北東アジア地域の主役 を演 じる北海道 を 目指 して
〜北海道経済 と韓国 との連携 を模索する〜
小樽商科大学商学部商学科教授 李 済民
は じめに
北海道は、人口が少ない、大企業 もない、製造業が育 っていない と、無いものづ くLと い う問題 を抱えています。そのために東京ばか りみて仕事をせ ざるを得ない。当然、産業 政策や経済の仕組みも東京をみて作 ります。その結果、支店、支社経済 とな り、さらに補 助金など官需をあてにせ ざるを得ない。従 って、 よ く言われることですが、北海道経済は いつまで経 っても独 り立ちで きない脆弱な体質になっています。さらに、北海道は本州か
ら離れているので物流コス トがかか り、いろいろな面に高コス ト構造があ ります。
この様な東京一極主義か ら脱皮 して、世界 に通用する国際競争力を身につけることはで きないものか。そう考えると、「北東アジア」 というキーワー ドが出てきますO北東アジア 地域 という広い観点でものごとを考えて、そのなかで韓国 とい うパー トナー と当面は密な お付 き合いを してい くことが大事ではないか と私は考えています1。
韓国の基礎データ
韓国の面積は9万9,274平方キロメー トルで、日本の約1/4です。北海道よ りは少 し大 き い。人口は約4,800万人、日本の約1/3、その中でソウルは1,000万人を超えています。つ ま り韓国の人口の1/4がソウルに集中 しています。
経済規模は、GDPが4,617億 ドル (2000年)、 日本の約1/10です。‑人当た りGDPは 9,770ドル (2000年)で、 日本の約 1/4です。経済成長率は3.0% (2001年)ですが、最 新のデータではこれより若干良 くなっています。失業率は3.1% (2002年 4月)です。お
もな産業 としては、電子、 自動車、機械、造船、鉄鋼などで、 日本 とよく似ています。
歴史的発展
韓国は どのような産業発展を成 し遂げて きたのか。ひ とことで言 うと輸出を中心 とする 経済政策で成功 して きた ということです。つま り 「輸 出第一主義」で、少数企業へ資源 を 集中 して きた。韓国は 日本の植民地か ら独立 したのが1945年で、1950年か ら53年はいわ ゆる朝鮮動乱で、北 と南 に分かれて戦争があ りました。ですか ら、戦後の復興は 日本 よ り も7‑8年遅れて始ま りました。38度線あた りで北 と南に分断されま したが、もともと資源
や工業施設などが集積 されていたのは北朝鮮側で した。韓国側 にはそ ういう資源 も基盤 も ほ とんどなかった。あったのは農業地帯だけです。そ ういうところか ら韓国は経済を立て 直 して きました。
何 もない中で、 まず教育 に力を入れて、優秀な人材を育てて、少ない資源に集中的に投 資 して きしまた。仕組み としては、 日本か ら原材料やパーツを輸入 して、それを加工 して アメ リカに売る。これが韓国の発展 を支えてきました。少数企業 とは財閥 (Chaebol)のこ とですが、韓国の財閥 (Chaebol)も仕組み としては 日本の旧財閥に近いものです。この財 閥が1950年代後半か ら60年代 にかけて韓国経済の柱 として急速に成長を始めました。
ただ、当時 としてはそれほど力が強いものではな く、1972年の輸出は 10億 ドル程度の 規模で した。業種 も木材、合板、繊維な ど、いわゆる労働集約的な軽工業製品です。 これ に集中的に特化 して、お もにアメ リカに輸出することによって、経済発展 を遂げて きま し た。
どこを通 じて売 っていたか というと、当時はほ とんど日本の商社頼 りで した。この時期 は韓国に商社 もなかった。1975年になると、綜 (総)合商社指定制度がで きて、やっと自 前の商社 を通 じて世界に売ることができるようにな りましたC産業 も軽工業か ら鉄鋼、電 子などに移行 して きて、1977年には100億 ドル輸出を達成 し、80年代 になると韓国のプ
レゼンスは急速に高 くなってきました。
1985年には現代 自動車の輸出第一号製品ponyがカナダに輸出されました。その後、韓 国は 自動車や家電で世界 と競争がで きるようになってきま した。
さらにそれか ら10年後、1995‑96年頃は韓国経済に一つのピークが訪れた時期ですが、
念願だったOECD加盟が実現 したのが1996年暮れのことです。 ところがその翌年、1997 年 にアジアの金融危機が起 こって、韓国もこの影響を大 きく受けました。つ ま り、やっ と OECDに加盟 した翌年に、国の銀行が倒産 して しまうような事態に陥ったわけです。
そこでIMFか ら多額の借款を導入 して経済を立て直すことにな りま した。その時、IMF に約束 した したことの一つが、財閥縮小または解体です。これはIMFか ら強 く指示されま
した。韓国の財閥は、良 く言うと少ない資源を少数企業に集中させて世界に通用する巨大 企業を作 り上げて きたのですが、そうい う企業はあま りにも多 くの分野に手 を伸ば してい た。たとえば 自動車 も電子も建設 も、各財閥が同 じようにすべての業種 に進出 して、過 当 競争を していた状況があ りま した。そこで、各財閥は世界に通用する分野に特化 して無駄 な投資はやめたはうがいい とい うのがIMFの指示で した。たとえば、当時で きたばか りの サムソン (三塁) 自動車があ りま したが、サムソンは 自動車をやめなさい という声が強 く あって、サムソンはこの部門を現代に譲渡 しま した。そのかわ りサムソンは大字か ら電子 部門を買収 して、 さらにサムソン電子を強化 しました。
韓国の主要経済指標
97年以降、韓国経済は GDP成長率が一気にマイナスに転落 しますが、99年になると 10.9%に回復 します (図表 1)。韓国経済の立ち直 りは非常に早かったという点は 日本か ら みると羨 ましいことです.失業率も97年の2.60/.か ら98年は6.8%へ と一気に悪化 します が、2年後の2000年には4.1%、2001年には3.7%に回復 しています。同 じように輸出額、
輸入額 も1‑2年で元の水準に回復 しています。
図表1 韓国の主要経済指標 (単位 :%、100万米 ドル) 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 GDP成長率 6.8 5.0 ‑6.7 10.9 8.8 1.8 失業率 2.0 2.6 6.8 6.3 4.1 3,7 輸出額 129,715 136,164 132,313 143,686 172,268 150,653 輸入額 150,339 144,616 93,282 119,752 160,481 141,116 外貨準備高 33,201 20,369 51,975 73,987 96,131 102,753
97年の金融危機では韓国銀行が倒産 して、ドル建ての準備預貯金が足 りな くな りました。
当時、 日本のマスコ ミでいろいろな報道があった中で、特に私が記憶 していることは、 ド ル建て外貨の不足 を補 うために、たとえば各家庭であまっていた、あるいは使 っていない 貴金属 を銀行に預けて ください というニュースです。つま り銀行はそ ういう指輪などの貴 金属で不足する ドル建て外貨を補 うとい うことで した。それほ ど深刻な状況だったわけで すが、その結果 98年の外貨準備高は97年 よりはるかに高いもの とな りました。
韓国的経営の特徴
このように、韓国の経済は 日本を上回るスピー ドで70年代か ら80年代、急激に伸びて きま した。それが90年代後半になって一気にマイナスに転落 し、今はかな り回復 している 状況です。韓国経済の仕組みは 日本 とはどういう違いがあるのか、い くつかあげてみます。
◇血縁、地縁、学縁
まず、3つの縁、すなわち血縁、地縁、学縁が重要視されている。これは古 くか ら指摘さ れていることです。血縁は 日本もヨーロッパ もすべて同 じだ と思います。違 うのは地縁で す。韓国は三国時代か ら新羅 と百済の東 と西に分かれて、違 う文化が発展 し、お互いに敵 対関係 にあ りましたO戦後の急激な経済成長は朴大統領時代のことで した。 この朴大統領 は軍事クーデターで政権を握 り、18年間大統領の座 にあった人物です.この時代の弊害 と
して指摘されてきたのが地縁です。朴大続は東の釜山近 くの出身で、西の地域には不利な 経済政策をとって きました。たとえば、ソウルか ら釜山への高速道路は 4車線ですが、‑
方で光州へ行 く道路は狭い し、ほ とんど産業 も立地されなかった。財閥企業 もほ とん ど浦 項、蔚 山、釜山な どに集 中 しています。西側の地域は差別されているという被害意識 を持 っているO これは企業の中でも同 じように作用 してい ますOもう、一つは学縁ですO一流 大学を出ない と企業では出世で きない と言われてきま した。それ も上司の出身校 と同 じ高 校 または大学出が優遇 される仕組みです。
◇儒教、軍隊の影響
日本には兵役の義務はあ りませんが、韓国には約 3年の兵役義務があ ります。つま り、
ほぼすべての男子は軍隊経験 を持 っている。つ ま り、命令や秩序 に慣れています。さ らに 言うと、「やればで きる」 とか 「なせばなる」 という教育を受けて きている。これはおそ ら
く韓国企業の行動様式に影響 していると言われています。
その結果、韓国企業の特徴 としては積極性があ り、スピー ドがある。たとえば、韓国は ブロー ドバ ン ド普及率が世界一ですO何 もな くとも果敢 に挑む という精神は 日本 とかな り 違 う点だ と言えますOあるいはプレゼンがうまいOこの点はあとか ら述べたい と思いますC
韓国の主力産業
韓国の主力産業は 日本 とさほど変わ りませんが、その中で特 に半導体や液晶デ ィスプレ イな どの情報通信機器は最近 日本 にとって代わって世界一になっている分野です。その主 役はサムソン電子です。サムソン電子は半導体の世界市場 シェア 21.1%で第 1位 (DRAM の2000年)、2位はアメ リカで 18%程度です。情報通信機器でもサムソン電子は CDMA 方式の携帯電話を世界で最初に開発 しま した。ヨーロッパにも進出 していますが、ね らい は中国進出です。中国にはこれか ら発展する膨大な市場があ ります。
自動車ではまだ まだ 日本 に力があ りますが、最近は現代 自動車が 日本にも進出 して きし また。北海道にも現代の代理店があ ります。韓国の自動車産業は2000年の生産台数が311 万台です0第1位はアメ リカで、第2位が 日本の年間1014万台、続 く独、仏についで第5 位 となっています。日本に比べるとまだ1/3ですが、進出のスピー ドはものすごい。おちお ち していると日本市場 もかな り席巻 されるかも しれません。ただ、 これは逆のことも言え ます。最近は 日本車の韓国進出もかな り規制緩和 されてきま した。つ ま り日本 と韓国では お互いに自動車産業が交差 してい く可能性 もあると考え られます。
北東アジアの経済発展 と日韓協力の重要性
北海道経済の活性化を考える際、私は 「北東アジア地域」がいちばん重要なキーワー ド だ と考えています。北東アジア地域はどこを指すのか というと、狭い定義ではサハ リンを 含む極東ロシア、中国東北 3省、韓国 ・北朝鮮、 日本です。 日本でも環 日本海経済圏とい う言葉が新潟あた りで盛んに提唱されていますが、それ と同 じです。ちなみに環 日本海 と い う言葉は韓国や中国ではタブーです。なぜ 日本海なのか と。中国や韓国か らすると、東
側 にある海だか ら日本海ではな く東海です。
いずれにせ よ、 この地域 には今サハ リンで開発されている膨大な石油 ・天然ガス資源が ある。中国、北朝鮮には低廉で豊富な労働力がある。 これ と日本 と韓国の資本、技術 をう ま く組み合わせると、世界地図で見ると狭いこの地域の中に、経済成長をするための要素 がすべて揃 っている。こういう地域は世界地図を見渡 してもそう多 くあ りません。問題は 経済発展するための協力の仕組みが、経済 とは別の要因によってで きな くなっていること です。
もう一つの北東アジア地域の定義は、広義の定義ですが、中国本土、香港、台湾、モ ン ゴルなどを含むものです。やは り中国本土を含めて議論 したほ うが巨大マーケ ッ トを含め て、いろいろなメ リッ トがあるとい う考え方です。メ リッ トの一つ として NET (Natural EconomicTerritory)という概念があ ります。これは国境や政治的な違いを越えて、経済は
自然に協力 しあうようになると。た とえば、中国の広東省では香港や台湾 とのビジネスが 密 に行われています。これは国境や民族や政治的な違い とは関係な く、放 っておいて も経 済は発展 してい くものだ と。はかにも、マレーシアのジョホール ・バルの例 があ りますO ここはマ レーシア とシンガポールの国境地帯にあって、イン ドネシアの労働力が補給 され る地域です。こういう地域では政治 とは別に経済の論理だけが優先されて、経済協力が進 んでいきますQ広義の北東アジア地域は、中国本土を含めるとこのようなNaturalEconomic Temi toryになるとい うのが議論のポイン トです。
北東アジア協力のバ リア
北東アジアは経済的にみるとメ リッ トがた くさんある地域ですが、それを妨げるさまざ まなバ リアも存在 しています。た とえば領土問題に代表される歴史的あるいは政治的な立 場の違い等。サハ リンと日本の経済交流 を考える際も常に問題 となるのが北方領土です。
これは韓国 と日本 とのあいだでも、韓国で独島、 日本で竹島という島の帰属がまだ解決 さ れていません。中国、台湾 とのあいだでも同 じような問題があ ります0
さ らに大 きな問題は安保問題です。国際的な協力、ネ ッ トワークが強 くなるにつれて、
世界の唯一の リーダーであるアメ リカが北東アジアの うま味か ら外れている。政治的には 彼 らのうま味をこの地域 にどうやって盛 り込むかが重要です。アメ リカ としては、 この地 域の経済統合は別なかたちで、たとえばAPECとかASEANなどで、アメ リカやオース ト
ラリアをつな そ連合のほうがいい と主張 しています。
また、中国やロシアを考えると、日本 と比べて経済発展段階の格差はあまりにも大 きい。
サハ リンにビジネスチャンスがあるとしても日本式の ビジネスは通用 しません。インフラ もない し、法律 も人もどんどん替わるような状況で、 日本のビジネスマンが向こうで成功 するわけがない と言われ ます。その とお りだ と思います。今の段階では、 ロシアのサハ リ
ン地域 と日本が同 じ目線でビジネスをすることは難 しい と思います。
最大の問題は北朝鮮です。今はテポ ドンがいつ飛んで くるのか とい う話題で持ちき りで
すが、去年、小泉総理が訪朝 して金正 日と握手 して、両国の国交正常化が明 日にもできる ような報道があ りました。韓国で も北朝鮮に対する夢はまだまだ捨てていません。た とえ ば北 と鉄道 をつないで、 さらにシベ リア鉄道につな やことによ り、釜 山か らヨーロッパ ま で陸路で輸送で きるようになる。そうすると、今 までの輸送コス トは1/3になるとい う話が あ ります。あるいは、北朝鮮の特定地域 にある工業団地を韓国が中心 となって開発 しては どうか と。これはすでにある程度資本が投資されています。北朝鮮問題は政治的にどうな るのか予想 しに くいですが、ある意味では諸刃の剣のような面があ り、 うま く北朝鮮 をこ の地域の一員 として認め、彼 らにも役割を与えて経済協力を進める方法 も残 されていると 私は考えています。
しか しなが ら、経済以外の要素がた くさん残されているので、 この問題の解決には時間 がかかると思いますO従 って中長期的に考えると、 この地域の経済発展 を成 し遂げるため の最大のポイン トは、やは りまず 日本 と韓国が強力なパー トナー関係 を構築すること。 こ れに尽 きると思います。
日韓新時代とFTA
幸いなことに、1998年、韓国で初めて 日本の大衆文化が開放 されて、映画 「ラブレター」
が上演されて大 ヒッ トしました。韓国ではこの 「ラブレター」のおかげで、北海道は知 ら な くても小樽 を知 っている若者がた くさんいます。小樽か ら来 たとい うと羨 ましが られ ま すOただ、彼 らのイメー ジの半分は、北海道には熊 しかいな くて、人が住んでいるのは一 部の地域だけというもので、それは訂正 しなければと思っています。
さらに、2002年にはワール ドカップ ・サ ッカーが共催 されました。韓国 と日本 との関係 は今、戦前 ・戦後 すべての時期を通 して、 もっとも近い関係 になっていると思います。ま さに近 くて (地理的距離)、近い (心理的距離)国になっている。ただ、お互いがほんとう にどこまで知っているのか。経済的な手助けになっているのか。そう考えるとまだ十分で はない と思います。特 に北海道は韓国におけるプレゼ ンスが弱 くて、観光以外ではなかな か認識されていないのが現実です。
日韓FTA締結の可能性 とその影響 (その 1)
日本 と韓 国 とのあいだで 自由貿易協定 (PTA)を締結する必要があることを最初 に提唱 したのは実は 日本です。 これは 日本ではあま り議論されていませんが、 日本の大使が最初 に提案 したのは1997年のことです。この話 し合いは今 も進んでいますが、問題もかな り残 されています。 日本はこれまで二国間の 自由貿易協定 を結んだ経験がな くて、初めて締結 したのはシンガポール とのFTA(2002年4月か ら発効)ですoこれによって、日本か らシ ンガポールへの輸 出に関わる関税はすべて撤廃 され、 シンガポールか ら日本への輸入 も約 94%が関税率ゼロとな りました。
一方、韓国は同 じ時期 にチ リとFTA締結 (2002年2月署名)を していますOこの協定
が発効になれば、電気銅 を除いたすべての工業製品の関税が直ちに撤廃 され、農産物は初 年度に224品 目の関税が撤廃 されます。チ リは 自動車 ・携帯電話 ・コンピュータな ど韓国 か らの輸出品 目の66%にあたる2300品 目に対する関税 を撤廃することにな ります。
日本 と韓国のFTAはどのような内容にすべ きか、いろいろな角度か ら議論されています が、すでに両国が実際に取 り組んでいるFTAをみると、ある程度は推測できると思いますO
日韓FTA締結の可能性 とその影響 (その2)
まず、 日本側がいちばん心配 しているのは農産物です。一方、韓国側は製造業、特 に自 動車や半導体、情報通信機器などへの打撃を憂慮 しています。一部の企業は 日本を上回っ て世界 に通用するレベルになっているとはいえ、ほ とんどの製造業はやは り日本のほ うが 上 回っています。そうなると、特 に韓国の中小企業は一気にダメージを受けて、産業の基 盤がつぶれるおそれがあ ります。 この点は韓国のマスコ ミでも報道されています。
一方、中国と競争するためにはやは り日韓FTA締結が必要だという声もあ ります。 日本 と韓国がタッグを組 まない と中国にかなわな くなるとO中国における貿易のナ ンバーワン パー トナーは 日本です。逆にいうと日本にとっても中国はナ ンバーワンのパー トナーです。
これは韓国においても同様で、最大の輸 出相手国は中国です。中国について考えると、や は り日韓のFTAは必要ではないか。お互いに犠牲になる部分はあったとしても、やは り日 本 と韓国がタッグを組 まない と、 この地域の経済発展はすべて中国に取 られて しまうとい
う心配があ ります。
そこで現在、両国はFTA共同研究会を立ち上げて、問題 になっている農産物の非関税障 壁の解決策を模索 しています。
日本 と韓国との関わ り
現在 も日韓関係はお互いにとって非常に重要なパー トナーであ り、その重要性は益々増 えています。
現在、韓国に住んでいる日本人は 1万 7,613人、一方 日本に住んでいる韓国人は63万
6,000人、 この中には在 日朝鮮人も含 まれます (図表2)0
図表2 日本 と韓国 との関わ り
在留邦人数 1万7,613人 (2001年10月1日現在)
在 日韓国人数 63万6,000人 (2000年12月o在 日朝鮮人 も含む) 総貿易額 (2000年、韓国側統計) ①輸出 (韓国→ 日本)161.61億 ドル
②輸入 (日本→韓国)260.10億 ドル 進出企業数 425社 (2000年10月現在)
現地法人数 482社 (2000年10月現在)
総貿易額は、韓国から日本への輸出が161億 ドル、 日本か ら韓国への輸入は260億 ドル で、韓国側か らみると約 100億 ドルの輸入超過です。進出企業数は425社、現地法人数は 482社 となっています。
北海道 と韓国との貿易状況
そ ういう中で北海道のプレゼ ンスは先ほど述べたように関わ りが薄い。北海道か ら韓国 への輸出は2001年で 138億 円、 これは 日本全体の0.4%です。一方、輸入は380億 円で、
日本全体の 1.8%です。北海道は人口比か ら日本全体の4%経済 とか 5%経済だ とよくいわ れ ますが、それに してもこの数字は低い。主な輸出品 目としてはクラフ ト紙、鉄 くず、鉄 棒な ど、輸入は灯油 (6割程度)、軽油、鉄などです。 しか し、 これ らはお互いの産業構造 として得意分野ではない。かな りマイナーな部分だけで貿易が行われてお り、 しかも金額 が少ない とい う状況になっています。
北海道の代表的産業と韓国との連携
北東アジアの経済発展 を考える際、北海道が韓国とタッグを組む可能性はどういう分野 にあるのか。3つの分野を考えてみま した。
(1)観光
北海道の代表的な産業 として観光は重要です。観光を国際化 し、韓 国 とのアライア ンス を考えることがで きないのか とい う観点で、韓国か らのインバ ウン ド観光客をいかに増加 させるか というテーマで調査を したことがあ ります。
現在、海外か ら北海道を訪れる観光客全体の 6割が台湾です。次に香港 と韓国はほぼ同 じ割合で、そのあ とに中国が続 きます。 しか し、韓国か らの観光客は台湾 とは違います。
台湾観光客のピークは1月、2月の冬で、札幌であれば雪祭 りのころです。ところが、韓国 か らの観光客はこの時期 には来 ません。7月、8月がピークで冬は極端に減 ります。なぜか というと韓国の冬は寒い。ソウルの 1月の平均気温は小樽 よりも寒い。雪は多 くないけど 寒い。つま り、寒い ところか らあえてお金 を払 って寒い ところへ行 こうとは思いません。
そこで夏にゴルフ ・温泉パ ッケージがメインの商品 となっています。温泉は登別がブラン ドです。温泉な らどこでもいい というわけではな く、登別でない と満足 しない。
つま り、韓国か らの観光客はゴルフ ・温泉 ・グルメがワンセ ッ トになって、 これが北海 道 ということになっています。ただ、この年齢層は40代後半か ら50代が中心で、男性が 多い。オールエージとい う観点でみると若者が抜けています。韓国で北海道 に最 もあこが れている年齢層は若者です。彼 らは 「ラブレター」な ど北海道関連の映画を観て、北海道
に対 していいイメージを抱いています。
韓国に曹誠慕 (チ ョ ・ソンモ) という歌手がいます。彼のプロモーションビデオは冬の 小樽でロケを しています。雪の降る運河で撮影を して、数年前に韓国で大 ヒッ トしま した。
韓国の若者がカラオケで彼の歌 を唄うたびに、バ ックに小樽運河 と冬の雪景色が流れる。
これは強い。なぜか とい うと、詩があってメロデ ィーがあって風景が流れる。 どんなプロ モーションビデオよ りも効果があ りますO韓国の若者 にとって北海道の小樽は憧れの地で す。 ところがこの年齢層はゴルフ ・温泉パ ッケージか ら外れている。やは り、いろいろな 商品を開発 して、特 に若者にターゲ ッ トを絞った北海道観光を売 り込んでい く必要があ り ます。
北海道だけではな く九州 も含めて、 日本全体で韓国に対する観光の 目玉商品はゴル フ ・ 温泉 ・グルメです。しか し同 じゴルフ ・温泉 ・グルメな ら、北海道 より九州のほうが安い。
北海道は距離 も遠い しアクセスも不便です。北海道には大韓航空が週 5便、千歳一仁川間 を飛んでいますが、九州では3種類のアクセス方法があ ります。ヒア リング したところ、1 万円コース、2万円コース、3万円コース と言われています。すなわち、関釜 フェリーが1 万円コース、福岡か ら釜山までの海上を浮いて走 るビー トル という船が 2万円コース、飛 行機が3万円コースです。 しか し、仁川 一千歳間の正規運賃は10万円を超えます。割引で 買っても5‑6万円です。つまり、飛航空運賃は九州の2倍以上です。 しかも、今は韓国か らゴルフで海外へ行 くとなると、タイあた りは非常に人気があ りますが、3日間ゴルフをや り放題で 5万円台です。 ところが同 じようなツアーで北海道へ来 ると15万円かか ります。
登別に泊 まって 3日間ゴルフして、札幌 ・小樽で半 日観光をして帰る。 これは去年いちば ん人気だったツアーの価格です。ですか ら、プラスアルファがない と、 このゴルフ ・温泉 パ ッケージも競争できません。やは り、いろいろな観光商品を開発 してい くべ きです。 ま た、こち らか ら見せる観光ではな く、むこうが 「見たい」観光を開発することが重要です。
ひ とつエピソー ドを紹介すると、私の友人や知人がた くさん小樽へ遊びに来 ますO当然、
運河や北‑ガラスなど観光名所を一通 り歩 きますOその後、韓国で彼 らと再会 して 「どこ が良かったの?」と聞 くと、たまに想像 もしていなかった答えが返ってきます。た とえば、
札幌か ら小樽へ来 る途中の電車の窓か ら見た海の景色が素晴 らしかったと。私のように頻 繁 に利用 していると、海が見えただけで興奮することはあ りません。 しか し、北海道 を初 めて訪れる観光客はそういう意外な ところに感動を覚えるかも しれない。海の間近に線路 があって、そこを電車が走って、夏の風の強い ときはそこに波 しぶ きがかかる。これはよ
く考えるととても感動的なシー ンかもしれません。 しか し、残念なが らこれは観光商品に は入っていません。北海道にはこういうものがた くさんあると思います。小樽 といえば運 河、寿司、… と言われていますが、それだけではないということです。
もう一つは、若者にターゲ ッ トをお く場合のプロモーションです。韓国ではインターネ ッ トユーザーが非常に広がっていますO彼 らは毎 日のようにイ ンターネ ッ トを見 ますO彼 らにアピールするためには、やは りハ ングルで情報を流す必要があ ります。英語ではまず 見ません。 どうい う情報 を流すべ きか というと、たとえば、安い宿泊施設、スキーをする のであれば どうい うペンションがあるとか。こういう情報がハ ングルで発信で きると問い 合わせの頻度 も違って くるで しょう。
そ して、北海道 と韓国を結ぶアクセスの充実が必要です。現在、週 5便飛んでいる大韓 航空機は 270人乗 りですが、ほぼ満席の黒字路線です。これをさらに充実させて、で きれ ば複数エアラインで結ばれると、 さらに観光客 を誘致で きるようになると思います。その ほか、九州のようにフェ リーの就航 も考えるべ きです.私は北海道に韓国か らの観光客を 一気に増やすために最 も有効な手段はカーフェ リーの導入だ と思います。た とえば、北海 道の中だけは韓国の運転免許が使 えるようになったら、かな り大 きなインパ ク トがあると 思います。韓国は国土が狭いので観光地が限 られていて、どこへ行っても混雑 しています。
つ ま り、楽 しくドライブ して行けるところが少ない。オー トキャンプも含めて、いろいろ な北海道の素晴 らしい 自然環境を楽 しんでもらうことがで きた ら、 これは素晴 らしい商品 になると思います。
(2)lT産業
観光以外の分野ではIT産業があ ります。
札幌バ レー と韓国のITベ ンチャー集積地 とのアライアンスがで きないのか。これも2年 前 に経済産業局の委員会で調査 したことがあ ります。韓国にはテヘランバ レー、 または大 徳バ レーがあ ります。テヘランバ レーはソウルの江南 に位置 し、ネ ッ トビジネス展開の拠 点 として、固有のソ リューション提示を売 りにするマーケテ イング的ベ ンチャーの集積地 です。ソウルの江南はソウルを流れる漠江の南側にあるビジネス衝で、銀行や証券会社、
財閥系企業のオフィス街 として発展 している地域です097年に金融危機が起 きて、IMF体 制のもとで財閥が解体 された結果、多数の人が リス トラされま したo特に韓 国ではエ リー トといわれる財閥系企業で リス トラされた若い人達が、 ここに自然発生的に集まって雑居 ビルにオフィスを構えま した。 自分たちが持っていた情報や得意分野を生か してベ ンチャ ー企業 を立ち上げました。その多 くはIT関係で、ここはテヘランバ レー と命名されていま す。もともと財閥系企業で働いていたば りば りのビジネスマンですか ら、彼 らは固有のソ
リューションを持っています0
‑万、大徳バ レーは大田市に立地をお く技術系ベ ンチャーが集積 していますO大田はソ ウル と釜山の中間あた りに位置 しますOソウルか ら大 田を経 由 して釜 山へ行 く、あるいは 大 田を経 由 して光州へ行 く。ち ょうど東 と西に分かれる分岐点 にあ ります。古 くか らこの 大 田に第二のソウルをつ くろうという構想があ りました。なぜな らば、やは り北朝鮮の脅 威はまだ残 っています。ソウルはあま りにも北 に近い。何かあった らソウルは火の海 にな って しまうと。もっと南 に首都機能を移転 したはうがいい とい う議論があ りました。そ う い う観点か ら政府系研究機 関は大 田に移 されています。た とえば、電子情報通信研究院
(ETRI)、あるいは韓国科学技術研究院 (EAIST)などです。 日本の筑波 と似ている地域 ですoサムソン電子など民間研究所 も数多 く立地 していますO ここで も研究所 をやめた人 がベ ンチャー企業 を起 こ して、大徳バ レー といわれる地域に集積 しています。こち らはソ ウルのテヘランバ レー とは違って、技術的に優れたベ ンチャーが多数あ りますO
こういうベンチャー企業が札幌バ レーの企業 と連携できないか ということで調査を しま したO何ができるか というと、一つは日本市場向けのカスタマイズが考え られますo札幌 バ レーの企業 も実は札幌で ビジネスを しているわけではない。 日本全国、東京や大阪を相 手に仕事を しています。そこに向けて、札幌バ レーの企業が韓国の技術 を日本市場向けに カスタマイズする。もう一つは逆に韓国へ進出する際、コンテ ンツの共同開発です。北海 道 にはハ ドソンのような高い水準のゲームソフ ト企業があ りますOこれは競争力のあるパ ー トナーにな りうると思います。韓国にはPC房 という店があ ります。日本でいうとインタ ーネッ ト・カフェと訳せるで しょう。これは韓国全国に膨大な数があ りますO何 をすると ころかとい うと、最新型のコンピュータがあって、若い人がチャットやゲームを していま す。ですか らビジネスカフェではあ りませんO多 くの人は高速で対戦型のゲームを楽 しん でいます。こういう店へ行 くと大々的なイベン トをやっていて、プロのゲーマーがいます。
彼 らは英雄扱いです。登場すると大 きな拍手が起 きて、サイン会が行われた りします。 こ ういう状況の中で、ソフ トが追いついていない現状があ ります。そこで、 日本のソフ ト業 界やアニメ業界がADSL並みの高速で動 くゲームを開発 して、そこに組み込んでいける可 能性はあると思います。
(3)物洗
物流については、私が最 も時間をかけて今で も調査 しているテーマです.これは難 しい ことですが、考え方 としては北東アジア地域の中で北海道はまさにセ ンターです。東京か らみると北の果てで、物流コス トが高い 「厄介道」扱いをされてきま したが、人的交流や モノの流れの中心地になれます。サハ リンへ行 くにしても、大連へ行 くに しても、北海道 はいちばんアクセス しやすい立地条件にある。
た とえば、サハ リンの石油天然ガス開発ではいろいろな動きがかな り早 まっています。
ところが、サハ リンはインフラも整備 されていない し、金融 も法律 も日本 とはあま りにも 隔た りがあるため、ビジネスとして盛 り上が らないわけですが、5年後か10年後には先進 地域になっている可能性が大 きい と思います。確かに今、北海道企業がサハ リンへ進出す るのは リスキーであって、 日本の ビジネスの常識を捨てない と、 まともな商売はで きない ということは承知 しています。 しか し、10年後のサハ リンがアラスカ並みの先進地域にな ったとき、はた して北海道企業にどれだけサハ リン進出のチャンスが残されているだろう か と考えると、ほ とんどないかも しれません。今のような状況のサハ リンであればこそ、
北海道企業 も大手 を振 って入って行ける可能性があるのではないか。そうい う考え方に変 えない と難 しいと思います。 しか し単独で リスクを負うのは無謀だ ということも確かです。
そこで、私が提案するのは、た とえばサハ リンにも朝鮮族がかな りの割合で住んでいま す。今のサハ リンでは衣類関係は中国製が圧倒的に多 く、食品関係は韓国製がほとんどで す。これはコス トが大きな要因で しょうが、朝鮮族が多数住んでいることも影響 している と思われます。さ らに考えると、彼 らの積極性があげ られます。実は韓国で ヒア リングす
ると、サハ リンはすでに日本がやっているのではないか と思われていますO韓国が興味の あるロシアは、油田開発でもシベ リアであった り、あるいはヨーロッパ ・ロシアがターゲ ッ トなのだ と話す専門家がた くさんいます。つ ま り、世界的にみると北海道だか ら有利 に 展開で きると思われていても、現実にはそうなっていない ということです。
そこで、私は北海道 とサハ リンだけではな く、北東アジアのいろいろな地域 とネ ッ トワ ークを結ぶべ きだ と考えます.物流では、 この地域で最 も機能 している港は釜山港です.
やは り、なん らかの形で釜山港を巻 き込む必要があ ります。た とえば釜山一石狩 ‑コルサ コフというルー トを将来的に開発 して、北海道 を通 してモノや人が流れるようにするべ き です。すでに、釜山と北海道のあいだにはコンテナ航路があ ります。苫小牧、石狩湾新港、
室蘭に船が入っています。これに関わっている韓国の船社は高麗海運、興亜海運、南星海 運の 3社です。 ところが韓国へ ヒア リングに行 くと、みんな不満を言います。石狩はガン トリークレーンもない、24時間体制になっていない、コス トがかかって しょうがない と。
しかも片荷で、積 んで帰 って くるものがない と。紙以外に積んでこられるような製造業 を 北海道 に作 って ください とO しか し、彼 らはそうは言っても撤退 しませんo最初 に航路 を 開設 したのは興亜海運ですが、南星海運 も入って興亜海運は週 2便 に増や しました。積ん で帰るものがない赤字路線なのに、なぜ便数を増やすのか とい うと、彼 らは戦略的に考え ています。つま り、釜山一北海道だけではな く、将来的にそこか らどこへ行 くのかを考え た上で先行投資 していると思います。石狩か らコルサコフやホルムスクへつなげた らどう ですか と聞 くと、当然それは日本がすることであって、 自分たちには権限がないのでで き ない と言いますO しか し、 自分たちの船はサハ リンへ行 く余裕 があるので、北海道へ帰 っ た らそれを提案 して ください と私 に言います。
従 って、北海道が中心 となって、北海道 ‑サハ リンー韓国間の物流ネ ッ トワークを作 り 出すことが重要になって くると思います。
(4)その他の有望産業
そのほか、北海道には食品産業があ ります。韓国への水産物 ・食品の輸出に関 して、 日本 側 に法規制はあ りません。 しか し、韓国側では一般的に食品、特に水産物に関 しては厳 し い規制があ り、高い関税率が設定 されています。
日本のすべての品 目を単純に計算 した平均関税率は4.4%です。これは99年頃のやや古 いデータです。ところが、韓国は同 じ計算をすると8.9%と倍 になっています。お互いに関 税率が10%を切 る品目を並べると全体の9割近 くはそうなっていますが、食品や水産物は 軒並み 10%を越えています。品 目によっては数百%という関税率 もあ ります。ですか ら、
現在のところ、北海道のタマネギやジャガイモが韓国へ売 られる可能性はコス ト的に考え るとかな り低い と思います。そのほかにも、食品衛生法、セー フガー ド、輸入先多角化制 度、原産地表示細則などの非関税障壁が多数存在 します。
しか し、 こうい う高い関税率や非関税障壁が撤廃 されると状況は変わって きます。FTA
締結の見通 しはまだ不透明ですが、そのチャンスは高い と思いますO北海道の農産物、乳 製品等は質的に高いものがあ りますか ら、競争力は十分にあると思います。
最近、テ レビにテツ& トモ とい う若手コメデ ィアンが出ています。彼 らは 「なんでだろ う」 というギャグを韓国に行ってハ ングルで披露 したときのエピソー ドです。「コンプは海 のなかでダシが出ないのはなんでだろう」 と言ったとき、誰 も笑わず、全 くウケなかった そ うです。なぜか というと、韓国ではダシをとるときにコンプは使いません。 しか し一方 で、ジェ トロが数年前に韓国で主催 した物産展があって、北海道か らも5つのブースに出 展 しました。そこでコンプのお菓子を無料で配 るサー ビスがあ りま したが、 ものすごい数
の韓国人が並んでいました。ですか ら、コンプも可能性はあると思います。
結びに替えて
韓国 と北海道は、今までお互いに情報が不足 していました。幸いに昨年 11月、北東北3 県 と北海道の合 同事務所がソウルにオープンしましたので、今後は情報発信 (収集)基地 として期待できると思います。
北海道が観光やIT産業、物流などで韓国 とのアライアンスを組む必要性 について述べて きま した。アライアンス とは日本語で連携あるいは提携 といいますが、基本的にアライア ンスはギブ&テイクです。つま り、パー トナーは当然見返 りを期待 します。私は韓国か ら 得 られる話 を多 くしましたが、問題は北海道か ら何を提供で きるかであ ります。よ く言わ れることは、北海道企業は寒冷地技術 に長けていると。小樽であれば光合金製作所のよう な水回 り技術 とか、海鱗丸 ビールの冷凍寿司の技術 も、おそ らく北海道の寒冷地技術の産 物だろうと思います。これ らは今 まで北海道のローカルだけでやって きたか もしれません が、北東アジア全体で考えると世界的に通用するレベルに達 していると思います。
韓 国が高度成長期にどうやって飛躍的な成長 を遂げたか とい うと、一つのきっかけがあ りましたC 日本であれば、戦後の高度成長のきっかけは朝鮮動乱で したo韓国はなにか と い うと実は中東で した。オイルショックで中東にオイルマネーが集 まったとき、建設 ブー ム とな りま した。そこに手を挙げたのが韓国です。砂漠の暑い地域で建設作業 をするのは 大変です.そこへ出て行 って橋 を造った り病院を造った りしたのが韓国人ですOこれが現 代やサムソンが伸びて きたきっかけです。ですか ら、 もともと韓国が得意な分野は寒冷地 ではな くて、む しろ暑い ところで した。寒いところはあま り経験があ りません。従 って、
北海道 と韓国との連携 を考えるとき、一つは北海道が持っている寒冷地特有の技術、 ノウ ハ ウですoこれをうま く韓国にアピールで きるとチャンスは増えると思いますo
先 E]、ロシア領事 と対談する機会があ りま したO 日本のビジネスマンはサハ リンに対す る不満をた くさん言いますが、逆 にサハ リン側の言い分は違 うそうです。彼 らが言 うこと は、いざ契約 しようとなると日本人は待 って くれ と。 自分だけでは判断で きないので本国 へ持ち帰って上司 と相談 して、あ とか ら返事を します とOさらに、そ う言って再びサハ リ
ンへ来た日本人は誰 もいない と。 これは好意的に解釈すると、 日本人 ビジネスマンは本国
へ帰って上司と相談 して、多段階の意志決定を経て、いろいろな問題点を整理 して、裏も 解釈 したうえで、それな らばやってみようか となった時、その話はすでに終わっていると いうことです。
北海道企業だけではな く日本企業全体 にとって、最大の問題点は、世界のスピー ドにつ いていけないということです。これがビジネスチャンスを逸することにつながっている場 面は多々あると思います。特に国際舞台では日本企業のプレゼ ンスは低い。技術的にある いは特定の産業でのブラン ドカは高いものがあ りますが、一般的にいうと欧米や韓国の企 業のほうがプレゼンスは高いと思います。たとえば、韓国のITベンチャーの説明会へ行 く
と、ものすごい会社だと思わせるプレゼ ンテーションをしますが、あ とか らよく聞 くと社 員がたった3人 しかいな くて、まだ一度も商品開発を していないケースに結構出会います。
一方、日本人は真面 目ですか ら、自分が10持っていても7か5しか表現 しない。それを美 徳だと思っていますが、国際舞台では通用 しません。む しろ、韓国のように 5しか持って いな くても10か20を表現するほうが勝ちです。
つま り、北海道企業が韓国とアライアンスを組む大きな目的の一つは、韓国が持ってい るスピー ドやプレゼン能力を利用できることです。一方、韓国企業は北海道が持っている 寒冷地技術、ノウハウを利用できます。あるいは轍密で手堅い経営手法を身につけること ができます。 日本企業のブラン ドカ とは、地道に努力をして、地に足のついた経営を しな が ら、堅実に手堅 く積み上げたものです。これは韓国企業には少ないかもしれない。です か ら、撤密で手堅い経営手法があって、さらにスピーディに展開する事が可能になると、
これは鬼に金棒です。
韓国語で 「ば りば り」 とは 「はや く、はや く」 という意味です。韓国人 自ら 「ば りば り 精神」 と言いますが、あえて 日本語にすると 「せっかち」 ということです。一つの例 をあ げると、最近韓国が東南アジアへの輸出にかな り力を入れている分野にテ レビ ドラマがあ ります。た とえば、 日本に住んでいる韓国人駐在員の奥さんたちが 日本で暮 らしていてい ちばん不満に感 じることは、韓国のテ レビドラマを見 られないことだそうです。そこで、
多 くの家庭では高い料金を払ってスカイパーフェクTVで韓国の有料チャンネルを見てい る。韓国のテ レビ ドラマには視聴率 50%を越えるような人気 ドラマがあ ります。これを国 策 として東南アジアへ輸出 しようとしています。韓国と日本のテレビ ドラマの決定的な違 いは途中でコマーシャルが入 らないことです。なぜか というと、韓国人はせっかちです。
日本では、みのもんたが司会をしているクイズ番組のように、すごいタメを作っておいて、
いよいよというところでコマーシャルになって、正解はそのあ とに出る。これを韓国でや ったら苦情電話が殺到 します。せ っかちで待ってい られない。ですか ら、 ドラマだけでは な く、すべての番組では一段落するまでコマーシャルが入 りません。この点はおそ らくブ ロー ドバ ン ド普及率の高さと関係 していると思います。韓国のインターネッ トはともか く スピーデ ィに画面が切 り替わ らないと見て くれない。クリック してか ら画面が替わるまで
じっと待ってい られないわけです。
「IMFジョーク」 というものもあ ります.97年 10月に金融危機が起 こった時、 日本で いろいろな報道に接 していましたか ら、韓国は大変だろうと思って行 ってみると、状況は 少 し違いました。「IMF」の 「F」は大学の成績評価でA・B・C・D・E・Fの落第点です。
つまり、「IamF」で 「私は落第生」 ということです。このジョークにはいろいろなバ リエ ーションがあって、IMFのおかげで 「私はクビになったよ」 というのは 「Iamfired」、あ るいは逆に 「私は大丈夫だよ」 というのは 「Ian fine」 とOそういう大変な時代でも笑い 飛ばせる勇気があるのだなと思いましたO‑方、 日本では 「失われた十年」などと言われ て、みんな暗い雰囲気になっています。 しか し、そういう時こそ、笑い飛ばせる勇気 とか 前向きな積極性が必要ではないか と思いますO
従 って、韓国と日本がタッグを組むことは、そういう点も含めてお互いのいい ところ取 りをして、韓国と日本が北東アジアの主役 として中国に対抗で きる力を作 り上げてい くこ とが、この地域の活性化につながると考えています。
はじめに
問題提起
北海道は人 口も少ない、大企業も無い、製造業 が育っていない、無いものづくし。そのため東京 ぽっかりみて産業政策や経済仕組みを作ってきた。
その結果、支社 .支店経済への転落、補助金など 官需要頼 りの脆弱体質。さらに本州から離れてい るので物流コストがかかり、高コスト構造。この東 京一極主義から脱皮し、世界に通用する国際競 争力を身につけるためには「北東アジア」という広 い視野にたって、アライアンスを通 じて日韓新時 代を構築していく必要がある。
韓国経済の現住所
●韓国の基礎データ
●面積:9万9.274平方キロメートル (日本の約
1/4)
●人 口:約4,8000万 (日本の1/3)
●GDP:4,617億 ドル(2000年)《日本の約1/10》
●一人当たりGDP:9.770ドル(2000年)《日本の 約1/4》
●経済成長率:3.0% (2001年)
●失業率:3.1% (2002年4月)
●主要産業 :電子、自動車.機械、造船、鉄鋼
歴史的発展
●輸 出第1主義、少数企業へ資源集 中
●1972年(10億 ドル輸 出)
●木材、合板、繊維など
●1975年 :総合商社指定制度
●鉄鋼、電子など
●1977年(100億 ドル輸 出) .1985年 :現代pony輸 出
●1996年:OECD加盟
●1997年 :金融危機、IMF体制へ
●財閥縮小または解体 (大字)
韓国の主要経済指標
単位 %、100万米ドル1996 1997 1998 1999 2000 2001
GDP成長率 6ー8 5̲0 ‑6‑7 10̲9 8̲8 1.8
失業率 2ー0 2̲6 6̲8 6̲3 4.1 3‑7
輸 出魚 129,715 136,164 132,313 143,686 172.268 150,653
輸 入魚 150.339 144,616 93.282 119,752 160,481 141,116
外貨準 備高 38.201 20,369 51.975 73.987 96.131 102.753