 と は 地 水 火 風 空 識 の 六 大 に し て 五 薀 と 同 一 物 な り 、 五 薀 は 色 を 合 し て 心 を 開 し 、 六 大 は 色 を 開 し て 心 を 合 す る の 異 あ る の み 。 然 れ ど も 義 に 就 け ば 、 六 大 は 本 に し て 五 薀 は 末 な り 。 此 六 大 の 中 に 於 て も 、 空 は 四 大 の 本 た り 、 四 大 は 五 根 を 生 じ て 識 の 本 た り 、 識 は 惑 業 あ り て 五 薀 和 合 せ る 衆 生 の 本 た り 、 識 は 四 大 中 に あ り 、 四 大 は 空 中 に あ り て 一 個 の 生 物 を 構 造 せ る を 我 人 衆 生 と 名 く 。 是 故 に

(5)

六 種 品 に は 、 先 づ 虚 空 の 有 無 二 相 を 破 し 、 次 に 餘 の 五 大 の 非 有 非 無 な る 中 道 實 相 を 例 知 せ し め て あ る な り 。 同 き 長 行 釋 に は 、 ﹁ 虚 空 能 持 四 大 、 四 大 因 縁 有 識 、 是 故 先 破 根 本 、 餘 者 自 破 ﹂ と 言 へ り 。 四 大 は 識 の 所 依 と 成 り 、 虚 空 は 四 大 の 所 依 と 成 り 能 持 と な り て 、 六 大 の 中 で は 根 本 な る 、 故 に 之 を 破 す れ ば 餘 の 五 大 の 迷 執 は 自 ら 破 さ る ゝ も の と す 。 然 る に 其 空 を 如 何 に 説 明 す る や と 言 ふ に 、 龍 樹 の 意 を 採 り た る 百 論 の 破 常 品 に 依 れ ば 、 先 づ 外 道 か 定 有 虚 空 法 常 亦 遍 亦 無 分一 切 處 一 切 時 信 有 故 乃至 若 無 虚 空 者 則 無 擧 無 下 無 來 等 所 以 者 何 無 容 受 處 故 今 實 有 所 作 是 以 有 虚 空 亦 遍 亦 常 と 言 ふ を 出 せ り 、 此 意 は 虚 空 な る も の は 必 ず あ り 、 常 住 不 變 に し て 且 つ 宇 宙 全 世 界 に 遍 滿 せ り 、 又 た 空 體 は 一 に し て 不 可 分 の も の な り 、 一 切 處 一 切 三 世 時 に 在 り と 信 ぜ ら る ゝ も の な れ ば 遍 滿 常 住 に あ ら ず し て 何 ん そ や 。 又 た 虚 空 に は 容 納 の 作 用 あ り 。 若 虚 空 な く ば 容 受 處 な き 故 に 擧 下 去 來 等 の 所 作 あ る を 得 ざ る べ し と 云 ふ 意 ろ な り 。 是 が 外 道 に 云 虚 空 の 体 と 用 な り 。 次 に 百 論 主 は 此 説 を 駁 破 し て 用 ひ た ま は ず 、 何 故 ぞ な れ ば 、 諸 ろ の 方 等 經 に は し は し は 猶 如 虚 空 と 言 へ り 、 若 外 道 所 説 の 虚 空 を 探 用 せ ば 經 の 眞 意 が 顯 は れ の な り 。 經 に 云 ふ 虚 空 は 正 虚 空 な り 。 外 道 に 云 ふ 虚 空 は 邪 空 な る が ゆ へ な り 。 又 た 外 道 に 云 ふ 虚 空 は 、 有 所 得 の 空 に し て 瓶 等 を 有 と し 、 此 等 の 物 無 き を 空 と す 。 か ゝ る 空 有 に 由 り て 煩 惱 業 苦 を 生 ず 、 是 故 に 外 道 が 言 が 如 き の 空 有 無 し と 破 し た ま ふ な り 。 其 破 し た ま ふ 語 に ﹁ 分 中 分 合 故 分 不 異 乃至 虚 空 處 虚 空 ﹂ と あ り 。 即 是 は 外 道 が 虚 空 は 常 な り 遍 な り 容 納 の 用 あ り と 云 を 非 難 す る 意 な り 。 分 中 と は 、 瓶 中 の 空 な り 。 分 合 と は 、 瓶 中 の 空 は 有 分 空 が 家 の 一 分 に し て 、 瓶 と 合 し た も の な り 。 分 不 異 と は 、 瓶 中 の 空 は 有 分 空 の 一 分 が 來 り て 瓶 と 合 し た も の な れ ば 空 は 分 析 す べ き も の な り 。 然 る と き は 空 は 遍 に 非 ず 常 に 非 ざ る な り 。 委 く 言 へ ば 、 空 中 の 空 は 都 べ て 十 方 の 虚 空 皆 あ り と せ ん や 、 唯 一 分 の 空 の み あ り と せ ん や 、 若 瓶 中 に 十 方 の 虚 空 都 て あ ら ば 、 十 方 の 虚 空 は 並 に 瓶 中 に 在 り て 、 瓶 外 に は 虚 空 あ □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 七 三

(6)

□ 密 教 研 究 七 四 る こ と 無 し 。 然 る と き は 虚 空 は 不 遍 不 常 な る べ き な り 。 若 瓶 内 の 空 遍 せ ば 瓶 も 亦 た 遍 す べ し 、 遍 す る が 故 に 常 な る を 得 る や 。 若 し ま た 瓶 中 に は 一 分 の 空 の み あ り と せ ば 、 虚 空 は 但 分 に し て 遍 有 に 非 ず 、 分 あ る を 名 け て 虚 妄 と す 。 既 に 瓶 内 瓶 外 二 個 の 空 あ り て 、 虚 空 は 有 分 の 空 な る と き は 、 非 常 な る べ し 。 是 故 に 虚 空 は 非 遍 非 常 な り 。 又 た 虚 空 處 虚 空 と は 、 若 虚 空 と 云 ふ 一 法 あ ら ば 其 虚 空 の 住 處 あ る べ し 。 若 住 處 無 く ば 虚 空 と 云 一 法 無 な る べ し 。 若 虚 空 が 孔 穴 中 に 住 せ ば 虚 空 が 虚 空 中 に 住 す 。 然 る と き は 一 空 は 能 住 に し て 一 空 は 所 住 な り 既 に 二 空 あ れ ば 分 あ る が 故 に 虚 空 は 非 遍 非 常 な り 况 ん や 虚 空 は 無 碍 に し て 有 法 を 容 納 す る な ら ば 、 空 も 亦 無 碍 に し て 還 つ て 空 を 容 る べ し 。 其 義 な き と き は 、 虚 空 は 孔 空 中 に 無 く し て 容 納 の 用 な き な り 。 亦 虚 空 は 充 實 な る 物 の 中 に は 住 せ ざ る べ し 、 充 實 な る 物 の 中 に は 空 處 無 き が 故 な り 。 既 に 實 中 に 空 な く ば 空 は 不 遍 な り 、 不 遍 の 故 に 不 常 な り 、 不 遍 不 常 な ら ば ま た 容 納 の 用 無 き 處 も あ る な り と 破 す る 意 な り 。 是 は 唯 外 道 所 説 の 虚 空 を 用 ひ ざ る の み な ら ず 、 婆 娑 論 第 三 十 九 卷 に 虚 空 と 虚 空 界 と を 明 し て 、 虚 空 は 非 色 に し て 不 可 見 無 對 無 爲 な り 虚 空 界 は 色 法 に し て 可 見 有 對 有 爲 な り 。 有 爲 虚 空 は 眼 耳 鼻 井 門 等 及 外 の 器 界 の 空 處 な る 故 に 色 法 有 爲 な り 。 無 爲 虚 空 は 分 際 あ る こ と な く 、 一 切 處 に 偏 す る が 故 に 、 色 に 非 ず 非 色 に 非 ず 。 但 世 俗 に 隨 ふ て 虚 空 と 名 く る の み と 云 が 如 き 虚 空 も 、 有 所 得 遍 常 の 虚 空 な れ ば 用 ひ ざ る な り 。 亦 成 實 論 第 十 三 卷 に は 、 虚 空 非 色 な ら ば 何 の 法 と す る や と 問 ふ て 答 へ に 、 虚 空 無 法 と 名 く 、 唯 無 色 處 を 虚 空 と 爲 す と 云 が 如 き も 、 但 無 と す る 故 に 、 之 を も 破 し て 取 ざ る 意 ろ な り 。 採 る と こ ろ は 般 若 經 第 十 三 卷 に ﹁ 譬 如 虚 空 量 不 可 得 色 亦 如 是 量 不 可 得 色 無 量 故 般 若 無 量 、 受 想 行 識 一 切 種 智 量 不 可 得 ﹂ と 言 ひ 。 浬 槃 經 に ﹁ 衆 生 佛 性 猶 如 虚 空 ﹂ と 云 が 如 き 中 道 を 虚 空 と す る も の を 取 る 意 ろ な り 。 中 觀 論 の 六 種 品 が 本 と 中 道 を 虚 空 と す る 意 ろ に て 、 初 め は 大 品 經 に ﹁ 地 種 無 所 從 來 亦 無 所 去 亦 無 所 住 水 火 風 空 識 種 亦 復 如 是 ﹂ と 説 く 意 に 依 り て 、 外 道 及 毘 曇 が 虚 空 是 有 と 云 を 破 し 。 後 は

(7)

般 若 經 に 虚 空 量 不 可 得 と 説 く 意 に 依 り て 、 成 實 論 が 虚 空 は 一 向 是 無 と 云 を 破 せ り 。 初 め 外 道 毘 曇 虚 空 是 有 と 云 を 破 し て 無 を 顯 は す 下 の 意 に 曰 く 。 凡 そ 空 相 に 二 種 あ り 、 一 に は 標 相 、 柱 の 有 を 見 て 柱 外 は 即 無 な り と 知 る が 如 き は 、 有 に 因 り て 無 を 知 る も の に て 、 有 は 是 れ 無 を 標 は す の 器 具 な り 。 斯 く の 如 く 有 に 因 り て 標 は さ れ た る 空 相 を 標 相 と 云 二 に は 體 相 、 柱 を 除 く が 故 に 柱 の 無 を 得 る 、 柱 の 無 さ 處 を 空 の 體 相 と す 。 此 二 相 倶 に 柱 に 由 る 故 に 柱 あ る と き は 空 あ る を 得 べ し 、 若 柱 あ ら ざ る と き は 空 あ る を 得 ざ る な り 。 然 ら ば 六 大 中 の 空 相 が 標 相 の と き は 餘 の 五 大 な き を 得 ず 。 此 標 相 な き と き は 空 な る も の な き な り 。 又 た 體 相 な る と き は 空 の 相 な き は 即 ち 體 な き な り 。 未 だ 柱 あ ら ざ る と き に 空 あ る を 得 ず 。 柱 な く ば 空 の 二 相 な く 、 空 法 は 全 く 無 く な る が ゆ へ な り 。 如 何 ぞ 虚 空 定 有 と 言 ふ こ と を 得 ん や 。 次 に 成 實 論 が 虚 空 是 無 と 云 を 破 し て 有 を 彰 は す 下 の 意 に 曰 く 、 凡 そ 物 は 自 ら 壞 し 他 に 壊 せ ら る ゝ を 無 と す る 故 無 な る も の は 自 ら 成 せ ず 有 の 待 す べ き も の あ り て 無 な る も の 存 す 。 然 る に 既 に 虚 空 法 は 有 に 非 ず と せ し 故 に 有 の 待 す べ き も の な し 、 如 何 ぞ 虚 空 法 は 無 な り と 言 ふ こ と を 得 ん や 。 又 華 嚴 經 に ﹁ 一 切 有 無 法 了 達 非 有 無 ﹂ と 説 く に 依 れ ば 、 有 の 處 に 不 有 あ り 、 無 の 處 に 不 無 あ り て 有 無 一 體 な り 、 有 無 一 體 な ら ば 有 あ る 故 に 無 あ り 。 若 有 な き と き は 無 も な く な る な り 。 既 に 虚 空 法 、 有 に 非 ず と せ ば 如 何 ぞ 虚 空 法 を 無 と せ ん や 是 故 に 正 虚 空 は 非 有 非 無 の 中 道 な り 。 然 れ ど も 此 非 有 非 無 に 取 着 す れ ば 、 又 た 有 無 に 墮 す る 故 に 、 結 局 四 句 を 絶 す る が 正 虚 空 な り 。 大 乘 經 に 虚 空 を 借 て 佛 性 或 は 法 身 或 は 般 若 に 喩 ふ る は 、 亦 有 亦 無 非 有 非 無 の 中 道 義 に 用 る な れ ど も 、 此 中 道 に 著 す れ ば 復 た 戯 論 と な り て 眞 の 中 道 に 契 は ざ る 故 に 、 四 句 を 絶 す る 邊 て 喩 ふ る こ ゝ ろ な り 。 中 論 の 六 種 品 で は 虚 空 を 是 の 如 く 辨 じ て 、 後 に ﹁ 是 故 知 虚 空 非 有 亦 非 無 非 相 非 可 相 餘 五 同 虚 空 ﹂ と 言 へ り 、 即 是 は 餘 の 地 水 火 風 識 の 五 大 も 其 實 相 は 非 有 亦 非 無 の 中 道 な り と 明 す に あ り 。 凡 夫 は 五 大 は 有 な り 、 虚 空 は 無 な り と 、 五 大 と 虚 空 と に 有 無 の 見 を 起 す が 故 に 種 々 の 惑 業 を 造 □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 七 五

(8)

□ 密 教 研 究 七 六 り て 生 死 に 輪 廻 す 。 然 る に 虚 空 は 種 々 に 相 を 求 む る に 有 無 不 可 得 な り 。 准 知 す る に 、 五 大 も 種 々 に 相 を 求 む る に 有 無 不 可 得 な る べ き な り と 、 空 大 と 五 大 と に 於 て 別 異 の 見 無 か ら し む る 意 ろ と も 言 ふ べ し 。 既 に 識 は 四 大 の 因 縁 に 由 て 存 在 す 、 其 四 大 の 極 微 な る も の は 、 前 に 述 た る が 如 く 無 常 無 我 に し て 、 結 局 非 有 非 無 の 中 道 が 眞 實 の 相 な り 。 百 論 の 破 常 品 に 外 道 が 世 間諸 ろ の 生 物 を 見 る に 皆 先 細 後 麁 な り 、 果 を 見 て 因 を 知 る と き は 二 の 微 塵 和 合 を 初 果 と し 一 微 を 因 と す 、 是 故 に 微 塵 な る も の あ り 、 至 細 に し て 十 方 の 分 な き に つ け ば 形 ち は 圓 な り 、 其 無 因 な る に 就 け ば 常 住 な り と 云 ふ に 五 難 を 出 し て 、 微 塵 空 の 義 を 明 せ り 。 一 に は ﹁ 二 微 塵 非 一 切 身 合 果 不 圓 故 ﹂ に 、 謂 く諸 々 の 微 塵 の 果 を 生 ず る を 現 見 す る に 、 二 塵 和 合 の 時 圓 形 な ら ざ る を 見 る 故 に 、 唯 一 部 分 の 和 合 に し て 全 體 和 合 に は 非 ず 。 若 全 體 和 合 せ ば 既 に 圓 形 の 物 な れ ば 二 微 塵 和 合 の 果 は 圓 形 な る べ き な り 。 既 に 一 分 合 に し て 分 々 あ ら ば 無 常 法 な る べ し 、 何 故 常 と 言 ふ や 。 亦 分 あ ら ば 更 に 分 つ べ く し て 極 細 極 微 と 名 く べ か ら ず 、 何 故 極 微 と 言 ふ や 。 若 又 た 分 合 に 非 ず 全 合 な り と 言 は ゞ 、 果 既 に 圓 形 な ら ざ れ ば 微 塵 の 形 ち は 圓 な る も の に 非 ざ る な り 、 何 故 圓 體 な り と 言 ふ や 。 こ ゝ に 於 て 微 塵 が 總 じ て 物 質 界 の 因 に な る と 云 ふ こ と も 不 明 了 な り 。 二 に は ﹁ 若 身 一 切 合 二 亦 同 壊 す べ し ﹂ 若 又 た 微 塵 は 因 に し て 合 す る こ と を 得 と 縱 せ ば 、 二 微 塵 同 く 壊 す べ し 。 即 ち 二 微 塵 を 壞 し て 和 合 し 一 體 と 成 り て 後 ち 圓 形 と な る べ き な り 。 然 る と き は 微 塵 は 無 常 法 な り 、 如 何 ぞ 常 法 た る を 得 ん や 。 三 に は ﹁ 微 塵 無 常 以 虚 空 別 故 に ﹂ 、 若 微 塵 が 十 方 の 分 な く ば 虚 空 と 一 な る べ し 、 虚 空 と 別 異 と 云 故 に 十 方 の 分 あ る べ し 、 虚 空 は 十 方 の 分 な き 故 に 常 住 な れ ど も 、 微 塵 は 十 方 の 分 あ る 故 に 無 常 法 あ る べ き な り 。 四 に ﹁ 以 色 等 別 故 に ﹂ 、 微 塵 が 有 體 な ら ば 色 香 味 等 と 別 異 な り 。 五 塵 と 各 別 な ら ば 即 是 れ 分 あ る な り 。 若 分 な く ば 五 塵 と 異 な ら ず し て 一 塵 な り 、 斯 く し て 微 塵 既 に 分 あ る 故 に 無 常 法 た る べ き な り 。 五 に は ﹁ 有 形 法 有 相 故 に ﹂ 、 若 微 塵 に 形 あ ら ば 長 短 方 圓 の 相 あ る べ し 、 長 短 方 圓 あ ら ば 分 あ り 、 分 あ ら ば 無

(9)

常 な り 、 若 長 短 方 圓 等 の 方 分 な く ば 色 法 に 非 ざ る な り 、 虚 空 と 別 異 無 け れ ば な り 。 然 ら ば 微 塵 を 推 檢 す る に 無 常 を 免 が れ ず 、 無 常 な ら ば 無 自 性 空 の も の な り と 明 せ り 。 此 に 於 て 微 塵 は 虚 空 と 同 く 非 有 に し て 、 非 義 の 義 も あ る な り 。 非 空 の 當 体 ま た 非 有 の 義 あ り 。 非 有 非 空 の 中 道 は 、 有 所 得 の 中 道 に 非 ず し て 、 四 句 を 絶 す と 云 意 ろ な り 。 上 來 辨 ず る が 如 く 、 六 大 の 法 性 を 非 有 非 無 の 中 道 に し て 四 句 を 絶 す る も の と し 。 之 を 色 心諸 法 の 實 相 と し て 、 此 六 大 法 性 が 如 何 し て 染 淨 の諸 法 を 縁 起 す る や と 言 ふ に 。 六 種 品 の 疏 に は 、 悟 斯 六 種 非 有 非 無 則 是 實 相 發 生 正 觀 斷諸 煩 惱 不 復 更 受 六 種 之 身 (淨 縁 起 な り )若 見 六 種 是 有 是 無 即 生 死 身 現 法 身 不 現 (染 縁 起 ) と 言 へ り 。 是 は 六 大 法 性 の 非 有 非 無 な る 中 道 法 身 を 本 郷 と し て 、 之 を 觀 知 す れ ば 、 元 と の 法 身 顯 現 し 。 之 を 知 ら ず し て 有 か 無 か 何 れ か に 偏 取 せ ば 法 身 隱 れ て 六 道 の 身 現 は る ゝ と 言 ふ 意 な り 。 中 論 疏 二 本 に も 八 不 を 中 道 法 性 の こ と ゝ し て 染 淨 縁 起 を 明 す に 、 悟 無 生 即 有 三 乘 衆 聖 、 迷 八 不 即 有 六 趣 紛 然 、 故 湟 槃 云 是 一 味 藥 随 其 流 處 有 六 種 味 。 一 味 藥 者 即 是 中 道 佛 性 、 中 道 佛 性 不 生 不 滅 不 常 不 斷 即 是 八 不 、 故 知 失 於 八 不 有 六 趣 粉 然 と 言 へ り 。 同 二 本 に 依 れ ば 、 八 不 は 縮 む れ ば 無 生 の 一 つ に 成 る な り 。 五 十 二 の 賢 聖 も 此 無 生 觀 の 淺 深 に 由 て 分 た も の に て 、 初 め て諸 法 の 本 性 無 性 を 信 ず る を 信 忍 と 名 く 、 十 信 位 な り 。 稍 生 心 を 折 伏 し て 動 念 を 起 さ ゞ ら 令 る を 伏 忍 と 名 く 、 三 十 心 の 人 な り 。 生 心 を 折 伏 し て 動 念 を 起 さ ゞ ら 令 る 故 に 無 生 稍 明 か な り 、 諸 法 の 無 生 に 順 じ て 生 に 墮 せ ざ る を 順 忍 と 名 く 、 初 地 よ り 六 地 ま で な り 。 生 心 動 念 復 た 現 前 せ ざ る を 無 生 忍 と 名 く 、 七 地 よ り 九 地 ま で な り 。 生 心 動 念 畢 竟 寂 滅 に し て 無 生 の 妙 悟 了 々 分 明 な り 故 に 寂 滅 忍 と 名 く 、 十 地 等 覺 妙 覚 地 な り 。 眞 俗 二 諦 に 生 を 見 て 愛 論 見 論 を 起 せ し 故 に 造 業 し 、 造 業 に 由 て 生 死 に 繋 縛 さ れ た れ ど も 無 生 を 觀 知 し て 愛 見 を 離 れ た れ ば 所 縛 な し 、 所 縛 な き 故 に 生 死 を 離 れ て 法 身 を 得 て 成 佛 す る な り 。 又 た 染 縁 起 の 相 を 明 す こ と は 同 左五 の 文 に 左 の 如 □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 七 七

(10)

□ 密 教 研 究 七 八 く 言 へ る に て 知 る べ し 。 以 不 悟 八 不 即 不 識 二 諦 、 不 識 二 諦 即 二 慧 不 生 、 二 慧 不 生 即 有 愛 見 煩 惱 、 以 熕 惱 故 即 便 有 業 以 有 業 、 故 即 有 生 老 病 死 憂 悲 苦 惱 、故 知 失 於 八 不 有 六 趣 紛 然 。 抑 佛 性 義 に 説 く と こ ろ に 依 れ ば 、 華 嚴 經 の 法 界 大 集 經 の 如 々 菩 提 . 維 摩 經 の 無 住 實 際 . 勝 鬘 經 の 如 來 藏 自 性 清 淨 心 、 大 品 經 の 般 若 法 性 、 首 樗 嚴 經 の 首 楞 嚴 三 昧 、 法 華 經 の 一 乘 、 涅 槃 經 の 佛 性 、 皆 唯 一 眞 如 の 異 稱 と す る 故 に 、 前 來 い は ゆ る 六 大 の 法 性 を 中 道 佛 性 と 名 け て 、 此 れ よ り 染 淨 の諸 法 が 縁 起 す と 言 ふ は 、 即 ち 眞 如 よ り 染 淨 の諸 法 が 縁 起 す と 言 ふ こ ゝ ろ な り 。 是 故 に 嘉祥 大 師 の 勝 鬘 經 寶 窟 下 末三十二丁 廣 く 經 論 に 依 て 染 淨 縁 起 を 明 す に 、 一 約 縁 不 約 佛 性 二 約 佛 性 不 約 緑 三 亦 約 縁 亦 約 佛 性 四 不 約 縁 不 約 佛 性 と 云 四 別 を 出 し 一 々 之 を 釋 し て い は く 、 一 約 縁 不 約 佛 性 者 、 唯 六 七 の 妄 縁 に 由 り て 如 來 藏 に 由 ら ざ る な り 。 此 は 小 乘敎 及 大 乘 法 相敎 に 依 て 染 淨 の 縁 を 彰 す に 、 因 果 自 ら 相 ひ 招 感 す る 故 に 有 な り 、 都 て 藏 實 に 由 り て 如 是 の 一 切 有 と は 言 ざ る な り 。 二 約 佛 性 不 約 縁 と は 、 染 淨 の 法 の 興 る は 唯 藏 實 に 由 る 、 縁 に 從 つ て 有 な る に 非 ず と す 。 此 は 楞 伽 經 に 六 七 が 苦 樂 を 受 る に 非 ず 涅 槃 因 に 非 ず 、 藏 識 が 苦 樂 を 受 く 是 れ 涅 槃 因 な り と 説 く が 如 し 。 三 亦 約 縁 亦 約 佛 性 者 、 此 れ 亦 楞 伽 經 に ﹁ 藏 識 海 常 住 、 境 界 風 所 動 、 種 々諸 識 浪 、 騰 躍 而 轉 生 ﹂ と 説 く が 如 き な り 。 海 水 が 波 浪 を 起 す と き 、 水 波 は 非 異 非 不 異 に し て 、 水 外 に 波 な く 波 外 に 水 な し 然 れ ど も 波 息 め は 水 靜 か な り 。 佛 性 も 亦 爾 り 、 六 七 の 妄 心 と 倶 に 和 合 し て 生 ず る と き , 非 異 非 不 異 に し て 、 眞 外 に 妄 な く 妄 外 に 眞 な し 。 然 れ ど も 妄 盡 き て 眞 顯 る ゝ な り 。 又 云 く 涅 槃 經 に 是 一 味 藥 隨 其 流 處 有 六 種 味 と 言 へ る は 、 中 道 一 味 の 佛 性 が 、 衆 生 の 斷 常 生 滅 等 を 取 る に 隨 つ て 、 六 道 の 種 味 に 成 る こ と を 説 け る も の に て 、 非 異 の 義 を 説 く 。 假 名 を 壞 せ ず し て 實 相 を 説 き 、 縁 に 在 り て 常 に 靜 な る は 非 不 異 の 義 な り 。 此 第 三 句 が 正 く 眞 如 縁 起 の 義 を 示 す も の に て 、諸 法 性 空 の 理 (な る 眞 如 湛 然 寂 静 水海 ) が 世 間 顛 倒 の 妄 縁 (境 界 風 所 動 ) に 依 り て 世 諦 の諸 法 と 成 り 、 妄 縁 止 む と き 本 性 空 (無 所 得 の 中 道 法 性 ) に 還 る と し

(11)

て 、 眞 如 と 妄 心 と の 非 異 非 不 異 を 明 す も の な り 。 眞 如 の 海 水 が 境 界 の 風 に 動 せ ら れ て 妄 心 の 波 と 成 り た る と き は 、 無 明 妄 心 の 体 は 即 ち 眞 如 の 淨 心 な り 、 別 に 無 明 の 体 あ る に 非 ず 。 且 つ 假 り に 無 明 と 名 く 、 即 是 が 非 異 の 義 な り 。 然 る に 境 界 の 風 、 無 妄 明 心 の 波 、 止 み た れ ば 眞 如 の 靜 水 に 歸 り た と こ ろ で は 、 非 不 異 の 義 な り 。 四 不 約 縁 不 約 佛 性 者 、 實 相 の み あ り て 染 淨 の 法 の 起 る べ き な し 。 金 剛 波 若 論 に 、 平 等 眞 法 界 に は 佛 は 衆 生 を さ ず 無 佛 を 以 て 能 度 と し 、 無 衆 生 を 所 度 と す と 云 が 如 し 。 亦 佛 地 論 に 煩 惱 妄 想 中 一 法 と し て 減 ず べ き な く 、 清 淨 中 一 法 と し て增 す べ き な し と 言 が 如 し 。 即 是 は 上 の 三 門 を 泯 し て 本 の 一 絶 に 歸 す る を 言 ふ 意 な り 。 上 の 三 句 は 縁 起 の 用 門 を 明 し 、 此 第 四 の 一 句 は 不 生 の 體 門 を 明 せ る 故 に 本 の 一 絶 に 歸 す と 言 つ た も の な り 。 又 上 み の 三 句 は諸 法 の 生 起 を 明 か し 、 眞 如 を 呼 ぶ に 佛 性 の 名 を 以 て し て 、 唯 妄 、 唯 眞 、 眞 妄 和 合 の 義 に 約 し た ま へ り 。 既 に 樗 伽 經 に は 藏 識 海 常 住 と 説 け り 、 亦 大 論 に は 有 爲 相 者 生 滅 住 異 、 無 爲 相 者 不 生 不 滅 不 住 不 異 と 言 へ り 。 何 故 三 論 家 が 眞 如 隨 縁 し て 生 滅 の諸 法 と 成 る と 言 ふ や と 問 は ゞ 答 へ て 言 は ん 、 眞 獨 り 眞 な る に 非 ず 、 妄 に 依 る 故 に 眞 な り 。 妄 獨 り 妄 な る に 非 ず 眞 に 依 る 故 に 妄 な り 。 は 妄 自 性 空 な る 故 に 眞 も ま た 自 性 を 守 ざ る な り 、 之 を 眞 如 と も 性 空 と も 名 く 既 に 眞 妄 倶 に 性 空 な る 故 に 、 眞 が 妄 に 從 ふ と き は 眞 の 擧 體 が諸 法 と 成 り 。 妄 が 眞 に 隨 ふ と き は 妄 體 全 く 眞 な り 。 然 る に 性 空 寂 靜 の 當 體 に 隨 縁 生 滅 の 動 轉 あ り て 、 一 水 に 動 不 動 の 二 義 あ る が 如 く 、 眞 如 に 動 不 動 の 二 義 相 即 す 。 是 故 に 大 論 以 上 の 文 に は 、 ﹁ 離 有 爲 別 無 無 爲 、 所 以 者 何 、 有 爲 實 相 即 是 無 爲 ﹂ と 言 へ り 。 樗 伽 に 常 住 と 言 ふ は 性 淨 不 變 即 靜 の 方 を 説 け り 、 次 の 境 界 風 所 動 と は 隨 縁 生 滅 動 轉 の 方 を 説 け り 。 是 で 逾 よ 無 性 虚 通 の 相 が あ ら は る ゝ な り 。 大 論 に 無 爲 相 者 不 生 不 滅 と 言 へ る は 、 性 空 寂 滅 不 變 の 方 を 説 た る も の に て 、 隨 縁 動 轉 の 方 無 し と す る に は 非 ず 。 是 故 次 上 の 語 に ﹁ 有 爲 法 名 因 縁 和 合 生 、 所 謂 五 衆 十 二 入 十 八 界 等 、 無 爲 法 名 無 因 縁 常 、 不 生 不 滅 如 虚 空 、 乃 離 有 爲 則 無 無 爲 、 所 以 者 何 、 有 爲 法 實 相 □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 七 九

(12)

□ 密 教 研 究 八 0 即 是 無 爲 ﹂ と 言 ふ て あ り 。 既 に 有 爲 を 離 れ て 無 爲 な き 故 に 、 無 爲 眞 如 の 當 體 に 、 隨 縁 生 滅 の 義 あ る な り 。 瓶 を 離 れ て 泥 團 な き 時 は 、 泥 團 が 瓶 と 成 る の 義 を 有 す る が 如 き な り 。 若 復 た 眞 如 と は 無 自 性 あ る を 眞 と 言 ひ 常 住 な る を 如 と 言 ふ 、 若 し 無 自 性 な ら ば 妄 法 な り 何 ぞ 眞 と 言 は ん 無 自 性 の も の は 無 常 な り 、 何 ぞ 如 と 言 は ん 、 是 故 に 眞 如 な る も の は 隨 縁 し て諸 法 と 成 る 義 無 か る べ し と 非 難 す る な ら ば 。 三 論 家 之 を 答 へ て い は く 。 我 大 師 眞 如 を 釋 す る に 二 途 あ り 、 一 に は 隨 縁 の 義 に 約 し て 釋 す 、 こ の と き は 空 の 義 を 眞 と 言 ふ 空 と は 無 所 得 の 義 な り 、 若 有 所 得 な ら ば 妄 情 所 取 な る 故 に 眞 と 言 れ の な り 、 無 所 得 は 無 自 性 の 義 あ り て 縁 起 無 礙 な り 、 是 に 由 て 隨 縁 動 轉 す る な り 。 若 無 爲 法 が 自 性 を 守 り て 隨 縁 せ ず と 言 は ゞ 即 是 常 見 に 堕 し た る な り 、 如 何 ぞ 眞 と 名 く る を 得 ん や 。 二 に は 不 變 の 義 に 約 し て 釋 す 、 此 と き は 有 爲 無 常 法 を 僞 妄 と し 、 無 爲 法 は 此 虚 假 僞 妄 を 離 れ て あ る 故 に 眞 と 名 く 。 是 故 に 眞 如 に 空 有 の 二 義 あ り て 、 隨 縁 の 方 は 空 の 義 な り 、 不 變 の 方 は 有 の 義 な り 。 隨 縁 の 當 體 が 自 性 清 淨 の 不 變 な り 、 自 性 清 淨 の 當 體 が 隨 縁 生 滅 な る 故 に 空 有 相 即 相 入 す 。 二 諦 章 下 に ﹁ 空 爲 有 用 常 爲 空 用 、 常 爲 無 常 用 無 常 爲 常 用 ﹂ と 言 へ る も 此 意 ろ あ る な り 。 眞 如 の 空 有 相 即 を 見 る は 正 見 に し て 、 空 或 は 有 の 一 邊 を 見 る は 謬 見 な り 。 既 に 眞 妄 空 有 は 相 依 す る も の に て 獨 立 し て あ る に 非 ず 。 中 疏 即 一 本十九丁 に ﹁ 因 縁 義 總 故 標 在 論 初 、 以 生 死 涅 槃 凡 聖 解 惑 皆 是 假 名 相 待 無 有 自 性 禰 爲 因 縁 義 、 故 因 縁 義 總 ﹂ と あ り て 、 眞 如 涅 槃 も 生 死 に 相 待 し て 假 り に 名 け た も の で 自 性 な し と せ り 。 眞 如 何 ぞ 有 の 一 邊 に 局 ら ん や 。 亦 四 論 玄 第 一 の 中 假 義 に 云 く 、 相 待 門 者 如 待 有 故 無 、 未 待 有 無 有 一 無 、 未 待 無 時 無 別 有 、 亦 非 是 有 故 無 、 一 有 將 以 形 無 非 有 、 一 無 將 以 待 無 、故 亦 是 待 有 故 無 、 無 故 有 、 有 是 空 有 、 無 是 有 無 、 故 無 有 二 相 、 是 不 二 義 也 と 斯 く の 如 く し て 空 有 は 相 即 す る 故 に 、 眞 如 に 於 け る 空 有 も 相 即 し て 、 爲 無 爲 相 對 す る に 、非 異 ( 不二 ) 非 不 異 (而二 ) の 二 義 あ る な り 。 非 異 の 義 は 、 隨 縁 門 に て 眞 如 は 隨 縁 し て諸 法 と 成 り て 、 有 爲 を 離 れ て

(13)

無 爲 な く 有 爲 の 實 相 は 無 爲 な り 。 無 爲 を 離 れ て 有 爲 な し 無 爲 の 動 轉 は 有 爲 な り 。 眞 全 く 妄 と 成 り て 妄 の 外 に 眞 な く 、 妄 の 體 が 眞 淨 な り 。 眞 の 外 に 妄 な く 眞 の 動 轉 が 妄 な り 。 又 非 不 異 の 義 は 、 不 變 門 に て 爲 無 爲 各 別 な り 、 還 滅 の 方 で 言 へ ば 妄 盡 れ ば 眞 顯 は る ゝ な り 、 眞 妄 別 異 に 非 ず し て 何 ぞ や 。 流 轉 の 方 で 言 へ ば 在 縁 常 靜 染 而 不 染 な り 、 眞 妄 各 異 に 非 ず し て 何 ぞ や 。 其 不 異 門 に 在 り て は 仁 王 經 の 二 諦 品 に ﹁ 菩 薩 未 成 佛 時 以 菩 提 爲 煩 惱 菩 薩 已 成 佛 時 以 煩 惱 爲 菩 提 ﹂ と 説 く が 如 く 、 迷 ふ 故 に 菩 提 を も 煩 惱 と 見 る 、 悟 る と き は 煩 惱 を も 菩 提 と 見 る な り 。 病 者 は 甜 を 食 し て 苦 と せ し な れ ど も 、 病 差 ゆ れ ば 前 の 苦 即 ち 甜 に し て 、 更 に 別 異 の 法 な き な り 。 迷 妄 に 由 る か 故 に 不 生 死 を 見 て 生 死 と し 、 菩 提 を 見 て 煩 惱 と な せ し か と も 、 迷 病 去 り た れ ば 即 是 涅 槃 菩 提 と 見 る な り 。 迷 病 と は 大 品 經 に ﹁諸 法 無 所 有 如 是 有 り , 如 是 有 如 無 所 有 、 是 事 不 知 名 爲 無 明 ﹂ と 説 く が 如 き 無 明 是 な り 。 此 無 明 あ り で 無 所 有 中 に 於 て 、 横 に 憶 想 分 別 を 起 し , 無 所 得 の 眞 性 に 於 て 、 横 に 有 所 得 の 妄 想 を 起 す 、 故 に 無 爲 法 は 有 爲 法 と 成 り 、 涅 槃 經 に い は ゆ る 一 味 の 藥 り 流 れ に 隨 つ て 六 道 六 種 味 と 成 る な り 、 即 ち 中 道 佛 性 が 六 道 の 心 身 と 成 る な り 。 然 れ ど も 尚 ほ 心 性 不 變 の 方 面 あ り て 、 種 々 の 妄 想 を 翻 か へ し 菩 提 を 得 れ ば 有 爲 法 は 無 爲 法 と 成 る 。 大 論 に い は ゆ る 有 爲 を 離 る れ ば 無 爲 な き の 義 を も 成 す る な り 。 法 華 經 に ﹁ 如 來 如 實 知 見 三 界 之 相 ﹂ と あ る を 天 親 釋 し て ﹁ 衆 生 界 即 涅 槃 界 不 離 衆 生 有 如 來 藏 性 ﹂ と 言 ひ 。 中 論 に ﹁ 生 死 の 實 際 及 以 涅 槃 實 際 如 是 二 際 者 無 毫 釐 差 別 ﹂ と 言 ひ 。 肇 法 師 が ﹁ 道 遠 乎 哉 觸 事 而 眞 。 聖 遠 乎 哉 體 之 即神 ﹂ と 言 へ る 等 を も 成 す る な り 。 此 肇 法 師 の 意 は 水 不 遠 觸 浪 而 水 故 に 波 外 に 水 を 求 む べ か ら ず 水 外 に 波 を 求 む べ か ら ず 波 動 全 く 水 動 な り 、 風 動 に 非 ざ る 故 に 波 即 水 水 即 波 な り と す 。 其 非 不 異 門 に 在 り て は 如 來 藏 體 無 有 生 死 な り 。 相 宗 の 眞 如 は 唯諸 法 の 所 依 な る の み と 言 ふ は 、 此 非 不 異 門 に 偏 倚 し た も の な り 。 然 る に 理 に 於 て は 未 だ 始 め よ り 爲 無 爲 の 二 あ る に 非 ず 、 六 道 常 に 法 身 な り 。 縁 に 於 て は 未 だ □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 八 一

(14)

□ 密 教 研 究 八 二 始 め よ り 無 爲 の 一 な る に 非 ず 、 法 身 常 に 六 道 な り 譬 へ ば 病 眼 人 は 空 に 於 て 恒 に 華 を 見 る 故 に 空 が 華 と 成 る な り 。 不 病 眼 人 は 華 は 恒 に 空 な る を 知 る 。 空 と は 無 法 と 言 ふ に 非 ず 、 無 所 得 な る を 空 と 言 ふ 眼 病 の 故 に 空 即 華 と 成 れ ど も 華 は 空 を 動 せ ず 。 眼 病 差 ゆ る 故 に 華 即 空 と 成 れ ど も 空 は 華 を 動 せ ず 。 一 切 法 の 性 は 無 所 得 空 な れ ど も 世 間 凡 夫 は 顛 倒 し て 有 と 想 ふ 故 に 空 即 有 と 成 る な り 。 聖 人 は 惑 病 癒 ゆ る 故 に 性 空 を 知 り て 有 即 空 と な る な り 。 大 乘 玄 の 八 不 義 に ﹁ 本 性 是 空 但 遇 縁 故 有 、 有 止 還 本 性 故 言 性 空 也 ﹂ と 言 へ る は 此 意 な り 。 斯 く し て 迷 悟 二 人 の 所 見 を 異 に す る 故 に 爲 無 爲 あ る を 得 て 、 之 れ の 二 而 不 二 義 も あ る な り 。 生 死 即 涅 槃 と 云 ふ 如 き は 不 二 の 義 な り 。 寶 窟 下 に ﹁ 藏 體 無 垢 名 自 性 清 淨 隨 縁 染 相 故 云 隱 覆 ﹂ と あ る 如 き は 二 而 の 義 な り 、 非 異 或 は 非 不 異 の 一 方 に 偏 倚 す べ か ら ざ る な り 。 已 上 は 三 論 家 が 眞 如 縁 起 を 立 つ る に 就 て 、 眞 如 と諸 法 と 非 異 非 不 異 を 論 ず る を 出 せ し な り 。 尚 ほ 此 外 に 二 論 家 が 六 大 の 法 性 を 眞 如 と し て 此 よ り 諸 法 を 縁 起 す る と き 、 其 法 性 に諸 法 各 自 の 性德 あ り と す る や 否 や を 辨 せ ば 、 中 觀 論 の 既 に 、 此 之 實 相 是 迷 悟 之 本 。 悟 之 則 有 三 乘 賢 聖 故 涅 槃 云 見 中 道 者 有 三 種 、 下 智 觀 故 得 聲 聞 菩 提 。 中 智 觀 故 得 縁 覺 菩 提 上 智 觀 故 得 無 上 菩 提 。 迷 此 實 相 便 有 六 道 主 死 粉 然 、 故 淨 名 經 云 從 無 住 本 立 一 切 法 一 、 然 實 相 體 含 衆德 無 有 出 法 性 外 用 窮 善 巧 備 一 切 門 と 言 へ り 。 是 に 依 れ ば 法 性 實 相 な る も の は 體 萬德 を 具 し て そ れ よ り 萬 法 の 事 相 が 顯 現 す 。 水 に 波 動 と 結 氷 と の 性德 あ る 故 に 寒 風 の 縁 に 因 り て 波 氷 と 成 る が 如 く な り 。 然 れ ど も 寒 或 は 風 の 縁 に 隨 つ て 氷 と も 成 り 或 は 波 と も 成 る が 如 く 、 堅 或 は 動 に 堅 實 な る 自 性 な き な り 。 無 明 の 縁 に 依 り て は 六 道 と 成 り 、 智 明 の 縁 に 依 て は 三 乘 の 聖 者 と 成 る 。 淨 名 經 に 無 住 の 本 よ り 一 切 法 を 立 つ と 説 け る は 此 事 な り 。 實 相 の 體 に 萬德 を 具 す と 雖 ど も 此德 た る や 無 所 得 中 道 の德 に し て 縁 に 隨 つ て 何 と で も 成 る德 な り 。 然 ら ば 性 善 性 惡 あ り と す る や と 問 は ゞ 有 と 答 ふ べ し 。 然 れ ど も 性 中 の 善 惡 は 融 通 し て 凡 夫 迷 情 の 善 惡 に 非 ず 、 調 逹 善 星 の 惡 及 羅 云 阿 難 の 善 の 如 き な り 。

(15)

此 等 の 善 惡 は 佛 性 の 善 方 便 、 惡 方 便 の 作 用 な り 。 善 星 等 の 惡 は 善 が 惡 の 佛 性 現 れ て 、 惡 が 善 の 佛 性 隱 れ た る な り 。 羅 云 等 の 善 は 惡 が 善 の 佛 性 現 は れ て 、 善 が 惡 の 佛 性 隱 れ た る な り 。 是 故 に 善 星 等 の 惡 は 善 の 惡 な り 、 惡 あ れ ば 善 あ る が 故 な り 。 羅 云 等 の 善 は 悪 の 善 な り 、 善 あ れ ば 惡 あ る が 故 な り 。 此 善 惡 を 同 時 に あ ら し む れ ば 善 が 惡 は 惡 に 非 ず 、 惡 が 善 は 善 に 非 ず 、 非 善 非 惡 な る が 佛 性 の 体 と 言 れ て 、 性 善 性 惡 は 凡 夫 隔 歴 の 善 惡 に は 非 ざ る な り 斯 ぐ の 如 く 情 を 離 れ た 無 自 性 の 法 體 な る 故 に 、 流 轉 門 の と き は 此 性 妄 縁 に 隨 ふ て 凡 夫 迷 情 の 善 惡 と 成 り 。 還 滅 門 の と き は 妄 盡 眞 顯 波 息 水 靜 に て 、 善 惡 融 通 の 法 體 が 他 の 衆 生 の 妄 縁 に 隨 ふ て 善 惡 融 通 の 作 用 を 起 し 、 攝 化 利 生 の 方 便 を 運 ら す の み 。 是 故 三 論 家 で は 、 佛 自 證 の 眞 身 は 、 如 く の 理 、 如 く の 智 、 獨 存 し て 世 諦 な き も の と し 。 金 光 明 経 に ﹁ 佛 眞 法 身 猶 如 虚 空 應 物 現 形 如 水 中 月 ﹂ と 説 く を 採 れ り 。 前 來 云 ふ と こ ろ を 撮 要 し て 言 へ ば 、 三 論 の 六 大 縁 起 は 六 大 の 法 性 を 無 所 得 中 道 の 妙 法 身 と し 、 是 が 迷 悟 の 縁 に 依 り て 、 六 凡 界 及 四 聖 界 の諸 法 と 成 る と 言 ふ 意 ろ な り 。 已 下 正 く 密敎 の 六 大 縁 起 と 比 較 せ ば 、 先 づ 空 大 に 就 て 言 は ん に、 密敎 の 空 大 は 數 論 五 大 中 の 空 大 如 き に 非 ず 、 又 た 勝 論 九 實 中 の 空 大 如 き に も 非 ざ る は 勿 論 、 三 論 に 云 が 如 き の 空 大 に 非 ず 。 大 疏 十 四 卷 に 世 界 成 す る と き は 空 中 に 風 を 起 し 、 風 上 に 火 を 起 し 、 火 上 に 水 を 起 し . 水 上 に 地 を 起 し て 、 空 風 火 水 地 と 云 次 第 な れ ど も 、 世 界 壞 す る と き は 、 地 輪 先 に 壞 し 乃至 但 空 の み 在 り て 地 水 火 風 空 の 次 第 な り と 言 に 依 れ ば 、 空 大 と は 通 例 に 言 ふ 虚 空 に 似 た り 。 然 れ ど も 斯 る 空 は 瓶 空 と 同 じ く 生 滅 の あ る 空 に し て 法 性 の 空 に は 非 ず 。 今 は 法 性 の 空 な り 、 其 性德 は 無 礙 に し て 業 用 は 不 障 な る も の な り 。 斯 る 空 は 物 の 入 る を 礙 ゆ る こ と な く 、 ま た 物 に 障 ら れ て 滅 す る こ と な き な り 。 三 論 で は か ゝ る 空 は 色 法 に 非 ず と 言 な れ ど も 、 今 は 是 が 他 の 色 法 と 倶 に 無 邊 世 界 に 遍 滿 し 、 色 法 と 瑜 伽 即 相 應 し 、 種 々 の 色 法 を 造 る が 故 に 色 法 と す 。 ま た 不 空 三 藏 で は 、 空 大 を 阿 閾 如 來 と し 、 無 畏 三 藏 で は 空 大 を 大 日 如 來 と す る な れ ば 、 三 論 に 云 無 人 格 の 虚 空 と は 異 な □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 八 三

(16)

□ 密 教 研 究 八 四 れ り 。 十 住 心 論 の 初 に 、 歸 命 婀 尾 羅拘 欠 最 極 大 秘 法 界 體 と あ り て 、 五 大 の 眞 言 を 以 て 五 大 を 呼 び た ま へ り 。 婀 等 は 梵 音 を 漢 字 の 音 を 以 て 示 す も の に て 、 此 中 欠 と は 梵 字 何 の 音 な り 。 即 身 義 に は 等 虚 空 者 欠 字 字 相 即 空 大 也 と あ り て 、 此 梵 字 の 字 相 は 等 虚 空 な り 。 等 虚 空 と は 虚 空 に 等 如 す と 言 ふ こ と で 、 之 が 梵 字 何 の 詮 表 す る と こ ろ な り 空 大 と は 法 性 の 大 空 を 指 す 、 こ の 法 性 の 大 空 は 世 の 大 空 の 萬 象 を 悉 具 し て 一 相 を も 漏 さ ず 、 而 も 其 體 寂 然 無 相 な る が 如 く 、諸德 を 具 足 し て 一 相 に も 滯 ら ざ る な り 。 こ の 法 性 の 空 理 が 物 に 彰 る ゝ と き 世 の 虚 空 を 成 す 、 仍 て 法 性 の 空 大 を 等 虚 空 と 言 ふ な り 。 總 じ て 言 へ ば 、 此 空 大 を 無 礙 と 言 ふ は諸 法 を 輪 圓 し て 偏 盛 な ら ざ る が 故 な り 、 ま た 空 大 の 業 用 を 不 障 と 言 ふ も 自 體 無 碍 な る 故 に 亦諸 法 の 爲 に 不 障 の增 上 緑 と な り て諸 法 を 生 長 せ し む る ゆ へ な り 。 法 性 の 色 は 空 有 相 即 す る 中 道 の 眞 色 な り と 言 ふ は 、 法 性 の 眞 色 に諸 法 を 圓 具 し て 偏 倚 せ ざ る 法 性 の 大 空 が 渉 入 し て あ る が ゆ へ な り 。 か ゝ る 大 空 が諸 法 の 體 性 と な り て 法 界 に 周 遍 す る が 故 に 之 を 體 大 の 中 に 入 る ゝ な り 。 相 用 二 大 た る 四 曼 三 密 は 之 よ り 生 す る が ゆ へ に 三 論 宗 に 云 が 如 き 單 に 無 所 得 中 道 の 理 の み に 非 ず 、 ま た 之 に 佛 形 も あ る な り と す 。 彼 三 論 の 説 は 遮 情 の 外 に 表德 な し と し て 遮 情 に 偏 す る も の に て 、諸 法 究 竟 の 實 理 に 非 ず 。 密 教 の 空 大 に も 佛 形 あ り と す る は 遮 情 に 即 す る 表 徳 を 談 る も の な り 、 こ の 遮 表 相 即 は 眞 の 中 道 な る 故 諸 法 の 實 義 に 契 稱 せ り 。 又 た 總 じ て 六 大 の 法 性 に 就 て 言 へ ば 、 密敎 で は 弘 法 大 師 の 吽 字 義 に 、 多 而 不 異 不 異 而 多 故 名 一 如 、 一 非 一 一 無 數 爲 一 、 如 非 如 常 同 々 相 似 、 不 説 此 理 即 是 隨 轉 、 無 盡 寳 藏 因 之 粍 竭 、 無 量 寳 車 於 此 消 盡 、 謂 之 損 減 と 言 へ る は 、 多 法 界 の 旨 義 を 述 た ま へ ど も 、 其 多 法 界 は 同 法 界 に 背 か ざ る の 多 法 界 な る こ と を 示 せ り 。 是 則 前 文 に 燈 光 非 一 冥 然 同 體 と 言 へ る と 意 味 を 聯 絡 し て 多 而 不 異 不 異 而 多 等 と 多 法 界 の 義 を 云 な れ ど も 、 其 多 は ま た 一 に 同 し て 、 一 多 相 即 す る 旨 を も 示 す も の な れ ば な り 。 一 の 火 聚 に 餘 の 三 大 が 渉 入 す る と き 餘 の 三 大 が 火 大 に 同 致 し

(17)

て 倶 に 熱 し て 居 れ ど も 餘 の 三 大 は 自 性 を 失 は ざ れ ば 多 法 界 な り ま た 既 に 一 の 火 大 に 同 致 し た れ ば 多 法 界 は 一 法 界 に 背 か ざ る の 多 法 界 た る が 如 き な り 即 事 而 眞 に し て 現 象 は 實 在 に 異 な ら ざ る と き は 、 六 大 の 體 性 に 於 て も ま た 之 に 同 き こ と は 論 を 待 ざ る な り 。 是 故 に 宥 快 師 が 此 文 を 釋 す る に 左 の 如 く 言 へ り 、 是 雖 多 法 界 不 忘 一 法 界 、 一 法 界 亦 不 忘 多 法 界 、 一 多 渉 入 差 別 平 等 不 二 義 御 釋 候 、 疏 家 差 別 中 解 無 差 別 無 差 別 中 觧 差 別 之 義 、 當 知 是 人 通 達 二 諦 知 眞 言 相 也 。 頼 寳 師 の 本 母 集 第 十 一 卷 の 六 大 体 性 一 異 の 題 下 に 六 大 が 十 界 依 正 の 體 性 で な る も の に て 、 十 界 各 々 本 有 な る 故 に 六 大 に 於 て 各 別 の 體 性 あ り と す る か 密敎 な る こ と を 述 べ 、 最 後 に 此 義 を 難 し て 、 法 界 體 性 自 體 無 相 故 能 造 一 切 法 若 色 若 心 縁 起 無 窮 不 住 一 相 彼 此 平 等 也 、諸 法 體 性 各 各 別 別 而 終 不 混 者 縁 起 無 窮 之 義 不 可 成 立 、 法 若 非 自 在 者 何 名 法 身 大 我 乎 。 と 言 ひ し の み に て 別 に 會 釋 無 か り し が 。 同 く 第 三 十 卷 の 一 多 法 界 の 題 下 に 至 り て 、 初 め に 一 法 界 は 顯敎 所 説 の 一 實 中 道 の 理 な り 、 多 法 界 は 密敎 所 説 の 四 重諸 尊 の 三 昧 な り 。 是 故 に 顯敎 は 通 じ て 眞 理 に 契 同 す る を 究 竟 の 法 身 と し 、 密敎 中 に は 海 會 の諸 尊 に 對 し 本 尊 に 同 す る を 自 證 の 極 位 と す 。 此 義 に 依 り て 密敎 の 實 義 は 多 法 界 を 宗 と 爲 す と 言 ひ 後 に 顯敎 の 一 法 界 は 、 多 に 對 す る 一 な る 故 に 、 一 多 共 に 假 立 に し て 自 立 の 法 な し 。 密敎 の 多 法 界 は 待 對 を 離 る ゝ が 故 に 、 多 相 各 獨 一 に し て 全 體 遍 收 す 。 顯敎 の 意 は 俗 諦 多 種 眞 諦 一 理 の 故 に 一 多 相 對 し て 實 に は 一 多 の 義 を 絶 す 。 總 じ て 之 を 言 へ ば 一 多 共 に 假 立 の 法 に し て 二 諦 同 く 絶 待 の 果 分 に 歸 す 密敎 の 一 多 は 無 碍 に し て 二 義 一 致 し 、 互 に 違 害 せ ざ る 故 に 不 二 一 如 は 全 く 一 多 の 相 を 壞 せ り 。 此 獨 一 法 界 の 中 に 各 々 自 體 を 成 す 。 是 故 に 一 と 言 へ ば 諸 法 全 く 一 な り 、 煩 惱 即 菩 提 、 色 即 心 等 の 一 切 即 一 の 法 門 是 れ な り 。 異 と 言 へ ば 萬 法 悉 く 別 な り 、 一 佛 成 道 す れ ど も 法 界 衆 生 悉 く 成 佛 す る に 非 ず 、 一 人 滅 沒 す れ ど も 同 類 の 衆 生 又 壞 滅 す る に 非 ず 、 各 々 自 性 に 住 し て 水 波 の 相 融 に 同 じ か ら ず 。 此 の 如 く 一 多 無 碍 二 義 一 致 の 故 に 兩 部 理 智 の 体 不 二 に し て 、 二 外 に 一 な く 一 即 二 な り 。 一 多 の 體 別 に し □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 八 五

(18)

□ 密 教 研 究 八 六 て 一 多 は 水 火 の 如 く 相 反 す と 言 ふ は 、 凡 情 の 取 る と こ ろ な り 、 佛 智 は 無 碍 に し て 一 切 法 に 於 て 墨 礙 無 き を 證 得 し た ま へ り 。 佛 智 よ り 見 れ ば 一 多 は 全 く 相 違 す る こ と な き な り 。 然 れ ば 則 ち 二 は 一 を 以 て 躰 と し 、 一 は 二 を 以 て 躰 と す 。 若 未 だ 此 義 に 達 せ ざ る と き は 暫 く 一 を 躰 と し 二 を 用 と す る は 三 部 門 中 佛 部 の 法 門 な り 、 二 を 躰 と し て 一 を 用 と す る は 三 部 門 中 蓮 金 二 部 の 法 門 な り 。 然 る に 絶 待 無 相 の 法 は 相 と し て 具 せ ざ る 無 き 故 に 、 理 智 即 一 の 躰 性 は 鎮 に 理 智 の 二 法 を 成 し て 一 多 の 義 は 各 體 性 同 轍 な り 、 未 だ 曾 て 躰 用 な ら ざ る な り 。 顯敎 の 躰 一 義 殊 と し 、 會 異 歸 同 す る に 同 じ か ら ず 。 密敎 の 實 義 は 相 即 無 相 、 多 即 是 一 、 無 相 即 相 、 一 即 是 多 に し て 大 師 は 分 滿 不 二 即 離 不 謬 と 釋 し た ま へ り と 辨 論 し て あ り 。 即 是 が 第 十 一 卷 の 疑 難 を 通 釋 し て 一 多 法 界 無 碍 の 義 を 立 る に あ り 。 然 れ ば 宥 快 頼 寶 二 師 の 密敎 義 を 見 た ま ふ こ と 同 く し て 、 各 密敎 の 多 法 界 と 言 ふ は 一 法 界 を 礙 へ ざ る の 多 法 界 と し 、 一 多 相 即 し て 顯 教 の 會 異 歸 同 す る に 異 な る の が 顯 密 差 異 の 點 と 解 す る 意 な り 。 此 義 意 に 依 り て 三 論 と 密敎 と の 淺 深 を 判 ず れ ば 彼 三 論 が 六 大 の 法 性 縁 起 を 談 る に 無 住 本 よ り 一 切 法 を 立 つ と 云 ふ て 、 六 大 法 性 の 處 で は 染 淨 二 法 の 定 り た 性 分 な し 、 唯 縁 に 隨 つ て 何 と て も な る も の と 説 て 、 無 所 得 中 道 の 法 性 を 主 張 す る は 、 中 觀 論 の 初 め に 不 生 不 滅 不 斷 不 常 等 と 八 不 を 説 く 意 に 依 順 し た も の に て 、 是 は 吽 字 義 に 、 若 執 非 空 非 有 非 常 非 斷 非 一 非 異 等 阿 字 中 非 義 中 攝 若 執 不 生 不 滅 不增 不 減 等 八 不 等 又 阿 字 中 不 義 中 攝 又 若 執 無 色 無 形 無 言 無 観 等 亦 阿 字 中 無 義 中 攝 亦 宋 會 眞 實 義 並 是 遮 情 之 邊 と 言 へ る が 如 く 、 阿 字 の 字 相 だ け を 説 き 且 つ 阿 字 が 遮 表 不 二 を 顯 す 中 の 遮 の 一 邊 の み を 説 き た る も の な り 。 仍 て 十 住 心 論 及 寶 鑰 に 第 七 住 心 は 漸 入 阿 字 門 な り と 言 つ て 、 阿 字 の 實 義 に 達 せ ざ る も の と し た ま へ り 。 密敎 の諸 法 は 六 大 法 性 の 處 よ り し て 本 有 な り 。 一 法 界 に 即 し て 多 法 界 な り と 言 ふ は 阿 字 の 實 義 た る 遮 表 不 二 の 中 道 を 説 た も の な れ ば 其 淺 深 の 不 同 あ る こ と は 論 を 待 ざ る な り 。 阿 字 は 六 大 法 性 の 義 を 詮 顯 す る も の に し て 、 而 も 六 大 法 性 と 別 な る も の に 非 ず 。 此 阿 字 が 中 道 の 義 を 詮 表

(19)

す る の が 六 大 法 性 の諸 法 を 本 有 せ る を 顯 す が ゆ へ に 、 即 身 義 に は 阿 字諸 法 本 不 生 義 と 言 へ り 。 中 道 義 が 云 何 が諸 法 本 有 の 義 を 顯 は す や と 言 ふ に 、 諸 法 の 因 縁 生 な る 邊 は 無 自 性 即 ち 一 定 の 性 な き 故 に 空 の 義 あ り 。 然 る に 其 一 定 の 性 な き は 其 体 が 萬 有 を 具 す る に 由 る 邊 は 有 な り 、 斯 く 無 自 性 の 故 に 萬 有 を 具 す 、 萬 有 を 具 す る が 故 に 無 自 性 な り 。 空 の 當 体 に 有 あ り 、 有 の 當 体 に 空 あ り て 、 空 有 何 れ に も 偏 倚 せ ぬ が 中 道 な り 。 是 故 に 中 道 は諸 法 本 有 の 義 を 顯 は す な り 。 彼 三 論 家 は 無 自 性 空 の 義 の み を 説 ひ て 、 無 自 性 空 は諸 法 本 有 に 由 る こ と を 言 ざ る は 遮 情 の 一 邊 に 偏 す る も の な り 。 無 自 性 空 と 説 て 遮 情 す る は 、 其 空 の 當 体 に 萬 有 を 本 具 す る を 表 顯 せ ん 爲 め な り 。 阿 字 が 遮 情 門 で は 出 過 語 言 道 な る を 示 し つ ゝ 、 表德 門 で は 遠 離 於 因 縁 な り 。諸 法 を 本 有 し て 能 詮 の 言 語 文 字 ま で も 本 有 す る を 顯 す は 此 空 有 相 即 中 の 道 を 示 す も の な り 。 然 れ ば 三 論 の 唯 遮 情 な る は 、諸 法 の 源 底 を 盡 さ ず し て 淺敎 な り 蜜 教 の 遮 表 不 二 な る は 、諸 法 の 奥 底 を 盡 し て 深敎 な も と 言 ざ る を 得 ず 。 抑諸 法 本 有 と 言 ふ は 六 大 法 性 に 十 界 依 正 各 々 の 性 分 あ る こ と に て 、 此 性 分 た る や 、 法 相 宗 に 云 が 如 き諸 法 各 々 の 種 子 と す る に 非 ず 。 微 細 な る 現 行 の 色 心 依 正諸 法 が 本 有 な る を 性 分 と 云 。 若 又 起 信 論 に 云 が 如 き 非 染 非 淨 非 凡 非 聖 な る 絶 相 の 一 理 法 性 が 隨 縁 し て 諸 法 と な る と せ ば 、 但 遮 情 の み あ り て 表德 な き 故 に 、 遮 照 不 二 な る 中 道 に 契 符 せ ず 。 是 故 に 六 大 の 法 性 は 十 界 の 凡 聖 別 々 の 性 分 あ り と す 。 然 ら ば 法 性 は 隔 歴 の も の と す る や と 言 ふ に 、 凡 聖 各 々 の 性 分 あ り と 雖 ど も 互 に 渉 入 無 碍 な る が 故 紅 隔 歴 せ ざ る な り 。 例 せ ば 六 大 色 心 の 法 性 は 各 別 に し て 、 而 か も 互 に 渉 入 無 碍 に し て 隔 歴 せ ざ る が 如 く な り 。 十 界 は 色 心 の 外 な し 、 六 大 色 心 の 法 性 各 別 に し て 隔 歴 せ ざ る な ら ば 、 十 界 凡 聖 各 々 の 性 分 も 互 に 渉 入 し て 隔 歴 せ ざ る べ き な り 。 現 象 界 に 於 て は 、 色 は 質 碍 有 對 、 心 は 無 對 無 見 な れ ど も 六 大 の 法 性 即 實 體 界 に 於 て は 、 何 れ も 無 礙 の德 あ り て 衆 多 の 六 大 法 性 が 無 碍 渉 入 す 。 吽 字 義 に 燈 光 非 一 冥 然 同 体 と 言 へ る は 此 義 を 示 す 。 是

密敎

□ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 八 七

(20)

□ 密 教 研 究 八 八 の に し て 多 法 界 を 妨 げ ざ る の 一 法 界 な り 、 顯敎 の 混 同 一 味 を 云 ふ て 多 法 界 を 簡 去 す る も の と は 同 じ か ら ざ る な り 。 斯 く 六 大 法 性 に 本 有 せ る 十 界 の 性 分 が 互 に 無 碍 渉 入 し て 、 法 界 即 多 法 界 な る が 故 に 六 大 法 性 の 源 底 か ら し て 十 界 互 具 な り 。 然 る に 一 界 に 六 大 あ り て 十 界に は 六 十 大 あ り 、 且 つ 十 界 の 各 種 類 萬 差 な れ ば 一 界 に 於 て も 無 邊 の 六 大 あ る べ し 隨 て 其 方 圓 等 の 形 ち も 無 量 な る べ し 。 如 何 か し て 一 衆 生 の 形 ち を 成 す べ き や と 疑 殆 す る も の あ ら は 、 通 曉 し て 謂 は く 、 六 大 に 同 類 無 碍 異 類 無 碍 あ り 、 同 類 無 礙 て 言 へ ば 、 十 界 各 々 の 地 大 は 地 大 と て 無 礙 渉 入 し 、 水 大 は 水 大 と て 無 碍 渉 入 す る 故 に 六 十 大 或 ば 無 量 の 六 大 あ る と も 、 一 衆 生 六 大 の 形 ち を 成 す べ き な り 。 異 類 無 礙 で 言 へ ば 、 十 界 各 々 の 地 大 と 水 大 と 無 礙 渉 入 し 、 水 大 と 火 大 と 無 礙 渉 入 せ ば 、 十 界 互 具 し て 無 量 無 邊 の 六 大 あ る と も 一 衆 生 六 大 の 形 ち と 成 る な り 。 是 故 に 彼 華 嚴 經 の 第 十 八 卷 に 心 佛 衆 生 是 三 無 差 別 を 説 く を は 、 華 嚴 家 は 、 探 玄 記 六 に 心 を 能 造 と し 、 佛 と 衆 生 と を 所 造 と し , 此 三 法 の 性 は 唯 一 本 覺 の 眞 心 な る を 是 三 無 差 別 と 解 す る な れ ど も 、 天 台 家 は 、 法 華 玄 義 二 之 上 に 心 佛 衆 生 の 三 法 各 々 十 界 三 千 の諸 法 を 圓 具 し て 妙 法 な る を 、 是 三 無 差 別 と 説 く と 釋 せ り 今 密 教 の 多 法 界 義 は 此 後 解 に 同 じ く し て 、 本 覺 の 眞 心 に も 十 界 六 大 の 法 性 が 渉 入 し 、 佛 衆 生 に も 十 界 の 六 大 法 性 が 無 礙 渉 入 し て 居 る を 、 是 三 無 差 別 と 説 く も の と す る 意 な り 。 蓋 し 三 論 家 よ り 難 し て い は ん 、 十 界 の 六 大 法 性 が 同 類 異 類 と も に 渉 入 す る は 、 我 家 に 法 性 は 虚 空 の 非 有 非 有 な る に 同 く 中 道 な り と 言 が 如 く 、 法 性 は 空 有 相 即 の 中 道 に し て 、 元 と 無 礙 の 法 な る に 由 る も の な る べ し 。 若 堅 實 な る 自 有 の 性 な ら ば 、 他 性 の 渉 入 す る を 許 さ ゞ る べ し 。 許 せ ば 自 他 の 性 を 分 た ぬ 故 な り 、 既 に 他 性 の 入 る を 妨 げ ざ る は 、 法 性 な る も の は 空 有 相 即 の 中 道 法 に し て 一 法 界 と も 成 る の 義 あ る べ し 。 又 た 即 事 而 眞 に し て 現 象 は 實 在 に 同 し 、 現 象 で は 身 心 は 相 關 の 實 例 あ り 、 是 よ り 視 る に 即 身 義 に 心 色 雖 異 其 性 即 同 と 言 へ る 如 く 、 法 性 は 色 心 不 二 の 義 あ る べ し 。 何 ぞ 唯 多 法 界 義 を つ の る や と 。 密 家 會 し て 云 く 、 三 を 妄 不 斷 而 斷 す

(21)

る に 、 而 二 の 隔 執 を 除 く 故 、 多 法 界 と 雖 ど も 一 法 界 を 離 す に 非 ず 、 六 無 畏 中 の 法 無 我 無 畏 に は 、 法 執 を 離 脱 す る 故 に 、 多 法 界 と 雖 ど も 一 法 界 を 嫌 去 す る に は 非 ず 。 宥 快 師 が 吽 字 義 の 多 而 不 異 不 異 而 多 故 名 一 如 一 非 一 一 無 數 爲 一 と 言 へ る を 釋 し て 、 一 多 法 界 互 に 忘 れ ざ る の 義 を 明 す と 解 せ る が 如 き な り 。 若 永 く 而 二 門 を 執 せ ば 情 謂 の 多 法 界 に し て 表德 の 多 法 界 に 非 ず 、 表德 の 多 法 界 は 十 住 心 論 の 第 三 卷 に 深 秘 釋 を な し て 、﹁ 若 入 阿 字 門 悉 離 一 切 相 、 離 相 之 相 無 相 不 具 、 是 則 法 身 普 現 色 身 ﹂ と の だ ま ふ 如 く 、 一 法 界 に 即 し て 多 法 界 を 見 る も の な り 。 體 大 の 位 に は 種 三 尊 一 體 無 二 に し て 之 を 字 門 と 見 れ ば 阿 等 の 六 字 な り 、 之 を 三 形 と 見 れ ば 方 圓 等 の 形 な り 、 之 を 尊 形 と 見 れ は 相 好 具 足 の 佛 體 な り 、 之 に 准 す る に 十 界 の 體 性 を 具 す る に 個 々 別 々 の 體 性 あ る に 即 し て 、 ま た 和 同 こ て 一 と 成 る の 方 面 あ り 、 一 の 當 位 に 即 し て 個 々 別 々 の 體 性 歴 然 と し て あ る な り 。 一 火 聚 中 に 四 大 歴 然 と し て あ れ ど も 餘 の 三 大 は 火 に 和 同 し て 唯 一 の 火 聚 と 成 り 、 唯 一 の 火 聚 と 成 れ ど も 各 其 自 性 を 失 は ず し て 四 大 の 性 歴 然 と し て 存 在 す 。 十 界 六 大 の 法 性 亦 復 た 然 る べ き な り 、 前 五 大 と 識 大 と の 性 に 六 凡 四 聖 身 心 の 性 を 別 々 に 具 す れ ど も 、 人 間 と 成 れ ば 人 間 の 性 に 和 同 し て 、 唯 一 人 間 の 身 心 と 成 る 。 然 に 其 人 間 の 性 に ま た 六 凡 四 聖 別 々 の 性 あ る 故 に 、 十 惡 を 以 て 人 間 の 身 心 と 生 れ 出 る 能 は ず 。 人 間 に 生 れ 出 る に は 、 必 ず 五 戒 十 善 の 縁 あ る を 要 す 。 五 戒 十 善 を 以 て 上 二 界 の 人 と 成 る 能 は ず 、 上 二 界 の 人 と 成 る に は 、 必 ず 四 禪 定 四 空 處 定 が 入 用 な り 。 別 々 の 性 な く は 何 ぞ 斯 く の 如 く 別 々 の 縁 を 待 つ て 顯 發 す る も の な ら ん や 。 是 よ り 視 る に 、 密敎 ば 萬 有 の 實 體 を 定 む る に 一 多 法 界 相 即 と し て 、 近 世 哲 學 が 言 ふ が 如 く 一 元 論 二 元 論 に 偏 倚 す る も の に 非 ず 。 一 多 何 れ か に 偏 せ ば 迷 情 の 所 取 に し て 、 萬 有 の 實 體 に 符 に 非 ず 。 阿 字 は 宇 宙 萬 象 の 實 在 を 詮 表 す る に 、 遮 表 不 二 の 中 道 を 以 て す 。 遮 表 不 二 の 中 道 に 非 ず は 宇 宙 萬 有 の眞 相 實 體 を 説 明 す る こ と 能 は ざ れ ば な り 。 近 く 吾 人 の 身 心 は 六 大 よ り 成 り て 、 是 れ の 法 性 に 十 界 凡 聖 の 性 相 を 具 有 す 。 中 に 於 て 聖 性 が 隨 縁 □ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 八 九

(22)

□ 密 教 研 究 九 〇 の 方 で は 凡 性 に 和 同 し て 凡 夫 と な れ ど も 、 不 變 の 方 で は 其 凡 夫 成 染 の 當 躰 に 治 染 の 義 あ り 。 凡 性 が 隨 縁 の 方 で は 聖 性 に 和 同 し て 聖 者 と 成 れ ど も 、 不 變 の 方 で は 自 性 不 改 な り 。 各 自 性 不 改 な れ ど も 其 當 躰 に ま た 不 守 自 性 隨 縁 の 義 あ る か 故 に 、 半 迷 半 悟 の 過 失 な き な り 。 我 等 が 識 大 で 言 へ ば 、 貪 煩 惱 に 凡 聖 の 性 を 具 備 し て 、 其 凡 性 が 隨 縁 し て 聖 性 に 和 同 す る と き は 、 初 め 凡 夫 愛 見 の 慈 悲 が 終 に は 進 ん で諸 佛 同 體 の 大 悲 と 成 る な り 。 聖 性 が 隨 縁 し て 凡 性 に 和 同 す る と き は 、 元 と 圓 明 の 果 智 た る 大 圓 鏡 智 も 、 下 り て 今 日 一 念 縁 境 の 黎 耶 識 と 成 り 。 と も諸 法 を 不 謬 に 明 察 す る 妙 觀 察 智 も 、 下 り て 今 日 僅 か 邪 正 を 分 別 す る 第 六 意 識 と 成 れ り 。 是 が 爲 め に 、 も と の 法 性 海 に 還 歸 す る を 要 す る こ と を 示 す が 、 金 剛 界 從 因 至 果 の 法 門 な り 。 然 る に 不 變 の 方 で は 、 聖 性 が 凡 性 を 自 己 に 順 は せ ん と て 、 第 六 意 識 の 分 別 心 と 成 り た る も の に て 、 此 心 よ り 凡 性 が 垂 性 に 順 は せ ら る ゝ な り 。 即 是 が 金 剛 界 に 從 果 向 目 の 義 を 包 含 す と 云 所 以 な り 。 胎 藏 界 は 聖 性 が 不 變 の 方 に て 、 も と 法 性 海 に は 儼 然 た る 佛 身 佛 智 あ り て 、 是 と 共 存 せ る 凡 性 の 生 死 海 に 流 浪 す る を 解 脱 せ し め ん と て 凡 性 に 隨 應 し て 凡 身 を 現 じ た が 今 日 の 我 等 に し て 、 我 等 は 中 臺 自 性 法 身 の 應 現 な り と す 、 之 に 依 り て 貽 藏 界 は 從 果 向 因 の 法 門 な り 。 然 れ と も 既 に 凡 性 が 而 二 の 隔 執 を 起 し て 生 死 海 に 流 浪 せ し を 救 ふ て 、 不 二 果 分 の 性 海 即 ち 中 臺 に 還 歸 せ し め ん 爲 め に 、 從 本 垂 跡 せ し と 言 ふ な れ ば 、 凡 性 の 方 に 續 け ば 、 外 金 剛 部 よ り 中 臺 に 入 る と 云 從 因 至 果 の 法 門 を 含 有 す る も の な り 。 是 故 に 密 家 で は 、 十 界 の 人 を 判 す る に 、 各 々 權 實 に 通 す と し て 今 日 の 我 等 は 凡 性 の 方 よ り 言 へ ば 、 凡 性 よ り 出 た る 實 迷 の 衆 生 な れ ど も 、 聖 性 の 方 よ り 言 へ ば 、 聖 性 が 凡 性 に 隨 應 而 現 し て 、 迷 染 を 治 す る 相 な る 故 に 権 者 な り と す 。 又 た 佛 界 は 聖 性 の 方 よ り 言 へ ば 、 聖 性 よ り 現 は れ た る 實 悟 の 人 な れ ど も 、 凡 性 の 末 よ り 言 へ ば 、 凡 性 か 聖 性 に 和 同 し て 覺 相 を 示 現 し た る な れ ば 、 權 人 な り と す 。 斯 く し て 迷 悟 不 二 權 實 同 體 な る か 故 に 、 曼 荼 羅 中 に 實 迷 の 衆 生 も あ る こ と を 得 て 、 實 迷 の 當 体 が 大 日 の 普 門 示 現 な れ ば 、 我 即 大 日 、 娑 婆 即 密 嚴 の 安 心 に 住 せ し む る

(23)

が 密 家 の 所 立 な り 。 然 れ ば 密 教 の 凡 聖 不 二 權 實 同 體 の 安 心 よ り 云 ふ て も 、 單 に 而 二 多 法 界 主 義 に 非 ず 、 多 法 界 に 即 し て 不 二 一 法 界 の 義 あ る ゞ き な り も と よ り 凡 聖 十 界 の 性 を 互 具 し て 、 各 隨 縁 門 で は 他 に 和 同 順 應 す れ ど も 、 不 變 門 で は 不 動 本 性 な る 故 に 、 一 法 界 に 即 し て 多 法 界 の 六 大 縁 起 あ る に 背 か ざ る が 、 密敎 義 な り 。 三 論 宗 の 混 同 一 昧 の 法 性 縁 起 を 偏 談 す る も の と は 遙 に 異 れ り 、 彼 は 唯 遮 情 の 法 門 、 此 は 遮 表 相 即 し て 表德 を 實 顯 す る 法 門 な り 、 彼 此 の 教 理 に 淺 深 の 差 あ る こ と 知 る べ き な り 。 ( 未 完 ) □顯 密 二 教 の 比 較 研 究 九 一

参照

関連したドキュメント

綱伽染均 謝αo阯 硲0晒oo阯鋤4柳 蜘蜘 謝卿

 21世紀に推進すべき重要な研究教育を行う横断的組織「フ

突然そのようなところに現れたことに驚いたので す。しかも、密教儀礼であればマンダラ制作儀礼

仏像に対する知識は、これまでの学校教育では必

いない」と述べている。(『韓国文学の比較文学的研究』、

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

Analysis of the results suggested the following: (1) In boys, there was no clear trend with regard to their like and dislike of science, whereas in girls, it was significantly

Facsimile-edition of the Latin Charters prior to the ninth century, part XV, France III, Dietikon/ Zürich, 1986.. eds., Chartae