内モンゴノレにおける中学生の食生活に関する調査研究
教科・領域教育専攻
生活・健康系コース(保健体育) 海 ムム
1 .研究の目的
近年,中国では社会経済的発展に伴う食生活 の急激な欧米化が生活習慣病に関わる健康問題 の増力日の大きな背景要因になってきたD このた め,現在,中国において国民の食生活の改善が 健康対策の重要な課題として挙げられている。
本研究では望ましい食生活習慣形成ための有効 な食教育を構築することを目的に,その基礎知 見として,生活習慣形成の重要な時期である中 学生の食生活の実態を調査し,問題点を明らか にして,食教育における具体的な課題を見いだ す。
II.研究方法 1.調査内容
調査内容は属性,食生活,食品摂取頻度,健 康状態の4分野に関わる質問内容で構成し,計
66質問項目を作成した。
2.調査対象者・調査方法
中国・内モンゴ〉レの包頭市(パオト)の中学 2校の学生(中1‑中4年生),計2049名を対象 とした。 2005年 4月に各クラス担当朝市に より質問用紙を配布し,回答ゴデ法を説明して,
無言己名でその場で記入させ回収した。欠席や調 査票の記入不備を除き,男子947名と女子1004 名,計 1951名(有効回答率は95.2%)を分析 対象とした。
3.分析方法
各質問項目,各要素のレベルの検討には回答
指導教員 吉本佐雅子
番号を点数化した平均値を用いた。統計的分析 は,統計ソフト, StatViewを用い,性,学年 の2要因の影響を2元分散分析で, 2変量聞の 関連性をSpearmanの}I開立相関で検討した。い ずれも有意水準は
5%
未満とした。ill.結果と考察 1.食生活の実態
1)
r
食事準備状況J,r
食べ物の欲求J,r
食行 動J,r
食意識jの要素は主体的な行動に関わる 要素と考えられ,女子では男子に比べ,食生活 への関心,積極性が5齢、ことが考えられた。ま た,男女ともに高学年で食生活への関心が薄く なり,受験や友人関係などに関心が移行するた めとも考えられた。2)
r
食事準備状況jが良い者は,r
食行動jお よび「食意識jが良好で、,このことがさらに「食 べ物の欲求J,r
朝食摂取J,r
夕食摂取J,r
三食 摂 取J等の他の具体的食生活行動の望ましい状 況に関わっていることを示す結果がえられた。3)食生活のうち自律的行動として最も表れや すい「間食j摂取は,女子に多かった。また,
男女ともに食行動が望ましい者は間食をあまり 食べていないことが分かった。また,油料理,
間食,ジュース,インスタント食品などの摂取 頻度が高い者の「身体的健康度J
r
精神的健康度jは低し、傾向が見られた。
4)以上のように,全体として,内モンゴ〉レの 中学生では高学年になるに伴い,自分の好み,
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考えに偏った習慣が表れる傾向がみられた。こ れらのことから,中学生の時期は発育急伸期に あたり,自律心の発達が著しく,小学生の頃と は異なって,保護者から提供,規制される受動 的習慣から,自らの考え,好みなど能動的な行 動の習慣が形成される時期であり,この時期の 食教育が重要であることが認識できた。
2.食品摂取頻度の実態
食生活要素「朝食摂取状況J,
r
夕食摂取状況j,「三食摂取状況Jが良い者は,蛋白源食品(肉,
魚,卵,豆),無機源食品(海草,牛乳・手
l
製品),果物,野菜の摂取頻度が多し、傾向があり,多種 類の食品を多く,食品摂取バランスがとれてい ることが確認できた。また,カルシウムなどの 無機栄養素の摂取には特に朝食が重要な摂取機 会となっていることがわかったo 食意識が高い 者は野菜が健康によいことを知っており,積極 的に野菜をとっていることが考えられた。
3.健康状態の実態
健康状態については,学校生活が充実してい ると精神的健康度も高くなり,身体的健康度も 向上していくことが分かったD このことから,
子どもたちの日常の心身の健康には,友人や教 師との良い関係が大部分を占める学校生活の楽 しさが密接に関与していることを考えられた。
4.食生活と健康状態の関連性
食生活習慣のうち,三食を規則正しく抜かず にとる習慣と,間食をあまりしない習慣が直接 的に身柄句健康状態の維持・増進に関わってい た。また,
r
食事準備状況jは f学校生活Jと強 い関連性を示し,主体自悦子動である食事準備状 況が良い者は,学校生活も楽しく,日常の心身 の健康状態を高めていることが示唆された。5.一人っ子の食生活・健康状況
中国の子どもの食生活に関わる要因として,
一人っ子の食生活について検討を加えた。一人
つ子は非一人っ子にくらべ多種類の食品の摂 取頻度が多く,栄養ノミランスが良い傾向があっ たが,食生活行動は自分の好みに偏る傾向が顕 著で、あった。また,食事の準備をする者が有意 に少なかった。このことは,一人っ子の食生活 習慣は保護者に規制されており,主体的な習慣 形成に関しては憂慮すべき状況を示しているも のと考えられた。
N. まとめ
現在,内モンゴルの中学生で、は,食事を抜く,
間食摂取が多いことが,身体的健康問題の大き な要因であることを見出した。このような自律 的・主体的な行動は無意識に始まることが多く,
自己の食生活を見直させることが必要と考える。
さらに,今回の調査では,食事の準備に積極 的に関わる者は,学校生活が楽しくて,このこ
とが精神的,身榊句健康度を良好にしているこ とが推察できた。このことから,主体的で望ま しい食生活習慣を形成するための中学生の食教 育において,その具体断子動目標として,
r
食事準備jを支持する。今回,食生活要素「食事準 備状況Jは,手伝い,材料購入手洗い,他者 への食事濃供などの婦哉,態度,擬侃人との コミュニケーションに関する総合的な能力が必 要な行動として捉えた。従って,食教育におけ る「食事の準備Jの参加,意欲を高める指導は,
調理技術,そのものだけでなく,これら全体の 能力を高めることが期待できる。家庭において,
f食事鞠首jは単なる手伝し叱、けでなく,食教 育として考える必要であることを認識する。ま た学校においては,総合的な観長から調理実 習を推進することが食生活強いては,生活習慣 全体の改善に有効な耕おこなることが考えられ た。今後の課題として,この耕オの有効性の検 証を行し、たし、
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