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密教研究 Vol. 1922 No. 8 001瀬成 世眼「顕密二教の比較研究 P1-31」

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(1)

四 天 台 圓 教 と 比 較 ( つ ゞ き ) 後 に 正 し く 密 教 の 説 を 述 べ て 比 較 せ ん に 、 顯 密 と は 弘 法 大 師 の い は ゆ る 九 顯 一 密 な り 。 若 し 慈 覺 大 師 蘇 悉 地 經 疏 第 一 に 顯 の 一 乘 教 を 唯 埋 秘 密 と し 、 大 日 如 來 所 説 の 両 部 大 經 を 理 事 倶 密 と す る に 依 れ ば 、 天 台 圓 教 は 秘 密 中 に 八 る 。 然れ ど も 今 は 顯 の 一 乘 を 顯 教 と し て 、 理 事 倶 密 の 密 教 と 比 較 研 究 せ ん と 欲 す 。 唯 理 祕 密 は 華 嚴 法 華 等 の 如 く 眞 俗 二 諦 融 即 せ る 妙 理 を 説 け ど も 、 之 を 證 得 す る 三 密 の 行 法 を 明 さ 丶 る な り 。 理 事 倶 密 は 、 世 俗 勝 義 の 融 即 せ る 妙 理 を 説 く は 勿 論 、 尚 ほ 之 を 證 得 す る 三 密 の 行 法 を 明 せ り 。 是 故 に 所 證 の 圓 理 を 説 く は 彼 此 異 な ら ざ る も の 尠 か ら ざ る な り 。 今 は 哲 理 の 異 同 淺 深 を 研 究 す る を 目 的 と す 第 一 に 、 六 大 五 陰 の 開 合 に 就 て 辯 ぜ ば 、六 大 と 五 陰 と は 開 合 の 異 と す る こ と は 同 じ 、 其 旨 所 々 に 出 た り 。 六 大 は 物 質 界 を 開 い て 精 神 界 を 合 し 、 五 陰 は 精 神 界 を 開 い て 物 質 界 を 合 す 。 又 六 大 も 五 陰 も 、 心 王 を 合 す る は 同 じ こ と な り 。 是 は 台 家 に 依 れ ば 、 九 識 體 一 に 由 る と す る 意 う な り 、 密 家 に 依 " ば 一 尊 心 王 五 佛 心 王 、 九 尊 心 王 の 法 柑 あ り て 、 九 識 體 別 に 即 し て 九 識體 一 の 義 あ り 、 由 て 合 門 を 取 れ り と 云 ふ 意 ろ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 な り 、 亦 台 家 に は 一 念 三 千 の み な ら ず 、 色 具 三 千 の 義 あ り て 、 唯 色 唯 心 何 れ で も 言 は る ゝ と す る 故 に 、 合 せ ば六 大 五 陰 の 何 れ の 一 に て も 合 せ ら る ゝ も の と す 。 密 家 も 六 大 各六 大 を 具 し て 、 他 の 五 大 の 八 り 來 る を 待 た ぬ と す る な れ ば 、 六 大 五 陰 の 何 、れ の 一 に て も 合 せ ら る ゝ も の と す る こ と は 同 一 樣 な り 。 又 台 家 は 、 大 佛 頂 經 の 地 水 火 風 空 根 識 の 七 大 説 を 用 ゆ る は 、 別 に 相 大 を 立 て ざ る に 由 る 、 密 家 は 別 に 相 大 を 立 て ゝ 六 根 差 別 せ る 如 き は 相 大 中 に 攝 む 。 是 故 に 體 大 は 六 大 な る 説 を 取 れ り 。 亦 た 台 家 で は 玄 義 釋 籤 八 下 ( 十 四 丁 ) に 、 法 性 實 相 な る も の を 、 有 門 で は 妙 有 眞 善 妙 色 と 言 ひ 、 生 門 で は 如 々 涅 槃 と 言 ひ 、 雙 亦 門 で は 如 來 藏 中 道 埋 心 と 盲 ひ 、 雙 非 門 で は 第 一 義 諦 寂滅 と 名 け ら る ゝ も の と す 。 密 教 で は 、 四 門 に 依 り て 種 々 に 名 け ら る ゝ こ と を 詳 言 せ ざ れ ど も 、 祕 藏 記 に 五 輪 の 塔 を 名 て 、 眞 如 法 性 如 來 藏 性 と 爲 す と 言 へ る に 依 れ ば 、六 大 を 眞 如 と も 如 來 藏 性 と も 名 く る 意 う な り 。 而 し て 天 台 で は 妙 有 と 言 ひ 如 來 藏 と 名 く と し て 唯 空 漠 た る も の に 非 ず 、 十 界 の 諸 法 宛 然 と し て 攝 在 す る も の と 爲 す 。 密 教 も 眞 如 な る も の は 但 寂 に 非 ず 、 十 界 の 諸 相 を 融 妙 に 圓 具 す る も の と 爲 せ り 。 天 台 を 遮 情 門 と 爲 す こ と の あ る は 、 五 相 三 密 の 行 法 を 説 か ざ る よ り 起 り た る 貶 斥 の 語 な る べ し 。 單 に 遮 情 門 の み で は 、 三 惑 を 蕩 除 す る 能 は ざ る 故 、 必 ず 表 徳 門 も あ る も の な り 。 又 第六 の 識 大 に 就 て 、 天 台 で は 、 妙 玄 釋 籤 五 下 ( 三 十 八 右 ) 報 通 三 識 の 下 に 、 菴 摩 羅 識 即 眞 性 軌 阿 黎 耶 識 即 觀 照 軌 阿 陀 那 識 即 資 威 軌 と 言 ふ て 、 九 識 建 立 の 意 味 を 示 す ま で に し て . 別 に 委 し く 明 さ ゞ り き 。 然 る に 密 教 で は 、 秘 藏 記 に 不 動 二 第 九 己 上 其 餘 十 佛 刹 麈 數 一 切 心 王 攝 識 是 謂 十 識 是 多

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一 切 一 心 識 と 言 ふ て 、 八 葉 九 尊 外 の 心 王 諸 尊 も 、 中 臺 心 王 に 攝 め て 一 識 を 爲 し 、 是 を 一 切 一 心 識 と 名 け て 第 十 識 と す 。 通 例 心 王 は 九 識 、 心 所 は 五 十 一 と す る な れ ど も 、 王 所 相 封 は 重 々 に し て 、 九 識 己 外 の 尊 を 心 王 と す る こ と あ り 、 此 等 心 王 と 他 の 心 王 と 一 切 心 王 を 、 第 九 の 一 識 に 振 め た る を 、 一 切 一 心 識 と も 多 一 識 と も 名 く 。 何 故 斯 く す る ぞ と な れ ば 、 一 切 心 王 心 數 の 諸 尊 は 、 皆 自 性 所 成 な る が 故 な り 。 此 等 十 識 は 一 々 心 の 中 の 十 識 な り 、 然 れ ば 十 識 は 九 識 の 心 々 所 の 外 な く し て 、 台 家 の 九 識 建 立 と 同 じ こ と な り 。 蓋 し 最 勝 王 經 の 開 題 に 、 釋 大 衍 論 説 十 識 大 日 經 王 説 二 無 量 識 と 言 へ る な れ ば 、 九 識 己 外 に 無 量 の 心 識 あ り と す る な ら ん と 疑 難 せ ば 、 答 へ て い は ん 、 即 身 義 に 心 數 心 王 過 塵 刹 各 具 五 智 無 際 智 と 言 へ り 、無 際 智 は 義 を 以 て 心 數 の 無 量 無 數 な る を 言 ふ 、 准 知 す る に 、 心 王 も 五 智 に し て 九 識 な れ ど も 、 是 れ 相 應 法 に し て 必 ず 心 所 を 有 す 、 此 心 所 ま た 互 に 相 應 し て 心 王 の 徳 あ り 、 ま た 所 縁 の 境 の 無 量 な る に 應 じ て 、 各 々 別 々 に 能 縁 す る も の あ り と せ ば 、 無 量 心 識 あ る を 成 す 。 是 故 に 義 立 の 心 識 あ り と し て 、 無 量 に 識 を 説 く と 言 ふ 意 な り 。 若 し 實 に 九 識 外 に 心 王 あ ら ば 、 各 具 五 智 と 五 智 に 限 る こ と は な ら の な り 。 是 故 に 九 識 を 立 つ る こ と は 台 家 と 同 く し て 、 彼 よ り 優 る と こ ろ は 九 識 の 王 所 を 義 を 以 て 數 多 に 分 け 、 五 佛 九 尊 海 會 の 諸 尊 と し て 、 心 識 の 實 相 を 精 密 に し た の が 長 所 な り 。 第 二 に 、 六 大 の 體 性 に 就 て 言 へ ば 、 天 台 は 前 號 に 辯 じ た る が 如 く 、 色 心 の 法 性 倶 に 三 諦 な り と す る 所 以 は 、 光 明 玄 記 下 な 升 ) に 、 語 遣 情 則 三 諦 倶 亡 論 顯 理 則 三 諦 倶 照 と 言 ひ 、 止 觀 輔 行 五 (九丁 ) に 不 約 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 四 三 諦 攝 理 不 周 と 言 ふ が 如 く 、 理 體 を 顯 示 す る に は 必 ず 三 諦 な り と 言 ふ ゆ へ な り 。 理 體 と は 、 六 大 法 性 に 不 變 と 隨 縁 と あ る 中 で 、 不 變 を 理 體 と 名 く 。 法 性 を 三 諦 と す る 故 に 、 輔 行 三 (四左 ) に 著 泯 著 照 無 班 法 性 法 性 之 體 離 泯 照 故 全 浪 是 照 と 言 へ り 。 法 性 の 三 諦 は 融 即 し て 三 の 別 相 な き に つ け ば 、 三 諦 を 泯 亡 す れ ど も 、 其 徳 用 に つ け ば 三 諦 の 義 別 あ り て 三 諦 を 雙 照 す べ き な り 。 是 故 に 泯 照 倶 に 法 性 な り と し て 、 法 性 は 三 諦 な る を 示 せ り 。 又 法 性 を 三 諦 と す る が 故 に 、 藏 通 二 教 扁 眞 の 法 性 に 異 り て 、 三 千 の 諸 注 を 圓 具 す 。 三 惑 だ に 淨 除 せ ば 三 千 融 攝 の 相 が 實 現 す 。 法 華 の 方 便 品 に 是 法 性 法 位 世 間 相 常 住 を 説 け る も 、 法 性 に 三 千 の 諸 法 を 圓 具 す と し て 示 し た ま へ た も の な り 。 ま た 法 性 の 三 諦 は 融 即 す る 故 に 、 理 性 の 常 體 が 即 ち 三 千 の 事 注 を 融 攝 し て 、 理 即 事 事 即 理 な り と す 。 妙 樂 の 記 廿 五 (十 二 丁 ) に 寂 光 理 土 を 釋 す る に 、 常 寂 光 土 端 醜 斯 亡 と 言 へ る は 、 法 性 の 空 諦 即 ち 染 碍 の 情 相 な き を 云 ふ 、 注 性 の 假 諦 に つ け ば 、 此 染 碍 の 情 相 を 離 る ゝ 常 體 に 性 具 微 妙 の 三 千 性 相 が あ り て 、 一 相 孤 寂 な る に は 非 ざ る な り 。 密 教 の 六 大 法 性 も 、 空 假 中 の 三 諦 融 即 し て 、 三 千 の 性 相 を 圓 具 す る も の と す 。 云 何 が し て 此 を 知 る や と 言 ふ に 、 六 大 の 法 性 に 種 三 尊 あ り て 、 其 種 子 に 六 大 の 種 子 あ り て 、 阿 縛 羅 訶 欠 吽 と 云 ふ 。 阿 字 は 空 有 不 生 の 三 一義 あ り て 融 即 す 。 空 有 不 生 即 ち 察 假 中 の 三 諦 な り 。 有 と は 凡 夫 妄 執 の 有 に 非 ず 、 空 に 即 す る の 有 な る が 故 に 假 の こ と な り 。 ま た 不 生 と は 、 空 有 相 即 す れ ば 中 道 本 有 の 義 あ る が 故 に 、 中 の こ と を 不 生 と 言 ふ な り 。 即 身 義 所 引 の 大 日 經 に は 、 阿 字 を た ゞ 本 不 生 と 言 ふ て あ る は 、 本 不 雄 と は 三 諦 相 即 の 處 に

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あ る 義 な る が ゆ へ な り 。 此 阿 字 の 轉 釋 を 見 て も 、 阿 字 の 三 諦 は 融 即 の 三 諦 な る こ と が 知 ら る ゝ な り 。 大 疏六 の 解 に 依 れ ば 、 縛 等 の 五 字 は 阿 字 を 轉 釋 し た も の に て 、出 二 過 語 言 道 一 と は 縛 字 の 義 な り 。諸 法 が 三 諦 相 即 し て 本 不 生 即 ち 鎔 融 無 碍 な る を 覚 る は 佛 の 自 證 な り 、 自 證 の 法 は 言 説 名 字 の 及 ぶ と こ ろ に 非 ざ る が 故 に 出 過 語 言 道 と 言 ふ 。 諸 過 得 解 脱 と は 羅 字 の 義 な り . 諸 過 と は 一 切 の 妄 想 分 別 な り 、 即 ち 是 れ 生 滅 斷 常 一 異 去 來 等 の 種 々 戯 論 な り . 諸 法 の 三 諦 融 即 し て 本 不 生 な る 實 相 を 覺 了 す れ ば 、 斯 く の 如 き 一 切 妄 想 分 別 を 解 脱 す る が 故 に 、 諸 過 得 二解 脱 一 と 言 ふ 。 遠 離 於 因 縁 と は 訶 字 の 義 な り 、 諸 法 の 三 諦 相 即 せ る は 因 縁 所 生 法 な る に 由 る 。 因 縁 所 生 法 な ら ば 無 自 性 な り 、 無 自 性 な る は 一 に 諸 を 具 す る に 由 り て 、 一 定 の 性 無 き も の 即 ち 無 自 性 の 法 と な れ り 。 是 則 ち 空 の 當 體 術 な る も の に し て 、 無 自 性 の 當 體 万 有 な る も の な り 。 諸 法 本 有 本 不 生 と は こ の こ と な り 。 本 有 本 不 生 な る 故 に 、 因 縁 合 し て 生 ず と も 今 始 め て 生 ず る に 非 ず 、 因 縁 離 し て 滅 す と も 亦 今 實 滅 し た る に 非 ず 、 是 を 遠 離 於 因 縁 と 云 ふ 。 諸 法 の 三 諦 相 即 を 知 れ ば 諸 法 の 本 有 無 爲 を も 證 得 す れ ば な り 。 知 空 等 盧 空 と は 欠 字 の 義 な り 、 上 の 空 字 は 法 性 の 大 空 な り 、 下 の 虚 空 は 所 譬 の 大 虚 空 な り 、 法 性 の 大 空 は 寥 廓 と し て 一 相 に も 滯 ら ざ る な り 。 此 妙 空 の 理 が 物 に 彰 る ゝ と き は 、 萬 像 を 具 し て 一 相 に も 滯 ら ざ る 虚 空 と 成 る 、 是 故 に 知 空 等 虚 空 と 云 ふ 。 大 疏六 の 意 に 依 れ ば 、 阿 字 本 不 生 は 畢 竟 空 (法 性 の 大 空 に 同 じ ) の 義 に し て 、 自 性 淨 と 無 邊 際 と 無 分 別 な る を 以 て 、 此 三 徳 を 有 す る 虚 空 に 壁 ふ 。 本 不 生 の 義 の 遮 情 で は 、 言 語 心 慮 不 可 得 な り 、 是 は 大 虚 の 一 切 染 汚 が 汚 す こ と 能 は ざ る 如 く に し 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 五

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顕 密 二 教 の 比 較 研 究 六 て 、 自 性 淨 な り 。 本 不 生 の 義 は 、 横 に 十 方 竪 に 三 世 に 貫 徹 し て 、 大 虚 の 横 竪 に 無 邊 際 な る 如 く な る 故 に 無 邊 際 な り 。 本 不 生 の 理 は 生 佛 依 平 等 一 如 な る こ と 、 虚 空 の 無 差 別 な る 如 く に し て 、 無 分 別 の 義 あ り 。 又 表 徳 で は 、 本 不 生 の 法 は 煩 惱 菩 提 生 死 涅 槃 邊 邪 中 正 空 有 偏 圓 皆 是 自 心 佛 の 密 號 に し て 、 既 に 是 佛 徳 な る 故 に 自 性 淨 の 義 あ り 。 又 本 不 生 の 法 は 塵 々 法 々 不 生 不 滅 に し て 、 十 方 三 世 に 通 じ 、 諸 法 一 々 が 各 々 衆 徳 を 具 し て 無 邊 際 な り 、 赤 無 分 別 な り 、 是 の 故 に 虚 空 に 喩 ふ 。 斯 く の 如 く 、六 大 法 性 に あ る 阿 字 が 、 諸 法 の 三 諦 相 即 を 示 す は 、 即 ち 是 れ 六 大 自 身 が 、 三 諦 相 即 の 法 な る こ と を 顯 す も の な り 。 亦 諸 法 本 不 生 と 言 ふ は 、 十 界 三 千 の 諸 法 本 不 生 と 云 ふ 意 味 に し て 、 九 界 諸 法 は 、 後 に 始 生 し た も の と 言 ふ に は 非 ざ る な り 。 抑 も 六 大 を 體 大 と す る 所 以 は 、 即 身 義 に 如 此 經 文 皆 以 六 大 爲 能 生 以 四 法 身 三 世 間 爲 所 生 此 所 生 法 上 逹 法 身 下 及 六 道 難 麁 細 有 隔 大 小 有 差 然 猶 不 出 六 大 爲 法 界 體 性 と あ り て 、 法 界 體 性 と は 、 六 大 が 十 界 諸 法 の 諸 性 と 成 る を 説 い た る も の と 言 へ る の が 、 體 大 と す る 所 以 を 述 べ た ま ひ た も の な り 。 秘 藏 記 に は 法 界 體 性 智 者 謂 三 密 差 別 數 過 刹 塵 (十 界 諸 法 の 三 密 無 數 ) 名 之 法 界 諸 法 所 依 故 目 體 也 法 然 不 壊 故 名 爲 性 決 斷 分 明 得 以 爲 智 と あ り て 、 十 界 諸 法 に は 周 偏 し て 其 本 體 と 成 り て 、 不 壊 の 方 面 で は 、 法 界 體 性 と 名 け 心 智 を 具 し 、 相 好 を 有 す る 方 面 で は 、 法 界 體 性 智 と 名 く と せ り 。 是 即 十 界 の 依 正 を 圓 具 す と 雖 も 、 本 と 六 大 の 無 碍 常 瑜 伽 に 由 て 、 十 界 の 依 正 圓 具 す る 故 に 、 十 界 の 體 性 と も 大 日 の 法 身 と も 取 ら る ゝ な り と 云 ふ が 密 教 の 意 な り 。

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蓋 し 密 教 は 六 大 法 性 を 堅 濕火 動 無 碍 了 別 と し て 、 天 台 が 止 觀 二 之 二 (廿 九 丁 ) に 、 地 性 無 堅 水 性 不 住 風 性 無 礙 火 性 不 實 な る を 明 し 、 後 五 陰 す べ て 然 る を 例 知 す べ し と 云 ふ が 如 き 空 は 談 ら ざ る な ら ん と 云 ふ に 、 是 も 台 家 に 同 じ か る べ し 。 何 と な れ ば 大 疏 三 に 、 唯 有 如 來 乃 能 窮 此 十 喩 逵 其 源 底 と 言 ひ 、 或 は 毘 盧 遮 那 即 以 此 十 縁 生 旬 不 思 議 法 界 作 無 盡 莊 厳 藏 故 日 具 足 法 財 と 言 ふ て 、 無 盡 莊 厳 は 空 に 即 す る の 妙 有 に し て 、 空 な ぐ ば 無 盡 莊 嚴 の 有 な き こ と を 明 せ り 。 此 の 空 た る や 、 秘 藏 記 に 所 現 前 普 門 海 會 有 , 以 四 不 生 推 求 斯 有 亦 不 可 得 是 即 空 ブリ 本 有 三 密 即 中 , と あ る が 如 く 、 四 側 推 儉 し て 不 可 得 な る 空 な る べ き が ゆ へ な り 。 心 經 に 色 不 異 空 々 不 異 色 、 色 即 是 空 空 即 是 色 受 想 行 識 亦 復 如 是 と 説 く は 、六 大 の 空 有 相 即 す る 義 を 示 す 。 此 空 は 般 若 大 乘 の 體 空 に し て 、 阿 含 小 乘 の 折 空 に 非 ざ る 故 、 弘 法 大 師 此 經 文 を ば 、 華 嚴 に い は ゆ る 三 重 法 界 の 義 あ り て 、 普 賢 菩 薩 の 内 證 を 説 く と し た ま へ り 。 三 重 の 中 事 々 無 碍 の と き は、 色 と は 即 事 な り 、 空 も 亦 事 な り 、 此 二 不 異 な る を 無 礙 と 云 ひ 、 是 等 を 性 海 果 分 の 不 可 説 な る 事 々 無 碍 法 界 と す 。 然 る に 二 教 論 に 、 こ ら も 果 分 の 絶 離 な る と こ ろ が 、 密 藏 の 本 分 な り と 言 へ り 。 故 に 知 る 、 密 教 も 天 台 に 云 ふ が 如 く 、 六 大 の 法 性 に 於 て 、 空 假 中 の 三 諦 相 即 を 談 る も の な り 。 興 教 大 師 の 五 輪 九 字 秘 釋 に 、 顯 密 對 辨 し て 顯 以 理 爲 衆 色 本 密 説 不 壞 色 是 理 と 言 へ る な れ ど も 、 台 家 は 始 終 心 要 に 、 三 諦 者 天 然 之 性 徳 也 と 言 ふ て 、 十 界 の 事 物 に 破 情 立 法 無 隔 の 徳 あ る を 、 三 諦 と 名 け た も の に て 、 色 法 等 の 事 物 の 前 に 三 諦 の 理 あ り と す る に 非 ず 、 事 物 の 當 體 に 三 諦 の 性 徳 あ る も の と す . 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 七

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 八 是 の 故 に 台 家 で は 、 事 理 は 不 二 な り と す 。 若 し 事 理 前 後 と せ ば 、 云 何 ぞ 事 理 不 二 を 談 る こ と を 得 ん や 、 然 ら ば 天 台 に 云 ふ 理 は 、 密 教 所 談 の 理 に 同 じ か る べ し 。 又 顯 密 對 辨 の 語 に 、 顯 説 理 一 事 多 , 義 密 教 倶 同 別 、 談 と あ る け れ ど も 、 天 台 は 既 に 事 理 不 二 を 談 ず る が 故 に 、 理 總 理 別 事 總 事 別 の 義 を 立 て ゝ 、 理 事 倶 に 平 等 と 差 別 と が あ る も の と す 。 即 ち 是 れ 密 教 の 事 理 倶 同 倶 別 の 義 に 同 じ 。 ま た 顯 密 不 同 頌 に 、 顯 は 事 劣 理 勝 、 密 は 共 居 殊 特 と あ れ ど も 、 天 台 も 事 理 倶 に 三 千 に し て 、 而 も 六 千 あ る に 非 ざ れ ば 事 理 に 勝 劣 な し と 云 ふ 。 然 れ ば 密 教 に 同 じ か る べ し 。 又 同 頌 に 、 顯 以 事 歸 理 密 事 理 不二 と 言 へ り 、 天 台 圓 教 に 攝 相 歸 體 せ ず に 、 當 位 即 妙 を 談 れ り 。 金 光 明 疏 二 (五丁 ) に 若 圓 教 人 不 壌 於 身 而 常 隨一 相 不 斷 癡 愛 起 於 明 脱 體 陰 界 入 無 所 毀 傷 若 子 若 果 不 生 不 滅 成 就 智 慧 居 常 寂 光 土 常 壽 湛 然 五 眼 具 足 得 根 自 在 と 言 へ り 。 即 ち 是 が 天 台 の い は ゆ る 陰 入 皆 如 無 苦 可 捨 の 意 味 な り 。 淨 名 玄 五 (十 四 丁 ) に も 、 思 議 解 脱 滅 色 取 空 不 思 議 解 脱 色 心 即 是 法 性 故 有 眞 善 妙 色 妙 心 之 體 と あ り て 、 水 の み に 濕 徳 あ る に 非 ず 、 彼 の 當 位 に も 濕 性 不 變 を 見 る 如 く 、 今 日 現 象 界 の 當 位 に 法 性 の 色 心 あ る を 見 る が 、 圓 教 の 不 思 議 解 脱 な り と せ り 又 同 頌 に 、 顯 は 因 縁 生 法 、 密 は 法 界 本 有 と 云 ひ 、 顯 は 一 心 爲 本 、 密 は 三 等 爲 宗 と 言 へ り 。 是 も 妙 玄 圓 教 の 説 に 依 れ ば 、 無 作 の 四 諦 を 用 ひ て 諸 法 本 有 を 主 張 せ り 、 因 縁 所 生 法 と 限 る に 非 ず 。 且 つ 三 身 一 體 無 作 三 身 を 談 り て 法 性 の 源 底 に 三 密 あ り と し 、 單 に 一 心 の み あ り と は せ ざ る な り 。 然 ら ば 天 台 を 密 教 に 屬 す べ き に 、 何 故 顯 教 中 に 入 る 丶 や と 言 ふ に 、 弘 法 興 教 の 二 大 師 が 、 天 台 を 顯 教

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に 攝 め た ま ふ 所 以 は 、 賢 首 大 師 起 信 義 記 の 序 文 に 、 言 教 の 具 闕 と 顯 理 の 増 徴 と に 依 り て 、 教 の 了 義 未 了 義 を 判 す べ き こ と を 明 せ る が 如 く 、 二 大 師 倶 に 台 宗 所 依 の 經 た る 法 華 經 に 於 て 、 淺 略 と 深 秘 と の 二 途 あ る こ と を 認 め た ま へ り 。 濺 略 で は 密 理 を 説 く と 雖 ど も 、 甚 だ 略 説 に し て 、 両 部 大 經 の 如 く 、 色 心 に か け て 両 界 あ る を 説 か ず 、 五 相 五 智 四 曼 四 印 三 大 三 密 を 具 説 せ す 、 之 が 爲 に 顯 理 も 窮 盡 せ ず し て 、 聞 者 を し て 無 明 の 邊 域 に 滯 在 せ し む る の 缺 點 あ り 。 是 の 故 に 、 貶 し て 遮 情 顯 教 の に 中 に 攝 し た ま ふ な り 。 深 秘 で は 所 謂 十 六 玄 門 の 一 字 攝 多 々 字 歸 二 々 字 釋 多 々 字 釋 一 等 あ り て 、 密 教 有 縁 の 人 は 、 法 華 經 を 聞 て 密 理 を 證 得 し 、 即 身 成 佛 を 遂 ぐ る も の あ る べ し 、 此 の 如 き は 彼 經 に 諸 佛 智 慧 深 甚 無 量 を 説 く は 、 密 教 の 心 王 心 數 が 各 具 五 智 無 際 智 し て 、 九 尊 心 王 か ら 十 佛 刹 微 塵 數 の 差 別 智 印 を 現 ず る を 説 い た も の な り 或 は 七 賓 大 車 其 數 無 量 を 説 く も 、 大 日 經 に い は ゆ る 無 盡 莊 厳 に し て 、 衆 生 の 三 密 に 六 重 の 本 覺 あ り 、 各 々 に 卅 七 或 は 百 八 乃 至 微 塵 數 の 佛 智 四 種 法 身 四 種 曼 荼 羅 身 を 具 す る こ と を 説 け り 。 長 者 窮 子 の 瑜 、 賛 者 賢 珠 の 譬 等 も 、 是 に 同 く し て 、 之 を 證 得 せ し む る が 、 本 懐 な る 故 に 、諸 佛 世 尊 唯 以 一 大 事 因 縁 故 出 現 於 世 開 示 悟 八 衆 生 を 説 き た ま ひ た も の と 見 ゆ る な り 。 二 大 師 は か ゝ る 深 秘 あ る 方 面 で は 、 密 教 に 攝 を め た ま ふ 意 な り 。 二 大 師 倶 に 法 華 開 顯 、 或 は 法 華 秘 釋 を 作 り て 、 此 旨 を 顯 は し た ま へ り 。 第 三 に 實 躰 と 現 象 と の 關 係 に 就 て 述 ぶ れ ば 、 法 華 の 方 便 品 に 、 是 法 住 法 住 世 間 相 常 住 と 説 け り 。 是 法 と は 目 前 の 事 物 な り 。 住 法 位 と は 眞 如 の 法 位 に 住 す と 言 ふ こ と な り 、 圓 教 の 眞 如 は 別 教 の 一 理 膸 縁 と 大 顯 密 二 教 の 比 軟 研 究 九

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 〇 に 異 り て 、 十 界 三 千 の 諸 法 を 圓 具 し て 、 そ れ が 縁 に 會 ふ と き 現 起 す る 故 、 今 目 前 の 事 物 は 眞 如 の 壗 の 顯 現 に し て 、 本 有 の も の を 變 改 し た る に 非 ざ る を 、 住 法 位 と 言 ふ 。 世 間 相 と は 、 十 界 三 千 の 俗 諦 差 別 相 な り 、 常 住 と は 本 來 眞 如 が 万 法 を 圓 具 し て 居 る 儘 の 顯 現 な る 故 に 、 た と ひ 生 滅 遷 流 す と も そ れ は 三 千 圓 具 の 法 體 が 、 随 縁 の 當 位 に 不 變 を 有 す る さ ま に て 、 情 を 亡 し て 之 を 見 れ ば 、 廓 然 と し て 諸 相 常 住 な る を 見 る と 云 ふ 意 な り 。 即 ち 是 が 實 體 の 儘 現 象 し て 、 現 象 は 毫 も 實 體 に 異 な ら ざ る も の な り と 云 ふ 意 な り 。 頼 賓 師 の 本 母 集 六 (三右 ) に 、 妙 樂 大 師 が 世 相 常 住 の 經 文 を 釋 す る に 、 位 據 理 性 性 不 可 改 相 約 膸 縁 縁 有 染 淨 と 言 へ り 。 此 意 に 依 れ ば 、 事 相 は 浮 僞 に し て 、 當 體 常 住 に 非 ざ れ ど も 、 所 依 の 理 體 に 露 し て 常 住 ど 説 た も の と す 。 我 密 教 獨 り 事 法 の 當 體 を 、 眞 實 常 住 と す と 云 ふ 説 を 出 せ り 。 、 今 私 に 云 は く 、 天 台 圓 教 は 實 燈 に も 現 象 に も 空 假 中 の 三 諦 あ り て 修 性 各 三 な り 、 性 三 も 修 三 も 各 の 三 の 相 即 し 、 修 性 亦 相 即 し て 性 は 修 に 異 な ら ず 、 修 は 性 に 異 な ら ず と 言 ふ 、 單 に 攝 相 歸 性 な る も の に 非 ず 。 引 く と こ ろ の 妙 樂 大 師 の 釋 は 、 俗 諦 事 法 は 、修 三 に 當 り て 必 ず 空 假 中 の 三 諦 を 有 す 、 是 の 故 に 空 假 二 諦 を 隨 縁 に 約 し 中 諦 を 不 變 に 約 し 、 三 諦 相 即 の 故 に 、 隨 縁 を 壞 せ ず し て 不 變 常 位 な り 、 不 變 を 壞 せ ず し て 膸 縁 無 常 な り 、 斯 く 空 有 相 即 し た と こ ろ に 、中 道 本 有 富 住 の あ る の が 、眞 の 常 住 な る こ と を 示 す に あ り 。 即 ち 三 諦 相 即 の 處 に 眞 の 常 住 が あ り と す る 意 な り 。 決 し て 揺 相 歸 體 し て 常 住 を 談 る 意 に は 非 ず 。 密 教 の 阿 字 諸 法 本 不 生 も 、 空 有 の 二 義 相 即 す る と こ ろ に 、 本 不 生 本 有 常 住 の 義 あ り と し た も の な り 。 若 し 随 縁 無 常 の 義 な く し て 、 單 に 不 變 常

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住 と せ ば 、 佛 教 に 云 ふ 眞 實 の 常 住 に 非 ず 、 外 道 に 云 ふ 性 實 の 常 住 、 即 ち 常 見 煩 惱 に 相 應 す る 常 住 な り 。 五 智 圓 滿 の 佛 、 豊 か ゝ る 顛 倒 の 妄 見 を 説 か ん や 。 然 ら ば 妙 樂 の 釋 意 は 、 密 教 と 同 義 な り 。 又 台 家 は 如 來 蔵 は 空 假 中 の 三 諦 相 即 す る も の に て 、 空 諦 で は 人 法 二 空 十 界 倶 非 す れ ど も 、 假 諦 で は 十 界 の 人 法 依 正 倶 存 す 、 中 諦 で は 此 空 有 相 即 し て 十 界 鎔 融 し 、 常 樂 我 淨 の 四 徳 を 有 す 之 が 膸 縁 現 象 し た と こ ろ も 、 亦 同 じ く 空 假 相 即 し て 、 十 界 が 互 具 互 融 す 。 總 て 十 界 三 千 の 諸 法 互 具 圓 融 と 言 ふ こ と は 、 但 理 體 の み で 言 ふ に 非 ず 、 事 相 も 差 別 の 當 體 に 平 等 あ り て 、 融 通 無 礙 な る こ と な り 。 荊 溪 が 三 千 果 成 咸 稱 常 樂 と 言 へ る は 、 此 鎔 融 の 事 實 を 實 見 す る さ ま を 示 し た も の な り 。 釋 籤 七 之 上 (二 十 五 左 ) 在 性 則 全 修 成 性 起 修 則 全 性 成 修 と 云 ふ て 、 事 理 不 二 修 性 一 如 を 示 す の も 、 事 理 倶 に 十 界 互 具 圓 融 す と 云 ふ こ ゝ う な り 。 密 教 の 體 相 用 の 三 大 一 々 が 、 ま た 體 相 用 の 三 大 を 有 す と 言 ふ は 、修 性 不 二 の 義 な り 。此 體 相 用 は 十 界 諸 法 の 體 相 用 に し て 、 各 法 界 に 周 偏 す る 故 に 、 十 界 は 融 通 無 礙 自 由 解 脱 界 な る も の な り 。 是 の 故 に 即 身 義 に は 、 六 大 無 礙 常 瑜 伽 四 種 曼 荼 各 不 離 三 密 加 持 速 疾 顯 重 々 帝 綱 名 即 身 と 言 ふ て 、 十 界 の 三 大 無 礙 融 渉 す る こ と 、 帝 綱 の 重 々 映 現 す る 如 く な る を 、 即 身 成 佛 の 原 理 と し た ま ひ て 、 三 密 の 行 法 に 依 て 己 身 の 色 心 實 相 を 觀 じ 、 之 が 成 就 し た 處 に 五 智 を 該 括 す 。 大 圓 鏡 智 顯 現 せ ば . 此 十 界 融 妙 の 事 相 を 眞 見 實 威 し て 顯 得 の 即 身 成 佛 を 遂 ぐ る 意 味 を 示 し た ま へ り 。 即 ち 是 が 摩 訶 止 觀 に 、 先 づ 廿 五 方 便 を 修 す る こ と を 明 し 此 行 が 成 就 し て 必 定 相 績 す る や う に な り た と こ ろ で 正 修 止 觀 に 移 り 、 第 一 に 陰 入 の 三 千 三 諦 な る 實 相 を 顯 密 二 教 の 此 較 研 究 一 一

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 二 觀 じ 、 此 の 觀 成 就 し た 當 位 に 、 十 界 融 妙 の 事 相 を 眞 見 實 威 し て 、 即 身 成 佛 す と 立 つ る 主 義 と 同 じ こ と な り 。 即 身 義 に い は ゆ る 大 圓 鏡 智 を 釋 し て 、 圓 明 心 鏡 高 懸 注 界 頂 寂 照 一 切 不 倒 不 謬 と 言 へ り 。 寂 は 平 等 一 味 の 義 、 照 は 圓 照 法 界 の 義 な り 。 寂 冊 常 照 々 而 常 寂 の 智 を 、 大 圓 鏡 智 と す る 意 な り 。 是 れ 則 ち 天 台 の 一 心 三 觀 と 同 く し て 、 差 別 に 即 し て 圓 融 を 證 す る 智 な り 。 傳 教 太 師 が 、 眞 言 止 觀 其 旨 一 故 於 一 山 弘 両 宗 と 言 へ る は 、 こ ゝ に 見 る と こ ろ あ れ ば な り 。 又 密 教 で は 、六 大 法 性 の 當 體 は 、 寂 照 互 融 し て 平 等 に 即 し て 差 別 あ り 、 例 せ ば 六 大 法 性 に 凡 聖 十 界 の 六 大 が 無 礙 渉 入 し 、 互 に 相 應 し て 乖 角 せ ざ れ ど も 、 ま た 十 界 の六 大 差 別 し て 、 本 來 性 相 各 自 建 立 各 守 自 性 す る が 如 し 。 人 間 と な る べ き 六 大 な ら ば 、 六 大 の 色 心 不 二 な る の が 一 の 人 格 に し て 、 之 に 八 間 に 適 當 し た 色 と 心 と が 具 は り て 居 て 、 他 の も の に 壊 亂 さ れ 源 等 が 、 そ の す が た な り 。 現 象 に 於 て 、 平 等 に 即 し て 差 別 あ る は 、 是 れ 等 の 顯 現 に し て 、 三 乗 教 が 差 別 は 無 明 の 始 造 と 云 ふ が 如 き に 非 ず 。 法 性 の 根 底 か ら し て あ る 差 別 な り と し て 、 第 二 重 二 諦 の 眞 諦 中 に は 、 佛 及 衆 生 を 存 在 せ し む 。 台 家 亦 此 義 に 同 じ 。 十 不

(十

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他 宗 明 三 一 理 随 縁 作 差 別 法 一 差 別 是 無 明 之 相 淳 一 是 眞 如 之 相 随 縁 時 則 有 差 別 不 随 縁 時 則 無 差 別 故 如 一 性 興 無 明 合 方 有 差 別 正 是 合 義 非 體 不 二 以 除 無 明 無 差 別 上 故 今 家 明 三 千 之 體 随 縁 起 三 千 之 用 一 不 隨 縁 時 三 千 宛 爾 故 差 別 法 與 體 不 二 以 除 無 明 有 中 差 別上 故 と 言 ふ も の 是 な り 。 或 る 密 教 學 者 此 文 を 批 評 し て 云 は く 、 顯 家 の 理 内 に 諸 法 を 具 す る と 云 ふ は 、 相 即 圓

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融 の 義 に 依 れ り 。 若 し 事 理 各 別 に 依 ら ば 、 理 亦 無 色 な り 、 仍 て 眞 言 の 即 事 而 眞 の 理 と 大 に 不 同 な り と 。 今 私 に 云 は く 、 此 の 文 明 に 、 台 家 は 三 千 の 體 が 隨 縁 し て 三 千 の 用 を 起 す と 云 ふ 、 決 し て 事 用 を 理 體 に 取 り 込 ん で 理 に 色 心 等 の 事 あ り と 言 ふ 意 に は 非 ざ る な り 。 顯 教 の な か 圓 教 の 理 秘 密 な る は 勿 論 、 往 々 事 秘 密 を も 漏 泄 す る こ と あ り 、 顯 密 の 眞 義 を 知 ら ん と 欲 せ ば 、 固 く 曲 解 を 禁 ず べ き な り 。 眞 言 問 答 に 、 問 修 二 眞 言 教 所 證 理 與 修 行 顯 教 所 得 理 上 爲 有 勝 劣 耶 。答 於 究 竟 眞 實 理 雖 無 優 劣 但 教 門 力 致 遲 速 耳 又 約 一 往 分 齊 非 淺 深 異 と 言 へ る の が 、 公 平 無 私 の 判 斷 な り 。 上 來 は 六 大 縁 起 と 言 ふ六 大 の 説 明 に 就 て 、 比 較 研 究 せ し な り 。 己 下 に は 六 大 縁 起 と 言 ふ 縁 起 説 に 就 て 比 較 研 究 せ ん 。 第 一 に 萬 物 の 本 元 た る も の を 、 一元 と す る や 多 元 と す る や を 辯 ぜ ば 、 密 教 も 前 號 に 述 べ た る 台 家 所 立 の 如 く 、 萬 法 の 元 體 は 一 多 相 即 の も の な り と 言 ふ こ ゝ う な り 。 何 と な れ ば 、六 大 を 法 界 體 性 と 名 け て 、 十 界 諸 法 の 體 性 と 爲 す 故 に 、 多 元 説 と 云 ふ べ き な れ ど も 、 其 の六 大 を 説 明 す る に 、 六 大 無 礙 常 瑜 伽 乃 至 重 々 帝 綱 名 即 身 と 言 へ り 。 こ の 意 は 、 六 大 な る も の は 各 具 互 具 あ り て 同 類 異 類 の 無 礙 渉 入 相 應 の あ る は 勿 論 、 十 界 の 六 大 が 互 具 互 入 し て 同 類 異 類 の 無 礙 渉 入 相 應 し て 、 帝 綱 の 重 々 映 現 す る が 如 く 、 十 界 の 元 體 が 重 々 に 渉 入 相 應 す と 云 ふ こ ゝ う な り 。 然 る と き は 、麁 な る 凡 夫 の六 大 に 、 細 な る 佛 の六 大 が 渉 入 相 應 し 、 細 な る 佛 の六 大 に 、 麁 な る 凡 夫 の 六 大 が 渉 入 相 應 し て 、 細 な る 佛 の六 大 が 麁 な る 凡 夫 の 六 大 に 相 應 随 順 し て 、 唯 一 凡 夫 の 六 大 と な り 、 麁 な る 凡 夫 の六 大 が 細 な る 佛 の 六 大 に 相 應 隨 順 し て 、 唯 一 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 三

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 四 佛 の 六 大 と な る 。 恰 も 六 大 各 具 の と き 、 各 餘 の 五 大 を 有 し つ ゝ 、 自 の 一 大 に 隨 順 相 應 ぜ し め て 、 六 即 一 の 體 面 と な る が 如 き な り 。 これ に 依 れ ば 、 一元 の 義 を 成 す 筋 ど も 、 各 自 界 の 六 大 に 、 他 の 九 界 の 六 大 を 隨 順 相 應 せ し め て 、 自 性 を 失 は ぬ 邊 に つ け ば 、 元 體 十 有 り て 、 多 元 と な る 。 餘 の 五 大 を 自 の 一 大 に隨 順 相 應 せ し め て 、 自 體 を 失 は の も の 六 個 あ り て 、 多 元 と な る が 如 き な り 。 是 れ 則 ち 六 大 隨 自 の と き は 、 多 元 と 成 れ ど も 、 隨 他 の と き は 一元 と な る な り 。 顧 ふ に 六 大 の 種 子 阿 字 の 詮 顯 に 依 れ ば 、 六 大 の 各 々 空 有 不 生 の 義 あ り て 、 法 爾 の 方 で は 有 の 義 あ り 、 自 性 を 失 は ず に 隨 自 な り 。 隨 縁 の 方 で は 空 の 義 あ り て 、 自 性 を 守 ら ず に 隨 他 な り 。 斯 く し て 一元 即 多 元 な り 、 多 元 即 一 元 な り 。 ま た 空 有 相 即 す れ ば 、 中 道 本 有 不 生 の 義 あ り 、 此 の 中 道 本 有 不 生 と は 、 い は ゆ る 本 不 生 の こ と に し て 、 本 不 生 は 一 多 に 通 ず 。 何 と な れ ば 本 不 生 は 、 空 有 相 即 中 道 の 境 界 な れ ば 、 空 な る も の は 有 な る も の に 即 し て 、 法 界 唯 一 法 と な る 邊 あ る 故 、 一 元 と な る な り 。 ま た 本 不 生 は 、 中 道 本 有 の 義 な れ ば 、 い は ゆ る 現 覺 諸 法 本 初 不 生 の 境 界 に し て 、 多 元 な る を 顯 は せ り 。 秘 藏 記 に 、 有 爲 と 言 へ ば 皆 有 爲 な り 、 無 爲 と 言 へ ば 皆 無 爲 な り と 云 ひ 、 聲 字 義 に 顯 形 表 等 色 法 然 隨 縁 有 と 云 へ る が 如 く 、 依 他 圓 成 不 二 に し て 、 一 切 皆 有 爲 無 爲 に 通 ず る と き 一 切 皆 空 有 不 生 の 三 義 あ り て 、 一 元 及 多 元 の 義 あ る な り 。 而 も 三 諦 相 即 す る 故 に 、 一 多 に 輕 重 の 不 同 な く し て 、 一 元 即 多 元 な り 、 多 元 即 二 元 な り と す る が 密 教 の 教 理 な り 。 此 一 元 多 元 と は 、 古 來 論 議 せ る 一 法 界 多 法 界 の こ と に し て 、 若 し 密 教 は 多 法 界 を 重 視 す と 言 は ゞ 種 力

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の 疑 難 あ り 。 一 に は 、 密 教 の 三 諦 は 圓 融 せ ざ る や 。 圓 融 せ ば 三 諦 の 各 々 が 三 諦 に し て 、 輕 重 の 不 同 な き な り 、 圓 融 せ ざ れ ば 、 之 を 觀 ず る も の は 無 明 の 分 域 に し て 、 實 成 佛 に 非 ざ る べ し 。 二 に は 、 一 多 を 別 見 す る や 。 別 見 せ ば 一 は 遮 二 詮 一 の 二 と な る 。 大 師 何 故 遮 二 詮 一 の 一 に 非 ず と 吉 へ る や 、 况 ん や 一 多 別 見 せ ば 、 一 に は 輪 圓 具 足 の 義 を 缺 く 失 を 成 す べ し 。 三 に は 法 位 の 六 大 は 、 差 別 界 に 傾 向 す る や 。 多 法 界 は 差 別 界 な り 、 若 し 之 に 傾 向 す と せ ば 、 能 令 三 業 同 於 本 尊 と 、 凡 聖 不 二 を 觀 ず る は 未 究 竟 の 觀 な る べ し 。 何 故 に 此 觀 を 以 て 、 速 疾 成 佛 の 法 と し た ま へ る や 。 四 に は 、 凡 聖 の 六 大 に 染 礙 の 情 相 あ り や 、 あ ら ば 凡 聖 の 六 大 麁 細 不 同 な る に 傾 け ど も 、 情 相 な く ば 麁 細 差 別 に 傾 向 す る も の に 非 ず し て 、 麁 細 互 應 し て 一 法 界 と な り 、 麁 細 各 守 自 性 し て 多 法 界 と な る も の な り 。 若 し 凡 聖 の 六 大 麁 細 不 同 に 傾 き て 情 相 あ ら ば 、 識 大 の 如 き も 麁 細 不 同 に 傾 く も の な り 。 寳 鑰 に 、 密 教 は 裹 霧 見 光 無 盡 賓 な り と 言 ふ て 、 煩 惱 の 當 體 に 菩 提 を 見 る も の な り 、 煩 惱 の 雲 霧 を 拂 ふ て 菩 提 の 月 光 を 見 る に 非 ず と 言 へ る に 符 合 せ ず 。 鑁 上 人 の 心 月 輪 秘 釋 に も 、 生 死 涅 槃 恒 常 平 等 煩 惱 菩 提 體 無 差 別 一 と 言 へ る に 相 違 す 。 生 死 の 麁 な る 肉 身 が 、 即 涅 槃 の 細 な る 法 身 な れ ば こ そ 、 即 身 成 佛 と 言 は る ゝ 義 め る な れ 亀 凡 聖 鹿 細 差 別 し 傾 さ て は 而 二 隔 執 の 無 明 離 れ が た き な り 。 密 教 云 何 ぞ 頓 覺 の 法 と云 ふ こ と を 得 ん や 。 五 に は 、 周 偏 の 事 賓 に 背 く に 非 ず や 。 色 心 の 法 性 は 各 互 に 法 界 に 周 偏 す 、 是 の 故 に 吽 字 義 に 、 燈 光 非 一 冥 然 同 體 と 言 へ る が 如 く 、 燈 光 非 一 の 多 法 界 に 即 し て 冥 然 同 體 の 一 法 界 あ り 、 如 何 に 燈 光 非 一 に 傾 く と も 、 冥 然 同 體 な る を 免 れ ず し て 、 多 法 界 に 傾 く を 得 ざ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 五

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 六 な り 。 即 ち 色 心 而 二 に 傾 か ん と し て も 、 相 互 の 法 性 が 法 界 に 周 偏 せ る が 故 に 、 恒 に 色 心 不 二 を 免 が れ ざ る な り 。 唯 物 唯 心 の 一 元 、 或 は 物 心 二 元 い つ れ に も 、 偏 倚 す る こ と は な ら ぬ な り 。 然 る に 多 法 界 、 す な は ち 物 心 二 元 を 重 視 せ ば 、 事 實 に 背 く 失 な る べ し 。 凡 そ 萬 有 の 實 體 は 遮 照 不 二 中 道 絶 待 に し て 、 現 象 界 の 者 た る 人 間 の 相 待 的 思 想 、 す な は ち 論 理 的 思 想 を 以 て 定 め 得 ら る ゝ も の に 非 ず 。 是 故 に 一 元 か 多 元 か 、 い つ れ か の 方 面 に 落 著 す べ し と 云 ふ こ と を 得 ず し て 、 一 即 多 多 即 一 な る も の と 推 想 さ る ゝ な り 。 そ れ 佛 果 は 不 顛 倒 の 智 に し て 、 事 物 の 實 際 を 證 得 し た ま へ り 。 即 身 義 の 終 り に 、 其 の 佛 果 智 を 釋 し て 、 圓 明 心 鏡 高 懸 法 界 頂 寂 照 切 不 倒 不 謬 と 言 へ り 。 然 れ ば 寂 而 常 照 ( 一 法 界 即 多 法 界 ) 照 而 常 照 (多 法 界 即 一 法 界 ) な る の が 、 六 大 法 性 の 實 際 な る べ し 。 一 法 界 或 は 多 法 界 の 一 方 に 偏 倚 せ ば 、 顛 倒 の 妄 見 な る べ き な り 。 斯 く 一 多 法 界 の 相 即 を 談 る は 、 台 家 が 三 法 無 差 各 三 千 圓 具 の 妙 注 と し た 上 に 、 性 具 の 諸 法 總 別 相 收 と 言 ふ に 同 じ 。 誣 て 彼 を 貶 奪 せ ば 、 謗 法 罪 を 犯 し 堕 獄 を 免 が れ ざ る 恐 れ あ る が 故 に 、 同 は 同 と す べ き な り 。 .蓋 し 物 理 天 文 の 實 驗 學 に 依 り て 、 宇 宙 の 進 化 發 展 を 視 る に 、 最 初 寥 寂 と し て 瀰 漫 せ る 太 極 が 進 化 し て ヱ ネ ル ギ ー と 成 り 、 之 が 變 動 し て 其 勢 力 の 過 不 及 處 生 す る に 及 ん で 、 陰 陽 両 性 並 に 引 力 斥 力 を 生 じ 、 其 陰 性 の も の 形 を 具 ふ る に 至 り て 陰 電 子 と 成 り 、 陽 性 の も の 形 を 具 ふ る に 至 て 陽 粒 子 と 成 り 、 此 陰 陽 震 動 交 合 し て 一 系 を 成 す も の を 原 子 と 云 ふ 。 即 ち 是 れ 物 質 の 最 小 單 位 に し て 、 極 最 初 に 生 越 し も の は 。 水 素 原

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子 に し て 、 一 粒 子 と 一 電 子 よ り 成 れ り 。 是 に 次 て ネ ブ リ ム ウ と ヘ リ ウ ム な る 原 子 生 じ 、 此 等 原 子 の 融 合 的 進 化 に 依 り て 、 最 重 な る ウ ラ ニ ウ ム に 至 る ま で 、 九 十 二 種 の 原 子 を 構 成 し 、 之 に 從 つ て 引 力 斥 力 の 釣 合 を 以 て 、 平 和 を 保 ち . 陰 が 陽 を 抱 き て 遂 に 分 子 と 成 り 、 分 子 集 り て つ ゐ に 氣 體 液 體 固 形 體 と な り 、 其 處 に 植 物 動 物 生 ず と 言 ふ 。 然 ら ば 唯 一 物 質 の 次 第 進 化 な り 、 唯 物 一 元 に 非 ず し て 何 ぞ や と 疑 難 せ ん 、 之 に 對 す る 密 教 の 答 意 を 按 ず る に 、 所 説 の 如 き は 全 く 欲 界 の 依 報 正 報 を 成 立 す る な り 、 欲 界 の 六 大 縁 起 に は 、 密 教 の 意 、 自 宗 の 主 義 を 基 礎 と し て 、 倶 舍 の 業 感 縁 起 も 法 相 の 頼 耶 縁 起 も 華 天 の 眞 如 縁 起 も 、 皆 枝 末 の 縁 起 と し て 用 ゆ る 意 な り 。 其 意 に 依 て 略 言 せ ば 、 此 世 界 の 躰 性 は六 大 法 性 に し て 、 十 方 法 界 に 周 偏 し 、 法 界 體 性 智 と 號 し て 理 智 不 二 の 大 日 法 身 な り 。 然 る に 此 六 大 法 性 は 、 十 界 の六 大 法 性 を 鎔 融 無 碍 に 保 待 し 、 夫 々 の 縁 に 遇 ふ て 現 象 す 、 定 心 に し て 欲 な き 薫 縁 に あ へ ば 、 物 質 の 稀 薄 な る 色 界 を 顯 現 し 、 散 心 に し て 欲 あ る 薫 縁 に 逢 へ ば 、 物 質 の 濃 厚 な る 欲 界 を 現 成 す 。 い は ゆ る 渺 遠 な る 太 極 は 、 成 劫 の 最 初 光 音 天 に 顯 は れ た る 薄 氣 な り 、 陰 陽 岡 性 の 生 じ た る は 男 女 の 萌 芽 な り 、 引 力 斥 力 の 生 じ た る は 、 生 活 の 意 欲 の 發 表 な り 、 陰 陽 両 電 交 合 し た る は 、 生 活 欲 の 増 大 に な り た る な り 、 次 第 に 元 素 分 子 を 集 合 し た る は 、 五 欲 の 境 を 造 ら ん が 爲 な り 。 此 等 の 構 成 時 代 に は 、 動 植 物 顯 は れ ず 、 六 根 を 有 す る も の な き 故 に 、 露 な る 六 識 は 起 ら ず 、 其 の 麁 用 な け れ ど も 六 根 に 依 ら ざ る 七 、 八 識 あ り 、 八 九 種 々 識 如 水 中 諸 波 と 説 い て 、 八 識 は 體 一 な る 故 に 、 第 七 第 八 が 微 々 た る 六 識 の 作 用 を 爲 し て 、 か ゝ る 進 化 の 状 態 あ る も の な り 。 本 來 色 心 顕 密 二 教 の 比 較 研 究 一 七

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 八 不 二 、 す な は ち 物 心 同 躰 な る 故 、 單 に 物 質 の み で 進 化 す と 見 る は 粗 見 な り 、 唯 物 一 元 に 非 ず 、 一 即 多 多 即 一 な る こ と 思 知 す べ し 。 二 に 萬 象 顯 現 の 状 態 に 就 て 、 其 説 を 比 較 せ ば 、 密 教 は 萬 象 顯 現 の さ ま を 説 明 す る の に 、 天 台 の 荊 溪 大 師 が 三 千 並 常 倶 體 倶 用 と 言 ふ て 、 萬 法 一 々 が 不 變 本 有 に 即 し て 隨 縁 修 生 な り と 立 つ る が 如 く 、 諸 法 の 一 々 が 、 法 爾 と 隨 縁 と を 具 し て 顯 現 辨 生 す る も の と 解 説 す る 意 な り 。 大 疏 の 十 四 に 、 經 の 生 住 等 諸 法 常 恒 如 是 生 の 句 を 釋 す る に 此 甲 所 説 不 同 外 道 斷 常 之 見 諸 法 雖 從 因 生 而 生 因 無 相 雖 從 縁 生 此 縁 無 相 雖 從 縁 起 而 法 本 不 生 雖 從 縁 起 滅 而 無 生 住 之 相 と あ る は 、 法 爾 隨 縁 は 一 法 に 於 て 相 即 す 、 若 し 法 爾 と 隨 縁 と 別 離 せ ば 、 單 の 法 爾 及 び 單 の 隨 縁 な る が 故 に 、 外 道 の 斷 見 常 見 に 墮 洛 す と 言 ふ こ ゝ う な り 。 是 の 故 に 聲 字 義 に は 、 上 所 説 依 正 身 土 並 通 四 種 身 如 是 身 及 土 並 有 法 爾 隨 縁 之 義 と 言 ふ て 、 自 性 法 身 等 の 四 種 身 土 、 該 し て 法 爾 と 隨 縁 と に 通 ず る こ と を 示 し た ま へ り 。 是 れ 則 ち 天 台 の 三 身 倶 に 、 本 有 不 變 に し て 不 縱 な り 、 三 身 倶 に 隨 縁 互 融 し て 不 横 な り と 言 ふ は 似 た り 。 密 教 の 意 は 、 不 變 常 住 は 隨 縁 無 常 を 壊 せ ず 、 膸 縁 無 常 は 不 變 常 住 を 全 ふ す と 云 ふ こ ゝ う な り 。 大 疏 の 第 二 卷 に 不 壊 因 縁 帥 入 法 界 亦 不 動 注 界 即 是 縁 起 當 知 因 縁 即 是 法 界 生 滅 法 界 不 生 滅 即 是 因 縁 不 生 滅 と 言 へ る も の 即 ち 是 な り 。 此 中 に い は ゆ る 法 界 と は 法 爾 の 境 界 な り 、 因 縁 と は 隨 縁 の 諸 法 な り 。

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總 じ て 法 爾 と 隨 縁 と は 、 二 法 の 両 義 に し て 本 有 不 二 と す る 意 な り 。 秘 藏 記 に 性 之 處 性 相 宛 然 而 本 有 也 と 言 ひ 、 尅 性 云 有 爲 皆 有 爲 云 無 爲 皆 無 爲 と 言 へ る の が 其 意 な り 。 何 と な れ ば い は ゆ る 性 相 と は 、 總 該 の 語 に て 、 之 を 開 け ば 相 性 體 力 作 因 縁 果 報 等 が あ り て 、 都 て 注 爾 も 隨 縁 も 皆 含 有 す る も の な り 。 是 故 に 性 相 の 本 有 と 云 こ と は 、 法 爾 隨 縁 が 丕二 體 に 本 有 す と 云 ふ こ と な り 。 是 に 由 て 有 爲 と 無 爲 と は 一 物 の 異 名 と な り て 、 皆 有 爲 皆 無 爲 と 言 は る ゝ と し た ま へ り 。 然 る に 大 日 經 三 に 、 當 知 眞 言 果 悉 離 於 因 果 と 説 け る は 、 如 何 か と 討 ぬ る に 、 是 は 佛 果 に 至 り 、 諸 法 の 法 爾 隨 縁 、 す な は ち 空 有 相 即 す る も の 、 直 に 中 道 本 有 な る を 、 充 分 に 現 覺 す れ ば 、 諸 注 の 寂 照 不 二 も 十 分 實 威 せ ら れ 、 本 來 威 佛 が 明 了 に 實 見 さ る ゝ 故 に 、 悉 離 因 果 と 説 い た も の な り 。 又 三 大 圓 融 の 如 き は 、 體 大 位 中 に 種 三 尊 及 威 儀 事 業 あ り て 、 四 曼 も 三 密 も あ り 、 こ れ ら は 相 大 用 大 な れ ば 、 必 す 隨 縁 の 義 あ り 。 ま た 體 大 位 中 の 五 大 形 色 は 、 聲 字 義 に 、 顯 形 表 等 色 内 外 依 正 具 法 然 随 縁 有 能 迷 亦 能 悟 と あ る に 依 る と き は 、 法 爾 隨 縁 に 通 ず 。 法 爾 で 言 へ ば 、 地 大 の 種 子 は 阿 字 な り 、 こ れ の 字 義 は 本 不 生 な り 、 地 大 の 形 色 は 方 形 な り 、 本 不 生 は 不 動 轉 の 理 趣 な り 、 此 理 趣 法 爾 と し て 動 轉 せ ざ る 方 形 と 成 れ る な り 。 水 大 の 種 子 は 縛 字 な り 、 字 義 は 離 言 説 な り 、 形 色 は 圓 形 な り 。 離 言 説 は 言 麈 の 偏 義 を 遮 す る な り 、 此 の 理 趣 が 形 に 現 る ゝ と き は 、 法 爾 と し て 執 捉 す べ か ら ざ る 圓 形 と 成 れ る な り 。 乃至 空 大 の 種 子 は 欠 字 な り 、 字 義 は 等 虚 空 な り 、 形 色 は 團 形 な り 。 等 虚 空 と は 法 性 の 大 空 は 、 寥 廓 と し て 二 相 に も 滯 ら ざ 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 九

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願 密 二 教 の 比 較 研 究 二 〇 る こ と 、 世 間 の 虚 空 の 如 き な り 、 此 理 趣 形 に 現 る ゝ と き は 、 法 爾 を し て 一 方 に 偏 倚 せ ざ る 虚 空 團 形 と 成 る 等 な り 。 次 に 随 縁 で 言 へ ば 、 五 大 互 に 依 る も の は 倶 有 因 な り 、 五 大 の 互 に 相 礙 へ ざ る は 能 作 因 な り 。 又 形 色 に つ け ば 方 形 は 圓 形 の 四 邊 に 三 角 を 加 へ た も の な り 、 圓 形 は 方 形 の 四 邊 に 三 角 を 除 い た も の な る と き は 、 與 力 の 増 上 縁 あ り 。 大 日 經 開 題 に 、 法 爾 瑜 伽 故 無 二 能 所 三而 立 能 所 と 言 へ る 如 く 、 六 大 の 互 に 瑜 伽 す る は 法 爾 な る 故 に 、 能 所 無 き な れ ど も 、 其 法 爾 瑜 伽 な け れ ば 諸 法 あ ら れ ぬ 故 に 、 法 爾 の 因 縁 な る も の な り 。 要 す る に 宇 宙 萬 有 に 、 恒 に 不 變 隨 縁 相 即 し て 、 其 現 象 あ り う る と す る が 密 教 の 意 な り 。 前 述 の 如 く 、 六 大 の 無 礙 瑜 伽 に 依 て 十 界 互 に 渉 八 し 、 十 界 の 三 大 恒 に 圓 融 す る と 云 ふ が 密 教 の 意 な り 。 即 ち 是 が 天 台 の 十 界 互 具 し て 百 界 と な り 、 百 界 の 各 々 に 相 性 體 力 作 因 縁 果 報 等 の 十 如 是 を 具 し て 千 如 と 成 り 、 十 界 の 實 際 は 不 變 の 理 體 に も 随 縁 の 事 用 に も 、 恒 に 互 に 圓 融 無 碍 に し て 、 毘 盧 の 身 土 な り と 云 ふ に 同 じ 意 な り 。 ま た こ の 百 界 千 如 の 事 理 共 に 圓 融 無 碍 な る も の 本 來 あ る を ば 、 毘 盧 の 身 土 と す る の み に て 迷 悟 並 存 し て 居 る も の と は せ ざ る な り 。 是 も 天 台 の 四 明 大 師 が 、 性 具 の 十 界 は 融 妙 な る が 故 に 清 淨 功 徳 と 名 く と 言 へ る に 同 じ 意 な り 、 然 ら ば 如 何 に し て 染 淨 縁 起 あ り う る と す る や と 言 ふ に 、 密 教 の 意 は 、

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心 は 、 之 を 以 て 起 因 と し て 種 々 の 妄 執 を 生 憩 り 、 差 別 を 忘 れ て 平 等 に 堕 す る 源 と 成 た る 故 に 、 出 世 六 種 の 住 心 は 、 之 を 以 て 起 因 と し て 無 明 の 邊 域 に 據 れ り 。 此 の 妄 起 の 源 は 惑 の 細 分 な る 故 に 微 細 妄 執 と 名 く 。 法 性 同 體 の 惑 と は 、 即 ち 是 な り と 云 云 。 今 評 し て い は く 、 世 間 三 種 人 の 妄 執 起 因 爾 る べ し 。 第 四 五 六 七 は 、 但 空 但 中 の 執 あ る 故 に 、 一 往 所 説 の 如 く な る べ し 。 第 八 第 九 は 圓 中 の 智 な る 故 に 、 所 説 は 疎 論 な る べ し 。 た と ひ 密 家 よ り 貶 奪 し て 言 ふ ざ も 、 誣 妄 あ る を 免 れ ず 。 公 平 に 研 究 す べ き な り 。 次 に 眞 明 不 退 の 因 を 明 し て 云 は く 、 今 秘 密 乘 の 諸 佛 は 、 圓 に 差 別 平 等 不 二 即 一 の 理 を 了 す 、 此 の 圓 智 一 び 開 け な ば 永 く 退 失 の 期 な し 、 差 別 平 等 、 時 と し て 暫 く も 忘 る ゝ こ と 無 し 、 何 に 由 て か 再 び 凡 夫 の 偏 見 を 起 さ ん や と 云 云 。 即 ち 是 は 天 台 の 智 旭 及 傳 燈 の 二 師 が 大 佛 頂 經 の 疏 を 製 し て 無 明 の 起 因 を 明 す に 如 來 藏 妙 明 心 は 照 而 常 寂 寂 而 常 照 な り 、 之 を 續 く れ ば 無 明 起 ら ざ れ ど も 、 是 は た ゞ 性 具 の 徳 の み に し て 、 修 成 の 功 な き 故 に 、 差 別 或 は 平 等 に 傾 き て 無 明 と な れ り 。 是 の 故 に 我 家 に は 、 止 觀 均 等 に 修 す る を 成 佛 の 要 路 と す と に 言 へ る に 類 似 す 。 華 嚴 の 妄 盡 還 源 觀 に も 、 無 明 流 轉 の 本 が 、 平 等 差 別 に 傾 き た る に 由 る 故 に 、 止 觀 を 修 す る こ と 肝 要 な る 旨 趣 を 顯 せ り 。 然 れ ば 染 淨 縁 起 の 模 様 は 、 天 台 も 密 教 も 大 差 あ る べ か ら ず と 知 ら る ゝ な り 。 三 に 、 縁 起 説 の 眞 僞 を 辯 ず る に 就 て 比 較 せ ば 、 密 教 は 縁 起 の 根 本 體 は六 大 法 性 に あ り と し 、 華 嚴 が 唯 眞 心 を 縁 起 の 本 に し 、 法 相 が 唯 頼 恥 を 縁 起 の 本 に し 、 倶 舍 が 業 力 を 縁 起 の 本 と す る を ば 取 ら ざ る な り 。 何 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 一

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 二 故 ぞ と 討 ぬ る に 二 意 あ り 。 一 に 現 覺 諸 法 本 初 不 生 と 説 く に 依 れ り 。 阿 字 の 三 義 は 、 三 諦 一 諦 相 即 し て 中 邊 相 隔 ら ざ る が 故 に 、 諸 法 の 本 初 不 生 な る を 顯 は せ り 、 此 を 現 覺 す る と こ ろ で 成 佛 す 。 若 し 諸 法 の 原 底 は 、 唯 眞 心 の み に し て 眞 色 な き と き は 、 色 法 は 本 無 今 有 の も の と な る 。 隨 つ て 色 心 を 具 へ た 十 界 の 諸 法 も 本 初 に 無 き も の と 成 る . 十 界 の 諸 法 本 有 に あ ら ざ る と き は 、 諸 法 は 前 後 し て 隔 歴 不 融 な る べ し 。 云 何 が し て 無 始 間 隔 の 無 明 を 斷 捨 し て 、 成 佛 す る を 得 ん 。 是 の 故 に 諸 法 本 有 の 經 説 に 依 て 、六 大 法 性 を 縁 起 の 本 と す 。 二 に 經 論 が 即 身 成 佛 を 説 け る に 據 れ り 。 菩 提 心 論 に 、 父 母 所 生 身 速 證 大 覺 位 と 言 へ り 、 此 の 肉 身 の 當 體 に 常 住 不 變 の 色 心 無 く て は 、 此 身 の 儘 で 大 覺 位 に 登 る こ と 能 は ざ る な り 。 然 る に 此 の 身 の 源 底 に 色 心 二 法 無 く て は 、 本 無 今 有 己 還 無 に し て 、 無 常 法 な り 、 云 何 ぞ 此 の 身 の 儘 に て 成 佛 す る を 得 ん 。 是 の 故 に 諸 法 の 源 底 に 六 大 あ り て 、 是 が 縁 起 の 本 ぜ り と す 。 委 く 言 へ ば 、 諸 法 の 根 底 は 六 大 の 法 性 に し て 、 此 法 性 は 三 諦 一 諦 相 即 を 詮 顯 す る 阿 字 な る が 故 に 、 單 に 諸 法 の 理 性 の み あ る に 非 ず 、 十 界 の 相 性 體 力 作 等 を 具 し て 、 融 妙 に な り つ ゝ 而 も 差 別 せ る も の な り 。 是 の 故 に 寂 照 相 即 し 、 一 多 法 界 無 碍 な り 、 性 海 が 差 平 相 即 し 、 一 多 法 界 無 碍 な る 故 に 、 能 く 諸 法 が 縁 起 す る こ と を 得 て 現 象 世 界 が ま た 一 多 相 即 す る に 至 れ り 。若 し 本 原 の 性 海 が 唯 心 一 元 或 は 唯 物 一 元 と し て は 、 一 は 有 限 と な り て 、 輪 圓 の 美 を 缺 き 、 現 象 ま た 一 多 隔 歴 し て 、 輪 圓 の 美 を 缺 く に 至 る 。 云 何 ぞ 宇 宙 萬 有 悉 く 曼 茶 羅 の 妙 境 界 な る を 得 ん 。 是 の 故 に 源 底 は 一 元 多 元 融 即 し て 、 現 象 ま た 一 多 相 即 し 、各 々 金 剛 賓 藏 な り と 云

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ふ が 密 教 の 意 な り 。 ま た 肉 體 も 、 昔 空 無 常 無 我 な る 當 體 に 空 有 相 即 し て 、 不 可 破 壊 な る 法 性 の 常 樂 我 淨 の 四 徳 を 有 し た 色 心 あ り て 、 毘 盧 遮 那 如 來 の 平 等 智 身 な る が 實 際 な り 。 是 則 ち 水 が 波 と 成 れ ば 波 に も 濕 徳 あ る が 如 く 、 不 可 破 壊 の 法 牲 が 現 今 の 肉 體 と 成 り し 故 に 、 か ゝ る 四 徳 あ り て 即 身 成 佛 す る に 不 足 な き な り と 云 ふ 爲 に 、六 大 の 法 性 を 縁 起 の 本 と す 。 又 此 の六 大 縁 起 に 、 本 覺 下 轉 從 果 向 因 の 縁 起 と 、 始 覺 上 轉 從 因 至 果 の 縁 起 と あ り て 、 密 教 で は 、 本 覺 の 樂 都 は 十 界 融 妙 自 在 な る 解 脱 世 界 な り 、 無 明 の 他 が 之 に 迷 ふ て 苦 み 、 束 縛 不 自 在 の 身 と な り し 故 に 、 本 覺 の 自 が 之 を 愍 み 、 本 覺 の 自 境 界 に 引 き 込 ま ん と て 、 次 第 に 四 重 圓 壇 を 下 轉 す る 縁 起 と 、 第 八 識 發 心 し て 修 行 し 、 菩 提 涅 槃 方 便 究 竟 と 次 第 に 四 重 圓 壇 を 上 轉 す る 縁 起 と を 相 即 し て 觀 じ て 、 煩 惱 の 當 體 を も 菩 提 と し て 不 斷 而 斷 し 、 上 轉 下 轉 の 一 方 に 偏 倚 せ ざ る が 、 密 教 取 る と こ ろ の 縁 起 觀 な り 。 顯 教 は 性 源 を 寂 照 不 二 の 解 脱 界 と せ ざ る 故 に 、 本 覺 下 轉 從 果 向 因 の 縁 起 觀 は な く し て 、 唯 始 覺 上 轉 從 因 至 果 の 觀 想 あ る の み な り 。 總 じ て六 大 縁 起 の 所 立 は 、 諸 法 の 性 體 な る も の が 空 有 相 即 し て 何 と も 名 状 す べ か ら ざ る 處 に 、 中 道 の 法 體 あ り 、 是 が 横 に 十 方 、 竪 に 三 世 に 貫 き て 遍 在 せ り 。 此 も の が 十 界 諸 法 の 元 體 に し て 、 十 界 諸 法 の 體 性 を 鎔 融 無 碍 に 圓 具 す 。 此 の 十 界 諸 法 の 體 性 が 法 爾 と 隨 縁 と の 二 義 、 即 ち 不 變 と隋 縁 と の 二 義 を 具 へ て 、 差 別 平 等 相 即 せ り 。 流轉 門 の と き は 、 無 明 の 薫 を 受 け て 本 有 の 九 界 法 が 顯 現 し 、 還 滅 門 の と き は 、 本 覺 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 三

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 四 の 薫 を 受 け て 本 有 の 佛 界 が 顯 現 し て 、 十 界 諸 法 一 と し て 性 具 微 妙 の も の ゝ 顯 れ に 非 ざ る は な し 。 是 の 故 に 、 諸 法 の 當 相 一 々 が 眞 實 に し て 、 攝 相 歸 性 を 待 た ざ る な り 。 煩 惱 菩 提 生 死 涅 槃 は 、 當 體 性 具 微 妙 の 顯 れ に し て 、自 心 佛 の 密 號 な り 。 こ れ ら 四 法 は 、 情 智 の 上 に 立 ち た る も の に て 、 法 體 自 身 は 、 恒 に 自 由 解 脱 の も の な り と 言 ふ 。 即 ち 是 が 妙 玄 二 之 下 (三 十 四 右 ) に 、 無 作 の 四 諦 を 明 し て 以 迷 理 故 菩 提 是 煩 惱 名 集 諦 涅 槃 是 生 死 名 苦 諦 以 能 解 故 煩 惱 即 菩 提 各 道 諦 生 死 即 涅 槃 名 滅 諦 と 言 ふ 意 と 相 似 た り 。 煩 惱 生 死 の 法 體 は 、 融 妙 に し て 解 脱 自 在 の も の な れ ど も 、 迷 情 に 依 り て 、 自 縛 し て 苦 因 苦 果 と な れ り 。 是 が 實 相 に 體 逹 す れ ば 、 菩 提 涅 槃 、 即 ち 樂 因 樂 果 本 有 に し て 、 始 造 し た る に は 非 ざ る な り 。 然 ら ば 六 大 縁 起 は 、 數 論 外 道 が 自 性 冥 諦 を 立 て ゝ 、 是 が 大 我 慢 五 唯 五 大 五 知 根 五 作 業 根 心 平 等 根 と 名 く る 廿 三 諦 の 世 性 を 有 し 、 我 の 所 欲 に 隨 ふ て そ れ ら 廿 三 諦 の 諸 法 を 生 ず と 云 ふ 自 生 計 と 同 じ き や 。 解 し て い は く 、 大 に 異 な れ り 。 何 と な れ ば 、 數 論 は 、 そ れ ら 廿 三 諦 の 諸 法 は 自 然 生 と し て 、 佛 教 の 如 く 異 熟 因 等 に 依 て 生 ず と は せ ざ る な り 。 是 は 既 に 小 乘 佛 教 の 所 破 な り 、 何 ぞ か ゝ る 自 生 計 の 意 味 な ら ん 。 人 天 の 五 唯 五 大 五 根 等 の 現 生 す る に は 、 五 戒 十 善 四 禪 定 の 異 熟 因 、 三 途 の 器 界 身 體 は 、 上 中 下 十 悪 業 の 異 熟 因 を 待 て 生 ず 。 總 じ て 自 生 他 生 共 生 無 因 生 の 四 計 を 離 れ た 縁 起 な り 。 此 の 四 不 生 の 義 あ ら ば 、 無 自 性 空 の 方 面 あ り て 、 諸 法 本 有 を 談 た る六 大 縁 起 に 不 合 理 な ら ん と 疑 ふ こ と 勿 れ 。 四 不 生 の 義 め り て 、 眞 正 な

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る 縁 起 を 成 し 、 眞 正 な る 縁 起 成 ず る と こ ろ で 諸 法 本 有 を 成 す 。 疏 三 に 、 毘 盧 遮 那 即 以 此 十 縁 生 何 不 思 議 法 界 作 無 盡 荘 嚴 藏 と 釋 ぜ る は 此 意 な り 。 十 縁 生 何 の 觀 に は 、 如 幻 如 夢 如 陽 炎 等 の 觀 あ り て 、 倶 空 觀 な る に 似 た れ ど も 、 疏 に 四 不 生 三 諦 等 に 約 し て 、 縁 生 諸 法 の 即 空 即 假 即 中 を 觀 ず と せ り 。 此 の 觀 な れ ば 諸 法 本 有 顯 は れ 、 本 智 顯 は る ゝ と こ ろ で 、自 證 化 他 の 無 盡 莊 嚴 藏 (兩部 ) を 體 驗 す る こ と が 出 來 る な り 。 蓋 し 前 に 六 大 縁 起 は 、 諸 法 本 有 の 義 を 示 す 爲 な り と 云 ふ が 、 然 る に 諸 法 本 有 と 言 へ ば 、 縁 を 藉 ら ず に 存 在 し て 、 自 性 あ る を 詮 は す 語 な り 從 縁 生 無 自 性 と 言 へ ば 縁 を 藉 り て 生 じ 、 自 體 な き を 表 は す 言 な り 。 縁 生 無 性 の 空 義 に 依 り て 、 云 何 が し て 諸 法 本 有 を 顯 は し 得 る や 、未 だ 其 の 義 詳 な ら ず 、 諦 ふ 之 を 辨 ぜ よ と 塗 ら ば 、 應 答 し て 日 は ん 。 凡 そ 三 大 は 圓 融 す る も の に て 、 體 大 の 位 に 相 用 二 大 あ り 、 相 用 二 大 は 因 縁 に 係 れ り 、 是 の 故 に六 大 注 性 の 元 初 よ り 、 現 象 の 萬 物 に 至 る ま で 、 悉 く 法 爾 と隋 縁 と を 具 し て 、 一 と し て 此 二 義 を 有 せ ざ る も の は な き な り 。 十 界 の 六 大 周 偏 し て 自 中 に 他 が 入 る に 順 ひ 、 他 の 活 動 に 相 應 し て 逹 戻 せ ず 、 他 が ま た 、 其 不 障 の 増 上 縁 に 隨 ふ て 渉 入 し 、 其 相 應 し 乖 角 せ ざ る に 基 因 し て 、 活 動 す る は 、 即 あ 是 れ隋 縁 を 有 す る す が た な り 。 况 ん や 現 象 界 の 萬 物 に 於 て お や 。 諸 法 本 有 と 言 ふ は 、 法 爾 の 方 よ り 立 名 し た も の な れ ど も 、 三 大 圓 融 し 體 用 不 二 な る が 故 に 、 法 爾 の 當 體 に 隨 縁 あ り て 、 縁 生 無 性 の 旨 義 を 免 が れ ざ る は 勿 論 、 體 用 相 即 す る が 故 に 、 體 の 本 有 と 同 時 に 用 も 本 有 な り 、 然 れ ば 諸 法 本 有 ど 言 ふ は 諸 法 の 體 用 本 有 な る も の な り 。 用 大 た る 三 密 の 本 有 な る は 、 此 の い は れ あ る に 由 る 。 法 爾 の み に し て 随 緑 な 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 五

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 六 し と 言 は ゞ 三 密 は 本 有 に 非 ず と 言 ふ こ と に な る な り 。 三 密 本 有 と 言 ひ つ 丶、隋 縁 現 生 な し と 言 ふ は 、 自 家 撞 着 な り 。 即 ち 是 れ 本 有 と 言 ふ 名 目 に 眩 惑 さ れ て 、 其 眞 意 を 解 知 せ ざ れ ば な り 。 又 諸 法 本 有 と 言 ふ は 體 の み に し て 用 な き 死 物 の 本 有 と 言 ふ こ と に 非 ず し て 、 體 用 相 即 せ る も の 丶 本 有 な る 故 に 、 縁 生 無 性 の 方 面 を も 全 收 し た る 本 有 な り 。 然 る 和 本 有 と 言 へ ば 縁 生 無 性 を 脱 離 し た も の と 思 ふ は 、 同 じ 本 有 の 名 目 を 輕 卒 に 見 た 誤 解 な り 。 凡 そ 諸 法 本 有 と 言 ふ は 、 阿 字 の 實 義 を 説 い て 諸 法 本 初 不 生 と 言 へ る に 據 る 。 然 る に 此 の 阿 字 に は 空 有 不 生 の 三 義 あ り て 、 本 不 生 と 言 ふ は 空 有 相 即 の 處 に 具 は る 中 道 の こ と な り 、 是 の 故 に 本 有 と 言 ふ 者 は 、 空 を 省 け る 偏 有 に 非 ず 、 空 に 即 す 乃 妙 有 な る も の な り 、 す な は ち 縁 生 無 性 に 即 具 す る 妙 有 に し て 、 空 有 別 見 す る 有 に は 非 ざ る な り 。 難 者 は 空 有 別 見 し て 、 諸 法 本 有 と 官 へ ば 縁 生 無 性 の 義 な し と 難 ぜ り 。 阿 字 の 實 義 に 蓮 戻 せ る 短 見 に 非 ず し て 何 ぞ や 。 抑 も 阿 字 の 轉 釋 に 、 遠 離 因 縁 と 言 ふ は 、 阿 字 の 三 諦 義 は 諸 法 の 體 相 用 相 即 せ る 處 に 立 た も の に て 、 是 は 諸 法 天 然 の 徳 用 に し て 、 因 縁 の 始 造 に 非 ざ る 故 に 離 因 縁 と 云 ふ 、 諸 法 の 作 用 た る 因 縁 な し と 言 ふ に 非 ず 。 今 正 に 隨 縁 無 性 と 法 爾 本 有 と は 反 對 に 非 ず し て 、 一 致 不 離 の も の な る を 辨 ぜ ば 、 法 爾 は● 體 な り 、隋 縁 は 用 な り 、 此 體 用 相 即 し て 法 爾 な く し て 隨 縁 あ る 能 は ず 、隋 縁 な く し て 法 爾 め る 能 は ざ る な り 。 無 性 は 空 な り 、 本 有 は 有 な り 、 此 空 有 相 即 し て 、 空 な く て は 有 あ ら れ ず 、 有 な く て は 空 あ ら れ の な り 。 何 と な れ ば 、 此 の 空 は 柝 空 に 非 ず し て 體 空 な り 、 但 空 に 非 ず し て 無 性 な り 。 無 性 空 と は 十 住 心 論 三 に 、 阿 字 門

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の 空 の 義 を 出 し て 、 若 入 阿 宇 門 悉 離 一 切 相 離 相 之 相 無 相 不 具 言 へ る 如 く 、 萬 物 を 有 し て 居 り て 、 一 方 に 染 著 す る 情 相 を 離 れ た る を 無 性 空 と 云 ふ 。 仍 て 諸 法 は 空 門 に 約 せ ば 平 等 と な る な り 。 有 と は 縁 に 隨 ふ て 何 れ か の 一 法 と 成 る を 有 と 云 ふ 。 仍 て 諸 法 は 有 門 に 約 せ ば 差 別 と な る な り 。 然 る に 無 性 空 な る が 故 に 縁 に隋 ふ て 有 と な る な り 。 縁 に隋 ふ た 有 な る 故 に 當 體 ま た 無 性 空 な り 。 是 れ 則 ち 空 有 相 反 せ ず に 一 致 し て 居 る す が た に し て 唯 現 象 界 の み な ら ず 、 實 在 界 も 亦 然 り 。 若 し 現 象 が 實 在 に 符 合 せ ず ば 、 現 象 は 實 在 外 に あ り て 、 現 象 た る を 得 ざ る な り 、 論 者 は 定 め て 密 教 の 諸 法 本 有 は 、 大 乘 教 の 人 法 倶 空 と 異 り て 、 小 乘 教 犢 十 部 の 人 法 倶 有 に 同 じ と 言 ふ な ら ん 。 鳴 呼 阿 字 の 三 諦 相 即 に 暗 く し て 空 有 別 見 し 、 人 法 二 無 我 を 離 れ て 、 諸 法 本 有 の 義 あ り と 想 へ り 。 吽 宇 義 に は 阿 字 と 聯 絡 せ る 摩 宗 を 釋 す る に 、 摩 宗 門 一 切 諸 法 吾 我 不 可 得 故 と 言 へ り 。 人 法 二 無 我 の 義 を 離 さ ぬ こ と 明 か な り 。 云 何 ぞ 犢 子 部 の 人 法 倶 有 に 同 ふ す る こ と を 得 ん や 。 梵 綱 經 開 題 に も 、 如 來 説 法 爲 令 衆 生 離 妄 計 我 證 無 我 大 我 捨 邪 因 果 入 本 性 大 空 乃 至 若 能 入 中 觀 得 無 我 大 我 大 我 則 眦 盧 遮 那 之 別 名 と 言 ふ て 、 單 に 有 觀 の み で 大 我 を 證 す る に こ と 能 は ざ る を 示 せ り 。 凡 夫 思 ふ 如 き 有 自 性 の 人 法 本 有 と 言 ふ に 非 ざ る な り 。 張 ひ て 困 縁 無 性 を 離 れ た 堅 實 な る 自 性 あ る を 本 有 と 云 ふ と せ ば 、 一 に 、 寓 物 に 輪 圓 の 美 無 か ら 令 む る 失 を 成 ず 。 人 間 は 人 間 だ け の 堅 實 な る 自 性 あ り て 、 餘 の 九 界 の 性 を 有 せ ざ る べ し 。 若 し 人 間 の六 大 中 に 、 顯 密 二 教 の 此 較 研 究 二 七

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 八 餘 の 九 界 の 六 大 入 る を 許 さ ば 、 無 自 性 な り 。 是 の 故 に 無 自 性 な ら ば 輪 圓 の 美 あ る を 得 れ ど も 、 堅 實 な 自 性 あ ら ば 輪 圓 の 美 な し と す べ き な り 。 二 に 、 一 個 に 諸 法 本 有 な か ら 令 む る 失 を 成 ず 。 若 し 堅 實 な る 自 性 あ ら ば 、 一 は 一 に 限 り て 一 即 多 に 非 ず 、 仍 て 凡 夫 は い つ も に 凡 夫 に し て 、 餘 の 九 界 と な る こ と 無 し と 云 ふ 失 を 成 す 。 三 に 人 法 二 執 に 随 せ 令 む る 失 を 成 す 。 諸 法 本 有 と 言 ふ は 、 縁 生 を 離 れ た 自 性 本 有 な ら ば 、 人 法 に 實 を 認 め 、 人 法二 執 を 起 す の が 、 正 當 な る 思 考 と な る な り 。 四 に 本 來 成 佛 無 か ら 令 む る 失 を 成 す 。 本 具 十 界 の六 大 が 法 爾 と 隨 縁 と を 有 し て 、 差 別 と 鎔 融 と が 無 碍 自 在 な ら ば 、 本 來 成 佛 の 義 あ れ ど も 、 因 縁 即 ち 隨 縁 の 義 な け れ ば 、 差 別 の み あ り て 鎔 融 な し 。 即 ち 是 れ 寂 照 不 二 な る 圓 鏡 智 の 鏡 界 な く 、 束 縛 不 自 由 の み あ り 、 云 何 ぞ 涅 槃 の 四 徳 を 具 へ た 佛 と 言 ふ こ と を 得 ん や 。 本 來 成 佛 の 義 な く し て 即 身 成 佛 を 主 張 せ ば 、 熱 病 者 の 譫 語 に 過 ぎ ず 。 五 に 密 教 成 佛 無 か ら 令 む る 失 を 成 す 。 必 要 な る 阿 宇 觀 の 諸 法 本 不 生 と 言 ふ こ と が 、 諸 法 の 縁 生 に 係 ら ず し て 、 自 性 本 有 な る を 觀 ず と せ ば 、 阿 宇 觀 な る も の は 、 三 妄 を 斷 除 せ ず し て 惹 起 す る 觀 な り 。 云 何 が し て 成 佛 す る を 得 ん や 。 諸 法 の 縁 生 無 性 に 即 す る 本 有 を 觀 ぜ ず に 、 如 何 が し て 三 妄 を 斷 ず る こ と を 得 る や 。 大 師 が 三 大 便 祗 超一 念 之 阿 宇 と 言 へ る 阿 宇 の 義 を ば 、 吽 字 義 に 、 空 有 不 生 の 三 義 と し 、 此 の 三 諦 は 相 即 し て 三 諦 一 諦 な る を 示 す に 、 智 論 を 引 き 、 此 三 智 其 實 一 心 中 得 爲 分 別 令 人 易 解 故 作 三 種 名 即 是 阿 宇 義 と 言 へ り 。 難 者 の 如 く 、 空 有 別 見 す る 有 に 非 ざ る な り 。 仍 て 三 妄 も 一 念 の 阿 字 に 超 ゆ る こ と を 得 て 、 速 疾 成 佛 す る も の な り 。

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