久々湊 伸 一
スイス連邦 は ,1 992 年 1 0 月 9日にスイス著作権法,正式名称 「 著作権及 び 隣接権 に関する連邦法」を発布 した。 これ は1 9 22 年 1 2 月 7 日の従来の著作権 法を全面的に改正す る法律である
。この新法にはわが国における仲介業務法に 相当する規定が含 まれている。
条文 は全部で84 条で,わが国の法律 ( 1 4 4 条 :大改正当時の1 24 条 とその後 の改正で20 条増加 している)よ りややコンパ ク トということになるが,仲介業 務法に相当する部分が第 4 篇 「 利用団体」で第40 条か ら第6 0 条すなわち 21 条に 亘 っているので,残 りは 63 条に過 ぎないわけで,わが国の法律 と比較す ると非 常にコンパ ク トに構成されている。
わが国 は,昭和45 年 ( 1 970 年) に大改正を したが,その当時で はまず既 に フランスが初めて組織的な法律を制定 し ( 1 957 年) ,又西 ドイツがわが国の改 正前の1 965 年 に大改正を完了 した。アメ リカの大改正 は1 976 年であるが,そ の後ベル ヌ同盟条約加盟 に伴 う改正があった。最近の大 きな改正 は 19 88 年の イギ リスの著作権,意匠,特許法による改正である。
スイスの今回の改正の意義 はどのよ うに解すべ きか。スイスの首都ベル ン ( ベルヌ)は著作権に関す る国際条約の発祥の地で もあ り,著作権思想の発達 した国であることは言 うまで もない。国際政治的な見地か らはその影響力が少 な い と ころか らわ が 国 で はそれ ほ ど注 目 され て いな いが,学 界 に は, A.Tr ol l er や Kummer,Rehbi nde r のような著作権法のみな らず,法理論 か ら見て も権威ある学者がお り, この国における著作権研究 は盛んであるの
〔 1 5 3 〕
154 商 学 討 究 第 45 巻 第 4 号
で,改正法の法理論的な面での堅固 さが見 られ る。又 この改正 は, 1 971 年 7 月 12 日の第 1 草案及 び1975 年の第 2 草案の作業 を含んでいるが,その点か ら もその法理論に基礎付けられた構成の しっか りした ものになっていることが予 想 される。
その構成を目次的に概略す ると,第 1 篇か ら第 6 篇まで となってお り,第 1 篇 は総則で 1 条か らな り,第 2 篇が著作権 ( 第 2 条〜第32 条)で,第 1 章著作 物,第 2章著作者,第 3章著作権の内容,第 4章権利移転,強制執行,第 5章 著作権の制限,第 6 章保護期間か らな り,第 3 篇は隣接権 ( 第33 条〜第39 条) , 第 4 雷 は利用団体 ( 第40 条〜60 条) で 5 章か らな り, 第 5 篇 は民法上の保護 ( 第 61 条〜第 77 条で 3 章か らなる) ,第 6 篇結末規定 ( 第78 条〜第 84 条で 3 章か ら なる) となっている
。以下においては,著作権に関する規定 ( 第 2 条〜第32 条)に限定 してい くつ かの特色ある規定について概観する。
1 .著作物の定義と種類
著作物の定義 は第 2 条第 1 項によ り , 「 著作物 は,その価値 と目的に関係な く,個人的性格を有す る文学及び美術の知的創作物である。 」 と規定す る。 ド イツの Ul me r 教授 は 「 個性 ( I ndi v i dual i t at ) 」が著作物の基本的な要素で あるとしているが,まだ これを制定法で明確に した ものは見なかった。 このス イス法が 「 個人的性格 ( i ndi vi due lCharakt e r ) 」 と明記 して, この点の最 初の立法 と考え られるが, これはかか る学説を公認 したもの と言える。又 この
「 個性」を 「 統計学的な一回性 ( s t at i s t i s c heEi nmal i gke i t ) 」 と解釈す る Kumme r の学説を考慮 していると言える。
ベルヌ条約に倣 って著作権法 は一般的に著作物の種類を列挙す る。 しか し各 国の法律では例示的列挙であることを明示 してお り,その点でわが国 も, この 新 しいスイスの規定 も同様である ( 第 2 条第 2 項) 0
この著作物類型の リス トを調べて見 ると,建築著作物を美術著作物か ら独立
させている点 はわが国の規定 と共通 し, ドイツの規定 と異なる
。建築著作物に 著作権法上い くつかの特別的な取扱いをすべ きであると考える場合に法規全体 の構成を明確にす る。 これに対 し応用美術著作物を又独立の著作物類型 として いる点は,その類型を全 く認めないわが国 とも美術著作物の類型に含めている
ドイツとも異なる
。又写真,映画及び視覚又は視聴覚著作物を全体 として一つ の著作物類型 としている点は技術発達の新 しい状況に対応 していると言えよう か。更には又 コンピュータ ・プログラムに対す る取扱いも特別である。 ドイツ ではこれを言語著作物の一種 と考え,又わが国ではコンピュータ ・プログラム を各種著作物 と並列 した 1つの独立 した著作物類型 としているのに対 して,ス イスでは従来の著作物 とは異なる類型の存在 と考えている。第 2 条第 2 項の列 挙か らは除外 し,第 3 項において,著作物 と見なす としている。 この点 は,そ の後の諸規定の特別な取扱いと整合性を もっている。
2. 著作者
著作者 は自然人 に限 ると明示的に規定 している ( 第 6 条) 。わが国の法人著 作の規定 (日本法第 1 5 条)は成立 し得ないことになる。 しか し職務著作をコン
ピュータ ・プログラムについては認めている ( 第 1 7 条) 。 この例外規定 もこれ らを著作物 に準ず るものとしている法律構成か らは整合性を失わないものと考 えている
。3. 著作権 の 内容
著作権の内容については,著作者人格権 と著作権 という明確な区別を回避 し
ているように思われる。 というのは著作物の利用 として著作権の支分権を定め
る規定( 第10 条)を公表権 と著作者氏名権を定める著作者資格の確認の規定 ( 第
9 条)と同一性保持権の規定 ( 第 1 1 条)の中間に置いていることか らも窺 える
。ドイツ法 と同 じく一元論の立場に立 っていると見てよかろうか。
15 6 商 学 討 究 第 45 巻 第 4 号
利用権についてはい くつかの特殊性が見 られ るが,まず複製 という言葉を使 用 していない点が注 目される。著作製品の製作権 ということになる ( 第 1 0 条第 2 項 a) 。頒布権 ( 同項 b)が著作製品の製作権か ら分離 されている点 は,わ が国の構成 と異なる。 しか し所有権 との関係及び貸与等 について詳細に規定 し ているので,結果的には大差がないと思われるが,スイス法の方がが っちりし た法律構成を持 っていると思われる。規定が一般的に短 く, したが って内容が 明確で,その規定 は適用範囲が広いことになるが,法論理的構成が適正かつ堅 固でないと法律全体及びそれぞれの規定が実際的でな くなる恐れがあるか も知 れない。
同一性保持権を規定す る第 1 1 条 については,パ ロディーを認めている点が新 しい ( 同条第 3 項) 。わが国の合成写真の事件が,「 既存の著作物をパ ロディー の創作のため又 はこれに匹敵す る著作物の変更のために利用す ることがで き る。 」 との規定 にようて解釈す ると判決の結論が異なって くるか どうか興味あ る問題である。
4. 著作権 と所有権の関係
第 1 2 条か ら第 1 4 条 までの 3 条 によって著作権 と所有権の調整を規定 してい る.第1 2 条 は一般的に問題 となっている消尽の問題を規定す る。 コンピュータ
・プログラムについては,使用 という態様を認めて消尽の問題 に関係 させてい る。建築著作物については同一性保持権 ( 第 1 1 条)においては規定せず, これ を消尽の問題 としている。建築著作物は実施す ると,変更することができるこ とになる ( 第1 2 条第 3 項) 。実施 とい うのは工業所有権における概念であるが, 従来の学説で建築著作物に限 り著作権法で これを認めていた。わが国の現行法 では特殊な複製 とされた。建築著作物の著作者 と実施 された建築物の所有権 と の関係 として規整 している。
わが国では展示権を定めているが著作者の権利 として実効性のあるもの と
な っていない。 スイスの新法 は この点で も一歩前進 している。入場権 ( Zu‑
t r i t t s r e c ht ) とい う耳新 しい権利 を認 めている。わが国の規定で は所有権 に 経済的利用の主導権を与える解釈になって しまうが,スイス法第 1 4 条 は著作者 の側に立 って著作製品に対す る展示の意向を実現す るための所有権の拘束を具 体的に定めている。わが国の法第25 条の展示権の規定は, このような積極的な 内容を含んでいるとの解釈 もあり得 るが無理があり,具体的に所有権を制限す る規定を置かないと実際的拘束力が生 じ難い。接見権及び引渡請求権を明記す る必要がある由縁である。
著作権が著作製品に及んで所有権をある程度制限できるが,所有権が所有物 を破棄 ・破壊す ることをさまたげ られないというのが一般的な考え方である。
これに対 してスイス法第1 5 条 は所有者 との調整を図 りなが ら著作製品の消滅に よる著作物の消失をできるだけ防 ぐための配慮がなされている。
5. 貸与
わが国では レコー ド, レンタル業の発生により貸与権の認識が生 じた。従来 か ら貸本業があ り,図書館で も貸 出されているが,著作権法上問題 にな らな かった。 ビデオ及びコンピュータ ・プログラムが更にその対象 となった。わが 国の著作権法 は,書籍,雑誌 ( 楽譜を除 く)を貸与権の対象か ら除外す る。
スイスにおいては,著作権の支分権 としての独立 した貸与権は, コンピュー
ター ・プログラムのみに認め,それ以外の著作物については,消尽の問題 とし
て処理す る。貸与については補償請求権の問題が重要であ り,建築著作物及び
応用美術著作物については補償義務 は生 じないことにしている。当然の解釈規
定 と言えるが,立法過程における熟考の深 さを知 ることができる。貸与に関す
る補償請求権の行使について,わが国のように当分の間適用 しないという規定
よりは、利用団体乃至は仲介業務者が成立すれば権利行使ができると規定す る
方が前進 していると言える ( 第 1 3 条第 3 項)。
158 商 学 討 究 第 45 巻 第 4 号
6 .建築著作物
建築著作物 は,著作物類型 としての取扱 いはわが国 と等 しい。そ してその保 護の限界 について も概略において同一である。ただ し全体の法構造か らの無理 のない解釈及び詳細な規定について熟考 された新 しい法律だけにスイス法が優 れているよ う だ。 まず,建築 については実施 とい う概念を認める。 これはわが 国の複製の特殊型 ( 第 2 条第 1 項第 1 5 号 ロ)「 建築 に関す る図面 に従 って建築 物を完成す ること」に該 当す る。 利用権 としての実施権を認めたわけで はな く,
「 著作製品を製作す ること」の概念 に入 ることになろ う ( 第 1 0 条第 2 項 a) 0 又著作物の草案が保護 され ること ( 第 2 条第 4 項) ,建築著作物 には貸与 につ いての補償請求権 はない こと ( 第 1 3 条第 2 項 a) ,実施 された建築著作物 は, 人格権の侵害 に当た らない限度 ( 第 1 1 条第 2 項)で所有者 による変更を認める
こと ( 第1 2 条第 3 項) ,民事刑事の手続 における没収か ら除外 され る ( 第6 3 条 第 2 項,第 7 2 条) とい うよ うな著作権の効力を排除す る規定がある。恒常的に 公 に接見可能 な土地 の上 にある著作物 ( その主 たる ものが建築著作物である が)の模写が可能であるが ( 第 27 条第 1 項) ,三次元的な方法の模写 は禁止 さ れ又原品 と同 じ目的に利用す ることはで きない とし ( 第 2 7 条第 2 項),同一の 建築物を建設す ることが禁止 されていると同時に,草案を保護す るとい う規定
は ( 第 2 条第 2 項) ,実施権 と言 うべ きものを保護す るもの と解 され る
。7. 応用美術著作物
応用美術を美術著作物 とは別の類型の著作物 と認めることについて,スイス 法は,わが国の法律及 び ドイツ法 とも別の道を歩んでいる。 もちろん この分野 は工業所有権 における意匠の保護を考慮せずには,実質的内容を把握で きない ところであるが,それはここでは触れない ことにす る。応用美術著作物 も保護 期間は,原則 により,著作者の死後 7 0 年間保護 され る。
応用美術著作物 と美術著作物の取扱いについての相違 はほとん どない。応用
美術の著作製品は有償で貸与す る際の著作物 に対す る補償請求権か ら除外 され る ( 第 1 3 条第 2 項 b) 。更 には私的領域以外 における複製が認め られない もの として美術著作物の複製を掲げているが, ここには応用美術著作物 は含まれな いことになる ( 第 1 9 条第 3 項 b) 。その前に規定す る 「 取引されている著作製 品の完全か又 は著 しく完全な複製」の中で判断されることになろう
。貸与など が問題 となるときには,応用美術著作物 と美術著作物の区別が問題 となる。
8. コン ピュー タ ・プ ログラム
コンピュータ ・プログラムは,従来の著作物 とは異なるものとして認識 され ている。第 2 条第 2 項 は,わが国の第 1 0 条第 1 項に相当す る著作物を例示する 規定であるが, この列挙中にわが国ではコンピュータ ・プログラムを含めてい るが,スイスの新法は, ここには列挙せず,第 3 項 に 「コンピュータ ・プログ ラムも又著作物 と見倣す」 としている
。コンピュータ ・プログラムは厳密な意 味で著作物 と言えないか も知れないが,著作権法上著作物 と一般的に同一の取 扱いをす るというものである
。しか し以下の通 りコンピュータ ・プログラムについては例外規定を置いてい る。
a. 保護期間について,コンピュータ ・プログラムに対 しては著作者の死後 50 年の期間を定め,それ以外の著作物に対する著作者の死後70 年の期間と 明確 に差別 している ( 第 29 条第 2 項) 0
b. 貸与については,一般的には利用権乃至は著作権の支分権 として独立 さ せず,著作製品の所有権 と著作権の関係の問題 として把え,賃貸に対 して 補償義務を課す るに止 まる ( 第 1 3 条) 。 これに対 し, コンピュータ ・プロ グラムについては, この第1 3 条の適用を排除 して,利用権の一種 としての 賃貸権を認める ( 第 1 0 条第 3 項)。
C. 消尽の原則あるいは頒布 に関す る規定において,一般の著作物では再譲
渡その他の頒布が問題であるのに対 し, コンピュータ ・プログラムにおい
160 商 学 討 究 第 45 巻 第 4 号 ては,再譲渡の外に使用 という態様が含 まれる。
d. 大陸法系の欧州諸国は,著作物一般について職務 というものを認めない が,コンピュータ ・プログラムをその例外 として雇用主 にコンピュータ ・ プログラムの排他的利用権の行使を認めている ( 第 1 7 条) 0
e. コンピュータ ・プログラムを著作物一般の私的使用の問題か ら除外 して いる ( 第1 9 条第 4 項)
f. コンピュータ ・プログラムにおける著作権の制限の規定を,第 2 1 条でコ ンピュータ ・プログラムの解読 という見出 しで規定 している。 コンピュー タ ・プログラム使用者の開発, リバース ・エ ンジニア リングに関す る解釈 規定 として重要性を有す ると考え る。
g. 文書保存所 Ar c hi v による保存のための複製 自由の規定 ( 第 2 4 条第 1 項 ;わが国法第31 条第 2 号に相当) と共に, コンピュータ ・プログラムに おいてはその使用権限を有す る者 に保存用の複製 自由を認める ( 同条第 2 項) 。
9 .保護期間
スイスは,新法により保護期間を ドイツ語国である ドイツ及びオース トリア に倣 って これを延長 し,著作者の死後 7 0 年 と定めた。 ( 第 29 条第 2 項 b) これ に対 しコンピュータ ・プログラムについては特別規定を適用 し,著作者の死後 50 年 と従来の期間を保持 している( 同項 a) 。それ以外の特別の期間を認めず, わが国におけるような写真及び映画の公表起算による特別規定を設 けない。映 画についてはどうなるか。 共同著作物 について特別規定が設 け られ( 第 3 0 条), 映画を含む視聴覚著作物については,共同著作物に該当す る場合 は,その例外 として映画監督のみを保護期間の計算 について考慮す ると規定す る ( 同条第 3 項)。
隣接権については, 製作又は放送の発信 より 50 年 としている( 第39 条第 1項) 0
1 0 . 著作権の制限
著作権の制限の規定は,第1 9 条か ら第 2 8 条までの 1 0 条である。わが国の規定 は第 3 0 条か ら第 5 0 条の 2 2 条 と比較 して, コンパ ク トになっている。第1 9 条は私 的使用,第 2 0 条 はこの私的使用の補償の規定に関 し,第 21 条はコンピュータ ・ プログラムの解読 という特殊な自由利用の規定を設けている。第 2 2 条 は放送受 信の困難を克服す るためその他の CATV 等に対す る措置 と考え る。第 2 3 条 は 商業用 レコー ドの強制許諾の規定である。 第 2 4 条 は, 記録保存のための複製 ( わ が国の図書館に関す る第31 条第 2 号の規定に相応す る) とコンピュータ ・プロ グラムを作 ることができることを規定す る ( わが国の第 4 7 条の 2 の規定 に相当 す る) 。第25 条が引用,第26 条が美術館用のカタログ,第27 条が公開の美術著 作物等,第 2 8 条が時事に関す る報道についての自由利用を定める。
ll .その他の規定
第 3篇 は隣接権,第 4篇に 2 0 条を費や して利用団体を規定 していることは注 目に価す る。第 5 篇で は権利保護 として民事手続 の規定 と刑罰規定を設 ける が,第75 条か ら第77 条 (3条)で税関による特別手続を規定 していることが注
目される。
以下にこの新 しい著作権法のモデルとして適当 と思われるスイス著作権法全
文の訳文を掲げる
。16 2 商 学 討 究 第 45 巻 第 4号
〔 資 料〕
1 992 年1 0 月 9 日のスイス著作権及び隣接権 に関す る連邦法
スイス連邦議会 は,連邦憲法第 31 条の 2 第 2 項,第 6 4 条及び第 6 4 条の 2 に従 い,1 989 年 6 月 1 9 日の連邦政府の通報を検閲 した後以下の内容を決議 した。
第 1 篇 対象 第 1 条
( 1 ) この法律 は以下の事項を規定す る
。a. 文学及び美術の著作物の著作者の保護
b. 実演家,録音物及び録音録画物製作者及び放送事業者の保護 C. 利用団体 に対す る連邦の監督
( 2) 国際条約はなおこれを留保する。
第 2 篇 著作権 第 1章 著作物
第 2 条 著作物概念
( 1 ) 著作物 とは,その価値又 は目的に関係な く,個人的性格を有す る文学 及び美術の知的創作物をいう
。( 2 ) これに属するものは特 に以下の ものである。
a. 文学的,学術的その他の言語著作物 b. 音楽著作物その他の聴覚的著作物
C. 造形美術の著作物,特 に絵画,彫刻,及びグラフィック( 筆写芸術) d. 図面,平面図,地図又 は立体的表現 ( 描出)のような学術的又は技
術的内容を有す る著作物
e. 建築著作物
f.応用美術の著作物
g.写真的,映画的その他視覚的又は視聴覚的著作物 h. 舞踊著作物及び無言劇
( 3 ) コンピュータ ・プログラムも著作物 とみなす。
( 4) 著作物の草案,題名及び部分 も,個人的性格を有する知的創作物であ る限 り,同様に保護 され る。
第 3 条 二次的著作物
( 1) 既存の著作物を利用 し,利用された著作物の個人的性格が依然認め ら れる状態で創作 される個人的性格を有す る知的創作物は,二次的著作物
とい う
。( 2 ) かかる著作物 は特に翻訳乃至は視聴覚的その他の翻案である。
( 3) 二次的著作物 は独立 して保護 される。利用 され る著作物の保護 はなお これを留保す る。
第 4 条 編集著作物
( 1) 編集物は選択又 は配列に関 して個人的性格を有す る知的著作物である 限 り独立 して保護 される。
( 2 ) 編集著作物に収め られた著作物の保護 はなお これを留保する。
第 5 条 保護 される著作物
( 1 ) 著作権により保護 されないものは以下の通 りである。
a. 法律,命令,条約その他公の告示 b. 支払手段
C. 判決,議定書及 び公表 された特許出願書類
( 2 ) 第 1 項による著作物の官庁の又は法律上要求 される編集物及び翻訳 も 又保護 されない。
第 2 章 著作者 第 6 条 概念
著作者 とは著作物を創作す る自然人である。
第 7 条 共同著作者
16 4 商 学 討 究 第 4 5 巻 第 4 号
( 1) 複数の者が著作者 として著作物の創作 に協力 したときは,著作権 は, これ らの者の共有 に属す る。
( 2 ) これ らの者が別段の取決めを しないときは,著作物 は全員の同意があ る場合 に限 り利用す ることがで きる。同意 は信義則 に反 して拒んではな
らない。
( 3) 各共同著作者 は権利侵害を独立 に追訴す ることがで きる,ただ し全員 に対す る給付に限 り請求す ることがで きる。
( 4) 各寄与を分離す ることがで きかっ別段の取決めを していない限 り,各 共同著作者 はそれによって共有の著作物の利用が害 されない限 り, 自己 の寄与を独 自に利用す ることがで きる。
第 8 条 著作者資格の推定
( 1) 別段の証明がない限 り,著作製品に又 は著作物の公表 に際 して 自己の 氏名, 自己の変名又 はある標章を もってそのように表示 された者を著作 者 と認める。
( 2 ) 著作者資格が表示 されず又は変名又 はある標章 において周知でない限 り,著作物を出版す る者が著作権を行使す ることがで きる。 この者が表 示 されていないときは,著作権 は著作物を公表 した者が行使す ることが できる。
第 3 章 著作権の内容
第 1節 著作者 と著作物の関係 第 9 条 著作者資格の確認
( 1) 著作者 は自己の著作物に対す る排他的権利 と著作者資格の確認 に関す る権利を有す る。
( 2 ) 著作者 は自己の著作物を初めて公表す るかどうか, どのように及びい かなる著作者表示で公表す るかを決定す る排他的な権利を有す る。
( 3) 著作物 は著作者がそれを第1 9 条第 1 項 a の意味における私的領域以外 で 自ら初めて複数人 に接見可能に し又 はこれに同意 した ときに公表 され
る。
第 1 0 条 著作物の利用
( 1) 著作者は著作物を利用す るかどうか,何時又いかに利用するかを決定 す る排他的な権利を有する
。( 2) 著作者は特 に次の内容の権利を有す る。
a. 印刷物,録音物,録音録画物又 はデータ支持物のような著作製品を 製作す ること
b. 著作製品を提供 し,譲渡 し,何 らかの方法で頒布すること
C. 著作物を直接又は何 らかの手段で口演 し,上演 ( 演奏) し,上映 し 又はこれを何処か他の場所で感得可能にす ること
d. 著作物を,ラジオ,テ レビ又は類似の設備により,有線の場合を含 めて放送す ること
e. 放送 され る著作物を発信放送事業者の所有にない技術的設備の助け で,特に有線の場合を含めて再放送すること
f.放送及び再放送を感得 させ ること
( 3) コンピュータ ・プログラムの著作者 は,その上 これを貸与す る排他権 を有す る。
第 1 1 条 著作物の同一性
( 1 ) 著作者は以下のことを決定する排他権を有する。
a. 著作物を変更す るかどうか,その時期及び方法
b. 著作物を二次的著作物の創作のために利用 し又 は編集著作物に集録 することがで きるかどうか,その時期及び方法
( 2) 第三者が契約上又は法律上著作物を変更 し又は二次的著作物の創作の ために利用す る権限を有する場合に,著作者 はその人格を侵害す るあ ら ゆる著作物の穀損に反対することがで きる。
( 3 ) 既存の著作物を
パロディーの創作のため又 はこれに匹敵す る著作物の 変更のために利用す ることは認め られ る。
第 2 節 著作物資格 と著作製品に対す る所有権 との関係
第 1 2 条 消尽の原則
1 6 6 商 学 討 究 第 45 巻 第 4 号
( 1 ) 著作者が著作製品を譲渡 し又は譲渡に同意 したときは, これを再譲渡 し又はその他の方法で頒布す ることができる
。( 2) 著作権がコンピュータ ・プログラムを譲渡 し又は譲渡の同意を したと きは, これを使用 し又 は再譲渡することがで きる。
( 3) 実施 された建築著作物 は所有者が これを変更することがで きる。第 11 条第 2 項はなおこれを留保す る。
第1 3 条 著作製品の貸与
( 1 ) 文学及び美術の著作製品を貸与 し又はその他の方法で補償を得て処分 す る者 は,著作権にこのための補償をす る義務を負 う
。( 2 ) 補償義務 は次の ものには生 じない。
a. 建築著作物
b. 応用美術の著作製品
C.
契約上取決め られた著作権の使用のため貸与 し又は貸出される著作 製品
( 3 ) 補償請求権 は認可 された利用団体 ( 第 4 0 条以下)に限 り行使すること ができる
。( 4 ) 本条 はコンピュータ ・プログラムには適用 しない。第 1 0 条第 3 項の排 他権 はなお これを留保する。
第1 4 条 著作物の入場権及び展示権
( 1 ) 著作製品の所有権を有 し又は占有す る者は,著作権の行使 に必要な程 度でかっ正当な自己の利益に反 しない限 りで著作者にこれを接見可能に
しなければな らない。
( 2) 著作者 は重大な利益を証明するときは,著作製品を国内における展示 のために 引 き渡すよう請求す ることができる。
( 3) 引渡 しは著作製品の無傷の返還のための保証の給付にかか らしめるこ とがで きる。著作製品は無傷で返還 され得ないときは,著作者は故意過 失のない場合 にも責任を負 う
。第1 5 条 破壊か らの保護
( 1 ) それ以外に何 らの著作製品が存 しない原作品の所有者が著作者の著作 物保存 に対す る正当な利益を認めなければな らないときは,著作者 に前 以 って返還を申出ることな くこれを破壊することはで きない。そのため
にもはや物的価値以上の ものを請求す ることはできない。
( 2 ) これ らの者 は,返還が不可能であるときは,著作者 に原作品の模写を 相当の方法で可能に しなけれな らない。
( 3 ) 建築著作物においては,著作者は著作物を写真撮影 し自己の費用で設 計図のコピーを取得す る権利のみを有す る。
第 4 章 権利行使,強制執行 第 1 6 条 権利譲渡
( 1) 著作権 は譲渡 し相続す ることができる。
( 2) 著作権に含まれる権利の譲渡 は,取決め られているときに限 り他の部 分権の譲渡を含む。
( 3 ) 著作製品の所有権の譲渡は,原作品の場合に著作権法上の利用権限を 含まない。
第1 7 条 プログラムに対す る権利
労働関係において職務活動の行使の際にあるいは契約上の義務の履行 にお いて コンピュータ ・プログラムを創作 したときは,雇用主 はもっぱ ら排他的 利用権の行使につ き権限を有する。
第 1 8 条 強制執行
第 1 0 条第 2 項及び第 3 項及び第1 1 条に掲げる権利 は強制執行に服す る。た だ し著作者が これ らの権利を行使 しかっ著作物が著作者の同意を得てすでに 公表 されている場合 に限る。
第 5 章 著作権法の制限
第 1 9 条 自己の使用のための利用
( 1 ) 公表された著作物は自己の使用のために利用することがで きる。 自己 の使用 とは次の ものを言 う
。a. 個人的領域及び親類又は友人のような自己と密接に関係す る人的範
16 8 商 学 討 究 第 45 巻 第 4 号 園におけるあ らゆる著作物利用
b. 教師が学級 において教育のためにす るあ らゆる著作物の利用
C.
企業,官庁,研究所,委員会及び類似の機関における内部情報又 は 資料のための著作製品の複製
( 2 ) 自己の使用のために権限を有す る者 は,そのために必要な著作製品を 第三者を通 じて製作 させ ることができる。その利用者に複写装置を使用
させ る図書館 も本項の意味における第三者 とみなす。
( 3) 私的範囲外では次の行為は認め られない。
a. 入手 した著作製品の取引における完全又は著 しく完全な複製 b.造形美術著作物の複製
C.
音楽著作物のグラフィックな収録物の複製
d.著作物の録音物,録音録画物又はデータ収録物による口演,上演又 は上映の収録
( 4 ) 本条はコンピュータ ・プログラムには適用 しない。
第 2 0 条 自己の使用のための補償
( 1 ) 第19 条第 1項 a による私的範囲における著作物の利用に対 しては,第 3 項を留保 して補償の必要がない。
( 2) 第1 9 条第 1項 b又は
Cにより自己の使用のためあるいは第1 9 条第 2項 により第三者 として著作物を何 らかの方法で複製す る者 は著作者に対 し て このための補償をす る義務を負 う
。( 3) 補償請求権 は認可 された利用団体 に限 りこれを主張す ることがで き る。
第 2 1 条 コンピュータ ・プログラムの解読
( 1) コンピュータ ・プログラムを使用す る権利を有す る者 は,独立 して開 発 されたプログラムにイ ンタ‑フェースに関す る必要な情報をプログラ ムコー ドの解読 により入手 し又 は第三者を して入手せ しめることができ る。
( 2 ) プログラムコー ドの解読によって得 られるイ ンターフェース情事削ま,
相互操作可能なコンピュータ ・プログラムの開発,保守乃至 は使用のた めに利用することができる。ただ しこれによってプログラムの通常の使 用 も権利者の正当利益 も期待で きる程侵害 しない場合 に限る。
第 2 2 条 放送 される著作物の頒布
( 1) 放送 される著作物を同時にかつ変更せずに感得可能に し又 は放送番組 の転送の範囲内において再放送す る権利 は,認可 された利用団体を介 し てのみ行使することがで きる。
( 2 ) 多数家族住宅又 は非公開の高層建築の施設のように もともとわずかな 受信者数 に制限 され る技術的設備 による著作物の再放送 は,認め られ
る。
( 3) 本条 は会員制テ レビの番組及びスイスの何処 において も受信できない 番組の転送に適用 しない。
第 2 3 条 録音物製作者のための強制許諾
( 1) 歌詞付又は歌詞な しの音楽の著作物を国内又 は外国において録音物 に 録音 し, この形式で著作者の同意を得て提供 し,譲渡 しその他の方法で 頒布する場合には,国内に営業所を有す るすべての録音物製作者 は,著 作権者に対 し補償 に代えて同一の許可をスイスに対 して も請求す ること ができる。
( 2 ) コンピュータ ・プログラムを使用す る権利を有する者 は, これ ら保存 用 コピーを製作す ることができる。 この権限は契約によって排除するこ
とはできない。
第 2 5 条 引用
( 1) 公表 された著作物は,その引用が説明,指示又は実例的な説明に役立 ち,かつ引用の範囲が この目的によって正当である場合には, これを引 用す ることがで きる。
( 2 ) 引用それ自体及び出所を表示 しなければな らない。出所に著作者資格 が指示 されている場合は, これ も同様 に記載 しなければな らない。
第 26 条 博物館,博覧会及び競売用カタログ
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公 に接見可能 なコ レクシ ョンに見 られ る著作物 は, コレクシ ョンの管理者 によって作成 され るカタログにおいて模写す ることがで きる。同 じ規定 は博 覧会及 び競売用 カタログの発行 に適用す る。
第 27 条 公 に接見可能 な土地 にある著作物
( 1) 恒常的に公 に接見可能 な土地の上 にある著作物 は模写す ることがで き る
。模写 は提供 し,譲渡 し,放送 し又 はその他 の方法で頒布す ることが で きる。
( 2 ) 模写 は三次元的であ ってはな らず,又原品 と同 じ目的 に利用す ること はで きない。
第 2 8 条
( 1) 時事 に関す る報道のために必要である限 り,その際感得 され る著作物 は記録 し,複製 し,上映 し,放送 し,頒布 しその他の方法で感得可能 に す ることがで きる
。( 2 ) 時事問題 に関す る情報 の 目的で,新聞の論説乃至 はラジオ及 びテ レビ の報道か らの短 い断片 は, これを複製 し,頒布 し及 び放送 し又 は再放送 す ることがで きる。その断片 とその出所 を指示 しなければな らない。 出 所 に著作者資格が指示 されて い る ときは, これ も又掲示 す る もの とす
る。
第 6 章 保護期間 第29 条 総則
( 1 ) 著作物 はそれが創作 され るや否 や,ある支持物 に固定 され るか否かに 関係 な く,著作権法上保護 され る
。( 2 ) 保護 は以下の時点で消滅す る。
a. コンピュータ ・プログラムについては著作者 の死後 5 0 年。
b. その他すべての著作物 については著作者の死後 7 0 年。
( 3 ) 著作者が 7 0 年以上 にわた り死亡 していることが認 め られ るときは, も はや保護 は生 じない。
第30 条 共同著作者
( 1) 多数の者がある著作物の創作に共同 した ときは ( 第 7 条) ,保護 は最 後 に死亡 した者の死後 7 0 年で消滅する。
( 2 ) 個々の寄与を分離できるときは,独立に利用可能な寄与の保護 は各著 作者の死後 7 0 年で消滅す る。
( 3 ) 映画その他視聴覚著作物に際 しては,保護期間の計算については監督 のみを考慮する。
第31 条 著作者の知れない場合
( 1) 著作物の著作者が知れないときは,その保護 は公表後 7 0 年か,又は著 作物が分冊で公表 されているときは,最後の分冊より 7 0 年で消滅する。
( 2 ) この保護期間の経過前に著作物を創作 した者が公に知れたときは,煤 護 はその者の死後 7 0 年で消滅す る
。第32 条 計算
保護期間は計算にとって基準 となるできごとが生 じた年の1 2 月 31 日より計 算する。
第 3 篇 隣接権
第 3 3 条 実演家の権利
( 1) 実演家は著作物を演 じ又 は著作物の実演に美術的に共同する自然人で ある。
( 2 ) 実演家はその実演を次のようにする排他的な権利を有する。
a. それが提示される場所以外で感得可能にす ること
b. ラジオ,テ レビ又は類似の方法で,有線の場合を含めて,放送 し, 乃至は放送される実演をその所有者が発信放送事業者でない技術的設 備の助 けで再放送す ること
C. 録音物,録音録画物又 はデータ収録物に収録 し,かかる収録物を複 製す ること
d. 複製品を提供 し,譲渡 し又はその他の方法で頒布す ること
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e. 放送され又は再放送されるときに感得可能にす ること 第34条 多数の実演家
( 1 ) 多数の者が実演に美術的に共同 したときは,隣接権はその者の共有に 属す る
。( 2 ) 合唱,オーケス トラ又は演劇的上演 ( 演奏)において,第33 条の実演 の利用については以下の者の同意を必要 とす る。
a. 独奏者 b.指揮者
C.
監督
d.共同す る芸術的集団の代表又はかかる者が存在 しない時は,集団の 指導者。
( 3) 集団が代表を指名せず,その指導者が知れない限 り,隣接権は委任な き業務執行の意味において実演を主催 し,彼により複製品を製作 し又は これを放送す る者が これを行使することができる。
第 35 条 録音物及び録音録画物の利用に対す る補償請求権
( 1 ) 取引において入手 される録音物又は録音録画物が放送,再放送,公の 受信 ( 第33 条第 2項 e) 又 は上演 ( 演奏)の目的で利用されるときは, 実演家 は補償請求権を有す る。
( 2) 利用 される支持物の製作者 は,実演家の補償に対 し相当な分配を受け るもの とす る。
( 3 ) 補償請求権 は許可 された利用団体 によってのみ行使す ることがで き る。
( 4 ) その住所をスイスに持たない外国の実演家 はその者の属す る国がスイ ス国民に相当の権利を保証す る場合 に限 り補償請求権を有する。
第36 条 録音物および録音録画物の製作者の権利
録音物及び録音録画物の製作者 は収録物を複製 し,複製品を提供 し,譲渡 し又はその他の方法で頒布する排他的な権利を有す る
。第 37 条 放送事業者の権利
放送事業者 は以下の排他的権利を有す る
。a. その放送を再放送す ること b. その放送を感得可能 にす ること
C. その放送を録音物,録音録画物又 はデータ収録物 に収録 し,かか る 収録物を複製す ること
d.その放送 の複製品を提供 し,譲渡 し又 はその他の方法で頒布す るこ と
第 3 8 条 権利移転,強制執行及 び権利の制限
第 1 2 条第 1 項及び第 1 3 条の規定乃至 はこの法律の第 2 篇第 4 章及 び第 5 章 の規定 は,その意義 に従 って実演家,録音物又 は録音録画物の製作者及 び放 送事業者 に属す る権利 に適用す る
。第39 条 保護期間
( 1) 保護 は実演家 による著作物の実演,録音物又 は録音録画物の製作乃至 は放送の発信を もって始 まる 。5 0 年後 に消滅す る。
( 2) 保護期間は計算 にとって基準 となるで きごとの生 じた年の 1 2 月31 日よ り起算す る。
第 4 篇■ 利用団体
第 1章 連邦の監督 に服す る利用領域 第 4 0 条
( 1) 連邦の監督を受 けるの は以下 の通 りである。
a. 非演劇 的音楽著作物の演奏及 び放送及 びかか る著作物の録音物又 は 録音録画物の製作 に関す る排他権の利用
b. この法律 に定 める第 1 3 条,第 2 0 条及 び第 35 条の補償請求権 の行使
( 2 ) 連邦政府 は,公の利益が必要 とす る場合 には,それ以上の利用領域 を 連邦の監督 に服せ しめ ることがで きる。
( 3) 排他権の著作者又 はその相続人 による個人的な利用 は,連邦 の監督 に
17 4 商 学 討 究 第 4 5 巻 第 4 号 服 さない。
第 2 葦 認可 第 41 条 原則
連邦の監督 に服す る権利 を利用す る者 は,知的財産権庁の認可 を必要 とす る。
第 4 2 条 前提条件
( 1) 以下 に示す利用団体 のみが認可を受 ける。
a. スイス法 によって設立 され,営業所をスイスに有 Lかつその業務を スイスか ら執行す る
b.著作権又 は隣接権の利用を主 目的 とす る C. すべての権利者 に開放 されている
d. 著作者及 び実演家 に相当の共同決定権を付与す る
e. 法律の規定の遵守 について,特 にその定款 に基づいて これを保証す る
f.有効かつ経済的利用を期待 させ る
( 2 ) 一般 に著作物類型 ごとにかつ隣接権 について もっぱ らあ る団体 ごとに 認可が付与 され る。
第43 条 期 間,公表
( 1 ) 認可 は 5 年 間にわた り付与 され る
。その都度更に 5 年間の更新が可能 であ る
。( 2) 認可の付与,更新,変更,取消及 び不更新 はこれを公示す る。
第 3 章 利用団体の義務 第44 条 利用義務
利用団体 は権利者 に対 し,その活動領域 に属す る権利を管理す る義務 を負
う。
第45 条 業務執行の諸原則
( 1 ) 利用団体 はその業務 を秩序 あ りかつ経済的な管理の原則 に従 って執行
しなければな らない。
( 2 ) 利用は一定の規則に したがいかつ平等の取扱いの原則に したが って処 理 しなければな らない。
( 3) 利用団体は自己の利益を追求す ることができない。
( 4 ) 可能な限 り外国の利用団体 と相互契約を締結す る。
第 4 6 条 使用料規程の義務
( 1 ) 利用団体は必要 とする補償金について使用料規程を作成する
。( 2 ) 個 々の使用料規程の作成について権威ある利用者団体 と協議す る。
( 3) 使用料規程の許可を受 けるため これを仲裁委員会 ( 第 55 条)に提出 し, 許可を得た使用料規程を公表する。
第47 条 一般使用料規程
( 1 ) 多数の利用団体が同一の使用領域 において活動す る場合には,著作物 又は実演の同一の利用のため統一す る原則 に従 った一般使用料規程を作 成 し,それに基づいて共通の支払所を表示す る。
( 2 ) 連邦政府 はその共同作業 に関す る別段の規程を公布す ることがで き る。
第48 条 分配の基礎
( 1 ) 利用団体 は分配規程を作成 し,その許可を受けるためこれを監督官庁 ( 第 5 2 条第 1 項)に提出す る義務を負 う
。( 2) 利用団体は,その最高機関の同意を得て利用収益の一部を社会保障及 び相当の文化振興の 目的に利用す ることがで きる。
第49 条 利用収益の分配
( 1 ) 利用団体は利用収益を個々の著作物及び実演の所得に従 って分配 しな ければな らない。権利者確認のため期待可能なあ らゆる努力を行 うもの とす る
。( 2) この分配が期待で きない経費 と関係するときは,利用団体 は所得の範 囲を査定す ることがで きる。査定 は精査可能な客観的な観点 に基づかな ければな らない。
( 3 ) 収益 は原権利者 と他の権利者の問で,著作者 と実演家に一般的に相当
17 6 商 学 討 究 第 45 巻 第 4 号
の持分が残 るよ うに分配 され るもの とす る。他の分配 は経費が期待で き ない場合 に認め られ る
。( 4 ) 分配規程 は原権利者 と第三者 との契約上の示談を さまたげない。
第50 条 報告義務 と評価義務
利用団体 は監督官庁 に対 してあ らゆる報告を行 い監督 の遂行 に必要 なあ ら ゆる資料を提供 し,乃至 は毎年業務報告 においてその活動の評価 を示 さなけ ればな らない。
第 4 章 利用団体 に対す る報告義務 第 51 条 .
( 1 ) 期待 され る限 り,著作物利用者 は利用団体 に使用料規程の形成 と使用 乃至 は収益の分配 に必要なあ らゆる報告を行わなければな らない。
( 2) 利用団体 は営業秘密 を保証す る義務 を負 う
。第 5 章 利用団体の監督
第 1節 業務執行の監督 第52 条 監督官庁
( 1 ) 連邦知的財産権庁 ( 監督官庁) は利用団体 を監督す る。
( 2) 監督官庁 はその活動 について手数料 を徴収す る。連邦政府 は手数料規 程を公布す る。
第53 条 監督の範囲
( 1 ) 監督官庁 は利用団体の業務執行を監視 し及 び義務 を履行す るよ う配慮 す る。業務報告書を調査 し許可す る。
( 2) 報告義務 ( 第5 0 条) について指示 を告示す る
。( 3 ) その権限の行使 に際 して連邦行政 についてであれ所属の受託者を召喚 す ることはで きない。受託者 は秘密保持義務 に服す る。
第54 条 義務違反 における処分
( 1 ) 利用団体がその義務を履行 しない ときは,監督官庁 は適切 な状態を作
り出すため相 当の期間を指定す る。期間が遵守 されないときは必要 な処
分を行 う
。( 2 ) 処分に対 して不従順である場合 は,監督官庁 は相当の威嚇の後許可を 制限 し又は取消す ことができる。
( 3) 監督官庁 は確定力ある処分を利用団体の費用で公表す ることがで き る。
第 2節 使用料規程に対する監督
第 5 5 条 著作権及び隣接権の利用に関す る連邦仲裁委員会
( 1) 著作権及び隣接権の利用に関す る連邦仲裁委員会 ( 仲裁委員会)は, 利用団体の使用料規程の許可につ き管轄権を有す る ( 第 4 6 条)。
( 2 ) 連邦政府 はその委員を選任する。連邦行政手続法の枠内において仲裁 委員会の構成 と手続を規定する。
( 3) 仲裁委員会事務局の人員 はその活動について仲裁委員会の委員長の監 督を受 ける。
第 5 6 条 仲裁委員会の構成
( 1) 仲裁委員会 は委員長, 2 名の陪席委員, 2 名の補欠乃至は追加委員か らなる。
( 2 ) 追加委員 は利用団体及び著作物及び実演の関係利用団体 によ り提案 さ れる
。第 5 7 条 裁定のための人員構成
( 1) 仲裁委員会 は 5名の委員,すなわち委員長, 2名の陪席委員及び 2名 の追加委員を もって裁定を行 う
。( 2 ) 委員長 は各業務 に関 し専門知識を有すべ き 2 名の追加委員を指名す る。その際その都度利用団体の提案 により選任 された 1名及び使用者団 体の提案により選任 された 1名の委員を考慮す るものとす る。
( 3) 専門知識を有す る委員の 1 人が利用団体 に属す るか又は使用者団体に 属す るかはそれ自体何 ら忌避の理由とはな らない。
第58 条 行政監督
( 1) 連邦司法警察省は,仲裁委員会の行政監督官庁である。
( 2 ) 仲裁委員会 は該省に対 し業務執行 に関す る年次報告書を提出す る。
17 8 商 学 討 究 第 45 巻 第 4 号 第59 条 使用料規程の許可
( 1 ) 委員会 は提出された使用料規程がその構成及び個々の規定について相 当であるときはこれを許可す る。
( 2 ) 手続の当事者である利用団体及び使用者団体 ( 第 4 6 条第 2 項)を審訊 した後改訂を行 うことができる。
( 3 ) 許可が確定 した使用料規定は裁判所を拘束す る。
第 6 0 条 相当性の原則
( 1 ) 補償金の確認において以下の点を考慮するものとす る。
a. 著作物,実演,録音物又は録音録画物あるいは放送の使用によって 得 られた収益又は補助的にその使用 と関係す る経費
b. 使用 される著作物,実演,録音物又は録音録画物あるいは放送の種 類 と数量
C.
保護 される著作物,実演,録音物又は録音録画物あるいは放送 と保 護 されないこれ らの ものとの割合
( 2 ) 補償金 は一般的に著作権 については最高使用収益又 は使用経費の 1 0
%,そ して隣接権については最高それ らの ものの 3% とする。 しか しこ れ らの当事者が経済行政において相当の補償を有す るように確立す るも のとす る。
( 3 ) 第 1 9 条第 1 項 b による著作物の利用は使用料規程において優遇す るも のとす る。
第 5 篇 権利保護 第 1章 民法上の保護
第61 条 確認の訴
法的利益を証明す る者は,権利又は権利関係が この法律 に従 って存在する か欠 けているかについて裁判によって確認す ることがで きる。
第6 2 条 給付の訴
( 1) 著作権又は隣接権を侵害 され又は穀害を受 ける者 は裁判所に対 し以下 の処置を請求することができる。
a. 差 し迫 った侵害を禁止す ること b. 存在する侵害を排除す ること
C. 被告に対 してその占有にあり違法に製作 され又は取引に置かれた対 象の出所を示す義務を負 うこと
( 2 ) 委任のない業務執行 に関す る規程 による債務法に基づ く損害賠償,名 誉回復の措置乃至は利得返還の訴 はこれを留保する。
第 6 3 条 民事手続 における没収
( 1 ) 裁判所は被告の占有 にある遵法に製作 され又は利用された対象の没収 乃至は廃案又 は不使用化を命ずることがで きる。
( 2) 実施 された建築著作物はこれか ら除外 され る。
第 6 4 条 裁判籍
( 1 ) 著作権又は隣接権 に関す る訴の判断については,被告の住所地,又は 行政開始地あるいは結果発生地の裁判所が管轄権を有する。
( 2) 多数の被告が提訴 されることができ請求権が主 として同一の事実及び 法的根拠に基づ く場合には,各管轄裁判所 においてすべての者に対 して 訴を提起することがで きる。
( 3 ) 州はそのすべての地域について民事訴訟の唯一の州の審級 として管轄 権を有す る裁判所を指定する
。第 6 5 条 仮処分
( 1 ) 著作権又は隣接権を侵害 され,又はかかる侵害の恐れがあり,かつ侵 害によって容易に回復 されない不利益を蒙 る恐れがあることを疏明 した
ときは,仮処分命令を申請す ることができる。
( 2) 特に裁判所が証拠保全,違法に製作され又は置かれた対象の出所の申 告,現状の維持,又 は差止及 び排除請求権の仮執行のための処分を命ず
るよう申請す ることができる
。( 3) 仮処分命令については次の裁判所が管轄権を有す る
。1 80 商 学 討 究 第 45巻 第 4号
a. 訴が繋属 している地の裁判所
b. まだ訴が繋属 していない場合 には,第 6 4 条 に基づいて管轄権を有す る裁判所
( 4 ) その他の事項についてはスイス民法典第 2 8 条
C乃至第 2 8 条 fをその意 義に従 って適用す る。
第 66 条 判決の公示
裁判所 は勝訴当事者の申立により判決を相手方の費用により公示す ること を命ず ることができる
。公示の方法 と範囲を定める。
第 2 章 刑罰規定 第 67 条 著作権侵害
( 1) 権利を侵害 された者の告訴 により,故意かつ違法に次の行為をする者 は 1年以下の自由刑又は罰金刑に処せ られる。
a. 著作物を虚偽の又は著作者が決定 したもの とは異なる表示の もとに 利用す ること
b. 著作物を公表すること C. 著作物を変更す ること
d. 著作物を二次的著作物の創作のため利用す ること
e. 何 らかの方法で著作製品を製作すること
f.著作製品を提供 し,譲渡 し,又はその他の方法で頒布すること g.著作物を直接又は何 らかの手段の助けにより口演 し,上演 ( 演奏)
し,上映 し又はその他の方法で感得可能にす ること
h.著作物をラジオ,テ レビ又 は類似の手続により,有線の場合を含め て,放送 し,又は放送 される著作物をその所有者が発信放送事業者で はない技術的設備によって再放送すること
i.放送 され又は再放送 される著作物を感得可能にす ること
k. 所轄官庁 にその占有にあり違法に製作され又 は取引に置かれた著作 製品の出所を申告することを拒否す ること
1. コンピュータ ・プログラムを貸与す ること
( 2) 第 1 項の行為を業 として犯 した者 は職権 により訴追 され る。刑罰 は自 由刑 と 1 0 万 フラン以下の罰金刑である。
第6 8 条 出所表示の不作為
故意 に法律 に規定 された場合 ( 第25 条及び第28 条)に利用 され る出所及び それが表示 されている場合の著作者を掲示す ることを怠 った者 は権利を侵害 された者の告訴 により罰金刑に処せ られ る。
第 6 9 条 隣接権の侵害
( 1) 権利を侵害 された者の告訴 によ り,故意かつ違法 に次の行為をす る者 は 1年以下の自由刑又 は罰金刑に処せ られ る。
a. 著作物の実演をラジオ,テ レビ又 は類似の手続 によ り,有線の場合 を含めて,放送す ること
b.著作物の実演を録音物,録音録画物及びデータ収録物に収録す ること
C.