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保険契約の会計基準による経済的影響の 予測

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(1)

保険契約の会計基準による経済的影響の 予測

上 野 雄 史

■アブストラクト

本稿では,IASBの方向性と既存の

GAAPとの相違点を明らかにした上

で,IASBが提案する保険契約の会計基準が適用された場合の経済的な影響 を予測し,考察した。既存の保険会社の

GAAP

は保険会社の資金提供者で ある保険契約者を保護する機能を持っている。つまり,情報提供機能よりも 利害調整目的が重視されてきた。わが国の保険会社は北本(1974)が 超保 守性 といったように,諸外国(特にアングロサクソン諸国)よりも一層保 守 的 な 会 計 慣 行 が 容 認 さ れ て き た。IASBは 保 険 会 社(保 険 契 約)の

GAAP

についての基準設定を進めており,その中で保険負債を公正価値測 定により行うモデルを提示している。保険契約の会計基準は保険会社を一般 の企業と同じ競争のフィールドに置くことを意味する。保険会社のあり方そ のものを変えることが求められるといっても過言ではないであろう。

■キーワード

公正価値測定,GAAP,SAP

1.問題の所在⎜保険契約の会計基準がもたらす意味とは⎜

本 稿 は 国 際 会 計 基 準 審 議 会(International Accounting Standards

Board

:以下,IASBという)が提示する 保険契約の会計基準 について

 

*平成20年2月23日の日本保険学会関西部会報告による。

/平成21年1月2日原稿受領。

(2)

考察したものである 。

わが国の保険会社に対する会計上の規則は,保険業法等に一部規定がある ものの包括的なものは存在しない。保険業法施行規則第24条に 一般に公正 妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行をしん酌しなけれ ばならない。 とあるように,保険業を営む企業も他の業種と同じく一般に 公正妥当と認められた会計基準(Generally Accepted Accounting Princi-

ples

:以下,GAAPという)に準拠する。ただし,保険会社の

GAAP

は,

保守性,継続性を重視する観点から,一般の

GAAP

に準拠しつつも,独自 の

GAAP

が適用される項目が存在する。各国で程度の差はあるものの,保 険契約に関する負債の計上額に関しては保守的な見積りが行われている。

現在,IASBは保険会社(保険契約)の

GAAP

についての基準設定を進 めており,その中で保険負債を公正価値測定により行うモデルを提示してい る。IASBの志向している保険会計の枠組みは,既存の各国の

GAAP

とは 異なる。会計慣行として許容してきた保守性を排除し,保険契約と金融商品 との測定方法の首尾一貫性を持たせ,比較可能性を高めることにある。

保険会社の

GAAP

は一般の

GAAPとは異なる部分が多い。また保険会

社の

GAAP

を取り巻く状況は保険事象の特殊性,そして各国の会計実務・

監督体制の多様性により相当複雑である。IASBは10年以上の間,保険会社 の

GAAP

について検討しているが,未だに基準設定に至っていないという ことからも,他の基準と比較して統一した基準を作成することが如何に困難 なのかが分かる。本稿では,IASBの方向性と既存の

GAAPとの相違点を

明らかにした上で,IASBが提案する保険契約の会計基準が適用された場合 の経済的な影響について予測し,考察していく。

なお

IASB

は保険負債の評価方法について公正価値ではなく,現在出口 価値という概念を提示している。IASBは 現在出口価値 と 公正価値

1)

IASB

は全世界で使用可能な共通した会計基準の作成を行っている機関であ り,当機関が作成する会計基準は国際財務報告基準(International Financial

Reporting Standards:以下,IFRS

という)と呼ばれている。

 

(3)

の定義について,2つの概念が同一なのかはまだ決定できていないとする一 方で,現在出口価値と公正価値との重要な差異を確認していないと述べてい る(IASB 2007,

C

7)。本稿では両者は同一の概念であるという前提で,公 正価値という用語に統一して論じていきたい。

2.保険会社の情報開示

⑴ 情報開示の変化

保険会社の情報開示は,ここ10年で大きく変わってきた。保険商品が複雑 化し,企業を取り巻くリスクが多様化・複雑化する中で,各社の情報開示が 量,質ともに充分で,かつ適切であったとはいえないかもしれない。しかし,

その評価は別にして,10年前と比べると保険会社が自社の情報開示に積極的 になったことに異論は無いと考えられる。その背景には,ここ10年間で進ん だ保険業の規制・監督体制の変化がある。

わが国において保険会社は銀行と同じく護送船団方式の中で事前統制が重 視され,破綻する危険性はほぼ皆無であった 。その代償として,保険会社 の経営は監督機関である大蔵省(現在の金融庁)により,事前の統制として 箸の上げ下ろし まで指導されていた。それが1996年から始まった金融ビ ッグバンによる金融制度改革と新保険業法施行により,自由化,国際化を柱 にした規制緩和が進められ,事前統制よりも事後チェックを重視する方向へ とシフトした。具体的な規制緩和の例を挙げると,海外企業の参入が容易に なり,生損保相互参入も進められ,銀行等による保険商品の窓口販売が解禁 された。また保険商品の料率規制や商品認可などに関する規制が緩和され,

多様な保険商品の設計が可能となった。こうした市場原理に基づく競争の促 進を進めるためには保険会社の情報開示が行われていることが前提となって いる。この10年間,法律改正により情報開示の充実が保険会社に求められて きた。本稿では,その情報開示の中で保険会社の経営状況に関する開示につ

2) こうした実態については岡田(2006,pp.169‑184)が詳しい。

(4)

いて論じる。

⑵ 経営状況開示と会計基準の国際化

相互会社であれ,株式会社であれ保険会社は自社の経営成績や財政状態を 利害関係者に開示する必要がある。その主な開示方法としては2種類ある。

有価証券報告書 と ディスクロージャー誌 である 。

上場会社は金融商品取引法に基づき各事業年度終了後,有価証券報告書を 3ヶ月以内に内閣総理大臣に提出することが義務づけられている。提出され た報告書は

EDINET(Electronic Disclosure for InvestorsʼNETwork)

を通じて一般に閲覧することが出来る 。ディスクロージャー誌は,1996年 の保険業法改正で作成が義務化された情報冊子である。生損保各社は保険業 法第111条(業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧等)に基づき デ ィスクロージャー誌 を自社の

Web

ページに記載している。

有価証券報告書は投資家を意識して作成されているのに対し,ディスクロ ージャー誌では,経営成績や財政状態だけでなく,保険商品やサービスに関 する情報が幅広く掲載されており,保険契約者,または保険の購入を考えて いる消費者を意識している。

有価証券報告書,ディスクロージャー誌ともに自社の財務諸表が掲載され ている。財務諸表は各期末時点の保険会社の経営成績及び財政状態を表した ものであり,貸借対照表,損益計算書,キャッシュ・フロー計算書の財務三 表を中心に構成されている。両誌に掲載されている財務諸表は同じ会計基準 に基づき作成されており,公認会計士の監査を受けたものである。

監督体制が事前統制重視から事後チェック重視へと移行するに従い,保険 商品の情報開示だけでなく,経営状態の情報開示も金融商品会計や退職給付 会計,キャッシュ・フロー計算書,減損会計などの一連の会計改革による諸

3) 相互会社の場合は有価証券報告書の提出は義務づけられていない。

4) 下記の

Webサイトから上場企業の有価証券報告書(5年分)のデータを閲

覧できる。http://

info

.

edinet

fsa

.

go

.

jp/

(5)

基準が適用され,改善が図られてきた 。これは株式会社だけでなく相互会 社に対しても同様である。一般の企業と同じ

GAAP

の枠組みの中で,保険 会社は経営の一層の透明性を開示することが求められるようになった 。

保険会社が

GAAPの枠組みの中で情報開示が求められているとすれば,

GAAP

そのものの変化にも対応しなければならない。現在,日本の

GAAP

はグローバル化への対応が喫緊に求められ,急激に変化している。IASBが 作成している国際財務報告基準(International Financial Reporting Stan-

dards

:以下,IFRSという)の適用は世界各国に広がっている。EU諸国,

中国やシンガポール,マレーシアを初めとする多くのアジア諸国では,すで に

IFRS

に基づく財務諸表の作成と開示が行われている。

わが国では2005年3月から開始している日本基準と

IFRS

との収斂を加速 するとの合意を2007年8月8日に行い(東京合意),日本基準と

IFRS

との 重要な差異について,2011年6月30日までに解消することを目標として取組 みが行われている 。国内の事情に配慮して設計されてきた日本の

GAAP

は,国際的な動向にも影響を受けるようになった。

次節以降では,保険会社に対する

GAAPの枠組みについて,わが国だけ

でなく,他国を含んだ包括的な視点から述べ,その特徴について論じる。

5) こうした一連の取組みを会計ビッグバンと呼ぶ。

6) 保険業や銀行業については,1976年まで外部監査が無かった。1974年の商法 改正により,1976年4月開始事業年度から,資本金10億円以上の銀行・保険会 社等においても銀行,生命保険会社,損害保険会社の外部監査が始まり,1983 年6月には,資本金5億円以上10億円未満の銀行・保険会社等についても証取 法監査が,さらに同月,保険業法の改正により1984年4月以降の開始事業年度 か ら,会 計 監 査 人 監 査 が 強 制 さ れ る こ と に な っ た。詳 細 は 川 北(2008,

pp.194‑195)を参照されたい。

7) 2007年8月8日。企業会計基準委員会と国際会計基準審議会は2011年までに 会計基準のコンバージェンスを達成する 東京合意 を公表している。

(6)

3.保険会社の GAAP

⑴ GAAP と SAP

保険会社に対する会計は2種類存在する。1つは保険会社の業務監督を行 う目的を持つ,監督会計基準(Statutory Accounting Principles:以下,

SAP

という)である。SAPは法律で定められている。そして,もう一つが

GAAP

である。

保険契約は,契約締結後の保険料の受け取りに始まり,保険事象の発生に よる保険金の支払,契約期間途中での解約による返戻金の支払い,または契 約期間終了による保険金の支払(あれば)により終わる。保険は前払で保険 料を受け取り,保険金は後払いである。そのため保険会社が保険金の支払不 能に陥った場合,保険契約者は著しい経済的不利益を被ることになる。

規制・監督当局は,保険契約の支払に備えて保険会社が健全な財政状態を 維持し,かつ適正な積立を行っているかをチェックし,必要に応じて是正措 置を取る 。このような規制・監督方針に基づき

SAP

は保険会社の支払能 力を維持させることが目的である 。一方で,GAAPに基づき作成される財 務諸表は,監督上の目的とは異なり,適時に,適切かつ正確な情報を資金提 供者(株主・債権者等)およびその他の利害関係者に提供するためにある。

財務報告の目的は

SAPと GAAPで異なるものの,同じ保険会社の財務

状況を明らかにするという共通性を持っている。そのため各国では

SAP

GAAP

の制度間の調整が行われ,国によっては共通した財務報告が用いら れている場合が多い(図表1参照)。アメリカでは,各州の統一的な監督会 計基準を示している全米保険監督協会(National Association of Insur-

ance Commissioners

:以下,NAICという)は,監督会計の目的に沿った

8) 多くの国では監督会計による開示と合わせて保険会社の支払余力を測るため の指標としてソルベンシー・マージン比率が設けられ,一定の比率を下回れば 早期是正措置の対象となっている。

9)

SAPに基づく財務報告は国によっては公開されないこともある。

(7)

独自部分を残しつつ,GAAPに歩み寄る形で

SAP

を設定している 。たと えば2008年9月に

NAIC

から 発 表 さ れ た 公 正 価 値 測 定 に 関 す る

Draft SSAP on Fair Value Measurements  

で は

SFAS

第157号 公 正 価 値 測

定 を意識した形となっている 。アメリカよりも

SAP

GAAP

が共通 化された財務報告が行われているのがカナダである。GAAPと

SAP

とはい ずれもカナダ公認会計士の作成したハンドブックを基礎として作成されてお り,GAAPによる財務報告が

SAP

による報告を兼ねている。またオースト ラリア,イギリスでは,保険負債の測定方法は共通化されている 。わが国 では,SAPの保険負債の測定値がそのまま

GAAP

として用いられている。

保険業法第110条第1項(第199条)に基づき業務報告書に記載される財務諸 表は,責任準備金や支払備金などの保険負債については保険業法で定められ た積立基準が用いられ,資産側については,責任準備金対応債券等を除けば 概ね他の企業と同じ

GAAP

に基づき作成されている 。

こうした

SAP

との調整もしくは統合の過程で,保険会社の

GAAP

は,

他の業種と比べて保守的な会計処理になっている。その顕著の例が保険負債

10) 米国では保険監督が州の権限に属するため各州間で法律が異なっている。

11) アメリカの

SAPの動向は小松原(2000)を参照されたい。NAIC

(2008)

では,SFAS第157号の公正価値測定の枠組みがそのまま用いられている。

12)

GAAPと SAP

で目的が異なるため数値は修正されるが,基本的な測定方法 は同一である。詳しくは古瀬(2000,

pp.17‑20)を参照されたい。

13) 保険会社は負債の金利変動リスクを相殺するために長期の債券を保有してい る。保険会社の特性を踏まえた会計処理として,これらの債券を その他有価 証券 とせず, 責任準備金対応債券 に区分し,純資産の変動額に影響を与 えないための処置が設けられた。詳しくは,日本公認会計士協会(2000)を参 照されたい。

相互に影響

GAAP  

SAP

<図表1 SAP と GAAP の関係>

(8)

の測定である。各国の保険負債の測定では,何らかの保守的な会計処理が実 施されていることが多い。アメリカでは,SFAS第60号 保険会社の会計 の中で,保険給付の負債や繰延新契約費の償却を計算するときの前提に,収 支悪化方向への変動に対するマージンを持たせている。カナダでも負債評価 に対する逆偏差に対するマージンを設けている。またオーストラリアでは生 命保険契約については保険負債の変動額を吸収する部分,MOS(Margin

on Service

)を設けており,イギリスでは保険負債の評価損益を損益計算

 

書上に反映させていない 。

わが国においては保険料積立金の計算上での計算基礎率は,予定死亡率,

予定利率などであり,解約率は含まれていない。解約率を考慮すれば,算定 される負債額は当然小さくなる。保守性を考慮した処置といえる。さらにこ れらの基礎率にはそれぞれ安全割増部分が加えられる。予定利率については,

過去の一定期間の10年国債応募者利回りの平均値に一定の安全率係数を乗じ て求めることとされている。予定死亡率については,過去の一定期間の死亡 率実績をベースに,数学的危険論に基づく安全割増が加算されている。

このように各国における保険負債の測定方法は異なるものの,保守的な処 理が行われている点では共通している。

⑵ 保険会社における会計情報の機能

SAP

との調整方法については国によって異なるものの,各国の保険会社 の

GAAP

SAP

の影響を受け,保守性,継続性を重視した会計慣行が容 認されている 。本節では,こうした

GAAP

の仕組みが,会計情報の機能 として果たしている役割を考察していきたい。

会計情報の主要な役割として,情報提供機能と利害調整機能の2つがある 14) 日本とアメリカは保険負債の諸仮定を基本的に契約満期まで固定するロッ ク・イン方式,カナダ,イギリス,オーストラリアは諸仮定を毎期変更するロ ック・フリー方式を採っている。こうした諸外国の事情については萩原(2006

a),萩原(2006 b)を参照されたい。

15) たとえば北本(1974)を参照されたい。

(9)

といわれている 。情報提供機能とは,投資者に対して証券投資の意思決定 に役立つ情報を提供して彼らを保護することにより,証券市場がその機能を 円滑に遂行できるようにするという役割のことである(桜井2007,p.10)。

一方で,利害調整機能とは,経済主体が保有している財をその構成員または 利害関係者に分配するための手段として会計を用いる機能である。

情報提供機能では,会計情報から提供される企業の経済的状況は,将来の 見通しを含めた情報が必要になる。そのため測定値として信頼性が劣る 柔 らかい測定 であったとしても資産・負債の現在の価格に近い額が求められ る。一方で利害調整機能では,財産をめぐって自己と他人との間の,取るか 取られるかの利害の線引きを目的としているので,信頼性が高い 硬い測 定 が要求される 。そのため,各項目では情報提供機能の場合とは異なり より保守的な測定が求められる。こうした保守主義に基づく測定は,利害調 整会計に不可欠な原則である 。

先述したように保険会社の

GAAP

では,一般の

GAAPと比較して保守

的な会計処理が許容されている。会計情報の役割から考えれば,保険会社の

GAAP

は情報提供機能よりも利害調整機能がより重視されている。利害調 整機能を重視することは,保険会社の資本構成から考えれば合理的といえる。

保険契約を専業とする保険会社では,資金調達手段のほとんどを保険契約,

すなわち負債に依存している。保険商品の売買を生業としている保険会社で は,総資本に対する負債の比率は9割以上で,かつ負債に占める保険負債の 割合は,9割近くを占める 。保険料を前払いで受け取り,その対価として

16) この他の役割として受託責任の明確化がある。

17) 本稿における利害調整機能における測定の硬度について議論は万代(2002)

に依拠している。万代(2002,pp.60‑61)は,井尻(1976)に基づき業績測 定の硬度と利害調整機能(万代(2002)は機能ではなく職能としている)の役 割について述べている。

18) 利害調整機能における保守主義の役割については安藤(2002,p.357)を参 照されたい。

19) 保険という性質上,株式会社であっても負債比率が高くなることは避けられ ないと考えられる。

(10)

の保険サービスは後払いという保険業の性質のためである。図表2は,わが 国における保険会社(生損保の合算)と一般企業(金融業を除く)貸借対照 表の構成要素との比較である。貸借対照表は,借方側が企業の資産,貸方側 が企業の資金調達の方法を表している。一般の企業と比較して負債の割合が 大きく,資金調達を負債に依存していることが分かる 。図表2のデータは わが国の企業のみであるが,各国の保険会社の負債比率を例に挙げると,

Prudential Financialは0.95,Aflacは0.87,AIG

は0.91であり,保険を専 業とする企業であれば諸外国であっても大きな違いはないと考えられる 。

債権者である保険契約者にとって,将来の保険契約を確実に履行するため に保険会社に保守性,継続性を重視した測定を求めることは自然なことであ る 。Leftwich(1983)は,企業が必要に応じて

GAAP

から逸脱した会計

20) 株式会社形態を取る企業が多い損害保険会社と相互会社形態を取る企業が多 い生命保険会社では,資本構成の割合は異なる。生保の資本構成は負債0.90,

純資産0.10,損保は負債0.83,純資産0.17と,損害保険の純資産額は大きい。

21) それぞれ2007年度(12月末)の連結データである。

22) 一般企業については法人統計調査の平成19年度調査データより入手し,東証 一部上場の目安の1つである100億円以上の企業を対象にした。生損保のデー タは 生保・損保特集 週刊東洋経済臨時増刊 より入手した。かんぽ生命 保険㈱,第一フロンティア生命保険㈱やクレディ・アグリコル生命㈱などの 2006年から事業が開始した企業はデータから除いている。

23) 保険契約者はお金を先払いで保険者に支払っていると点で債権者と同一であ

(注)数値はわが国における保険会社と一般企業との比較である。上記は資産を1 とした場合の負債,純資産の割合を表している。

純資産 0.39 負債 0.61

純資産 0.13 負債

0.87 資産

資産

<図表2 保険会社と一般企業の資本構成の比較>

・保険会社 ・一般企業

(11)

情報を作成しているケースが少なからずあることを明らかにしている。その 中で,負債比率が高い程,GAAPから乖離した会計処理を行うケースが増 加することを指摘し,多数を占める債権者からの求めによって利害調整機能 を重視した財務報告が求められることを明らかにしている。

保険会社の

GAAP

が利害調整機能を重視する観点から

SAP

と結び付い ているのか,それとも

SAP

と結びつくことで結果として利害調整機能が果 たされているのかは分からない。どちらにせよ,保険会社の

GAAP

に基づ く会計情報は,利害調整機能を通じて,保険契約者を保護する機能を果たし ていると考えられる。

岡部(1993)は,

GAAP

が彼らの特定目的に不十分な場合,貸付契約の 当事者は自分自身で会計手続きを工夫して,自発的にコンフリクト(経済的 利害)の調整を行うが,この仕立て直しをすればするほど,制限条項のモニ タリング目的には適合的になっても,GAAPからの乖離の程度は大きくな らざるを得ない (括弧内は筆者が追加)と述べている。GAAPが各社の会 計慣行により帰納的に形成されてきたという歴史的経緯を考えれば,保険会 社の

GAAPが一般の GAAPから乖離しているのは,保険者と保険契約者

間の自発的なコンフリクトの調整により形成されてきたとも捉えられよう。

4.IASB の目指す方向性と公正価値測定

IASB

は現在,保険会計に関するプロジェクトを進めており,2007年5月 3 日 に

IASB

は 公 表 し た 保 険 契 約 に 関 す る 予 備 的 見 解(Discussion

Paper

:Preliminary Views on Insurance Contracts

 

:以下,DPという)

を公表している。DPの中で,IASBは現在の保険会社の

GAAP

の問題に ついて,いくつかの問題を取り上げている。その中で監督上の影響を受けて いる問題と比較可能性の欠如について,次のように述べている。

会計の問題と経営・監督の問題を明確に区別していない場合が生じてい

り,実際に保険会社破綻時には債権者と同様の取扱いを受ける。保険業法第17 条(債権者の異議)では,保険契約者を債権者として記述されている。

(12)

る。 (

IASB

2007,

Para

.4)

一部の現行業務は,他の企業,特に銀行やファンド・マネージャーのよ うな他の金融機関が使用する実務と不一致である。こうした不一致は,

保険者と他との金融機関との比較の妨げになっている。 (

IASB

2007,

Para

.4)

保険会社の

GAAP

における独自性は,情報提供機能という点からは一般 の

GAAP

との一貫性を欠き,他業種との比較可能性を困難にしていること は否定できない。会計数値をもとにしたそうした指標は単独の絶対数値とし ては大して意味がなく,その指標を企業間比較によって当該企業の相対的地 位を判定したり,あるいはまた特定企業の期間相互の比較によって当該企業 の時系列傾向の判定に使用することによって,指標の意義はより一層高まる

(松尾2001,p.89)。

IASB

の目的は,世界中の資本市場における参加者及び情報利用者の経済 的意思決定に役立つ情報の実現にある。そのために高品質で理解可能で,か つ強制力のある国際的な会計基準の作成に取り組んでいる。その基準に基づ き作成される財務諸表は,高品質で透明性が確保されて,比較可能な情報で あることを目指している(IASB 2001,

Para

.12‑13)。つまり,IASBの方 向性は情報提供機能を重視し,かつ比較可能性な情報を作成する基準設定を 行うことにあるといえよう。

この比較可能性は国家間だけでなく,各項目間についても当てはめられる。

IASB

は保険契約と金融商品とを比較可能にするために,保険契約について も金融商品と同様に公正価値で測定することを前提に検討を進めている。公 正価値は独立第三者間で取引される公正な価格であり,俗に時価と呼ばれる。

それは保険会計を保険業の会計ではなく, 保険契約 の会計として検討 し,公正価値測定を行おうとしていることからも明らかである。金融商品と 同様の公正価値測定を行うということは,同時に各国の保険会社の

GAAP

で容認されてきた保守性は排除されるということを意味する 。この方向性 24) 概念フレームワークは,会計情報の目的や各項目の質的特性を明確化したも

(13)

IASB

の 前 身 で あ る 国 際 会 計 基 準 委 員 会(International Accounting

Standards Committee

)時から一貫している 。

 

IASB

は伝統的な保険会社の

GAAP

から新しい枠組みへの転換を提案し ていると捉えることが出来る。すなわち利害調整機能から情報提供機能を重 視する方向への転換である。現在,金融危機をきっかけに公正価値測定自体 に関して疑問が投げかけられている。しかし,IASBの本質的な目的を鑑み れば,例え測定方法が変わったとしても,情報提供機能を重視するその方向 性は変わらないであろう。

5.公正価値測定がもたらす経済的影響

⑴ 期間損益の変動

保険契約の二次的市場は株式などの有価証券と比べて活発でないため,市 場価格による測定ではなく測定モデルに依拠した評価技法が用いられる。

DP

では,保険負債を見積もるための測定モデルとして, 将来キャッシュ・

フローの見積もり 貨幣の時間価値の影響 マージン という3つの基本 的な要素(Building Block)に提示している。細部にわたる測定方法(と りわけマージンについて)はまだ確定していないため,具体的にどういった 影響があるかはまだ分からない。

公正価値は現在では金融商品などの測定方法として定着している。しかし,

実際に公正価値測定による評価が全て損益計算書に計上されている訳ではな い。現在,有価証券の会計処理については,わが国をはじめ各国では有価証 券の保有区分ごとに異なる会計処理が適用されている。評価損益が損益計算 書に計上されるのは 売買目的有価証券 のみで, その他有価証券 や 投資有価証券 などでは評価損益を資本金の減少として計上し,期間損益

のであり,会計基準のあり方を考える上での基礎となる。

25) 保険に関する会計基準は,IASBの前身である

IASC

時から行われており,

10年近く議論を続けている。前身である

IASC

時には,保険契約の会計に関す る提案書として1997年11月に論点書(Issues Paper),2001年11月には原則書 草案(Draft Statement of Principles)を公表している。

(14)

には影響を及ぼさない。保険負債の公正価値測定により生じた損益がどのよ うに処理されるかは未だ不透明である。現在,IASBはこうした区分ごとに 異なる会計処理についても改善することを検討しており,全ての有価証券の 損益が期間損益に含まれる可能性は高い。そこで本節以降では,評価損益が 損益計算書上に計上されたと仮定して,実際の保険会社のデータを用いてそ の影響を検証していきたい。

保険負債の公正価値測定により評価損を損益計算書に計上した場合の影響 について,日本生命保険相互会社(以下,日本生命)とミレアホールディン グス(以下,ミレア)の2004年度から2007年度の財務諸表のデータを用いる。

保険負債の中で公正価値測定により大きく変動すると考えられるのは支払 額が確定していない責任準備金である。ここでは責任準備金が1%変動し,

評価損が計上された場合の影響を考えてみたい。

図表3はその結果である。各年度の税金等調整前当期純利益(相互会社の 場合は当期剰余金)がどの程度変動するかを評価損が含めた場合とそうでな い場合とで対比させている。日本生命保険の場合,責任準備金に対して1%

の評価損が生じたとしたと仮定すると,税金等調整前当期剰余金は全ての期 において黒字だったものが,赤字に転落する。一方で,ミレアでは赤字にな らなかったものの,評価損の発生額は税金等調整前当期純利益比のおよそ50

%から70%であり,当期純利益は大幅に減少する。また図表4は各年で評価 損と評価益が交互に発生したと仮定した場合である(責任準備金が1%変動 したと仮定)。評価損があった年度とそうでない年度で期間損益が大きく変 動することが伺える。

純資産に対する責任準備金の割合は,日本生命で約8割,ミレアで約6割 である。そのため責任準備金の変動額がわずか1%でも当期損益に大きな影 響をもたらす。

純資産に対する責任準備金の割合は,日本生命で約8割,ミレアで約6割 である。そのため責任準備金の変動額がわずか1%でも当期損益に大きな影 響をもたらす。本分析は責任準備金の総額に対して1%損益が発生した場合

(15)

<図表3 責任準備金が1%変動した場合の影響>

・日本生命保険相互会社

年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 責任準備金 38,796,547 39,419,816 40,384,315 40,741,366 評価損 387,965 394,198 403,843 407,414 税金等調整前当期剰余金 227,870 264,885 344,918 270,194 税金等調整前当期剰余金

(評価損の影響込み) −160,095 −129,313 −58,925 −137,220 責任準備金/総資産 0.83 0.78 0.78 0.85

0.58 0.56

0.53 0.58

責任準備金/総資産

39,257 44,252

64,025 25,107

税金等調整前当期純利益

(評価損の影響込み)

140,014 140,013

140,012 92,179

税金等調整前当期純利益

100,757 95,761

75,987 67,072

評価損

10,075,661 9,576,059

7,598,733 6,707,234

責任準備金

2007年度 2006年度

2005年度 2004年度

年度

・ミレアホールディングス

単位:100万円

(注)責任準備金に対して1%の評価損が生じたと仮定して計算している。データ

は各社の

Webページより入手した連結財務諸表の数値を用いている。

<図表4 評価損と評価益が交互に発生した場合>

単位:100万円 (注)2004年度,2006年度に評価損が2005年度,2007年度に評価益を計上したと仮

定した。単純化するために前年度の評価損益は反映させていない。

(16)

の影響を検証したものであり,生損保の違いを全く考慮していない。実際に は,責任準備金が公正価値測定されれば,負債のデュレーションが長い日本 生命のほうが,ミレアよりも責任準備金の変動による影響を強く受けると考 えられる。また保険契約の会計基準が適用されれば,それと連動して既存の 期間損益計算も変更される。そのため本節のような影響が実際起こるとは限 らない。現在,IASBでは業績報告の形式そのものを抜本的に見直すことを 検討しており,こうした動向にも左右されるであろう。しかし,保険負債の 公正価値測定によるボラティリティを毎期,期間損益に算入すれば,保険会 社の業績が不安定化するのは間違いない。

⑵ 会計基準の変更により生じる裁量行動

会計基準が改められると背後の経済事象は以前とまったく同一でも,ルー ル変化のためにそれは会計数値には違ったように描写される。この変化は,

企業のパフォーマンス評価に響く恐れがある。会計ルールの変化に応じて企 業の評価体系が即座に修正されない限り,こうした影響を免れることはでき ない。つまり,新しい会計基準が導入された際に,評価体系という 締め付 けのメカニズム が緩和されない限り,企業経営者は,新たな尺度と 締め 付けのメカニズム との間に生じたギャップを,調整しなければならない 。

こうした調整手段として考えられる方法が2つある。会計的裁量行動と実 質的裁量行動である。会計的裁量行動は会計処理方法の選択により会計数値 を動かす行為である。そのため背後の経済実態やキャッシュ・フローは変化 していない。会計的裁量行動の実際の例として,減価償却や棚卸資産の会計 処理方法の選択などが挙げられる。一方,実質的裁量行動は,会計数値を操 作するために経済取引を通じてキャッシュ・フローを動かす行為である。実

26) 締め付けのメカニズム という用語は岡部(1997,p.213)で用いられて いる。会計情報を操作する目的で,企業は様々な手法を用いることは多くの実 証研究で示されている。Watts and Zimmerman(1991)などを参照された い。

(17)

質的裁量行動の例として,研究開発費や設備投資の縮小もしくは中止,また 退職給付制度の変更による利益捻出などが挙げられる。経営者にとって不利 益になる要素は,企業の調整行動を誘発する要因となりうる。

企業は経済活動を行う以上,安定した収益の獲得が求められている。企業 において当期純利益(損失)は,各期の経営成績を表す最も重要な指標であ り,外部の利害関係者が企業評価する上での判断材料としても用いられる 。

保有する責任準備金が公正価値測定により変動し,その損益が損益計算書 に計上されることになれば,毎期の保険会社における期間損益のボラティリ ティは大きくなる。こうしたボラティリティの高まりは,利益平準化(in-

come smoothing)を望む企業経営者に裁量行動を生じさせる動機付けにな

りうる。利益の不安定化を嫌った経営者の裁量行動は利益平準化行動と呼ば れる。利益平準化行動とは,単一の期間というよりも時系列でみて,異常に 高い利益の報告を回避する一方で,正常以下の利益の報告を避けようとする 企業行動のことである。

わが国の保険会社に関する実証的知見が少ないため,断定は出来ないがわ が国においても現在に至るまで利益調整目的で会計的もしくは実質的裁量的 を多少なりとも行っていたと考えられる。ただし,利益平準化行動という動 機付けは,他業種の企業ほど強くないと考えられる。保険会社の

GAAP

で は保守的な会計処理が容認されており,期間損益のボラティリティは小さ い 。こうした状況下では期間損益のボラティリティを抑制する動機付けは 小さかったと考えられる。

しかし,期間損益のボラティリティが高くなれば状況は変わる。保険契約 の会計基準が適用された場合,保険負債の公正価値測定による期間損益のボ

27)

Graham  et. al(2005)は,経営者に対するインタビューで,59%の経営者

が外部に対する財務的な尺度としてもっとも重要視しているのは利益(Earn-

ings

)であると応えている。

28) またわが国では危険準備金や価格変動準備金などが認められており,保険会 社の資本的増強という名目で利益額を調整することが可能である。

(18)

ラティリティを減少させるために,会計的・実質的裁量行動が引き起こされ る可能性がある 。保険負債の測定にどれだけの厳密性が求められるかによ るが,各測定値を操作(選択できる範囲で)して,ボラティリティを極力減 少させようとする行動を取る可能性もある。また,こうした操作が不可能な 状況であれば(内部統制の徹底や監査の厳格化により),実質的な裁量行動 にシフトする可能性がある。

最も懸念されることは,実質的裁量行動により保険会社の経営戦略が近視 眼的になってしまうことであろう。とりわけ生命保険会社にとって,その性 質上,長期の経営視点を持つことは不可欠である。目先の利益を追求し,長 期的には不利になりかねない行動を選択してしまうことが懸念される。

6.会計基準の変更とその影響

本稿では,まず既存の保険会社の

GAAPの位置づけを明確化し,その上

IASB

の提案する保険契約の会計基準について論じた。その中で,公正 価値測定により保険負債の評価損益が毎期損益計算書に計上された場合の影 響について考察した。

既存の保険会社の

GAAPは SAPとの調整が行われ,保守的な会計処理

が行われてきた。保険会社の

GAAP

は情報提供機能よりも利害調整機能が 重視されており,保険契約者を保護する意味合いが強かったと考えられる。

IASB

の方向性は,情報提供機能を重視することであり,既存の保険会社 の

GAAP

のあり方を根本から変えるものである。具体的には,保険会社の

GAAP

にこれまで認められてきた保守的な会計処理を廃し,他業種との比 較可能性を高め,金融商品などの項目と首尾一貫した測定アプローチを採る

29)

IASB

の作成する基準ではボラティリティを調整する手段も少なくなると考 えられる。IASBは危険準備金や価格変動準備金などの利益留保性の高い準備 金については計上を認めていない方針である。なお,暫定基準である

IFRS

第 4号 保険契約 では危険準備金や価格変動準備金などの計上は認められてい ない。

(19)

ことにある。このアプローチは期間損益のボラティリティを高め,保険会社 の裁量行動を引き起こす可能性がある。

わが国の保険会社は北本(1974)が 超保守性 と言ったように,諸外国

(特にアングロサクソン諸国)よりも一層保守的な会計慣行が容認されてき た。これは金融ビッグバン以降でも基本的には変わらない。たとえば,2000 年度から適用された 金融商品に係る会計基準 では,資産変動のボラティ リティを抑制するために保険会社を対象に責任準備金対応債券という新たな 区分が設けられている。

IASB

による保険契約の会計基準の適用は保険会社を一般の企業と同じ競 争のフィールドに置くことを意味する。保険会社のあり方そのものを変える ことが求められるといっても過言ではないであろう。

(筆者は静岡県立大学経営情報学部助教)

(本稿は,平成19年度生命保険文化センターの研究助成による成果である。同セン ターに対して記して御礼申し上げる。)

<参考 献>

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2.Financial Accounting Standards Board,

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3.Graham,

J. R., C. R. Harvey and S. Rajgopal

,

“The Economic Implication of Corporate Financial Reporting,   ”Journal of Accounting and  Economics,Vol

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4.International Accounting Standards Board(IASB),

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2007.

6.National Association of Insurance Commissioners,

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2008.

 

7.Richard Leftwich ”Accounting Information in Private M arkets:Evi-

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, 1986. 須田一幸訳 実証理論としての会計学 白桃書房,

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10.井尻雄士 会計測定の理論 中央経済社,1979年。

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22.松尾聿正 会計の機能とディスクロージャー 關西大學商學論集 (関西大 学商学部),第46巻,第4号,2001年10月,pp.87‑117。

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参照

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