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「インダストリアル・アーツ科教育に於ける方法」

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

「インダストリアル・アーツ科教育に於ける方法」

著者 奥谷 多作

雑誌名 奈良学芸大学教育研究所紀要

2

ページ 59‑70

発行年 1966‑03‑29

URL http://hdl.handle.net/10105/6108

(2)

rインダストリアル・アーツ科教育に於ける方法」

奥  谷  多  作

(金属加工教室)

「インダストリアル・アーツ科成立の課程」

 技術は、人間が自然に及ぼす生産的活動の課程であるが、活動することの経験に呑ける活動の手段 を、客体の物の側から見ると、それは主として道具または機械であって、主体の能力の側から見ると、

それは技術であるといはれる。さ.らに、主客未分の境地に技術が生れて遺蜷的活動力桁われるともい われる。このような技術観が、ただ狭義での生産技術にだけ当てはめられるぺきだとすると、技術ぱ r般に技能とか芸能とかいわれるものから区別されなくてばならぬことになるが、しかし技術は人間 が自然に及ぼす生産的活動の課程であるという、その「生産的」の語や「活動の課程」の語が、狭義 での生産技術にのみに当てはめられるのではなくて、人間が自然に対してばたらきかける一切の行動 人間の内面生活が身体の上に、あるいは自然の上に表現される 切の行動の課程に当たるものとすれ ぱ、自然科学や工学に依存するところの比較的少ない技能でも芸能でも、これは一種の技術で広くて はならない。狭義での生産技術に拾ける機械や道具に相対応するものは.音楽てば楽器であり楽譜で

ある。絵画では絵具や絵筆である、これらは音楽や絵画の行動課程に拾ける客体の物の側面であり、

主体の能力の側面としての音楽的技術または絵画的技術がその行動課程に横たわるものと見られなく てはならない。中学校に於ける技術科は生活技術の面で、その他すべての実際的技能的な教科と同じ ように、狭義での生産技術に拾ける道具に相対応するもの一観念的道具であっても一拾よび技術 的側面から成立するところの技術的教科であるということができるであろう。ヨ■回ツバの学校では 早くから技術的教科が、自由学科と相ならんで課せられ、その教科の 種として手工とか工作とかい われる領域が重視され、それカ鞍術的に学習されることが要求されたのであった。①一般教育として の技術的教科が学校教育に導入されたのは19世紀の農半に拾いてであって、その重要な契機となっ たものに「スロイド手工運動」がある。すでにくスタ回ツチ(1746−1827)や7レーベル

(1782−1852)などによって手工教育の理念は定型化されたが、それが「ス回イド手工運動」

によってスカンジナビア諸国の初等教青の中に大幅に実現されて行った、スロイド(SユOれ)の意 味は手軽な手工技術活動という意味で、その運動の中心著はスエーデンのオット・サ回モ;・(O.S a一

■o皿。n 1849−1907)で、彼はフィンランドで小学校にスロイドをとり入れていたテネウ ス(U.Cygn au s 1810−1888)の影響をうけたのち.それまでのスェーデニ・のス回イド 運動が、職業準備的功利的であったのを不満として、一般教育としての小学校のスロイドは、功利的 な面より子供の自己活動としての人間教育にそのねらいがあるとして、スカンジナピァ諸国で家内工 業として行なわれていたス回イドという手工業を、純教育的なものとして1882年に初等教育の課 程の中に採用することを試みたのである。ス目イド手工運動の特色は、①従来行なわれている技術

(家内工業ではあるが〕の伝統を重んじて ②生活に役立つ有用なものを作りあげることを目的とし た、今日のプロジェクト法をとり、⑤工作の課程を分解して、(デラ・ボスのロシア法と同様の方法 を部分的に取り入れた)従来の徒弟的教授法を改め、④手工教育につきまとっていた経済的な見地を

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離れて、初等教育の一領域となし得たことなどで、さらに⑤スロイド の内容を材料の抵抗や教授の徹 底を図るため木材の工作一種にできるだけ統一して、その運動を普及させる努力をしたことである。

スエーデ;/のスロイドの内容としては、木工、彫刻、ロクロ細工、紙細工、革細工、金工.女子には、

編物、糸つむぎ、織物、染色、調理などであり、1909年には、小学校、中学校でスロイドを取り いれている学校が4000校にのぼっている。このようにスロイド手工運動は初等教育を目標として いたが、各国の初等教育に与えた影響は非常に大きかったといえる。アメリカでは、南北戦争(18−

61−1865)によって国家統一がなり、アメリカ資本主義は全国を一つの経済単位として発展す る段階に入った、工業の生産額は世界才一位となり大ブリテンの二倍の生産額をあげ、エジソンの電

球の発明(1879)発電所の建設(1880)ベルの電話(1876)フォードの自動車(18−

93)の製作といった新しい技術の発明がやつぎぱやに行われたのは、南北戦争後の約30年間にお いてであった、このよ亨宏時代の変化に応ずるためにば、アメリカの伝統的学校の教育は、なんらか の形で脱皮をせ重られたのであっ走。マサテユセッツ、ボストン市教育委員会は、工業的な学校をつ 一くることを決め、1880年に木工技術の学校を開き、同時期にイリノイス、セ;/卜・ルイス市に拾 いても工芸学校を開き、その後この運動は各地に拡がった。そして1898年になるとボストン市て ば伝統的グラマー学校や中等学校の男子に手工(ManuaユTr aiムin9)を義務的に課することに     ⑳

なった。 これらの教育運動がワシント;・大学のウッドワード(C.M Wo odWard)の理論的貢献 で進められ、彼によると現在の伝統的な学校は頭の教育だけしか行なっていないが、今後の教育は頭 の教育とともに手の教育が必要であり、学校は青少年に産業について理解させ、代表的な技術能力を 身につけさせるべきであるとし㌔そのためにはマニュアル・トレーニングを学校にとりいれること が最も効果的であるとしている。そしてマニュアル・トレーニングにぱつぎの二つの主要目標がある としている。

 (1)学校の一般教育の内容を豊富にし、学校教育を生活に応じたものにする。

 (2)学校に巻いてマニュアル・トレーニングを学習して拾くと、熟練者に必要な技術能力と技術的   知識を習得するとき、より速やかにより効果的に身につけることができる。

しかしこの頃には、まだ一般の教育関係者はマニュアル・トレーニノグに反対する者も多かった。

1890年になると,前に述べた「スロイド手工運動」がスエーデンや7イソラ/ドから伝えられ、

その影響を大きくうけて、学校教育に拾けるマニュアル・トレ■ニノグの重要性が次矛に認められる ようになった。このことと同時に、当時の一般学校に準備されているカリキュラムによる知識や訓練 は、青少年の自己活動や興味にとっても、その時代の社会の要求にもほとんどあわないものであって それを改めるのみマニュアル・トレ・ニングがとりいれられたことも原因である。こうして、中学校 はもとより小学校の高学年までマニュアル・トレーニングを取り入れられはじめたのである。ところ が1900−1910年の間に拾いて、アメリカの資本主義はますます拡大され、対外的に植民地の

増加、保護国化.門戸開放の要求によって輸出がのび、大財閥が確立された時期で、教育もこの時期 になると変化を求められ・マニュ7ル・トレー二;・グも例外でなかった。初期の理想や一般教育の目 的が追いやられ、このような時代の要求として職業教育運動がおこり、従来のマニュアル・トレーニ ングぱ、いか在る職業の目的にも無関係であるという特色を、逆に、そのために役だたないものであ るとの批判を受けたのである。1906年マサチューセッツ州工業教育委員会報告書は当時のマニュ アル・トレーニングをつぎのように批判した。

 「マニュアル・トレーニングは特定の職業分野における実習をほとんど与えていない。目的が不明 一60一

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瞭であり、いかなる職業の目的にも無関係である。このようなマニュアル・トレ 二;・グは、職業や 産業を理解するのに役立たないものである」

このような批判は実はナノセソヌで、この鉾先は実は職業教育学校に向けられるぺきものであって、

普通教育の段階にあるマニュアル・トレ ニノグの批判としては当を得て居なかったものであるが、

⑤1917年制定の職業教育国庫補助法であるスミス・ヒューズ法(S皿ith肋ghs Act)にい たる間の職業教育論争を経て、このよう広教育は.専門教育をめざす職業的学校ばかりでなく中学校

・小学校である1股普通教育にも必要とされるようになり、普通教育の段階における技術社会につい ての教育をイノダストリアル・アーツ科と呼ぶようになったことによって終止符がうたれた。したが ってインダストリアル・アーツは.将来就職するであろう職業とは関係なく、普通教育の重要な一部 門として、現代の技術文明の各種の技術や技術社会の理解に?いて学習することであり、日本の教科

として考えれば、中学校の技術科の目標に非常に類似しているといえる。

「インダストリアル・ア_ツ科の目標」

 アノリヵの多くの州のインタIストリァル・アーツぱ、マニュアル・トレーニングの現代的な発展を 見た形をとっていることからわかるように、なんといっても手工教育という普通教育ρ領域の中のも のである。前述のスミス・ヒューズ法が、職業教育を振興するために中等程度の職業教育の教職員の 給料や教員養成費を連邦資金で補助することを法律で定め、この補助を受けるための職業教育計画を 立てるうえで職業教育のカテゴIトを明確にする必要が券こり、そこから逆に普通教育としてのイノ タメトリアル・アーツということがはっきり浮びあがってきたのである。マニュアル・トレーニニ・グ を現代的に再編成し、あたらしい用具や材料をとりいれ、それに啓発的経験としてのあつかいなどの いくつかの新しい要素を加えたものである。そのことは、イニ・ダストリアル・アーツめ目標の設定の しかたのうえにもよく表われている。代表的なものをあげてみると、1934年に、アメリカ職業協 会(A皿er i can Vocat i on aユAss oc ia tion)のrイ;・ダストリアル・アーツ教育の学習

内容の基準」委員今が報告したジュニ下一・ハイスクールに拾ける「12の目標」はつぎのと知りで

ある。

 (ユ)産業生活拾よび生産・配分の方法について積極的な興味を、生徒ひとりひとりに発達させる。

 (2)自分がつかったり、買ったりする製品を上手にえらび、大切にし、正しく用いる能力を生徒ひ   とりひとりに発達させる。

 (3)すぐれた技術やすぐれた考案についての価値判断の能力を生徒ひとりひとりに発達させる。

 (4)有用な仕事をやれるということに誇りをもち・張りをもつ態度を、生徒ひとりひとりに発達さ   せる。

 (5)自らをたのむ精神と、不測の、未知の状況のもとに持いて人々の相手になれ、自分の身こなし   もできるという確信とを、生徒ひとりひとりに発達させる。

 (6)どんな仕事をするときにも手続きを規見目正しくふんでやる習慣を、生徒ひとりひとりに発達さ   せる。

 (7)気が向こうと向くまいξ、なすべきときには物事をなさずにいられないようになる自己訓練を   生徒ひとりひとりに発達させる。

 (8)ぷらぷらやったり時をむだにすごしたりすることなく注意を集中し、思慮をこめて仕事をやる   習慣を、生徒ひとりひとりに発達させる。

(5)

 (9)他の人々が助力を必要としているときにばただちに助力するし、いつでもすぐに集団的広仕事   に参加するような態度を、生徒ひとりひとりに発達させる。

 ㈹他の人々によろこばれる製品をつくることにかけて思慮をこめて仕事をやる態度を、生徒ひと   りひとりに発達させる。

ω機械製図の知識と機械の特性グラフの読解力とを、生徒ひとりひとりに発達させ乱

㈱ ごく普通の道具や機械を使っていろいろな材料を変形したり処理したりする基本的な技術と、

  ごく普通の組み立てかたについての理解を、生徒ひとりひとりに発達させる。

 この例は、手をつかって物をつくる活動は、単に手先の器用さを発達させるだけでなく、知的な発 達を助長し、自己を表現する力をやしない、趣味をゆたかにし、責任感をそだて.意志をつよくし、

団体での協同的活動の訓練になるといった、マニュアル・トレーニングの考え方が拡大され、これに いくつかのものが加えられているのである。これは伝統的教科の性格を明らかにするものとして、現 在も生きているが、⑤同じ職業協会が1953年に制定した「イ;・ダストリアル・アーツの教育目標」

では次の様に整理されている。

(1)産業への興味一産業に歩ける生産・流通の方法や問題につき生徒に積極的な興味を発達させ   る。

(2)評価と使用一設計、材料、技能の評価拾よび工業製品の選択、補修、使用の能力を発達させ   る。

(3)自己表現と自主性■実際的状況に際して、自己を表現して、創意工夫を働かせる習慣を発達   させる。

(4)協力的態度一他人をたすけ、集団作業に参加するレディネスを発達させる。

(5)健康と安全一健康と安全について望ましい態度と実践とを発達させる。

(6)やりとげる興味一有用な仕事をやりうるという誇りと、余暇を価値あるように拾くる工作的   趣味を発達させる。

(7)計画的に仕事を進める習慎一どん在仕事でも計画的に、効果的に進める習慣を発達させる。

(8)製図と設計 r般的な図的表現と、アイディアを製図やスケッチで表現する能力を発達させ   る。

(9)技能と知識一一般的な道具や機械を使用する技能狂よび通常の組み立てや修理に含まれる問   題の理解を発達させる。

 この教育目標はア年たって、1959年の⑤年次大会で義論された結果、rイニ・タ・ストリアル.ア ー ツのユニークな貢献についての評価」という標題で次のように結論されている。

 (1)インダストリアル・アー一ツぱ、道具、生産過程、材科についての操作的技能を発展させ、かつ   自己表現の幅広い多様庄機会を提供する。技能習得の領域は、特定の専門的領域から、余暇の創   造的活動の領域までを含んでいる。

(2)道具や材料についての実際的な経験は、抽象的方概念を明確にし、それらの概念の意味ある適   用を教えるものである。プロジェクトの完成はそれ自体、教科の目標でなく、それは概念の理解   や発展をたすける手段にすぎない。

 (3)協力的計画や問題解決は、生徒が創意工夫を働かせ、実際に試してみようとする態度を養って   いる。

 (4)道具や材料についての学習は、安全な作業過程の重要性を認識させ、安全作業の方法を身につ 一62一

(6)

  けさせる。

(5)工業製品の購入、使用・補修によって得られる知識や経験は、デサイ!の妥当性や有用性につ   いての消費者教育として役立っている。これによって新しい技術が生みだす新製品に、遅れずに   ついていくことができるのである。

(6)技術の進歩により新しい仕事が現われて来ることを学習することによって、健全なガイダンス   が拾こなわれる。共産主義者のアメリカに対する挑戦は、国民の能力を未開発のまま放置して春   くというぜいたくを許さず、たとえ能力の劣ったものでも自己の能力を伸ばす領域があること   を知らせる必要がある。

(7)この教科は、心的能力と肉体的能力との統合をはかっている。その学習経験は、中位のものに   は学習意欲の刺激であり、下位のものには仕事をやりとげる喜びであり,上位のものには知的な   挑戦である。

①このように確認されたインダストリアル・アIツの目標は、この討論の結果より判断するに、

1934年に制定された目標の伝統を維持し、過去25年以上も基本的には変わっていないことが良 くわかる。プロジェクトの製作そのものを教育の手段と規定したり、生徒の能力に応じた学習指導を ねらう亥ど多少の準歩の跡がうかがえるが・学習領域の多様性・幅の広さを認めたり・問題解決学習 を学習形態の主流としている点や、消費者教育やガイダンスを重視することなどは、やはり伝統的な 教科の性格を引きづいていると見なければならない。

  「インダストリアル・アーツ科の内容」

 イ/ダストリアル・アーツ教育の主要舞台は工作室であり、その設計・管理・運営は工作活動を通 じて学ぶというこの教科の内容と不可分の関係をもっている。「我々は決して直接に教育するのでな

く、環境を方法として(byエロθans O f thθθnV irO nエロθnt)関接に教育するのである」と いう教育観は、この教科に拾いても極めて特徴的に実現されている。イニ・ダストリアル・アーツ・シ        ⑧コップの現状は先ず次の分類型によって理解することができるであろう。

 (1) Unit ind一ロー8triaユ art8 shop

(2)Gθnθ・・ユ師・d,mθt・ユ,・・。th・… ti・iけ・h叩

 (3) Oo皿Po日ite,co皿」二Prθhθnsivθ or ]皿u■1;ipユθ一activity 8hoP(9θneraユ   shOPとして知られている)

 (4) Art日 and− inau8tr工θ8 ユabOratOrγ

(1)は他教科のそれと区別してインダストリアル・アーツの単i不分離の領域のために施設されてい る工作窒で、工作室の発展する初期に多く見られたもので、単にユニット・ショップと呼んでいる。

(2)は、例えば、gθnθr a■皿6taユ8hoPでは機械工作。板金工作、自動工!ジン、鍛接。熱処 理などの教育を行うことができるように施設されたもので、主要領域内のいくつかの分野の実習のた めの設備をもつ工作室である。(3)ば、例えば、木材工作、金属工作、電気、動力、窯業、印刷、など の多様在領域の教育が一工作室で可能であって、一教師によって交互に指導されるもの、二人以上の 教師によって領域ごとに指導されるものがある。さらに(1)のユニットショップが組合されたものなど

もある。(4)ぱ、フロリダ州等で行なわれている。イノダストリアル・アーツを中学校教育のコアと統 合されたカリキュラムで実施する場合の工作室で、学校全体のカIjキュラムによってインダストリア ル・アーツの施設が統合され組織的に配列されて拾り、学校内に近代産業のミニチュアを配置したよ

(7)

うに在る。オハイオ州ヶンプリソジに牟ける一例をあげると8000平方唄の床面積の上に輸送機械 動力機械、鍛造反ぴ熱処理、酸素7セチレン及び電気熔接、鋳造、板金工作、機械工作、電気、通信 機、木材工作、室内計画、窯業、製図、印刷デサイ;ノ、写真、印刷の各分野が実習できるように設備 されている。主としてシニアー・^イスクールの段階で多く見られる。⑨これらの工作室の発展の歴 史をふりかえって見ると、ユニッ.ト・ショップからゼネラル・ンヨップヘの流れが見られ。ここにも この教科の基本的性格が示されているといえる。このユニット・ショップからゼネラル・ショップヘ の変換は、ユニット・ショップによる教育の反省から生 まれ、ユニット・ンヨップの欠陥としては次 のような点をあげられている。

(1)ユニット・ショップによる活動は、総合プロジェクトの製作に適さない。

(2)ユニット・ショップによる教育は、教育に奉ける社会化の原理に適さ庄い。

(3)小規模の学校てば、いくつかのユニット・ンヨップを設けることができ左い。

(4)ジュニア・ハイスクールの技術教育は、ひとつの領域について、長期の技能的訓練よりも、い   ろいろな領域についての多様な幅の広さに啓発的経験(θXPユO rat OryθXPθr i皿θnt)を   あたえる必要がある。

 この理由は同時に.一イノダストリアル・アーツの基本的性格の説明にもなっているが、このゼネラ ルショップの言葉は、それが成立した当時では、教室の配置の方法や、場所を言う概念であったが、

後には教育方法も含む概念に発達して打つだ。

 次に、インダストI〕アル・ア ツに於ける、各領域毎の学習内箸⑭について見ると、各州によって それぞれ計画されているが、代表的な都市の教育委員会による⑪学習指導書を抜すいしてみると次の ようになる。

〔木材工作〕

 学習のねらい

シカゴ市教育委員会

①木材工作の学習は、生徒に木材工作の手工具や機械の工程について技能と知識   をえさせるものである。

②工具を完全に使う技能を得させ合理的に作業する習憤を養う。

③協同して作業する機会を生徒に提供する。

④安全に機械を使う技能を養う。

⑤木材工作に関連する基礎的な知識を与え、工作図をよむ経験を提供する。

⑤木材工作への興味を啓発し、木材工作産業への職業的可能性について生徒に自   覚させる。

学習内容(前期)

(1)一単純在プロジエクリの工作   ①長方杉の抜けずり

  ② あ在あけ

  ⑥かぎかけ、植本体台、ほうきかけ   ④ 塗装

(2)木工施盤作業による工作   ①ピン入皿、果物盆

  ②士具の柄、丸がくぶち、木づち

(3) より複雑なプロジェクトの工作

(後 期)

(1)家具工作に必要な各種の工作  ① 各種の組手接合

④ ひきだしつきのかぺかけ棚、雑誌たて    棚、小道具入れ、がべ用戸棚

(2)木型製作

(5)装飾用の各種の面取り、表面仕上げ工作   (木工機械による)

 ①各種のテーブル  ② 工具の柄

一6生一

(8)

 ①ランプ立て、かべかけ棚、子供のこしか

    け

 ② 塗装

(4)簡単な家具の工作

 ①かべかけ棚、宝石入れ箱、ナイフかけ、

    た庄、小ふみ台、電話拾き台

〔金属工作〕  ロス・アシジエルス市教育委貴会

⑤電気スタニ・ド

 (金属工作で学習する技能)         (金属工作で生徒が学習する知識)

④薄板金        ①工作室の安全と事故防止についての基礎的規

 1)型板や製図から作業を計画する       則

 2)ケガキ針を使って型板によってケガく。 ②工作室で使われている普通の手工具や機械の  3)切断機で薄板金を切断する         名称

 4)金切りバサミでブリキを切る   ⑤浪費を防ぐための材科の経済的使用  5)一重または二重のふちまげのために折まげ④工作図の読み方

   機を調節し、使用する    ⑤普通の金属類の種類と使用

 6)薄板金を折り曲げるために、折り曲げ台な⑤ハ1/ダの溶剤の性質と目的    らし台をつかう      ⑦すずめっき鋼板と亜鉛めっき鋼板との比較  7)円筒形をつくるために成形機を調節して、 ⑤ ハンダの種類と成分

   使用する。       ⑨ 1/16インチ重で鋼尺を読む方法

 8)ケガキコンパスで円を画く   ⑪板金の分野に持けるガイダγスと情報  9)ならし、形づくり、拾り曲げ接合するため⑪直1径と半径との関係

   に木づちを使う  10)ブリキを接合する

 11)ハノト.・ポノテを使って穴をあける  12)ハンダごてをみがき、ハンダづけをする

⑧ 卓上金属工作

 13)金属棒を切断するための弓のこ刃のつけか⑫ 卓上金属工作で守られなければならないr股    たと、その使いがた      安全作業の注意事項

 14)金属にポノチで心立し、きり穴を画く ⑬ボール盤の安全操作のための基礎的規則  15)金属にヤスリをかけ、面をだす  ⑭グラインダ 一の安全操作のための基礎的規則  16)ヤスリ刷毛でヤスリをきれいにする   ⑮普通ヤスリの名称と使用

 17)金属面を仕上げるために布ヤスリを使う ⑪いろいろな仕曇の種類に応じた適当危弓のこ  18)ビョウ打ちによって、金属の部品を接合す  刃

   る         ⑰穴あけや切砺のいろいろな仕事に応じて、正

 19)穴をあけるためにボール盤を使う      しく潤滑油を選ぶこと

20)グライ・・グで手工具を研く^   ⑯キリの大きさの指定(名称)

 21)金属を形とるためにグライノダーを使う  ⑤ グラインダーやその安全装置の正しい調整

 n)万力で金属を曲げる     ⑳研削するときの材料の持ち方

◎彫金         ⑳穴をあけるとさの材料の保1寺のしかた

(9)

23)ハンマーで金属に印をつける   ⑳焼きもどさずに工具を研削する方法

24)ハンマーで印をつけた金属を焼鈍し、まっ㊥ 卓上金属工作に拾けるガイタニノス    すぐにする。

25)彫金用のハンマーで金属を形づくる 26)彫金の接合にヒョウを打つ

2ア)金属を酸溶液に入れて洗う 28)金属綿で金属を仕上げる 29)銅を薬品で着色する 30)バフで金属を磨く

31)仕上げられた金属にラッカーを塗る 32)火床(炉)で金属を熱する 33)簡単な工具を火造りする

34)簡単な工具を焼き入れし、焼きもどす

⑮酸素アセチレン熔接

  (指導者はそのクラスに対して演示を行う)

⑧ 鋳造

  (指導者の演1矛に限守してもよい)

35)鋳型砂を練る

36)簡単な型を据え、鋳型枠をはめこむ 37)上梓と下枠を上手に取扱う

38)湯注口や門、湯口や湯路を配置する 39)型を砂から取り出す

40)鋳型の表面をきれいにするためにいろいろ    な工具を使う

41)鋳物を仕上げる

ψ)面をきれいにし、穴をあける、施削するた    めに旋盤を使う

⑨プロジェクトの例  菓子切りナイフ  工具皿

すこつぷ 園芸用のコテ

、ンマー ハンダゴーテ ポンテ ケガキ針 タガネ 紙切りナイフ 灰皿 小鉢

キャソプ用具 バーベキュー用ホーク バーベキュー用ターナー

自転章の荷掛け 自転車のスタンド キャニ/プ用ツヤベル バスケットの現 ブックェソド 菓子皿 小さな盆

⑳彫金作業に拾いて守られなければならない一   般安全作業の注意事項

⑬ 酸取扱上の安全作業の注意事項

⑭ 可燃性や揮発性の材料を貯蔵したり。使用し   たりする場合の安全作業の注意事項

○ 彫金をみがき、色をつけるときの化学薬品の   働さ

⑬ 彫金におけるガイダンス

⑲鍛造や熱処理に沿いて守られなければなら在   い安全作業の注意事項

⑩適当在人造り用はしの選び方

○正しい火造温度

⑫ 焼もどしのさいの火色の順序

◎ ガス溶接の基礎的原理

⑭溶接に用いられるメガネ

⑮木型の理由

⑮ 吐口や門、湯口や湯路の機能

魚つりのおもり 金属製の額ぶち 表札

風速計 バックル

ミート・テンダー 砂糖カップ 道具箱 ろうと 郵便受箱

植木鉢

卓上電気スタンド 火覆い

だんろ用品

携帯用バ→キュー箱 金属製テーブル 小鍋

はずみ車、調べ車、エンジン やモーター等の模型工作の部

名札

一66一一

(10)

 紙拾え(鋳物)  ねじ回し(柄は鋳物) 園芸用カルテ    火かき  灰皿(鋳物)   花びん台        弓のこの枠     卓上万力

 これらの学習内容の組織をみるとき、少なくとも②生活経験主義の哲学が支配しており、プロジェ クト・メソッドこそアメリカの技術教育の方法的典型であるこ肋勅屯  こうして、確かにインダス

トリアル・アーツの内容は、職業教育における、内容やカリキュラム編成と比較してみると、厳格な 方法的基礎が欠けているかのように見えるが、インダストリアル・アーツの性格を考え、また、麟 教育の目的のためにのみ整備された職業教青のプログラムとも思い合わせるならぱ、容易に容認でき ることがらである。むしろ、一般教育、普通教育での技術能力の教育としてのイノダストリアル・ア ーツば、一般的技術教青の内容構成の一典型として参照されるであろう多くの要因を、プロジェクト メソッド とともに具えているとみるぺきである。

  「インダストリアル・アーツ科によせる期待」

 多彩なインダストリアル・アーツ教育の方法を明らかにし、それを適切に描き出す方法にはいろい ろなものがあろうが、⑬この教育を編成し条件づけている諸要素を手がかりとして、それらとの関連 に拾ける方法的特質を明らかにしようと心がけ允のは、他でもなく、日本の技術科辞育の方向を見極 めようとするわれわれにとって、諸外国の経験に学ぶことは大変大切であると審もわれるからである。

しかし、歴史を異にし、産業の様式を異にし、そこから来る技術の様式も異り、教育の条件を異にす る外国の方式を直線的にとりいれることがゆるされないことはいうまでもない。われわれはあくまで われわれ自身の立場に立って諸外国の事情の研究をしていかなければなら衰い。この教科の成立の受 動的な立場であった、マニュアル・アーツ(マニュアル・トレーニノグ)が形式化して、現代の生産 技術の発達の過程に拾いて、その訓練が無意味になったという論理が用いられたことがあったが、こ れば賛成できないことである。インダストリアル・アーツが出発して、30年以上経た今日の課題は

これに解答を与えてくれるであろう。1.すなわちこの教科が啓発的経験を強調して、一般的労働適性の 教育の場とし提供され、単なる職業指導的な内容でのみに理解が進んだ結果である。職業指導として

のイノダストリアル・ア■ツば、生産現場からの経験によって抽象された道具によって習熟すること を目的とするが、現在のアメリカに見られるそれば非常に少左く、これを立証している。言うまでも なくこの教科の目的は、学校に拾ける工作室の仕事の全体過程への参加による人間形成が目的とされ ていることを確認していなければならない。⑭イノダストリアル・アーツに拾ける比較的重要な価値 は単なる作業や作品の製作・そこでは材料;道具、機械の操作における技能を重要な強調点として いるが■だけから得られるということぱもばや期待されなくなった。12才から15才までの青少 隼の心理的社会的な必要や興味は拾もに準工作的な、あるいは工作的な仕事に含まれている思考を刺 戟する情況や問題にある。⑬幾つかの実験の結果にてらしても、組織された教育内容に含まれるいか なる価値も・生徒の主筆な関心が有用なブ回ジェクトの製作や解決にあるときにぱじめて達成される ものである。また最も価値のあるプロジェクトは生徒にとことんまで考えさせ研究させ、彼等にその 問題に含まれる種々の困難に適合できる決定的なプランを作成させえるものでなくてば在らない。そ れは単に日常卑近な生活態度への順応をこととするものでなく、生徒の現在の生活の必要とともに将 来の生活態度としての必要を洞察していなければならない。生徒の将来の必要はこの教科に拾いてぱ その・まま.日進月歩の技術社会の必要に連なり、この技術社会の必要を教育的経験の配慮で企図し、い

わば技術文明を人間の発展に従属せしめる教育の使命が自覚されてきていると考え、それは為すこと

(11)

によって学ぶという伝統を有するアメI,カの教育に拾ける科学的知性的な方向への期待に集約される と言ってよい。

 (注)

①大阪市立大学文学部紀要r人文研究」才七巻二号 産業教育のr教科」について廿佐藤三郎156  〜157p  大、学美術教育学会研究紀要(1964年号(奈良学芸大学) オットー・サ回モン  ぱ生きている。一 (N舳8sユmja sθwinar iumについて)弘前大学石原英雄66P川68P  教育哲学会「教育哲学研究」 才8号・ 北欧教育哲学の現状 中島 博 gg P〜100P(1963)

②r工11au8triaユartsin9θn・raユθ肌。ation」Goraon0.Wiユbθr19P〜

 29:P(1959)工nt■ Tθxt1〕ook co =Pθη.

⑤日本教育学会r教育学研究」二十一巻一号 デューイの職業教青論に関する一考察、草谷晴夫        591P}69王

       〃      二十七巻一号 スミス・ヒューズ法の史的考察。草谷晴夫        29P〜371P

④匝ncycユ。P・diaofMoa・rnθaucation」 Inω日tria■θducation

 in Rivユin and− schuθユθr ed−ucation〃F.T.Strnck(1943)

⑤凪mθrioanvo・ati0Daユas畠。oiation」 AGuiaθimprovi早ginst−

 ruction in 工nd−u8t riaユ Arts L A・V.逼 (1953)

⑥凪皿θricanVaoationaユJoumaユ」S・ptθ皿bθr1%0. ExPθrt8θvaユー  uate Ind・ustriaユ Art畠uniquθ contri1⊃utior18〃R・D・Brown,G・W・

       Nθw1〕auθr

⑦日本教育学会r教育学研究」二十二巻二号 インダストリアル・アーツの性格 小林達夫       51P〜53P

㊥ 生。。・ti… 1θ伽・・tれ・f… 。h・・ging榊・ユd F・T・St… k       39P (1945)

②  「工・A・V・E」Marc]ユ 1960  ShoP orgaDization in 工nd・ustriaユ Ar1=s       二R.G.HanエロOnd一

⑪rAmerioan.ounciユ。n工nω臼triaユArtもtθachθr・du・a・七ion」

       Eighth yθarbook      (1959)エユユinoi8      Pユannユng 工nd−u8tria■ Ar  fac iユit iθ8

   r        〃       」Tθnthyθarb0Qk

      (1961)エユユinot8      Grad−uat 日tu−ay− in 工nd−ustria1 Art8

   r       〃      」NinthアθarbOok

      (1960)エユユinoi8

     Rθs e r c h i n I nd−u s t r i aユ Arゼs θd−1ユ。 a t i o n

⑪ Organizingoour8θ皿ateriaユトforindu日triaユ・aHation

  G・Ha「oユaSi■biu・,R・ユphC.帥hn(1961)

@  Gordon O,Wiユbθr:op・ cit  lP227〜コP256

一68一

(12)

⑧r奈良学芸大学教育研究所研究会報告」才一号21P〜7P アメリカに歩ける技術科教育の動向        (1964)拙稿

③ 「    4    研究紀要」才一号 63P 技術科教育に関する創造性陶冶とその方  法,(1965)拙稿

⑮rデザイン学会10回大会研究発表梗概集」lP〜4P 技術科教育に歩けるプロダクトデサイ  ニ・の位置 (1963)拙稿

(13)

一70一

参照

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