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中国における行政独 占の規制について

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(1)

妾 連 甲

本稿 は中国における行政独 占の主要規制法である 「 反不正当競争法」1 )の規 制実態 と問題点に着 目し,効果的な規制方法 を検討する ものである。行政独 占

とは行政権力の濫用 による競争の制限行為 を指 してお り,中国経済社会の固有 の問題である。行政独 占が公正かつ 自由競争の制限や新規参入の排 除等の弊害 をもた らしているため,その規制 は喫緊の課題 となっている。その規制 にあたっ て, これ まで反不正当競争法や反墾断法 ( 独 占禁止法)のような競争法が制定 されているほか,国務院 と各行政 レベルの管理部門による政令や条例等が多 く 公布 されている。 しか しなが ら,実際の規制 において主要な役割 を果た してい るのは反不正当競争法である

本稿の第

1

章は行政独 占の意味や弊害,そ して競争法 による行政独 占の規制 体制や確立の経緯等 を説明 している。第

2

章は主要な規制法である反不正当競 争法 による行政独 占規制の構造,機関及び実態等 を説明 した上,同法の運用上 の特徴 を検討 している。第

3

章 は反墾断法 による行政独 占の規制状況 を併せて 説明 しなが ら競争法 による行政独 占の規制 における問題点 と改善策 を検討,揺 案 している

1

)日本語に訳すと 「 不正競争防止法」となるが,日本の不正競争防止法とは内容が 異なっているため,混同されないように本稿では同法の中国語名称をそのまま使 用することとする。

245〕

(2)

1

章 中B] にお け る行 政 独 占

1 節 行政独 占とは

1990

年,清華大学法学院の王保樹教授が,「 事業者聯合与制止聾 断」 ( 事業者 の結合 と独 占の禁止」 とい う論文

2)

の中で中国経 済市場 にお ける独 占を経済 的独 占

3)

と行政 的独 占に分類 した。 これ を契機 に行政独 占 とい う言葉 とその 存 在が法学研 究界で正式 に認め られるようになった。その後,行政独 占とい う 概 念が広 く使用 されは じめ,行政独 占の規制 に関す る問題研 究 も益 々注 目を浴

びるようになった。

行政独 占の定義 について は意見が分かれてお り

4)

定説が ないが,一般 に行 政機関 ( 政府 と所属部門等)及 び公共事務 を管理す る権 限を有す る組織 ( 行政 企業等)が行政権 を濫用 し事業者又は消費者 に違法かつ不合理 な圧迫 を与 える 等 の行為叉は状態 を指 している

2

節 行政独 占の成因 と背景

行政機 関が事業者 の企業経営 を兼務 し又 は事業者が市場 の管理 を行 ういわば

「 政企不分」 とい う計 画経済時代 の企業体制 と, 「 剣 分収支,分級包干 ( 収支 を区分 し,級 ごとに分担 を定め請 け負 う)」 とい う旧税制体制が,行政独 占の 重要 な成 因 と背景であると言 われてい る

市場経済が確立す るまでの中国では行政機関が管理業務 を行いなが ら企業経 営 に も係 る,叉は企業経営 に専 念すべ き事業者が市場 の管理 を行 う,いわば 「 政 企不分」 は当た り前 の ようなことであ った。その ような旧体制の中で行政機関 が係 わ りのある経済事業のため に特別 な規則 を公布 した り便宜 を図 った りす る

2

)王保樹「 事業者聯合与制止墾断

『 法学研究

』1990年 第1

期( 法学研究編集部

,1990)

3

)ここでは,独占禁止法によって禁止されている市場力及び優越的地位等の濫用に

よる公正競争の阻害行為等を指す。

4

)例えば,王保樹 「 事業者聯合与制止墾断」 『 法学研究

』 1990年 第

1期 ( 法学研究

編集部

,1990)

,悦振峰 『 競争法実例教程

』 (

旦大学出版社

,2005)348‑351

等を参照されたい。

(3)

「 慣習」が生 まれた。 これはエス カレー トしてのちに行政独 占を生 じさせた重 要 な原因 と背景 になった。

一方,

剣 分収支,分級包子」 は,北京 ・天津 ・上海の

3

つの直轄市が依然 として従来の 「 統一収支 ・統一支出」 に近 い税制 を実行す る以外,全国大部分 の地域 においては地方企業 の収入 ・塩業 ・農牧業及びその他 の地方産業収入 に 係 わる税金 を地方財政 に帰 し地方財政 の固定収入 と し,又一部の地域 では国へ の税金上納額 を定額 とし収入増加又は支出残高 をすべて残 して地方 の使用 に帰 す等それぞれ定めた税制体制である

5)

この税制の確立 によ り地方政府 は 自己のために働 くようになった。地方政府 にとって管轄域内の事業者が収益 を上 げれば上 げるほ ど地方税収が多 くなる

この ような,税収の増幅は地方 の行政及び役 人の功績 を示 している もので もあ るため,地方政府 間における政治業績 の競争 も招 いたのであ る。利益 の獲得 に 駆 り立て られ,管轄地域 内の事業者 を保護す るために,行政管理部 門は他地域 事業者の市場参入 を行政権力の行使で排 除す るようなった。 そ こか ら行政独 占 が生 まれ,そ して様 々な形 で蔓延 し始 めたのであ る

6)。

3

節 行政独 占の態様 と弊害

行政独 占は競争市場 に様 々な弊害 を もた らしてお り,新 しく制定 された反聾 断法 はそれに対応す るため に反不正当競争 よ りも弊害の態様 を細分化 し類型別 に規制規定 を設けている。 それ による と,行政独 占の態様 には次の ような もの がある

( 1 ) 強制購入

7)

行政機 関又は管理権 限を有す る組織 ( 例 えば行政企業) は事業者か ら経済利

5

)呉敏速他 『 現代中国の経済改革

』 (NTT

州版株式会社

,2007)249‑251

頁。

6

)王保樹 「 論反墾断法対行政墾断的規制」 『 中国社会科学院研究生学院学報』第

5

期 ( 中国社会科学院研究生学院

,1998/9)

そ か と

7)反墾断法第

32

条.後述する 「 藩陽市蘇家屯衛生防疫荘事件」 ( 第

2

章第

2

節)を参照

(4)

益 の提供 を受 けるために当該事業者 に様 々な便宜 を与 え, 代 りに事業者か ら「リ ベー ト」 を受 け取 る。便宜 を提供す る形の一つ として,消費者 に自ら指定 した 事業者の商品購入 を強制す ることがあ る

(2)

地域間における商品流通の制限

8)

「 地方保護主義」や 「 塊塊独 占」 とも呼 ばれ,最 も典型的,深刻化 した行政 独 占の態様だ と言 われてい る。例 えば中国で消費者 はほ とん ど所在地域 の ビー ル しか飲 むことがで きず,他地域 の ビールが飲 めないのであ る ( 一部のブラン ドビールは例外)。 この 「 非常識」 は常識 となってい る。 それは地域 の ビール 管理部門が地元の ビール事業者 を保護す るために,他地域産 ビールの流入 と販 売 を制限 しているか らであ る

( 3) 他地域事業者 に対 す る入札排除行為

9)

入札活動 を規律す る法規や政令等 は多数存在す る。 ところが,実際 には官製 談合のほか,行政権力の濫用で入札 の参加者又は落札者 は地元の事業者 に限定 され,他 の地域 の入札参加者では落札 で きないか,落札 で きた として も不平等 の取引条件 を強い られる等 の問題が起 こっている

( 4) 他地域事業者 に対 す る新規参入の妨害

10)

行政機 関又は管理権 限を有す る組織 は地元の事業者 を保護す るために,行政 権力の行使 によ り,他地域か らの新規参入 を排 除す る。例 えば,営業許可の発 されたい。また,参考文献として鄭鵬程 『 行政墾断的法律控制研究

』 (2002

,北京大 学出版社)

54‑56

頁,悦振峰 『 競争法実例教程』( 復旦大学出版社

,2005)369‑373

頁。

i)上うねい し上うはん きん

8

)反墾断法第

33

条。後述するする 「遼 寧省 盤錦市専売事業管理部門事件」 ( 第

2

章第節)を参照されたい。また,参考文献として鄭鵬程 『 行政墾断的法律控制研 究

』 (2002

,北京大学出版社)

50‑53

頁,悦振峰 『 競争法実例教程』 ( 復旦大学出 版社

,2005)364‑368

頁を参照されたい。

9)反墾断法第34

条。

ぁん きし上う。上。上う

け ん

10) 反墾断法第

35

条。後述する 「安徽省静城県 政府事件」 ( 第

2

章第

2

節)を参照さ

れたい。

(5)

給 を制 限 した り,規 定外 の特 別税金 を課す等 して参入費用 を引 き上 げた りす る 等 ,地元 の事業者 とは差別 的な政策 を行 うこ とが あ る。

(5)

事業者 に対 す る違法行為 の実施 の強制

11)

行政機 関又 は管理権 限 を有す る組織 は,本来公正かつ 自由な競争秩序 を守 る 立場 であ るにかか わ らず,事業者 にカルテルの締結や取 引拒 絶等反競争 的行為 を実施 させ るこ とが あ る。 この場合 も行政独 占問題 として反不正 当競争法又 は 反墾 断法 の規制 を受 ける

(6)

競 争制 限的又 は競争排除的 な行 政規則 の制定

12)

行政機 関又 は管理権 限 を有す る組織 が競争 を制 限す る ような行政法規 を制定 す ること も,行政独 占の‑態様 であ る。前述 した消費者が地元 の ビール しか飲 む こ とが で きない事情 は, 「ビー ル販 売規則」 の よ うな地域 間の ビー ル流通 を 制 限す る規則 で形成 された取引障壁 に よる ものであ る。

( 7) その他 の違法態様

現行反墾 断法 は,行政独 占の態様 を上記 の六つ に限定列挙 してい る ( 第

32

〜第

37

条) 。 しか し,実際 に行政独 占行為 の態様 はほか に もあ る。例 えば,行政 機 関叉 は管理権 限 を有す る組織 による差別対価 や郎 1 方式 の制限等があ る

13)。

ll)

反墾断法第

36

条。例えば,長石の主要産地である湖南省平江県では

,20世紀90

度頃に長石の生産 メーカーが数多 く存存 していたため,長石の販売価格が低迷 し た。平江県政府は長石の値上げを図るために,平江県長石勅集団有限会社に,義 石の独占的販売権及び定価権 を与え,価格の競争 を制限させていたのである。参 考文献 として,鄭鵬程 『 行政墾断的法律控制研究

』(2002

,北京大学州版社)

56

‑59

頁を参照 されたい。

12)

反墾断法第

37

条。例えば,湖南省新化県政府事件において,政府は地元グラファ イ ト資源の流れを防 ぐために,隣接郷政府 と共同で 「グラファイ ト資源管理の強 化に関する共同公告」 を公布 し, トレー ドバ リヤーを設けていたのである。同前

52

頁を参照されたい。

きんせい し上うたいげん

こうそ ひ しゆ う

13)

2

章第

2

節で紹介 している山 西省 太原市石炭ガス会社事件 と江蘇郵州市郵電

局事件を参照 されたい。

(6)

4

節 規制の形態 と必要性

制定 ・公布 された行政独 占の規制法親 は

1980

年か らの約

30

年 間だけで も

30

件 以上 あ る

14)

。 それ らの法規形態 は,①全 国人民代表大 会常務委員会で可決 ・ 制定 された反不正当競争法 をは じめ とす る法律 のほか に,② 国務院か ら発令 さ れた政令や③ 各級の管理部 門 ・委員会か ら交付 された規則 に分類す ることがで

きる

しか し,行政独 占の規制 にあたって,政令や規則 ( 上記② と③) では行政独 占を有効 に規制で きず,逆 に一部の地域 において行政独 占の問題が深刻化 し競 争 の秩序 に大 きな支障 を もた らしてい る。 その重要 な原因は,行政独 占は単 な る行政権力 による市場へ の過度介入の問題 だけではな く,その背景 に行政権力 を濫用す る官僚腐敗 の問題が絡 んでい るか らであ る。実際,官僚腐敗の蔓延が 中央政府 の禁止政令 に もかかわ らず,治 まることな く既 に共産党の政治統治の 安定 を脅かす深刻 な社会問題 となっている。そのため,行政独 占の規制強化 を 介 して官僚 の腐敗蔓延 を抑 止 しようとす るの も中央政府 の狙 いだ と考 え られ る

15)

。 この ような状況 の中で,遂 に

2008

8

1

日に反墾断法が施行 された。

前節で述べ た ように,反撃断法で規制 されてい る行為類型 は①強制購 入,② 地域 間における商品流通の制限,③入札 の排 除,( む新規参入の妨害,⑤違法行 為 の実施 の強制及び⑥競争排 除的な行政規則の制定の

6

種類 となってお り,過 制 す る違法行為類型 の範 囲 を大 幅 に拡大 したのであ る。 とい うの は,後述す る

16)

ように,反墾断法が制定 され るまで反不正当競争法が行政独 占を規制す る中心的役割 を果た して きたが,同法が基本的に規制 してい る ものは上記①強 制購入 と②流通の制 限だけであ り,拡大解釈 して も上記④ を含む

3

種類 のみだ

14)1980

年か らの

20

何年間に制定 ・公布された行政独占を規制する法規だけでも

20

以上 もある。例えば,鄭鵬程 『 行政墾断的法律控制研究

』(2002

,北京大学州版社)

165‑174

頁を参照されたい。

15)

過勇 ・胡鞍鋼 「 行政墾断,尋租与腐敗 一 転型経済的腐敗機理分析」 『 経済社会体 制比較

』02

期 ( 中共中央編訳局当代馬克思主義研究所

,2003)

,彰興庭 「 倣為一 種腐敗的 『 行政墾断

」 『 光明 日報』 ( 光明 日報社,2

006/1/26)新聞記事を参照

されたい。

16)

2

章第

1

節の( 1 )「 政府及び所属部門による行政独占」を参照されたい。

(7)

か らであ る

ところが,施行か らこれ までの

2

年 間,行政独 占に対す る訴訟が 中国各地で 提起 されているに もかかわ らず,実際 に処理 された事件 は一つ もなか った。そ の主な理 由は

2

点あ りと言 われている。 1 点 目は反聾断法が制定 されてか らま だ間 もな く,行政独 占規制 の通用 を始めるのに時期 尚早 (しか しなが ら,制定 か ら既 に 3年 間,施行か ら既 に 2年 間を経 ってい る)である とい う意見, 2点 目は後述す るように,反墾 断法 の執行が共 同執行 の体制 を執 ってお り,行政独 占の規制 にあたって工商行政管理局が他 の部門 との調整す る必要のある場合が あ るので, これは反墾断法発動 の抵抗力 となっているとい う意見。

その一方で反不正 当競争法 は従来の ように行政独 占事件 を処理 してお り,実 際 において反聾断法が制定 されたに もかか わ らず,行政独 占規制の中心 的な役 割 を果た している。 これは,工商行政管理局 による法の独立執行体制 と長年の 運用経験 の蓄積が運用の強化 に繋が ったか らだ と考 え られる

また,反撃断法の制走時か ら反不正 当競争法 における行政独 占の規定 を削除 す るか しないか について議論が行 われて きてお り, 様 々な憶測 を呼 んでいたが, 最近の報道 によると反不正 当競争法改正案 の大枠 が既 にほぼ確定 してお り,行 政独 占の親制規定が保留 されただけでな く,工商行政管理局の執行権 限 も強化 されてい るとい う

上述 した行政独 占の規制状況 及 び法改正 の動 きか らす る と,反聾 断法 が制 定 ・施行 された とはいえ,行政独 占の蔓延 に歯止 めをか けた とまでは, まだ言 い えない状況である。そのため,事実上,今 も行政独 占の規制 にあたって中心 的な役割 を担 ってい るのは,反不正当競争法 とい う法律 であ る

5

節 競争法 によ る行政独 占規制体制の確立の経緯 ( 1 ) 反不正当競争法制定時の状況

反不正 当競争法 を中心 とす る行政独 占の規制体制 は,確定す るまでの道が決

して平坦 な ものではなか った。立法 当時

(1993

年),行政独 占を反不正 当競争

法 に盛 り込むか どうか をめ ぐってほ,激 しい論争が繰 り広 げ られ,意見が二つ

(8)

に分かれていた。

(i)

反対論者の主張

反対論者 は以下の ような主張 を して規制すべ きではない ことを訴 えた。

① 行政独 占は政府部門による ものであるので,他 国の不正競争防止法 で規制 されている行為主体 とは一致 しない。他 国の不正競争 防止法の規制す る行為 主体 は事業者であ って政府ではない1 7 ) 。

② 以権経商 ( 権力 を以 って商売す る意味)地 区封鎖 ( 行政権 を使 って管轄 し ている地域 の市場 を封鎖す ることを指す)等の行政独 占が確か に存在す るけ れ ど,それは経済体制の移行期 にあ る産物であ る。 しか も地 区封鎖の原因は 複雑であ り,一概 に規制すべ きではない

18)。

③ 以権経商 と地 区封鎖の禁止 について,国務院が既 に1

980

年の国務院の社会 主義競争の展 開 と保護 に関す る暫定規定,1

982

年の工業品の仕入れ と販売時 の封鎖禁止 に関す る通知,1

990

年の地域 間市場封鎖 を打破 し更 に市場流通 を 活性化 させ る通知,1

992

年の全民所有制工業事業者の経営機制転換条例等の 政 令 に規 定 を置 い て い るの で, 反不 正 当競 争 法 に も規 定 を置 く必要 は無

19)0

④ 行政独 占の禁止規定 を反不正当競争法 に盛 り込む と,同法の執行難度 を増 大 させ るだけであ る。 また,執行機 関が行政機 関であ るか ぎり,真剣 に他 の 行政機 関の違法行為 を規制す ることは現実的ではない

20)0

( i i ) 擁護論者の主張

これに対 し,擁護論者の主張 は以下 の とお りである。

( 丑 以権経商 と地 区封鎖 に関す る行政独 占の問題が一般大衆や事業者か ら最 も

17)保坂峰 『

競争法実例教程

』 (

旦大学州版社,2

005)358

頁を参照されたい。

18)同前参照。

19)同前参照。

20)同前参照。

(9)

非難 されるものであるか らこそ,禁止規定を反不正当競争法 に盛 り込 まなけ ればな らない。「 以権経商」と 「 地 区封鎖」こそが,最大の不公正競争であ り, その禁止規定を盛 り込 まない と反不正当競争法 を制定する意味がない

21)

② 電力会社,ガス会社及び電話局等の公的独 占事業者が消費者 に対 し指定の 電気設備,湯沸か し器や電話機等の購入を強制 した り,管理部門が消費者 に 対 し指定の安全 ドアや シー トベル ト等の購入を強制 した りすることは しば し ば起 こる。 このような行為 を規制 しない と,公平な競争や社会主義市場の建 設がで きな くなる

22)

規制擁護論 を勢い付かせたのは

, 1992

10

月に開かれた第十四期 人民代表大 会 における江沢民前国家主席の 「 業界 と地域の分割 ・封鎖 ・独 占を取 り除かな ければな らない。公平な競争 を促進 ・保護することによ り,市場 における資源 配置の基礎的役割 を十分 に発揮 させ る」とい う宣言であった

23)

。これを受 け, 全国人民代表大会常務委員会議では初めての反不正当競争法草案審議が行われ た。会議では

20

名近 くの委員が規制の必要性 について意見を述べた。こうして, ようや く以権経商 と地区封鎖 を禁止す る行政独 占の規制条文 ( 第

7

条)が反不 正当競争法 に盛 り込 まれたのである。 また,行政権限を持つ事業者,いわば行 政企業

24)

の違法行為 について も,禁止条文 ( 第

6

条)が置かれている

(2)

反塗断法制定時の状況

ところで,反不正当競争法 と言 って も,その規制内容 は

90

年代立法当時の状 況 に基づ き制定 された ものであるため,変化 しつつある行政独 占の態様 に対応 しきれない ところがある。そのため,全面的に行政独 占を規制で きる法律の制 定 を要請する声が ます ます高 ま り,遂 に

2008

8

1

日に反墾断法が施行 され

21) 同前参照。

22)同前参照。

23)

江沢民 「 加快改革開放和現代化建設歩伐,奪取有中国特色社会主義事業的更大勝

」『 人民 日報』 ( 人民日報社,1

992/10/12)

24)

陳彦麓 「 我国転軌時期的行政室断何題分析

『 恰ホ浜商業大学学報 ( 社会科学版) 』

2004

年第

2

期 ( 恰 ホ 浜商業大学

,2004)82

頁。

(10)

た。 この反撃断法の制定 にあた って もまた,行政独 占の規制 をめ ぐって,中央 政府や立法府や学界のみでな く,市民社会 まで も巻 き込 んだ十数年以上 に も及 ぶかつて ない激 しい対立 と論戦 を巻 き起 こ したのであ る

25)

。 この 間,行政独 占を禁止す る条文が削除 された場面 さえあった

26)。

(i)

反対論者の主張

反対論者の主張 は以下の とお りであ る

① 行政 的独 占 と経済的独 占

2

7 )の主体 ・実施手段 ・目的 ・成 因等 はそれぞれ 同 じではない。 しか も,反墾断法の規制対象は競争 関係であるのに対 し,行 政独 占を規制す る法律 の規制対象 は行政 関係 である。異質の社会関係 を一つ の法律 の中にまとめて規制す るのは常識 に反す る。反墾断法の発展 史か ら見 て も反聾断法 は行政独 占を規制で きない。 アメリカや ドイツや 日本等諸発達 国の反聖断法は,何 れ も経済力の独 占をきっかけに制定 された ものである

28)。

② 反墾 断法の執行機関が行政機関であれば,行政独 占を規制す ることがで き ない。行政機関の間に強い関係性 と共通 した利益が存在す るため,行政独 占 規制の空文化 を もた らしかねない。特 に中国の競争法執行機関は独立性がな

く,他 の行政機関の制約 を受 けやすい

29)

0

③ 行政独 占と経済独 占の最大 の違いは,行政独 占は国家名義で実施 されてい る国家行為であるため,た とえ市場 において絶対的独 占地位 を占める事業者 で も対抗 で きない ことである。経済独 占は市場競争の産物 であるのに対 し,

25)

この部分の論述は中国清華大学法学院を訪れる際に,王保樹教授の紹介に基づい て整理 したものである。

26)

立法の経緯を紹介する記事として,時建中 「 反墾断立法中的幾次 " 減法

"

」『 新京 報』 ( 新京報社

,2007/8/30)

等がある。

27)

ここでは,独占禁止法によって禁止されている市場力及び優越的地位等の濫用に よる公正競争の阻害行為等を指す。

28)

徐偉 ・劉林

『 反墾断法』縁何反不了行政墾断」『 贋西政法管理幹部学報』第

19

巻 第

5

期 ( 贋西政法管理幹部学院

,2004)

29)

鄭牧民 「 反行政墾断惇論及其解消」吉林省行政学院編集部 『 行政与法

』2004

年第

5

期 ( 吉林省行政学院

,2004/5)

(11)

行政独 占は伝統的計画経済体制の残留物 であ り,国家権力 に係 わるあ らゆる 領域 に浸透す る。行政独 占は一種 の独 占とい うよ りもむ しろ複雑 な体制 問題, イデオロギー及び行政の価値観の問題だ と言 えよう。行政独 占と経済独 占は 性 質が まった く異 なるため,別 々の方法 で解決 しなければな らない

30)

(ii)

賛成論者の主張

これに対す る賛成論者の主張 は以下 の とお りである。

① 反墾 断法が行政独 占を規制 で きない等 の論調 は近時の ものであ り,情勢の 風向 きを見て行動す る者 らの言い訳 にす ぎない。反撃断法 で も行政独 占を規 制で きなければ, ほか に規制 で きそ うな法律 はあるのか。行政機 関が行政独 占の規制 を担当で きない,或 いは散在 している行政独 占の規制規定 を一つの 反聾断法 にまとめ ることがで きない とい う意見 は反墾断法 による行政独 占規 制の反対理 由にはな らない。執行機 関は,行政機関であれ司法機 関であれ, 法 に基づいて厳格 かつ柔軟 に執行す ることこそが重要であ る。反不正 当競争 法では,執行機関である工商行政管理局 には,行政独 占を行 った行政部門を 直接処理す る権 限 を与 え られなか った。 これは一部の立法者が故意 に残 して おいた抜 け穴であ る。 なお,工商行政管理局は,実務執行 においで も独立性 がな く他 の行政機 関の影響 を受 けかねない。 この ような執行力の問題 を解決 しないか ぎり,いかなる法律 で も行政独 占を規制で きな くなる。行政独 占が 市場 の独 占を招 く性格 を持つか ぎり,それを禁止す る規定 を反墾断法 に盛 り 込むべ きであ る。行政独 占の規制 と違法 な市場独 占の規制 を平行 に執行す る ことによ り,相乗効果が得 られる。 中国共産党 にはで きない ことがない。世 界最大 を誇 る三峡 ダムまで も作 れるほ どの決心 さえあれば,行政独 占を規制 で きない ことはない

3

1 ) 。

30)

昏克鵬 「 行政独占不応由 『 反墾断法』規制」 『 山西師大学報 ( 社会科学版) 』第

28

巻第

2

期 ( 山西師範大学

,200

1

)

3

1 )この部分の論述は中国清華大学法学院を訪れた際に,王保樹教授のご説明に基づ

いて整理 したものである。

(12)

② 反墾 断法 が どれだけ行政独 占を規制 で きるか は,その執行機 関の独 立性 及 び執行力 によって決 まる。 日本の公正取 引委員会の よ うな高度 な独立性 が望 ま しい

32)

③ 反聾 断法 はあ らゆる形 の競争制 限行為 を規制 す る法律 であ る。違法行為 の 主体 を経済事業者 に拘泥 す る必要 はない。行政権力 であれ市場経 済力 であれ, 競争 を制 限す る以上 は,反撃 断法 の規制対象 となる。 そ して, ロ シア ・ハ ン ガ リー ・ブル ガ リア等 の国で は反墾 断法 に よる行政独 占の規制体制が既 にで きてい る3 3 ) 。

④ 中国では,行政権力が しば しば市場競争 に介 入す る。市場経済力 の濫用だ けを規制す る法律 は中国市場 におけ る独特 の独 占問題 を解 決で きない。相互 規制 こそが, 中国 にお け る違法 な独 占を根 治す る方法 であ る

34)0

⑤ 反不正 当競争法 ,価格法 そ して入札法等 に も行政独 占を禁止す る条文が置 かれてい る。 しか しなが ら,条文が各法 に散在 してい るこ とや執行機 関が統 一 しない ことでその実効性 が薄れ る。 そ こで,散在 してい る行政独 占の禁止 規定 をひ とつの反墾 断法 にま とめ る必要 があ る

35)

⑥ 行政 的独 占であれ経済 的独 占であれ,対市場 効果 において共通 してい る

何 れ も優越 的 な地位又 は力 を濫用 した り,新規参入 を妨害 した り,競争 を制 限 した りす る違法行為 であ る。反聾 断法 に よる規制 の方式 には何 の不適切 も ない。 反聾 断法 は早期 に制定すべ きであ る

36)0

32)

この部分の論述は中国北京大学法学院を訪れる際に,盛傑民教授の紹介に基づい て整理 したものである。 また,盛教授の賛成意見について 「 規制行政性限制競争 行為是中国 『 反墾断法』的必然使命」工商行政管理編集部 『 工商行政管理

』2001

年第

9

期 ( 国家工商行政管理総局

,200

1 ) も参照 されたい。

33)

王保樹 「 論反墾断法対行政墾断的規制」 『 中国社会科学院研究生学院学報』第

5

期 ( 中国社会科学院研究生学院

,1998/9)

34) 高毅 ・楊永

森 「

『 反墾断法』規制行政独占的幾点思考」 『 社科縦横』第

21

巻第 4 期 ( 社科縦横雑誌社

,2006)

35)

常建坤 ・秦興俊 「 打破行政墾断的対策研究」 『 経済問題

』200

1 年第

8

期 ( 山西省 社会科学院

,2001)32

頁。

36)

唐宴 「 論行政墾断的双重規制」 『 市場週刊 ・財経論壇

』2003

年第

12

期 ( 市場週刊

雑誌社

,2003)86

頁。

(13)

こうして,十数年以上の長い立法過程 を経て反墾断法は遂 に2007 年 8月30日 に制定,2008年 8月 1日に施行 された。 これによ り,中国では行政独 占に対す る二本立て ( 反不正当競争法 と反聖断法)の競争法規制体系が確立で きた。た だ し,反聾断法 による行政独 占規制の実績が まだないことは既 に述べた とお り である

2

章 反不 正 当競争法 によ る行政独 占の規 制 第

1

節 規制構造 と規制機関

( 1 ) 政府及び所属部門による行政独 占

反不正当競争法の第

7

条では政府及び所属部門による行政独 占の禁止規定が 置かれている。第

7

条は次のように規定 している

「 政府及びその所属部門は行政権力を濫用 して,他人に指令 し自己の指定する 事業者の商品を購入 させ, その他の事業者の正当な事業経営活動を制限 しては ならない。政府及び その所属部門は行政権力を濫用 して, その他の地方市場 か ら本地域市場への商品流入を制限 し,又は本地域市場 からその他の地方市場へ の商品流 出を制限 してはな らない。 」

7

条の構成要件 を次の ように説明で きる

7

条の禁止対象 ‑行為主体 ( 行政機関)+行政権力の濫用 +競争制限行為 ( ①強制購入 と②地域 間における商品流通の制限)

細分 した構成要件か ら解 るように,行為主体は政府等の行政機関に特定 され

てお り,行政独 占の中核 を成すのは行政権力の濫用である。 なぜな らば,行政

権力 を行使 しなければ競争制限行為 を実施で きない し,他方で行政権力の濫用

を伴わない独 占は単 なる経済的独 占である。行政独 占と呼ばれるのは,行政権

力の濫用 による独 占だか らである。 なお,前章

37)

に も述べた ように第

7

条の

(14)

禁止する違法行為類型は①強制購入 と②地域 間における商品流通の制限のみで ある

行政権力の濫用 による公的独 占は,私的独 占よ りも市場 に及ぼす弊害が大 き く,政府のイメージまで も傷つけるものである。 もしも政府やその所属部門が 握 っている行政権力 を濫用 して 「 以権経商」,「 市場封鎖」 を行 うと,社会主義 市場経済体制の建設 に支障をもた らすだけでな く,社会腐敗の最大の温床 とも なるであろう

7

条の禁止規定 に違反 した政府及びその所属部門の法的責任 については, 第30条で規定 されている。第30条の規定内容は次の とお りである

「 政府及びその所属部門が第

7

条の規定 に違反 して他人に指令 し指定する事業 者の商品を強制購入 させ, その他の事業者の正当な経営活動 を制限 し,又は商 品の地域間における正常な流通 を制限する場合,上級機関は是正を命 じる。状 況が深刻 な場合,同級又は上級機関は,直接に責任 を負 う者 に対 して行政処分 を行 う。指定 された事業者が被指定 に乗 じ晶質が劣 りなが ら価格が高い商品を 販売 し,又は費用をみだりに徴収 した場合,監督検査部門は違法所得を没収す るほか,情状に応 じて違法所得の 1倍以上 3倍以下の過料 に処することができ る。 」

条文か ら解 るように,第30条 による措置 として,①上級機関による政府及び 所属部門に対する是正命令,②責任者 に対する行政処分,③ 品質が劣 りなが ら 価格の高い商品を販売 した事業者 に対する違法所得の没収及び④過料がある。

(2)

行政企業による行政独 占

事業者であ りなが らも業界を管理す る行政権限を持ち,即 ち選手 をや ってい

37)

1

章第

4

節 「 規制の形態と必要性」を参照されたい。

(15)

なが ら審判員 もや っているような行政企業 ( 公用企業

38)

又 は法 によ り独 占的 地位 を有 してい る事業者) が未だ に数多 く存 在す る

39)

。 この ような二重性格 を有す る行政企業 による行政独 占 も存 在す る。そのため,反不正当競争法では 行政企業 の競争制限の行為 に対す る禁止規定が置かれている。それは第

6

条及 び法的責任 を規定す る第23 条である

6

「 公用企業又は法 によ り独 占的地位 を有 している事業者 は,他人に指令 しその 指定 する事業者の商品を購入 させてその他 の事業者の公平 な競争活動 を排除 し てはな らない。 」

23

「 公用企業又は法 によ り独 占的地位 を有 している事業者 は他 人に指令 しその指 定 する事業者の商品 を購入 させてその他の事業者の公平 な競争活動 を排除する 場合,省級又は区を設 けている市の監督検査部門は違法行為 の停止 を命 ずるは か,情状 によ り 5 万元以上 2 0 万元以下の過料 に処 することができる。指定 され た事業者 は被指定 に乗 じ晶質が劣 りなが ら価格 が高い商品を販売 し,又は費用 をみだ りに徴収 した場合,監督検査部門は違法所得 を没収 す るはか,情状 によ り違法所得の 1倍以上 3倍以下の過料 に処 することがで きる。 」

条文か ら解 るように,第

6

条の構成要件 は次の ようになっている

第 6 条の禁止対象‑行為主体 ( 行政企業)十競争制限行為 ( 強制購入) 第

6

条の構成要件 は第

7

条 とは大 き く異 なっている。行為主体 は行政企業 に 特 定 されてお り,禁制す る競争制限行為 は強制購 入だけであ り,更 に行政権力

38)

公用企業の独占的地位濫用について,川島富士雄 「 中国独占禁止法の執行体制と 施行状況

」 (2008年10月

1 0日,公正取引委員会競争政策研究センター第

12

回公開 セ ミナー)の報告を参照されたい。

39)

程衛束 ・李靖璽 『 中国競争法立法探要』 ( 社会科学文献州版社

,2006)70

頁。

(16)

の濫用 とい う要件 も不要である。その理由は恐 らく行政企業が事業者色 を帯び ているか らであろう。そのためか,第

6

条に違反 した行政企業 に対 して第

7

条 違反の場合のような上級機関による行政処分の措置が置かれず,その代 わ りに 過料 とい う制裁措置が置かれている ( 第23条前半)。 また,行政企業 に指定 さ れた事業者が被指定 に乗 じ品質が劣 りなが ら価格が高い商品を販売 し,叉は費 用 をみだ りに徴収 した場合の制裁措置 ( 第23条後半)は違法所得の没収 と過料 であ り,行政機関に指定 された事業者が被指定に乗 じ品質が劣 りなが ら価格が 高い商品を販売 した りする場合の制裁措置 ( 第

7

条後半)とほぼ同 じである ( 第 3 0条後半)。

ところで, ここで注意す る必要があるのは,第

6

条は行政企業 による行政独 占を規制する条文であるとともに,通常の公用企業等 による競争制限行為 を規 制する条文で もある。それは,( 訂行政企業 による独 占は行政独 占に該当する場 合があれば,単 に経済的独 占である場合 もある

40)

,②現在 は,各地の鉄道局 の ように今で も旅客運送事業者であ りなが ら行政管理者である行政企業がある 一方,体制改革によって計画経済時代 の行政企業か ら市場経済時代 の純粋 なる 事業者 に変身 した企業 もあるか らである。

( 3) 執行機関

反不正当競争法の執行機関は工商行政管理局である。 日本の公正取引委員会 と同様 に行政機関である。一方,国家組織法上 において国務院 ( 内閣府) に所 属する一局に過 ぎず, 日本の公正取引委員会のような内閣総理大臣の所轄 に属 し内閣府の外局 とい う位置づけではない。そのため,公正取引委員会ほどの独 立性 はない。

執行機関の組織 は, トップ レベルの指揮機関 とされる国家工商行政管理総局 と,各省及び市等 ごとに設置 されている地方 レベルの工商行政管理局か らなっ

40) 国家工商行政管理局の報道資料 「 論我国対行政独占的規制 ( 上) 」 ( 2005/5/1 3)

を参照されたい ( ホームページで公表されている) 。

(17)

ている。そ して,前掲行政企業の行政独 占 ( 第

6

条)の場合 には,基本的には 地方 レベ ルの工商行政管理局は直接 に取 り締 まる権限を有す る ( 第

23

条)

しか し,その一方で最 も深刻 とされている行政機関による行政独 占 ( 第

7

条) に対 しては,地方 レベルの工商行政管理局は直接 に取 り締 まる権限を有 しない 等,反不正当競争法の執行 にあたって種 々の制約 を受けるため,実務執行 にお いて無力感を免れがたい。第30条の規定によると,行政独 占を実施 した政府及 びその所属部門に対 し工商行政管理局は直接 に処分することがで きず,違法行 為の政府叉はその所属部門の上級機関を介 して間接的に処分 を行わせ るしかな い

41)

。例 えば,蘇州市住宅基金管理セ ンター及び中保蘇州支社事件

42)

は,蘇 州市政府の設立 した住宅基金業務 を管理する法定行政部門である住宅基金管理 セ ンターが管理権限を濫用 して住宅積立金の貸付条件 として中保蘇州支社の保 険に加入することを強制 した事件である。 この事件では,中保蘇州支社が事業 者であるため,蘇州市の工商行政管理局は第30条 に基づ き,同社 に対 し違法所 得の没収処分 を行 った。一方,蘇州市住宅基金管理セ ンターの権力濫用 は反不 正当競争法の第

7

条 に違反 しているが,同管理セ ンターが蘇州市政府 に所属す る行政部門であるので,第30条 に基づいて蘇州市工商行政管理局は同セ ンター の上級機関である蘇州市政府 を介 して同管理セ ンターに行政権限の濫用 を取 り やめさせ ることになっている。そこで,蘇州市工商行政管理局が蘇州市政府 に 第

7

条に違反する事実 を報告 し,同管理セ ンターに対す る是正命令 を求めたの である

この事件か ら解 るように,行政機関による行政独 占を規制する場合 において は,原則 として工商行政管理局は間接 的執行機関 となっている。 また, ここで 注意 されたいのは,第

7

条で言 う 「 上級機関」 とは,必ず しも一つではないこ とである。例 えば,ある市の衛生局の上級機関には,市政府だけでな く,その 市 を含める全省の衛生事業 を所管する省衛生局 もある。

4 1 )第3 0 条によると,政府及びその所属部門が第 7条の規定に違反した場合には

,

「 上 級機関により違法行為の是正を命 じる」 。

42)工商公字 1999

】 第

310号 (1999/ll/29)

(18)

更 に, 「 原則 として工商行政管理局 は間接 的執行機 関」 とい うのは,実際 に おいては例外 もあ るか らであ る。後述す る

43)

ように,実際 において事件 の重 大性 と緊急性 によって,地方の工商行政管理局が上級機関を介せず,直接 に行 政独 占に係 わる政府叉はその所属部門に対 して 「 是正勧 告」を行 うこともあ る

そ して, この是正勧 告 は実際,競争 回復の面 において上級機 関の是正命令 と近 い是正効果 を得 られ るだけでな く, 「 遠 回 り」 の是正命令 よ りも迅速 に行政権 力 の濫用 を中止 させ ることがで きる場合が多いのである。特 に, この是正勧告 が 中央政府又は国家工商行政管理総局の直接指示 を受 けて行 われた場合 は,実 際 に是正命令 を上 回る是正効果 を発揮 す ることがある。 反不正当競争法 第

30

条 において第

7

条 に違反す る行政機関に対す る処理権限が 「 上級機関」 に限定 さ れお り, 同 じく行政機関である ( 地方 の)工商行政管理局が第

7

条 に違反す る 他 の行政機 関 に対 し何 らかの措置 を行 う権 限 を規定 していないので, 「 是正勧 告」の ような柔軟性 のある法執行 を本稿 で 「 特例 的執行」 と呼ぶ。

2

節 運用の実態

これ まで反不正当競争法 で処理 された行政独 占の事例 は多数ある ( 但 し,当 然 の ように私 的事業者 による競争制 限事件 に比べ る と少 ない)。紙幅が限 られ ているので,各地で起 こってい る代表性 のある事例だけを幾つか紹介 してお く こととす る

( 1 ) 強制購入

そ か と

強制購 入 については,洛 陽市蘇家屯衛生 防疫端事件がある。

そかとん

藩陽市蘇家屯衛生 防疫砧事件4 4 )( 処分決定機 関 :洛 陽市工商行政管理局。執 行機関 :洛陽市工商行政管理局,蘇家屯区衛生局) は,①洛 陽市蘇家屯衛生局

43)

本章第

3

節の

(4)

「 行政独占を行った行政機関に対する特例的執行」 。

44)

孔祥俊 『 反墾断法原理

』 (200

1 ,中国法制州版社)

825

頁。保坂峰 『 競争法実例教

程』 (2005

,復旦大学出版社)

352

頁。楊述興 ・江坂中 『 中華人民共和国反墾断法

釈義与操作実務及執法案例分析全書』 ( 中国方正州版社

,2007)378

頁。

(19)

に所属す る防疫機構 である蘇家屯区衛生防疫端が,1994年 3月,上級機構の紹

りょうさ

介 によ り,洛陽 凌山 電子計器か ら自社製 「 電熱式気圧鍋」 と洛陽消毒設備の 製造す る 「 消毒箱」の代理販売 を依頼 され,双方協議の末,「 電熱式気圧鍋」

を1, 85 0 元で,「 消毒箱」 を890元で販売す ることに合意 した,②更 に蘇家屯区 衛生防疫砧 はその所属部門である食品衛生課 に対 し,飲食業者の 「 衛生許可書」

( 免許)の更新又は衛生検査 を行 う際 に前記 2 種類の製品を購入 させ ることを 条件 とし,購 入 しない業者 に対 し開業又は許可の更新 を行 わない 旨の指示 を 行 った,③事件の発覚 まで前記設備が

146

台販売 され,違法収入が

264,340

元 に達 した とい う事案である。洛陽市工商行政管理局は,「 蘇家屯衛生防疫音 占が 行政権力 を濫用 しその指定する事業者の設備 を強制的に購入 させ る行為 は,辛 業者の 自由選択権 と公平競争 を侵害 した もので,反不正当競争法第

7

条 に違反 す る」 と述べ,防疫砧の上級機関である蘇家屯区衛生局 に対 し競争制限行為 を 停止 させ ることを要請 した。

( 2) 地域間における商品流通の制限

りよ う ねいLよ う はんき んL

地域 間における商品流通の制限については, 遼 寧省 盤錦市専売事業管理部 門事件

45)

( 処分決定機関 :国務院,国家工商行政管理総局,元国家経済貿易委 員会。執行機関 :国家工商工商行政管理総局,元国家経済貿易委員会及び遼寧 省政府)がある。中国で多 くの都市は当該地域の ビール工場 を持つ。一部の有 名 なブラン ド品を除けば,消費者 は当該地域 の ビール しか飲 むことがで きない。

その他の地域の ビールを味わうために,わざわざその地方 に行かなければな ら ない。その原因はビール管理機関による地域市場 の商品流通制限にある

本件は,盤錦市の工商行政管理局か ら報告があったほか,中央テ レビ 「 焦点 訪談」 とい う全国向けの報道番組 にも大 きく報道 され,あっと言 う間に全国に 注視 される話題 となっていた事件である。当時,国務院が既 に地方市場 の封鎖

45 )国家工商行政管理総局 「『 反不正当競争法』実施十年重大典型案件」『 工商行政管

』2003

24

期 ( 中国工商州版社

,2004)

(20)

を禁止す るとして 「 地域 間市場封鎖 を打破,更 に市場流通 を活性化 させ る通知」

を発令 していることや この事件の悪影響が非常 に大 きい等の理由か ら,国務院 の直接の指示 に基づ き,中国工商行政管理総局 と旧中国経済貿易委員会は聯合 調査組 を組織 して事件の調査 に乗 り出 した。

本件の事実は以下のような ものであった。①遼寧省盤錦市専売事業管理局は 盤錦市卸売事業 を管理 し営業 を許可す る行政権 限を有す る行政管理機関であ る,②盤錦市の 「 遼河」等 をは じめ とするビールは同市の地元産 ビールである が

,2000

年か らの他市産 ビールが新規参入 したため,同市の ビール市場 では激 しい競争が始 まった,③

2001

年,遼寧省盤錦市専売事業管理局は管轄下 にある 1 = いわ

大津県をは じめ とす る県級専売事業管理局に対 し酒類販売の営業許可範囲を地 元の ビールに限定す ることを命 じた,( 重大注県をは じめ とす る県級専売事業管 理局は,命令 に応 じ地酒 ビール しか販売 しないことを条件 とする営業許可の発 行 と外来 ビールの販売禁止 を始めた,⑤そのため,経営環境 と営業許可がな く て も 「 遼河」等地酒 ビールのみ を取 り扱 うだけで卸売 りが許 された。

以上の事実 に対 して聯合調査組は,遼寧省盤錦市専売事業管理局及び大建県

をは じめ とする同市の各県級専売事業管理局が,地元産 ビールを保護す るため

に,慈意 に市場 に介入 し行政権力 を濫用 して外来 ビールの販売を排 除す ること

は反不正当競争法の第

7

条 と国務院による 「 地域 間市場封鎖 を打破,更 に市場

流通 を活性化 させ る通知」 に違反するとともに,許可 とい う荘厳な行政制度の

尊厳や信頼を著 しく傷つけ,深刻な悪影響 を もた らした として,盤錦市専売事

業管理局 に対 し外来 ビールを違法 に排 除する行為 を直ちに停止 させ る緊急の是

正勧告 を行 ったほか,遼寧省政府 に改善措置 を強 く要請 した。 これを受 けて遼

寧省政府 は 「 全省の経済市場の秩序 を全面的に調査 ・整頓 し,人民か ら付与 さ

れた権力 を濫用 し市場秩序 を乱す関係者の個人責任 について更に精査 した上 に

処分 を行 う」 と表明 した。

(21)

( 3) 他地域事業者の新規参入の妨害

あん きLようじょじょうけ

他地域事業者 の新規参入 の妨害 につ いては, 安徽 省静城県 政府事件

4

6 )( 処 分決定機 関 :国家工商行政管理総局,執行機関 :安徽省工商行政管理局)があ る。本件 は,静城県共産党委員会 ( 複文では 「 県委」 とい う) ・県政府 による 県外産化学肥料の販売禁止行為がマス コ ミに大い に報道 され, これ を受 けて国 家工商行政管理総 局が安徽 省工 商行政管理 局 に調査 と処理 を命 じた ものであ る。安徽 省工商行政管理局 は第

7

条の違反事実 を確認 し,国家工商行政管理総 局及び安徽省政府 に意見 を求めた後,救急 の是正勧告 を行 った。

本件 は,①

2001

4

月11日,安徽省静城県委 ・県政府 は地元化学肥料販売 に 関す る会議 を開 き,県外産化成肥料の販売 を排 除す るための 「 県内複合肥料経 営専題会議紀要」 を起草 した,② それ による と,県外 メー カーの化学肥料 につ いて静城県内で販売で きるのが尿素 と燐類化成肥料 に制限 され,炭 ・ア ミン類 の販売が禁止 されることになった,③安徽 省静城県委 ・県政府 は, 同年

4

13

,行政手段 を用いて強行 に安徽省合肥市化学肥料事業者の静城県 にあ る四つ の ダイ レク ト ・セールス営業所 の営業許可 を取 り消 し,営業許可書等営業書類 の副本 (コピー) を没収 した とい う事案である。

以上の事実 に対 し,安徽省工商行政管理局は 「 県内複合肥料経営専題会議紀 要」の内容 は行政権力 を濫用 して地方商品の参入 を制限す ることを禁止す る反 不正当競争法 第

7

条,国務 院の 「 関干禁止在市場経済活動 中実行地 区封鎖的規 定」及び 「 関干深化化肥流通体制改革的通知」 に違反す る ものであ り, 同 「 紀 要」の制定は行政手段 を利用 した地 区封鎖や地方保護の行為であると判断 した。

安徽省工商行政管理局は国家工商行政総局及び安徽省政府 の指示 に基づ き, 節減県共産党委員会 ・県政府 に対 して総局及び省政府の意見 を伝 え,直 ちに化 学肥料 に係 わる地元市場 の封鎖 の解 除 と今後市場封鎖 を してはな らない ことを 旨とす る緊急 の是正勧告 を行 った。

46) 国家工商行政管理総局 ・公平交易局 『 交渉行政管理実例精批 ( 公平交易執法巻) 』

( 中国工商州版社

,2003)213‑216

頁。

(22)

(4)

差別対価

さんせい Lようたいげん

L

差別対価 については

,

山 西省 大原市石炭 ガス会社事件4 7 )( 処分決定機 関 : 国家工商行政管理総局,処分執行機関 :山西省工商行政管理局)がある。山西 省大原市石炭 ガス会社 は,大原市のガス供給 ・保守等 ガスの経営業務全般 を営 みなが ら,ガス市場 の秩序等 を管理す る権 限を有する会社であった。事実認定 によると,①太原市石炭 ガス会社 は

199812

月に 「 大原市煤気熱水器管理方法」

(

「 大原市 ガス湯沸か し器管理規則

」)

を公布 した,②それによると, a)太原 市石炭 ガス会社が指定 した全種類の湯沸か し器 の総代理販売 は同社 が行 うこ と, b)他社及び個 人は湯沸か し器のメーカー と一切の取引は してはな らない こと

, C)

指定 された湯沸か し器 を他 のルー トを通 じて購入 した場合,取付工 事の際に

100

〜200

元の割増料金を徴収するほか,湯沸か し本体 に 『自購』( 「自 ら購入」の意味)の文字表示 を表記す るとともに,湯沸か し器の保守 を実施 し ないことが規定 されていた,③ こうして,同社 は指定す る販売先か ら購入 した 消費者 に対 し

550

元/台の設置料 を徴収する一方,その他のルー トを通 じ購入 し た消費者 に対 し

550

元の外 に

100

〜200

元の付加設置料 を徴 し

, 1999

1

月か

2000

2

月の間に

,217

戸か ら

32,000

元 を徴収 した。

山西省工商行政管理局は,大原市石炭 ガス会社が社会公衆 にガスを提供する 公用企業であ り,その独 占的地位 を濫用 して実施 した差別待遇や差別対価の行 為 は,他 の経営者の事業活動 とユーザーの選択 自主権 を著 しく侵害 し,反不正 当競争法第 6 条及び 「 関干禁止公用企業限制競争行為的若干規定」第 4 条の ( 7) に該当す るとして,反不正当競争法第

23

条に基づ き違法行為の停止 と命 じると ともに

,3.22

万元の違法所得 を没収 した。

( 5) 取引の 自主権 に対する内部干渉

こうそひし山

うし

取引の 自主権 に対す る内部干渉について,江蘇郵州市郵電局事件

4

8

)

( 処分決

47)

工 商公字

1999

】 第

190 (1999/7/27)

0

48)

工 商公字

1999

】 第

132 (1999/5/24)

(23)

じょL ゆうL

走機 関 :国家工商行政管理総局,執行機 関 :徐 州 市工商行政管理局)があ る。

本件 は,①江蘇省の郵州市電信 局が, 固定電話代 の支払 い方法 につ いて, 中国 工 商銀 行邸 州 市 支行 の発 行 す る牡丹 納 金 カー ドに よる使 用料 支払 方 式 を指 定 し,② これ に よ り ,1 99 8

4月か ら 8月の 間 に約 5, 000枚 の強制加 入 を行 って いた とい うものであ る。 これ に対 し,徐州市工商行政管理局 は,国家行政管理 総 局の処分意見 に基づ き,江蘇 省都州市電信 局が支払方法 を特 定銀行 の専用納 金 カー ドに指 定す る ことは,消 費者 の選択 自由を制 限 しただ けでな く, その他 の金融機 関の取引機 会 を奪 い公正競争 の市場秩序 を乱 した ものであ り,反不正 当競争法 の第 6条 に違反す るとして, 同法23条 に基づいて強制行為 の停止 を命 ず る とと もに5 0, 000元 の過料 に処 した

49)

3

行政独 占を規制 す る運 用上の特徴 ( 1 ) 広 範 な行政権 隈

まず,工商行政管理局 には,行政企業 に対 し過料 を科 す こ とがで きるほか, 違法所得 の没収 とい う制裁権 限 も付与 されてい る ( 反不正 当競争法 第23条 と第 30条)。次 に,反不正 当競争法 第 7条 に違 反す る政府 又 はその所属 す る部 門 に 是正勧 告 を, 第

6

条 に違反す る行政企業 に是正命令 を行 えるのみ な らず,第

7

条及 び第

6

条 に違反 して制 定 された規則等

50)

を違法 とす る こともで きる

51)0

49)一般の事業者が財務決算 を管理 しやす くするだけのために支払方法を指定する行

為 は必ず しも不合理でもない。そのため,本件については処理が厳 し過 ぎるとい う意見 もあ りうるであろう。工商行政官局が本件 を第

6

条 とした理由については 明確に記 されていないが,電信局が地域の固定電話事業を独 占的に行っているこ とや財務管理上の都合を考慮 していても指定カー ド以外にも選択肢 としての支払 い方法が多数ある等の事情があったと思われる。

5 0 )前述で紹介 した事例か ら,政府及び所属部門等による行政独 占の特徴が見えて く る。特徴の一つは普遍的拘束力を持つ行政規則の制定 ・施行,例えば安徽省静城 県政府事件において同県政府は 「 県内化成肥料経営問題議事録」 を起草 しそれを 根拠に違法な取締 りを行ったのである。実際には消費者に対 して も

‑‑‑・ 規則」

及び

‑‑‑・ 実施条例」等の形で行政独占を行 う場合が多いのである。

もう一つは営業 を許可するか どうか等行政処分権力の濫用である。例えば前記

安徽省野城県政府事件において,県政府が違法に県外化成肥料生産事業者のダイ

(24)

(2)

準 司法 的手続 によ らない事件 の処理 方式

事件 の調査 や処理 にあた って,いわば 日本の独 占禁止法 の執行 にお け る審判 制 度の よ うな準司法 的手続規定が置か れていないので,公正取引委員会 と比べ て,工商行政管理局 は準司法 的 な審判手続 を取 らない。 反不正 当競争法 の第三 章 で 「 監督検 査」 に関す る内容 が置か れてい る。 それ に よる と,工 商行政管理 局 は一方 的 に審査す るだけで,是正措置等 を行 うことが で きる。実 際の事例処 理 において もその とお りであ る

( 3) 対 市場効果 に関 す る判断

行政独 占の 「 独 占」 は行政権力 の行使 によって形成 された公 的独 占を指 し, その背景 に行政権力 による強制力が存 在す る。行政権 力 の行使 を伴 う市場 介入 は常 に 「 独 占的」対市場効果 を もた らすため,改 めて 「 競争 の実質 的制 限」 を 立証す る必要 が ない。 また,行政独 占事件 の市場 画定の作業 も,行政行為 の作 用対象か ら概 ね 「 独 占」範 囲 を割 り出す ことがで きるので私 的独 占の場 合 にお け る市場 画定作業 よ りも容易 であ る

前述 山西省太原市石炭 ガス会社 ガス事件 では, ガス業 界の経営者 であ る とと もに管理者 で もあ るガス会社 が沸か し器 の取 り付 けにあた って,湯沸か し器 の 購 入先 に よって差別 的料金 を設定す る行為 は消費者 の購 入選択肢 を制 限す る も の とされた。 この よ うな事 件 について, 日本の公正取引委員 会の場 合 は同ガス

レク ト・セールス営業所の営業許可を取 り消 した行為,また遼寧省盤錦市専売事 業管理部門事件において同市の専売事業管理局及び大建県をはじめとする各県級 専売事業管理局が地元 ビールを保護す るために酒類販売の営業許可範囲を地酒 ビールに限定 し,地元 ビールのみ販売することを営業許可の発行条件 とした行為 は,反不正当競争法第

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条に違反するとされた。

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1 )これ も反不正当競争法の執行におけるもう一つの特徴であろう。正に,松下教授

が指摘 しているように,この競争制限的な規則等 と反不正当競争法の優劣が問題

となる。「日本法のセ ンスで考えると,憲法は別格 として,それ以外の法律 と他

の法律 との関係は一般法 と特別法,前法 と後法等によって律せ られ,ある規則に

よって行政機関が行 う競争制限がそれ自体 として」禁止されるという事態は想定

しに くい」。松下満雄 「 中国独占禁止法草案の検討」『 国際商事法務」通号

517

( 国

際商事法務研究所 ,2005)882 頁。

参照

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