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A アルミ平板の切欠き曲率半径の応力集中に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)

−1−

アルミ平板の切欠き曲率半径の応力集中に及ぼす影響

大上哲郎* ・渡邊祝幸**

Influenceofcircularnotchradiusonstressconcentration ofaluminumsheet

TetsuroOHwuE*andNoriyukiWATANABE**

(2006年11月30日受理)

Theneedofweight‑reducingofautomobilebodysuchasallaluminumcarbodyisincreas‑

ingfromtheglobalatmosphereenvironmentalproblem. Thestressconcentrationofcircular notchofaluminumsheetbecomesmoreimportantforautomobileuse. Theexperimentby usingstraingaugeandFEMsimulationwerecarriedoutinordertoinvestigatethestresscon‑

centrationofaluminumsheet. ThestressconcentrationfactorcM,calculatedfromtheresults ofFEManalysis,coincidewiththeresultsof"JSMEMechanicalEngineers'Handbook".

KeyWords:aluminumsheet,FEM,simulation,stressconcentrationfactor

2. 応力集中係数αについて

一一二目

1.

部材の切欠き部での応力集中の程度を評価する尺 度としては,一般に,一次元,二次元,三次元応力 集中の各場合とも,応力集中係数αが用いられてい る。さて,図1のような段付帯板カミ引張荷重Pを 受けるとき,切欠き底A点では軸方向に最大主応 力O,が発生する。また,切欠き底A点ではその他 の中間主応力,最小主応力は0となり一次元応力集 中である。

一般に応力集中係数αとは,図1に示す最大応力 点Aにおける0,=(oy)m趣だけに着目し, これを切 欠き底断面の公称応力O.0で割った値である。定義 地球環境問題から, オールアルミニウムボディー

車体などの車体軽量化のニーズが高まり, アルミニ ウム平板の切欠き部を有する強度部材の応力集中な どが今後問題になる可能性がある。また, ナノテク ノロジ一など,微小部品を作成する場合,応力集中 は大きな課題と考えられる。従来,切欠き部のみあっ て平行部のない疲労試験片の応力集中は検討されて いる')2)が,平行部と切欠き部を有する疲労試験片 の応力集中は,機械工学便覧3)以外にはほとんど検 討されていない。また, JISZ2275の2号疲労試験 片4)も切欠き曲率半径rが平行部幅b以上のものと するという記述があるだけである。

本報告では,軸荷重を負荷した切欠き曲率半径を 有する段付帯板についてのストレインゲージによる ひずみと応力の測定実験を行った。それと並行して 応力解析を有限要素法によって行い,実験結果と比 較した。また,解析結果から応力集中係数αを求め,

それにより機械工学便覧を参考に切欠き曲率半径の 影響を評価した。

A

00一一一一α

『』.‐ 【.

*秋田工業高等専門学校機械工学科

舞平成18年3月生産システムエ学専攻卒,現在五洋

電子勤務 図1 軸荷重を受けているときの段付帯板

(2)

式を次式(1)に示した。

(α) ゞ

α=二

3.2実験方法

引張試験機に試験片の軸が鉛直になるように固定 し,重りを吊り下げることにより荷重をかけ測定を 行う。取付けの例を図3に示す。引張荷重は49.7N, 61.4N, 75N, 100Nの4種類とした。試験片をチャッ クで固定する位置は, サンブナンの原理5)から「荷 重点から十分(板幅分)離れていれば端面から遠く 離れたところでは応力分布はほぼ等しくなる」を応 用し, ひずみの測定位置から板幅分以上離れた位置 を固定することによって応力分布の誤差は無視でき るほど小さいことがわかったため,測定位置から40 Inln以上離れた場所をかむこととした。 これは ANSYSによる解析で成立していることを確認した。

(1)

00

ここで公称応力Ooとは軸荷重を切欠き底断面 AAの断面積Aoで割った値で,次式(2)である。

P O()二=−

4「, (2)

3. 実験方法及び有限要素法による応力解析

3.1 試験片

試験片形状を図2に示す。板厚2mmのアルミ ニウム平板であり, また,切欠き曲率半径rは0.5 mm, 3mm, 10mm, 20mmとし, 切欠き深さt は10mmとして機械加工により試験片を製作した。

40

1

一一一訂

I

mの一

①シ/

図3試験片の取付け例

やミニーーーミ 寺)

││, %I ‑申一

一一一F一一 −−−一

3.3 ストレインケージによるひずみ測定の原理 図4にストレインゲージの構造を示す。ゲージ長 さL,断面積の抵抗線の電気抵抗Rは,材料固有 の比抵抗をpとすると(3)式で表される。

﹄f

図2試験片の形状およびストレインケージの貼り付け 箇所

α ①,①',②,②、部分,表裏対称にストレインゲー

ジを貼り付けることとした。初めは表のみにストレ インゲージを貼り付けていたが, ひずみの値が(+),

(−)になってしまい安定しなかった。 この原因を 確かめるために試験片の近傍に重りをつけた糸を吊 り下げてx方向の垂直度を測定した。その結果, x 方向の垂直度には問題はなく, Z方向の垂直度が保 たれていないことが原因であった。 このため, スト

レインゲージを表裏対称,全4箇所に貼り付け測定 を行った。

(3)

これを弾性的に△Lだけ引き伸ばしたときの抵抗 の変化率は(4)式である。

坐p

α

|L

(4)

電気抵抗線のポアソン比をしgとするとき, Aa/a=

−2レ'(AL/L)であり,比抵抗は変化しないので,

(4)式は次のように整理でき, ひずみEを求めるこ とができる。

平成19年2月

(3)

−Q

[』

アルミ平板の切欠き曲率半径の応力集中に及ぼす影響

1 1

|L

rllJ1Ilg か|L

9﹈

lR の引張荷重を軸方向に負荷した。また,材料定数は

アルミニウム試験片なので,ヤング率をE=73GPa, ポアソン比はし=0.34とした。

4. 結果

=(1+21ノg)e

△秘 E=(1+2"蔦)

4.1 解析結果と実験結果の比較

実験による測定値と解析結果を各々表1,表2に まとめた。ここで,実験の平均値を実験値,ANSYS

/F,

(Oノ

ここで, (5)式の比例定数(1+2〃霞)はゲージ率

と呼ばれる。 表1各切欠き曲率半径の実験結果および解析結果の応力oソ 単位[MPa]

実験結果

①【 平均値

‑1.557‑3.029

解析結果A

①,① 1.267

解析結果B

①,① 1.288

〜=

r=0.5 49.7N L

r 3 ゲージリー

1−−

1F

F

I 一一一 正一、堅 I

=ヘ三ユ』畠

̲一一 正一

1 1,

‑4.502

蛎訓岬宅畑幽訓︑訓恥咄取畑却輌岬訓︑

八b円j11r44ハb庁j11r44nb門jイ上r44戸O庁lイー

岬一一①

-1.557 -1.220 0.779

0.608 0.949 0.949 1.703

①Ⅱ 1.874

1.740 2.091 2.835

1.565 1.912 2.549

①,①!

1.206 1.490 1.820 2.426

①,① 1.036 1.280 1.563 2.085

142787014658207鋤釣①師訂①肥幻妬伽①卯皿師駆112111211120111

①①①

−ー ========

ガイド マー ク 、〜←正一倫〆 平均値

1.399 1.716 2.008 2.543 平均値 1.010 1.302 1.533 2.068 平均値 0.961 1.253 1.460 1.995 2.190

2.482 3.066 図4 ストレインケージの構造

3.4有限要素法による応力解析

本研究では,有限要素法ソフトANSYSを用い て応力解析を行った。

図5に応力解析に用いた要素分割の例を2種類示 す。一方のプログラムはANSYS9.0といい,設定 できる節点数が多くより細かい要素分割をすること ができる。 もう一方のう°口グラムはANSYS/ED

といい, ANSYSシリーズの中でも主に教育用・評 価用として用いられている有限要素法ソフトである。

要素タイプ.にはどちらも8節点アイソパラメトリッ ク要素を用いた。荷重条件は,実験と同じく4種類

0,170 0.073

2.433 2.993

皿一州一噸

3.723

1.898 2.385 2.823 3.626

①,①!

0.911 1.125 1.374 1.832

表2各切欠き曲率半径の実験結果および解析結果の応力oソ 単位[MPa]

解析結果B

②,②↑

0.261 0.323 0.394 0.526

②,②!

0.259 0.320 0.391 0.521

②,②、

0.425 0.525 0.641 0.855

②,② 0.507 0.627 0.765 1.021

果444645

990

実一一一一一一

−−−

r=0.5 49.7N 61.4N 75N 100N l・=3 49.7N 61.4N 75N lOON

r=10 1

49.7N

解析結果A

②,② 0.205 0.254 0.310 0.413

②,② 0.261 0.322 0.393 0.524

②,②1 0.346

,497

平均値 0.195 0.256 0.304 0.389 平均値 0.243 0.292 0.377 0.499 平均値 0.341

J1鴫え . ,黒篝急 譲 . ー ¥裳息勇劉

0.706 0.779

−0.049

nnn弓

5ざ T

ff1咄/;

61.4NI‑0.097 75N ‑0.219

2919989 5218228

u皿②叩皿唖蝸

0.414 0.487 0.633 平均値 0.438 0.560 0.694 0.925

159723駆鎚②妬那釣0000000

100N -0.146 ,、=20 0 49.7N‑0.122 61.4N 0.073 75N ‑0.195 100N 0.048

‑0.146

61.4N 75N

4985 00 01

(A)ANSYSによる要素分割(左)

(B)ANSYS/EDによる要素分割(右)

図5 要素分割の例

(4)

偉 ①,⑳部分⑱砧力 m.s@②.部分的庵力

35主ら1sO塗10百丘呂侭嘗 6543垂10●●●●●●000000宮血塞﹈侭管

国忍 匿調

40 60 100 120

絢皇M

40 60 aO

絢里DI】

100 世0

に3①.⑳,部分⑩巧力 rユ② ②.部分⑩庵力

3s企51sO塾札Q宥旦呂侭笛 6s43芝10000000﹇盈三侭憧

国調 園調

40 80 1, 120

伺皇[剛

40 60 aO 1, 1麺

伺里DI】

『星10。"・部分⑩応力

『二10①.⑰ 部分⑩応力

s全5150垂10胃血邑兵管 1864ZOO000百匹垂﹈R管

匿掴 園調

40 80 1m lZO

伺里[剛

40 60 80 1, 1卸

伺里DI】

豆0② ②、部分田坊力

『垂0①.①'部分⑱応力

32515oz10百匹呂侭燈 Z1884垂010000百座垂﹈侭管

匿關 国璽

40 60 100 120

絢里伽】

40 60 80 1m l加

伺里mlI

図7解析結果と実験結果の比較(②,②,)

図6解析結果と実験結果の比較(①,①,)

r=10ではいずれの誤差も2%前後まで抑えられて いる。r=20の場合では誤差5%前後となった。こ のようにrが小さいほうが実験値と解析結果の誤差 が大きくなっていることがわかった。

による解析結果を解析結果A,ANSYS/EDによる 解析結果を解析結果Bとし,縦軸に応力oy,横軸 に引張荷重をとり比較したものを図6,図7に示し た。また図8には①,①'部分に関して縦軸に応力 Oy,横軸に切欠き曲率半径rをとり実験値と解析

結果A, Bを比較したもの3種類を示した。 (2)②,②'部分の実験値と解析結果A, Bの比較 r=0.5の場合,実験値と解析結果Aとでは誤差 が3%前後ま後になってしまっている。r=3の場 合,実験値と解析結果A, Bとの誤差は共に5%

前後まで抑えられている。次にr=10の場合,実験

(1)①,①'部分の実験値と解析結果A, Bの比較 r=0.5, 3の場合,実験値と解析結果A, Bとで は誤差が10%前後となってしまっている。 しかし,

平成19年2月

̲〆喧 空=

̲一伊一

古=

Q〆ヱーゴーー■

̲ざ一二一一 謡み〃 苧一

一一 一一戸

==綴戸

汐守

」■

■蛮蚕一声 一一垂毎一

竺〆〆嘗二篭呈 〆一一=ー

宇一

一一拶早 一興F一 繊毎

一擬画 三男鈩鐸晋〆

■■ー

Ⅱ■

(5)

−5−

アルミ平板の切欠き曲率半径の応力集中に及ぼす影響

4.2切欠きによる応力集中係数αへの影響

表3,図9に切欠き曲率半径rの切欠き深さtに 対する比率r/tと応力集中係数αの関係を示す。

図9から, r/t≦0.3の場合ではαの値は急激な変 化を伴い, r/t>0.3の場合はαの変化が小さくなり,

徐々に安定していくことから段付帯板を使用すると き, r/t>0.3の関係が望ましいことがわかる。また,

r/t≦0.3の場合ではαの値は急激な変化を伴うとい うことが4.1で述べた切欠き曲率半径rが小さいも

引張荷重を61.4[N]

25150﹇&皇R笹 =ご〜

−−−蝶一一

一←解析結果A l一解析結果B

0 5 10 15 20 25

切欠き曲率半径r[mni

引張荷重を75[N]

表3応力集中係数αの解析結果 解析結果B 応力ぴy[MPa]

10.813 7.554 5.186 4.558 4.197 3.783 解析結果A

応力oy[MPa] "

11.216 4.486 7.956 3.182 5.427 2.171 4.592 1.837 4.165 1.666 3.787 1.515

525150210﹇&邑倶笹

r/t 0.05

0.1 0.3 0.5 0.7 1

α

‑←実験値 一一解析結果A 一解析結果B

0 5 10 15 20 25

切欠き曲率半径r[mnl

引張荷重を1"[N] 654321

3525150210︹避皇R燈

’ ’

−←実験値 一幸解析結果A

一耀析結果B

│‑憂一謝鰯

b

0 5 10 15 20 25

切欠き曲率半径r[mni 0 02 04 06

08 1

r/t

図8切欠き曲率半径rと応力oyの比較(①,①,部分)

図9 切欠きとαの関係 値と解析結果Aとでは誤差が5%前後まで抑えら

れているが,解析結果Bと比較すると25%前後と なってしまった。 r=20の場合,実験値と解析結果 Aとの誤差は5%前後であるが,解析結果Bとの 誤差は10%前後となった。 このように②,②部分 においては解析結果Bが実験値と大きくずれる場 合が多く発生することがわかった。

0

=墓≦雪顛芝写−.:竜ご=‐一 I

1.0 1.8 2−5 3.5 4.3 5.0 6.0 7.0 8.0

I

. , 、蕊

部分

(3)切欠き曲率半径と応力Oyの比較(①,①部分)

図10を見てみると, ほとんどの場合で切欠き曲率 半径が小さいものほど実験値と解析結果A, Bの 誤差が大きいことがわかる。

(1), (2), (3)で述べたことから,要素分割数 が少ない, もしくはほとんどの場合で切欠き曲率半 径が小さいものほど誤差が大きいことがわかる。

図10 r=3の場合のOyの応力分布図

一三二

=−−−

I

、、、‐

。−=−−−

−文献 一一解析

3〕

結果A 一解析結果B

(6)

(2) この誤差の原因は①,①箇所では切欠き曲 率半径が小さい場合,測定箇所が応力集中部 に近いため,測定箇所周

(3)辺での応力の変化が大きくなりストレインケー ジがわずかにずれてしまったためと推定され る。 また,解析結果Bの誤差でいえること は,解析において要素分割数に限りがあるた め測定箇所の正確な座標を得ることができな かったためと推定される。

(4) 切欠き底近傍のαにおいて, ANSYSによる cM,ANSYS/EDによるα,及び機械工学便 覧3)によるαを比較すると,誤差は小さかっ た。 この結果から切欠き底近傍のみで考える と要素分割数が少なくても一次近似としては 実用上さしつかえない。

(5) r/t>0.3ではαの変化が小さいことから,段 付帯板を使うときr/t>0.3の関係が望ましい

と考えられる。

│ 、

|、

雲I 口座"、' :暉嘩が雫. / f

、 ;f .

①,①部分

ーーー、、、〜宅

一五幸をこ院息

図11 r=10の場合のOvの応力分布図

のほど実験結果と解析結果との誤差が大きくなる原 因となっていると考えた。 ここで, 図10, 図11に ANSYSで計算された応力O,の応力分布を2種類 (r=3, r=10)示した。図10,図11から, r=3の 場合,①,①部分は応力集中部に近いため測定箇 所周辺の応力の変化が大きい。 しかし, r=10では,

①,①'がr=3よりも応力集中部から離れた位置を 測定しているため測定箇所周辺の応力の変化が小さ くなる。よってrが小さいとき,実験及び解析にお いてわずかでも測定箇所の座標がずれてしまうこと で誤差が大きく生じてしまうことがわかる。

6. 謝辞

本研究を遂行するに当たり,指導教官の大上哲郎 先生には多大なる御指導、御鞭燵を,副指導教官の 茂木良平先生、小林義和先生からは数多くの御指摘 を頂いたことをここに深く感謝の意を表します。

7. 参考文献 5.

一一一目

野田尚昭,西谷弘信,深迫泉,原田昭治:日本 機械学会論文集(A編) 51巻467号(1985), pl804

野田尚昭,毛映紅,高瀬康,西谷弘信:日本機 械学会論文集(A編) 66巻646号(2000), pll97

機械工学便覧, A4‑p97 JISZ2275 (1978), p231

例えば,村上敬宜:弾性力学,養賢堂(1985),

p35 1) 軸方向に引張荷重を負荷した切欠き曲率半径を有 する段付帯板について,実験によるひずみと応力の 測定,有限要素法による応力解析を行った。その結 果より応力集中係数αを求め,切欠き曲率半径と切 欠き深さとαとの関係について調べた。

本研究によって次のことがわかった。

2)

3)

4)

実験結果と解析結果A, Bの誤差が①,① 5)

箇所で最大10%前後となり,②,②箇所で は最大30%前後(解析結果Bのみ)になった。

(1)

平成19年2月

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